JP4697207B2 - サーマルヘッドおよび印画装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラなどに付随する印刷機能に対応す
るサーマルヘッドと、そのサーマルヘッドを組み込んだ業務用および民生用の各種の印画装置に関するものである。
図8は従来のサーマルヘッドの第1例を示す断面図、図9は従来のサーマルヘッドの第
2例を示す断面図である。
ICカード、住民基本台帳カードなどの硬質メディアカードの印字用または消去用のサ
ーマルヘッドとしては、硬質メディアカードが物理的に曲がらないため、チップの発熱体をメディアがストレートパス(スルーパス)できる構造(以下、ストレートパス構造という。)が要求される(例えば、特許文献1参照)。これは、硬質メディアカードを双方向に搬送して印字・消去を短時間で効率よく処理するためにも重要である。
こうしたストレートパス構造を備えた従来のサーマルヘッド7の第1例としては、図8
に示すように、フレキシブル基板106にドライバーIC105を実装し、このフレキシブル基板106をチップ101にウェルダ(Welder)溶着したものがある。
また、ストレートパス構造を備えた従来のサーマルヘッド7の第2例としては、図9に
示すように、ドライバーIC115が実装された第1リジット基板117に、屈曲性のあるフレキシブル基板114を介して、コネクタ類が実装された第2リジット基板118を下向きに接続し、狭ピッチ化に対応すべく、ドライバーIC115とチップ111をワイヤーボンディングで接続したものがある。
特開平6−64202号公報
しかし、これでは次のような不都合があった。
従来のサーマルヘッドの第1例では、フレキシブル基板106の回路をチップ101と接合する際の難点として、例えば、フレキシブル基板106の回路端子をチップ101に接合するための特殊なボンディングパットの構造(Au−半田接合)とする必要があった。また、ドライバーIC105は、フレキシブル基板106専用の製品が必要となるため極めて高価である上に、フレキシブル基板106の接続端子を狭ピッチ化(例えば、75μm)すると、一層高価な製品となってしまう。この狭ピッチ化は、発熱体102の狭ピッチ化に伴う必須の条件となっているために、避けられない項目である。
また、従来のサーマルヘッドの第2例では、第1リジット基板117と第2リジット基板118とをフレキシブル基板114でつないでフレキシブル・リジット基板(FRB)を製造する工程が複雑であることから、サーマルヘッド7が非常に高価となる。また、第1リジット基板117がチップ111の搭載面と同一平面上の後方にあるため、サーマルヘッド7の副走査方向(図7の矢印A、B方向)、つまり硬質メディアカードの搬送方向の外形寸法をコンパクトにすることが難しい。また、チップ111の搭載面と同一平面上にある第1リジット基板117にドライバーIC115が載置されているため、凸型形状の薄膜チップ111の頂部に配置される発熱体112と、ドライバーIC115を硬質メディアカードから保護する保護カバー119との段差寸法D1を確保することも容易ではない。
本発明は、こうした種々の不都合を解消することが可能な、サーマルヘッド、および印画装置を提供することを目的とする。
まず、請求項1に係るサーマルヘッドの発明は、ドライバーICを載置したプリント回路基板が、発熱体を備えるチップの搭載面に交差するように配置され、ドライバーICとチップとがワイヤーボンディングで接続されており、ワイヤーボンディングの接続部には、樹脂が添設されており、ワイヤーボンディングの接続部を覆うように保護カバーが取り付けられており、保護カバー内面にワイヤーに接触する突出部を設けたことを特徴とする。
また、請求項2に係るサーマルヘッドの発明は、上記の構成において、好ましくは保護カバーと突出部は一体に形成されていることを特徴とする。
また、請求項3に係るサーマルヘッドの発明は、上記の構成において、好ましくはチップの搭載面に対するプリント回路基板の交差角度は、15〜135°であることを特徴とする。
また、請求項4に係る印画装置の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーマ
ルヘッドが組み込まれていることを特徴とする。
本発明によれば、チップの発熱体がその周囲の部材と十分な段差を確保することができ
、硬質メディアカードのストレートパスに対応可能となる。また、サーマルヘッドの副走査方向の外形寸法が小さくなるので、サーマルヘッドを小型化することができる。その結果、印画装置の小型化の要求に応えることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
