以下、本発明の実施の形態の放電灯点灯装置について、図面を参照して説明する。図1は、放電灯点灯装置の外観の一例を示す。なお、図1に示した放電灯転送装置は1灯用の器具であるが、2灯以上の器具形態であっても良い。放電灯点灯装置に装着される放電灯は、熱陰極形の放電灯であって、施設や店舗等で用いられる直管型や、主に住宅で用いられる環状型、ダウンライトの器具等で用いられるコンパクト型のいずれであってもよい。以下説明する各実施の形態の放電灯点灯装置の基本構成を示す図では、便宜上、放電灯が装着された状態を示す。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。図2に示す放電灯点灯装置は、ハーフブリッジ型インバータ回路を用いている。本実施の形態の放電灯点灯装置は、主に、スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路と、共振用インダクタンス素子T1、共振用コンデンサC1及び共振兼直流阻止用コンデンサC2から構成される共振回路と、抵抗R1,R2及びバイパスコンデンサC5から構成される直流電圧検出回路と、制御部2とを主に備える。
直流電源Vdcは、例えば商用交流電源を整流平滑した電圧である。直流電源Vdcには、インバータ回路を構成するスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続されている。インバータ回路は、直流電源Vdcからの直流電圧を高周波電圧に変換する。スイッチング素子Q1,Q2の接続点とGNDの間には、共振用インダクタンス素子T1と、共振用コンデンサC1が直列に接続され、共振用コンデンサC1の両端に共振兼直流阻止用コンデンサC2と、放電灯FLとが接続される。放電灯FLのフィラメントf1及びf2には、それぞれ、共振用インダクタンス素子T1の二次巻線と予熱制御用コンデンサC3又はC4の直列回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q1,Q2は、制御部2により高周波で交互にオンオフされる。なお、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフデューティは略50%である。制御部2は、タイマー回路内蔵の周波数制御回路122と、コンパレータEL1,EL2と、駆動回路121と、電流源I1とを有する。タイマー回路内蔵の周波数制御回路122は、スイッチング素子Q1,Q2の動作周波数を制御する。コンパレータEL1,EL2は、負荷の異常を検出する。駆動回路121は、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する。電流源I1は、直流電流を供給する。
コンパレータEL1,EL2には、放電灯FLの直流成分を検出する抵抗R1,R2及びバイパスコンデンサC5から構成される直流電圧検出回路の出力が、保護素子としての抵抗R4を介して印加される。駆動回路121からスイッチング素子Q1,Q2への駆動信号により、インバータ回路を構成するスイッチング素子Q1,Q2が交互にオンオフ動作することによって、後段に設けられた共振回路に矩形波状の高周波電圧が印加される。なお、共振回路は、上述したように、共振用インダクタンス素子T1と、共振用コンデンサC1と、共振兼直流阻止用コンデンサC2とから構成される。当該共振回路に矩形波状の高周波電圧が印加されると、放電灯FLが正弦波状の高周波で点灯する。
インバータ回路の動作周波数と共振回路の共振特性の関係を図3に示す。インバータ回路は、電源投入されると、共振用インダクタンス素子T1及び共振用コンデンサC1により決まる無負荷共振周波数f0よりも十分に高い周波数fphにて発振開始し、放電灯FLには、点灯できない程度の共振電圧が印加される。このとき、共振用インダクタンス素子T1の2次巻線より予熱制御用コンデンサC3,C4を介して、放電灯FLのフィラメントf1,f2を加熱するための先行予熱電流が流れる。この動作を先行予熱モードと称する。なお、本実施の形態では、電源投入後の放電灯点灯装置を構成する集積回路の起動時間として、先行予熱モードの前にスタンバイモードが設けられている。
所定の時間の間、先行予熱が行われた後、インバータ回路の動作周波数は、放電灯FLを点灯できるよう無負荷共振周波数f0に近い始動時周波数fstに変化するよう制御され、共振回路には、放電灯FLが点灯可能な共振電圧が印加される。その結果、放電灯FLは点灯する。放電灯FLが点灯するとインピーダンスが変わるため、点灯後の共振電圧は低下する。この動作を始動モードと称する。その後、インバータ回路の動作周波数は、通常点灯時の周波数ftに変化するよう制御される。こうして、インバータ回路は通常点灯状態に移行し、放電灯FLは所定の出力を得ることができる。この動作を点灯モードと称する。
