JP4699038B2 - α,β−不飽和カルボン酸製造用触媒及びその製造方法、並びに、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

α,β−不飽和カルボン酸製造用触媒及びその製造方法、並びに、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒、その製造方法、およびその触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法に関するものである。
α,β−不飽和カルボン酸は、工業上有用な物質が多い。アクリル酸やメタクリル酸は、合成樹脂原料などの用途に極めて大量に使用されている。例えば、メタクリル酸の製造においては、イソブテンの気相酸化法や液相酸化法、アセトンシアンヒドリン経由の方法などがあるが、特別に有利な方法があるわけでなく、これらいくつかの方法で工業的に生産されている。
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素により液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を得るための触媒および方法については、従来より盛んに研究されている。例えば、金を担持した触媒の存在下に行なう方法(特許文献1)、パラジウム金属触媒を用いる方法(特許文献2〜6)、モリブデン化合物とパラジウム触媒を用いる方法(特許文献7)などが挙げられる。
特許文献1〜7に記載されている触媒の中には、活性炭、アルミナ、シリカ等の担体に担持されているものもある。それら担体の物性については、特許文献1において「疎水性担体あるいは通常の担体を疎水化処離したものが良い」との記載があるのみであり、それ以外の担体の物性に言及したものは見られない。
特開2001−172222号公報 特開昭60−155148号公報 特開昭60−139341号公報 特開昭60−139643号公報 米国特許第4435598号明細書 国際公開第02/083299号パンフレット 特開昭56−59722号公報
本発明者が特許文献1〜7の実施例に記載された方法に準じて製造した触媒を用いてプロピレンからアクリル酸を製造したところ、特許文献1〜7で記載されている副生成物(例えば、アセトアルデヒド、アセトン、アクロレイン、酢酸、二酸化炭素)以外に多様なポリマーやオリゴマーが多く副生することを見出した。特許文献1〜7ではこれらのポリマーやオリゴマーを捕捉しておらず、これらの副生成物を含めた実際のアクリル酸の選択率や生産性などの反応成績は特許文献1〜7の実施例に記載されたものより低くなることが判明した。このように、α,β−不飽和カルボン酸の製造方法における反応成績は未だ十分とは言えず、さらなる向上が望まれていた。
本発明は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を良好な反応成績で製造可能な触媒、その製造方法、およびその触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、触媒を製造する際に使用する担体の物性、特に細孔容積により触媒性能が大きく影響されることを見出し本発明に至った。
本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから、反応液と触媒を懸濁させながら行う液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体に、金属が担持されていることを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒である。
本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法は、上記のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法であって、前記担体の存在下で金属化合物を還元剤で還元するα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法である。
本発明のα,β−不飽和カルボン酸の製造方法は、上記のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を反応液に懸濁させた状態で、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相中で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法である。
本発明によれば、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を良好な反応成績で製造可能な触媒、その製造方法、およびその触媒を用いたα,β−不飽和カルボン酸の製造方法を提供できる。
(1)α,β−不飽和カルボン酸製造用触媒
本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒(以下、単に「触媒」と称することもある)は、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体に、金属が担持されていることを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒である。
