JP4375919B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、詳しくは、像担持体上に形成された画像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体に一次転写された一次転写像を転写材に二次転写する中間転写方式の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の中間転写方式の画像形成装置においては、周知のように、カラー画像を形成することができる。この画像形成装置においてカラー画像を形成する場合には、例えば、帯電手段及び露光手段などを備えた潜像形成手段により、像担持体としての感光体上に、原稿画像を4色に色分解した静電潜像を順次書き込む。次いで、現像手段により、該感光体上に書き込んだ各色の静電潜像を順次現像して、該感光体上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の帯電トナーからなる各色のトナー像を順次形成する。そして、該感光体上に形成した各色のトナー像を上記中間転写体上に転写する中間転写プロセスを4回行って、該中間転写体上に4色の各トナー像を順次重ね合せて一次転写する。その後、この中間転写体上に重ね合わせて一次転写した一次転写像を、紙やOHPシート等の転写材上に一括して二次転写する。これにより、該転写材上にフルカラー画像からなる二次転写像が形成される。
【0003】
このような中間転写体を使用した画像形成装置においては、例えば、上記感光体と同期して接触回転する転写ドラムに上記転写材を巻き付け、該感光体上に形成した各色のトナー像を、該転写ドラムに巻き付けられた転写材上に順次重ね合わせて転写する転写ドラム方式の画像形成装置のように、転写材を巻き付けて搬送する必要がない。従って、この中間転写方式の画像形成装置では、封筒や厚紙等の転写材にも対応可能で汎用性が高く、また、転写材の厚みによってカラーレジストレーションが変化することがないので、高画質が得られる等のメリットがある。
【0004】
上記中間転写体としては、主として、ポリイミド、PVDF、ETFEなどの離型性の良い樹脂を表面に持つものが用いられてきた。しかし、近年、転写材(特に紙)と中間転写体表面との密着性を上げて画像の抜けなどを防止する目的で、ウレタンゴムやNBR、CRなどのゴム材料からなる弾性層を表面に形成した中間転写体が各種提案されている。
【0005】
また、上記中間転写体としては、一般的に、無端状のベルトからなる中間転写ベルトが使用されている。この中間転写ベルトは、ベルトの伸び防止のために、通常、その内部に芯体と呼ばれる非弾性体が組み込まれている。該芯体としては、主に、樹脂製(ウレタンやウレア、ポリイミドやPET、PVDF、ETFEなど)のベルトや、ナイロン、イミド繊維などで編まれた布状のもの、ケブラー、グラス繊維などの糸を巻き付けたものなどが用いられている。この芯体の表面に、上記ウレタンゴムやNBR、CRなどのゴム材料を、コーティングや押し出し、遠心成型などにより形成することにより、芯体の表面に弾性層が形成された中間転写ベルトが得られる(図2参照)。また、該中間転写ベルトとしては、該弾性層とトナーとの離型性を上げるために、該弾性層の表面にフッ素系のコート材がコーティングされているものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述したような、表面に弾性層が形成されている中間転写体、特に、無端状のベルトからなる中間転写ベルトを用いる画像形成装置においては、画像形成過程で該中間転写ベルトの表面が伸縮してしまうことがある。
例えば、上記中間転写ベルトの表面が、像担持体としての感光体ドラムの表面に掛け回されることによって、一次転写部が形成された構成の画像形成装置では、該感光体ドラムの表面の曲率によって、該一次転写部における中間転写ベルトの表面が縮んでしまうことがある(図3参照)。
【0007】
また、上記中間転写ベルトの内周面が、一次転写手段としての一次転写ローラの表面に掛け回されることによって、一次転写部が形成された構成の画像形成装置では、該一次転写ローラの表面の曲率によって、該一次転写部における中間転写ベルトの表面が伸びてしまうことがある(図4参照)。
【0008】
さらに、上記中間転写ベルトの内周面が、張架部材としての駆動ローラの表面に掛け回されることによって、二次転写部が形成された構成の画像形成装置では、該駆動ローラの表面の曲率によって、該二次転写部における中間転写ベルトの表面が伸びてしまうことがある(図5参照)。
【0009】
また、上記中間転写ベルトの表面が、二次転写手段としての二次転写ローラの表面に掛け回されることによって、二次転写部が形成された構成の画像形成装置では、該二次転写ローラの表面の曲率によって、該二次転写部における中間転写ベルトの表面が縮んでしまうことがある(図6参照)。
【0010】
このため、図3に示すように、一次転写部において中間転写ベルトの表面が縮んでしまうような構成の画像形成装置の場合には、像担持体上の画像が、表面が縮んだ状態の中間転写ベルト上に一次転写される。この結果、該中間転写ベルトの表面の縮みが元に戻った状態で、該中間転写ベルト上の一次転写像が、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが伸びた画像になってしまう。
【0011】
また、図4に示すように、一次転写部において中間転写ベルトの表面が伸びてしまうような構成の画像形成装置の場合には、像担持体上の画像が、表面が伸びた状態の中間転写ベルト上に一次転写される。この結果、該中間転写ベルトの表面の伸びが元に戻った状態で、該中間転写ベルト上の一次転写像が、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが縮んだ画像になってしまう。
【0012】
さらに、図5に示すように、二次転写部において中間転写ベルトの表面が伸びてしまうような構成の画像形成装置の場合には、中間転写ベルト上の一次転写像が、該中間転写ベルトの表面が伸びた状態で転写材上に二次転写されることになる。この結果、該転写材上の二次転写像が、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが伸びた画像になってしまう。