以上が、放電灯FLが正常に接続されている場合の電源投入から通常点灯に至るまでシーケンス動作である。なお、先行予熱モード、始動モード及び点灯モードの各タイミングについては、制御部2が有する周波数制御回路122に内蔵されたタイマー回路によって制御される。すなわち、周波数制御回路122は、タイマー回路が計時する時間に応じて、インバータ回路の動作周波数を調整する。
制御部2が有するコンパレータEL1は、入力電圧があらかじめ設定された基準電圧Vth1を上回ると、High信号を出力する。コンパレータEL1から出力されたHigh信号が周波数制御回路122に入力されると、周波数制御回路122は動作を停止又は出力を低減し、駆動回路121からスイッチング素子Q1,Q2への駆動信号の供給が停止する。この結果、スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路は発振を停止する。なお、周波数制御回路122は、点灯モード時のみコンパレータEL1からのHigh信号を受け付ける。つまり、停止時、スタンバイモード時、先行予熱モード時及び始動モード時には、コンパレータEL1から出力された信号は周波数制御回路122においてマスクされる。
制御部2が有するコンパレータEL2は、入力電圧があらかじめ設定された基準電圧Vth2を下回ると、High信号を出力する。コンパレータEL2から出力されたHigh信号が周波数制御回路122に入力されると、周波数制御回路122は動作を停止又は出力を低減し、駆動回路121からスイッチング素子Q1,Q2への駆動信号の供給が停止する。この結果、スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路は発振を停止する。なお、周波数制御回路122は、点灯モード時のみコンパレータEL2からのHigh信号を受け付ける。つまり、停止時、スタンバイモード時、先行予熱モード時及び始動モード時には、コンパレータEL2から出力された信号は周波数制御回路122においてマスクされる。
制御部2が有する電流源I1は、直流バイアスを抵抗R4を介してバイパスコンデンサC5に入力する直流電流源である。
放電灯FLが通常時、すなわち、放電灯FLが寿命に至っていない場合、放電灯FLには、正負ほぼ対称の高周波交流電圧が印加される。放電灯FLの両端電圧が正負ほぼ対称の高周波交流電圧である場合、バイパスコンデンサC5は高周波電圧の周波数に対して十分低いインピーダンスとなるため、放電灯FLの両端に発生する高周波電圧によって直流的に充電されない。バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は、電流源I1と抵抗R1,R2によって決まる。電流源I1からの直流バイアスにより、抵抗R4では電圧降下V(R4)が生じる。したがって、制御部2には、以下に示す電圧V(Input)が印加される。なお、バイパスコンデンサC5には、保護ツェナーダイオードZD1が並列に接続されている。
V(Input)=V(R4)+V(C5)
コンパレータEL1,EL2の各入力端子には、当該V(Input)が印加される。通常の放電灯FLが接続されている時のV(Input)とコンパレータEL1,EL2で用いられる基準電圧Vth1,Vth2とは以下の関係となる。
Vth1>V(Input)>Vth2
このときのコンパレータEL1,EL2の出力はいずれもLow信号であるため、周波数制御回路122は動作を停止せず、駆動回路121はインバータ回路の発振動作を継続する。図4に、通常の放電灯FLが接続されている時のタイミングチャートを示す。
以下、寿命末期の放電灯FLが接続されている時の状態遷移について、図5及び図6を参照して説明する。放電灯FLが寿命末期となり、フィラメントf1又はf2がエミッタレスの状態になると、放電灯FLは正方向又は負方向に半波放電して整流作用が生じ、放電灯FLの両端電圧は抵抗R1,R2で分圧され、バイパスコンデンサC5は充放電される。
図5は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用を生じた場合の実施の形態1のタイミングチャートを示す。放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じると、バイパスコンデンサC5は充電される。その結果、「V(Input)>Vth1」の関係が成立すると、コンパレータEL1はHigh信号を出力する。High信号が点灯モード時に周波数制御回路122へ入力されると、駆動回路121はインバータ回路の発振動作を停止し、放電灯FLへの高周波電力の供給が停止される。