携帯用のカードプリンタ1は、図1に示すように、略六面体状のケーシング2を有しており、ケーシング2の上面には、キーボード部3、表示パネル部5およびカード挿通口6が設けられている。また、ケーシング2内にはサーマルヘッド7が組み込まれており、サーマルヘッド7の上方にはプラテンローラ9が回転自在に支持されている。
このサーマルヘッド7は、図4に示すように、アルミニウム製のマウント10を有して
いる。マウント10上にはチップ11が搭載されており、チップ11の頂部には発熱体12が埋設されている。また、マウント10の後方にはプリント回路基板13が、チップ11の搭載面に対して所定の角度(ここでは、90°)で交差するようにチップ11の下方に回り込む形で垂直方向に支持されており、プリント回路基板13上にはドライバーIC(駆動用IC)15が載置されている。ドライバーIC15は、プリント回路基板13の回路とワイヤーボンディングで接続されており、その接続部にはエポキシ系樹脂などの樹脂17が添設されている。また、ドライバーIC15は、チップ11内の発熱体12とワイヤー18によるワイヤーボンディングで接続されており、その接続部にはエポキシ系樹脂などの樹脂16が添設されている。さらに、ドライバーIC15、樹脂16、17を覆うように保護カバー19が取り付けられている。保護カバーは金属やプラスチック等が材料として使用される。また、保護カバー19の内面には、ワイヤー18に接触する樹脂、プラスチック、スポンジ等の絶縁体からなる突出部20が取り付けられており、ワイヤー18は、その突出部20によって押さえられている。この実施形態では突出部20としてシリコン樹脂を用いている。保護カバー19の固定は、図示しないネジや、エポキシ系樹脂等によって固定する。
このような構成を有するカードプリンタ1においては、ドライバーIC15が載置され
たプリント回路基板13は、チップ11の搭載面と同一平面上ではなく、チップ11の下方に位置しているため、発熱体12と保護カバー19との段差寸法D1を十分に(例えば、0.8mm以上になるように)確保することができる。したがって、硬質メディアカード8のストレートパスに対応可能となる。逆に言えば、チップ11の突起部を低くすることができるので、発熱体12のパターニングが容易となり、チップ11のセラミック基板を削り出す加工が簡単となり、その歩留まりも向上する。
また、プリント回路基板13は、チップ11の搭載面と同一平面上の後方ではなく、チップ11の下方に回り込むように配置されているので、サーマルヘッド7を小型化することができ、カードプリンタ1の小型化の要求に応えることが可能となる。
さらに、保護カバー19の内面には、ワイヤー18に接触する樹脂、プラスチック、スポンジ等からなる突出部20が取り付けられており、ワイヤー18は、その突出部20によって押さえられているため、ワイヤーを樹脂によって埋め込むことによって固定する方法では、樹脂の熱膨張によりワイヤー18を切断してしまう可能性があるが、本実施形態では、ワイヤー18を樹脂で埋め込んで固定するのではなく、突出部20で押さえることにより固定するので、樹脂で埋め込んだときのようにワイヤーが切断されてしまう可能性もなくなる。
そして、このサーマルヘッド7を製造する際には、次の手順による。
まず、マウント10上にチップ11を搭載する。一方、プリント回路基板13上にドライバーIC15を載置した後、ワイヤーボンディング装置(図示せず)を使って、プリント回路基板13の回路とドライバーIC15とをワイヤーボンディングで接続し、硬樹脂17を塗布する。
そして、図2に示すように、このプリント回路基板13をチップ11の搭載面と同一平面上の前方(図2右方)に配置する。このとき、チップ11とプリント回路基板13との間には所定の隙間を設ける。
この状態で、チップ11内の発熱体12とドライバーIC15とをワイヤーボンディングで接続した後、樹脂16を塗布する。
次に、プリント回路基板13を所定の角度α(ここでは、α=90°)だけ樹脂16を中心として発熱体12と反対側(図2下側)へ徐々に回転させる。すると、プリント回路基板13は、図3に示すように、チップ11の下方に回り込むように移動する。このとき、チップ11とプリント回路基板13との間には所定の隙間が設けられているので、プリント回路基板13の回転動作は支障なく行われる。また、ワイヤーボンディングの接続部には樹脂16、17が添設されているので、ワイヤーが折り曲げ負荷を受けて断線する危険性を回避すると同時に、ワイヤーボンディングの接続部を樹脂16、17で保護することができる。
最後に、図4に示すように、ワイヤー18に接触する樹脂、プラスチック、スポンジ等からなる突出部20が取り付けられた保護カバー19を取り付ける。
ここで、サーマルヘッド7の製造作業が終了する。
このように、このサーマルヘッド7では、通常のサーマルヘッド7と同様の後工程で製
造することができ、同じ部材を流用することもできる。そのため、新たに特殊な製造設備
