JP4700803B2 - 振れ補正装置および光学機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ鏡筒、撮影装置および観察装置等の光学機器に搭載されるいわゆるシフト型の振れ補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在のカメラでは、露出決定やピント合わせ等、撮影にとって重要な作業はすべて自動化されてきており、カメラ操作に未熟の人でも撮影の失敗を起こす可能性は非常に少なくなっている。
【0003】
また、最近では、カメラに加わる手振れによる像振れを補正するシステムも研究されており、撮影者の撮影失敗を誘発する要因がより少なくなっている。
【0004】
ここで、手振れによる像振れを補正するシステムについて簡単に説明する。撮影時のカメラの手振れは、周波数として通常1Hz〜12Hz程度の振動であるが、シャッタのレリーズ時点においてこのような手振れを起こしていても像振れのない写真を撮影可能とするためには、基本的な考えとして上記手振れによるカメラの振動を検出し、その検出値に応じて補正レンズを光軸直交方向に変位させればよい。
【0005】
従って、手振れが生じても像振れを生じない写真を撮影可能とするためには、第1に、カメラの振動を正確に検出すること、第2に、カメラの振動による光軸変化を補正レンズを変位させて補正することが必要となる。
【0006】
この振動(カメラ振れ)の検出は、原理的にいえば、加速度,速度等を検出する振れ検出センサと、この振れ検出センサの出力信号を電気的あるいは機械的に積分して変位を出力する手段とをカメラに搭載することによって行うことができる。
【0007】
そして、この検出情報に基づいて、撮影光軸を変化させるべく搭載された振れ補正装置内のシフト部材(補正レンズやこの補正レンズを保持する保持枠等より構成される)を制御する(すなわち、補正レンズを変位させる)ことにより、像振れの補正が可能となる。
【0008】
ここで、振れ検出センサを用いた振れ補正装置について、図3を用いてその概要を簡単に説明する。図3には、図中の矢印101方向のカメラの縦(ピッチ方向)振れ101pおよびカメラの横(ヨー方向)振れ101yに起因する像振れを補正ないし抑制する装置の一例を示している。
【0009】
図3中、102はレンズ鏡筒である。103p,103yは各々カメラの縦振れ、横振れを検出する振れ検出センサであり、それぞれの振れ検出方向を104p,104yで示している。
【0010】
105はシフト部材であり、107p,107yはそれぞれシフト部材105に推力を与えるコイル、106p,106yはシフト部材105の位置を検出する検出素子である。シフト部材105は位置制御ループ内に配置されており、振れ検出センサ103p,103yの出力を目標値として駆動され、像面108での像安定を確保している。
【0011】
上記のような振れ補正装置を具備したカメラ等の光学機器に用いられる振れ補正装置は、本出願人より種々提案されており、その中には、シフト部材の光軸に対する倒れを抑えて光学性能の悪化を防止する構成も種々提案されている。例えば、特開平10−26783号公報には、押圧部材とばねによりシフト部材の倒れを抑える構成が提案されている。
【0012】
ここで、図4には、上記特開平10−026783号公報にて提案の振れ補正装置と同様に、シフト部材の倒れを抑えるようにした従来の振れ補正装置の構成を示している。この図において、201は補正レンズLを保持している支持枠であり、シフト駆動用のコイル203がピッチ方向、ヨー方向の2箇所に一体的に設けられている。
【0013】
支持枠201のフランジ部には、第1の押圧部材209が挿入される第1の穴部201aと、第2の押圧部材210およびばね211が挿入される第2の穴部201cが周方向3箇所に形成されている。
【0014】
また、支持枠201のレンズ保持部の外周には、嵌合突起201dが周方向3箇所ないし4箇所設けられており、後述するロックリング208の内周嵌合部208aと所定の角度位相で嵌合する。
【0015】
202は不図示のレンズ鏡筒などに取り付けられる地板であり、この地板202には、第1のヨーク204と第2のヨーク205がビスによって固定されている。また、地板202の内周部に設けられた嵌合突起202aには、ロックリング208の嵌合部208bが嵌合している。