コンパレータEL1の出力信号は、スタンバイモード時、先行予熱モード時及び始動モード時にはマスクされ、周波数制御回路122の動作の変更が禁止される。特に先行予熱モード時及び始動モード時は、直流電源Vdc及び放電灯FLの両端電圧が不安定な状態であり、正常な放電灯FLであっても放電灯FLの両端電圧には直流成分が発生し易い状態にある。このような不安定な動作モードでは、コンパレータEL1の出力信号をマスクすることで、誤検知を回避することができる。
一方、寿命末期の放電灯FLが接続された状態で電源が投入され、先行予熱モード時又は始動モード時に「V(Input)>Vth1」の関係が成立しても、コンパレータEL1からの信号はマスクされているため、放電灯FLへの高周波電力供給は継続される。しかし、その後、点灯モードに移行すると、コンパレータEL1からはHigh信号が出力されているため、放電灯FLへの高周波電力供給が低下又は停止される。
図6は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用を生じた場合の実施の形態1のタイミングチャートを示す。放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じると、バイパスコンデンサC5は抵抗R1及び放電灯FLを介して放電される。その結果、「V(Input)<Vth2」の関係が成立すると、コンパレータEL2はHigh信号を出力する。High信号が点灯モード時に周波数制御回路122へ入力されると、駆動回路121はインバータ回路の発振動作を停止し、放電灯FLへの高周波電力の供給が低下又は停止される。以降の基本的な動作については、上記説明したコンパレータEL1がHigh信号を出力した場合と同様である。
なお、上記説明では、点灯モードに入ると同時にコンパレータEL1,EL2からの出力信号のマスクを解除しているが、点灯モードに入ってしばらくしてコンパレータEL1,EL2からの出力信号のマスクを解除しても良い。
以上説明したように、本実施の形態の放電灯点灯装置によれば、点灯モード時に放電灯FLの寿命末期を検知すると、放電灯FLへの高周波電力の供給を低下又は停止する。また、当該効果を奏する放電灯点灯装置を少ない部品で実現でき、コストダウンや実装スペースの確保ができる。また、保護ツェナーダイオードZD1の両端電圧(=バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5))が順方向電圧分だけ負電位となった場合、その負電圧分に対して抵抗R4での電圧降下(V(R4))分を足し合わせた電圧V(Input)が電流源I1と抵抗R4の接続点に発生する。このため、電流源I1、コンパレータEL1及びコンパレータEL2を集積回路で構成しても、当該集積回路への負電圧の印加を防止することができる。
また、本実施の形態では、コンパレータEL1,EL2の出力信号は、点灯モード以外ではマスクされる。特に先行予熱モード時及び始動モード時は、正常な放電灯FLであっても放電灯FLの両端電圧には直流成分が発生し易い状態である。このため、点灯モード時以外のコンパレータEL1,EL2の出力信号をマスクすることで、周波数制御回路122の動作の変更が禁止されるため、誤検知を回避することができる。
なお、図7に示すように、抵抗R4の代わりに、電流源I1からバイパスコンデンサC5の方向が順方向となるようダイオードD1を保護素子として設けても良い。図7は、本発明の他の実施の形態の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。ダイオードD1の順方向電圧をV(D1)としたとき、制御部2に印加される電圧V(Input)は、以下のように表される。
V(Input)=V(D1)+V(C5)
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。実施の形態2の放電灯点灯装置が実施の形態1の放電灯点灯装置と異なる点は、負荷の有無を検出するコンパレータNLが制御部2に設けられていること、及び、放電灯FLのフィラメント端子Bと直流電源Vdcの正極の間に抵抗R3が設けられていることである。この点以外は実施の形態1と同様であり、図8において、図2と共通する構成要素には同じ参照符号が付されている。なお、放電灯FLのフィラメントf1,f2のうち、フィラメントf1は高圧側のフィラメントである。また、フィラメントf1の両端にはフィラメント端子A,Bが設けられている。
コンパレータNLは、放電灯FLのフィラメント端子A若しくはBが外れた状態又はフィラメントf1の断線による無負荷状態を検知する。コンパレータNLには、直流電源Vdc、抵抗R3,R1,R2及びバイパスコンデンサC5から構成される無負荷検出回路の出力が抵抗R4を介して印加される。なお、抵抗R1,R2及びバイパスコンデンサC5は、実施の形態1で説明した直流電圧検出回路も構成する。
