JP4700828B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式による画像形成装置に係り、詳しくは、トナー像を一括転写する第二の像担持体を用いる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラーの画像形成装置としては、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等の種々の方式が知られているが、これらのうち電子写真方式のものは、他の方式のものに比べ、画像形成速度、画質、静粛性等の点で優れている。
【0003】
電子写真方式を採用する画像形成装置の中でもさらに種々の方式がある。例えば、感光体表面にカラー像(複数色のトナー像)を重ねた後に転写材に一括転写して像形成を行う多重現像方式や、現像−転写のサイクルを繰り返し行う多重転写方式、一旦、中間転写体上に各色のトナー像を順次一次転写した後、転写材上に一括転写する中間転写方式等がある。これらのうち、特に中間転写方式のものは、混色の恐れがないこと、質や厚さの異なる様々な転写材の使用が可能であること等の利点を有する。
【0004】
中間転写方式の画像形成装置について、本発明の実施の形態を示す図1の4色のフルカラーレーザービームプリンターを例にして以下に説明する。
【0005】
図1に示すように、像担持体である感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、レーザー光を感光ドラム1に照射する露光装置3、現像装置(5,6,7,8)、中間転写ベルト9(以降、ITB9)、および感光ドラムクリーナー19が配置されている。
【0006】
図中、矢印R1方向に表面速度117mm/秒で回転駆動される直径46.7mmの感光ドラム1は、その表面が帯電器2によって負極性に帯電される。
【0007】
帯電器2によって帯電された感光ドラム1表面の電位(以降、帯電電位)は、通常、−450V〜−800Vである。また、帯電器2には、帯電器電源17により交番電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアスが印加される。交番電圧に直流電圧を重畳した帯電バイアスを用いることにより、帯電は効率良く行うことができる。
【0008】
帯電された感光ドラム1は、不図示のコントローラより送られる画像情報に応じた露光手段3の露光Lにより表面に静電潜像が形成される。ここで、露光手段3は、レーザー等の光源3a、ラスタスキャンを行う為の6面のポリゴンミラー3b、結像のためのレンズ3c、折り返しミラー3d等を備えている。また、本画像形成装置の解像度は600dpiであり、表面速度117mm/秒で回転する感光ドラム1に対し、ポリゴンミラー3bは461回転/秒にて回転する。
【0009】
この静電潜像には、ロータリー22に搭載された1色目ブラックの現像器5によって負極性に帯電されたブラックのトナーが付着し、トナー像として現像される。
【0010】
以降、ITB9は、複数の支持軸(二次転写対向ローラ12、駆動ローラ15、テンションローラ16)に支持されている。
【0011】
ここで、ITB9は、一例として、厚さ0.1mm〜0.3mm程度の無端状の樹脂ベルトを、体積抵抗率1010〜1016Ω・cm程度に抵抗調整したものを用いる事ができる。この場合、樹脂ベルトの材質としては、例えば、PVdF(ポリフッ化ビニリデン)、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の樹脂フィルム(必要に応じて抵抗調整がなされている。)等を用いる事ができる。さらに、上記樹脂ベルトをカーボンZnO、SiO2、TiO2、その他の導電性の充填材により、体積抵抗率107〜1011Ω・cm程度に調整して用いる場合もある。後者の様に、低〜中抵抗化を図ることでITB9に電荷が蓄積する事による画像不良を防止できる。
【0012】
また、別例として、耐久性を向上させるため、厚さ0.5mm〜2.0mm程度の弾性材(クロロプレーンゴム、EPDM、NBR、ウレタンゴム等)を材料とするゴムベルトを用いる場合もある。この場合も同様にして、必要に応じ、上述の導電性の充填材等により、体積抵抗率107〜1011Ω・cm程度に調整し、ITB9の電荷蓄積による画像不良を防止できる。
【0013】
そして、駆動ローラ15の回転(図中、矢印R2方向)に伴い、ITB9は図中矢印R3方向に回転する。そして、ITB9に従動回転(図中矢印R5方向)する直径12mmの一次転写ローラ10に、一次転写電源20から正極性の一次転写バイアスが印加されると、感光ドラム1上のトナー像は、一次転写ニップ部N1を介して一次転写される。また、一次転写ローラ10としては、EPDM、ウレタンゴム、CR、NBR等にカーボンなどの抵抗調整剤を加え、体積抵抗率105Ω・cm以下に調整した材料を用いることが一般的である。
