以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図14は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明の第1の実施の形態の内視鏡用収納ケースを内視鏡を収納した状態で示し、図2は下部緩衝材を形成する板状部材を示し、図3は図2の板状部材から形成される下部緩衝材を示し、図4は上部緩衝材を示し、図5は下部緩衝材と上部緩衝材とを結合した状態を示し、図6は第1の実施の形態に収納される内視鏡を示し、図7は図6のユニバーサルコード部分の構造を示し、図8は挿入部の先端側を保護する保護部材を示し、図9は下部緩衝材で内視鏡を保持するように配置した具体例を示し、図10は内視鏡装置の送気・送水・吸引系の構成及び多機能スイッチを示し、図11は湾曲部付近の構造を示し、図12は内視鏡の先端面を示し、図13は内視鏡の先端部の構造を示し、図14は撮像ユニットの構造を示す。
図1に示すように本発明の第1の実施の形態の内視鏡用収納ケース1は収納空間を備えた箱状のケース本体2と、このケース本体2に内装される内装材を構成する下部緩衝材3と、この下部緩衝材3を切り欠き、起立或いは立設して形成した保持片4を通す開口5が設けられた上部緩衝材6とを有し、内視鏡7は下部緩衝材3から起立させた保持片4の中央の保持用凹部4Aに挟持されて弾性的に位置決めして保持され、かつその上部から上部緩衝材6が開口5に保持片4を通すようにして、保持片4が倒れるのを防止して起立した状態を保持する保持手段で保持している。なお、図1では上部緩衝材6側を下部緩衝材3から離脱した状態で示している。
このケース本体2は例えば上側が開口し、この開口は後端側で連結しているケース上蓋8で閉じることができるようにしている。このケース上蓋8の前側側面には取手9が設けてあり、ケース上蓋8でケース本体2の開口を閉じるように上側から被せ、ケース本体2の前側の側面に設けた取手孔10に取手9を通すことにより、ケース上蓋8が開くのを防止してケース本体2の収納用開口を閉じることができるようにしている。外装材としてのこのケース本体2は例えば低コストで製造でき、再生紙の原料にもなるし、可燃性材料でもある段ボール紙で構成されている。
このケース本体2に収納され、内視鏡7を保持する下部緩衝材3は図2に示すような板状の下部緩衝材形成用部材(単に、形成用部材と略記)3′をその両端側の折り曲げ線11に沿って矢印A、Bで示すように直角に折り曲げて両端を起立させることにより図3に示す周囲折り曲げ片12と、さらに図2の形成用部材3′の複数箇所に設けたU字形状の保持片形成用切り込み13の該U字の底部(或いは保持片形成用切り込み13の基端)の折り曲げ線14から矢印Cで示すように直角に折り曲げて起立させることにより図3に示すように板状部材から突出してU字状の保持片4が形成された下部緩衝材3に簡単に加工できるようにしている。
この場合起立したU字状の保持片4の中央の凹部4Aに内視鏡7の各部を押し込んで挟持させるようにして内視鏡7ががたつかないようにほぼ位置決めした状態で弾性的に保持し、振動等に対して緩衝材で保持する機能を備えた保持部を形成している。
上部緩衝材6も板状の上部緩衝材形成用部材(図示略)から簡単な加工により形成できる。つまり、形成用部材3′の場合と同様に上部緩衝材形成用部材をその両端側の折り曲げ線に沿って直角に折り曲げて両端を起立させることにより図4に示す周囲折り曲げ片12′と、下部緩衝材3のU字状の保持片4が起立する位置に切り欠き孔を設けることにより形成される図4に示す開口5とを有する上部緩衝材6とを簡単な加工で形成できる。
そして、下部緩衝材3の保持片4に上部緩衝材6の開口5を通した結合状態を図5に示す。そして、この状態の内装材はその梱包材(或いは外装材)としてのケース上蓋8と一体化されたケース本体2の中に収納される。
本実施の形態では下部緩衝材3の形成部材3′と上部緩衝材6の形成部材とは、例えば低コストで製造でき、再生紙の原料にもなるし、可燃性材料でもある段ボール紙である。
内視鏡7を収納保持する場合には、図5の下部緩衝材3と上部緩衝材6との間に内視鏡7が配置され、その場合、保持片4の凹部4Aで内視鏡7の各部が部分的に位置決め保持された状態で保持されることになる。
図6はこの内視鏡用収納ケース1に収納される内視鏡7を示す。この内視鏡7は細長で軟性の挿入部16と、この挿入部16の後端に設けられた操作部17と、この操作部17から延出された軟性のユニバーサルコード18とを有し、このユニバーサルコード18の先端には光源装置に着脱自在で接続されるコネクタ19が設けてある。
挿入部16は先端に設けられた硬質の先端部20と、この先端部20の後端に設けられれた湾曲自在の湾曲部21と、この湾曲部21の後端に設けられた軟性の軟性管部22とからなり、この軟性管部22の後端は操作部17と接続リング23を介して連結され、この軟性管部22の後端に折れ止め部24を設けて折れを防止している。
また、操作部17を形成する操作部本体25の前部側には、術者が把持する把持部26が設けられ、その後端側に把持した手で操作することができる位置に前記湾曲部21を湾曲操作する湾曲操作ノブ27a,27bと、ジョイスティック型の多機能スイッチ28とが設けられている。そして、湾曲操作ノブ27a,27bを回動操作することにより、湾曲部21を上下、左右に湾曲させることができる。
また、この内視鏡7では送気、送水、吸引機能のオン/オフとフリーズ,レリーズ等のオン/オフを操作する多数のスイッチを設けないで、これらの機能(つまり、送気、送水、吸引機能のオン/オフとフリーズ,レリーズ等のオン/オフを操作する機能)をジョイスティック型の多機能スイッチ28で操作できるようにしている。そして、操作部17の軽量、コンパクト化とコスト低減化の効果を得られるようにしている。
また、操作部17の前端付近には処置具を挿入する処置具挿入口29が設けてある。軟性管部22の後端の操作部17との連結部分に折れ止め部24を形成したのと同様にユニバーサルコード18の基端の操作部17への連結部は折れ止め部30を設けて接続リング31で操作部17に連結固定している。また、このユニバーサルコード18の先端に設けたコネクタ19との連結部も折れ止め部32を設けて接続リング33でコネクタ19に連結固定している。
