JP4698777B2 - アクリル系重合性ポリマー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収能を有し、長期耐候性に優れた紫外線吸収性ポリマー及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、長期間にわたって優れた光沢を保持し、しかも変色しない高硬度で耐擦り傷性に優れた塗膜を形成する重合性ポリマー及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塗膜などの耐候性を向上させるため、樹脂組成物に低分子量の紫外線吸収剤を添加することがこれまで一般的に行われてきたが、当該樹脂組成物から紫外線吸収剤がブリードアウトするといった問題が生じていた。そこで、樹脂組成物から低分子量の紫外線吸収剤がブリードアウトすることによる性能劣化などを防止するために、従来重合性二重結合を有する紫外線吸収剤を用いて、これらを単独重合あるいは共重合させて紫外線吸収剤を高分子化しそのブリードアウトを抑制する手段が採られていた。たとえば、特公昭36−6771号公報には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンとアクリル酸とのエステルを重合性モノマーと共重合する方法が開示されている。しかしベンゾフェノン系誘導体のアクリル酸エステルは、最大吸収波長が比較的短く、紫外線領域での比較的長い波長(320nm〜400nm)の吸収能が十分ではない。
【0003】
また重合性二重結合を有する紫外線吸収剤を使用しても、紫外線吸収剤と重合性モノマーとの相溶性が悪いと共重合しにくくなり、使用時に未反応の紫外線吸収剤がブリードアウトする。さらに長期間使用していると紫外線吸収剤に起因する着色が生ずる。
【0004】
一方、従来から塗膜に耐擦り傷性を付与するために、表面硬度を高める種々の硬化性樹脂が開発・検討されてきた。たとえば、特公昭45−15630号公報には、グリシジル型エポキシ基含有アクリルポリマーにメタクリル酸を付加させて重合性二重結合を導入した重合性のアクリルポリマー(公知例▲1▼)、特開平6−100799号公報には、シクロヘキシルメタクリレートを繰り返し単位として加えたグリシジル型エポキシ基含有アクリルポリマーにアクリル酸を付加させて重合性二重結合を導入した重合性ポリマー(公知例▲2▼)が、それぞれ開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知例▲1▼のアクリルポリマーにメタクリル酸を付加させて重合性二重結合を導入しただけのポリマーでは、電子線によって硬化したときの塗膜の耐候性は決して満足の行くものではない。また公知例▲2▼では、確かに耐擦り傷性には優れるものの光沢保持性や耐変色性といった耐候性は未だ不十分である。
【0006】
以上のように、これまでのポリマーでは、比較的高い波長の紫外線領域での吸収能が十分ではなく、また紫外線吸収剤と重合性モノマーとの相溶性が悪いため、使用時に未反応の紫外線吸収剤がブリードアウトするといった問題がある。さらに光沢保持性や耐変色性といった耐候性や硬度、耐擦り傷性が不十分であるといった問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、本発明者が紫外線吸収性の共重合体を鋭意検討した結果、特定構造を有する紫外線吸収性単量体を繰り返し単位の一部として含み、かつ側鎖に重合性二重結合を有する重合性ポリマーが、紫外線吸収能に優れ、長期に渡ってブリードアウトも生じないという新たな知見に基づきなされたものである。
【0008】
本願第1の発明に係る重合性ポリマーは、NMRチャートにおいて、プロトンの化学シフトが5.7〜6.7ppmの範囲に不飽和二重結合に由来する多重線を有し、かつ7.0〜8.5ppmの範囲に紫外線吸収性基の芳香環に由来する多重線を有することを特徴とする。
【0009】
本願第2の発明に係るアクリル系重合性ポリマーは、下記式(1)及び(2)で表される紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種を含む単量体組成物をラジカル重合してなる重合体の側鎖に重合性二重結合を有することを特徴とする。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R2 は低級アルキレン基を表し、R3 は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。)
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、R4 は炭素数2または3のアルキレン基を表し、R5 は水素原子またはメチル基を表す。)
【0014】
また本発明に係るアクリル系重合性ポリマーは、上記繰り返し単位以外に下記式(3)で表される不飽和単量体を繰り返し単位の一部としてさらに含有することができる。
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R6 は水素原子またはメチル基を表し、Zは置換基を有してもよいシクロアルキル基を表す。)