【0014】
一次転写後の感光ドラム1は、弾性体ブレード191を有するクリーナー19によって表面の一次転写残トナーが除去される。
【0015】
以上の帯電、露光、現像、一次転写、クリーニング、除電の一連の画像形成プロセスを、各現像器6,7,8に収容された2色目マゼンタ、3色目シアン、4色目イエローの各色のトナーについても繰り返し行い、ITB9上に4色のトナー像を重ねる。
【0016】
ところで、ITB9の表面は、一次転写毎に徐々に負極性にチャージアップする。また、1色目、2色目と一次転写を進めていくと、すでにITB9上にトナーが乗っている場所にトナーを重ねて載せる必要性も生まれてくる。よって、一次転写を効率よく行うためには、1色毎に徐々に一次転写バイアスを上げていく必要がある。
【0017】
ここで示す従来例に於いては、1色目は+100V、2色目は+500V、3色目は+600V、4色目は+700Vなる一次転写バイアスを用いた。
【0018】
そして、図中矢印R4方向に回転するφ20mmの二次転写ローラ11に、二次転写バイアス電源21から二次転写バイアスが印加されると、ITB9上のトナー像は、二次転写対向ローラ12上の二次転写ニップ部N2を介して転写材P表面に一括して二次転写される。
【0019】
表面に4色の未定着トナー像を担持した転写材Pは定着器(不図示)に搬送され、ここで表面のトナー像が定着されて画像形成が完了する。
【0020】
一方、上述の二次転写が終了したITB9は、クリーナー13によって、転写材Pに転写されずにITB9上に残った二次転写残トナーが除去された後、必要に応じて除電帯電器(除電手段)14によって除電される。除電帯電器14としては、ACコロナ帯電を用いることが多い。また、除電効率を上げるためITB9の内側に電極を設けるのが一般的である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の画像形成装置において、ゴムベルトをITB9として用いると、二次転写ニップ部N2において、ITB9と転写材Pの間で、ビビリが生じ、画像が不均一になる問題が生じた。本発明者の検討によれば、このビビリは、二次転写ニップ部N2において、転写材Pの速度がITB9の表面速度に対して遅いために、転写材PがITB9の回転の妨げになっていることが原因であった。
【0022】
そこで、この問題を解決するために、転写材Pの速度を、二次転写ニップ部N2におけるITB9表面の速度と等速にしたところ、転写材P上の画像の画像倍率は、所望の倍率よりも大きくなってしまった。
【0023】
すなわち、図2に示すように、ゴムITB9は、二次転写ニップ部N2等の支持軸上にて、その表面が伸びる。そして、ITB9に担持されたトナー像も、ITB9表面の伸びに対応し、図3の(a)に示す所望の倍率の画像に比べて、図3の(b)の様に、全体的に伸びた画像になってしまう。このことから考察すると、前述のビビリ発生状態では、二次転写部において、曲率によりITB9の表面で一旦伸ばされた画像が速度の遅い転写材上により再び収縮され、見かけ上画像の伸びは発生しなかったものと思われる。
【0024】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、ゴムベルトをITBとして用いる画像形成装置においても、転写材Pの速度を、ビビリの発生を防ぐ速度に最適化した場合であっても、転写材P上のトナー画像の画像倍率を所望の倍率にすることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明の代表的な構成は、回転可能な像担持体と、前記像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器と、前記像担持体からトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを内面から支持する複数の支持ローラと、前記複数の支持ローラの一つと前記中間転写ベルトを介して二次転写部を形成する二次転写ローラと、を有し、前記中間転写ベルトは、無端状のゴムベルトであり前記二次転写部において前記支持ローラにより屈曲され、前記中間転写ベルト上のトナー像を前記二次転写部で転写材に二次転写する画像形成装置において、
前記二次転写部における前記中間転写ベルトの外面の伸び率をKとし、
前記像担持体の回転方向における転写材上に二次転写されたトナー像に対する前記像担持体上の静電潜像の画像倍率は、1より小さく、且つ、前記Kによって決定される倍率であることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。また、図1は、同時に、後述する第2、3、4の実施の形態に係る画像形成装置も示している。
【0031】