を必要とせず、製造工程を大幅に簡略化することができる。したがって、高機能な製品を
低価格で提供することが可能となる。
なお、上述の実施形態においては、チップ11の搭載面に対するプリント回路基板
13の交差角度が90°である場合について説明したが、この交差角度は必ずしも90°
にする必要はなく、180°以下の任意の角度とすることができる。ただし、上述した効
果の度合やサーマルヘッド7の製造コストなどを考慮すれば、15〜135°(望ましく
は、45〜135°)が実用的な角度範囲である。すなわち、この交差角度が15°以上
であると、発熱体12と保護カバー19との段差寸法D1が十分に確保されてストレート
パスに有利に働く。特に、この交差角度が45°以上であれば、ストレートパス有利性に
加えて、サーマルヘッド7の副走査方向の外形寸法を大幅に縮小して小型化することが可
能となる。
なお、本実施形態では、保護カバーに取り付けられた突出部20は、図4では、凸型のものを示したが、図5で示すように、凹型の面を持つ突出部21でもよい。このときには、ワイヤーの曲がり具合にちょうど合わせることができるので、ワイヤーに無理な応力をかけないようにして押さえることができる。また、本実施形態では、保護カバーと突出部が別部材である場合で説明したが、それに限らず、保護カバーと突出部を一体に形成することも可能である。図6で示すように、金属製の保護カバー19を用いる場合には、カバーの一部19aを内側が突出するように折り曲げ、少なくとも突出部のワイヤーに接触する表面には絶縁体からなる被覆部30を設ければよい。この被覆部の厚みは適宜決めることができる。図7で示すように、保護カバー19が樹脂等の絶縁体の場合には、突出部20を一体成型で設けることができるため、製造がより簡単で好ましい。
なお、上述の実施形態においては、カードプリンタ1について説明したが、カードプリ
ンタ1以外の印画装置(例えば、バーコードプリンタ、ラベルプリンタ、ビデオプリンタ
、ファクシミリ、券売機など)に本発明を適用することもできる。
以上の実施形態で説明された構成、配置関係等については本発明が理解・実施できる程度に例示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、業務用や民生用の各種プリンタ機器に搭載されるサーマルヘッド及び、そのサーマルヘッドを搭載した印画装置に広く利用できる。
印画装置の一種であるカードプリンタの斜視図である。 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第1工程を示す断面図である。 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第2工程を示す断面図である。 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第3工程を示す断面図である。 本発明に係るサーマルヘッドの別の具体例の断面図である。 保護カバーの一例を示す断面図である。 保護カバーの一例を示す断面図である。 従来のサーマルヘッドの第1例を示す断面図である。 従来のサーマルヘッドの第2例を示す断面図である。
符号の説明
1 カードプリンタ(印画装置)
7 サーマルヘッド
10 マウント
11 薄膜チップ(チップ)
12 発熱体
13 プリント回路基板
15 ドライバーIC
16、17 樹脂
18 絶縁性樹脂
19 保護カバー
20 突出部
21 突出部

Claims (4)

  1. ドライバーICを載置したプリント回路基板が、発熱体を備えるチップの搭載面に交
    差するように配置され、
    前記ドライバーICと前記チップとがワイヤーボンディングで接続されており、
    前記ワイヤーボンディングの接続部には、樹脂が添設されており、
    前記ワイヤーボンディングの接続部を覆うように保護カバーが取り付けられており、
    前記保護カバー内面にワイヤーに接触する突出部を設けたことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記保護カバーと前記突出部は一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載のサーマルヘッド。
  3. 前記チップの搭載面に対する前記プリント回路基板の交差角度は、15〜135°であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載のサーマルヘッド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーマルヘッドが組み込まれていることを特徴とする印画装置。
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