上記のような触媒を用いることで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を良好な反応成績で製造可能となる。本発明の触媒は、オレフィンの中でも特にプロピレンおよびイソブチレン、α,β−不飽和アルデヒドの中でも特にアクロレインおよびメタクロレインの液相酸化に有効である。
本発明の触媒は、担体に金属が担持されている担持触媒である。以下、本発明の触媒として使用可能な担体及び金属について説明する。
(1−1)担体
担体の種類には特に制限がなく、活性炭、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、マグネシア、カルシア、ジルコニア、チタニア等の代表的な担体を使用できる。中でも活性炭またはシリカを用いることが好ましい。通常、活性炭は、炭化、整粒、賦活、洗浄、乾燥および粉砕のプロセスにより製造されるが、本発明においてその製造プロセスには特に制限はない。活性炭の原料である炭素質物質にも、特に制限はなく、ヤシガラ、石炭、木質および合成樹脂など種々の原料を用いることができる。賦活方法にも特に制限はなく、水蒸気、炭酸ガス、酸素、リン酸、リン酸塩および塩化亜鉛などを用いて賦活することができる。賦活後の活性炭は、必要に応じて、鉱酸、塩酸および水などにより洗浄され、乾燥された後、使用に供される。製品活性炭に含有される不純物のうち、塩素は触媒性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、できるだけ少ない方が好ましい。したがって、塩化亜鉛や塩酸を用いて製造された活性炭は、十分に洗浄し含有塩素をできる限り除去することが好ましい。活性炭の形状にも特に制限はなく、粉末状、球状、ペレット状および繊維状など種々の活性炭が使用できる。活性炭のBET比表面積は、300m2/g以上が好ましく、600m2/g以上が特に好ましい。また、4000m2/g以下が好ましく、2500m2/g以下が特に好ましい。
本発明では、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体を選択して使用する。このような担体を利用することで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化により高選択率及び高生産的にα,β−不飽和カルボン酸を製造できるようになる。以下、その構成及び製造方法を説明する。
特に、高選択的に目的生成物を得るためには、全細孔容積が0.40〜0.80cc/gである担体を選択することが好ましい。より好ましくは0.47cc/g以上であり、より好ましくは0.70cc/g以下であり、さらに好ましくは0.67cc/g以下である。このような条件を満たす担体を用いることにより、副生成物の生成が少なく、アクリル酸、メタクリル酸等の目的生成物を良好な選択率で得ることができる。これは、全細孔容積を前述の範囲の中でも小さめの範囲とすることにより、オリゴマー等の副生成物を抑制して、目的生成物の選択率がより向上するものと思われる。またこの場合、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は、全細孔容積の40%以下が好ましく、より好ましくは35%以下であり、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは20%以下である。また、上記メソポア孔の細孔容積の割合は、全細孔容積の5%以上が好ましく、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは9%以上である。特にこの場合、同じ細孔容積であればメソポア孔の比率が低いほどオリゴマー等の副生成物が生成しずらくなるため、選択率がさらに向上するものと思われる。さらに、担体のBET比表面積が、600m2/g以上が好ましく、800m2/g以上がより好ましく、2000m2/g以下が好ましく、1500m2/g以下がより好ましい。
特に、高生産的に目的生成物を得るためには、全細孔容積が0.80〜1.50cc/gである担体を選択することが好ましい。より好ましくは0.85cc/g以上であり、さらに好ましくは0.90cc/g以上であり、より好ましくは1.40cc/g以下であり、さらに好ましくは1.30cc/g以下である。このような条件を満たす担体を用いることにより、触媒活性が高く、アクリル酸、メタクリル酸等の目的生成物を良好な生産性で得ることができる。これは、細孔容積を前述の範囲の中でも大きめの範囲とすることにより、反応物および生成物の細孔内拡散が容易になり、生産性がより向上するものと思われる。また、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は、全細孔容積の10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上であり、特に好ましくは40%以上である。また、好ましくは65%以下であり、より好ましくは60%以下であり、さらに好ましくは55%以下である。特にこの場合、同じ細孔容積であればメソポア孔の比率が高いほど細孔内拡散は容易となるため、生産効率がさらに向上するものと思われる。さらに、担体のBET比表面積が、100m2/g以上が好ましく、300m2/g以上がより好ましく、5000m2/g以下が好ましく、4000m2/g以下がより好ましい。