コンパレータNLは、入力電圧があらかじめ設定された基準電圧Vth3を上回ると、High信号を出力する。コンパレータNLから出力された信号は、周波数制御回路122に入力される。コンパレータNLが所定の期間継続してHigh信号を出力すると、周波数制御回路122は動作を開始し、駆動回路121は、スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路の駆動信号を出力する。本実施の形態では、インバータ回路が動作を開始した後にコンパレータNLの出力がLow信号に変わっても、周波数制御回路122や駆動回路121の動作が変化したり停止することはない。つまり、インバータ回路の動作中、コンパレータNLから出力された信号はマスクされる。
図9に、正常な放電灯FLが正常に接続された状態で電源が投入された時の実施の形態2のタイミングチャートを示す。図9に示した例では、コンパレータNLで用いられる基準電圧Vth3はコンパレータEL1で用いられる基準電圧Vth1と同じ値であるが異なる値であっても良い。無負荷検出回路では、直流電源Vdcからの直流バイアスにより抵抗R3,R1を介して抵抗R2に電流が流れる。放電灯FLのフィラメントの抵抗値は概ね数Ω〜数十Ωと低く、一方、抵抗R3,R1,R2の抵抗値は共振回路に影響を与えない比較的大きな値(概ね数十kΩ〜数MΩ)である。
バイパスコンデンサC5は、電流源I1からの直流バイアスと直流電源Vdcからの直流バイアスにより充電され、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は所定値まで上昇する。コンパレータNLの正側入力端子には、V(Input)(=V(R4)+V(C5))が印加される。したがって、コンパレータNLの正側入力端子に印加される電圧V(Input)は所定の時間継続して基準電圧Vth3を上回り、コンパレータNLはHigh信号を出力する。この結果、周波数制御回路122は動作を開始し、駆動回路121は、スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路の駆動信号を出力するため、インバータ回路は通常動作を開始する。
先行予熱モードでは放電灯FLが放電していないため、放電灯FLのインピーダンスは無限大となり、「直流電源Vdc−抵抗R3−抵抗R1−バイパスコンデンサC5」の充電経路が発生している。したがって、正常な放電灯FLが接続された状態で、先行予熱モード時にバイパスコンデンサC5が充電されていても、このときのコンパレータEL1からの出力信号をマスクしておくことで、誤検知を回避することができる。
通常動作を開始すると放電灯FLは点灯し、放電灯FLの両端には高周波電圧が発生する。このとき、バイパスコンデンサC5は高周波電圧の周波数に対して十分低いインピーダンスとなるため、放電灯FLの両端に発生する高周波電圧によってバイパスコンデンサC5は直流的に充電されない。また、放電灯FLが点灯すると、放電灯FLのインピーダンスは概ね数百Ωとなり、直流電源Vdcから抵抗R3を介した直流バイアスは抵抗R1,R2にほとんど流れない。
また、放電灯FLが正常である時、放電灯FLの両端電圧は直流電圧成分をほぼ含まない。したがって、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は、抵抗R1,R2及び電流源I1によって決定される。放電灯FLが点灯した後は、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)が低下するため、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)に抵抗R4での電圧降下V(R4)分を加算したV(Input)は基準電圧Vth3よりも低くなる。その結果、コンパレータNLはLow信号を出力する。しかし、このときのコンパレータNLの出力はマスクされているため、インバータ回路の動作に影響しない。また、放電灯FLが正常である時は「Vth1>V(Input)>Vth2」の関係を有するように抵抗R1,R2,R4及び電流源I1を設定すれば、点灯モード時にはコンパレータEL1,EL2から停止信号が周波数制御回路122に入力されない。このため、放電灯FLは通常点灯を維持する。
図10に、放電灯FLのフィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時の実施の形態2のタイミングチャートを示す。図10に示した例では、コンパレータNLで用いられる基準電圧Vth3はコンパレータEL1で用いられる基準電圧Vth1と同じ値であるが異なる値であっても良い。電源投入時のような過渡状態では、「直流電源Vdc−抵抗R3−予熱制御用コンデンサC3−端子b−端子a−抵抗R1−バイパスコンデンサC5」の経路で、バイパスコンデンサC5が充電される。このとき、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は過渡的には上昇するが、定常的にはバイパスコンデンサC5の充電経路がない。このため、定常状態のとき、バイパスコンデンサC5は抵抗R2を介して放電される。