【0017】
上記アクリル系重合性ポリマーは、式(1)及び(2)で表される紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種と、官能基を有する単量体とを含む単量体組成物をラジカル重合して得られた重合体に、該官能基と反応する官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させることによって製造するのがよい。
【0018】
以下本発明の内容を詳述する。本願請求項1に係る発明の重合性ポリマーは、NMRチャートにおいて、プロトンの化学シフトが5.7〜6.7ppmの範囲に不飽和二重結合に由来する多重線を有し、その領域のプロトン数は全プロトン数(基準物質であるトリメチルシランを除く)の0.5〜13%を占め、かつ7.0〜8.5ppmの範囲に紫外線吸収性基の芳香環に由来する多重線を有し、その領域のプロトン数は全プロトン数(基準物質であるトリメチルシランを除く)の0.02〜9%を占める。プロトンの化学シフトが5.7〜6.7ppmの範囲に不飽和二重結合に由来する多重線を有することは、重合性ポリマーの側鎖に重合性二重結合が存在することを意味する。またプロトンの化学シフトが7.0〜8.5ppmの範囲に紫外線吸収性基の芳香環に由来する多重線を有することは、重合性ポリマーの側鎖に紫外線吸収性基が存在することを意味する。重合性ポリマーが、側鎖に重合性二重結合を有し、かつ特定構造を有する紫外線吸収性単量体を繰り返し単位の一部として含むことにより、紫外線吸収能に優れ、しかも長期に渡ってブリードアウトも生じないという効果を奏するのである。
【0019】
ここで、NMRチャートは、横軸として基準物質(トリメチルシラン)のシグナル位置をゼロとした化学シフト(ppm)をとり、縦軸として周波数νのラジオ波の吸収をとったチャートであり、化学シフトは、試料と基準物質との共鳴周波数の差を装置発信器の周波数に対するppmで表したものである。具体的測定法は次の通りである。後述する合成法で得られた重合性ポリマー溶液をn−ヘキサンを用いて再沈殿化させ固体を取り出す。この固体を真空乾燥した後、重水素化クロロホルム(CDCl3 )に溶解して、NMR測定装置(「GEMINI2000」Varian社製、200MHz)を用いて1 HNMRを測定する。
【0020】
本願請求項2に係る発明のアクリル系重合性ポリマーでは、まず従来と同様に重合可能な紫外線吸収剤を使用することによって、紫外線吸収剤の重合組成物からのブリードアウトといった問題を解消しながら同時に、一般式(1)や(2)で表されるような特定構造を有する紫外線吸収性単量体を共重合し、樹脂骨格に導入することによって、優れた紫外線吸収能が発揮されるようにした。さらに、当該ポリマーは側鎖に重合性二重結合を有するので、自己架橋性のポリマーとなり、高硬度で耐擦り傷性が優れる。さらにアクリルポリマーであることから、共重合されるモノマーの側鎖アルキル基の長さや芳香環の有無により物性バランスがとれやすい。
【0021】
また、上記アクリル系重合性ポリマーは、一般式(3)で表されるような不飽和単量体を他の繰り返し単位としてさらに含有するので、一般式(1)(2)で表される紫外線吸収性単量体との相乗効果により、長期耐候性がさらに向上する。また、当該不飽和単量体は、立体的にかさ高い置換基を持つために、電子線又は紫外線による硬化のような塗膜に内部ひずみを生じやすい硬化方法において、塗膜の内部ひずみを緩和させる効果があり、塗膜にクラックを生じさせることがない。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明における前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量体は、式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基で構成され、R2 は低級アルキレン基で構成され、R3 は水素原子またはメチル基で構成され、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
【0023】
上記式中、R1 で表される置換基は、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式炭化水素基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基であり、R2 で表される置換基は、具体的には炭素数1〜6のアルキレン基であって、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基及びイソプロピレン基、イソブチレン基、s−ブチレン、t−ブチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などの分枝鎖状アルキレン基であり、Xで表される置換基は、水素;フッ素、塩素、シュウ素、ヨウ素などのハロゲン;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの鎖式炭化水素基:シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの脂環式炭化水素基:フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基などの芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプトキシ基など炭素数1〜6の低級アルコキシ基;シアノ基;ニトロ基である。
