(従来例1)
従来の放電灯点灯装置の一例を図31に示す。本従来例は、特許文献1(特開平11−354286号公報)と特許文献2(特開2004−193074号公報)を利用した放電灯点灯装置であり、直流電源Vdcをインバータ1により高周波に変換し、蛍光ランプのような熱陰極型の放電灯負荷FL1,FL2を点灯させる放電灯点灯装置であって、負荷が外れたり、負荷を接続する導電線が接続不良となったことを電気信号に置き換えて、所定の電気信号が入力されたときに、インバータ1の動作を停止させるなどの保護機能を有する制御回路部2を備えている。
以下、その回路構成について説明する。直流電源Vdcは例えば商用交流電源を整流平滑した電圧である。この直流電源Vdcを高周波に変換するインバータ1は、スイッチング素子Q1、Q2と直流成分カット用コンデンサC1、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1、FL2、負荷のフィラメントに対して並列的に接続された予熱制御用コンデンサC3、C4、C5、各フィラメントに電流を供給する共振用インダクタンス素子T1の2次巻線からなる。
インバータ1のスイッチング素子Q1,Q2は制御回路部2により高周波で交互にオン・オフされる。制御回路部2は、インバータ1の動作周波数を制御するタイマー回路・周波数制御回路22と、負荷の異常を検出する電圧比較器NL、ELと、スイッチング素子Q1・Q2の駆動を制御する駆動回路21からなる。
制御回路部3の電圧比較器ELには、ダイオードD1,D2,D3を介して第1〜第3のDC検出回路の出力が印加されている。第1のDC検出回路は、負荷の直流成分を検出する抵抗R1、R2、コンデンサC7からなる。第2のDC検出回路は、負荷の直流成分を検出する抵抗R3、R4、コンデンサC9からなる。第3のDC検出回路は、コンデンサC4の直流成分電圧を検出する抵抗R6、R7、R8、R9、R10、コンデンサC8からなる。
制御回路部2の電圧比較器NLには、無負荷検出回路の出力が印加されている。第1の無負荷検出回路は、抵抗R15、R16、R17、R18、コンデンサC11、トランジスタQ3からなり、端子EもしくはFの接続およびE−F側のフィラメント断線を検出する。第2の無負荷検出回路は、抵抗R11、R12、R13、R14、ダイオードD4、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC10からなる起動時無負荷検出回路であり、電源投入時に端子AもしくはBの接続およびA−B側のフィラメント断線を検出する。
以下、本回路の動作について説明する。インバータ1は、制御回路部2からスイッチング素子Q1・Q2への駆動信号により、スイッチング素子Q1・Q2が交互にオン・オフ動作し、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1、FL2からなる共振負荷回路に矩形波状の高周波電圧を印加し、放電灯負荷FL1、FL2を正弦波状の高周波で点灯させるものである。
インバータの動作周波数と共振負荷回路の共振特性の関係を図22に示す。インバータは電源投入されると、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2により決まる無負荷共振周波数f0に対して十分に高い周波数fphにて発振開始し、放電灯負荷FL1、FL2には点灯出来ない程度の共振電圧が印加される。この時、共振用インダクタンス素子T1の2次巻線よりコンデンサC3、C4、C5を介してフィラメントを加熱するための先行予熱電流が流れる。この動作を先行予熱モードと称する。
所定の時間先行予熱を行なった後、インバータの動作周波数は放電灯負荷FL1、FL2を点灯できるように周波数は無負荷共振周波数f0に近い始動時周波数fstに変化し、放電灯負荷FL1、FL2が点灯できるような共振電圧が印加され、放電灯負荷FL1、FL2は点灯する。この動作を始動モードと称する。
その後、インバータの動作周波数は点灯時の周波数ftに変化して、通常点灯状態に移行し、放電灯負荷FL1、FL2は所定の出力が得られる。以上が負荷を正常に接続した場合の電源投入から通常点灯に至るまでのシーケンス動作である。
本従来例は、負荷が接続されていないことや、フィラメントが断線したことを検知し、インバータを発振停止させる機能を有しており、以下、その動作について説明する。
制御回路部2内に構成された電圧比較器NLは、入力電圧があらかじめ設定された閾値Ref−NLを下回るとLow信号を出力する。電圧比較器NLはLow信号を出力すると周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。一方、電圧比較器NLがHigh信号を出力すると、周波数制御回路は動作し、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号も出力され、インバータは動作する。
電圧比較器ELはLow信号出力時にはインバータが動作し、High信号出力時には周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。また、電圧比較器ELは電源投入からの所定の時間はHigh信号を出力しないように動作禁止期間(マスク期間)を設けている(図21参照)。
(正常時の動作)
まず、フィラメント端子A、B、C、D、E、F、Gが正常に接続された状態で電源が投入されると、以下の動作となる。第1の無負荷検出回路において、直流電源Vdcからの直流バイアスが抵抗R15、R16を介して抵抗R17に印加されると同時に、抵抗R15、フィラメント端子F−Eの経路にもバイアスが印加される。ここで、フィラメントの抵抗値は概ね数Ω〜数十Ωと低く、一方、抵抗R15、R16、R17は共振負荷回路に影響が無いような比較的大きな抵抗値(概ね数十kΩ〜数MΩ)で構成される。したがって、フィラメント端子F−E間に発生する電圧が非常に小さいため、これに並列的に接続された抵抗R16やR17に印加される電圧は極めて低く、トランジスタQ3のベース・エミッタ間への電流供給は殆ど無い。よって、トランジスタQ3はオフする。
第2の無負荷検出回路において、直流電源Vdcからの直流バイアスにより抵抗R11、フィラメント端子B−A、抵抗R12、フィラメント端子C−G−D、抵抗R13、ダイオードD4を介して抵抗R14に電流が流れることで、コンデンサC10が充電され、所定値まで上昇する。電圧比較器NLの+入力端子の電位は基準電圧Ref−NLを越え、電圧比較器NLの出力はHighとなる。この結果、インバータは通常動作を開始する。
通常動作を開始すると、放電灯負荷FL1、FL2の両端には高周波電圧が発生し、ツェナーダイオードZD1では高周波電圧を半波整流すると共に、ツェナー電圧によりピーク部をクランプした波形が発生する。この電圧をダイオードD4とコンデンサC10と抵抗R14によりフィルタリングし、インバータが動作を開始した後においても電圧比較器NLの+入力端子へのバイアスを維持する。
第1のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R11、フィラメント端子B−A、共振用インダクタンス素子T1、抵抗R1を介して抵抗R2に電流が流れて、コンデンサC7を所定値まで充電される。この電位は分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、電圧比較器ELの+端子への入力が如何なる場合でも、第1のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。負荷の定格によりインピーダンスは様々であるが、一般的には数百Ω〜数kΩである。第1のDC検出回路を構成する抵抗は共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、負荷に直流成分が発生しない条件下では殆ど抵抗R2、コンデンサC7には電圧が発生しない。
第2のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R11、R3を介して抵抗R4に電流が流れて、コンデンサC9が所定値まで充電される。この電位は第1のDC検出回路と同様、分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、第2のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。第2のDC検出回路の抵抗も共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、負荷に直流成分が発生しない条件下では殆ど抵抗R4、コンデンサC9には電圧が発生しない。
第3のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R6、予熱巻線c−d、抵抗R7の経路と、抵抗R8、R9の経路を介して、抵抗R10に電流が流れて、コンデンサC8が所定値まで充電される。この電位は第1のDC検出回路と同様、分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、第3のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。第3のDC検出回路の抵抗も共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、抵抗R6、R8と抵抗R7、R9およびR10の分圧比が著しく低下し、コンデンサC8と抵抗R10には電圧が殆ど発生しない。
(電源投入時の異常検出動作)
電源投入時に端子A−B間のフィラメントが断線もしくはフィラメント端子AまたはBが接続不良の場合の動作について説明する。
この場合、第2の無負荷検出回路の直流バイアス経路が遮断されるため、コンデンサC10は充電されず、基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。
電源投入時に端子E−F間のフィラメントが断線もしくはフィラメント端子EまたはFが接続不良の場合の動作について説明する。
この場合、抵抗R16,R17に印加される電圧が増大し、コンデンサC11に大きな電圧が発生するから、第1の無負荷検出回路のトランジスタQ3のベースへの電流が十分に供給され、トランジスタQ3がオンし、抵抗R18は抵抗R14の分圧比を著しく低下させるような抵抗値に設定されているため、コンデンサC10の電位が基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。