【0013】
また、図6に示すように、二次転写部において中間転写ベルトの表面が縮んでしまうような構成の画像形成装置の場合には、中間転写ベルト上の一次転写像が、該中間転写ベルトの表面が縮んだ状態で転写材上に二次転写されることになる。この結果、該転写材上の二次転写像が、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが縮んだ画像になってしまう。
【0014】
このように、この種の画像形成装置においては、上記中間転写体から転写材に二次転写された二次転写像の縦横比が、原稿画像の縦横比と大きく異なってしまうことがある。なお、ここでは、転写材上の二次転写像の縦横比に狂いが生じる原因として、該中間転写体としての中間転写ベルトの伸縮を例示したが、このような二次転写像の縦横比の狂いは、例えば、像担持体や中間転写体などの駆動系の精度や、像担持体への静電潜像の書き込み精度の低下によっても発生する。
【0015】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、転写材に二次転写された二次転写画像の縦横の長さ比が、原稿画像の縦横の長さ比と略等しくなるように画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面に書き込んだ静電潜像を帯電トナーにより現像してトナー像からなる画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、上記像担持体としてドラム状のものを用いるとともに、上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、上記弾性層が上記ドラム状の像担持体へ接触するように上記中間転写ベルトを上記ドラム状の像担持体に巻き付かせるとともに、上記像担持体の表面と上記中間転写ベルトの表面とが上記一次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するように形成し、上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記ドラム状の像担持体の外径をφpc、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、Vs/V=〔(φpc+2Tb−Tt)/φpc〕・〔(φd2+2Tb)/(φd+Tt)〕で表せるVs/Vが1にならないような上記φpc、φd2、Tb、Ttの値を採用し、上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記静電潜像の書込み条件を設定することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、表面に書き込んだ静電潜像を帯電トナーにより現像してトナー像からなる画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、
上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、張架ローラである一次転写ローラに上記芯体側が接触するように該一次転写ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面が上記像担持体へ接触するとともに、上記像担持体の表面と上記中間転写ベルトの表面とが上記一次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、
上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するように形成し、
上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記一次転写ローラの外径をφd1、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、
Vs/V=〔(φd1+Tt)/φd1+2Tb)〕・〔(φd2+2Tb)/(φd2+Tt)〕
で表せるVs/Vが1にならないような上記φd1、φd2、Tb、Ttの値を採用し、
上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記静電潜像の書込み条件を設定することを特徴とするものである。
【0023】
れらの画像形成装置においては、上記静電潜像の書込み条件を変えることにより、転写材上の二次転写像の縦横比を調整することができる。従って、例えば、何も調整していない状態で、転写材上の二次転写像が伸びた画像になる場合には、該二次転写像の伸びの度合に応じた分だけ縮小された画像が像担持体上に形成されるように、該静電潜像の書込み条件を設定しておく。これにより、転写材上の二次転写像の伸びを予め見込んだ縦横比の静電潜像が像担持体上に書き込まれるようになり、原稿画像の縦横比と転写材上の二次転写像との縦横比とを等しくすることが可能になる。
【0024】
請求項3の発明は、表面に画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、上記像担持体としてドラム状のものを用いるとともに、上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、上記弾性層が上記ドラム状の像担持体へ接触するように上記中間転写ベルトを上記ドラム状の像担持体に巻き付かせて形成し、上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するとともに、上記中間転写ベルトの表面と上記転写材の表面とが上記二次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記ドラム状の像担持体の外径をφpc、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、Vs/V=〔(φpc+2Tb−Tt)/φpc〕・〔(φd2+2Tb)/