同図において、ITB9として、厚さ0.7mmのゴムベルトを使用し、二次転写対向ローラ12の直径はφ27.5mmである。本実施の形態で示す画像形成装置の解像度は600dpiであり、6面のポリゴンミラー3bは、従来例と同じ、461回転/秒にて回転する。また、感光ドラム1の表面速度Va1は、従来例で示した感光ドラム1の表面速度Vaよりも遅い、114.1mm/秒である。そして、転写材Pの速度は、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度と略同等である。さらに、一次転写ニップN1における、ITB9の表面速度は、感光ドラム1の表面速度Va1と略同等に設定した。
【0032】
本実施の形態では、二次転写ニップ部N2におけるITB9の表面の伸びに対応し、上述のポリゴンミラー3bの条件において、解像度600dpiの静電潜像を感光ドラム1表面に形成する表面速度Va(=117.0mm/秒)に対し、感光ドラム1の表面速度を下げた。
【0033】
これにより、感光ドラム1上に形成される静電潜像は、感光ドラム1の回転方向において縮み、これにより二次転写ニップ部N2におけるトナー像の伸びを補正する。よって、転写材Pが二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度と略同等である場合でも、転写材P上の画像倍率は所望のものになる。
【0034】
以下に、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸びと、その伸びを補正する、感光ドラム1の表面速度Va1の関係について詳しく述べる。
【0035】
図4は、二次転写ニップN2付近のITB9を表している。図中、ITB9は、二次転写対向ローラ12に巻き付いている部分Eでは、ITB9の厚さ方向の中心位置である中立線を境に、表面側は伸び、裏面側は縮んでいる。今、二次転写対向ローラ12の中心からITB9表面までの距離X、二次転写対向ローラの中心からITB9の中立線までの距離Yとすると、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び率Kは、
K=X/Y
(但し、ITB9が、二次転写対向ローラ12に巻き付いていない部分の伸び率を1.0とする。)
と、表される。
【0036】
そして、この伸び(画像倍率の拡大)を補正し、感光ドラム1上の静電潜像を縮める(画像倍率の縮小)ための、感光ドラム1表面速度Va1は、補正前の感光ドラム1表面の速度がVaであるとき、
Va1=Va/K
となる。
【0037】
本実施の形態では、X:14.45mm、Y:14.1mm、Va:117mm/秒である。そして、二次転写ニップN2におけるITB9の表面の伸び率Kは、
K=14.45/14.1=1.025
となる。したがって、
Va1=117.0/1.025=114.1mm/秒
であり、本実施の形態では、転写材P上のトナー像は、所望の画像倍率が得られる。
【0038】
ところで、本実施の形態では、ITB9として用いたゴムベルトの厚さは0.7mmであるが、0.5mm〜2.0mmであれば、同様にして用いる事ができる。しかしながら、本発明者の検討によれば、0.5mm未満では、摩耗により、十分な耐久性が確保できない。また、2.0mmを超えると、ゴムベルトが支持軸にて適当に曲がらず、走行が安定しない。
【0039】
また、ゴムベルトとして、綿、ポリエステル等の糸または織布の芯体を補強部材として内包し、応力緩和を軽減させる工夫を施す事も可能であるが、この場合、二次転写ニップN2における表面の伸びにおける中立線は、芯体の中心位置となる。
【0040】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成は、図1と同様なので図示を省略する。
【0041】
本実施の形態に於いても、ITB9として、厚さ0.7mmのゴムベルトを使用し、二次転写対向ローラ12の直径はφ27.5mmである。感光ドラム1の表面速度は、従来例と同じ、117mm/秒である。本実施の形態で示す画像形成装置の解像度は600dpiであり、6面のポリゴンミラー3bは、従来例で用いたポリゴンミラー3bの回転速度よりも速度の速い、473回転/秒にて回転する。また、不図示のコントローラから露光装置3へ送られる画像情報の転送速度である画像クロックを、ポリゴンミラー3bの回転速度の変更に合わせて調整し、感光ドラム1上の静電潜像の感光ドラム1の走行方向に垂直な方向の画像倍率を所望のものにした。これにより、第1の実施の形態と同様、感光ドラム1の上の画像は走行方向(副走査方向)に対して収縮する。
【0042】
また、転写材Pの速度は、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度と略同等である。そして、一次転写ニップN1における、ITB9の表面速度は、感光ドラム1の表面速度Va1と略同等である。
【0043】