電源投入時に端子C−G間またはD−G間のフィラメントが断線もしくはフィラメント端子CやDやGが接続不良の場合の動作について説明する。この場合は、電圧比較器NLの+端子へ影響する回路が構成されてないため、また、電圧比較器ELもマスク期間のためインバータは起動する。
(通常点灯時の異常検出動作)
通常点灯時(マスク期間後)にフィラメント端子Aが接続不良の場合の動作について説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流は共振用インダクタンス素子T1よりコンデンサC3、フィラメント端子Bを介して流れる。このとき、第2の無負荷検出回路の抵抗R12とコンデンサC2の接続部分には高周波電圧が継続して発生しているため、コンデンサC10は通常点灯時の電位を保持する。したがって、第2の無負荷検出回路は機能しない。
このとき、コンデンサC3と放電灯負荷FL1、FL2の直列回路構成部分に対して並列に、第1のDC検出回路と第2の無負荷検出回路(抵抗R11は除く)が構成される形となり、この合成インピーダンスをZ1とすると、コンデンサC1の直流成分電圧が抵抗R5とインピーダンスZ1の分圧比でコンデンサC1とC3に分担される。この結果、コンデンサC3と負荷の直列構成部分には直流成分電圧が発生するため、第1のDC検出回路にも直流成分電圧が発生する。これによって、コンデンサC7、抵抗R2の電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)にフィラメント端子Bが接続不良の場合の動作について説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流経路は変化しないものの、第2のDC検出回路の分圧比が負荷のインピーダンスに影響されなくなるため、抵抗R11、R3、R4の分圧比で決まる電圧がコンデンサC9、抵抗R4に発生する。これによって、コンデンサC9、抵抗R4の電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子A−B間のフィラメントが断線した場合は、上述したフィラメント端子Aの接続不良モードもしくはフィラメント端子Bの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
通常点灯中(マスク期間後)に端子E−F間のフィラメントが断線した場合やフィラメント端子EまたはFが接続不良の場合は、電源投入時と同様に第1の無負荷検出回路が機能するためインバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)にフィラメント端子CもしくはGが接続不良の場合の動作について説明する。
フィラメント端子Cが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず、フィラメント端子Gを介してランプ電流が流れる。第3のDC検出回路は、抵抗R6、R7、R10の経路では抵抗R7とR10の直列構成に対して放電灯負荷FL2が並列に存在するため、抵抗R10の電位は殆ど発生しない。抵抗R8、R9、R10の経路では抵抗R9とR10の直列構成に対してランプが並列に存在しない(コンデンサC4が抵抗R9とR10の直列回路と分離させている)。よって、抵抗R10には直流電源Vdcを抵抗R8、R9とR10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
フィラメント端子Gが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化し、フィラメント端子C、コンデンサC4、予熱巻線c−d、フィラメント端子Dの経路にランプ電流が流れる。この場合も第3のDC検出回路の抵抗R9とR10の直列構成部分には低インピーダンス要素の接続がないため、抵抗R10には直流電源Vdcを抵抗R8、R9とR10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)にフィラメント端子Dが接続不良の場合の動作について説明する。フィラメント端子Dが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず、フィラメント端子Gを介してランプ電流が流れる。第3のDC検出回路では、抵抗R9とR10の直列構成に対して放電灯負荷FL2が並列に存在するが、抵抗R7とR10の直列構成に対しては低インピーダンス要素の接続が無いので、抵抗R10には直流電源Vdcを抵抗R6、R7とR10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子C−G間やD−G間のフィラメントが断線した場合は、上述したフィラメント端子CもしくはGの接続不良モードもしくはフィラメント端子Dの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
以上のように、本従来例では、フィラメントを有する放電灯点灯装置において、通常動作時において、どのフィラメントが断線した場合においても何れかの検出回路が動作し、インバータを発振停止することができる利点があり、また、通常動作時において、どのランプに接続される配線の接続不良があっても、インバータを発振停止することができる利点がある。
また、本従来例のようにフィラメントに対して並列的にコンデンサが接続されている場合は、1線のみの接続不良の場合は、ランプ電流経路が遮断されないため、アークが発生しない。しかしながら、もう一方の配線が外れる際には、ランプ電流経路を完全遮断しようとするため、アークが発生する。その上、共振負荷回路が無負荷共振特性に近づこうとするため、回路上のストレスが激増する。本従来例は、1線のみが外れた時点でインバータを停止させるため、ランプ電流遮断によるアークが発生するモードが存在しないため、非常に安全性を配慮した検出回路であった。
特開平11−354286号公報
特開2004−193074号公報
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、後述する実施形態2が請求項1の構成に対応しており、実施形態1は前提となる構成として説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1の構成を図1に示す。図中、1はインバータであり、FL1、FL2はインバータの出力に直列に接続された放電灯負荷である。インバータ1の構成は図31の従来例と同様のものでも良く、予熱トランス(または共振用インダクタンス素子T1)の2次巻線のような予熱源n1,n2,n3を備えている。各予熱源n1,n2,n3には、予熱制御用コンデンサCf1、Cf2、Cf3を介して放電灯負荷FL1、FL2の各フィラメントが並列的に接続されている。すなわち、高圧側の放電灯負荷FL1の高圧側のフィラメントは端子A−Bに接続され、コンデンサCf1を介して予熱源n1に接続されている。高圧側の放電灯負荷FL1の中点側のフィラメントは端子C−Gに接続され、低圧側の放電灯負荷FL2の中点側のフィラメントは端子D−Gに接続され、端子C−G−Dは直列に接続されて、予熱制御用コンデンサCf2を介して予熱源n2に接続されている。低圧側の放電灯負荷FL2の低圧側のフィラメントは端子E−Fに接続され、コンデンサCf3を介して予熱源n3に接続されている。なお、ここでは、低圧側とはインバータ1の出力の接地側のことを意味し、高圧側とはインバータ1の出力の非接地側(グランドレベルに対して高圧となる側)のことを意味しており、また、中点側とは2灯の放電灯負荷FL1,FL2の接続点側のことを意味している。
DC1はインバータ起動後に発生する直流バイアス源であり、DC2は電源投入後に発生する直流バイアス源である。これらの直流バイアス源DC1,DC2はそれぞれ検出回路K1,K2の電源となっている。検出回路K1は、インバータ起動後に発生する直流バイアス源DC1と、この直流バイアス源DC1に接続された抵抗Ra1、Ra2、Ra3、コンデンサCa1からなる抵抗分圧回路であり、低圧側の放電灯負荷FL2のフィラメント端子Dに接続されている。検出回路K2は、電源投入後に発生する直流バイアス源DC2と、この直流バイアス源DC2に接続された抵抗Rb1、Rb2、Rb3、コンデンサCb1からなる抵抗分圧回路であり、高圧側の放電灯負荷FL1のフィラメント端子Cに接続されている。
以下、図1の回路の動作について説明する。本実施形態はインバータ1で発生した高周波電力を、放電灯負荷FL1、FL2の直列回路に供給している。またこのとき、放電灯負荷FL1、FL2の高周波電圧には殆ど直流成分電圧が発生しないように供給されている。放電灯負荷FL1、FL2の各フィラメントには、予熱源n1,n2,n3より、予熱制御用コンデンサCf1、Cf2、Cf3を介して予熱電流が供給される。
検出回路K1の直流バイアス源DC1は、インバータ動作後に発生する直流電源から構成されており、抵抗Ra2とRa3とコンデンサCa1よりなる回路が放電灯負荷FL2に並列に接続されており、この回路に抵抗Ra1を介して、インバータ動作後に発生する直流バイアス源DC1が接続されている。コンデンサCa1はインバータの動作周波数に対してインピーダンスが十分低くなるように設定している。このとき、放電灯負荷FL2には直流成分電圧は殆ど発生しない上、放電灯負荷のインピーダンスは一般的には数百Ω〜数kΩであり、検出回路K1を構成する抵抗器のインピーダンスは負荷に影響がないように数十kΩ〜数MΩで構成しているため、検出電圧Vk1はほぼ0Vである。正常時の等価回路を図2(a)に示す。
ここで、放電灯負荷FL2と装置の接続点である端子Dが外れた場合、もしくはランプ線が外れた場合には、検出回路K1は図2(b)のように放電灯負荷FL2が直流回路的に分離する構成となり、検出電圧Vk1には図2(c)のようにインバータ動作後に発生する直流バイアス源DC1を抵抗Ra1、Ra2、Ra3で分圧した電圧が発生する。ここでの検出電圧Vk1の電圧変化をインバータ内部に構成された保護回路に入力し、所定の保護機能を動作させることが可能になる。