(φd+Tt)〕で表せるVs/Vが1にならないような上記φpc、φd2、Tb、Ttの値を採用し、上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記一次転写の領域での上記像担持体の表面速度と上記中間転写ベルトの表面速度との間に速度差を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、表面に画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、張架ローラである一次転写ローラに上記芯体側が接触するように該一次転写ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面が上記像担持体へ接触するように形成し、上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するとともに、上記中間転写ベルトの表面と上記転写材の表面とが上記二次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記一次転写ローラの外径をφd1、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、Vs/V=〔(φd1+Tt)/φd1+2Tb)〕・〔(φd2+2Tb)/(φd2+Tt)〕で表せるVs/Vが1にならないような上記φd1、φd2、Tb、Ttの値を採用し、上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記一次転写の領域での上記像担持体の表面速度と上記中間転写ベルトの表面速度との間に速度差を設けたことを特徴とするものである。
【0025】
これらの画像形成装置においては、像担持体上の画像が中間転写体上に一次転写される際に、該中間転写体の表面速度を変化させることによって、該中間転写体上に一次転写される一次転写像を伸縮させることが可能である。そこで、この画像形成装置においては、原稿画像の縦横比と転写材上の二次転写像との縦横比とが略等しくなるように、一次転写部での像担持体の表面速度と中間転写体の表面速度との間に速度差を設ける。これにより、転写材上に縦横比の伸縮のない二次転写像を形成することができるようになる。この画像形成装置では、像担持体の表面速度と中間転写体の表面速度との間に速度差が設けられることによって、該像担持体の表面と中間転写体の表面との間にスリップが発生することになるが、像担持体の表面と中間転写体の表面との表面が滑らかであるので、該スリップを比較的容易に発生させることが可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、タンデム型の画像形成装置としての電子写真複写機(以下「複写機」という。)に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機は、黒(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色毎に用意された4組の画像形成部1、中間転写ユニット70、二次転写装置80、定着装置90、図示しない読み取り部、給紙部、駆動部、及び制御部から構成される。
【0035】
上記4組の画像形成部1は、それぞれ像担持体としての感光体ドラム10、現像装置40、感光体ドラム10をクリーニングするクリーニング装置60などから構成される。そして、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対応する画像形成部(1C、1M、1Y、及び1B)及び現像装置(40C、40M、40Y、及び40B)を有しており、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像として、重ね合わせることで、フルカラー画像を形成することができる。4組の画像形成部1では、同じ構成となっているので、以下、ブラックに関する画像形成部1Bについて、画像形成プロセスを説明する。
【0036】
上記ブラックについての画像形成部1Bには、感光体ドラム10B、帯電手段としての一様帯電器20B、レーザ光LBを照射するレーザ書き込み装置30B、湿式現像器としての湿式現像ユニット40B、除電手段としての除電装置50B、クリーニング部材としてのクリーニングブレード61Bを用いたクリーニング装置としての感光体クリーニング装置60Bが配置されている。
【0037】
上記湿式現像ユニット40Bは、現像剤担持体としての現像ローラ41Bと、液体現像剤を収容する現像タンク42Bと、該現像タンク42B内の液体現像剤に浸漬するように配置された汲み上げローラ43Bから汲み上げられた液体現像剤を薄層化して現像ローラ41Bに塗布する計量ローラ44Bなどから構成されている。上記液体現像剤は絶縁体溶媒であるキャリア液体中に顕像化粒子であるトナー粒子が分散された液体現像剤である。
【0038】
上記中間転写ユニット70は、張架部材としての張架ローラ71、72、73、74、75、76、これら張架ローラ71、72、73、74、75、76に張架された像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト78、一次転写手段としての一次転写バイアスローラ77C、77M、77Y、77B、及び中間転写体クリーニング装置79から構成されている。
【0039】
二次転写ユニット80は、二次転写電荷付与手段としての二次転写バイアスローラ81及び該二次転写バイアスローラ81に接続された図示しない二次転写電源などから構成されている。
【0040】
上記構成の複写機において、感光体ドラム10Bを矢印の向きに回転駆動しながら、帯電器20Bで一様に帯電した後、レーザ書き込み装置30からレーザ光をLBを照射して感光体ドラム10B上に静電潜像を形成する。一方、現像タンク42Bの液体現像剤に浸漬されている汲み上げローラ43Bに付着した液体現像剤は計量ローラ44Bを介して現像ローラ41B上に均一に塗布される。そして、感光体ドラム10Bに現像ローラ41Bを接触させ、感光体ドラム10Bの表面に形成された静電潜像に液体現像剤中のトナーを電界の力で移行させる。このトナー移動によって、感光体ドラム10Bへの現像が完了し、感光体ドラム10B上にトナー像が形成される。