【0016】
203はピッチ方向における1箇所およびヨー方向における1箇所に設けられたコイルであり、これらコイル203は不図示の駆動回路に電気的に接続される。
【0017】
204,205はヨークであり、それぞれピッチ方向、ヨー方向の駆動方向に応じて地板202にビスにより固定されている。206,207はマグネットであり、ヨーク204,205に磁気結合している。これら対向しているマグネットとコイルによって構成される駆動手段のコイル203に通電することによって、補正レンズLおよび支持枠201からなるシフト部材がピッチ方向およびヨー方向に駆動され、像振れが補正される。
【0018】
208はロックリングであり、不図示の駆動回路により回転駆動され、所定の角度位相に駆動されたときに、このロックリング208の内周嵌合部208aが嵌合突起201dと嵌合し、支持枠201を中心位置にロックする。また、ロックリング208の内周嵌合部208aが嵌合突起201dとの角度位相からずれた位置に駆動されたときには、支持枠201がシフト移動できるようになっている。
【0019】
第1の押圧部材209は、その底面が支持枠201に設けられた穴部201aの底面201bに突き当たるように挿入され、その球状の先端部がヨーク205に突き当たるように構成されている。これにより、支持枠201とヨーク205との光軸方向間隔が一定に保たれる。
【0020】
第2の押圧部材210は、第1の押圧部材209との間に挿入されたばね211の付勢力によって、その球状の先端部がヨーク204に突き当たるように構成されている。ばね211の付勢力を適正な値に設定することにより、シフト部材の倒れを抑えることができる。
【0021】
また、特開平11−64916号公報には、リテーナーを使用してボールを転動させるように構成し、シフト部材の倒れを抑えるとともにシフト駆動負荷を低減させるようにしたものが提案されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−26783号公報にて提案の振れ補正装置や図4に示した振れ補正装置では、シフト部材がシフト駆動される際に、押圧部材とヨーク間で滑り摩擦力が発生し、この滑り摩擦力の影響によりシフト部材の駆動性能が悪化するという問題がある。
【0023】
また、シフト駆動性能を悪化させないようにばねによる付勢力(押圧部材のヨークに対する加圧力)を小さくしてしまうと、シフト部材に倒れが生じ易くなってしまうため、その加圧力を適正に設定することが困難である。
【0024】
また、上記特開平11−64916号公報にて提案の振れ補正装置では、ボールと固定部材間ではシフト駆動時に発生する摩擦力は転がり摩擦力となるものの、ボールとリテーナー間に滑り摩擦力が発生し、この滑り摩擦力がシフト駆動性能を悪化させてしまうという問題がある。
【0025】
そこで本発明は、シフト部材をガタなく保持およびシフト案内することができるとともに、シフト駆動時に発生する摩擦力を小さくすることで、シフト駆動性能が極めて良好な振れ補正装置を提供することを目的としている。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、像振れを補正するために光軸直交方向にシフト駆動されるシフト部材を有する振れ補正装置において、リング状に形成されシフト部材の外周に嵌合し、シフト部材と光軸直交方向に一体的に移動し、かつシフト部材に対して光軸方向に移動可能に保持された可動部材と、この可動部材およびシフト部材における各光軸直交面と、可動部材とシフト部材との間に各光軸直交面に対向して配置される固定部材の光軸直交面との間にそれぞれ配置され、固定部材に対するシフト部材のシフト駆動によって転動可能なボールと、可動部材とシフト部材との間に設けられ、可動部材およびシフト部材における各光軸直交面によりボールを固定部材側に付勢する力を発生する付勢部材とを設けている。
【0027】
これにより、シフト部材がシフト駆動すると、可動部材およびシフト部材と固定部材との間でボールが転動するので、可動部材およびシフト部材と固定部材との間に発生する摩擦力は、滑り摩擦力に比べて小さな転がり摩擦力のみとなる。このため、シフト部材の倒れを確実に防止できるよう、付勢部材による付勢力を十分強くしても、良好なシフト駆動性能を確保することが可能である。