検出回路K2の直流バイアス源DC2は、電源投入後に発生する直流電源から構成されており、抵抗Rb2とRb3とコンデンサCb1よりなる回路が放電灯負荷FL1のフィラメントC−Gを介して放電灯負荷FL2に並列に接続されており、この回路に抵抗Rb1を介して、電源投入後に発生する直流バイアス源DC2が接続されている。コンデンサCb1は上述のコンデンサCa1と同様にインバータの動作周波数に対してインピーダンスが十分低い。また、抵抗Rb1、Rb2、Rb3は上述のRa1、Ra2、Ra3と同様、数十kΩ〜数MΩで構成しているため、検出電圧Vk2はほぼ0Vである。正常時の等価回路を図3(a)に示す。
ここで、放電灯負荷FL1と装置の接続点である端子Cが外れた場合、もしくは放電灯負荷FL1とFL2の接続点である端子Gが外れた場合には、検出回路K2は図3(b)のように放電灯負荷FL2が直流回路的に分離する構成となり、検出電圧Vk2には図3(c)のように電源投入後に発生する直流バイアス源DC2を抵抗Rb1、Rb2、Rb3で分圧した電圧が発生する。ここでの検出電圧Vk2の電圧変化をインバータ内部に構成された保護回路に入力し、所定の保護機能を動作させることが可能になる。つまり、インバータ動作時の二線外れによるアーク発生モードに至る前に、ランプ電流導通経路が残っている「一線外れ」の状態を検出することが可能となる。
本実施形態によれば、一線外れの状態を検出できるため、アーク発生モードである二線外れになる前に確実に保護することが可能となり、高い安全性を得ることができる。また、検出回路K1の直流バイアス源DC1は起動時には電圧が発生しないため、本検出回路とは別に、電源投入時の負荷接続判別を行なう起動時無負荷検出回路を容易に構成することができる。
例えば、図31の従来例で説明したように、抵抗R11、フィラメント端子B−A、抵抗R12、フィラメント端子C−G−D、抵抗R13、ダイオードD4、抵抗R14、コンデンサC10からなる起動時無負荷検出回路を構成し、抵抗R12とR13の間にフィラメント端子C、G、Dを介在させることで、起動時に端子C、G、Dのいずれかが接続不良のときは、抵抗R11、端子B−A、抵抗R12、端子C−G−D、抵抗R13、抵抗R14を介する直流電流が遮断されるように構成しても、図31の従来例では、起動時に電圧が発生する直流電源Vdcから抵抗R6、予熱巻線c−d、フィラメント端子D、抵抗R13、抵抗R14の経路で電流が流れるという問題があったが、本実施形態であれば、フィラメント端子Dに接続された第1の検出回路K1の直流バイアス源DC1はインバータ起動後に発生するので、起動時無負荷検出回路の動作を妨げることはなくなる。この起動時無負荷検出回路を付加した実施形態について次に説明する。
(実施形態2)
本発明の実施形態2の構成を図4に示す。本実施形態は、実施形態1の構成に対して、電源投入後に発生する直流バイアス源DC2と抵抗Rb1、放電灯負荷FL1、FL2のフィラメントC−G−D、抵抗Rc1、ダイオードDc1、Dc2、抵抗Rc2、コンデンサCc1よりなる検出回路K3(起動時無負荷検出回路)を追加したものである。
以下、図4の回路の動作について説明する。検出回路K1、K2は実施形態1と同様の動作のため、重複する説明は省略する。検出回路K3は、インバータが起動する前に、放電灯負荷FL1とFL2の直列接続部分(端子C−G−D)の接続状態を検知する。端子C、D、Gが正常の場合、電源が投入されると直流バイアス源DC2より抵抗Rb1、端子C、G、D、抵抗Rc1、ダイオードDc1を介してコンデンサCc1の電圧が上昇する。つまり、コンデンサCc1の電位上昇により、放電灯負荷FL1とFL2の直列接続部分(端子C−G−D)の接続状態が正常であることを判別する。インバータが動作すると、図5(a)に示すように、放電灯負荷FL2で発生する高周波電圧により、コンデンサCc1の電圧Vk3を維持するものである。
端子C、D、Gのいずれかが繋がっていない場合、電源が投入されても、コンデンサCc1への充電経路が遮断される。また、直流バイアス源DC1もインバータが起動する前には、電圧が発生していないため、直流バイアス源DC1からコンデンサCc1への充電もない。したがって、この場合には、図5(b)に示すように、検出電圧Vk3はほとんど上昇しないため、接続異常と判別し、インバータは起動しない。
本実施形態によれば、インバータ起動前のFL1、FL2の接続点の端子C、D、Gの接続状態を容易に検知できる。また、インバータ動作状態での「一線外れ」(端子C、D、Gのいずれか1つの接続不良)を容易に検知できる。
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図6に示す。本実施形態は、実施形態1の直流バイアス源DC1およびDC2を具体的に示したものである。インバータはハーフブリッジ型インバータであり、直流電源Vdcにスイッチング素子Q1・Q2の直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1・Q2の接続点には、直流カット用コンデンサC1の一端が接続されている。コンデンサC1の他端とグラウンド間には、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1、FL2からなる共振負荷回路が接続されている。放電灯負荷FL1、FL2のフィラメントの予熱源は、共振用インダクタンス素子T1の2次巻線により構成されている。
インバータ起動後に発生する直流バイアス源DC1は、ハーフブリッジ型インバータにおける直流電源Vdcに直列接続されたスイッチング素子Q1・Q2の接続点より構成している。電源投入後に発生する電源DC2は、ハーフブリッジ型インバータの直流電源Vdcより構成している。
以下、図6の回路の動作について説明する。スイッチング素子Q1・Q2がデューティ比約50%で交互にオン・オフすることで、共振負荷回路に矩形波状の高周波電圧を印加して、共振負荷回路で共振し、放電灯負荷FL1、FL2に高周波電力を供給するものである。
スイッチング素子Q2には並列的に抵抗R8、R9、R10aの直列回路が構成されているため、インバータ起動前には直流電源Vdcはほとんどスイッチング素子Q1に印加される。その結果、スイッチング素子Q2にはほとんど電圧が印加されず、直流バイアス源DC1はほとんど0Vである。インバータが起動すると、スイッチング素子Q1・Q2が約50%のデューティ比でスイッチングするため、スイッチング素子Q2の両端には直流電源Vdcの振幅の矩形波電圧が発生する。この矩形波電圧の平均値は直流電源Vdcの約半分である。
通常点灯時のコンデンサC8aの電位は、放電灯負荷FL2のインピーダンスが低いため、ほぼ0Vである。点灯中に端子Dの接続が外れた場合には、実施形態1と同様、放電灯負荷FL2のインピーダンスが分離されるため、直流バイアス源DC1の電位を抵抗R8、R9、R10aで分圧した検出電圧Vk1が発生する。これにより、点灯時の端子Dの一線外れを検出することができる。言うまでもないが、コンデンサC8aはインバータの高周波電圧に対してインピーダンスが十分低いため、コンデンサC8aの検出電圧Vk1としては、矩形波電圧を平均化した直流電圧が発生する。
電源投入後に発生する直流バイアス源DC2は、直流電源Vdcから構成されている。通常点灯時のコンデンサC8bの電位は、放電灯負荷FL2のインピーダンスが低いため、ほぼ0Vである。点灯中に端子CもしくはGの接続が外れた場合には、実施形態1と同様、放電灯負荷FL2のインピーダンスが分離されるため、直流バイアス源DC2を抵抗R6、R7、R10bで分圧した検出電圧Vk2が発生する。これにより、点灯時の端子CもしくはGの一線外れを検知することができる。
本実施形態によれば、点灯中の直流バイアス源DC1はインバータ起動前には電圧が発生しないため、インバータ起動前の端子C、D、Gの接続を検知する起動時無負荷検出回路(実施形態2の検出回路K3など)を容易に構成することが可能となる。また、インバータ動作状態での「一線外れ」(端子C、D、Gの接続不良)を容易に検知できる。このように、接続異常状態を確実に検出することができるため、高い安全性を確保することができる。これらを比較的に安価な構成で、かつ精度良く検知することが可能となる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図7に示す。本実施形態は、実施形態3のインバータにおいて、直流成分カット機能をコンデンサC1及びC2で行なうように構成したものである。インバータ起動後に発生する直流バイアス源DC1はコンデンサC1とC2と共振用インダクタンス素子T1の接続点より構成している。
以下、図7の回路の動作について説明する。本実施形態における直流バイアス源DC1には、コンデンサC2で発生する共振電圧に、直流カット電圧である直流電源Vdcの約半分の電圧が重畳されているので、平均値は直流電源Vdcの約半分である。したがって、実施形態1と同様の検出動作が得られる。
本実施形態によれば、実施形態3と同様の効果が得られる。なお、コンデンサC1に共振機能を持たせた回路構成(コンデンサC1も共振するような容量に選定した回路構成)においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施形態5)
本発明の実施形態5を図8に示す。本実施形態は、実施形態3のインバータに、予熱回路を追加した構成であり、実施形態3と同様の効果がある。スイッチング素子Q2に並列に、予熱トランスT2、予熱回路用の直流カット用コンデンサC6が接続されている。予熱トランスT2の2次側には、放電灯負荷FL1、FL2のフィラメントを予熱するための2次巻線が構成されている。本実施形態における直流バイアス源DC1には、コンデンサC6で発生する直流カット電圧である直流電源Vdcの約半分の電圧が印加されている。したがって、実施形態1と同様の検出動作が得られる。
(実施形態6)
本発明の実施形態6を図9に示す。本実施形態では、実施形態3に付加される制御回路部2の詳細を示したものである。制御回路部2は、スイッチング素子Q1・Q2の駆動回路、スイッチング素子Q1・Q2の動作周波数を設定する周波数制御回路、予熱・始動・点灯の各動作モードの周波数に変化させるタイマー回路、負荷の異常を検出する電圧比較器NL、ELから構成されている。
電圧比較器NLの+入力端子には、起動時無負荷検出回路(直流電源Vdcから抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R13、ダイオードD4を介してコンデンサC10と抵抗R14の並列回路を充電する回路)の検出電圧が印加されている。