【0041】
そして、所定の転写バイアス電圧が印加された一次転写ローラ77Bにより、中間転写ユニット70における中間転写ベルト78上に上記トナー像の一次転写を行う。一次転写を終えた後、感光体ドラム10Bの表面は、感光体クリーニング装置60Bのクリーニング部材としてのクリーニングローラ及びクリーニングブレードが接触することにより、被除去物としての残留トナーがクリーニングされる。そして、感光体10Bは図示しない除電ランプ(QL)で除電され、一様帯電器20Bで一様帯電された後、次の現像プロセスにおける潜像を、レーザ書き込み装置30Bによって感光体ドラム10B上に書き込みが行われる。この一連のプロセスを繰り返し行い、中間転写ベルト78上に現像色に対応するトナー像を転写する。
【0042】
中間転写ベルト78には、各色に対応した画像形成部1C、1M、1Y、1Bから、一次転写バイアスローラ77C、77M、77Y、77Bによって、順次重ね合わせながら転写されて、一つのトナー像として形成される。このトナー像は、二次転写ユニット80によって、最終的な転写材としての転写紙82へ二次転写される。二次転写後の中間転写ベルト78の表面に残留している被除去物としての残留トナーは、中間転写体クリーニング装置79のクリーニングブレード79aでクリーニングされる。
【0043】
ところで、上記中間転写ベルト78としては、前述したように、近年、上記転写紙82と中間転写ベルト78との密着性を上げて画像の抜けなどを防止する目的で、ウレタンゴムやNBR、CRなどのゴム材料からなる弾性層を表面に形成したものが用いられるようになってきている。
【0044】
このような弾性を有する中間転写ベルトは、ベルトの伸び防止のために、例えば、図2に示すように、中間転写ベルト78の内部に、非弾性体からなる芯体78aが組み込まれている。この芯体78aとしては、主に、ウレタンやウレア、ポリイミドやPET、PVDF、ETFEなどの樹脂製のベルトや、ナイロン、イミドなどの繊維で編まれた布状のもの、ケブラー、グラス繊維などの糸を巻き付けたものなどが用いられている。この芯体78aの表面に、上記ウレタンゴムやNBR、CRなどのゴム材料を、コーティングや押し出し、遠心成型などにより形成することにより、芯体の表面に弾性層78bが形成される。
【0045】
このような弾性層78bを有する中間転写ベルト78は、図3に示すように、感光体ドラム10に掛け回されることによって、一次転写部が形成されている場合には、感光体ドラム10の表面の曲率によって、一次転写部における中間転写ベルト78の表面が縮んでしまう。このため、この場合には、感光体ドラム10上のトナー像が、表面が縮んだ状態の中間転写ベルト78上に一次転写されることになる。この結果、この中間転写ベルト78の表面の縮みが元に戻ったときに、該中間転写ベルト78上に一次転写されたトナー像(一次転写像)の、中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが伸びてしまう。
【0046】
また、図4に示すように、中間転写ベルト78の内周面が、一次転写手段としての一次転写バイアスローラ77の表面に掛け回されることによって、一次転写部が形成されている場合には、一次転写バイアスローラ77の表面の曲率によって、一次転写部における中間転写ベルト78の表面が伸びてしまう。このため、この場合には、感光体ドラム10上のトナー像が、表面が伸びた状態の中間転写ベルト78上に一次転写されることになる。この結果、この中間転写ベルト78の表面の伸びが元に戻ったときに、該中間転写ベルト78上に一次転写されたトナー像(一次転写像)の、中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが縮んでしまう。
【0047】
さらに、図5に示すように、中間転写ベルト78の内周面が、上記張架ローラ73の表面に掛け回されることによって、二次転写部が形成されている場合には、この張架ローラ73の表面の曲率によって、二次転写部における中間転写ベルト78の表面が伸びてしまう。このため、この場合には、中間転写ベルト78上に一次転写されたトナー像が、該中間転写ベルト78の表面が伸びた状態で転写紙82上に二次転写されることになる。この結果、該転写紙82上に二次転写された二次転写像の、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが伸びしまう。
【0048】
また、図6(a)、(b)に示すように、中間転写ベルト78の表面が、二次転写手段としての二次転写バイアスローラ81の表面に掛け回されることによって、二次転写部が形成されている場合には、この二次転写バイアスローラ81の表面の曲率によって、二次転写部における中間転写ベルト78の表面が縮んでしまう。このため、この場合には、中間転写ベルト78上に一次転写されたトナー像が、該中間転写ベルト78の表面が縮んだ状態で転写紙82上に二次転写されることになる。この結果、該転写紙82上に二次転写された二次転写像の、該中間転写ベルト回転方向と平行な向きの長さが縮んでしまう。
【0049】
このように、この種の画像形成装置においては、上記中間転写体から転写材に二次転写された二次転写像の縦横比が、像担持体上に形成する原稿画像の縦横比と大きく異なってしまうことがある。なお、ここでは、転写材上の二次転写像の縦横比に狂いが生じる原因として、該中間転写体としての中間転写ベルトの伸縮を例示したが、このような二次転写像の縦横比の狂いは、例えば、像担持体や中間転写体などの駆動系の精度や、像担持体への静電潜像の書き込み精度の低下によっても発生する。
【0050】
このような中間転写ベルト78の伸縮による画像への影響は、該中間転写ベルト78として、ベルト厚が厚くても150μm程度の薄い樹脂ベルトを用いている複写機では目立たなかった。しかし、上述のような弾性層78bを有する中間転写ベルト78は、その表面の弾性による効果を生かすために、ベルト全体の厚みが500μm〜2mmもある。このような厚みの大きな中間転写ベルト78の場合には、この中間転写ベルト78が感光体ドラム10や、二次転写バイアスローラ81などに巻き付けられたときの、表面(外周面)の曲率半径と、内周面の曲率半径との差が大きくなるため、その表面の伸縮による画像への影響も大きくなる。