なお、担体の全細孔容積、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積及びBET比表面積は、例えば、Micromeritics社製自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(商品名)等により測定できる。
(1−2)金属
担体に担持される金属は、液相酸化の触媒として機能するものであれば特に制約を受けないが、貴金属が好ましく、パラジウムまたは金がより好ましく、パラジウムが特に好ましい。金属は1種でも良く2種以上でも良い。また、液相酸化の触媒として機能しない金属を含んでいても良い。触媒活性の観点から、液相酸化の触媒として機能しない金属は50原子%以下であることが好ましい。
ここで、本発明では、上記の担体に、平均粒子径が1〜8nmの範囲にあるパラジウムが担持されていることが好ましい。金属としてパラジウムを選択し、平均粒子径を上記範囲にすることにより、α,β−不飽和アルデヒドからα,β−不飽和カルボン酸をより高収率で製造可能な触媒となる。前記の平均粒子径は1.2nm以上がより好ましく、1.4nm以上がさらに好ましい。また、上記の平均粒子径は7nm以下がより好ましく、6nm以下がさらに好ましい。このとき、触媒におけるパラジウム以外の金属を含んでいても良いが、触媒活性の観点から、パラジウム以外の金属は50原子%以下であることが好ましい。
ここで、上記のパラジウムの平均粒子径とは、触媒中のパラジウムについて透過型電子顕微鏡によって測定したものであり、具体的には以下のようにして算出を行なった値である。
透過型電子顕微鏡の観察画像を等倍でプリントアウトし、視野内のパラジウムの領域50点を無作為にピックアップしてそれぞれの粒子径を計測する。パラジウムの領域の形状はほぼ円形であるので、全て円形であると近似して計測する。この操作を3視野について実施し、計測値の平均をとり平均粒子径とする。なお、透過型電子顕微鏡の観察はパラジウムの粒子径の計測が可能な観察倍率で行なうものとする。
なお、触媒中のパラジウムの平均粒子径は、用いる担体の種類及びBET比表面積、触媒の調製に用いる溶媒の種類及び混合溶媒の場合の混合比、触媒の原料であるパラジウム化合物の種類及び濃度、パラジウム化合物を還元する温度及び時間等の様々な条件により変化する。本発明においては、それらの条件を適宜選択して設定し、得られる触媒中のパラジウムの平均粒子径を上記の範囲とする必要がある。
(2)α,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法
次に、上記のような本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を製造する方法について説明する。
本発明の触媒の製造方法は特に限定されないが、担体の存在下で金属化合物を還元剤によって還元する方法をとることが好ましい。具体的には、例えば、担体を分散させた金属化合物の溶液を調製し、そこに還元剤を加えて還元する液相還元法、金属化合物の溶液を担体に含浸させたものを乾燥し、還元雰囲気で還元する気相還元法等により製造することができる。なかでも、液相還元法が好ましい。以下、液相還元法による触媒の製造方法について説明する。
使用する金属化合物としては、触媒となる金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、テトラアンミン錯体、又はアセチルアセトナト錯体等が好ましく、金属の、塩化物、酸化物、酢酸塩、硝酸塩、又は硫酸塩がより好ましく、金属の、塩化物、酢酸塩、又は硝酸塩がさらに好ましい。これらは単独で使用することもでき、複数を組み合わせて使用することもできる。
また、これら金属化合物としては、不純物として塩素を実質的に含まないものを使用することも好ましい。より具体的には、金属化合物中の塩素が1000ppm以下であることが好ましい。すなわち、酢酸塩、硝酸塩、ビスアセチルアセトナート錯体等の塩素を含まない金属化合物を用いることが好ましい。金属としてパラジウムを選択する場合、例えば、酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、ビスアセチルアセトナートパラジウムを好適に使用できる。
金属化合物を溶解する溶媒としては、金属化合物及び還元剤の溶解性並びに担体の分散性等によって適宜選択され、水、アルコール類、ケトン類、有機酸類、炭化水素類、またはこれらの群から選ばれる2種以上の混合溶媒を用いることができる。溶媒としては、アルコール類、ケトン類、有機酸類からなる群から選ばれる1種または2種以上の有機溶媒が好ましく、C2〜C6の有機酸類、ターシャリーブタノール、および、C3〜C6のケトン類からなる群より選ばれる1種またはこれらの混合物がより好ましい。
より性能の高い触媒を製造できることから、有機溶媒と水との混合溶媒とすることも好ましい。有機溶媒と水との混合溶媒とする場合、アルコール類、ケトン類、有機酸類からなる群から選ばれる1種または2種以上の有機溶媒と水との混合溶媒が好ましい。中でも、有機酸類から選ばれる1種または2種以上の溶媒と水との混合溶媒が好ましい。有機酸類としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸およびiso−吉草酸からなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましい。中でもn−吉草酸または酢酸が特に好ましい。その際の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して5質量%以上が好ましく、より好ましくは8質量%以上である。また、上記の水の量は60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。混合溶媒の場合、均一な状態であることが望ましいが、不均一な状態であっても差し支えない。
