JP4698790B2 - ブーム式作業車の姿勢維持装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ブーム式作業車の姿勢維持装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図１に示すようなブーム式高所作業車に例を取り、ブーム式作業車を説明し、ブーム式作業車の姿勢維持装置については、図１および図５を用いて説明する。
【０００３】
ブーム式高所作業車Ｚは、車両１に、アウトリガ２を備え、車両１上に旋回自在に旋回台３を備えている。旋回台３の上端部３ｂには、伸縮自在なブーム４の基端部４ａが起伏自在に枢支されて、起伏シリンダ５によって起伏駆動され、伸縮シリンダ６（図示せず）によって伸縮駆動される。
【０００４】
ブーム4の先端部４ｂにはブーム起伏面に沿って揺動自在に姿勢維持部材７が設けられ、姿勢維持部材７には作業台８が取付けられている。姿勢維持部材７は、その一端をブーム4の先端部４ｂに他端を姿勢維持部材７に枢支されたレベリングシリンダ９（姿勢維持手段）により揺動駆動される。
【０００５】
レベリングシリンダ９は、車両１側に配置された油圧ポンプ（圧油発生手段）10が発生する圧油により駆動され、この圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート３位置弁14、カウンタバランス弁（停止維持手段）15を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【０００６】
送油ホース11は、旋回台３およびブーム４に沿って配設され、４ポート３位置弁14、およびカウンタバランス弁15は、レベリングシリンダ９の近傍に配置されている。
【０００７】
レベリングシリンダ９の作動を、４ポート３位置弁14は、ノーマル位置14ａで停止させ、一方の作動位置14ｂで姿勢維持部材７の姿勢を起仰方向に作動させ、他方の作動位置14ｃで姿勢維持部材７の姿勢を倒伏方向に作動させるよう、圧油をレベリングシリンダ９に供給する。そして、ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成している。
【０００８】
カウンタバランス弁15は、レベリングシリンダ９を、圧油の非供給時（４ポート３位置弁14のノーマル位置14ａ）には停止位置で維持し、圧油の供給時（４ポート３位置弁14の一方および他方の作動位置14ｂ、14ｃ）には作動可能に制御する。
【０００９】
姿勢検出手段16は、姿勢維持部材７または作業台（作業機）８に取付けられ、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢を検出し信号を出力する。
【００１０】
制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁14を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁14へ出力する。この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁14を一方または他方の作動位置14ｂ、14ｃに駆動する信号である。
【００１１】
このように構成された従来のブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００１２】
オペレータは、ブーム式高所作業車を、作業現場で、アウトリガ２を接地し車両１を設置すると、伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起仰、伸長、旋回作動させ、作業対象物に適した位置に作業台８を移動させる。
【００１３】
この際、伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が元の姿勢から変化する。
【００１４】
姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁14を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁14へ出力する。
【００１５】
４ポート３位置弁14は、前記駆動信号により、一方または他方の作動位置14ｂ、14ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、カウンタバランス弁15を経過してレベリングシリンダ９に供給する。
【００１６】
この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁14を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００１７】
以後伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起伏、伸縮、旋回作動させブーム式高所作業車の姿勢を変化させても、同様な制御が行われ、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００１８】
ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、このように、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持するので、高所作業において安定的な足場を確保でき、安全な作業と効率のよい作業ができる。
【００１９】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のブーム式高所作業車の姿勢維持装置における４ポート３位置弁14は、ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成している。
【００２０】
そして、この４ポート３位置弁14は、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、圧油の供給を、車両１側に配置された油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して受けている。
【００２１】
ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成されているため、油圧ポンプ10、送油ホース11、４ポート３位置弁14、送油ホース12、油タンク13と循環している圧油の圧力は、レベリングシリンダ９を作動させる圧力には到底達していない低圧である。