【0051】
ここで、中間転写ベルト78は、例えば、図2に示すように、内周面側に厚みTtの芯体78aが設けられ、且つ表面側に弾性層78bが形成されており、全体の厚みがTbであるとする。そして、この中間転写ベルト78を、図3に示すように、直径φpcの感光体ドラム10の表面に、該弾性層78bが接触するように巻き付けて一次転写部を形成したとする。この場合、感光体ドラム10の表面と中間転写ベルト78の表面が等速で移動しているときには、感光体ドラム10の角速度は一定であるので、該中間転写ベルト78の芯体78aが設けられている伸縮しない内周面の表面速度Vtが、感光体ドラム10の表面速度Vよりも速くなる。
【0052】
この中間転写ベルト78の内周面の表面速度Vtと、感光体ドラム10の表面速度Vとの比は、中間転写ベルト78の内周面の曲率と感光体ドラム10の直径との単純な直径比で決まる。つまり、この中間転写ベルト78の内周面の表面速度Vtは、
Vt=V・Gt=V・(φPC+2・Tb−Tt)/(φPC)・・・(式1)となる。ここで、経験上、芯体78aは、その厚みTtの中心部分が伸縮しないものとして扱うことができる。
【0053】
そして、例えば、このような一次転写部において、感光体ドラム10から中間転写ベルト78の表面にトナー像が一次転写された場合、感光体ドラム10の表面から中間転写ベルト78の表面が離れて、中間転写ベルト78がまっすぐに伸びたときに、中間転写ベルト78の表面が芯体78aの部分と同速度Vtで移動することになる。この結果、中間転写ベルト78の表面に一次転写されたトナー像(一次転写像)が、上記(式1)から明らかなように、伸びることになる。
【0054】
一方、図4に示すように、上記一次転写部分の、感光体ドラム10の中間転写ベルト78を挟んで反対側に、直径φdの一次転写バイアスローラ77を設ける。そして、この一次転写バイアスローラ77の表面に中間転写ベルト78の内周面を巻き付けて、中間転写ベルト78の表面を感光体ドラム10の表面に接触させる。この場合には、図3に示した場合とは逆に、中間転写ベルト78の芯体78aが、一次転写バイアスローラ77の表面側に位置する。これにより、感光体ドラム10と等速で接触している中間転写ベルト78の表面速度Vs(=V)が、芯体78aの部分の速度Vtよりも速くなる。つまり、この中間転写ベルト78の内周面の表面速度Vtは、
Vt=V・(φd+Tt)/(φd+2・Tb)・・・(式2)
となる。
【0055】
そして、例えば、このような一次転写部において、感光体ドラム10から中間転写ベルト78の表面にトナー像が一次転写された場合、感光体ドラム10の表面から中間転写ベルト78の表面が離れて、中間転写ベルト78がまっすぐに伸びたときに、中間転写ベルト78の表面が芯体78aの部分と同速度Vtで移動することになる。この結果、中間転写ベルト78の表面に一次転写されたトナー像(一次転写像)が、上記(式2)から明らかなように、縮むことになる。
【0056】
また、図5に示すように、直径がφdの張架ローラ73の表面に、中間転写ベルト78を、芯体78a側が接するように巻き付けた場合には、該中間転写ベルト78の表面速度Vsは、
Vs=Vt・(φd+2・Tb)/(φd+Tt)・・・(式3)
となる。
つまり、この場合には、中間転写ベルト78の表面速度Vsが、中間転写ベルト78の芯体78aの部分の速度Vtよりも速くなり、転写紙82に二次転写されたトナー像(二次転写像)が、上記(式3)のように伸びることになる。
【0057】
さらに、図6(a)、(b)に示すように、上記二次転写ローラ81の表面に、中間転写ベルト78の表面が接触するように、中間転写ベルト78を巻き付けた場合には、図5に示した場合とは逆に、中間転写ベルト78の表面速度Vsが、中間転写ベルト78の芯体78aの部分の速度Vtよりも遅くなり、転写紙82に二次転写されたトナー像(二次転写像)が、縮むことになる。
【0058】
このように、弾性を有する表面を持つ中間転写ベルトを使用して、一次転写および二次転写を行った場合には、各転写部での中間転写ベルトのローラとの接触の仕方によって、転写像が伸縮する可能性があることがわかる。このような転写像の伸縮を防止する方法として、中間転写ベルトをローラなどに巻き付かせず、線接触の様なベルト表面がまっすぐな状態の部分に転写部を設けて、トナー像の転写を行う方法もあるが、この方法では転写部でのトナー像の転写が不安定になる。また、プロセスによっては、転写行程において、ある程度の時間(転写時間)が必要な場合があり、このようなプロセスでは転写部にニップが必要となる。
【0059】
以下、上述のように、弾性を有する表面を持つ中間転写ベルトの伸縮によって、転写紙に転写されたトナー像(二次転写像)の縦横比に狂いが発生しないようにするための構成について説明する。
【0060】
上記一次転写部で感光体ドラム10の表面速度Vと中間転写ベルト78の表面速度Vsとが一致(V=Vs)し、さらに二次転写部で中間転写ベルト78の表面速度Vsと転写紙82の表面速度Vkが一致(Vs=Vk)するように構成された複写機の場合には、感光体ドラム10上に形成するトナー像の縦横比を調整することで、転写紙82上の二次転写像の縦横比を等しくすることができる。
【0061】
すなわち、上記構成の複写機において、例えば、上記感光体ドラム10上に、感光体ドラム周方向(副走査方向)の長さがLとなるトナー像を形成し、何の調整もしないで該トナー像を転写紙82上に二次転写したところ、該転写紙82上の二次転写像の副走査方向の長さが(L+X)に伸びたとする。このような場合には、副走査方向の長さが(L−X)となるようなトナー像が、感光体ドラム10上に形成されるように、該トナー像の画像形成条件を設定する。これにより、転写紙82上の二次転写像の副走査方向の長さがLとなり、転写紙82上に縦横比の狂いのない画像を得ることができる。
【0062】