上記溶媒中に担体と金属化合物を、所望の順序または同時に溶媒に加えて、担体を分散させた金属化合物の溶液を調製する。金属化合物の濃度は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上であり、特に好ましくは0.5質量%以上である。また、上記金属化合物の濃度は、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、特に好ましくは4質量%以下である。
次いで、この担体が分散した金属化合物溶液に還元剤を加えて還元し、担体に金属が担持された触媒が得られる。
使用する還元剤は特に制限されず、金属化合物中の酸化状態の金属を還元する能力を有するものであればよい。例えば、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、水素、ギ酸、ギ酸の塩、アルコール類およびオレフィン類などを用いることができる。中でも、ホルムアルデヒド、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、および、2−ブテンからなる群より選ばれる少なくともひとつが好ましく、ホルムアルデヒド、プロピレンまたはイソブチレンがより好ましい。
還元剤として例えばプロピレン等の気体を用いる場合、オートクレーブなどの加圧装置中に担体が分散した金属化合物溶液を仕込み、内部を還元剤で加圧することにより還元を行なう方法とすることが好ましい。その圧力は0.1〜1.0MPa(ゲージ圧;以下、圧力の表記は全てゲージ圧表記とする)とすることが好ましい。
還元剤が液体又は固体の場合は、担体が分散した金属化合物溶液中に還元剤を添加することで還元を行なうことができる。このときの還元剤の使用量は、金属化合物1モルに対して1〜50モル程度が好ましい。
還元時の系の温度および還元時間は、還元方法、用いる担体及び金属化合物、溶媒、還元剤等により異なるので一概に言えないが、液相還元法の場合、還元温度は−5℃以上が好ましく、より好ましくは0℃以上であり、さらに好ましくは15℃以上である。また、還元温度は150℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは80℃以下である。還元時間は0.1時間以上が好ましく、より好ましくは0.25時間以上であり、さらに好ましくは0.5時間以上である。また、還元時間は24時間以下が好ましく、より好ましくは4時間以下であり、さらに好ましくは3時間以下、特により好ましくは2時間以下である。
還元後、分散液から担体に金属が担持された触媒を分離する。この方法は特に限定されないが、例えば、ろ過、遠心分離等の方法を用いることができる。分離された触媒は適宜乾燥される。乾燥方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
なお、還元後に触媒と分離された溶液に含まれる金属の濃度は10mg/l以下にすることが好ましい。この量は還元前の金属化合物濃度や還元条件等により調節できる。溶液中の金属の有無はヒドラジン等の還元剤を添加することにより簡便に確認でき、また、溶液中の金属の量はICP等の元素分析で定量することができる。
触媒の金属担持率は、担持前の担体に対して0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上であり、特に好ましくは4質量%以上である。また、触媒の金属担持率は、担持前の担体の質量に対して40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは15質量%以下である。担持率は、触媒調製に用いた担体質量、金属化合物中の金属の質量、還元後に触媒と分離された溶液に含まれる金属の質量から求めることができる。
このようにして製造された触媒は、溶媒で洗浄後、分散液の状態で反応に使用しても良く、遠心分離やろ過により分離して反応に使用しても良い。
触媒は、液相酸化に供する前に、活性化してもよい。活性化の方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができる。活性化の方法としては水素気流中の還元雰囲気下で加熱する方法が好ましい。
(3)α,β−不飽和カルボン酸の製造方法
次に、このようにして得られた本発明のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を用いて、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相酸化してα,β−不飽和カルボン酸を製造する方法について説明する。