端子Dの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R8、R9、R10a、コンデンサC8a)、端子CもしくはGの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R6、R7、R10b、コンデンサC8b)の検出電圧は、それぞれダイオードD2a、D2bを介して電圧比較器ELの+入力端子に接続されている。(なお、後述の実施形態16〜20では、コンデンサC8、抵抗R10、ダイオードD2は兼用されるが、ここでは理解を容易にするために、コンデンサC8aとC8b、抵抗R10aとR10b、ダイオードD2aとD2bを個別に設けている。)
以下、図9の動作について説明する。制御回路部2からスイッチング素子Q1・Q2への駆動信号により、インバータのスイッチング素子Q1・Q2が交互にオン・オフ動作し、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1・FL2からなる共振負荷回路に矩形波状の高周波電圧を印加することで、放電灯負荷FL1・FL2を正弦波状の高周波で点灯させるものである。
インバータは電源投入されると、共振インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2により決まる無負荷共振周波数f0に比べて十分に高い予熱時周波数fphにて発振開始し、放電灯負荷FL1・FL2には点灯出来ない程度の共振電圧が印加される。このとき、予熱トランスT2の2次巻線よりコンデンサC3、C4、C5を介してフィラメントを加熱するための先行予熱電流が流れる(先行予熱モード)。
所定の時間にわたり先行予熱を行なった後、インバータの動作周波数は、予熱時周波数fphより低く、無負荷共振周波数f0に近い始動時周波数fstに変化し、放電灯負荷FL1・FL2が点灯できるような共振電圧が印加され、放電灯負荷FL1・FL2は点灯する(始動モード)。
その後、インバータの動作周波数は点灯時周波数ftに変化して、通常点灯状態に移行し、放電灯負荷FL1・FL2は所定の出力が得られる(点灯モード)。以上が負荷を正常に接続した場合の電源投入時から通常点灯に至るまでのシーケンス動作である。
本実施形態には、負荷が接続されていないことや、フィラメントが断線したことを検知し、インバータを発振停止する機能を有しており、その動作について説明する。
制御回路部内に構成された電圧比較器NLは内部閾値Ref−NLを下回ると、Low信号を出力する。電圧比較器NLはLow信号を出力すると周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。一方、電圧比較器NLがHigh信号を出力すると、周波数制御回路は動作し、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号も出力され、インバータは動作する。
電圧比較器ELがLow信号を出力すると、通常動作には影響せず、インバータは動作する。しかし、High信号の出力時は周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。また、電圧比較器ELは電源投入からの所定の時間はHigh信号を出力しないように動作禁止期間(マスク期間)を設けている。
まず、フィラメント端子A、B、C、D、E、F、Gが正常に接続された状態で電源が投入されると、以下の動作となる。
起動時無負荷検出回路では、直流電源Vdcから抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R13、ダイオードD4を介してコンデンサC10、抵抗R14の並列回路に電流が流れて、検出電圧が所定値まで上昇する。これにより電圧比較器NLの+入力端子は基準電圧Ref−NLを越えて、電圧比較器NLの出力はHigh信号となる。この結果、インバータは通常動作を開始し、放電灯負荷FL1・FL2の両端には高周波電圧が発生し、ツェナーダイオードZD1では高周波電圧を半波整流すると共にツェナー電圧によりピーク値をクランプした電圧波形が発生する。この電圧をダイオードD4とコンデンサC10と抵抗R14によりフィルタリングし、インバータが動作後においても電圧比較器NLの+入力端子へのバイアスを維持する。
端子C、G、Dの接続が不良の場合や、端子C−G間または端子D−G間のフィラメントが断線している場合や、放電灯負荷FL1、FL2が挿入されていない場合は、直流電源VdcからコンデンサC10への充電経路が遮断されるため、インバータは起動しない。インバータが起動しないので、抵抗R8を介してR13に直流電流が流れることもない。
端子CもしくはGの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R6、R7、R10b、コンデンサC8b)は、直流電源Vdcから抵抗R6、R7を介して抵抗R10bとコンデンサC8bの並列回路に電流を流し、コンデンサC8bの電圧を所定値まで上昇させる。放電灯負荷FL1・FL2が点灯する前には、コンデンサC8bの電圧は基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電源投入されてインバータが起動してから所定時間は電圧比較器ELにマスク期間を設けているため、その+入力端子に印加される電圧が如何なるレベルであっても、フィラメント外れ検出の機能は働かない。
インバータが動作し、放電灯負荷FL1・FL2が点灯すると、放電灯負荷FL1・FL2のインピーダンスは低下する。負荷の定格によりインピーダンスは様々であるが、一般的には数百Ω〜数kΩである。
端子CもしくはGの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R6、R7、R10b、コンデンサC8b)を構成する抵抗は共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数MΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2に直流成分が発生しない条件下では殆ど抵抗R10b、コンデンサC8bの並列回路には電圧が発生しない。
端子Dの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R8、R9、R10a、コンデンサC8a)の直流バイアス源DC1は、スイッチング素子Q1とQ2の接続点に接続されている。インバータの起動前のスイッチング素子Q1およびQ2は何れもオフであり、等価的には何れも微小な容量成分を保持していることになるが、実施形態3にて説明したように、スイッチング素子Q2側の両端電圧は殆ど0Vであり、直流電源Vdcの殆どはスイッチング素子Q1に印加される。つまり、直流バイアス源DC1は起動前にはほぼ0Vである。このため、インバータ起動前に直流バイアス源DC1から抵抗R8、R13、ダイオードD4を介してコンデンサC10と抵抗R14の並列回路を充電する経路は無いため、上述した起動時無負荷検出回路への影響を回避できる(起動時無負荷検出回路の機能を確保できる)。
この検出回路もインバータ起動後、放電灯負荷FL1・FL2が点灯する前には、コンデンサC8aの電位は、基準電圧Ref−ELを越える場合があるが、上述のように、電源投入されてインバータが起動してから所定時間は電圧比較器ELにマスク期間を設けているため、その+入力端子に印加される電圧が如何なるレベルであっても、フィラメント外れ検出の機能は働かない。
通常点灯時(マスク期間後)に端子CもしくはGが接続不良の場合の動作について説明する。端子Cが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず端子Gを流れる。端子CもしくはGの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R6、R7、R10b、コンデンサC8b)では、直流電源Vdcを抵抗R6、R7とR10bで分圧した直流電圧が発生し、この電圧が基準電圧Ref−ELを越えるため、電圧比較器ELの出力がHigh信号となり、インバータは発振停止する。
端子Gが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化し、端子C→コンデンサC4→予熱巻線c−d→端子Dの経路となる。この場合も端子CもしくはGの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R6、R7、R10b、コンデンサC8b)の抵抗R6とR7の直列構成部分には並列に低インピーダンス要素の接続がないため(放電灯負荷FL2が直流的に分離されるため)、抵抗R10bには直流電源Vdcを抵抗R6、R7とR10bで分圧した直流電圧が発生し、この電圧が基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子Dが接続不良の場合の動作を説明する。
端子Dが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず端子Gを流れる。端子Dの点灯時接続不良を検知する回路(抵抗R8、R9、R10a、コンデンサC8a)において、抵抗R9、R10aの直列回路に対しては低インピーダンス要素の接続が無い(コンデンサC4により放電灯負荷FL2と直流的に分離される)ため、抵抗R10aにはスイッチング素子Q1・Q2の接続点に発生する直流成分を抵抗R8、R9とR10aで分圧した直流電圧が発生し、この電圧が基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子C−G間または端子D−G間のフィラメントが断線した場合は、上述した端子CもしくはGの接続不良モードまたは端子Dの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
以上のように、本実施形態では、フィラメントを有する放電灯点灯装置において、電源投入時や負荷再装着時に全ての放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができる。また、通常点灯時においても、放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができる。また、ランプ電流経路が断たれる前(二線外れになる前)に、検出することができるため、アーク発生モードに至らずに確実に検出ができる。