本実施の形態では、二次転写ニップ部N2におけるITB9表面の伸びに対応し、感光ドラム1の表面速度が従来例と同じ117mm/秒であるとき、解像度が600dpiの静電潜像を感光ドラム1表面に形成する6面のポリゴンミラー3bの回転数に対し、ポリゴンミラー3bの回転数を上げた。
【0044】
これにより、第1の実施の形態と同様に、感光ドラム1上に形成される静電潜像は、感光ドラム1回転方向において縮み、二次転写ニップ部N2におけるトナー像の伸びを補正する。よって、転写材Pが二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度と略同等である場合でも、転写材P上の画像倍率は所望のものになる。
【0045】
以下に、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸びと、その伸びを補正する、ポリゴンミラー3bの回転数Ra1の関係について詳しく述べる。
【0046】
本実施の形態においても、第1の実施の形態で説明したように、二次転写ニップN2では、ITB9の中立線を境に、表面が伸びる。図4において、二次転写対向ローラ12の中心からITB9表面までの距離X、二次転写対向ローラの中心からITB9の中立線までの距離Yとすると、同様にして、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び率Kは、
K=X/Y
となる。
【0047】
そして、この伸びを補正し、感光ドラム1上の静電潜像を縮めるための、ポリゴンミラー3bの回転数がRa1は、補正前のポリゴンミラー3bの回転数がRaであるとき、
Ra1=Ra×K
となる。
【0048】
本実施の形態では、X:14.45mm、Y:14.1mm、Ra:461回転/秒である。そして、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び率Kは、実施の形態1と同様に、
K=14.45/14.1=1.025
である。したがって、
Ra1=461×1.025=473回転/秒
であり、本実施の形態においても、転写材P上のトナー像は、所望の画像倍率が得られる。ところで、ITB9として用いるゴムベルトとしては、第1の実施の形態と同様に、厚さ0.5mm〜2.0mmのものを用いる事が可能である。さらに補強部材として、芯体を内包する事も可能である。
【0049】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成は、図1と同様なので図示を省略する。
【0050】
本実施の形態に於いても、ITB9として、厚さ0.7mmのゴムベルトを使用し、二次転写対向ローラ12の直径はφ27.5mmである。
【0051】
本実施の形態では、二次転写ニップN2において、転写材Pの速度を、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度Vt2に対し、0.5%速く設定し、二次転写における転写効率を向上させている。
【0052】
ここで、感光ドラム1の表面速度は、従来例と同じ、117mm/秒である。
本実施の形態で示す画像形成装置の解像度は600dpiであり、6面のポリゴンミラー3bは、第2の実施の形態よりも回転数の多い、475回転/秒にて回転し、更に画像クロックを、ポリゴンミラー3bの回転速度の変更に合わせて調整し、感光ドラム1上の静電潜像の感光ドラム1の走行方向に垂直な方向の画像倍率を所望のものにした。
【0053】
これにより、二次転写ニップN2におけるITB9の表面の伸びによるトナー像の伸びとともに、二次転写ニップN2における転写材Pの速度Vpが、二次転写ニップN2におけるITB9表面速度Vt2よりも速い事に起因する画像の伸びを補正している。一次転写ニップN1におけるITB9の表面速度は、感光ドラム1の表面速度Va1と略同じである。
【0054】
以下に、転写材Pの速度が、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度よりも速い場合において、転写材P上のトナー像の画像倍率を所望のものにするためのポリゴンミラー3bの回転数Ra2について詳しく述べる。
【0055】
今、上記した第1、第2の実施の形態と同様に、ITB9の表面は二次転写ニップN2にて伸びている。この時の伸び率Kは、
K=X/Y
で表される。
【0056】
また、転写材Pの速度Vpが、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度Vt2よりも速い場合、転写材P上のトナー像は、VpとVt2の速度差により、さらに転写材の進行方向に伸びる。この時の伸び率K2は、
K2=Vt2/Vp
であらわされる。
【0057】
そして、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び、および、VpとVt2の速度差によるトナー像の伸びを補正し、感光ドラム1上の静電潜像を縮めるための、ポリゴンミラー3bの回転数Ra2は、補正前のポリゴンミラー3bの回転数がRaであるとき、