【００２２】
また、４ポート３位置弁14は、油圧ポンプ10から、伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にある。
【００２３】
そこで、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢の変化を、姿勢検出手段16が検出し、制御手段17が駆動信号を、４ポート３位置弁14へ出力しても、圧油の圧力がレベリングシリンダ９を作動させる圧力に昇圧されるまでに時間が掛かる。時間が掛かる分、姿勢の変化を解消するのに遅れが出て、乗り心地を悪くするという問題点がある。この遅れは、伸縮ブーム４が長いほど、また圧油の粘度が大きいほど大きくなる。
【００２４】
本願発明の課題は、この問題点を解消するブーム式作業車の姿勢維持装置を提供することである。
【００２５】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本願発明のブーム式作業車の姿勢維持装置は、圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油を、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているよう構成し、姿勢変化の解消作動までの時間を可及的に短くしたのである。
【００２６】
請求項２および３では、さらに４ポート２位置弁を加え、停止維持の確実化を計っている。
【００２７】
請求項１では、車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、姿勢維持手段を圧油の非供給時には停止位置で維持し供給時には作動可能にする停止維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置において、前記停止維持手段は、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に配置し、前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではＰポートをブロックし、前記圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているようにすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに連通して構成している。
【００２８】
請求項２では、車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置において、前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではオールポートブロックとすると共に、そのＡポートおよびＢポートをそれぞれ４ポート３位置弁のＰポートおよびＲポートに接続する一方、ノーマル位置ではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに接続した４ポート２位置弁を、４ポート３位置弁の上流側かつ近傍に設け、前記圧油発生手段から４ポート２位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧され、前記制御手段は、４ポート３位置弁に駆動信号を出力する時には４ポート２位置弁にも駆動信号を出力するよう構成している。
【００２９】
請求項３では、請求項２において、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に圧油の供給がなければ停止位置で維持し供給があれば作動可能にする停止維持手段を設けて構成している。
【００３０】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明のブーム式高所作業車の姿勢維持装置について、図１〜図４に基いて説明する。なお、以下に説明する符号１〜13、15〜17、Ｚは、従来の技術で説明したものと同じであるので詳細な説明を省略し、以下の説明においても同符号を用いて説明する。
【００３１】
請求項１に関わる実施の形態では、図１、図２に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、従来と同様な、車両１、アウトリガ２、旋回台３、ブーム４、起伏シリンダ５、伸縮シリンダ６、姿勢維持部材７、作業台８、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）、油圧ポンプ（圧油発生手段）10、送油ホース11、12、油タンク13、カウンタバランス弁（停止維持手段）15、姿勢検出手段16の構成を備えている。
【００３２】
22は、４ポート３位置弁であり、ノーマル位置22ａではＰポートをブロックすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として構成している。そして、Ｒポートは、送油ホース12を介して、油タンク13に連通している。
【００３３】
このように構成すると、ノーマル位置22ａにおいて、ＰポートからＡまたはＢポートに仮に圧油が漏れ込んでも、ＡおよびＢポートはＲポートに連通しさらに送油ホース12を介して油タンク13に連通しているので、ＡおよびＢポートでの圧油の昇圧がない。よって、ノーマル位置22ａにおいて、レベリングシリンダ９が作動しないことを補償できる。
【００３４】
そして、油圧ポンプ10が発生した圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート３位置弁22、カウンタバランス弁15を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【００３５】
４ポート３位置弁22は、レベリングシリンダ９の近傍に配置されている。
【００３６】
レベリングシリンダ９の作動を、４ポート３位置弁22は、ノーマル位置22ａで停止させ、一方の作動位置22ｂで姿勢維持部材７の姿勢を起仰方向に作動させ、他方の作動位置22ｃで姿勢維持部材７の姿勢を倒伏方向に作動させるよう、圧油をレベリングシリンダ９に供給する。
【００３７】