【0028】
ここで、付勢部材によって直接ボールを付勢する(付勢部材とボールとを直接、接触させる)のではなく、付勢部材とボールとの間にボールが転動する面(光軸直交面)を有する可動部材を介在させることで、ボールと付勢部材との間に滑り摩擦が生じることを防止している。
【0029】
しかも、固定部材を装置本体に固定された、シフト部材の駆動手段を構成するヨークとすることにより、ボールを転動させるための専用の固定部材を設ける必要がなくなり、ボールの配置自由度も大きくなる。
【0031】
具体的には、例えば、ヨークを挟んで光軸方向両側に、シフト部材および可動部材における光軸直交面を配置し、ヨークと可動部材との間およびヨークとシフト部材との間にそれぞれ転動可能にボールを配置して、付勢部材の引張り変形により生じた付勢力によってヨークと可動部材との間およびヨークとシフト部材との間でボールを挟持する構成とすることにより、光軸方向前後からヨークを挟み込むかたちでシフト部材を光軸直交方向にガイドすることが可能となり、より安定的にシフト部材の倒れを防止することが可能となる。
【0032】
さらに、シフト駆動中等においてボールが適正な転動範囲から逸脱しないように、可動部材やシフト部材に、ボールと当接してボールの転動範囲を制限するための転動制限部を形成することにより、ヨークに転動制限部を形成するための加工を施す必要がなくなり、コストアップを抑えて上記目的を達成することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態である振れ補正装置の断面構成を示している。この振れ補正装置は、レンズ鏡筒や、静止画および動画撮影装置や、双眼鏡・望遠鏡等の観察装置その他の光学機器に搭載されるものである。
【0034】
図1において、1は補正レンズLを保持する支持枠(シフト部材)であり、この支持枠1には、シフト駆動力を発生するシフト駆動用のコイル3がピッチ方向の1箇所およびヨー方向の1箇所(図示せず)にそれぞれ一体的に設けられている。
【0035】
なお、図1は振れ補正装置のピッチ方向断面を示しており、コイル3を含む後述するピッチ方向駆動手段と同様に構成されるヨー方向駆動手段は省略している。
【0036】
支持枠1における補正レンズ保持部の外周に形成されたフランジ部には、第1のボール11が収容される第1の凹部1aと、後述する可動部材10および圧縮コイルばね(付勢部材)9が挿入される第2の凹部1cとが、互いに光軸方向反対側に向かって開口するよう、周方向3箇所に設けられている。このフランジ部は、後述するヨーク(固定部材)4,5の間に配置され、凹部1a,1cはそれぞれヨーク4,5に対向している。
【0037】
また、補正レンズ保持部の外周には、嵌合突起1dが周方向3箇所又は4箇所に設けられており、後述するロックリング8の内周嵌合部8aと所定の角度位相で嵌合するようになっている。
【0038】
2は不図示のレンズ鏡筒などに取り付けられる地板(装置本体)である。この地板2の前端には第1のヨーク4がビスにより固定され、地板2の後壁の前面には第2のヨーク5がビスによって固定されている。支持枠1に設けられたコイル3は、これらヨーク4,5の間に配置される。なお、コイル3は、不図示の駆動回路に電気的に接続されている。また、ヨーク4,5はそれぞれピッチ駆動方向に延びる略平板リング形状に形成されている。
【0039】
また、地板2の内周部には嵌合突起2aが形成されており、この嵌合突起2aには、ロックリング8の嵌合部8bがロックリング8の光軸回りでの回転を許容するよう嵌合している。
【0040】
6,7はマグネットであり、ヨーク4,5に磁気結合している。これら互いに対向配置されたヨーク4,5、マグネット6,7およびコイル3により、支持枠1をピッチ方向に駆動するピッチ方向駆動手段が構成され、コイル3に通電することによって補正レンズLを保持した支持枠1がピッチ方向に駆動される。また、同様に、ヨー方向についても、不図示のコイルに通電することにより支持枠1がヨー方向に駆動される。
【0041】