Ra2=Ra×K×K2
となる。
【0058】
本実施の形態では、X:14.45mm、Y:14.1mm、Ra:461回転/秒、K2:1.005である。
【0059】
そして、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び率Kは、実施の形態1および2と同様に、
K=14.45/14.1=1.025
である。
【0060】
Ra2=461×1.025×1.005=475回転/秒
となり、本実施の形態の様に、転写材Pの速度が、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度よりも速い場合においても、転写材P上のトナー像は、所望の画像倍率が得られる。
【0061】
ところで、本実施の形態では、二次転写ニップN2において、転写材Pの速度Vpを、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度Vt2に対し、0.5%速く設定したが、0%を超え、5%以下であれば同様の効果が得られる。本発明者の検討によれば、5%を超えると、転写材PのITB9に対する当接の衝撃により、ITB9の回転が不安定になり、画像品位が低下した。
【0062】
また、本実施の形態では、感光ドラム1上の画像を縮めるために、ポリゴンミラー3bの回転数を上げる方法を用いたが、感光ドラム1の速度を上げる手段を用いる事も可能である。
【0063】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成は、図1と同様なのでその説明は省略する。
【0064】
本実施の形態に於いても、ITB9として、厚さ0.7mmのゴムベルトを使用し、二次転写対向ローラ12の直径はφ27.5mmである。
【0065】
本実施の形態においても、二次転写ニップN2において、転写材Pの速度を、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度Vt2に対し、0.5%速く設定した。更に、一次転写ニップN1におけるITB9表面の速度Vt1を感光ドラム1の表面速度Vaに対し、0.6%速く設定することで、一次転写および二次転写における転写効率を向上させている。
【0066】
ここで、感光ドラム1の表面速度Vaは、従来例と同じ、117mm/秒である。本実施の形態で示す画像形成装置の解像度は600dpiであり、6面のポリゴンミラー3bは、第3の実施の形態よりも更に回転数の多い、478回転/秒にて回転し、更に画像クロックを、ポリゴンミラー3bの回転速度の変更に合わせて調整し、感光ドラム1上の静電潜像の感光ドラム1の走行方向に垂直な方向(副走査方向)の画像倍率を所望のものにした。
【0067】
これにより、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸びによるトナー像の伸び、転写材Pの速度Vpが、二次転写ニップN2におけるITB9表面速度Vt2よりも速いことに起因する伸び、さらに、一次転写ニップN1におけるITB9の表面速度Vt1が、感光ドラム1の表面速度Vaよりも速いことに起因する伸びを補正している。
【0068】
以下に、一次転写ニップN1におけるITB9の表面速度Vt1が、感光ドラム1の表面速度Vaよりも速いとともに、転写材Pの速度が、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度よりも速い場合において、転写材P上のトナー像の画像倍率を所望のものにする、ポリゴンミラー3bの回転数Ra3について詳しく述べる。
【0069】
本実施の形態の様に、感光ドラム1の表面速度Vaよりも、一次転写ニップN1におけるITB9の表面速度Vt1が速い場合、感光ドラム1上のトナー像は、ITB9上に一次転写されると、ITB9の進行方向に伸びる。この時の伸び率K1は、
K1=Vt1/Va
で表される。
【0070】
また、第1、2、3の実施の形態と同様に、ITB9の表面は二次転写ニップN2にて、伸びている。この時の伸び率Kは、
K=X/Y
で表される。
【0071】
さらに、第3の実施の形態と同様に、転写材Pの速度Vpが、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度Vt2よりも速い場合、二次転写時に、ITB9上のトナー像は伸び、その伸び率K2は、
K2=Vt2/Vp
であらわされる。
【0072】
以上、3ステップにおけるトナー像の伸びを補正し、感光ドラム1上の静電潜像を縮めるための、ポリゴンミラー3bの回転数Ra3は、補正前のポリゴンミラー3bの回転数がRaであるとき、
Ra3=Ra×K1×K×K2
となる。
【0073】
本実施の形態では、X:14.45mm、Y:14.1mm、Ra:461回転/秒、K1:1.006、K2:1.005である。