制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁22を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁22へ出力する。この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁22を一方または他方の作動位置22ｂ、22ｃに駆動する信号である。
【００３８】
このように構成された本願発明の請求項１に関わるブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００３９】
オペレータは、ブーム式高所作業車を、作業現場で、アウトリガ２を接地し車両１を設置すると、伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起仰、伸長、旋回作動させ、作業対象物に適した位置に作業台８を移動させる。
【００４０】
この際、伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が元の姿勢から変化する。
【００４１】
姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁22を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁22へ出力する。
【００４２】
４ポート３位置弁22は、前記駆動信号により、一方または他方の作動位置22ｂ、22ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、カウンタバランス弁15を経過してレベリングシリンダ９に供給する。
【００４３】
この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁22を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００４４】
このとき、４ポート３位置弁22は、ノーマル位置22ａではＰポートをブロックしているので、油圧ポンプ10から４ポート３位置弁に供給される圧油は、レベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧されている。そこで、４ポート３位置弁22が、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、油圧ポンプ10から伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にあっても、レベリングシリンダ９への圧油の供給に掛かる時間が可及的に短いのである。よって、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが可及的に少ないのである。
【００４５】
以後伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起伏、伸縮、旋回作動させブーム式高所作業車の姿勢を変化させても、同様な制御が行われ、姿勢の変化を解消するのに遅れが出ないで、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００４６】
つぎに請求項２に関わる実施の形態では、図３に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、従来と同様な、車両１、アウトリガ２、旋回台３、ブーム４、起伏シリンダ５、伸縮シリンダ６、姿勢維持部材７、作業台８、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）、油圧ポンプ（圧油発生手段）10、送油ホース11、12、油タンク13、姿勢検出手段16と、を備えている。
【００４７】
21は、４ポート３位置弁であり、ノーマル位置21ａではオールポートブロックとなっている。そして、４ポート３位置弁21は、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）の近傍に配置されている。
【００４８】
23は、４ポート２位置弁であり、レベリングシリンダ９の近傍に配置された４ポート３位置弁21の上流側かつ近傍に設けている。４ポート２位置弁23は、ＡポートおよびＢポートをそれぞれ４ポート３位置弁21のＰポートおよびＲポートに接続する一方、ノーマル位置23ａではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として構成している。そして、Ｒポートは、送油ホース12を介して、油タンク13に連通している。
【００４９】
そこで、油圧ポンプ（圧油発生手段）10が発生した圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート２位置弁23、４ポート３位置弁21、を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【００５０】
このように構成された本願発明の請求項２に関わるブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００５１】
伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁21を駆動する駆動信号にして、４ポート２位置弁23、および４ポート３位置弁21へ出力する。
【００５２】
駆動信号により、４ポート２位置弁23は、作動位置23ｂに駆動されると共に、４ポート３位置弁21は、一方または他方の作動位置21ｂ、21ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、レベリングシリンダ９に供給する。
【００５３】
この駆動信号は、４ポート２位置弁23に対しては、圧油を４ポート３位置弁21に供給するよう作動位置23ｂに駆動する信号であり、４ポート３位置弁21に対しては、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁21を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００５４】
