JP4698494B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents

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本発明は、筐体内に縦型の洗濯槽を備えた洗濯乾燥機に係り、より詳しくは、運転時の振動を抑制し、異音や騒音の発生を防止することのできる振動抑制部材を備えた洗濯乾燥機に関するものである。
従来の脱水洗濯機に、上部に外周溝を有する脱水槽カバーと、外周溝を有する上部外装部との間に、伸縮自在の環状ジャバラカバーを取付けて、洗濯中の洗濯水の飛びはねや脱水時の泡飛び等を防止し、また、脱水外槽上部の偏芯移動量を抑制するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開昭62−68491号公報(第2頁、図1)
特許文献1の脱水洗濯機においては、起動時の低速回転時において、環状ジャバラカバーの座屈により異音が発生するという問題があった。
また、環状ジャバラカバーは、自重により蛇腹部の上部においてはピッチが大きくなるため座屈が発生し易く、また、下部はピッチが小さくなってほぼ重なった状態になるため、運転時に蛇腹部の面どうしが接触してバタバタという接触音が発生するという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、蛇腹部に座屈が生じたり異音や騒音が発生することがなく、洗濯槽の振動が外筐へ伝播するのを抑制することのできる振動抑制部材を備えた洗濯乾燥機を提供することを目的としたものである。
本発明に係る洗濯乾燥機は、上面に蓋体によって開閉される開口部を有する外筐と、上面に開口部を有し、内部に上面に開口部を有する洗濯槽が回転自在に収容されて前記外筐内に設置された水槽とを備え、前記外筐の開口部の外周と水槽の開口部の外周との間に、外周に複数の直線部の両端部を順次反対方向に折曲げてなる蛇腹部を有し、自重がかかったときは前記蛇腹部の直線部の各折曲げ部のピッチがほぼ等しくなる環状の振動抑制部材を設けたものである。
本発明によれば、運転時の洗濯槽の振動が振動抑制部材に吸収されて減衰し、外筐への伝播が低減するので、外筐の振動を抑制することができる。また、振動抑制部材を構成する蛇腹部は、自重がかかった状態で各折曲げ部のピッチが全長に亘ってほぼ等しくなるように形成されているので、蛇腹部の上部に座屈を生じたり運転時に異音や騒音が発生することがない。
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る洗濯乾燥機の要部を示す説明図である。
外筐1の上部には開口部2が設けられており、開口部2の周縁には下部が開口されて後述の振動抑制部材15の外筐取付部が取付けられる取付溝3が設けられている。4はヒンジ5により外筐1の上部に開閉可能に設けられた蓋体で、外筐1の開口部2を開閉する。
6は上面に開口部7を有し外筐1内に配設されて吊棒9により外筐1に支持された水槽で、開口部7の周縁には上部が開口されて振動抑制部材15の水槽取付部が取付けられる取付溝8が設けられている。なお、水槽6の開口部7は、外筐1の開口部2により大きく(大径)形成されている。
この水槽6内には、上面に開口部12を有し周壁に多数の小孔11が設けられて、投入された衣類等の洗濯、すすぎ、脱水、乾燥を行う有底円筒状の洗濯槽10が回転自在に収容されている。13は洗濯槽10の開口部12に周縁に設けられたバランサである。
15は例えばゴム材、合成樹脂材等からなり、外周が蛇腹状(以下、蛇腹部16という)に形成されて、外筐1の開口部2の外周と水槽6の開口部7の外周との間に介装された環状の振動抑制部材で、蛇腹部16に囲まれた開口部21は、水槽6の開口部7とほぼ同じ大きさに形成されている。
図2は図1の振動抑制部材15の説明図で、図には振動抑制部材15に自重がかった状態を示してある。
この振動制御部材15は、複数の直線部17の両端部を円弧状の頂部18(以下、折曲げ部ということがある)で反対方向に折曲げて(又は接合して)じぐざぐ状に形成した蛇腹部16と、この蛇腹部16の最上部の直線部を蛇腹部16の内周縁より内側まで延設したのち上方に折曲げて、先端部に外筐1の取付溝3に取付けられるリング状の外筐取付部19が設けられた外筐連結部17aと、最下部の直線部をほぼ中央部から下方に折曲げて、先端部に水槽6の取付溝8に取付けられるリング状の水槽取付部20が設けられた水槽連結部17bとからなっている。なお、振動制御部材15の外筐連結部17aの板厚を、蛇腹部16及び水槽連結部17bの板厚より厚く形成し、あるいは外筐連結部17aにリブ(図示せず)を設けるなどして、その剛性を高めることが望ましく、これにより、外筐連結部17bの変形を防止することができる(他の実施の形態においても同様である)。