そして、レンズ鏡筒や撮影装置又は観察装置に設けられた、ピッチ方向振れおよびヨー方向振れを検出する不図示の振れ検出センサからの出力に基づいて、不図示の制御回路がコイルへの通電制御を行い、手振れ等に起因する像面のピッチ方向およびヨー方向への変位を抑えるように支持枠1をピッチ方向およびヨー方向にシフト駆動することにより、像振れが補正される。
【0042】
ロックリング8は不図示の駆動回路により光軸回りで回転駆動され、所定の角度位相に駆動されたときには、支持枠1に形成された嵌合突起1dとこのロックリング8の内周嵌合部8aとが嵌合し、支持枠1が中心位置(補正レンズLの光軸が、レンズ鏡筒等における他のレンズ群の光軸に一致する位置)にロックされる。
【0043】
また、ロックリング8の内周嵌合部8aと嵌合突起1dとの角度位相がずれた位置にロックリング8が回転駆動されることにより、支持枠1のシフト駆動が許容される。
【0044】
可動部材10は、支持枠1に設けられた第2の凹部1cに光軸方向に移動可能に挿入保持されている。この可動部材10におけるヨーク5側には凹部10aが形成されており、この凹部10a内には第2のボール12が収容されている。
【0045】
圧縮コイルばね9は、圧縮変形された状態で支持枠1のフランジ部に形成された凹部1cの底面(光軸方向前端面)と可動部材10との間に配置されており、可動部材10を介して第2のボール12を、対向配置された第2のヨーク5側に付勢している。
【0046】
これにより、第2のボール12は、可動部材10の凹部10aの底面である光軸直交面10bと第2のヨーク5の前面である光軸直交面とに圧接し、さらに圧縮コイルばね9による可動部材10の付勢反力によって、第1のボール11は、支持枠1の第1の凹部1aの底面である光軸直交面1bと第1のヨーク4の後面である光軸直交面とに圧接する。つまり、第1のボール11は支持枠1と第1のヨーク4との間に加圧挟持され、第2のボール12は可動部材10と第2のヨーク5との間に加圧挟持される。
【0047】
このように構成された振れ補正装置では、支持枠1のシフト駆動時に発生する支持枠1および可動部材10とヨーク4,5との間の摩擦力は、滑り摩擦力に比べて十分小さい転がり摩擦力となるため、圧縮コイルばね9の付勢力(弾性力)を支持枠1(補正レンズL)の倒れを確実に抑えられる十分強い力に設定しても、極めて良好なシフト駆動性能を確保することができる。したがって、制御回路からのコイル3への通電制御による支持枠1の微小駆動制御(精細な振れ補正制御)を行うことができ、例えば小サイズ化および大画素数化が進んでいる最近の撮像素子による振れのない画像の撮影にも対応することができる。
【0048】
ここで、圧縮コイルばね9によって直接、第2のボール12を付勢する(圧縮コイルばね9と第2のボール12とを直接、接触させる)のではなく、圧縮コイルばね9と第2のボール12との間にこのボール12が転動する面10bを有する可動部材10を介在させることで、第2のボール12と圧縮コイルばね9との間に滑り摩擦が生じることを防止できる。
【0049】
しかも、ボール11,12が転動する面をヨーク4,5の面とすることにより、ボール11,12を転動させるための専用の固定部材を設ける必要がなくなり、部品点数の減少や装置重量の軽減を図ることができ、ボール11,12の配置自由度も大きくすることができる。
【0050】
また、支持枠1のシフト駆動中等において、ボール11,12が適正な転動範囲から逸脱しないように、支持枠1および可動部材10に凹部1a,10aを形成し、この凹部1a,10a内にボール11,12を収容した上で、凹部1a,10aの底面以外の周面(転動制限部)によってボール11,12の転動範囲を制限しているので、ヨーク4,5に転動制限部を形成するための加工を施す必要がなくなり、コストアップを抑えることができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、支持枠1をヨーク4,5間に本来必要な幅内でピッチ方向およびヨー方向にガイドすることができ、しかも光軸方向前後で支持枠1をピッチ方向およびヨー方向にガイドすることができるので、光軸方向の厚みが薄い振れ防止装置を実現することができるとともに、より安定的に支持枠1の倒れを防止することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、付勢部材として圧縮コイルばね9を使用した場合について説明したが、上記構成では付勢力を十分強くしてよいため、ゴムなどのばね以外の付勢部材ないし弾性部材を使用してもよい。