この内視鏡7では折れ止め部24,30,32は全て同じ形状をした共通の折れ止め部材で構成され、コスト低減化している。なお、軟性管部22の太さの違い等により折れ止め部24と、折れ止め部30,32との共通化が難しい時は、折れ止め部30,32のみ共通にしてもよい。つまり、少なくとも2つの折れ止め部を共通化してコスト低減化する。この時も、連結リング23,31,33は共通にすればさらによい。(共通化によりコスト低減化できる。)このユニバーサルコード18部分の構造をねじりに対して復帰し易い構造にして術者が内視鏡検査する場合にねじれた状態のために邪魔になることを解消できるように、図6の符号Dで示す部分の断面構造を図7(A)に示すようにフレックス18a+樹脂チューブ18bにしたり、又は図7(B)に示すようにブレード18c+樹脂チューブ18bとした。
又、樹脂チューブ18bも十分な軟性を有し、かつねじりに対し、復帰し易いフレキシビリティのあるウレタン、シリコン等のエラストマ等の材質にした。このようにすることにより、ユニバーサルコード18部分を内視鏡検査中に検査の邪魔にならないように自由自在に屈曲でき、ねじりが発生しても十分なフレキシビリティを備えているので、そのねじりを解消できる。なお、ユニバーサルコード18部分を自由自在にねじることが可能な材質で構成してもよい。
また、本実施の形態では、内視鏡7が損傷を受ける可能性がある部分に対しては図8に示すような保護部材34で覆うようにして収納保持するようにしている。
この保護部材34は図8(A)に示すようにシート状の保護部材34を例えば挿入部16の外周面に巻き付けるようにして覆うことにより図8(B)のようにして、例えば挿入部16の先端側の全周を覆うようにしてこの保護部材34で保護して損傷を防止できるようにしている。なお、保護部材34はシート状のものを巻き付けるようにしたものに限らず、筒状のものでも良い。
又、内視鏡7の挿入部16の先端部20内に配置される固体撮像素子等の電子部品が静電気で破壊される等の損傷を防止するために保護部材34を導電性又は非帯電性材料で形成するかして静電気の帯電を防止したり、保護部材34をアミン系界面活性剤等の静電防止剤を塗布した紙等を用いるようにする等して電子部品を静電気による破壊等から防止する機能を備えるようにしてもよい。
このように例えば挿入部16の先端側が保護部材34で覆われた内視鏡7は、例えば図9に示すように下部緩衝材3に保持されて、内視鏡用収納ケース1に収納される。
図9に示すように操作部17の中心17Aは長方形状の下部緩衝材3の一方の側(図9では紙面の上側)に偏心して配置され、2つの保持片4により接続リング付近と挿入部16の基端側付近が保持され、偏心した側と反対側に操作部17の側部からユニバーサルコード18が突出している。そして、このユニバーサルコード18が突出する方向に広いスペースを確保して、挿入部16を屈曲させた状態で保護部材34部分などを複数の保持片4で保持し、また、ユニバーサルコード18もループ状にして複数の保持片4で保持している。
つまりユニバーサルコード18及びコネクタ19を操作部17の中心17Aよりもユニバーサルコード18の突出方向側に配置し、かつ挿入部16も同じ側に配置して収納保持したことで、コンパクトに収納でき、内視鏡用収納ケース1を小型軽量化できる。なお、図9においては、斜線部分は切り込み13部分を示している(後述の図20でも同様)。
このように内視鏡用収納材の大きさを極力コンパクトにすることにより内装材を上から見た時の内視鏡7の占有率(透影面積比又は充填率)を10%以上にした。これに対し、従来はもっとすきまが多く占有率が低かった。本実施の形態ではよりコンパクト化することにより、輸送費を減らすことができる。
なお、図8或いは図9では挿入部16の先端側部分を保護部材34で覆って保護しているが、挿入部16の一部のみでなくても操作部17、ユニバーサルコード18、コネクタ19等を保護するようにしても良い。また、保持用凹部4Aに挟持される部分全てもしくは一部を保護するようにしても良いし、保持部4或いはその凹部4Aに弾性を有する弾性部材で形成した保護部材を装着して挟持される部分を保護するようにしてもよい。
例えば、図9では1個所の凹部4Aにゴム部材などで形成した保護部材35を装着し、例えば挿入部16の外周面を直接挟持した場合には強い振動等が加えられた場合にその挟持された部分に傷を付ける可能性がある場合には、その傷が付くのを保護できるようにしている。なお、この保護部材35は例えばスポンジ等の弾性或いは軟性を有するクッション部材をU字状に屈曲して凹部4Aに取り付け、そこに内視鏡7の挿入部16等を押し込んで挟持するようにしても良い。
本実施の形態では、内視鏡7の複数個所を挟持するようにして保持する保持部を有する内装材を、板状部材に切り込み13等を形成してかつ折り曲げ加工することにより簡単に形成できるようにしていることが特徴となっている。
この場合、板状部材に設けた切り込み13の基端部分を折り曲げて切り込み片を起立させることにより、保持用凹部4Aを備えた保持片4を形成でき、従来例のようにブロック状部材に収納溝を設ける場合に比べて非常に少ない内装材で済む。
このため、内装材の材料となる段ボール紙も少なくて済む。また、本実施の形態では保持片4を寝かせて切り込み13に収納した状態にしたり、周囲折り曲げ片12も起立させないで寝かせた状態にすれば、下部緩衝材3を板状部材にできると共に、上部緩衝材6も周囲折り曲げ片12′を起立させないで寝かせた状態にすれば、板状部材にできるので、従来例に比べて小さな収納スペースに収納できる。
つまり、この内装材から内視鏡7を取り外して内視鏡7を別の保管場所に保管したりして内装材が一時的に不要となる場合には、板状にして保管すればそのための収納スペースは小さくて済む。このため、保管費を下げることもできる。また、例えば、この内装材が全く不要となる場合にも、リサイクル可能な再生紙として再度利用できる。
また、この内視鏡収納ケース1を病院と販売店間、及び/或いは販売店と倉庫間の内視鏡の納品用通い箱として使うようにすることで、不必要な収納材で検査室や販売店のスペースを取ることを防止できる。又、このようにした場合には、そのケースの分、製品の原価と売値も安くできる。
例えば、販売店はこの内視鏡収納ケース1に内視鏡7を収納して病院等に搬送し、病院には内視鏡収納ケース1から内視鏡7を出して内視鏡のみを納品し、この内視鏡収納ケース1は持ち帰る通い箱として用いることもできる。