例えば、電源投入時にはバイパスコンデンサC5が充電されることにより一時的に「V(Input)>Vth3」となる可能性があるが、バイパスコンデンサC5は抵抗R4,R2を介して放電される。このため、所定の期間継続して「V(Input)>Vth3」の状態が維持されない。その結果、コンパレータNLからは所定の時間継続してHigh信号が出力されないため、周波数制御回路122は動作しない。この場合、駆動回路121も動作しないためインバータ回路は駆動されない。
本実施の形態では、負荷の有無にかかわらず、電流源I1がバイパスコンデンサC5に直流バイアスを供給している。しかし、無負荷状態のときには「V(Input)<Vth3」の関係となるように抵抗R1,R2,R3,R4及び電流源I1の関係を設定しておけば、無負荷状態の時にインバータ回路が動作することはない。
本実施形態では、インバータ回路の動作中、コンパレータNLの出力信号はマスクされる。このため、点灯モード時に放電灯FLの寿命末期が検知されたときの動作は実施の形態1と同様である。図11は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じた場合の実施の形態2のタイミングチャートを示す。図12は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じた場合の実施の形態2のタイミングチャートを示す。
以上説明したように、本実施の形態の放電灯点灯装置によれば、電源投入時に、放電灯FLのフィラメント端子A,Bの一部が外れた状態又はフィラメントf1の断線による無負荷状態を検出すると、インバータ回路の発振動作を開始しない。また、本実施の形態の放電灯点灯装置は、簡単な構成要素の追加により、上記機能(起動時無負荷検出保護機能)に加え、実施の形態1で説明した放電灯FLの寿命末期におけるインバータ回路の動作停止機能(寿命末期保護機能)も併せて有する。
また、本実施の形態では、コンパレータNLが所定の時間継続してHigh信号を出力すれば、インバータ回路の発振動作が開始される。したがって、無負荷時に電源が投入されて過渡的にコンパレータNLからHigh信号が出力されても、放電灯FLが正常であり正常な接続状態であるとの誤検出を防ぐことができる。
なお、図13に示すように、抵抗R4の代わりに、電流源I1からバイパスコンデンサC5の方向が順方向となるようダイオードD1を設けても良い。図13は、本発明の他の実施の形態の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。ダイオードD1の順方向電圧をV(D1)としたとき、制御部2に印加される電圧V(Input)は、以下のように表される。
V(Input)=V(D1)+V(C5)
また、図14に示すように、フィラメント端子Aに抵抗R3が接続され、フィラメント端子Bに抵抗R1が接続された構造であっても良い。図14は、本発明の実施の形態5の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。
(実施の形態6)
図15は、本発明の実施の形態6の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。図15に示すように、実施の形態6の放電灯点灯装置では、スイッチング素子Q1,Q2の接続点とGNDの間に、直流阻止用コンデンサC2と共振用インダクタンス素子T1と共振用コンデンサC1が直列に接続され、コンデンサC1の両端に放電灯FLが接続される。本実施の形態の共振回路は、直流阻止用コンデンサC2、共振用インダクタンス素子T1及び共振用コンデンサC1から構成される。インバータ回路、直流電圧検出回路及び制御部2の構成は実施の形態1と同様である。
スイッチング素子Q1,Q2から構成されるインバータ回路は、電源投入されると、共振用インダクタンス素子T1及び共振用コンデンサC1により決まる無負荷共振周波数f0よりも十分に高い周波数fphにて発振開始し、放電灯FLには点灯できない程度の共振電圧が印加される。このとき、共振用インダクタンス素子T1及び共振用コンデンサC1を介して、放電灯FLのフィラメントf1,f2を加熱するための先行予熱電流が流れる。