【0024】
前記一般式(1 )で表される紫外線吸収性単量体としては、具体的には2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[ 2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル] −2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−3' −t−ブチル−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −t−ブチル−3' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。一般式(1)で表されるこれら紫外線吸収性単量体は一種類のみを用いてもよく、また二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】
また前記一般式(2)で表される紫外線吸収性単量体は、式中、R4 で表される置換基は炭素数2または3のアルキレン基で構成され、R5 で表される水素原子またはメチル基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
【0026】
上記式中、R4 で表される置換基は、具体的にはエチレン基、トリメチレン基、プロピレン基などである。
【0027】
前記一般式(2)で表される紫外線吸収性単量体としては、たとえば、2−〔2' ヒドロキシ−5' −(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3' −t−ブチルフェニル〕−4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。一般式(2)で表されるこれら紫外線吸収性単量体は一種類のみを用いてもよく、また二種類以上を適宜混合してもよい。
【0028】
本発明に係る一般式(3)に表される不飽和単量体は、式中、R6 で示される置換基が水素原子またはメチル基で構成され、Zで示される置換基は置換基を有してもよいシクロアルキル基である。
【0029】
本発明に係る一般式(3)に表される不飽和単量体としては、具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの一種または二種以上が使用できる。
本発明の重合性ポリマーは、アクリル系単量体を主たる単量体とし、その他の共重合可能な不飽和単量体との共重合ポリマーであってもよい。
【0030】
本発明で使用するアクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸などのアクリル系カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリルトリデシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ダイセル化学工業社製「プラクセルFM」)、フタル酸とプロピレングリコールから得られるエステルジオールのメタ)アクリル酸モノエステルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、イミド(メタ)アクリレート、2−スルホン酸エチル(メタ)アクリレートおよびその塩などのその他アクリル系単量体などを挙げることができ、これらの一種または2種以上が使用される。特にプラスチック基材への密着性の点からイミド(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0031】
その他の共重合可能な不飽和単量体としては、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族不飽和単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルエーテルなどが挙げられ、必要に応じてこれらの一種または二種以上が使用できる。
【0032】
各種単量体の使用量は、特に限定されるものではないが、一般式(1)、(2)で表される紫外線吸収性単量体の合計使用量は、単量体組成物全量に対して0.1〜30wt%とすることが望まれる。より好ましい範囲について述べると、下限側として好ましくは0.5wt%以上、更に好ましくは1wt%であり、他方上限側として好ましくは20wt%以下、更に好ましくは15wt%である。
【0033】