ここで、上述のように、感光体ドラム10上のトナー像の画像形成条件を設定する手法としては、該感光体ドラム10の表面速度Vを、転写紙82上の二次転写像の縦横比の伸縮の度合に応じて変更する。上記構成の複写機では、この感光体ドラム10の表面速度Vの変化に付随して、中間転写ベルト78の表面速度Vs、及び転写紙82の表面速度(搬送速度)Vkも順次変更される。
【0063】
これにより、例えば、上述のように、転写紙82上の二次転写像の副走査方向の長さが(L+X)に伸びた場合には、感光体ドラム10の表面速度Vが、該感光体ドラム10上に副走査方向の長さが(L−X)となるようなトナー像が形成されるように、変更される。この結果、転写紙82上の二次転写像の副走査方向の長さがLとなり、転写紙82上に所望の縦横比の画像が得られるようになる。
【0064】
この場合の他の手法としては、感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成する際に、該静電潜像の副走査方向の長さが(L−X)となるように、該静電潜像を予め縮小しておくようにしてもよい。この静電潜像を形成する方法としては、LDもしくはLEDなどを使用して、感光体ドラム10の表面にデジタル信号を書き込むデジタル方式や、原稿画像に光を当てることにより、該原稿画像の画像部の光が吸収され、地肌部(白色部)の光が散乱されることを利用して、該白色部の散乱光を感光体ドラム10の表面に露光するアナログ方式がある。デジタル方式では、所望の画像のデータを幾何学的に伸縮したデータを予め用意しておくか、LDなどの走査のタイミングを変更するなどの方法により、静電潜像の縦横比を変化させることができる。一方、アナログ式では、本来画像のスキャンスピードは感光体ドラムの表面の線速と合わせるのが原則で、実際の画像の縦横比と感光体ドラム上の静電潜像の縦横比とが等しくなるようにしている。従って、このアナログ式では、画像のスキャンスピードを変えることで、感光体ドラム10上に伸縮した潜像を作成することができる。
【0065】
ところで、上述したように、転写紙82上の二次転写像の縦横比が伸縮する原因の1つは、上記一次転写部での感光体ドラム10と中間転写ベルト78との線速、及び上記二次転写部での中間転写ベルト78と転写紙82との線速が、互いに一致するように構成されていることにある。つまり、感光体ドラム10と中間転写ベルト78と転写紙82とが、互いに同期回転している場合には、例えば、中間転写ドラム78の伸縮により縦横比に狂いが生じたトナー像が、そのまま転写紙82上に転写されるために、転写紙82上の二次転写像の縦横比の伸縮が起こっている。従って、上記一次転写時及び上記二次転写時に、トナー像が伸縮しないようにすれば、感光体上に形成されたトナー像が、そのままの縦横比で転写紙82上に転写されるようになる。
【0066】
そこで、上記二次転写部での中間転写ベルト78表面速度と転写紙82の表面速度とが一致する構成の複写機では、一次転写部での感光体ドラム10の表面速度と中間転写ベルト78の表面速度とを一致させずに、この感光体ドラム10の表面速度と中間転写ベルト78の表面速度との間に速度差を設けて、感光体ドラム10の表面と中間転写ベルト78の表面とをスリップさせる。これにより、感光体ドラム10上のトナー像の縦横比と、転写紙82上の二次転写像の縦横比とを、等しくすることが可能になる。
【0067】
これとは逆に、上記一次転写部での感光体ドラム10の表面速度と中間転写ベルト78の表面速度とが一致する構成の複写機の場合には、二次転写部での中間転写ベルト78の表面速度と転写紙82の表面速度とを一致させずに、この中間転写ベルト78の表面速度と転写紙82の表面速度との間に速度差を設けて、中間転写ベルト78の表面と転写紙82の表面とをスリップさせる。なお、この方法では、転写紙82の表面に微少な凹凸があるため、中間転写ベルト78の表面と転写紙82の表面とをスリップさせるのが難しい。しかし、例えば、複数の感光体ドラムを中間転写ベルトに接触配置してカラー画像を出力するタンデム型の複写機の場合、前者の方法では、一次転写箇所が多くなるため逆に負荷が増える。従って、このようなタンデム型の複写機の場合にはこの方法が望ましい。
【0068】
このように、前者は二次転写部での中間転写ベルト78表面速度と転写紙82の表面速度とを一致させ、後者は一次転写部での感光体ドラム10の表面速度と中間転写ベルト78の表面速度とを一致させておくだけで、速度の微調整をする必要がなく、簡便な構成となる。しかし、上記一次転写部あるいは二次転写部での線速差があまりに大きくなる場合には、上記スリップで線速差を起させることが難しくなり、画像も乱れやすくなる。そのようなときには、一次転写部と二次転写部との二カ所に、スリップするの箇所を分散して、線速差を起させやすくことが好ましい。
このように一次転写部及び二次転写部にスリップを生じさせると、画像が乱れやすくなるが、一次転写や二次転写での画像の伸縮の度合いが小さい場合には、大きな負荷にもなることなく画像の乱れも抑えられるので、画像の伸縮を簡単な方法により解消できる。
【0069】
ところで、図1に示した複写機においては、中間転写ベルト78の表面が伸びている状態で画像を受けると、該伸びが元に戻ったときに画像が縮まり、逆に中間転写ベルト78の表面が縮んでいる状態で画像を受けると、該伸びが元に戻ったときに画像が伸びることがわかる。この性質を利用して、感光体ドラム10から転写紙82に向けてトナー像が順次転写されていく間に、トナー像の伸縮を打ち消すように、転写ユニット70を構成することも可能である。
【0070】
すなわち、例えば、図7に示す転写ユニット70のように、感光体ドラム10から中間転写ベルト78にトナー像を一次転写する場合には、直径φt1の一次転写バイアスローラ77に中間転写ベルト78を巻き付けて、この一次転写後に一次転写像が縮まるようにする。そして、この縮まった一次転写像を転写材82二次転写する場合には、二次転写バイアスローラ81に対向する直径φt1dの張架ローラ73に巻き付けるようにして、転写紙82上の二次転写像が伸びるように構成する。
【0071】