所定の時間の間、先行予熱が行われた後、インバータ回路の動作周波数は、放電灯FLを点灯できるよう無負荷共振周波数f0に近い始動時周波数fstに変化するよう制御され、共振回路には、放電灯FLが点灯可能な共振電圧が印加される。その結果、放電灯FLは点灯する。放電灯FLが点灯するとインピーダンスが変わるため、点灯後の共振電圧は低下する。その後、インバータ回路の動作周波数は、通常点灯時の周波数ftに変化するよう制御される。こうして、インバータ回路は通常点灯状態に移行し、放電灯FLは所定の出力を得ることができる。
本実施の形態の放電灯点灯装置によれば、フィラメント端子A,Bが外れている時にバイパスコンデンサC5を充電する経路はないため、電源投入時に過渡的なバイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)の上昇を考慮する必要はない。本実施の形態によれば、実施の形態2と同様に、電源投入時に、放電灯FLのフィラメント端子A,Bの一部が外れた状態又はフィラメントf1の断線による無負荷状態を検出して、インバータ回路の発振動作を開始しないよう制御することができる。また、実施の形態1と同様に、放電灯FLの寿命末期におけるインバータ回路の動作停止機能も有する。
(実施の形態7)
図16は、本発明の実施の形態7の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。図16に示すように、実施の形態7の放電灯点灯装置の構成は、実施の形態2の放電灯点灯装置の構成と略同じである。実施の形態7の放電灯点灯装置が実施の形態2の放電灯点灯装置と異なる点は、電流源I1が駆動回路121の動作中にのみ直流バイアスを供給すること、及び負荷の有無を判別する所定の期間中はバイパスコンデンサC5への直流バイアスの供給を遮断することである。
本実施の形態では、駆動回路121が動作前の制御部2に入力されるV(Input)は、電流源I1が直流バイアスを供給していないため、無負荷検出回路からの経路のみである。このため、無負荷のときのV(Input)と基準電圧Vth1,Vth3の差が大きく、無負荷のとき電源投入時に生じるV(Input)の過渡的な上昇の後のバイパスコンデンサC5の放電が早くなる。したがって、電源投入時における放電灯FLの無負荷状態を確実に検出することができる。
図17は、正常な放電灯FLが正常に接続された状態で電源が投入された時の実施の形態7のタイミングチャートである。図18は、放電灯FLのフィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時の実施の形態7のタイミングチャートである。図19は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じた場合の実施の形態7のタイミングチャートである。図20は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じた場合の実施の形態7のタイミングチャートである。
なお、本実施の形態では、駆動回路121が動作していない時は電流源I1からの直流バイアスの供給が停止されているが、このときの電流源I1からの直流バイアスの供給は停止であっても低下であってもよい。また、本実施の形態における電流源I1の直流バイアスの供給形態を実施の形態1に適用しても良い。
(実施の形態8)
図21は、本発明の実施の形態8の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。実施の形態8の放電灯点灯装置が実施の形態2の放電灯点灯装置と異なる点は、制御部2においてコンパレータEL1,EL2,NLと周波数制御回路22との間に論理回路(NOTゲート、ANDゲート(AND_EL),RSフリップフロップ(FF_NL),ANDゲート(AND_EL1,AND_EL2))が設けられたことである。なお、本実施形態の制御部2には、無負荷判定信号が入力される。無負荷判定信号は、負荷の有無を判別する所定の期間はHighであり、その他の動作状態ではLowである。
本実施の形態では、無負荷判定信号の反転信号とコンパレータNLの出力信号の論理積がRSフリップフロップ(FF_NL)のS入力端子に入力される。一方、FF_NLR入力端子には停止信号が入力される。停止信号は、放電灯点灯装置の他の構成要素で何等かの異常が検出された時にHighとなる。この状態以外の停止信号はLowである。
図22は、正常な放電灯FLが正常に接続された状態で電源が投入された時の実施の形態8のタイミングチャートである。負荷の有無を判別する所定の期間中、無負荷判定信号の反転信号はLowであり、コンパレータNLは当該所定の期間にわたってHigh信号を出力するため、AND_NLはLow信号を出力する。正常な放電灯FLが接続された状態で電源が投入された時、バイパスコンデンサC5へは直流電源Vdcからの直流バイアスが供給されている状態であり、所定の期間経過後も「V(Input)>Vth3」の関係が成立している。