【0053】
(第2実施形態)
図2には、本発明の第2実施形態である振れ補正装置の断面構成を示している。この振れ補正装置は、レンズ鏡筒や、静止画および動画撮影装置や、双眼鏡・望遠鏡等の観察装置に搭載されるものである。
【0054】
図2において、21は補正レンズLを保持する支持枠(シフト部材)であり、この支持枠21には、シフト駆動力を発生するシフト駆動用のコイル23がピッチ方向の1箇所およびヨー方向の1箇所(図示せず)にそれぞれ一体的に設けられている。
【0055】
なお、図2は振れ補正装置のピッチ方向断面を示しており、コイル23を含む後述するピッチ方向駆動手段と同様に構成されるヨー方向駆動手段は省略している。
【0056】
支持枠21における補正レンズ保持部の外周に形成されたフランジ部には、第1のボール31が収容される凹部21aと、後述する可動部材30および引張りコイルばね(付勢部材)29の一端が掛けられるばね掛け部21eとがそれぞれ周方向3箇所に設けられている。このフランジ部は、後述する第1のヨーク(固定部材)24の光軸方向後方に配置され、凹部21aは第1のヨーク24に対向している。
【0057】
また、補正レンズ保持部の外周には、嵌合突起21dが周方向3箇所又は4箇所に設けられており、後述するロックリング28の内周嵌合部28aと所定の角度位相で嵌合するようになっている。
【0058】
22は不図示のレンズ鏡筒などに取り付けられる地板(装置本体)である。この地板22の前端には第1のヨーク24がビスにより固定され、地板22の後壁の前面には第2のヨーク25がビスによって固定されている。支持枠21に設けられたコイル23は、これらヨーク24,25の間に配置される。なお、コイル23は、不図示の駆動回路に電気的に接続されている。また、ヨーク24,25はそれぞれピッチ駆動方向に延びる略平板リング形状に形成されている。
【0059】
また、地板22の内周部には嵌合突起22aが形成されており、この嵌合突起22aには、ロックリング28の嵌合部28bがロックリング28の光軸回りでの回転を許容するよう嵌合している。
【0060】
26,27はマグネットであり、ヨーク24,25に磁気結合している。これら互いに対向配置されたヨーク24,25、マグネット26,27およびコイル23により、支持枠21をピッチ方向に駆動するピッチ方向駆動手段が構成され、コイル23に通電することによって補正レンズLを保持した支持枠21がピッチ方向に駆動される。また、同様に、ヨー方向についても、不図示のコイルに通電することにより支持枠21がヨー方向に駆動される。
【0061】
そして、レンズ鏡筒や撮影装置又は観察装置に設けられた、ピッチ方向振れおよびヨー方向振れを検出する不図示の振れ検出センサからの出力に基づいて、不図示の制御回路がコイルへの通電制御を行い、手振れ等に起因する像面のピッチ方向およびヨー方向への変位を抑えるように支持枠21をピッチ方向およびヨー方向にシフト駆動することにより、像振れが補正される。
【0062】
ロックリング28は不図示の駆動回路により光軸回りで回転駆動され、所定の角度位相に駆動されたときには、支持枠21に形成された嵌合突起21dとこのロックリング28の内周嵌合部28aとが嵌合し、支持枠21が中心位置(補正レンズLの光軸が、レンズ鏡筒等における他のレンズ群の光軸に一致する位置)にロックされる。
【0063】
また、ロックリング28の内周嵌合部28aと嵌合突起21dとの角度位相がずれた位置にロックリング28が回転駆動されることにより、支持枠21のシフト駆動が許容される。
【0064】
可動部材30は、リング状に形成され、その内周部が支持枠21のレンズ保持部の外周に嵌合し、光軸方向に移動可能に保持されている。
【0065】
この可動部材30における第1のヨーク24側には凹部30aが形成されており、この凹部30a内には第2のボール32が収容されている。
【0066】
引張りコイルばね29は、引張変形された状態で支持枠21のバネ掛け部21eと可動部材30に形成されたバネ掛け部30cとの間に掛け渡されており、可動部材30を介して第2のボール32を、対向配置された第1のヨーク24側に付勢している。
【0067】