このとき、４ポート２位置弁23は、ノーマル位置23ａではＰポートをブロックしているので、油圧ポンプ10から４ポート２位置弁23に供給される圧油は、レベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧されている。そこで、４ポート２位置弁23、および４ポート３位置弁21が、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、油圧ポンプ10から伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にあっても、レベリングシリンダ９への圧油の供給に掛かる時間が可及的に短いのである。よって、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが、可及的に少ないのである。
【００５５】
請求項３に関わる実施の形態では、図4に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、請求項２における構成にカウンタバランス弁15を加えた構成としている。
【００５６】
このように構成すると、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が変化しても、変化を解消し、元の姿勢に維持する作用、および姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短いという作用は、請求項２と同じ作用を備えるうえに、仮にカウンタバランス弁15にごみ噛み等が発生し、カウンタバランス弁15の停止維持機能が損なわれるようなことになっても、４ポート３位置弁21が圧油の漏れを防止するので安全である。
【００５７】
以上の説明では、姿勢維持手段９をレベリングシリンダとして説明したが、油圧モータあるいは油圧モータおよび減速機を用いたものとしてもよいことはもちろんである。
【００５８】
また、圧油発生手段10は、油圧ポンプとして説明したが、油圧ポンプからの圧油を畜圧したアキュムレータでもよいことはもちろんである。油圧ポンプの場合、可変容量形ポンプを用いれば、流量を少なくしてレベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧させておけるので好都合である。
【００５９】
なお、圧油発生手段10が配置される車両側とは、少なくとも車両１、旋回台３、ブーム4の基端部４ａを含んでいるものである。
【００６０】
さらに、停止維持手段15は、カウンタバランス弁として説明したが、圧油をパイロットとして作動する機械的ブレーキ（ディスクブレーキ等）やロックでもよいことはもちろんである。
【００６１】
また、作業機８は、オペレータの搭乗する作業台として説明したが、マニピュレータ、ロボット等でもよいことはもちろんである。
【００６２】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本願発明のブーム式作業車の姿勢維持装置は、姿勢維持手段の近傍に配置され、圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁を、ノーマル位置ではＰポートをブロックすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに連通する構成とした。これにより、圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているので、圧油発生手段が車両側に配置されていても、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが可及的に少ないという大きな効果を持つものである。また、ノーマル位置において、ＰポートからＡまたはＢポートに仮に圧油が漏れ込んでも、ＡおよびＢポートでの圧油の昇圧がない。よって、ノーマル位置において、姿勢維持手段が作動しないことを補償できるという大きな効果を持つものである。
【００６３】
さらに、４ポート３位置弁を、ノーマル位置ではオールポートブロックとすると共に、ノーマル位置ではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに接続した４ポート２位置弁を、４ポート３位置弁の上流側かつ近傍に設けた構成とすることもできる。このように構成すれば、以上の効果に加え、仮にカウンタバランス弁15にごみ噛み等が発生し、カウンタバランス弁15の停止維持機能が損なわれるようなことになっても、４ポート３位置弁21が圧油の漏れを防止するので安全であるという大きな効果を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本願発明に係るブーム式作業車であるブーム式高所作業車の説明図である。
【図２】本願発明の請求項１に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図３】本願発明の請求項２に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図４】本願発明の請求項３に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図５】従来の姿勢維持装置を示す説明図である。
【符号の説明】
１ 車両
４ ブーム
７ 姿勢維持部材
８ 作業機
９ 姿勢維持手段
10 圧油発生手段
14、21、22 ４ポート３位置弁
14ａ、21ａ、22ａ ノーマル位置
15 停止維持手段
16 姿勢検出手段
17 制御手段
23 ４ポート２位置弁
Ａ Aポート
Ｂ Ｂポート
Ｐ Ｐポート
Ｒ Ｒポート
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ブーム式作業車の姿勢維持装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図１に示すようなブーム式高所作業車に例を取り、ブーム式作業車を説明し、ブーム式作業車の姿勢維持装置については、図１および図５を用いて説明する。
【０００３】
ブーム式高所作業車Ｚは、車両１に、アウトリガ２を備え、車両１上に旋回自在に旋回台３を備えている。旋回台３の上端部３ｂには、伸縮自在なブーム４の基端部４ａが起伏自在に枢支されて、起伏シリンダ５によって起伏駆動され、伸縮シリンダ６（図示せず）によって伸縮駆動される。
【０００４】
ブーム4の先端部４ｂにはブーム起伏面に沿って揺動自在に姿勢維持部材７が設けられ、姿勢維持部材７には作業台８が取付けられている。姿勢維持部材７は、その一端をブーム4の先端部４ｂに他端を姿勢維持部材７に枢支されたレベリングシリンダ９（姿勢維持手段）により揺動駆動される。