特に、本実施形態では、電源投入時において、2灯直列回路の接続点(中点)のフィラメント断線と負荷に接続される配線の接続不良を確実に検出することができる。つまり、電源投入後、インバータが起動する前には、抵抗R8を介して抵抗R13に直流電流を流す経路が無いから、仮に、端子C、G、Dのいずれかに接続不良があれば、抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R13を通る経路で直流電流が流れることはなく、抵抗R14とコンデンサC10の並列回路の電圧が上昇しないから、インバータが発振を開始することはない。
また、負荷再装着時においても、全ての端子が装着されたことを検出することが出来る。図31の従来例では、ランプが外れている状態から再装着をする際、端子C、D、Gの部分が非装着であっても、端子A、BとE、Fが装着されていれば、インバータは起動してしまう問題があったが、本実施形態によれば、負荷再装着時においても、全ての端子が装着されたことを検出してからインバータが発振を開始するので、ランプが不完全な接続状態でインバータが動作することはなく、回路にストレスが発生することはない。また、ランプ装着中にランプが点灯しようとすることがなくなり、ユーザーに不安感を与えることはない。通常点灯時においても、全てのフィラメント断線と負荷に接続される配線の接続不良を確実に検出することができる。
上述した機能を得るための回路は、少ない部品点数で構成できるため、装置の小形化に寄与できる。つまり、本発明の実施に必要となる追加部品はほとんど無く、ほとんど抵抗類で構成できるため、安価で実現できる。
(実施形態7)
実施形態7を図10に示す。本実施形態は、実施形態6に対して、端子D外れ検出回路の直流バイアス源DC1を実施形態4の場所より確保したものである。動作については、実施形態4および6と同様の動作であるため、重複する説明は省略する。
本実施形態においても実施形態6と同様の効果が得られる。コンデンサC1に共振機能を持たせた回路構成(コンデンサC1も共振するような容量を選定した回路構成)においても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
(実施形態8)
実施形態8を図11に示す。本実施形態は、実施形態6に対して、端子D外れ検出回路の直流バイアス源DC1を実施形態5の場所より確保した例である。動作については、実施形態5および6と同様の動作であるため、重複する説明は省略する。本実施形態においても実施形態6と同様の効果が得られる。
(実施形態9)
実施形態9を図12に示す。本実施形態によれば、実施形態6に加え、放電灯負荷FL1の端子A、Bの起動時無負荷検出回路と、点灯時の端子A外れ検出回路と、点灯時の端子B外れ検出回路を追加したものである。
放電灯負荷FL1の端子A、Bの起動時無負荷検出回路は、直流電源Vdc、抵抗R11、フィラメント端子B、A、抵抗R19、ツェナーダイオードZD2、ダイオードD6、抵抗R20、コンデンサC12、抵抗R21で構成されている。
点灯時の端子A外れ検出回路は、抵抗R5、R1、R2、コンデンサC7、ダイオードD1で構成されている。
点灯時の端子B外れ検出回路は、抵抗R11、R3、R4、コンデンサC9、ダイオードD3で構成されている。
本実施形態において、インバータの動作、制御回路部の動作、端子CまたはG外れ検出回路の動作、端子D外れ検出回路の動作は実施形態6と同様であるため、重複する説明は省略する。
まず、フィラメント端子A、BおよびC、D、Gが正常に接続された状態で電源が投入されると、以下の動作となる。
端子A、Bの起動時無負荷検出回路では、直流電源Vdcから抵抗R11、端子B−A間のフィラメント、抵抗R19、ダイオードD6を介してコンデンサC12と抵抗R20の並列回路を充電し、その電圧が所定値まで上昇する。これにより、電圧比較器NLの+入力端子は基準電圧Ref−NLを越え、電圧比較器NLの出力はHigh信号となる。その結果、インバータは通常動作を開始する。
通常動作を開始すると、放電灯負荷FL1、FL2の両端には高周波電圧が発生し、ツェナーダイオードZD2では高周波電圧を半波整流すると共にツェナー電圧によりピーク部をクランプした波形が発生する。この電圧をダイオードD6とコンデンサC12と抵抗R20によりフィルタリングし、インバータが動作後においても電圧比較器NLの+入力端子へ抵抗R21を介してバイアスを維持する。
このとき、コンデンサC10は実施形態6で説明したように電圧が発生しており、この電圧がコンデンサC12の電圧以上を維持していることでダイオードD7がオフしているため、電圧比較器NLへの入力は基準電圧Ref−NLより高い電圧を維持している。
端子B外れ検出回路では、直流電源Vdcから抵抗R11、R3を介して抵抗R4とコンデンサC9の並列回路が所定値まで充電される。放電灯負荷FL1・FL2が点灯前のコンデンサC9の電位は、基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、+入力端子への入力が如何なるレベルの場合でも、端子B外れ検出回路は機能しない。
インバータが動作し、負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1・FL2のインピーダンスは低下する。負荷の定格によりインピーダンスは様々であるが、一般的には数百Ω〜数kΩである。端子B外れ検出回路を構成する抵抗は共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数MΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2に直流成分が発生しない条件下では抵抗R4、コンデンサC9には殆ど電圧が発生しない。
端子A外れ検出回路では、コンデンサC1に並列接続された抵抗R5と、これに直列接続された抵抗R1を介して、コンデンサC7と抵抗R2の並列回路が充電され、その充電電圧がダイオードD1を介して電圧比較器ELにより監視されている。本検出回路は、インバータの矩形波交流電圧が発生する箇所、つまり、共振負荷回路への入力電圧が発生する箇所に接続されているため、通常動作時は、ほとんど直流成分電圧が発生しないため、コンデンサC7の電圧はほとんど発生しない。
インバータ起動前には、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスが高いため、端子A、Bの起動時無負荷検出回路では、直流電源Vdc、抵抗R11、端子B−A、共振用インダクタンス素子T1(直流インピーダンスが非常に小さい)、抵抗R1、R2の経路で電流が流れて、コンデンサC7が充電され、基準電圧Ref−ELを超える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、+入力端子への入力レベルが如何なる場合でも、端子A、B外れ検出回路は機能しない。
電源投入時に端子A−B間のフィラメントが断線もしくは端子AまたはBが接続不良の場合の動作について説明する。この場合、端子A、Bの起動時無負荷検出回路の直流バイアス経路が遮断されるため、コンデンサC12が充電されず、その電圧が基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。
電源投入時に端子C−G間あるいは端子D−G間のフィラメントが断線もしくは端子C、D、Gのいずれかが接続不良の場合の動作を説明する。この場合、端子C、D、Gの起動時無負荷検出回路のコンデンサC10への直流バイアス経路が遮断されるため、コンデンサC10が充電されずダイオードD7がオンする。そして、電圧比較器NLの+入力端子には、コンデンサC12の電位を抵抗R21とR14で分圧した電圧が入力され、それが、基準電圧Ref−NL以下となるため、インバータは起動しない。
以上より、電源投入時においては端子A、B(高圧側)および端子C、D、G(中点側)の接続不良やフィラメント断線を検知することが出来る。
次に、通常点灯時(マスク期間後)に端子Aが接続不良の場合の動作について説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流は共振用インダクタンス素子T1よりコンデンサC3、予熱巻線a−b、端子Bを介して流れる。端子A、Bの起動時無負荷検出回路の抵抗R19とコンデンサC3の接続部分には高周波電圧が継続して発生しているため、コンデンサC12は通常点灯時の電位を保持する。つまり、本検出回路は機能しない。
この時、コンデンサC3と放電灯負荷FL1とFL2の直列回路に対して並列に、端子A外れ検出回路(抵抗R1、R2、コンデンサC7)と端子A、Bの起動時無負荷検出回路(抵抗R11は除く)が構成される形となり、この合成インピーダンスをZ1とすると、コンデンサC1とコンデンサC3には直流成分電圧を抵抗R5と合成インピーダンスZ1で分圧した電圧がそれぞれに分担される。この結果、コンデンサC3と放電灯負荷FL1とFL2の直列回路には直流成分電圧が発生するため、端子A外れ検出回路にも直流成分電圧が発生する。よって、コンデンサC7、抵抗R2の電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子Bが接続不良の場合の動作を説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流経路は変化しない、すなわち、共振用インダクタンス素子T1、端子A、放電灯負荷FL1・FL2の経路でランプ電流が流れるものの、端子B外れ検出回路の分圧比が負荷のインピーダンスに影響されなくなる(コンデンサC3により直流的に分離される)ため、抵抗R11、R3、R4の分圧比で決まる電圧がコンデンサC9、抵抗R4の並列回路に発生する。その電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子A−B間のフィラメントが断線した場合は、上述した端子Aの接続不良モードもしくは端子Bの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
以上のように、本実施形態では、フィラメントを有する放電灯点灯装置において、電源投入時や負荷再装着時に全ての放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができる。また、通常点灯時においても、全ての放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができるため、アーク発生モードに至らずに確実に検出ができる。