また、ユーザから修理を依頼された場合には、販売店員がこのケース1をユーザの所まで持って行き、そのケース1に内視鏡を収納保持して持ち帰る。そして、メーカに搬送して修理してもらい、再びそのケース1でユーザの所まで搬送し、修理した内視鏡を納品する。このように通い箱として用いることにより、この通い箱の分だけ、内視鏡7の販売価格を下げたり、修理の際の修理代を下げることを可能にしている。また、病院では不必要となるケース1を保管しなくても済むので、その分内視鏡検査室等を広く使用できる。
図10(A),(B)は内視鏡7における多機能スイッチ28の操作により送気、送水、吸引、フリーズ、レリーズの制御が可能な内視鏡装置91の構成及び多機能スイッチ28の操作機能を示す。
この内視鏡装置91は内視鏡7と、この内視鏡7のユニバーサルコード18のコネクタ19が接続される制御装置92と、図示しないモニタとからなる。内視鏡7の挿入部16内にはライトガイド47が挿通され、このライトガイド47の後端側は操作部17,ユニバーサルコード18内を挿通され、コネクタ19において、ライトガイドコネクタ93として突出し、制御装置92の光源装置部94に接続される。
そして、光源装置部94に内蔵されたランプ95の照明光がコンデンサレンズを経て集光して供給される。この照明光は伝送されて、ライトガイド47の先端部からさらに照明光学系48を経て出射され、患部等の被写体を照明する。
照明された被写体は対物光学系43により撮像ユニット45の撮像素子に像を結び、光電変換される。この撮像ユニット45に接続された総合ケーブル65はコネクタ19から制御装置92内のビデオコンバータ96に接続される。そして、撮像素子の撮像信号は信号処理されて映像信号(ビデオ信号)に変換され、図示しないモニタに出力され、被写体像を表示する。このビデオコンバータ96にはフリーズ・レリーズを制御するフリーズ・レリーズ制御回路97が接続されている。
対物光学系43の外表面に対向して送気・送水ノズル50が先端に設けられた送気・送水チューブ98は挿入部16先端寄りの位置の分岐部で送気チューブ99と送水チューブ100とに分離し、それぞれの手元側端部はコネクタ19における送気口金101と送水口金102に至る。送気口金101及び送水口金102はそれぞれチューブを介して送気手段103と送水手段104とに接続される。
つまり、送気口金101はチューブを介して送気用開閉弁(図10(A)ではV1)105と、送気ポンプ106とに接続される。また、送水口金102はチューブを介して送水用開閉弁(図10(A)ではV2)107と、送水タンク108と、送水ポンプ109とに接続される。
また、処置具挿入口29は内部で処置具挿通・吸引チャンネ111と連通し、この処置具挿通・吸引チャンネ111は挿入部16の先端でチャンネル開口51となり、手元側はユニバーサルコード18内を経てコネクタ19の吸引口金112に至る。
この吸引口金112はチューブを介して吸引手段113に接続される。つまり、チューブを介して吸引用開閉弁(図10(A)ではV3)114と、吸引タンク115と、吸引ポンプ116とに接続される。
これら送気用開閉弁105,送気ポンプ106,送水用開閉弁107,送水ポンプ109,吸引用開閉弁114,吸引ポンプ116は送気、送水及び吸引の制御を行う送気・送水・吸引制御回路117と制御信号線118で接続され、送気・送水・吸引制御回路117からの制御信号でその動作を制御することができるようにしている。
また、操作部17に設けた多機能スイッチ28は図10(A)に示すように多機能スイッチ28の軸部をその基端を回動中心として前後、左右等に傾動自在であり、この傾動操作を行った場合にも内部に水が侵入しないように多機能スイッチ28は水密用防水ゴム121を介して操作部17に取り付けられている。
この多機能スイッチ28の軸部の基端付近にはスイッチ接点122が複数、具体的には5個設けてあり、多機能スイッチ28を傾動した場合、傾動した方向と反対側に配置されたスイッチ接点122がONするようにしてある。
具体的には図10(B)に示すように前側、右側、左側、後方右側、後方左側に傾動させると、吸引用接点、送気用接点、送水用接点、フリーズ用接点、レリーズ用接点がそれぞれONするようになっている。
これら各スイッチ接点122はスイッチ用信号ケーブル123を介して制御装置92内のフリーズ・レリーズ制御回路97と送気・送水・吸引制御回路117とに接続されている。そして、ONしたスイッチ接点122に対応した制御動作を行うようにしている。
なお、図10(A)では送気チューブ99と送水チューブ100とは挿入部16の先端側で合流して1本の送気・送水チューブ98となっているが、合流しないでそれぞれが全長にわたって1本のチューブで構成した変形例のようにしてもも良い。
図10(A)或いは変形例のような構造にすると、従来例における操作部に送気送水シリンダ等を設ける必要がなくなり、またコネクタに送水タンクとの接続用口金を設ける必要がなくなり、部品点数の削減により低コスト化できる。
また、多機能スイッチ28を設けることにより、送気・送水ボタン、吸引ボタン、フリーズスイッチ、レリーズスイッチをそれぞれ設けなくても1つの多機能スイッチ28ですむので、低コスト化できるし、操作部17をコンパクトかつ軽量化できる。
なお、図10の具体例ではこの多機能スイッチ28は送気・送水ボタン、吸引ボタン、フリーズスイッチ、レリーズスイッチの機能を兼ねるようにしているが、これに限らず複数の機能を兼ねるものであればほぼ同様の効果を有する。また、5つの方向にスイッチ機能を設けたものに限定されるものでなく、2つ以上の方向にスイッチ機能を設けたものに適用できる。
また、図11はこの内視鏡7の湾曲部21の具体的な構造を示す。図11(A)に示すようにこの内視鏡7の先端部20を形成する先端部本体41の前端には先端カバー75が取り付けてある。
また、この先端部本体41には対物光学系を一体化した撮像ユニット45が取り付けられ、この撮像ユニット45に隣接してチャンネル開口51が設けてある。