【０００５】
レベリングシリンダ９は、車両１側に配置された油圧ポンプ（圧油発生手段）10が発生する圧油により駆動され、この圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート３位置弁14、カウンタバランス弁（停止維持手段）15を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【０００６】
送油ホース11は、旋回台３およびブーム４に沿って配設され、４ポート３位置弁14、およびカウンタバランス弁15は、レベリングシリンダ９の近傍に配置されている。
【０００７】
レベリングシリンダ９の作動を、４ポート３位置弁14は、ノーマル位置14ａで停止させ、一方の作動位置14ｂで姿勢維持部材７の姿勢を起仰方向に作動させ、他方の作動位置14ｃで姿勢維持部材７の姿勢を倒伏方向に作動させるよう、圧油をレベリングシリンダ９に供給する。そして、ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成している。
【０００８】
カウンタバランス弁15は、レベリングシリンダ９を、圧油の非供給時（４ポート３位置弁14のノーマル位置14ａ）には停止位置で維持し、圧油の供給時（４ポート３位置弁14の一方および他方の作動位置14ｂ、14ｃ）には作動可能に制御する。
【０００９】
姿勢検出手段16は、姿勢維持部材７または作業台（作業機）８に取付けられ、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢を検出し信号を出力する。
【００１０】
制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁14を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁14へ出力する。この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁14を一方または他方の作動位置14ｂ、14ｃに駆動する信号である。
【００１１】
このように構成された従来のブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００１２】
オペレータは、ブーム式高所作業車を、作業現場で、アウトリガ２を接地し車両１を設置すると、伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起仰、伸長、旋回作動させ、作業対象物に適した位置に作業台８を移動させる。
【００１３】
この際、伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が元の姿勢から変化する。
【００１４】
姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁14を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁14へ出力する。
【００１５】
４ポート３位置弁14は、前記駆動信号により、一方または他方の作動位置14ｂ、14ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、カウンタバランス弁15を経過してレベリングシリンダ９に供給する。
【００１６】
この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁14を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００１７】
以後伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起伏、伸縮、旋回作動させブーム式高所作業車の姿勢を変化させても、同様な制御が行われ、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００１８】
ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、このように、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持するので、高所作業において安定的な足場を確保でき、安全な作業と効率のよい作業ができる。
【００１９】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のブーム式高所作業車の姿勢維持装置における４ポート３位置弁14は、ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成している。
【００２０】
そして、この４ポート３位置弁14は、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、圧油の供給を、車両１側に配置された油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して受けている。
【００２１】
ノーマル位置14ａでは、ＰＲ接続として油タンク13に連通して構成されているため、油圧ポンプ10、送油ホース11、４ポート３位置弁14、送油ホース12、油タンク13と循環している圧油の圧力は、レベリングシリンダ９を作動させる圧力には到底達していない低圧である。
【００２２】
また、４ポート３位置弁14は、油圧ポンプ10から、伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にある。
【００２３】
そこで、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢の変化を、姿勢検出手段16が検出し、制御手段17が駆動信号を、４ポート３位置弁14へ出力しても、圧油の圧力がレベリングシリンダ９を作動させる圧力に昇圧されるまでに時間が掛かる。時間が掛かる分、姿勢の変化を解消するのに遅れが出て、乗り心地を悪くするという問題点がある。この遅れは、伸縮ブーム４が長いほど、また圧油の粘度が大きいほど大きくなる。
【００２４】
本願発明の課題は、この問題点を解消するブーム式作業車の姿勢維持装置を提供することである。