本実施形態によれば、実施形態8の効果に加え、電源投入時において、端子A、B(高圧側)のフィラメント断線と負荷に接続される配線の接続不良を確実に検出することができる。負荷再装着時においても、全ての端子が装着されたことを検出することが出来る。通常点灯時においても、端子A、B(高圧側)のフィラメント断線と負荷に接続される配線の接続不良を確実に検出することができる。
(実施形態10)
実施形態10を図13に示す。本実施形態は、実施形態9に対して、端子A外れ検出回路の抵抗R5に対してダイオードD8を直列に接続したものである。本実施形態の動作について、実施形態9と異なるところを説明する。
本実施形態では、抵抗R5にダイオードD8が直列に接続されているが、これは、電源投入時に端子C、D、Gの何れかが外れている場合において、端子C、D、Gの起動時無負荷検出回路のバイアスは遮断されるものの、端子A、Bが接続されている場合には、端子A、Bの起動時無負荷検出回路において、抵抗R11、端子B−A間のフィラメント、共振用インダクタンス素子T1、抵抗R5、抵抗R8、R13の経路でコンデンサC10を充電する経路を完全に遮断するためである。
本実施形態によれば、実施形態9の効果に加え、より確実に検出性能を高めることができる。さらにダイオードD8は、直流カット用コンデンサC1の通常動作時の電位に対して、逆バイアスが掛からない方向に接続されている上、抵抗R5が直列接続されているので、電流も非常に小さいため(共振電流はコンデンサC1を流れるため)、電流容量の少なく且つ高速のリカバリー特性が不要のため、安価なダイオードを使うことができる。
(実施形態11)
実施形態11を図14に示す。実施形態10において、ダイオードD8の代わりにツェナーダイオードZD8を接続したものである。実施形態10と同じ動作であるが、端子C、D、Gの何れかが外れている場合に、端子C、D、Gの起動時無負荷検出回路のコンデンサC10を、抵抗R11、端子B−A間のフィラメント、共振用インダクタンス素子T1、抵抗R5、抵抗R8、抵抗R13の経路で充電する経路をツェナーダイオードZD8で遮断するものである。
本実施形態においても、実施形態10と同じ効果が得られる。また、ツェナーダイオードZD8を流れる電流が非常に小さいため(抵抗R5が直列接続されているうえに、共振電流はコンデンサC1を流れるため)、電力容量の非常に小さい素子が使えるため、安価なツェナーダイオードを使うことが出来る。
(実施形態12)
実施形態12を図15に示す。実施形態10において、コンデンサC1の位置を実施形態4のように、放電灯負荷FL1、FL2に対して直列に接続したものである。本実施形態の動作については実施形態10と同様であるため、重複する説明は省略する。ここでのコンデンサC1は、直流カット用として使用しても良いし、直流カット用コンデンサを共振用コンデンサとして兼用してもよい。後者の場合には、コンデンサC1には、直流カット電圧に共振電圧が重畳された波形が発生する。
コンデンサC1とダイオードD8の電圧波形を図19に示した。図19はダイオードD8のアノード側を基点とした電圧波形である。このように、コンデンサC1には共振電圧が直流電圧に重畳されていることが分かる。図19(a)は、ダイオードD8に並列にコンデンサ100pFを接続した場合の波形図である。
このような回路例の場合では、通常動作時においても、ダイオードD8に共振電圧の一部が印加されている。ここで、ダイオードD8として高速タイプのものを使用すると、図19(b)のように、コンデンサC1の電圧のほぼピークが印加される。
一方、ダイオードD8として低速(一般)タイプのものを使用すると、図19(c)のように、コンデンサC1の電圧のピークに比べて低い値が印加されることが分かる。これは、低速タイプのダイオードの接合容量を利用することにより、ダイオードD8の整流機能だけでなく、抵抗R5の交流インピーダンスとダイオードD8の接合容量によるインピーダンスの分圧により、ダイオードD8の印加電圧を低くすることができるからである。また、実施形態10でも述べたように、抵抗R5、ダイオードD8に流れる電流は非常に小さいため、リカバリー時間の長い低速ダイオードを使用しても、逆方向電流によるダイオードのロスはほとんど無視できる。
本実施形態においても実施形態10と同様の効果が得られる。また、コンデンサC1に共振動作を兼用させる回路構成においても、ダイオードD8として低速タイプの(リカバリー時間の長い)ダイオードを使用することができるため、安価に構成することができる。
(実施形態13)
実施形態13を図16に示す。本実施形態によれば、実施形態12のダイオードD8にコンデンサCdを並列に接続したものである。本実施形態の動作については実施形態10と同様であり、実施形態12と同様の効果が得られる。また、ここでは、ダイオードD8に並列にコンデンサCdを接続しているため、コンデンサC1に発生する高周波電圧の分圧比をダイオードD8が低くすることができ、実施形態12の低速タイプのダイオードを使う効果をさらに向上することが可能になる。図19(a)は、ダイオードD8に並列にコンデンサ100pFを接続した場合の波形図である。
(実施形態14)
実施形態14を図17に示す。本実施形態は、実施形態12の抵抗R8に直列にダイオードD9を挿入したものである。基本動作は、実施形態12と同じである。ダイオードD9の役割は、端子A、Bの何れかが外れている場合において、端子C、D、Gの起動時無負荷検出回路より、抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R8、ダイオードD8、抵抗R5、R19、ダイオードD6の経路でコンデンサC12を充電する経路をダイオードD9で遮断するためである。本実施形態においても実施形態12と同等の効果が得られる。また、実施形態12よりも高い精度を得ることが出来る。
(実施形態15)
実施形態15を図18に示す。本実施形態は、実施形態14のダイオードD9をツェナーダイオードZD9で構成したものである。動作については実施形態14と同じであり、実施形態14と同等の効果が得られる。
実施形態14では、ダイオードD9には、放電灯負荷FL1・FL2の点灯前の始動電圧が印加されるため、高耐圧のダイオードが必要であるが、ツェナーダイオードZD9では、抵抗R8の電流が非常に小さいので、電力容量の小さいツェナーダイオードが使えるため、実施形態14よりも安価で構成することができる。
また、本実施形態においても、実施形態12や13のように、低速ダイオードを用いたり、並列にコンデンサを追加することで、印加電圧を下げつつ、同等の検出性能を確保することができるのは言うまでも無い。
(実施形態16)
実施形態16を図20に示す。以下、その回路構成について説明する。直流電源Vdcを高周波に変換するインバータ1は、スイッチング素子Q1、Q2と直流成分カット用コンデンサC1、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1、FL2からなる。
予熱回路としては、スイッチング素子Q2に並列に予熱トランスT2と第2の直流成分カット用コンデンサC6の直列回路を接続している。予熱トランスT2には二次巻線を設けており、それぞれ予熱制御用コンデンサC3、C4、C5を介して放電灯負荷FL1、FL2のフィラメントを予熱するものである。
負荷の直流成分を検出する抵抗R1、R2、コンデンサC7からなる第1のDC検出回路と、負荷の直流成分を検出する抵抗R3、R4、コンデンサC9からなる第2のDC検出回路と、コンデンサC4の直流成分電圧を検出する抵抗R6、R7、R10、コンデンサC8からなる第3のDC検出回路と、抵抗R8、ツェナーダイオードZD3、R9、R10、コンデンサC8からなる第4のDC検出回路を有している。
第1のDC検出回路のコンデンサC7の電圧はダイオードD1を介して、また、第3及び第4のDC検出回路のコンデンサC8の電圧はダイオードD2を介して、さらに、第2のDC検出回路のコンデンサC9の電圧はダイオードD3を介して、電圧比較器ELの+入力端子に入力されている。
端子EもしくはFの接続または端子E−F間のフィラメント断線を検出する第1の無負荷検出回路は、抵抗R15、R16、R17、R18、コンデンサC11、トランジスタQ3から構成されている。
電源投入時に端子AもしくはBの接続または端子A−B間のフィラメント断線を検出する第2の無負荷検出回路は、抵抗R11、R19、ツェナーダイオードZD2、ダイオードD6、抵抗R20、R21、コンデンサC12から構成されている。
電源投入時に端子C、D、Gの接続または端子C−G間のフィラメント断線や端子D−G間のフィラメント断線を検出する第3の無負荷検出回路は、抵抗R6、R13、R14、ダイオードD4、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC10、ダイオードD7から構成されている。
インバータ1のスイッチング素子Q1,Q2は制御回路部2により高周波で交互にオン・オフされる。制御回路部2は、インバータ1の動作周波数を制御するタイマー回路・周波数制御回路22と、負荷の異常を検出する電圧比較器NL、ELと、スイッチング素子Q1・Q2の駆動を制御する駆動回路21からなる。
以下、本実施形態の動作について説明する。電源投入から通常点灯に至るまでのシーケンス動作を図21に示す。また、インバータ1の動作周波数と共振負荷回路の共振特性の関係を図22に示す。
インバータ1は、制御回路部2からスイッチング素子Q1・Q2への駆動信号により、スイッチング素子Q1・Q2が交互にオンオフ動作し、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、放電灯負荷FL1、FL2からなる共振負荷回路に矩形波状の高周波電圧を印加することで、放電灯負荷FL1、FL2を正弦波状の高周波で点灯させるものである。
インバータは電源投入されると、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2により決まる無負荷共振周波数f0に対して十分に高い周波数fphにて発振開始し、放電灯負荷FL1、FL2には点灯出来ない程度の共振電圧が印加される。この時、予熱トランスT2の2次巻線よりコンデンサC3、C4、C5を介してフィラメントを加熱するための先行予熱電流が流れる(先行予熱モード)。