このような構成の転写ユニット70では、一次転写を行う一次転写バイアスローラ77の直径φt1と、二次転写を行う二次転写バイアスローラ81の対向ローラである張架ローラ73の直径φt1dが略同径になるように設定することで、感光体ドラム10から転写紙82に向けてトナー像が順次転写されていく間に、トナー像の伸縮が打ち消しあうので、中間転写ベルト78の伸縮を気にせずに、感光体ドラム10上のトナー像の縦横比と転写紙82上の二次転写像の縦横比とを等しくすることができるようになる。
【0072】
なお、図7において、現像タンク102内の液体現像剤103は、該液体現像剤103に浸漬されている塗布ローラ104に付着して汲み上げられ、現像ベルト105上に均一の厚さに薄層化されて塗布される。感光体ドラム10と現像ベルト105とは、それぞれ矢印方向に等速で接触回転駆動されている。これにより、該現像ベルト105に塗布された液体現像剤の薄層が、感光体ドラム10上に形成された静電潜像に接触する。このとき、現像ベルト105上の液体現像剤は、感光体ドラム10上の静電潜像の電位が現像バイアスより低い領域では感光体ドラム10側へ移転し、静電潜像の電位よりも高い領域では感光体ドラム10側へ移動せずに現像ベルト105上に残留する。このようにして、感光体ドラム10上にトナー像が形成される。ここで、現像ベルト1050はローラ形状のものであっても良く、感光体ドラム10はベルト形状のものであっても良い。
【0073】
一方、図1に示した複写機も、上述のような中間転写ベルト78の性質を利用して、感光体ドラム10から転写紙82に向けてトナー像が順次転写されていく間に、トナー像の伸縮を打ち消すように、転写ユニット70が構成されている。この複写機では、上記一次転写で、直径φpcの感光体ドラム10に中間転写ベルト78を巻き付けるようにし、二次転写で、直径φt2の二次転写バイアスローラ81に中間転写ベルト78を巻き付けるようにしている。また、感光体ドラム10の直径φpcと、二次転写バイアスローラ81の直径φt2とが略同径になるように設定されている。これにより、図7に示した転写ユニット70の場合と同様に、感光体ドラム10から転写紙82に向けてトナー像が順次転写されていく間に、トナー像の伸縮が打ち消しあうので、中間転写ベルト78の伸縮を気にせずに、感光体ドラム10上のトナー像の縦横比と転写紙82上の二次転写像の縦横比とを等しくすることができるようになる。
【0074】
ところで、一般的に、人間の目で画像の縦横比が異なると判断できるのは、画像の縦横比が5%よりも大きく異なっている場合であると言われている。従って、画像の縦横比の狂いが5%以下であれば、画像の縦横の比が異なっていてもさほど違和感をなく受け止められる。
従って、画像の縦横比は正確であることが望ましいが、上述したような対策がコスト上昇を招く場合には、画像の縦横比の狂いが5%以下となるように、画像形成条件を設定するようにする。このようにすることで、例えば、上記中間転写ベルト78と感光体ドラム10との線速差をスリップで起させることが難しい場合や、画像書き込みのポリゴンミラーの回転周期の問題で感光体ドラム10への静電潜像の縦横比を正確に合わせられない場合に、画像の縦横比の狂いが5%以下に収まるような条件を見つけることで、あまりにコストをかけずに、必要十分な効果を得られるようになる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1乃至の発明によれば、原稿画像の縦横比と、転写材に転写された二次転写像の縦横比とが略等しくなるように、画像形成条件が設定されるので、例えば、中間転写体としての中間転写ベルトの伸縮によって、転写材上の二次転写像の縦横比に狂いが生じないようにできるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に複写機の構成例を示す概略構成図。
【図2】上記画像形成装置で用いられる中間転写ベルトの構成を示す部分拡大断面図。
【図3】上記中間転写ベルトの外周面が像担持体としての感光体ドラムの表面に掛け回された一次転写部の構成を示す該略図。
【図4】上記中間転写ベルトの内周面が一次転写手段としての一次転写ローラの表面に掛け回された一次転写部の構成を示す該略図。
【図5】上記中間転写ベルトの内周面が張架部材としての駆動ローラの表面に掛け回された二次転写部の構成を示す該略図。
【図6】(a)、(b)は、上記中間転写ベルトの外周面が二次転写手段としての二次転写ローラの表面に掛け回された二次転写部の構成を示す該略図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る湿式画像形成装置の構成例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1 画像形成部
10 感光体ドラム
60 感光体クリーニング装置
61 クリーニングブレード
78 中間転写ベルト
78a 中間転写ベルトの芯体
78b 中間転写ベルトの弾性層
79 中間転写体クリーニング装置
82 転写紙

Claims (4)

  1. 表面に書き込んだ静電潜像を帯電トナーにより現像してトナー像からなる画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
    上記像担持体としてドラム状のものを用いるとともに、上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、
    上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、上記弾性層が上記ドラム状の像担持体へ接触するように上記中間転写ベルトを上記ドラム状の像担持体に巻き付かせるとともに、上記像担持体の表面と上記中間転写ベルトの表面とが上記一次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、
    上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するように形成し、
    上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記ドラム状の像担持体の外径をφpc、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、