【0074】
そして、二次転写ニップN2におけるITB9表面の伸び率Kは、第1および第2の実施の形態と同様に、
K=14.45/14.1=1.025
である。したがって、
Ra2=461×1.006×1.025×1.005=478回転/秒
となり、本実施の形態の様に、転写材Pの速度が、二次転写ニップN2におけるITB9の表面速度よりも速い場合においても、転写材P上のトナー像は、所望の画像倍率が得られる。
【0075】
ところで、本実施の形態では、一次転写ニップN1におけるITB9の速度Vt1を、感光ドラム1の表面速度Vaに対し、0.6%速く設定したが、0%を超え、5%以下であれば同様の効果が考えられる。本発明者の検討によれば、5%を超えると、一次転写において各色トナー像が正しく重ならない、所謂、色ずれを無視する事ができなくなった。
【0076】
また、本実施の形態では、感光ドラム1上の画像を縮めるために、ポリゴンミラー3bの回転数を上げる方法を用いたが、感光ドラム1の速度を上げる手段を用いる事も可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、第二像担持体として、例えば無端のゴムベルトを用いた場合において、二次転写ニップにおけるゴムベルト表面の伸びに応じて、第一像担持体としての感光ドラム上の静電潜像を縮めることにより、二次転写ニップにおけるビビリの発生を防ぎつつ、転写材上のトナー像の画像倍率を所望の倍率にする事が可能になった。
【0078】
さらに二次転写ニップにおいて、転写材の速度を、ゴムベルトの二次転写ニップにおける表面速度より速く設定した場合においても、感光ドラム上の静電潜像を縮めることにより、二次転写ニップにおけるビビリの発生を防ぎつつ、転写材上のトナー像の画像倍率を所望の倍率にする事が可能になった。
【0079】
さらに、ゴムベルトを第二像担持体として用い、さらに二次転写ニップにおいて、転写材の速度を、ゴムベルトの二次転写ニップにおける表面速度より速く設定するとともに、一次転写ニップにおいて、ゴムベルトの表面速度を感光ドラムの表面速度より速くした場合においても、感光ドラム上の静電潜像を縮めることにより、二次転写ニップにおけるビビリの発生を防ぎつつ、転写材上のトナー像の画像倍率を所望の倍率にする事が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の従来例、および第1から4の実施の形態を示す画像形成装置の概略図。
【図2】二次転写ニップ部における中間ベルト上の画像の伸びを説明する図。
【図3】図2の説明で形成される図の伸び状態を示す図。
【図4】本発明の実施の形態を詳細に示す図。
【符号の説明】
1…感光ドラム 3…露光装置
3b…ポリゴンミラー 9…ITB
12…二次転写対向ローラ

Claims (3)

  1. 回転可能な像担持体と、前記像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、前記像担持体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器と、前記像担持体からトナー像が一次転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを内面から支持する複数の支持ローラと、前記複数の支持ローラの一つと前記中間転写ベルトを介して二次転写部を形成する二次転写ローラと、を有し、前記中間転写ベルトは、無端状のゴムベルトであり前記二次転写部において前記支持ローラにより屈曲され、前記中間転写ベルト上のトナー像を前記二次転写部で転写材に二次転写する画像形成装置において、
    前記二次転写部における前記中間転写ベルトの外面の伸び率をKとし、
    前記像担持体の回転方向における転写材上に二次転写されたトナー像に対する前記像担持体上の静電潜像の画像倍率は、1より小さく、且つ、前記Kによって決定される倍率であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記画像倍率は、前記像担持体の回転方向における前記露光装置の画像形成速度に対して前記像担持体の回転方向速度を小さくすることで設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記Kは、前記中間転写ベルトの厚さ方向において、前記二次転写部を形成する前記支持ローラの中心から前記中間転写ベルトの外面までの距離をX、前記二次転写部を形成する前記支持ローラの中心から前記中間転写ベルトの厚さ方向の中心線である中立線までの距離をYとする場合に、
    K=X/Y
    と定義されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
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