【００２５】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本願発明のブーム式作業車の姿勢維持装置は、圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油を、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているよう構成し、姿勢変化の解消作動までの時間を可及的に短くしたのである。
【００２６】
請求項２および３では、さらに４ポート２位置弁を加え、停止維持の確実化を計っている。
【００２７】
請求項１では、車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、姿勢維持手段を圧油の非供給時には停止位置で維持し供給時には作動可能にする停止維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置において、前記停止維持手段は、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に配置し、前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではＰポートをブロックし、前記圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているようにすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに連通して構成している。
【００２８】
請求項２では、車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置において、前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではオールポートブロックとすると共に、そのＡポートおよびＢポートをそれぞれ４ポート３位置弁のＰポートおよびＲポートに接続する一方、ノーマル位置ではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに接続した４ポート２位置弁を、４ポート３位置弁の上流側かつ近傍に設け、前記圧油発生手段から４ポート２位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧され、前記制御手段は、４ポート３位置弁に駆動信号を出力する時には４ポート２位置弁にも駆動信号を出力するよう構成している。
【００２９】
請求項３では、請求項２において、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に圧油の供給がなければ停止位置で維持し供給があれば作動可能にする停止維持手段を設けて構成している。
【００３０】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明のブーム式高所作業車の姿勢維持装置について、図１〜図４に基いて説明する。なお、以下に説明する符号１〜13、15〜17、Ｚは、従来の技術で説明したものと同じであるので詳細な説明を省略し、以下の説明においても同符号を用いて説明する。
【００３１】
請求項１に関わる実施の形態では、図１、図２に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、従来と同様な、車両１、アウトリガ２、旋回台３、ブーム４、起伏シリンダ５、伸縮シリンダ６、姿勢維持部材７、作業台８、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）、油圧ポンプ（圧油発生手段）10、送油ホース11、12、油タンク13、カウンタバランス弁（停止維持手段）15、姿勢検出手段16の構成を備えている。
【００３２】
22は、４ポート３位置弁であり、ノーマル位置22ａではＰポートをブロックすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として構成している。そして、Ｒポートは、送油ホース12を介して、油タンク13に連通している。
【００３３】
このように構成すると、ノーマル位置22ａにおいて、ＰポートからＡまたはＢポートに仮に圧油が漏れ込んでも、ＡおよびＢポートはＲポートに連通しさらに送油ホース12を介して油タンク13に連通しているので、ＡおよびＢポートでの圧油の昇圧がない。よって、ノーマル位置22ａにおいて、レベリングシリンダ９が作動しないことを補償できる。
【００３４】
そして、油圧ポンプ10が発生した圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート３位置弁22、カウンタバランス弁15を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【００３５】
４ポート３位置弁22は、レベリングシリンダ９の近傍に配置されている。
【００３６】
レベリングシリンダ９の作動を、４ポート３位置弁22は、ノーマル位置22ａで停止させ、一方の作動位置22ｂで姿勢維持部材７の姿勢を起仰方向に作動させ、他方の作動位置22ｃで姿勢維持部材７の姿勢を倒伏方向に作動させるよう、圧油をレベリングシリンダ９に供給する。
【００３７】
制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁22を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁22へ出力する。この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁22を一方または他方の作動位置22ｂ、22ｃに駆動する信号である。
【００３８】
このように構成された本願発明の請求項１に関わるブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００３９】
オペレータは、ブーム式高所作業車を、作業現場で、アウトリガ２を接地し車両１を設置すると、伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起仰、伸長、旋回作動させ、作業対象物に適した位置に作業台８を移動させる。
【００４０】
この際、伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が元の姿勢から変化する。