紫外線吸収性単量体の合計使用量が0.1wt%よりも少ない場合は、重合性ポリマーの紫外線吸収能が不十分となり、30wt%よりも多い場合は、電子線や紫外線照射のとき着色の原因となるおそれがある。また重合性ポリマーが紫外線照射によって硬化処理されて使用される場合には、当該紫外線吸収性単量体の使用量は紫外線による硬化を阻害しない範囲にもちろん限られる。
【0034】
上記重合性ポリマーは、式(1)及び(2)で表される紫外線吸収性単量体から選ばれる少なくとも一種と、官能基を有する単量体とを含む単量体組成物をラジカル重合して得られた重合体に、該官能基と反応する官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させることによって製造することができる。
【0035】
重合性二重結合を導入するために用いる官能基の具体例としては、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、酸アミド基(アミノカルボニル基)、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等が挙げられる。これらの官能基を有する共重合可能な単量体の具体例は、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、エチルイソシアネート(メタ)アクリレート、N−アクリルアミドN−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、イタコン酸ジアミド、フマル酸アミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
重合性二重結合を導入するために用いられる化合物の具体例としては、官能基がエポキシ基、オキサゾリン基の場合には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する化合物;官能基がイソシアネート基の場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;官能基がカルボキシル基の場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;官能基が水酸基の場合には、エチルイソシアネート(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体;官能基が酸アミド基の場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基又はヒドロキシル基含有単量体;官能基がアミノ基の場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0037】
本発明のアクリルポリマーの二重結合当量は、200〜3,000がよく、好ましくは300〜1,500、さらに好ましくは350〜1,000がよい。二重結合当量が3,000より多いと、硬度不足、耐擦り傷性が不十分となることがあり、200より少ないと、経時的に硬化塗膜にクラックが生じやすくなり、耐候性不良となる。
【0038】
一般式(3)で表される不飽和単量体の使用量は、5〜80wt%含有とすることが望まれる。より好ましい範囲について述べると、下限側として好ましくは10wt%、さらに好ましくは15wt%である。他方上限側として好ましくは70wt%、さらに好ましくは50wt%である。5wt%よりも少ないと、硬化の際にクラックが生じやすくなるばかりでなく、耐候性が不十分となり、80wt%よりも多いと、硬化塗膜が脆くなるおそれがあるからである。
【0039】
単量体の混合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の混合方法が採用され得る。
【0040】
また単量体成分を共重合させる際の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の重合方法が採用され得る。例えば、溶液重合、分散重合、懸濁重合、乳化重合などの重合方法が使用できる。溶液重合法を用いて単量体成分を重合させる場合に用いることができる溶媒としては、トルエン、キシレン、その他高沸点の芳香族系溶媒;酢酸ブチル、酢酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒などが挙げられる。もちろん使用し得る溶媒がこれら溶媒に限定されるものではない。これら溶媒は一種のみを使用してもよいし、二種以上を混合して使用してもよい。なお、溶媒の使用量は生成物の濃度などを考慮し適宜定めればよい。
【0041】
また単量体組成物を共重合させる際には重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、たとえば2,2' −アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2' −アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの通常のラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤の使用量は、要求される重合生成物の特性値などから適宜決定されるべきものであり、特に限定はないが、単量体成分全量に対して0.01〜50wt%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜20wt%の範囲である。