このように構成した振動制御部材15は、その外筐連結部17aに設けた外筐取付部19が外筐1の取付溝3に挿入固定され、水槽連結部17bに設けた水槽取付部20が水槽6の取付溝8に挿入固定されて、外筐1と水槽6との間に装着される。なお、振動制御部材15の蛇腹部16の開口部2はこれにより小さく形成されているが、外筐連結部17aは蛇腹部16の内周縁の内側まで延設されて長く形成されているので、その外筐取付部19を外筐1に設けた取付溝3に容易かつ確実に挿入し固定することができる。
本実施の形態に係る洗濯乾燥機は、周知の洗濯乾燥機と同様に、洗濯槽10に投入された衣類等は、洗濯工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程が順次行われ、洗濯される。
本実施の形態によれば、洗濯乾燥機の運転の際、洗濯槽10の回転によって生ずる振動は振動抑制部材15に吸収されて減衰し、水槽6を介して外筐1への伝播が低減されて、外筐1の振動が抑制される。
また、振動抑制部材15を構成する蛇腹部16は、自重がかかった状態で、換言すれば外筐1と水槽6との間に装着した状態で、頂部18のピッチPが、上下方向の全長に亘ってほぼ等しくなるように形成されているので、起動時の洗濯槽10の低速回転時において、蛇腹部16の上部に座屈を生じることがなく、このため異音を発することもない。さらに、運転時に蛇腹部16の下部の直線部17の面どうしが接触することがないので、接触音を発することもない。
[実施の形態2]
図3,図4は本発明の実施の形態2に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
図3の振動抑制部材15の蛇腹部16は、外周側と内周側の頂部18の間隔(ピッチP)を、上部から下部(自重方向)になるにしたがって順次大きく、P1<P2<P3に構成したものである。
このように構成したことにより、振動抑制部材15に自重がかかると、上部の頂部18のピッチPは大きくなるが、下部の頂部18のピッチPはほとんど変わらないので、上下のピッチP1,P2,P3をほぼ等しくすることができる。この場合、蛇腹部16の上下方向の頂部18のすべてのピッチPを、下部になるにしたがって順次大きくしてもよく、あるいは、複数(例えば、隣接する3つ)の頂部18のピッチPを等しくし、この複数の等しいピッチPを下部になるにしたがって順次大きくしてもよい。
図4の振動抑制部材15の蛇腹部16は、直線部17の板厚tを、上部から下部になるにしたがって薄く、t1>t2>t3>t4に形成し、かつ、頂部18のピッチP1,P2,P3をほぼ等しく形成したものである。
蛇腹部16をこのように構成した振動抑制部材15を吊下げた場合、上部では直線部17の板厚tが厚いため自重による変化が小さく、下部は板厚tが薄く全体に占める重量が小さいため下方からの引張り力が小さいので、やはり自重による変形が小さい。このため、振動抑制部材15に自重がかかった場合、蛇腹部16の頂部18のピッチPを、上下方向に亘ってほぼ等しくすることができる。
この場合、蛇腹部16の上下方向の直線部17のすべての板厚tを、下部になるにしたがって順次薄く形成してもよく、あるいは、隣接する複数(例えば、2つあるいは3つ)の直線部17の板厚tを等しくし、この複数の等しい板厚tを下部になるにしたがって順次薄くしてもよい。
本実施の形態は、振動抑制部材15の蛇腹部16の頂部18のピッチPを、下部になるにしたがって大きくP1<P2<P3に形成し、あるいは、蛇腹部16の直線部17の板厚tを、下部になるにしたがって薄くt1>t2>t3に形成したので、振動抑制部材15に自重がかかった場合、蛇腹部16の頂部18のピッチPを上下方向の全長に亘ってほぼ等しくすることができる。このため、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
[実施の形態3]
図5,図6は本発明の実施の形態3に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
図5の蛇腹部16は、複数の直線部17の両端部を反対方向に折返してなり、外周側と内周側の頂部18のピッチPを、上部が大きく下部が小さいP4>P5>P6に形成された蛇腹Bを、上下方向に順次繰返して設けたものである。
また、図6の蛇腹部16は、長さLの異なる複数の直線部17a,17b,17c,17d(L1≠L2≠L3≠L4)によって形成された蛇腹Bを、上下方向に順次繰返して設けたものである。