液相酸化の原料のオレフィンとしては、例えば、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン等が挙げられる。また、原料のα,β−不飽和アルデヒドとしては、例えば、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(β−メチルアクロレイン)、シンナムアルデヒド(β−フェニルアクロレイン)等が挙げられる。原料のオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドには、不純物として飽和炭化水素および/または低級飽和アルデヒド等が少々含まれていてもよい。
液相酸化で製造されるα,β−不飽和カルボン酸は、原料がオレフィンの場合、オレフィンと同一炭素骨格を有するα,β−不飽和カルボン酸である。また、原料がα,β−不飽和アルデヒドの場合、α,β−不飽和アルデヒドのアルデヒド基がカルボキシル基に変化したα,β−不飽和カルボン酸である。
本発明の触媒は、プロピレンまたはアクロレインからアクリル酸、イソブチレンまたはメタクロレインからメタクリル酸を製造する液相酸化に好適である。
反応に用いる分子状酸素源には、空気が経済的であるが、純酸素または純酸素と空気の混合ガスを用いることもでき、必要であれば、空気または純酸素を窒素、二酸化炭素、水蒸気等で希釈した混合ガスを用いることもできる。
液相酸化に用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、水;ターシャリーブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸等の有機酸類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の有機酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類、またはこれらの群から選ばれる2種以上の混合溶媒を用いることができる。中でも、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる1種または2種以上の溶媒が好ましく、C2〜C6の有機酸類、ターシャリーブタノール、および、C3〜C6のケトン類からなる群より選ばれる1種またはこれらの混合物がより好ましく、ターシャリーブタノール、酢酸およびn−吉草酸のいずれかを含むことが特に好ましい。また、アルコール類、ケトン類、有機酸類および有機酸エステル類からなる群から選ばれる1種または2種以上の溶媒と水との混合溶媒とすることにより、液相酸化反応の成績はさらに向上するので好ましい。その際の水の量は特に限定されないが、混合溶媒の質量に対して2質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、70質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下である。溶媒は均一であることが望ましいが、不均一な状態で用いても差し支えない。
液相酸化反応は連続式、バッチ式の何れの形式で行ってもよいが、生産性を考慮すると工業的には連続式が好ましい。
原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの使用量は、溶媒100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上である。また、20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下である。
分子状酸素の使用量は、原料であるオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド1モルに対して、0.1モル以上が好ましく、より好ましくは0.3モル以上であり、特に好ましくは0.5モル以上である。また、上記分子状酸素の使用量は、30モル以下が好ましく、より好ましくは25モル以下であり、さらに好ましくは20モル以下であり、特に好ましくは15モル以下であり、最も好ましくは10モル以下である。
触媒は液相酸化を行なう反応液に懸濁させた状態で使用する。触媒の使用量は、反応器内に存在する溶液100質量部に対して、反応器内に存在する触媒として0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であり、特に好ましくは1質量部以上である。また、上記触媒の使用量は、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下であり、特に好ましくは15質量部以下である。
反応温度および反応圧力は、用いる溶媒および反応原料によって適宜選択される。反応温度は30℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上であり、特に好ましくは70℃以上である。また、反応温度は200℃以下が好ましく、より好ましくは150℃以下である。反応圧力は大気圧(0MPa)以上が好ましく、より好ましくは0.5MPa以上であり、さらに好ましくは2MPa以上であり、10MPa以下が好ましく、より好ましくは7MPa以下であり、さらに好ましくは5MPa以下である。
加圧での反応を行なう際には、撹拌機能をもつオートクレーブを用いることが好ましい。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。下記の実施例および比較例中の「部」は「質量部」を意味する。
(原料および生成物の分析)