所定の時間先行予熱を行なった後、インバータの動作周波数は放電灯負荷FL1、FL2を点灯できるように周波数は無負荷共振周波数f0に近い始動時周波数fstに変化し、放電灯負荷FL1、FL2が点灯できるような共振電圧が印加され、放電灯負荷FL1、FL2は点灯する(始動モード)。
その後、インバータの動作周波数は点灯時の周波数ftに変化して、通常点灯状態に移行し、放電灯負荷FL1、FL2は所定の出力が得られる(点灯モード)。以上が負荷を正常に接続した場合の電源投入から通常点灯に至るまでのシーケンス動作である。
本実施形態では、負荷が接続されていないことや、フィラメントが断線したことを検知し、インバータを発振停止する機能を有しており、その動作について説明する。
制御回路部内に構成された電圧比較器NLは、入力電圧があらかじめ設定された閾値Ref−NLを下回るとLow信号を出力する。電圧比較器NLはLow信号を出力すると周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。一方、電圧比較器NLがHigh信号を出力すると、周波数制御回路は動作し、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号も出力され、インバータは動作する。
電圧比較器ELがLow信号を出力している時にはインバータは動作し、High信号を出力している時は周波数制御回路を停止させ、スイッチング素子Q1・Q2への駆動信号が停止する。この結果、インバータは発振停止する。また、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はHigh信号を出力しないように動作禁止期間(マスク期間)を設けている。
(正常時の動作)
まず、フィラメント端子A、B、C、D、E、F、Gが正常に接続された状態で電源が投入されると、以下の動作となる。
第1の無負荷検出回路において、直流電源Vdcからの直流バイアスが抵抗R15、R16を介して抵抗R17に印加されると同時に、抵抗R15、フィラメント端子F−Eの経路にもバイアスが印加される。ここで、フィラメントの抵抗値は概ね数Ω〜数十Ωと低く、一方、抵抗R15、R16、R17は共振負荷回路に影響が無いような比較的大きな抵抗値(概ね数十kΩ〜数MΩ)で構成される。したがって、フィラメント端子F−E間に発生する電圧が非常に小さいため、これに並列的に接続された抵抗R16やR17に印加される電圧は極めて低く、トランジスタQ3のベース・エミッタ間への電流供給は殆ど無い。よって、トランジスタQ3はオフする。
第2の無負荷検出回路において、直流電源Vdcからの直流バイアスにより抵抗R11、フィラメント端子B−A、抵抗R19、ダイオードD6を介して抵抗R20に電流が流れることで、コンデンサC12が充電され、所定値まで上昇する。
第3の無負荷検出回路では、直流電源Vdcから抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R13、ダイオードD4を介して抵抗R14に電流が流れることで、コンデンサC10を充電し、所定値まで上昇する。
電圧比較器NLの+入力端子の電位は基準電圧Ref−NLを越え、電圧比較器NLの出力はHighとなる。この結果、インバータは通常動作を開始する。
通常動作を開始すると、放電灯負荷FL1、FL2の両端には高周波電圧が発生し、ツェナーダイオードZD2では高周波電圧を半波整流すると共に、ツェナー電圧によりピーク部をクランプした波形が発生する。この電圧をダイオードD6とコンデンサC12と抵抗R20によりフィルタリングし、インバータが動作を開始した後においても電圧比較器NLの+入力端子へのバイアスを維持する。
第1のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R11、フィラメント端子B−A、抵抗R1を介して抵抗R2に電流が流れて、コンデンサC7が所定値まで充電される。この電位は分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、電圧比較器ELの+端子への入力が如何なる場合でも、第1のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。負荷の定格によりインピーダンスは様々であるが、一般的には数百Ω〜数kΩである。第1のDC検出回路を構成する抵抗は共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、負荷に直流成分が発生しない条件下では殆ど抵抗R2、コンデンサC7には電圧が発生しない。
第2のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R11、R3を介して抵抗R4に電流が流れて、コンデンサC9が所定値まで充電される。この電位は第1のDC検出回路と同様、分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、第2のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。第2のDC検出回路の抵抗も共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、負荷に直流成分が発生しない条件下では殆ど抵抗R4、コンデンサC9には電圧が発生しない。
第3のDC検出回路においては、直流電源Vdcから抵抗R6、R7を介して、抵抗R10に電流が流れて、コンデンサC8が所定値まで充電される。この電位は第1のDC検出回路と同様、分圧によっては基準電圧Ref−ELを越える場合がある。しかしながら、電圧比較器ELは電源投入からの所定時間はマスク期間を設けているため、第3のDC検出回路は機能しない。
インバータが動作し負荷が点灯すると、放電灯負荷FL1、FL2のインピーダンスは低下する。第3のDC検出回路の抵抗も共振負荷回路に影響が無いように数十kΩ〜数百kΩで構成する。したがって、放電灯負荷FL1、FL2が点灯すると、抵抗R6と抵抗R7、R10の分圧比が著しく低下し、コンデンサC8と抵抗R10には電圧が殆ど発生しない。
第4のDC検出回路は、共振用インダクタンス素子T1とコンデンサC2の接続点に接続されている。インバータ起動前のスイッチング素子Q1およびQ2は何れもオフであり、等価的には何れも微小な容量成分を保持していることになるが、図23の等価回路よりスイッチング素子Q2側の両端電圧は殆ど0Vであり、直流電源Vdcの殆どはスイッチング素子Q1に印加される。つまり、共振用インダクタンス素子T1とコンデンサC2の接続点は起動前はほぼ0Vである。
図23はインバータ回路が起動する前の直流等価回路を示す。それぞれの検出回路のインピーダンスは合成させ、ブロック図で示している。共振用インダクタンス素子T1は理想的には直流抵抗は0Ω、コンデンサC2は理想的には直流抵抗は無限大のため省略している。また、各放電灯負荷FL1、FL2への配線は正常に接続されていることを前提としている。この場合、スイッチング素子Q2には並列的に第4のDC検出回路のインピーダンスと抵抗R5とダイオードD8を介した第1、第2、第3のDC検出回路および第1、第2、第3の無負荷検出回路が接続されている。一方、スイッチング素子Q1に対しては、抵抗R11はダイオードD8により影響しないため、インピーダンスは接続されていない。よって、スイッチング素子Q1とQ2の容量分担比はスイッチング素子Q1が全て受け持つ。このため、スイッチング素子Q2のドレイン端子は0Vとなる。
また、ここではダイオードD8が挿入されているものの、通常動作時にはコンデンサC1は図20に示す方向で電圧が印加され、また、抵抗R5は数十kΩ〜数百kΩであるため、ダイオードD8には動作中殆ど電流が流れないうえ、逆バイアスも印加されない。また、過渡的な共振電圧も印加されないため、ダイオードD8はリカバリー特性の高速なダイオードを必要としないし、大きな電流容量を必要としない。したがって、ダイオードD8として汎用性が高く且つ一般性能のものを使用できるので、安価に構成することができる。
電源投入時に端子A−B間のフィラメントが断線もしくは端子AまたはBが接続不良の場合の動作を説明する。
この場合、第2の無負荷検出回路(抵抗R11、R19、ツェナーダイオードZD2、ダイオードD6、抵抗R20、R21、コンデンサC12)の直流バイアス経路が遮断されるため、コンデンサC12は充電されず、基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。また、ダイオードD7が存在することにより、直流電源Vdcから抵抗R6、端子C−G−D、抵抗R13、ダイオードD4、抵抗R14の経路でのバイアス供給は遮断されており、無負荷検出回路への影響は無い。
電源投入時に端子E−F間のフィラメントが断線もしくは端子EまたはFが接続不良の場合の動作を説明する。
この場合、第1の無負荷検出回路(抵抗R15、R16、R17、R18、コンデンサC11、トランジスタQ3)のトランジスタQ3にベース電流が十分に供給され、トランジスタQ3がオンし、抵抗R18は抵抗R20、R21の分圧比を著しく低下させるような抵抗値のため、電圧比較器NLの+入力端子の電位が基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。
電源投入時に端子C−G間または端子D−G間のフィラメントが断線もしくは端子CやDやGが接続不良の場合の動作を説明する。
第3の無負荷検出回路(抵抗R6、R13、R14、ダイオードD4、ツェナーダイオードZD1、コンデンサC10、ダイオードD7)においては、抵抗R6、端子C、G、D、抵抗R13、ダイオードD4の経路での直流バイアス経路は遮断されている。また、インバータの起動前にはコンデンサC2には電圧が発生していないため、コンデンサC10にはコンデンサC2から抵抗R8、ツェナーダイオードZD3、抵抗R13、ダイオードD4、抵抗R14の経路でのバイアス供給は無い。したがって、コンデンサC10は直流電源Vdcから抵抗R11、端子B−A、抵抗R19、ダイオードD6、抵抗R21、ダイオードD7の経路でバイアス供給される。抵抗R14はこの経路におけるコンデンサC10の分圧比を小さくする抵抗値であるため、コンデンサC10の電位が基準電圧Ref−NL以下となり、インバータは起動しない。
以上より、電源投入時においては全ての放電灯負荷の接続箇所の不良やフィラメント断線を検知することが出来る。