この先端部本体41の後端の外周面に湾曲部21を形成する最先端の第1の湾曲駒76が図示しないビスやろう付け等で固着され、この第1の湾曲駒76の後端に回動自在の連結部材としてのリベット77を介して第2の湾曲駒76が連結され、この第2の湾曲駒76の後端にリベット77を介して第3の湾曲駒76が連結されるという具合にして多数の湾曲駒76が回動自在に連結され、最後端の湾曲駒76の後端は軟性管前口金78に嵌合し先端側と同じく図示しないビスやろう付け等で固着されている。各湾曲駒76はほぼ円環形状で、各湾曲駒76はリベット77で連結される連結部が半円状に突出している。
これら湾曲駒76の外周は湾曲部被覆チューブ52で覆われ、先端部20と軟性部管部22の前端で水密的に固定されている。軟性部管部22はフレックス79、ブレード80、防水性可撓樹脂チューブ81の3重の被覆部材で被覆されている。
また、軟性管部22内には上下左右用にワイヤガイドとして4本のコイルパイプ82が挿通され、各コイルパイプ82内には湾曲部牽引用のワイヤ83が挿通されている。各コイルパイプ82の先端は軟性管前口金78にろう付け等で固着され、この部分から各ワイヤ83が露出した状態で前方に延出され、各ワイヤ83の先端は第1の湾曲駒76にろう付け等で強固に固着されている。
この場合、各ワイヤ83はワイヤ83が挿通される湾曲駒76の内壁に固着したワイヤ挿通リング84を通すことにより、挿通された軸方向からずれるのが規制されている。これら各ワイヤ83の後端は操作部17内の図示しないスプロケットに対にして取り付けられ、湾曲操作ノブ27a,27bを回動することにより、該スプロケットを回動させ、各対となるワイヤ83の一方を牽引、他方を弛緩させて、牽引されるワイヤ83側に湾曲部21を湾曲させることができるようにしている。
従来では、湾曲角度の調整は操作部内でストッパを用いて行っていたが、組立の工数がかかったり、操作部が大型化する欠点があったので、この内視鏡7では以下のようにして組立作業を簡略化でき、かつ操作部が大型化しないで済むようにしている。
つまり、リベット77で隣接する湾曲駒76と回動自在に連結される連結部の周囲の湾曲駒76の前端或いは後端(簡単化のため肩口という)は、連結部から離れた位置ほどテーパ状に切り欠き量が大きくなるように切り欠かれて(つまり、連結部から90度異なる角度位置が最も大きい切り欠き量となって)いる。
この内視鏡7の場合には、図11(B)に示すようにワイヤ83を牽引して湾曲部21を所定の湾曲角度以上に湾曲させた場合、湾曲された側の湾曲駒76の隣接する湾曲駒76の肩口76a同士が突き当たるようにして、この肩口76a同士が突き当たる角度以上に湾曲されない構造にして、操作部17内に湾曲角度規制用のストッパを設けないで済むようにしている。
そしてまた、湾曲角度の調整作業を殆ど不要にしている。つまり、各湾曲駒76の肩口76aの切り欠き形状を予め必要とされる最大湾曲角に応じて設定し、その最大湾曲角度以上に湾曲した場合には肩口76aが突き当たることにより、その角度以上に湾曲されないように規制している。
湾曲駒76の肩口76aを利用する以外に以下のようにしても良い。ワイヤ83の動くストロークを一定にするために操作部内の湾曲機構をラック&ピニオンで構成する。この場合の効果は回転運動を常にある一定の直線運動に変換することができるので、角度調整のための部材及びその作業が不要になる。従って、組立作業が簡略化し、また湾曲角度の調整作業を廃止することができる。
ワイヤ83の長さを4本共同じにする。内視鏡7に用いる4本のワイヤ83の長さを同じ長さにすると、ワイヤ83単体の長さの差がないので、湾曲をかけた時、湾曲角度調整機構をなくしても、常に一定のストロークになり、常に一定の湾曲角度になる。従って、組立作業が簡略化し、また湾曲角度の調整作業を廃止することができる。
最大湾曲角度側の許容範囲をラフにする。例えば、大腸観察用内視鏡の場合、上方向は180°だが、180°以上湾曲すればOKとする。例えば、180°にするための微調整は不必要で、大ざっぱな調整で良くなる。従って、調整を行う時間が短くなるので、組立作業は簡略化できる。
また、上述した内視鏡7として、図12、図13に示す構造にして、先端部20に内蔵した撮像手段を冷却すると共に、照明光学系周囲も送気、送水機構を設けて冷却することにより、先端部20の発熱を抑制するようにしても良い。
図12及び図13に示すように先端部20を形成する先端部本体41に設けた透孔にはレンズ枠42等を介して対物光学系43が取り付けられ、この対物光学系43の結像位置に固体撮像素子としてのCCD44(図14参照)が位置するように撮像ユニット45が配置されている。なお、図13は図12のE−O−E′線の断面を示す。
また、この対物光学系43を取りつけた透孔に隣接して設けた2つの透孔には、レンズ枠46を介してライトガイド47の先端部を含む照明光学系48が嵌合し、その嵌合部分を水密固定用の接着剤49で水密的に固定してある。
また、対物光学系43の外表面に対向するように送気・送水ノズル50が設けられ、対物光学系43の外表面が汚れて観察しにくいような場合には、送気或いは送水の操作を行うことにより、汚れを除去できるようにしている。
また、先端部本体41には処置具の出口となると共に、吸引操作を行った場合の吸引口となるチャンネル開口51が設けてある。
図13に示すように先端部本体41の外周面には湾曲部被覆チューブ52の先端が覆い、水密固定用の接着剤49で湾曲部被覆チューブ52が水密的に固定されている。
上記ライトガイド47の先端部は口金を介してレンズ枠46に固定され、この口金の後端にライトガイド47を被覆して保護する薄肉のシリコンチューブ等の被覆チューブ53の先端が接着剤等で固定されている。
この被覆チューブ53の外側には、2重の防水チューブ54からなる冷却用送気送水通路55が形成され、2重の防水チューブ54における内側のチューブの先端は口金に固定され、外側のチューブは先端部本体41の後端から突出する筒状固定部で固定されている。
また、先端部本体41には2重の防水チューブ54の先端開口と連通する通路56が設けられ、この通路56は例えばレンズ枠46の周囲の3箇所に設けられ、先端部本体41の先端面で開口している。
従って、冷却用送気送水通路55を介して図13の矢印Fで示すように冷却空気或いは冷却水を送気或いは送水することにより、ライトガイド47の先端部及び照明光学系48が発熱するのを冷却できる。