【００４１】
姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁22を駆動する駆動信号にして、４ポート３位置弁22へ出力する。
【００４２】
４ポート３位置弁22は、前記駆動信号により、一方または他方の作動位置22ｂ、22ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、カウンタバランス弁15を経過してレベリングシリンダ９に供給する。
【００４３】
この駆動信号は、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁22を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００４４】
このとき、４ポート３位置弁22は、ノーマル位置22ａではＰポートをブロックしているので、油圧ポンプ10から４ポート３位置弁に供給される圧油は、レベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧されている。そこで、４ポート３位置弁22が、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、油圧ポンプ10から伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にあっても、レベリングシリンダ９への圧油の供給に掛かる時間が可及的に短いのである。よって、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが可及的に少ないのである。
【００４５】
以後伸縮ブーム４および旋回台３を適宜起伏、伸縮、旋回作動させブーム式高所作業車の姿勢を変化させても、同様な制御が行われ、姿勢の変化を解消するのに遅れが出ないで、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００４６】
つぎに請求項２に関わる実施の形態では、図３に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、従来と同様な、車両１、アウトリガ２、旋回台３、ブーム４、起伏シリンダ５、伸縮シリンダ６、姿勢維持部材７、作業台８、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）、油圧ポンプ（圧油発生手段）10、送油ホース11、12、油タンク13、姿勢検出手段16と、を備えている。
【００４７】
21は、４ポート３位置弁であり、ノーマル位置21ａではオールポートブロックとなっている。そして、４ポート３位置弁21は、レベリングシリンダ９（姿勢維持手段）の近傍に配置されている。
【００４８】
23は、４ポート２位置弁であり、レベリングシリンダ９の近傍に配置された４ポート３位置弁21の上流側かつ近傍に設けている。４ポート２位置弁23は、ＡポートおよびＢポートをそれぞれ４ポート３位置弁21のＰポートおよびＲポートに接続する一方、ノーマル位置23ａではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として構成している。そして、Ｒポートは、送油ホース12を介して、油タンク13に連通している。
【００４９】
そこで、油圧ポンプ（圧油発生手段）10が発生した圧油は、油圧ポンプ10から、送油ホース11、４ポート２位置弁23、４ポート３位置弁21、を経過して、レベリングシリンダ９に供給される。
【００５０】
このように構成された本願発明の請求項２に関わるブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、以下のように作用する。
【００５１】
伸縮ブーム４の主に起仰動により、姿勢維持部材７または作業台８の姿勢が変化すると、姿勢検出手段16は、この姿勢変化を検出し信号を制御手段17へ出力する。制御手段17は、姿勢検出手段16の信号を受取り、４ポート３位置弁21を駆動する駆動信号にして、４ポート２位置弁23、および４ポート３位置弁21へ出力する。
【００５２】
駆動信号により、４ポート２位置弁23は、作動位置23ｂに駆動されると共に、４ポート３位置弁21は、一方または他方の作動位置21ｂ、21ｃに駆動され、油圧ポンプ10から送油ホース11を経過して供給されている圧油を、レベリングシリンダ９に供給する。
【００５３】
この駆動信号は、４ポート２位置弁23に対しては、圧油を４ポート３位置弁21に供給するよう作動位置23ｂに駆動する信号であり、４ポート３位置弁21に対しては、姿勢維持部材７の姿勢を元の姿勢に戻す方向にレベリングシリンダ９を作動させるよう４ポート３位置弁21を駆動する信号であるから、姿勢が変化しても、変化を解消し、起伏等の作動に係らず姿勢維持部材７および作業台８の姿勢を元の姿勢に維持する。
【００５４】
このとき、４ポート２位置弁23は、ノーマル位置23ａではＰポートをブロックしているので、油圧ポンプ10から４ポート２位置弁23に供給される圧油は、レベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧されている。そこで、４ポート２位置弁23、および４ポート３位置弁21が、レベリングシリンダ９の近傍に配置され、油圧ポンプ10から伸縮ブーム４を介し離れた高い位置にあっても、レベリングシリンダ９への圧油の供給に掛かる時間が可及的に短いのである。よって、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが、可及的に少ないのである。
【００５５】
請求項３に関わる実施の形態では、図4に示されるように、ブーム式高所作業車の姿勢維持装置は、請求項２における構成にカウンタバランス弁15を加えた構成としている。
【００５６】
このように構成すると、姿勢維持部材７および作業台８の姿勢が変化しても、変化を解消し、元の姿勢に維持する作用、および姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短いという作用は、請求項２と同じ作用を備えるうえに、仮にカウンタバランス弁15にごみ噛み等が発生し、カウンタバランス弁15の停止維持機能が損なわれるようなことになっても、４ポート３位置弁21が圧油の漏れを防止するので安全である。
【００５７】