これにより、第2のボール32は、可動部材30の凹部30aの底面である光軸直交面30bと第1のヨーク24の前面である光軸直交面とに圧接し、さらに第1のボール31は、支持枠21の凹部21aの底面である光軸直交面21bと第1のヨーク24の後面である光軸直交面とに圧接する。つまり、第1のボール31は支持枠21と第1のヨーク24との間に加圧挟持され、第2のボール32は可動部材30と第1のヨーク24との間に加圧挟持される。
【0068】
このように構成された振れ補正装置では、支持枠21のシフト駆動時に発生する支持枠21および可動部材30と第1のヨーク24との間の摩擦力は、滑り摩擦力に比べて十分小さい転がり摩擦力となるため、引張りコイルばね29の付勢力(弾性力)を支持枠21(補正レンズL)の倒れを確実に抑えられる十分強い力に設定しても、極めて良好なシフト駆動性能を確保することができる。したがって、制御回路からのコイル23への通電制御による支持枠21の微小駆動制御(精細な振れ補正制御)を行うことができ、例えば小サイズ化および大画素数化が進んでいる最近の撮像素子による振れのない画像の撮影にも対応することができる。
【0069】
ここで、ばねによって直接、第2のボール32を付勢する(ばねと第2のボール32とを直接、接触させる)のではなく、引張りコイルばね29と第2のボール32との間にこのボール32が転動する面30bを有する可動部材30を介在させることで、ばねと第2のボール32との間に滑り摩擦が生じることを防止できる。
【0070】
しかも、ボール31,32が転動する面を第1のヨーク24の面とすることにより、ボール31,32を転動させるための専用の固定部材を設ける必要がなくなり、部品点数の減少や装置重量の軽減を図ることができ、ボール31,32の配置自由度も大きくすることができる。
【0071】
また、支持枠21のシフト駆動中等において、ボール31,32が適正な転動範囲から逸脱しないように、支持枠21および可動部材30に凹部21a,30aを形成し、この凹部21a,30a内にボール31,32を収容した上で、凹部21a,30aの底面以外の周面(転動制限部)によってボール31,32の転動範囲を制限しているので、第1のヨーク24に転動制限部を形成するための加工を施す必要がなくなり、コストアップを抑えることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、第1のヨーク24を前後から挟み込むかたちで支持枠21を光軸直交方向にガイドすることができるので、より安定的に支持枠21の倒れを防止することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態では、支持枠1,21に補正レンズLを保持し、支持枠1,21をピッチ方向およびヨー方向に駆動することで光軸をシフトさせ、像面の光軸直交面内での変位を抑制する場合について説明したが、支持枠にCCD等の撮像素子を保持させ、この支持枠をピッチ方向およびヨー方向に駆動することで撮像素子上での像面位置の変位を抑制するようにしても像振れ補正が可能である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シフト部材がシフト駆動すると、シフト部材および可動部材と固定部材との間でボールが転動するので、これらの間に発生する摩擦力を、滑り摩擦力に比べて小さな転がり摩擦力のみとすることができる。したがって、シフト部材の倒れを確実に防止できるよう付勢部材による付勢力を十分に強くしても、良好なシフト駆動性能を確保することができる。ここで、付勢部材によって直接ボールを付勢する(付勢部材とボールとを直接、接触させる)のではなく、付勢部材とボールとの間にボールが転動する面(光軸直交面)を有する可動部材を介在させることで、ボールと付勢部材との間に滑り摩擦が生じることを防止できる。
【0075】
しかも、固定部材を装置本体に固定された、シフト部材の駆動手段を構成するヨークとすることにより、ボールを転動させるための専用の固定部材を設ける必要がなくなり、ボールの配置自由度も大きくすることができる。
【0076】