また、挿入部16内等を挿通された冷媒用パイプ57は撮像ユニット45の外周面の長手方向に沿ってリング状に巻き付けられて冷却部58を形成している。そして、冷媒用パイプ57の一方から冷媒を送り、冷却部58でリング状に冷媒を流すことにより撮像ユニット45を冷却し、他方で手元側に回収するようにしている。
また、撮像ユニット45の内部の後方部分には撮像ユニット45の温度を検出する温度検出センサとして例えば温度と共にその抵抗値が変化する、サーミスタ59が、上記冷媒用パイプ57が覆われていない位置に設けられている。このサーミスタ59の抵抗を計測して所定の温度以上になったか否かを判断し、所定の温度以上になった場合には上記冷媒用パイプ57内に冷媒を流す動作を行い、撮像ユニット45を冷却するようにしている。
つまり、撮像ユニット45にパイプを巻き付けて冷却手段を設け、かつ撮像ユニット45の内部には温度検出手段を設け、所定の温度以上になった場合には冷却手段による冷却動作を行うようにして、先端部20の発熱を防止するようにしている。
なお、撮像ユニット45を冷却する機構と、ライトガイド先端部側の照明光学系48付近を冷却する機構とを入れ替えても良い。また、一方を冷却する機構によって先端部20の発熱を防止するようにしても良い。
図14は上記撮像ユニット45の内部構造を示す。シールド枠61の前端側には対物光学系43(を構成するフィルタ等の光学素子)が水密固定用接着剤49で固定され、その後端にCCD44が取り付けられている。このCCD44はその裏面で配線材62により回路基板63のパターン或いは回路基板63に搭載した電子部品類64と電気的に接続される。
また、挿入部16内を挿通される総合ケーブル65の先端側はジャケット(絶縁外皮)66が切断されてその内側の総合シールド67が折り返すようにしてジャケット66の先端付近でひも状締結部材68でジャケット66の先端付近で固定され、さらに後端側の熱収縮チューブ69で締結された後、内視鏡7の金属筐体70に固定ビス71で固定されている。
また、総合ケーブル65の先端から複数の信号ケーブル72が前方に延出され、電子部品類64等と電気的に接続される。また、シールド枠61の外周には絶縁性の熱収縮チューブ73が被せられ、この熱収縮チューブ73の後端は前記熱収縮チューブ69の外周位置まで延びている。
そして、この熱収縮チューブ73の内側で、図14に示すようにCCD44の周囲、回路基板63の周囲、ひも状締結部材68による締結部周囲、シールド枠61の後端付近は絶縁用接着剤74で絶縁固定されている。
このようにこの撮像ユニット45では、総合ケーブル65はその外皮先端付近で、総合シールド67と外皮とひも状部材等での締結等による(締結手段或いは)固定手段を設けるようにしている。
従って、この固定手段により、総合ケーブル65の先端付近が絶縁用接着剤74で固定する際の接着剤74が乾燥するまでの間等で総合シールド67が動いて信号ケーブル72と短絡したり、回路基板63のパターンと短絡してしまう等の事故が発生するのを防止できるようにしている。
また、このように固定手段を設けることにより、設けていない従来例よりも、総合シールド67の先端をその前に位置する回路基板63側に移動して回路基板63との距離を詰めても(小さくしても)短絡を防止できるので、撮像ユニット45の長手方向の長さを短縮できる。なお、固定手段はテグス、絹糸等のひも状締結部材に限らず、加熱により収縮する熱収縮チューブでも良い。又、この方式は内視鏡に限らず、図20(C)に示す内視鏡用外付けカメラ182C等に用いても当然良い。
このように構成された本実施の形態によれば、内視鏡7の複数個所を挟持するようにして保持する保持部を有する内装材を、板状部材に切り込み13等を形成してかつ折り曲げ加工することにより簡単に形成できる。
この場合、板状部材に設けた切り込み13の基端部分を折り曲げて切り込み片を起立させることにより、保持用凹部4Aを備えた保持片4を形成でき、従来例のようにブロック状部材に収納溝を設ける場合に比べて非常に少ない内装材で済む。
このため、内装材の材料となるダンボール紙も少なくて済む。また、本実施の形態では保持片4を寝かせて切り込み13に収納した状態にしたり、周囲折り曲げ片12も起立させないで寝かせた状態にすれば、下部緩衝材3を板状部材にできると共に、上部緩衝材6も周囲折り曲げ片12′を起立させないで寝かせた状態にすれば、板状部材にできるので、従来例に比べて小さな収納スペースで済む。
つまり、この内装材から内視鏡7を取り外して内視鏡7を別の保管場所に保管したりして内装材が一時的に不要となる場合には、板状にして保管すればそのための収納スペースは小さくて済む。また、この内装材が全く不要となる場合にも、再生紙として再度利用できる。
また、この内視鏡収納ケース1を内視鏡の納品用通い箱として使うようにすることで、不必要な収納材で検査室や販売店のスペースを取ることを防止できる。又、このようにした場合には、そのケースの分、製品の原価と売値も安くできる等の効果がある。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態の内視鏡用収納ケースを説明する。第1の実施の形態では、内装材を2枚の板状部材で形成したが、本実施の形態では1枚の板状部材で形成するようにしている。
具体的には所定の長さの1枚の段ボール紙からなる板状部材をその長手方向に垂直な折り曲げ線に沿って3回折り曲げることにより、図15に示すような箱状の緩衝部材131を形成している。
この緩衝部材131における例えば箱の下側となる緩衝板部132は、図16(A)に示すようにほぼコ字形に近い形状の切り込み133と、その内側に保持部形成用の長円状切り欠き134が設けられて、折り曲げ線135、136の位置で折り曲げかつ折り曲げた部分の先端位置の固定用凸部137を折り曲げ線135に関して切り込み133と反対側に設けた開口138に差し込んで図16(B)に示すように保持片139が立体的に突設する構造にしている。
この保持片139はその立設した部分の上端の中央に切り欠き134により保持用凹部140が形成され、内視鏡7の挿入部16等を挟持した状態で保持できるようにしている。
なお、図16で1箇所の保持片139の場合を示しているが、実際には複数の保持片139が設けられている。また、内装材を収納する外装材は例えば第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、1枚の段ボール紙からなる板状部材により、第1の実施の形態の下部緩衝材3と上部緩衝材6の機能を備えた緩衝部材131を形成できるようにしている。