以上の説明では、姿勢維持手段９をレベリングシリンダとして説明したが、油圧モータあるいは油圧モータおよび減速機を用いたものとしてもよいことはもちろんである。
【００５８】
また、圧油発生手段10は、油圧ポンプとして説明したが、油圧ポンプからの圧油を畜圧したアキュムレータでもよいことはもちろんである。油圧ポンプの場合、可変容量形ポンプを用いれば、流量を少なくしてレベリングシリンダ９を駆動するに足る圧力に常時昇圧させておけるので好都合である。
【００５９】
なお、圧油発生手段10が配置される車両側とは、少なくとも車両１、旋回台３、ブーム4の基端部４ａを含んでいるものである。
【００６０】
さらに、停止維持手段15は、カウンタバランス弁として説明したが、圧油をパイロットとして作動する機械的ブレーキ（ディスクブレーキ等）やロックでもよいことはもちろんである。
【００６１】
また、作業機８は、オペレータの搭乗する作業台として説明したが、マニピュレータ、ロボット等でもよいことはもちろんである。
【００６２】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本願発明のブーム式作業車の姿勢維持装置は、姿勢維持手段の近傍に配置され、圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁を、ノーマル位置ではＰポートをブロックすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに連通する構成とした。これにより、圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているので、圧油発生手段が車両側に配置されていても、姿勢変化の解消作動までの時間が可及的に短く、乗り心地を悪くすることが可及的に少ないという大きな効果を持つものである。また、ノーマル位置において、ＰポートからＡまたはＢポートに仮に圧油が漏れ込んでも、ＡおよびＢポートでの圧油の昇圧がない。よって、ノーマル位置において、姿勢維持手段が作動しないことを補償できるという大きな効果を持つものである。
【００６３】
さらに、４ポート３位置弁を、ノーマル位置ではオールポートブロックとすると共に、ノーマル位置ではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに接続した４ポート２位置弁を、４ポート３位置弁の上流側かつ近傍に設けた構成とすることもできる。このように構成すれば、以上の効果に加え、仮にカウンタバランス弁15にごみ噛み等が発生し、カウンタバランス弁15の停止維持機能が損なわれるようなことになっても、４ポート３位置弁21が圧油の漏れを防止するので安全であるという大きな効果を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本願発明に係るブーム式作業車であるブーム式高所作業車の説明図である。
【図２】本願発明の請求項１に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図３】本願発明の請求項２に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図４】本願発明の請求項３に関わる姿勢維持装置を示す説明図である。
【図５】従来の姿勢維持装置を示す説明図である。
【符号の説明】
１ 車両
４ ブーム
７ 姿勢維持部材
８ 作業機
９ 姿勢維持手段
10 圧油発生手段
14、21、22 ４ポート３位置弁
14ａ、21ａ、22ａ ノーマル位置
15 停止維持手段
16 姿勢検出手段
17 制御手段
23 ４ポート２位置弁
Ａ Aポート
Ｂ Ｂポート
Ｐ Ｐポート
Ｒ Ｒポート
Claims (3)
- 車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、姿勢維持手段を圧油の非供給時には停止位置で維持し供給時には作動可能にする停止維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置であって、
前記停止維持手段は、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に配置し、前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではＰポートをブロックし、前記圧油発生手段から４ポート３位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧されているようにすると共にＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに連通して構成されたことを特徴とするブーム式作業車の姿勢維持装置。 - 車両上に起伏自在に設けられたブームと、ブーム先端にブーム起伏面に沿って揺動自在に設けられた姿勢維持部材と、姿勢維持部材を揺動自在に駆動する姿勢維持手段と、車両側に配置され姿勢維持手段に供給する圧油を発生させる圧油発生手段と、姿勢維持手段の近傍に配置され圧油発生手段から供給される圧油を姿勢維持手段に供給する４ポート３位置弁と、姿勢維持部材または姿勢維持部材に取付けられた作業機の姿勢を検出し信号を出力する姿勢検出手段と、姿勢検出手段の信号を受取り４ポート３位置弁に駆動信号を出力する制御手段と、を備えたブーム式作業車の姿勢維持装置であって、
前記４ポート３位置弁は、ノーマル位置ではオールポートブロックとすると共に、そのＡポートおよびＢポートをそれぞれ４ポート３位置弁のＰポートおよびＲポートに接続する一方、ノーマル位置ではＰポートをブロックしＡおよびＢポートはＡＢＲ接続として油タンクに接続した４ポート２位置弁を、４ポート３位置弁の上流側かつ近傍に設け、前記圧油発生手段から４ポート２位置弁に供給される圧油は、姿勢維持手段を駆動するに足る圧力に常時昇圧され、前記制御手段は、４ポート３位置弁に駆動信号を出力する時には４ポート２位置弁にも駆動信号を出力するよう構成したことを特徴とするブーム式作業車の姿勢維持装置。 - 請求項２において、前記４ポート３位置弁と前記姿勢維持手段との間に圧油の供給がなければ停止位置で維持し供給があれば作動可能にする停止維持手段を設けたことを特徴とするブーム式作業車の姿勢維持装置。
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