また、ヨークおよび磁石がコイルの光軸方向両側にそれぞれ対となって配置されている場合に、シフト部材のうち光軸方向両側のヨークの間に配置された部分に可動部材を保持させ、一方のヨークと可動部材との間および他方のヨークとシフト部材との間にそれぞれボールを配置して、付勢部材の圧縮変形により生じた付勢力によって上記一方のヨークと可動部材との間および他方のヨークとシフト部材との間でボールを挟持する構成とすれば、2つのヨークに本来必要な幅内で、しかも光軸方向前後でシフト部材を光軸直交方向にガイドすることができ、光軸方向の厚みが薄く、より安定的にシフト部材の倒れを防止することができる。
【0077】
また、ヨークを挟んで光軸方向両側に、シフト部材および可動部材における光軸直交面を配置し、ヨークと可動部材との間およびヨークとシフト部材との間にそれぞれボールを配置して、付勢部材の引張り変形により生じた付勢力によってヨークと可動部材との間およびヨークとシフト部材との間でボールを挟持する構成とすれば、光軸方向前後からヨークを挟み込むかたちでシフト部材を光軸直交方向にガイドすることができ、より安定的にシフト部材の倒れを防止することができる。
【0078】
さらに、シフト駆動中等においてボールが適正な転動範囲から逸脱しないように、可動部材やシフト部材(シフト部材と固定部材との間にもボールが配置されている場合)に、ボールと当接してボールの転動範囲を制限するための転動制限部を形成すれば、固定部材(ヨーク)に転動制限部を形成するための加工を施す必要がなくなり、コストアップを抑えて上記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である振れ補正装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態である振れ補正装置の断面図である。
【図3】振れ検出センサを用いた一般的な振れ補正装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】従来の振れ補正装置の構成を示す要部断面図である。
【符号の説明】
L 補正レンズ
1,21 支持枠(シフト部材)
2,22 地板(装置本体)
3,23 コイル
4,5,24,25 ヨーク(固定部材)
6,7,26,27 マグネット
8,28 ロックリング
9,29 コイルばね
10,30 可動部材
11,12,31,32 ボール
Claims (5)
- 像振れを補正するために光軸直交方向にシフト駆動されるシフト部材を有する振れ補正装置であって、
リング状に形成され前記シフト部材の外周に嵌合し、前記シフト部材と光軸直交方向に一体的に移動し、かつ前記シフト部材に対して光軸方向に移動可能に保持された可動部材と、
前記可動部材および前記シフト部材における各光軸直交面と、前記可動部材と前記シフト部材との間に前記各光軸直交面に対向して配置される固定部材の光軸直交面との間にそれぞれ配置され、前記固定部材に対する前記シフト部材のシフト駆動によって転動可能なボールと、
前記可動部材と前記シフト部材との間に設けられ、前記可動部材および前記シフト部材における前記各光軸直交面により前記ボールを前記固定部材側に付勢する力を発生する付勢部材と、を有することを特徴とする振れ補正装置。 - 装置本体に設けられたヨークおよび磁石と、前記シフト部材に設けられたコイルとから前記シフト部材のシフト駆動力を発生する駆動手段が構成されており、
前記固定部材が前記ヨークであることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正装置。 - 前記ヨークを挟んで光軸方向両側に、前記シフト部材および前記可動部材における前記光軸直交面が位置しており、
前記ヨークと前記可動部材との間および前記ヨークと前記シフト部材との間にそれぞれ前記ボールを配置し、
前記付勢部材の引張り変形により生じた付勢力によって、前記ヨークと前記可動部材との間および前記ヨークと前記シフト部材との間でそれぞれ前記ボールを挟持することを特徴とする請求項2に記載の振れ補正装置。 - 前記可動部材および前記シフト部材に、前記ボールと当接して前記ボールの転動範囲を制限するための転動制限部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の振れ補正装置。
- 請求項1から4のいずれか1つに記載の振れ補正装置を備えたことを特徴とする光学機器。
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