【0042】
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜200℃の範囲が好ましく、40〜140℃がより好ましい。なお反応時間は、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類などに応じて、重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
【0043】
得られる共重合体の分子量は、反応時間、反応温度あるいは用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類など、更に必要であれば連鎖移動剤などにより調整することができる。このようにして得られる共重合体の重量平均分子量(Mw)は2,000〜400,000の範囲が好ましく、3,000〜100,000の範囲がより好ましい。
【0044】
本発明の重合性ポリマーは、アルミニウム、ステンレス、トタン、ブリキ、普通鋼板、塗装鋼、コンクリート、モルタル、スレート、ガラスなどの無機素材;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ABS樹脂などのプラスチック、あるいは木材や紙などの有機素材などからなる各種成形物品、板、棒またはフィルムなどの基材に塗布されて被膜を形成することができる。塗布は浸漬、吹き付け、刷毛塗り、カーテンフローコータ、ロールコート、スピンコート、バーコート、静電塗装などの方法により行うことができる。また、重合性ポリマーの被膜を基材に形成させた後に成形加工することもできるし、重合性ポリマーを単独で成形加工することもでき、その後にそれら成形加工物に紫外線や電子線を照射し硬化させることによって最終成形物が得られる。
【0045】
重合性ポリマーの側鎖に架橋性水酸基が含まれる場合、メラミン樹脂やブロックイソシアネート化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を併用することができる。この場合、電子線又は紫外線硬化及び加熱硬化されて塗膜が形成される。
【0046】
重合性ポリマーは、使用に際し種々の添加剤を混合してもよい。添加剤としては、例えば、塗料などの被膜形成用組成物に一般に使用されるレベリング剤;黄鉛、モリブデートオレンジ、紺青、カドミウム系顔料、チタン白、複合酸化物顔料、透明酸化鉄、カーボンブラック、環式高級顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、染付顔料、顔料中間体などの顔料;顔料分散剤;抗酸化剤;粘性改質剤;耐光安定剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;充填剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防食剤;防錆剤;蛍光性増白剤;有機・無機防炎剤;滴下防止剤;溶融流改質剤;静電防止剤;シランカップリング剤などが挙げられる。
【0047】
重合性ポリマーが、紫外線照射によって硬化されて使用される場合、その硬化方法は、使用される光重合開始剤、紫外線を発生させる光源の種類や光源と塗布面との距離などの条件によっても異なってくるが、例えば波長1,000〜8,000オングストロームの紫外線を通常数秒間、長くとも数十秒間照射する方法を挙げることができる。
【0048】
電子線照射によって硬化されて使用される場合には、たとえば通常50〜1000kev、好ましくは100〜300kevの加速電圧で、吸収線が1〜20Mrad程度となるように電子線を照射する方法を挙げることができる。電子線照射は大気中で行ってもよいが、窒素などの不活性ガス中で行うのが好ましい。吸収線量については、被膜中に残存する重合性二重結合が被膜物性に影響しないまで照射することができる。また、紫外線照射または電子線照射後、必要に応じて加熱を行い、硬化を一層進行させてもよい。
【0049】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお特に断りのない限り、実施例および比較例に記載された「部」は重量部を、「%」は「重量%」を示すものとする。
【0050】