通常点灯時(マスク期間後)に端子Aが接続不良の場合の動作を説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流は共振用インダクタンス素子T1よりコンデンサC1、C3、端子Bを介して流れる。この時、第2の無負荷検出回路の抵抗R19とコンデンサC3の接続部分には高周波電圧が継続して発生しているため、コンデンサC12は通常点灯時の電位を保持する。つまり、本検出回路は機能しない。
この時、コンデンサC3と放電灯負荷FL1・FL2の直列回路構成部分に対して並列に、第1のDC検出回路と第2の無負荷検出回路(抵抗R11は除く)が構成される形となり、この合成インピーダンスをZ1とすると、コンデンサC1とC3にはそれぞれ直流成分電圧を抵抗R5とインピーダンスZ1とで分圧した電圧が分担される。この結果、コンデンサC3と放電灯負荷FL1・FL2の直列回路構成部分には直流成分電圧が発生するため、第1のDC検出回路にも直流成分電圧が発生する。よって、コンデンサC7、抵抗R2の電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子Bが接続不良の場合の動作を説明する。共振負荷回路を流れるランプ電流経路は変化せず、共振用インダクタンス素子T1、コンデンサC1、端子A、放電灯負荷FL1・FL2を介してランプ電流が流れるものの、第2のDC検出回路の分圧比が負荷のインピーダンスに影響されなくなる(コンデンサC3により直流的に分離される)ため、抵抗R11、R3、R4の分圧比で決まる電圧がコンデンサC9、抵抗R4の並列回路に発生する。このとき、コンデンサC9、抵抗R4の並列回路の電位は基準電圧Ref−ELを越えるため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子A−B間のフィラメントが断線した場合は、上述した端子Aの接続不良モードもしくは端子Bの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
通常点灯中(マスク期間後)に端子E−F間のフィラメントが断線した場合や端子EまたはFが接続不良の場合は、電源投入時と同様に第1の無負荷検出回路が機能するため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子CもしくはGが接続不良の場合の動作を説明する。端子Cが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず、端子Gを介してランプ電流が流れる。第3のDC検出回路では、抵抗R8、ツェナーダイオードZD3、抵抗R9、R10の経路では、抵抗R9とR10の直列構成に対して放電灯負荷FL2が並列に存在するため、この経路を介する検出機能は働かない。一方、抵抗R6、R7、R10の経路では、端子Cが接続不良であり、且つ、コンデンサC4により抵抗R9とR10の直列回路と直流的に分離されているため、低インピーダンス要素の放電灯負荷は並列に存在しないことになる。よって、抵抗R10には直流電源Vdcを抵抗R6、R7、R10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
端子Gが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化し、端子C、コンデンサC4、予熱トランスT2の巻線c−d、端子Dの経路となる。この経路にはコンデンサC4が介在しているので、高周波のランプ電流は流れるが、直流電流は流れない。したがって、この場合も第3のDC検出回路の抵抗R7とR10の直列回路に対しては低インピーダンス要素の並列接続が無いため、抵抗R10には直流電源Vdcを抵抗R6、R7、R10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
次に、通常点灯時(マスク期間後)に端子Dが接続不良の場合の動作を説明する。
端子Dが接続不良の場合はランプ電流の経路は変化せず、端子Gを介してランプ電流が流れる。第3のDC検出回路において、抵抗R7とR10の直列構成に対して放電灯負荷FL2が低インピーダンス要素として並列に存在するが、抵抗R8、ツェナーダイオードZD3、抵抗R9、R10の経路では、抵抗R9とR10の直列構成に対しては低インピーダンス要素の接続が無い(コンデンサC4により放電灯負荷FL2と直流的に分離される)ため、抵抗R10にはコンデンサC2に発生する直流成分をR8、R9、R10で分圧した直流電圧が発生するため、インバータは発振停止する。
通常点灯時(マスク期間後)に端子C−G間もしくは端子D−G間のフィラメントが断線した場合は、上述した端子C、GもしくはDの接続不良モードの検出機能が働くため、インバータは発振停止する。
以上のように、本実施形態では、フィラメントを有する放電灯点灯装置において、電源投入時に、全ての放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができる。また、負荷再装着時においても、全ての端子が装着されたことを検出することができ、不完全装着状態ではインバータが起動しないため、ユーザーに不安感を与えない。通常点灯時においても、全ての放電灯負荷へ接続される端子や配線の接続不良やフィラメント断線を検出することができるため、アーク発生モードに至らずに確実に検出ができる。
上述した機能を得るための回路構成は、少ない部品点数で実現できるため、装置の小形化に寄与できる。この発明の実施に必要となる追加部品は少なく、ほとんど抵抗類で構成できるため安価で実現できる。
(実施形態17)
実施形態17を図24に示す。実施形態16に対して、フィラメント予熱回路の構成を変更したものである。具体的には、実施形態16で用いていたスイッチング素子Q2に並列に接続された直流成分カット用コンデンサC6と予熱トランスT2を削除し、共振用インダクタンス素子T1に二次巻線を設けており、それぞれの予熱制御用コンデンサC3、C4、C5を介してフィラメントを予熱するものである。
検出回路やインバータの動作は実施形態16と同じであるため、重複する説明は省略する。効果については実施形態16と同じである。本実施形態によれば、回路構成部品が実施形態16に比べて減るので、安価で実現できる利点がある。
(実施形態18)
実施形態18を図25に示す。実施形態16より、通常点灯時に端子CもしくはGが接続不良であることを検出する第3のDC検出回路の電圧源を電源投入時に発生する直流バイアス源DC2、また、通常点灯時に端子Dが接続不良であることを検出する第4のDC検出回路の電圧源をインバータ動作後に発生する直流バイアス源DC1からそれぞれ取得した例である。
検出回路やインバータの動作は実施形態16と同じであるため、重複する説明は省略する。効果については実施形態16と同じである。電源投入から通常点灯に至るまでのシーケンス動作を図26に示す。
(実施形態19)
実施形態19を図27に示す。実施形態16において、第4のDC検出回路の電圧源をインバータ動作後に発生する直流バイアス源DC1から取得し、ダイオードD8のアノードの接続点をコンデンサC2と共振用インダクタンス素子T1の接続点から直流バイアス源DC1に変更し、他の検出回路の電圧源を電源投入時に発生する直流バイアス源DC2から取得した例である。
検出回路やインバータの動作は実施形態16と同じであるため、重複する説明は省略する。効果については実施形態16と同じである。電源投入から通常点灯に至るまでのシーケンス動作を図26に示す。
(実施形態20)
実施形態20を図28に示す。実施形態16より共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC2、直流成分カット用コンデンサC1の接続構成を変更したものである。効果については実施形態16と同じである。
電源投入時からインバータ動作開始までのコンデンサC1の電位は、実施形態16のように共振用インダクタンス素子T1の出力側にあっても、本実施形態のように共振用インダクタンス素子T1の入力側にあっても同一である。検出回路やインバータの動作は実施形態16と同じであるため、重複する説明は省略する。
(実施形態21)
上記各実施形態に示した放電灯点灯装置は図29に示すような照明器具に使用されるものである。2灯の放電灯負荷FL1,FL2はソケット3a,3c,3d,3eにより器具本体4に装着されており、器具本体4の内部には実施形態1〜20のいずれかの点灯装置が収納されている。ソケット3aは端子A−B、ソケット3cは端子C−G、ソケット3dは端子D−G、ソケット3eは端子E−Fに対応しており、いずれかの端子に接続不良がある場合やいずれかのフィラメントが断線しているときには、器具本体4に内蔵された点灯装置の保護機能により出力が停止または大幅に低減される。特に、本発明の点灯装置では、点灯装置の保護機能が作動してインバータの動作が停止している状態でランプを交換したときに、ソケット3a,3eを先に接続し、ソケット3cまたは3dの接続が最後になった場合でも、すべてのソケット3a,3c,3d,3eの接続が完了した後でインバータが動作を開始するので、ユーザーに安心感を与える利点がある。また、回路のストレスも低減できる利点がある。
(実施形態22)
実施形態22を図30に示す。実施形態21に記載した照明器具複数台を制御装置にて一括制御する照明システムである。実施形態21に示した照明器具A〜Lの12台が人体感知センサー、及びプログラム制御可能なシステムを備えた制御装置Sに接続されている。
本明細書において、インダクタンスやコンデンサなどの電気部品の接続態様について言及する時、用語「接続される」は、2つあるいはそれ以上の電気部品の間に、追加の部品を含み得る導電路が存在するものとする。たとえば、インダクタンスの一端がコンデンサの一端と接続されるという場合、インダクタンスとコンデンサとの間に、本発明の作用効果に直接関係ない他の電気部品が接続されていても、インダクタンスの一端がコンデンサの一端に接続されているというものとする。
また、本明細書において、「直流電源」とは単向性を有していればよく、例えば商用の交流電源を平滑コンデンサで平滑したあとの脈動の電源でもよいし、平滑コンデンサの後段にさらにチョッパ回路を設けたものでもよい。もちろん、電池のように脈動しないものでもよい。要は、経時変化に対して実質的に負にならない全ての電源を含むものとする。
また、本明細書において、放電灯は施設・店舗用途に用いられる直管型や、主に住宅用途に用いられる環状型、あるいは主にダウンライトの器具に用いられるコンパクト型のものであってもよい。