所定の期間経過後に無負荷判定信号はLowへ切り替わるため、コンパレータNLの出力信号及び無負荷判定信号の反転信号は共にHighとなる。このとき、AND_NLの出力はHighとなり、FF_NLの出力(Q)はHighとなり、駆動回路121が動作を開始する。駆動回路121が動作を開始した後に「V(Input)<Vth3」となっても、Highレベルの停止信号が入力されない限り、FF_NLのHigh出力は維持され、駆動回路121は動作を継続する。
図23は、放電灯FLのフィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時の実施の形態8のタイミングチャートである。負荷の有無を判別する所定の期間中、無負荷判定信号の反転信号はHighであり、コンパレータNLの出力信号は当該所定の期間の途中でHighからLowに変わるため、AND_NLはLow信号を出力する。フィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時、過渡的にV(Input)が上昇し、コンパレータNLの出力がHighとなるが、所定の期間中は無負荷判定信号の反転信号がLowであるため、AND_NLの出力はLowが維持される。このとき、FF_NLの出力(Q)もLowであるため、駆動回路121は動作開始しない。
図24は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じた場合の実施の形態8のタイミングチャートである。また、図25は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じた場合の実施の形態8のタイミングチャートである。
図21に示すように、コンパレータEL1,EL2の出力信号はそれぞれAND_EL1,AND_EL2に入力される。また、AND_EL1及びAND_EL2へはコンパレータEL1,EL2のマスク信号(EL1/EL2マスク信号)も入力される。当該マスク信号は、先行予熱モード時及び始動モード時はLowであり、点灯モード時はHighである。AND_EL1,AND_EL2は、コンパレータEL1,EL2の出力信号とマスク信号との論理積を取ることで、コンパレータEL1,EL2の出力信号を先行予熱モード時及び始動モード時にはマスクすることができる。
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様の機能を有する制御部2を備えた放電灯点灯制御装置を実現できる。なお、図22〜図25に示したタイミングチャートでは、電流源I1が常に直流バイアスを供給しているが、実施の形態7と同様に、駆動回路121が動作中のみ電流源I1が直流バイアスを供給しても良い。
(実施の形態9)
図26は、本発明の実施の形態9の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。実施の形態9の放電灯点灯装置が実施の形態8の放電灯点灯装置と異なる点は、コンパレータNLの出力側の構成である。コンパレータNLの出力側には、NORゲート(NOR_NL)と、スイッチング素子Q21と、電流源I2と、コンデンサC6と、コンパレータCPとが設けられている。電流源I2は、放電灯点灯装置の電源がオンのときに直流電流を供給する直流電流源である。
NOR_NLには、コンパレータNLの出力信号と、実施の形態8と同様の無負荷判定信号とが入力される。NOR_NLの出力信号はスイッチング素子Q21のゲートに入力され、スイッチング素子Q21のドレインには電流源I2とコンデンサC6接続される。コンデンサC6の両端電圧V(C6)は基準電圧Vth5とコンパレータCPで比較される。コンパレータCPの出力は周波数制御回路22に入力される。なお、本実施の形態では、コンデンサC6が電流源I2により充電される期間が、負荷の有無を判別する期間として用いられている。
図27は、正常な放電灯FLが正常に接続された状態で電源が投入された時の実施の形態9のタイミングチャートである。「V(Input)>Vth3」の関係が成立すると、コンパレータNLの出力はHighとなる。負荷の有無を判別する所定の期間中、無負荷判定信号はHighであるため、コンパレータNLの出力がHighとなると、NOR_NLの出力はLowとなり、スイッチング素子Q21がオフする。電流源I2によりコンデンサC6が充電され、コンデンサC6の両端電圧V(C6)がコンパレータCPにて基準電圧Vth5と比較される。コンデンサC6の両端電圧V(C6)が基準電圧Vth5を上回ると、コンパレータCPの出力がHighとなり、駆動回路121が動作を開始する。