攪拌機、滴下口、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた1リットルのフラスコに酢酸ブチル200部を仕込み、窒素ガスを導入し、攪拌しながら90℃に加熱する。紫外線吸収性単量体としての2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール45部、グリシジルメタクリレート90部、ブチルメタクリレート165部および開始剤としての2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)15部の混合物を4時間かけて仕込物に滴下し、滴下後さらに2時間加熱する。つぎに、窒素と酸素の混合ガスを吹き込みながら110℃に昇温し、アクリル酸51部、エステル化触媒としてのテトラフェニルホスホニウムブロマイド0.51部、禁止剤としてのメトキノン0.05部の混合物を30分かけて滴下する。滴下後さらに6時間反応させて側鎖にアクリロイル基を有するアクリル樹脂の63%溶液を得る。この得られた溶液の酸価は13mgKOHで、数平均分子量は6,800であった。次に後述する方法によって、生成された上記重合性ポリマーを板上に塗膜化し、耐候性評価を行った。結果を表1に示す。またアクリル酸を付加する前のアクリルポリマーのNMRチャートを図1に示す。
【0051】
2〜7
表1に示す組成物、配合量で1と同様に重合してアクリルポリマー溶液を製造し、後述する方法によって生成したアクリルポリマーを板上に塗膜化し、耐候性評価を行った。結果を表1に示す。また4のアクリルポリマーについて、アクリル酸を付加する前・後のNMRチャートを図2、図3に、アクリル酸を付加した後のUV吸収スペクトルを図4に示す。
【0052】
比較例1
紫外線吸収性単量体は添加せず、グリシジルメタクリレート90部、ブチルメタクリレート210部、および開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15部を使用し、反応温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして重合を行う。次に窒素と酸素の混合ガスを吹き込みながら110℃に下げて、アクリル酸51部、エステル化触媒としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド0.51部、禁止剤としてメトキノン0.02部を使用する以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂の61%溶液を得た。この溶液の酸価は10mgKOHで、数平均分子量は5,300であった。後述する方法で試験板を作成し、耐候性評価を行った。結果を表1に示す。またアクリル酸を付加する前のアクリルポリマーのNMRチャートを図5に示す。
【0053】
比較例2
紫外線吸収性単量体は添加せず、シクロヘキシルメタクリレート120部を添加し、グリシジルメタクリレート90部、ブチルメタクリレート45部、ブチルアクリレート45部、および開始剤としてのてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15部を使用し、反応温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして重合を行う。次に窒素と酸素の混合ガスを吹き込みながら110℃に下げて、アクリル酸34部、エステル化触媒としてナフテン酸亜鉛0.68部を使用し、禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル0.01部を使用する以外は実施例1と同様にしてアクリル樹脂の61%溶液を得た。この溶液の酸価は8mgKOHで、数平均分子量は5,000であった。後述する方法で試験板を作成し、耐候性評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
紫外線吸収性単量体としての2−[ 2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル] −2H−ベンゾトリアゾールの添加量を9部とし、シクロヘキシルメタクリレート150部をさらに添加し、2−ヒドロキシエチルメタクリレート45部、メチルメタクリレート30部、ブチルアクリレート66部を使用し、開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート15部を使用し、反応温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして重合を行う。重合生成物であるアクリル系樹脂の側鎖に重合性二重結合は付加しない。これによりアクリル樹脂の60%溶液を得た。この溶液の数平均分子量は5,500であった。後述の方法で試験板を作成し、耐候性評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
(重合性ポリマーの評価)
上記実施例・比較例で得られた重合性ポリマーを次のような方法によってそれぞれ硬化させ、蛍光UV凝縮試験(QUV試験)用の試験板を作成し耐候性の評価を行った。
【0056】
重合性ポリマーの硬化
紫外線硬化(UV)
重合性ポリマー100部に、ラジカル光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「ダロキュアー2959」)1部とレベリング剤(ビッグケミー社製「BYK300」)0.1部とを加えてよく攪拌し、所定の粘度となるよう調整した。アクリル白板(日本テストパネル社製)上に乾燥膜厚が20ミクロンとなるようにアプリケーターを用いてポリマー溶液を塗布し、80℃で30分間熱風乾燥させて試験板を作成した。アイグラッフィクス社製の紫外線照射装置(水銀ランプ、120w/cm、照射距離20cm、コンベア速度5m/min.)を用いて、試験板に紫外線を2回照射し試験板を得た。