図17(A)、(B)は第2の実施の形態の内視鏡用収納ケースに収納される内視鏡のコネクタ19付近の構造及び防水キャップを示す。従来ではコネクタに内視鏡外装金属に導通させる端子(E端子と略記)を設けていたが、このコネクタ19では送水タンク141側にE端子142を設けるようにしている。
このコネクタ19はその基端のコネクタ外装金属143に導通用ケーブル144の一端を導通固定用ビス145で固定し、他端を金属等の導電部材で形成した送水タンク取付用口金146に導通させている。この送水タンク取付用口金146は送水チューブ147の手元側端部が接続されている。
また、送水タンク141にはチューブ148の一端が接続され、このチューブ148の他端の給水口金149には送水タンク取付用口金146の接続孔と加圧用口金の接続孔とが設けてある。また、金属で形成されたこの給水口金149の側部にE端子142を設けている。
つまり、従来ではE端子はコネクタ側に設けていたが、この内視鏡では内視鏡検査時に接続されて共通に使用される給水タンク141側にE端子142を設けることにより、コネクタ19には設けないで済むようにして、製造コストを削減できるようにしている。
このコネクタ19における送水タンク取付用口金146と反対側の側部に吸引口金151が設けてある。また、この吸引口金151に隣接して、電気コネクタ152が設けてあり、この電気コネクタ152にはその外装枠の内側に複数の電気接点が設けてある。
そして、このコネクタ19を洗浄等する場合には防水キャップ153を取り付けることにより、電気コネクタ152の電気接点が設けられた接続部を水密部154で水密的に覆い、洗浄等を行うことができるようにしている。
この防水キャップ153は図17(A),17(B)に示すようにコネクタ19の前端側から通してコネクタ19に取り付ける中空の枠部を設けた取付部155と、電気コネクタ152の外装枠に密着して保持すると共に、その内側に水密部154を設けた保持部156とがゴム等の弾性部材で一体的に形成されている。
このように取付部155、水密部154、保持部156をゴム等で一体的に形成することにより、この防水キャップ153を簡単かつ安価に製造できるようにしている。つまり、これらを複数の部品で構成している従来例に比べ、製造コストを削減することができる。
また、第2の実施の形態にかかる内視鏡では吸引する操作を行う吸引装置161を図18に示すような簡単な構造にして製造コストを削減できるようにしている。なお、図18(B)は図18(A)の無操作時のリーク用開口を指で塞いで吸引動作状態にした様子を示す。
図18に示すように操作部を構成する操作部本体162には吸引シリンダ163が固定リング164を介して固定され、さらにこの吸引シリンダ163の上端の開口部には弾性ゴムで形成した中空の円板165が取り付けてあり、この上端の開口は外気に連通する外気開口部166となっている。
この吸引シリンダ163の例えば下端のコネクタ側開口部167は吸引チューブを介してユニバーサルコードの先端のコネクタの吸引口金に連通し、この吸引口金はさらに吸引ポンプを含む吸引手段に接続され、常時吸引動作を行う状態になっている。また、この吸引シリンダ163の例えば側部の先端側開口部168は吸引チューブを介して挿入部の先端のチャンネル開口と連通している。
従って、図18(A)に示す状態では吸引手段により、外気開口部166から外気を吸引する状態となり、挿入部の先端のチャンネル開口から吸引を行わないリーク状態となる。
そして、図18(B)に示すように外気開口部166をゴム手袋を装着した指169で塞ぐ操作を行うことにより、外気開口部166から外気を吸引する動作は無くなり、先端側開口部168側から吸引を行う動作、つまり吸引動作を行うようにできる。
この吸引装置161によれば、従来例における吸引ボタンを用いることなく、簡単な構造の吸引シリンダ163を用いて構成できるので、製造コストを削減できる。
また、第2の実施の形態に係る内視鏡が接続して使用される内視鏡装置を図19に示すような構造とすることにより、製造コストを削減できる。この内視鏡装置171は、例えばカート172にその下側の載置スペースから最上部の載置スペースに順次絶縁トランス及び電源ユニット173、(電気メス等の)処置用周辺装置174、光源装置175、ビデオプロセッサ176、内視鏡用モニタ177がそれぞれ載置されている。
絶縁トランス及び電源ユニット173からは電源コードが延出され、その先端のプラグ180を図示しない商用電源のコンセントに接続することにより、商用電源が供給され、絶縁トランス及び電源ユニット173では商用電源から絶縁された直流等の電源を生成する。
そして、この絶縁トランス及び電源ユニット173の背面の電源出力端子に接続された接続ケーブル178を介して処置用周辺装置174、光源装置175、ビデオプロセッサ176、内視鏡用モニタ177にその動作に必要な電源を供給するようにしている。
つまり、この内視鏡装置171においては、内視鏡検査に用いられる光源装置175等の内視鏡周辺装置自体にはその内視鏡周辺装置を動作させるために必要となる通常組み込まれている電源部を設けないで、これら内視鏡周辺装置全ての動作に必要となる電源を生成する電源ユニットとしての絶縁トランス及び電源ユニット173を1つ設け、この絶縁トランス及び電源ユニット173から各内視鏡周辺装置にその動作に必要な電源を供給する構成にしている。なお、例えば光源装置175とビデオプロセッサ176、ビデオプロセッサ176と内視鏡用モニタ177とはBNCケーブル等の連結ケーブル179で接続される。
このような構成にすることにより、個々の内視鏡周辺装置には電源部が不必要となり、1つの電源ユニットでまとめて効率的に電源を生成できるので、内視鏡装置171の製造コストを大幅に削減できる。
また、各内視鏡周辺装置を小型軽量化することもできる。本実施の形態によれば、1枚の板状部材から第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を有する内視鏡用収納ケースを実現できる。
(第3の実施の形態)