原料および生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。なお、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの反応率、生成するα,β−不飽和アルデヒドの選択率、生成するポリマー・オリゴマーの選択率、生成するα,β−不飽和カルボン酸の選択率及び生産性は以下のように定義される。
オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの反応率(%)=(B/A)×100
α,β−不飽和アルデヒドの選択率(%) =(C/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の選択率(%) =(D/B)×100
ポリマー・オリゴマーの選択率(%) =(E/B)×100
α,β−不飽和カルボン酸の生産性(g/(g・h)) =F/(G×H)
ここで、Aは供給したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Bは反応したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Cは生成したα,β−不飽和アルデヒドのモル数、Dは生成したα,β−不飽和カルボン酸のモル数、Eはポリマーおよびオリゴマーの総質量(単位:g)を供給したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドの分子量で除して算出したオレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒド換算のポリマーおよびオリゴマーのモル数、Fは生成したα,β−不飽和カルボン酸の質量(単位:g)、Gは使用した触媒に含まれる金属の質量(単位:g)、Hは反応時間(単位:h)である。ここで、α,β−不飽和アルデヒドの液相酸化反応の場合には、C/B=0である。
[担体の物性測定]
担体の細孔容積、細孔分布は、Micromeritics社製自動比表面積/細孔分布測定装置TriStar3000(商品名)を用いて、窒素ガス吸着法に基づく定容法により測定した。この方法により測定可能な細孔径はおよそ1〜100nmの範囲であり、本発明において記載されている全ての細孔容積、細孔分布は相対圧(吸着平衡圧/飽和蒸気圧)を上昇させる方向での窒素吸着量の変化(吸着等温線)をもとに算出した。
上記の測定において、t−plot法を用いて担体の単位質量あたりの全細孔容積、およびBET比表面積を測定した。また、BJH法を用いて細孔径2nm以上50nm以下の細孔(メソポア孔)の細孔容積を算出して、全細孔容積に対する割合を算出した。
[実施例1]
(触媒調製)
酢酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)1部を88質量%n−吉草酸水溶液55部に溶解した。この溶液をオートクレーブに移し、クラレケミカル社製合成原料活性炭(全細孔容積は0.64cc/g、BET比表面積は1313m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の7.8%)5部を加えて撹拌した。プロピレンを0.5MPaまで導入した後、50℃まで30分で昇温して30分間還元を行なった。還元終了後、得られた担持パラジウム触媒をろ過後、88質量%酢酸水溶液で洗浄、置換した後、ろ過して、担持率10質量%のパラジウム含有担持触媒を得た。
(反応評価)
オートクレーブに反応溶媒として200ppmのパラメトキシフェノール(重合禁止剤)を含有する88質量%酢酸水溶液135部を入れ、上記の担持率10質量%のパラジウム含有担持触媒5.5部を添加した。さらにメタクロレイン4.5部を添加して容器を密閉した後、撹拌をしながら90℃まで昇温した。空気を3.2MPaまで導入してメタクロレインの酸化反応を20分間行なった。酸化反応における分子状酸素の使用量はメタクロレイン1モルに対して0.76モルであった。反応終了後、オートクレーブを室温付近まで冷却した後、反応液を取り出した。触媒を分離した反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。
このとき、メタクロレインの反応率84.0%、メタクリル酸選択率83.2%、メタクリル酸生産性23.1g/(g・h)であった。
[実施例2]
担体としてクラレケミカル社製ヤシ殻原料活性炭(全細孔容積は0.49cc/g、BET比表面積は988m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の10%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率89.7%、メタクリル酸選択率84.7%、メタクリル酸生産性25.2g/(g・h)であった。
[実施例3]
担体としてダイネン社製石炭原料活性炭(全細孔容積は0.46cc/g、BET比表面積は753m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の33%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率84.4%、メタクリル酸選択率80.1%、メタクリル酸生産性22.4g/(g・h)であった。
[実施例4]