【0057】
電子線硬化1(EB1)
重合性ポリマー100部に、レベリング剤(ビッグケミー社製「BYK300」)0.1部を加えてよく攪拌し、所定の粘度となるよう調整した。アクリル白板(日本テストパネル社製)上に乾燥膜厚が20ミクロンとなるようにアプリケーターを用いてポリマー溶液を塗布し、80℃で30分間熱風乾燥させて試験板を作成した。日新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置(窒素雰囲気中、加速電圧200kv、線量10Mrad.)を用いて試験板に電子線を照射して試験板を得た。
【0058】
電子線硬化2(EB2)
重合性ポリマー100部に、メラミン樹脂(三井サイアナミド社製「サイメル325」)25部をレベリング剤(ビッグケミー社製「BYK300」)0.1部を加えてよく撹拌し、所定の粘度となるよう調整した。
【0059】
白エナメルをコートしたアルミ板に乾燥膜厚が20ミクロンとなるようにアプリケータを用いてポリマー溶液を塗布し、80℃で30分間熱風乾燥させて試験板を作成した。
【0060】
日新ハイボルラージ社製のエリアビーム型電子線照射装置(窒素雰囲気中、加圧電圧200kv、線量10Mrad)を用いて試験板に電子線を照射し、その後140℃で30分間加熱硬化させて試験板を得た。
【0061】
電子線硬化3(EB3)
重合性ポリマー50部と白顔料(石原産業社製「CR−95」)40部とを予め塗料化しておく。つぎに塗料化された重合性ポリマー50部とレベリング剤(ビッグケミー社製「BYK300」)0.1部を加えてよく攪拌し、所定の粘度となるよう調整した。アクリル白板(日本テストパネル社製)上に乾燥膜厚が20ミクロンとなるようにアプリケーターを用いてポリマー溶液を塗布し、80℃で30分間熱風乾燥させて試験板を作成した。日新ハイボルテージ社製のエリアビーム型電子線照射装置(窒素雰囲気中、加速電圧200kv、線量10Mrad.)を用いて試験板に電子線を照射して試験板を得た。
【0062】
強制乾燥
アクリルポリマー100部に、イソシアネート(住友バイエルウレタン社製「スミジュールN3500」)14部とレベリング剤(ビッグケミー社製「BYK300」)0.1部を加えてよく攪拌し、所定の粘度となるよう調整した。アクリル白板(日本テストパネル社製)上に乾燥膜厚が20ミクロンとなるようにアプリケーターを用いてポリマー溶液を塗布し、80℃で30分間熱風乾燥させて試験板を作成した。
【0063】
耐候性評価
耐候性の測定は、「JISK5400−1976」に準拠して行った。具体的には、ユウブコン「UVCONUC−1」(東洋精機製作所社製)を用い、照射70℃×4hrと湿潤50℃×4hrとを1セットとするサイクル試験を繰り返して行い、QUVが3000hrとなった後の黄変度(「Δb」と記す。)と光沢保持率(「GR」と記す。)を測定した。また層間密着性は、下記基準により判定した。結果をまとめて表1に示す。
【0064】
(密着性)
塗膜に100個のゴバン目(1mm2 )をつけ、ゴバン目部分にセロファンテープを密着させ、次いで密着したセロファンテープを直角にかつ急激に剥離する。このとき剥離せずに残ったゴバン目の目数を数え、全目数100に対し何個残ったかで下記の判定を行った。
A(塗膜密着性良好):残り目数100個(全部残っている)
B(密着力が弱い) :残り目数99〜70個(部分的に剥離)
C(密着していない):残り目数70個以下(ほとんど剥離)
【0065】
硬度
JIS K5400 6.14の鉛筆引っかき試験(鉛筆硬度試験)を行い、スリ傷による評価を行った。
【0066】
耐擦り傷性
クレンザー分散液(濃度5%)をしみ込ませたフェルトを、200g/cm2 の荷重をかけながら硬化した塗膜に押し当て、往復50回のラビングを行った後の光沢保持率(ラビング後の光沢値をラビング前の光沢値で割り、100倍した値)を測定し、耐擦り傷性を評価した。光沢保持率が大きい程、耐擦り傷性は高い。
【0067】
【表1】
【0068】
UVA1:2−[ 2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル] −2H−ベンゾトリアゾール
UVA2:2−[ 2' −ヒドロキシ−5' −(β−メタクリロイルオキシエトキシ)−3' −t−ブチルフェニル] −4−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
M−100:脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学工業社製)
IPO:2−イソプロペニル−2−オキサゾリン
MAA:メタクリル酸
NCO:2−メタアクロイル−オキシエチル−イソシアネート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
IA:イミドアクリレート(「アロニクスTO−1429」東亜合成社製)
ST:スチレン