図20は本発明の第3の実施の形態の内視鏡用収納ケースにおける内装材を構成する下部緩衝材181を示す。本実施の形態は種類等が異なる内視鏡或いは内視鏡周辺機器を同じ内視鏡用収納ケースで収納保持できるようにしたものである。
第1の実施の形態では下部緩衝材3には収納される内視鏡7に対応してその内視鏡7を保持するのに必要な保持片4を設けるようにしたが、本実施の形態における下部緩衝材181では例えば図20(A)に示す長い挿入部長の内視鏡としての例えばファイバスコープ182A、図20(B)に示す超音波内視鏡182B、図20(C)に示す内視鏡用外付けカメラ182C等の種類が異なる内視鏡(或いは内視鏡周辺機器)を保持できるようにしている。
つまり、図20(A),(B),(C)に示すように、下部緩衝材181には板形状で、保持片4を起立した起立状態183Aに設定したり、起立させないで切り込み13に収納した収納状態183Bとが自由に設定できるように多数の切り込み13が設けられている。
そして、収納保持される内視鏡機器182I(I=A,B,C)に応じて切り込みに収納された保持片4を起立させたり、起立させないで収納状態183Bのままに設定することにより、種類が異なる内視鏡の場合にも起立した保持片4の凹部4Aで挿入部等を挟持することにより共通の内装材としての下部緩衝材181により保持できるようにしている。なお、この下部緩衝材181には第1の実施の形態の下部緩衝材3における周囲折り曲げ片12が設けてないが、周囲折り曲げ片12を設けるようにしても良い。
図20(A)に示すファイバスコープ182Aは操作部185の前端から軟性の挿入部186が延出され、この操作部185の後端には接眼部187が設けられ、操作部185の側部からライトガイドが挿通されるライトガイドケーブル188が延出され、その先端にコネクタ189が設けられている。
図20(B)に示す超音波内視鏡182Bは主操作部191の前端から軟性の挿入部192が延出され、主操作部191及びその後端側の副操作部193の側部からユニバーサルコード194と、超音波コード195とが延出され、ユニバーサルコード194及び超音波コード195の先端にはそれぞれ第1のコネクタ196と第2のコネクタ197とが設けてある。
また、図20(C)に示す内視鏡用外付けカメラ182Cはファイバスコープ182Aの接眼部187に装着可能なカメラヘッド201と、このカメラヘッド201から延出されたカメラケーブル202と、このカメラケーブル202の先端に設けた電気コネクタ203とを有する。
図20(C)では内視鏡用外付けカメラ182Cをビニール袋等の保護用収納袋204に収納し、例えば電気コネクタ203部分でセロハンテープ等のシール部材205で接着してシールした状態で、下部緩衝材181で保持するようにしている。
また、本実施の形態における図示しない上部緩衝材は下部緩衝材181における全ての保持片4を起立した起立状態に対応する位置に開口を設けた図4の上部緩衝材6に相当する形状のものである。その他の外装材としてのケース本体等は例えば第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態によれば、内視鏡機器の機種或いは内視鏡機器等に応じて専用の内視鏡用収納ケースを用意しなくても、共通の内装材で形状、挿入部長等が異なる内視鏡機器を保持でき、かつその保持した内装材を共通の外装材内に収納できるので、専用の内視鏡用収納ケースを製造するコストとか保管スペース等を大幅に削減できる。
その他は第1の実施の形態とほぼ同様の効果を有する。なお、本実施の形態では内視鏡機種等に応じて切り込み13の保持片4を起立させる場合が異なるので、保持する内視鏡機種に応じてどの部分を起立させるかのマーク、記号等の識別情報を切り込み13付近に付けるようにしても良い。
このようにすると、保持する内視鏡機種が分かれば、それに対応する識別情報が付けられた切り込み13の保持片4を起立させればよく、複数の内視鏡機種に対応できるように多数の切り込み13がある場合にも、短時間で保持に必要な保持片4を起立させることができる。
(第4の実施の形態)
図21は本発明の第4の実施の形態の内視鏡用収納ケースにおける内装材を構成する下部緩衝材211の一部を示す。本実施の形態では下部緩衝材211は板状部材から形成される下部緩衝材本体212と、この下部緩衝材本体212に設けられた取付用開口213に挿入することにより、形成される保持片214とからなる。
この保持片214は図22に示すような長方形の板形状(或いは帯形状)の保持片形成部材215を点線で示す山折り線216と、2点鎖線で示す谷折り線217でそれぞれ直角に山折り及び谷折りすることにより形成され、両端に設けた取付用凸部218を取付用開口213に挿脱自在で挿入することにより図21に示すように下部緩衝材本体212に保持片214を立設することができるようにしている。そして、図21に示す中央の凹部で内視鏡の挿入部等を挟持するようにして弾性的に保持する保持部219が形成される。
その他の構成は例えば第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態によれば、取付用開口213に保持片214を挿入することで、内視鏡を保持する下部緩衝材211を構成できるので、第1の実施の形態とほぼ同様の効果がある。
図23は変形例における下部緩衝材221の一部を示す。上記保持片214は板状の保持片形成部材215を折り曲げて形成したが、この変形例では保持片222が折り曲げを必要としないで、保持部223となる凹部を備えたブロック形状の保持片であり、その底部側に設けた取付用凸部224を下部緩衝材本体212の取付用開口213に挿脱自在で挿入することにより図23に示すように下部緩衝材本体212に保持片222を立設することができるようにしている。
この変形例はブロック形状の保持片222であるので、第4の実施の形態の場合よりも内装材の材料が多く必要になるが、内視鏡を保持する部分のみに、ブロック形状の保持片222が必要となるのみであるので、従来例に比較すると、やはり省資源で済む効果がある。
また、ブロック形状の保持片222を下部緩衝材本体212から外すことができるので、ケースのみを保管する場合には、ブロック形状の保持片222を外して分解して保管することにより従来例に比べると小さなスペースで保管できるメリットがある。