担体としてクラレケミカル社製合成原料活性炭(全細孔容積は0.75cc/g、BET比表面積は1613m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の4.0%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率78.3%、メタクリル酸選択率80.1%、メタクリル酸生産性20.8g/(g・h)であった。
[実施例5]
担体としてダイネン社製石炭原料活性炭(全細孔容積は0.92cc/g、BET比表面積は1345m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の52%)を使用し、反応時間を11分とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率90.3%、メタクリル酸選択率77.3%、メタクリル酸生産性は42.1g/(g・h)であった。
[実施例6]
担体としてクラレケミカル社製合成原料活性炭(全細孔容積は1.27cc/g、BET比表面積は2587m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の26%)を使用し、反応時間を11分とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率89.5%、メタクリル酸選択率78.3%、メタクリル酸生産性は42.3g/(g・h)であった。
[実施例7]
担体としてノリット社製木炭原料活性炭(全細孔容積は1.30cc/g、BET比表面積は1692m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の58%)を使用し、反応時間を15分とした以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率86.9%、メタクリル酸選択率76.2%、メタクリル酸生産性は29.3g/(g・h)であった。
[比較例1]
担体として関西熱化学社製石炭原料活性炭(全細孔容積は1.61cc/g、BET比表面積は3174m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の35%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率35.0%、メタクリル酸選択率24.3%、メタクリル酸生産性2.8g/(g・h)であった。
[比較例2]
担体としてノリット社製木材原料活性炭(全細孔容積は1.61cc/g、BET比表面積は1680m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の68%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応評価を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率83.1%、メタクリル酸選択率54.5%、メタクリル酸生産性15.0g/(g・h)であった。
[比較例3]
担体としてクラレケミカル社製合成原料活性炭(全細孔容積は0.37cc/g、BET比表面積は690m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の2.7%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で触媒調製、反応を行なった。
このとき、メタクロレインの反応率50.5%、メタクリル酸選択率65.2%、メタクリル酸生産性10.9g/(g・h)であった。
表1に実施例1〜7及び比較例1〜3で使用した担体の物性および反応成績の一覧を示す。全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体を使用した実施例1〜7において、メタクリル酸の選択率及び生産性が良好であることがわかった。さらに、全細孔容積が小さめの担体を使用した実施例1〜4において、メタクリル酸選択率が特に良好であることがわかった。また全細孔容積が大きめの担体を使用した実施例5〜7において、メタクリル酸の生産性が特に良好であることがわかった。
Figure 0004699038
[実施例8]
(触媒調製)
酢酸パラジウム(N.E.ケムキャット製)1.05部を酢酸20部に溶解した。シリカ担体(全細孔容積は0.68cc/g、BET比表面積は450m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の100%)10部に酢酸溶液を加えて振とうした後、エバポレーションを行った。その後、空気中450℃で3時間焼成を行った。得られた触媒前駆体を37質量%ホルムアルデヒド水溶液13部に加えた。70℃に加熱し、2時間攪拌保持し、吸引ろ過後、水および75質量%t−ブタノール水溶液でろ過洗浄して、担持率5質量%のパラジウム含有担持触媒を得た。
(反応評価)
オートクレーブに上記の方法で得た触媒全量(10.5部)と反応溶媒として75質量%t−ブタノール水溶液100部、p−メトキシフェノール0.02部を入れ、オートクレーブを密閉した。次いで、イソブチレンを2.75部導入し、攪拌(回転数1000rpm)を開始し、90℃まで昇温した。昇温完了後、オートクレーブに窒素を内圧2.3MPaまで導入した後、圧縮空気を内圧4.6MPaまで導入した。反応中に内圧が0.1MPa低下した時点で、酸素を導入して内圧を0.1MPa昇圧する操作を10回繰り返した。10回目の酸素導入後、内圧が0.1MPa低下した時点で反応を終了した。このときの反応時間は56分であった。酸化反応における分子状酸素の使用量はイソブチレン1モルに対して3.48モルであった。