開始剤1:2,2' −アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
開始剤2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
A−200:脂環式エポキシモノマー(ダイセル化学工業社製)
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
エステル化触媒1:テトラフェニルホスホニウムブロマイド
エステル化触媒2:オクテン酸亜鉛
禁止剤1:メトキノン
禁止剤2:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
*:クラック発生
【0069】
表1から明らかなように、特定構造の紫外線吸収性単量体を含み、かつ側鎖に重合性二重結合を有する重合性ポリマーを使用すると、いずれの硬化方法においても、初期光沢は96以上と良好な値を示している。QUVが3000hr後のΔbが3以下と塗膜の黄変はほとんど見られず、しかも光沢保持率GR(%)は、いずれの実施例においても95%以上と高い値を示している。また塗膜硬度は3H以上と固く、耐擦り傷性も93%以上と良好であった。
【0070】
一方紫外線吸収性単量体を含まない比較例1,2では、初期の光沢はよい結果を示しているものの、比較例1では耐候性試験途中で塗膜にクラックが生じ、比較例2では3,000hr後の塗膜の黄変が△b=20まで進行し、実施例に比べはるかに耐候性が悪いことが実証されている。また、紫外線吸収性単量体は含まれているが重合性二重結合を側鎖に含まない比較例3では、初期光沢が実施例に比べ若干劣り、QUVが3000hr後の光沢保持率90%と実施例に比べ悪い値となっている。さらに、塗膜の硬度はHと実施例に比べ柔らかく、耐擦り傷性も78%と悪い値となっている。
【0071】
【発明の効果】
本発明の重合性ポリマーでは、重合可能な紫外線吸収性単量体を使用するため、重合組成物からの溶出やブリードアウトといった問題は生じることがなく耐候性に優れる。また当該ポリマーは、側鎖に重合性二重結合を有するので、自己架橋性ポリマーとなり、高硬度、耐擦り傷性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1のアクリル酸を付加する前のアクリルポリマーのNMRチャート図である。
【図2】4のアクリル酸を付加する前のアクリルポリマーのNMRチャート図である。
【図3】4のアクリル酸を付加した後のアクリルポリマーのNMRチャート図である。
【図4】4のアクリル酸を付加した後のアクリルポリマーのUV吸収スペクトル図である。
【図5】本願比較例1のアクリル酸を付加する前のアクリルポリマーのNMRチャート図である。

Claims (5)

  1. NMRチャートにおいて、プロトンの化学シフトが5.7〜6.7ppmの範囲に不飽和二重結合に由来する多重線を有し、かつ7.0〜8.5ppmの範囲に紫外線吸収性基の芳香環に由来する多重線を有し、下記式(1)で表される紫外線吸収性単量体と、官能基を有する単量体とを含み、かつ下記式(1)で表される紫外線吸収性単量体の使用量が単量体組成物全量に対して0.1〜15wt%である単量体組成物をラジカル重合してなる重合体に、前記官能基と反応する官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる、
    側鎖に重合性二重結合を有することを特徴とするアクリル系重合性ポリマー。
    (式中、R1は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R2は低級アルキレン基を表し、R3は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素、ハロゲン、炭素数1〜8の炭化水素基、低級アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。)
  2. 単量体組成物が下記式(2)で表される紫外線吸収性単量体をさらに含有し、かつ上記式(1)で表される紫外線吸収性単量体と下記式(2)で表される紫外線吸収性単量体との合計使用量が単量体組成物全量に対して0.1〜15wt%である請求項1記載のアクリル系重合性ポリマー。
    (式中、R4は炭素数2または3のアルキレン基を表し、R5は水素原子またはメチル基を表す。)
  3. 単量体組成物が下記式(3)で表される不飽和単量体をさらに含有する請求項1または2記載のアクリル系重合性ポリマー。
    (式中、R6は水素原子またはメチル基を表し、Zは置換基を有してもよいシクロアルキル基を表す。)
  4. 単量体組成物がイミド(メタ)アクリレートをさらに含有する請求項1から3のいずれか一項記載のアクリル系重合性ポリマー。
  5. 前記単量体組成物をラジカル重合する際に重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを用いる請求項1から4のいずれか一項記載のアクリル系重合性ポリマー。
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