なお、ブロック形状の保持片222に取付用凸部224を設けないで、その底面を板状部材に接着剤等で固定して下部緩衝材を構成しても良い。この場合にも、内視鏡を保持する部分のみに、ブロック形状の保持片222が必要となるのみであるので、従来例に比較すると、やはり省資源で済む効果がある。
図24はさらに他の変形例における内視鏡用収納ケース231の一部を示す。この変形例では例えば図1の外装部材としてのケース本体2の内面、例えば底面内側の面2Aに例えば図23のブロック形状の保持片222に類似した保持片222′をその裏面の粘着面で粘着固定して保持片222′の保持部223で内視鏡の挿入部等を挟むようにして保持する保持手段を設けたものである。
なお、図24では1つの保持片222′のみを示しているが、複数個所に設けられている。
この場合にも、従来例よりも少ない素材で内視鏡の挿入部等を挟むようにして保持する保持機能を備えた内視鏡用収納ケース231を構成できる。この場合にはケース本体2の内面に保持する保持手段を直接固定しているので、第1の実施の形態のように板状部材に保持部4を突設しなくても良い。つまり、保持部を突設するための板状部材は不要となる。
ところで、図25はこれまで説明した内視鏡用収納ケースとは構成が異なる内視鏡用収納ケース301を分解して示す。この内視鏡用収納ケース301では内視鏡302は第1のクッション材303における内視鏡302を収納する形状に設けた収納溝304に収納され、その上側から第2のクッション材305で蓋がされる。
そして、内視鏡302を収納し蓋をした状態に相当する第1及び第2のクッション材303、305は有底のビニール袋306に収納されて外側が覆われる。このビニール袋306で覆われたものが、ダンボール紙で作った箱状の第1のケース307に収納される。この第1のケース307は箱状にしたり、板状に折り畳んだりすること、つまり組立自在である。
この場合、第1のクッション材303の厚さ、第2のクッション材305の厚さ及び第1のケース307の厚さを、各々d1 ,d2 ,Dとすると、d1 +d2>Dとしている。つまり、第1のケース307の蓋部308で蓋をすると、しっかりと第1のクッション材303と第2のクッション材305とが密着し、内視鏡302の挿入部等が飛び出ないようになっている。
このように第1及び第2のクッション材303、305等を密着して収納した第1のケース307はさらに第2のケース309に収納される。この第2のケース309もダンボール紙でできている。
第2のケース309には第1のケース307に設けられた取手部310を外から取り出せる開口部311が設けられている。なお、第1のケース307の蓋部308にも取手部310を通すことができる開口部が設けてある。第1のケース307は第2のケース309に収納された状態で発送される。この梱包状態では、ビニール袋306で内視鏡302は覆われているので、運送時のほこり、水等が内視鏡302の収納部分に侵入することを防止できる。
また、ダンボール紙で第1のケース307及び第2のケース309が作られているのでこの内視鏡用収納ケース301を安くできる。
また、蓋部308で蓋をすると側面の大部分がダンボール紙4層構造となるので、圧縮力に対して非常に強く、積み上げて保管したり、搬送したりすることもできる。
なお、図25では内視鏡302を第1及び第2のクッション材303、305に収納したものをダンボール紙で作った第1のケース307に収納したが、図26に示すようにプラスチック等でできているハードケース312に収納しても良い。このハードケース312はケース本体313と、このケース本体313に蝶番で接続した蓋体314とからなり、ケース本体313には取手315が設けてある。
また、廉価な内視鏡の場合には、図25の第1のケース307に収納し、高価な内視鏡の場合には図26のハードケース312に収納するようにしても良い。このために、第1のクッション材303と第2のクッション材305は第1のケース307に収納できると共に、ハードケース312に収納できるように共通化しても良い。
なお、上述した各実施の形態等を部分的に組み合わせて構成される実施の形態等も本発明に属する。
[付記]
1.内視鏡を収納する内視鏡用収納ケースにおいて、内装材を、板状部材の複数個所に内視鏡を位置決めする保持部を突設したもので構成したことを特徴とする内視鏡用収納ケース。
2.前記板状部材は、段ボール等の可燃性材料であることを特徴とする付記1記載の内視鏡用収納ケース。
3.前記保持部を間隔を置いて配置したことを特徴とする付記1乃至2記載の内視鏡用収納ケース。
4.前記保持部は、少なくとも内視鏡の操作部と挿入部を位置決めする位置に設けたことを特徴とする付記1乃至3記載の内視鏡用収納ケース。
5.前記保持部は、前記板状部材に形成した保持部用切り込みを立体的に立てることで形成したことを特徴とする付記1乃至4記載の内視鏡用収納ケース。
6.前記保持部は、不必要時は前記板状部材に収納できることを特徴とする付記1乃至5記載の内視鏡用収納ケース。
7.前記保持部を立てた状態で保持する保持手段を設けたことを特徴とする付記5記載の内視鏡用収納ケース。
8.前記保持手段は、前記板状部材の上に被せる蓋部材の凹部であることを特徴とする付記7記載の内視鏡用収納ケース。
9.前記保持手段は、前記板状部材に形成した保持部用切り込みとは別の切り込みであることを特徴とする付記7記載の内視鏡用収納ケース。
10.前記保持部を構成する凸部は前記板状部材とは別体で形成したことを特徴とする付記1ないし4記載の内視鏡用収納ケース。
11.前記保持部と前記板状部材とは異なる材質で形成したことを特徴とする付記1ないし4記載の内視鏡用収納ケース。
12.前記保持部は板状部材を立体的に形成したものであることを特徴とする付記10ないし11記載の内視鏡用収納ケース。
13.前記保持部はブロック部材で形成したことを特徴とする付記10ないし11記載の内視鏡用収納ケース。
14.前記保持部は板状部材を着脱自在に固定したことを特徴とする付記10ないし13記載の内視鏡用収納ケース。
15.内視鏡を収納する内視鏡用収納ケースにおいて、板状部材に内視鏡を複数個所で位置決め保持する保持部を突出するように設けたもので構成したことを特徴とする内視鏡用収納ケース。
16.内視鏡を収納する内視鏡用収納ケースにおいて、外装ケースの内面に内視鏡を複数個所で位置決め保持する保持部を突出するように設けたもので構成したことを特徴とする内視鏡用収納ケース。