反応終了後、氷浴でオートクレーブ内を氷冷した。オートクレーブのガス出口にガス捕集袋を取り付け、ガス出口を開栓して出てくるガスを回収しながら反応器内の圧力を開放した。オートクレーブから触媒入りの反応液を取り出し、メンブランフィルターで触媒を分離して、反応液を回収した。回収した反応液と捕集したガスをガスクロマトグラフィーにより分析し、反応率及び選択率を算出した。
このとき、イソブチレンの反応率90.7%、メタクロレイン選択率28.2%、メタクリル酸選択率28.6%、メタクリル酸生産性2.2g/(g・h)であった。
[実施例9]
使用する担体をシリカ/アルミナ(SiO2/Al23)のモル比が200のY型ゼオライト(全細孔容積は0.50cc/g、BET比表面積は629m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の42%)に変更した以外は実施例8と同様の方法で、パラジウム金属が担持されたY型ゼオライト担持型パラジウム含有触媒を得た。
上記で得られた触媒を用いて、反応時間を38分とした以外は実施例8と同様の方法で反応を行った。このとき、イソブチレンの反応率75.2%、メタクロレイン選択率49.9%、メタクリル酸選択率19.0%、メタクリル酸生産性1.9g/(g・h)であった。
[比較例4]
使用する担体をシリカ/アルミナ(SiO2/Al23)のモル比が485のH−ZSM−5型ゼオライト(全細孔容積は0.20cc/g、BET比表面積は343m2/g、細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合は全細孔容積の29%)に変更した以外は実施例8と同様の方法で、パラジウム金属が担持されたH−ZSM−5ゼオライト担持型パラジウム含有触媒を得た。
上記で得られた触媒を用いて、反応時間を107分とした以外は実施例8と同様の方法で反応を行った。このとき、イソブチレンの反応率67.4%、メタクロレイン選択率59.1%、メタクリル酸選択率15.4%、メタクリル酸生産性0.5g/(g・h)であった。
表2に実施例8及び9並びに比較例4で使用した担体の物性および反応成績の一覧を示す。全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体を使用した実施例8及び9において、メタクリル酸の選択率及び生産性が良好であることがわかった。
Figure 0004699038
以上のように、本発明の触媒を用いることで、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を良好な反応成績で製造できることが分かった。

Claims (7)

  1. オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドから、反応液と触媒を懸濁させながら行う液相酸化によりα,β−不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.40〜1.50cc/gである担体に、金属が担持されていることを特徴とするα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  2. 前記担体の、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.40〜0.80cc/gである請求項1記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  3. 前記担体の、窒素ガス吸着法により測定した細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合が全細孔容積の40%以下である請求項2記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  4. 前記担体の、窒素ガス吸着法により測定した全細孔容積が0.80〜1.50cc/gである請求項1記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  5. 前記担体の、窒素ガス吸着法により測定した細孔径2nm以上50nm以下のメソポア孔の細孔容積の割合が全細孔容積の10%以上である請求項4記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒。
  6. 請求項1〜5いずれか記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法であって、前記担体の存在下で金属化合物を還元剤で還元するα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒の製造方法。
  7. 請求項1〜5いずれか記載のα,β−不飽和カルボン酸製造用触媒を反応液に懸濁させた状態で、オレフィンまたはα,β−不飽和アルデヒドを分子状酸素によって液相中で酸化するα,β−不飽和カルボン酸の製造方法。
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