本実施の形態によれば、洗濯槽10の振動が水槽6を経て振動抑制部材15により吸収されて外筐1に伝播され難いので、外筐1の振動を低減することができる。また、蛇腹部16の直線部17どうしが接触する頻度が減少するので、接触音を低減することができる。
[実施の形態4]
図7,図8及び図9は本発明の実施の形態4に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
図7は頂部18のピッチPが上下方向ではほぼ等しい蛇腹部16において、各直線部17の上面及び下面又はいずれか一方の面(図には下面の場合が示してある)に、例えば発泡ウレタン等のごとく吸音性能を有する緩衝材22を接着等により取付けたものである。
この緩衝材22は、各直線部17の全周に亘って取付けてもよく、あるいは複数の緩衝材22を各直線部17の周方向に所定の間隔で取付けてもよい(以下の場合も同様である)。この場合、緩衝材22(特に、水槽6の開口部7に面する緩衝材22)に、防水又は撥水加工を施してもよい。
図8の蛇腹部16は、緩衝材22を、水槽6の開口部7に面していない側(開口部7の反対側で、図の左側が開口部7に面している)の直線部17の対向する面に取付けたものである。また、図9の蛇腹部16は、水槽6の開口部7の反対側の対向する直線部17のいずれか一方の面に緩衝材22を取付けたもので、これにより、図8の場合に比べて緩衝材22の使用量を半減することができる。
本実施の形態によれば、洗濯槽10の振動が水槽6を経て振動抑制部材15により吸収されて減衰し、外筐1への伝播が低減されるので、外筐1の振動を抑制することができる。
また、蛇腹部16が自重により変形して下部の直線部17どうしが接触しようとしても、両者の間に緩衝材22が介在しているため、接触圧が緩和されると共に接触音が緩衝材22に吸収されてこれを低減することができる。さらに、緩衝材22が蛇腹部16の補強の役割を果たすため、蛇腹部16の座屈を防止することができ、これにより起動時の異音の発生を防止することができる。
また、緩衝材22に防水又は撥水加工を施した場合は、水槽6内の洗濯水がかかっても変質することがなく、緩衝材22の性能を維持することができる。
また、図8,図9に示すように、緩衝材22を水槽6の開口部7の反対側に設けることにより、水槽6内の洗濯水がかかることがないので、緩衝材22の性能を維持することができる。
上記の説明では、頂部18のピッチPが上下方向においてほぼ等しい蛇腹部16の直線部17に緩衝材22を設けた場合を示したが、実施の形態2又は3の振動抑制部材15の蛇腹部16の直線部17に緩衝材22を設けてもよい。
本発明の実施の形態1に係る洗濯乾燥機の要部の説明図である。 図1の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。 実施の形態2の蛇腹部の他の例の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。 実施の形態3の蛇腹部の他の例の説明図である。 本発明の実施の形態4に係る洗濯乾燥機の振動抑制部材の蛇腹部の説明図である。 実施の形態4の蛇腹部の他の例の説明図である。 実施の形態4の蛇腹部のさらに他の例の説明図である。
符号の説明
1 外筐、2 開口部、3,8 取付溝、4 蓋体、6 水槽、7 開口部、10 洗濯槽、12 開口部、15 振動抑制部材、16 蛇腹部、17 直線部、17a 外筐連結部、17b 水槽連結部、18 頂部(折曲げ部)、19 外筐取付部、20 水槽取付部、22 緩衝材。

Claims (4)

  1. 上面に蓋体によって開閉される開口部を有する外筐と、
    上面に開口部を有し、内部に上面に開口部を有する洗濯槽が回転自在に収容されて前記外筐内に設置された水槽とを備え、
    前記外筐の開口部の外周と水槽の開口部の外周との間に、外周に複数の直線部の両端部を順次反対方向に折曲げてなる蛇腹部を有する環状の振動抑制部材を設け、
    前記直線部の折曲げ部のピッチを上部は小さく下部になるにしたがって大きく形成し、
    自重がかかったときは前記蛇腹部の直線部の各折曲げ部のピッチがほぼ等しくなることを特徴とする洗濯乾燥機。
  2. 前記振動制御部材の蛇腹部の最上部の直線部を該蛇腹部の内周縁の内側まで延設したのち上方に折曲げて外筐連結部を形成し、前記蛇腹部の最下部の直線部をほぼ中央部から下方に折曲げて水槽連結部を形成したことを特徴とする請求項に記載の洗濯乾燥機。
  3. 前記振動制御部材の外筐連結部の板厚を、前記蛇腹部及び水槽連結部の板厚より厚く形成したことを特徴とする請求項に記載の洗濯乾燥機。
  4. 前記振動制御部材の外筐連結部にリブを設けたことを特徴とする請求項に記載の洗濯乾燥機。
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