    Vs/V=〔(φpc+2Tb−Tt)/φpc〕・〔(φd2+2Tb)/(φd+Tt)〕
    で表せるVs/Vが1にならないような上記φpc、φd2、Tb、Ttの値を採用し、
    上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記静電潜像の書込み条件を設定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 表面に書き込んだ静電潜像を帯電トナーにより現像してトナー像からなる画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
    上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、
    上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、張架ローラである一次転写ローラに上記芯体側が接触するように該一次転写ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面が上記像担持体へ接触するとともに、上記像担持体の表面と上記中間転写ベルトの表面とが上記一次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、
    上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するように形成し、
    上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記一次転写ローラの外径をφd1、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、
    Vs/V=〔(φd1+Tt)/φd1+2Tb)〕・〔(φd2+2Tb)/(φd2+Tt)〕
    で表せるVs/Vが1にならないような上記φd1、φd2、Tb、Ttの値を採用し、
    上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記静電潜像の書込み条件を設定することを特徴とする画像形成装置。
  3. 表面に画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
    上記像担持体としてドラム状のものを用いるとともに、上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、
    上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、上記弾性層が上記ドラム状の像担持体へ接触するように上記中間転写ベルトを上記ドラム状の像担持体に巻き付かせて形成し、
    上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するとともに、上記中間転写ベルトの表面と上記転写材の表面とが上記二次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、
    上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記ドラム状の像担持体の外径をφpc、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、
    Vs/V=〔(φpc+2Tb−Tt)/φpc〕・〔(φd2+2Tb)/(φd+Tt)〕
    で表せるVs/Vが1にならないような上記φpc、φd2、Tb、Ttの値を採用し、
    上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記一次転写の領域での上記像担持体の表面速度と上記中間転写ベルトの表面速度との間に速度差を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 表面に画像が形成される像担持体と、該像担持体上の画像が一次転写される中間転写体と、該像担持体上の画像を一次転写部で該中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、該中間転写体に一次転写された一次転写像を二次転写部で転写材上に二次転写する二次転写手段とを有する画像形成装置において、
    上記中間転写体として非弾性体である芯体の表面に弾性層が設けられた中間転写ベルトを用い、
    上記像担持体から上記中間転写ベルトへの一次転写の領域を、張架ローラである一次転写ローラに上記芯体側が接触するように該一次転写ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面が上記像担持体へ接触ように形成し、
    上記中間転写ベルトから上記転写材への二次転写の領域を、張架ローラである二次転写対向ローラに上記芯体側が接触するように該二次転写対向ローラに巻き付いた中間転写ベルト部分の表面に上記転写材が接触するとともに、上記中間転写ベルトの表面と上記転写材の表面とが上記二次転写の領域で互いに等速移動するように形成し、
    上記像担持体の表面駆動速度をV、上記中間転写ベルトの芯体部分の移動速度をVt,上記二次転写の領域での上記中間転写ベルト部分表面移動速度をVs、上記一次転写ローラの外径をφd1、上記二次転写対向ローラの外径をφd2、上記中間転写ベルトの厚みをTb、上記中間転写ベルトの芯体の厚みをTtとしたとき、
    Vs/V=〔(φd1+Tt)/φd1+2Tb)〕・〔(φd2+2Tb)/(φd2+Tt)〕
    で表せるVs/Vが1にならないような上記φd1、φd2、Tb、Ttの値を採用し、
    上記Vs/Vが1と異なることにより、原稿画像の縦横比と上記該転写材に転写された二次転写像の縦横比との差分を生じないように、上記Vs/Vの値に応じて、上記一次転写の領域での上記像担持体の表面速度と上記中間転写ベルトの表面速度との間に速度差を設けたことを特徴とする画像形成装置。
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