JP4697568B2 - 画像への転写箔押写方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、インクジェットプリンターまたは手書等の描画用紙に描かれた任意の画像を、金色、銀色等のメタリックカラーに仕上げる画像への転写箔押写方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のインクジェットプリンターや水性インクには、金色等のメタリックカラーのインクが皆無のため、光沢の優れた金色等の表現描画ができないのが現状である。
【０００３】
また、描画用紙に金色等の着色を施すためには、凸版を用意して箔押し機にて印刷する必要があるため、現実的には行われていない状況がある。また、少量の制作方法としてデザイン業界で行われているエッチングによる圧着式金箔の製法や、乾式コピー機のトナーに金箔を熱接着させる技法も散見されているが、いずれも高価な設備や乾式コピー機を必要とするため、一部のデザイン専門家のみに使用されているだけの現状である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
昨今パソコンの普及に伴う、インクジェットプリンターの普及は目覚しく、カラー印刷はもはや印刷業等の専門家の占有物ではなく、一般家庭における個人の道具として、小学生程度の年齢層からも使用されている。
従って、本発明では、高価な機材や高度な技術を必要とせずに、安易に金文字が得られる方法を提供する必要がある。
また、家庭で使用するためには、健康面や防災面でも安全性の高い方法である必要がある。さらに、実際に必要性の高い需要家は、グラフィックデザインを手がけるデザイナーや印刷業者であり、これら等の専門家の要求を満たす仕上がり品質を得られる方法を達成するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の転写箔の押着方法において、紙、プラスチックフィルム等のシート状基材の表面に、水溶性インクを受容するための、水を吸湿すると粘着性を生じる吸水性樹脂層を積層した描画用紙を用意してある。この吸水性樹脂層としては、水溶性アクリル樹脂やポリビニルアルコールやゼラチン等が適している。これ等の樹脂は、乾いた状態では粘着性がないが、水分を含むと粘着性を有する状態に変化する。
次に、該描画用紙の表面に水を含む水溶性インクを用いて任意の画像や文字を描画する。この水を含むインクとしては、インクジェットプリンターによるカラーインク、水性カラーインク及び水彩絵具等を使用することができる。また、水そのものを筆で塗ることも有効であるが、描画した画像を視認するために、水に着色されていることが望ましい。そして、画像が描画されると、水溶性インクを塗った画像部分だけに表面の粘着性が生じる。この画像の上面より金箔等のカラー転写箔を重合し、そのカラー転写箔の上から、ヘラまたはゴムローラー等で押圧すると、該カラー転写箔の箔面が画像部分に接着する。しかる後に、カラー転写箔を剥離すると、画像部分のみに金箔等のカラーが接着されて、画像は金色に鮮明に仕上げられる。
【０００６】
以上の方法で、該画像は金色等のカラーに仕上げられるが、剥離したカラー転写箔には、画像とは白黒反転されたネガの画像が残る。そして、カラー転写箔の裏面には、通常熱溶融型の接着剤が塗布されており、この残った画像は、熱プレス機等により、各種の素材に転写することが可能である。
【０００７】
【実施例】
次に、本発明の実施例を図面について説明すると、図１（イ）図に示すものは、シート状基材（２）の表面に水を吸湿する粘着性を生じる吸水性樹脂層（３）を積層した描画用紙（１）を構成する。次に、（ロ）図に示すものは、該吸水性樹脂層（３）の表面に水溶性インクを用いて各種の画像（５）を描画形成してある。その後、（ハ）図に示す如く、該画像（５）の上面には、ベースフィルム（７）に金色等の金箔（８）を重合してあるカラー転写箔（６）の該金箔（８）側の表面を重合圧着する。その後、（ハ）図のように該カラー転写箔（６）を剥離することによって該描画用紙（１）の画像（５）の表面に金色等の該金箔（８）を転着するものである。
更に、該水溶性インクの画像（５）は、インクジェットプリンターを使用して形成するものである。尚、銀塩式の写真印画紙も条件を満たす描画用紙である。従って、写真印画紙にインクジェットプリンターで文字等を印字すれば、本発明の方法で金色に着色することができる。
【実験例１】
プリントの描画用紙（１）は、コート紙の表面にポリビニルアルコールを主成分とするインクジェット受像層を塗布積層したものを用いる。このプリント用紙の表面にインクジェットプリンター（エプソン製ＣＣ７００）により黒色の文字をプリントした後、中井金属工業製の金色転写箔「ＢＨタイプ」の箔面を文字の上に重ね、指の腹で強く圧着して転写箔を剥がした所、黒色の文字に金箔が転写し、金色の文字を得ることができた。
【実験例２】
プリントの描画用紙（１）は、コート紙の表面にポリビニルアルコールを主成分とする受像層を塗布積層したものを用いる。このプリント用紙の表面に水性マーカー（トンボ鉛筆製）を用いて絵画を描画した後、中井金属工業製の金色転写箔「ＢＨタイプ」の箔面を文字の上に重合し、ゴムローラーで強く圧着して転写箔を剥がした所、絵画の上に金箔が転写し、金色の絵を得ることができた。
【０００８】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の画像への転写箔押写方法によれば、あらかじめ反転されたネガ画像を描画用紙に描画して金箔等で容易に着色できるために、熱転写用のポジ画像を転写箔上に得ることが同時に実施できる効果がある。そして、箔押し分野において、少量ものの箔押しがインクジェットプリンターを用いて実施できると云う意味がある実用価値が大変に広いと云う便利な効果がある。更に、本発明によれば、各種の機械類を用いることなく、安価に金文字を得ることができ、且つ熱や薬品を用いないため、安全に作業ができる効果と、凸版等が不要なため、その場で瞬時に金色等の文字を得ることができる効果がある。また、金箔を押し付けるだけの簡単な作業のため、婦人、子供等でも容易に実施できると共に、仕上りの精度が優れ、専門家の要求品質にも十分に応じられると云う特別な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の（イ）乃至（ニ）図に至る転写箔押写方法を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
１ 描画用紙
２ シート状基材
３ 吸水性樹脂層
５ 画像（水溶性インク）
６ カラー転写箔
７ ベースフィルム
８ 金 箔

Claims (2)

1. 描画用紙（１）は、シート状基材（２）の表面に、水を吸湿すると粘着性を生じる吸水性樹脂層（３）を積層し、該吸水性樹脂層（３）には、表面に水溶性インクを用いて各種の画像（５）を描画形成した後、該画像（５）には、ベースフィルム（７）に金色等の金箔（８）を重合したカラー転写箔（６）の該金箔（８）の表面を重合圧着し、その後該カラー転写箔（６）を剥離することによって該描画用紙（１）の該画像（５）の上面に金色等の該金箔（８）を転着することを特徴とする画像への転写箔押写方法。
2. 水溶性インクの画像は、インクジェットプリンターを用いて形成することを特徴とする請求項１の画像への転写箔押写方法。

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