放電灯FLが正常である時、放電灯FLの両端電圧は直流電圧成分をほぼ含まない。したがって、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は、抵抗R1,R2及び電流源Iによって決定される。駆動回路121が動作を開始して放電灯FLが点灯した後、「V(Input)<Vth3」となり、コンパレータNLの出力はLowに落ちるが、駆動回路121が動作しているため無負荷判定信号の出力はHighである。したがって、コンパレータNLの出力にかかわらず、NOR_NLの出力はLowのまま、スイッチング素子Q21はオフ状態を継続する。したがって、コンパレータCPの出力はHighの状態のまま、駆動回路121は動作を継続する。
図28は、放電灯FLのフィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時の実施の形態9のタイミングチャートである。フィラメント端子A又はBが外れた状態で電源が投入された時、過渡的にV(Input)が上昇し、コンパレータNLの出力がHighとなるため、NOR_NLの出力はLowになり、スイッチング素子Q21はオフする。このとき、コンデンサC6が電流源I2によって充電されるが、バイパスコンデンサC5が放電され、所定の期間の途中で「V(Input)<Vth3」になると、コンパレータNLの出力がLowとなりNOR_NLの出力はHighとなる。このとき、スイッチング素子Q21はオンし、コンデンサC6は放電する。その結果、コンデンサC6の両端電圧V(C6)は基準電圧Vth5を下回るため、コンパレータCPの出力はLowの状態ままである。したがって、駆動回路121は動作しない。駆動回路121が動作しないため、無負荷判定信号の出力もLowのままであり、駆動回路121は停止を継続する。
図29は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じた場合の実施の形態9のタイミングチャートである。また、図30は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じた場合の実施の形態9のタイミングチャートである。
本実施の形態によれば、実施の形態2又は8と同様の機能を有する制御部2を備えた放電灯点灯制御装置を実現できる。なお、図27〜図30に示したタイミングチャートでは、電流源I1が常に直流バイアスを供給しているが、実施の形態7と同様に、駆動回路121が動作中のみ電流源I1が直流バイアスを供給しても良い。
(実施の形態10)
本実施の形態の放電灯点灯装置は、放電灯FLの寿命末期を検出したためインバータ回路の発振動作が停止した後、正常な放電灯FLに交換されたことを検出した際に、インバータ回路を自動的に再起動する機能を有する。
図31は、本発明の実施の形態10の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。実施の形態10の放電灯点灯装置が実施の形態8の放電灯点灯装置と異なる点は、制御部2が、タイマー回路16をリセットするリセット回路18と、放電灯FLの寿命末期を検出した後の状態を保持するRSフリップフロップ(FF_EL)と、放電灯FLの寿命末期を検出した後の経過時間を計測するコンパレータCP2とをさらに有することである。なお、実施の形態8の制御部2が有するタイマー回路を内蔵した周波数制御回路122は、タイマー回路16と周波数制御回路15とに分けて説明されている。また、実施の形態8の制御部2が有する駆動回路121は、駆動回路17として説明されている。
まず、電源投入時に放電灯FLが装着されていると、コンパレータNLの出力がHighになり、この出力信号がタイマースタート信号としてタイマー回路16に入力される。タイマー回路16がスタートすると、タイマー回路16は、リセット回路18よりタイマーリセット信号が入力されるまでカウントを継続する。また、タイマー回路16がスタートすると、タイマー回路16は、Lowレベルの無負荷判定信号を出力する。この後は、実施の形態8と同様に無負荷検出判定が行われる。点灯モードに移行すると、タイマー回路16より出力されるEL1/EL2マスク信号の出力がHighに変わり、放電灯FLの寿命末期検出が有効となる。
図32は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じた場合の実施の形態10のタイミングチャートである。また、図33は、放電灯FLが点灯中に寿命を迎え、放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じた場合の実施の形態10のタイミングチャートである。
図32に示すように、寿命末期を迎えた放電灯FLでグランドに対して正方向に整流作用が生じると、制御部2に入力される電圧V(Input)がコンパレータEL1の基準電圧Vth1よりも大きくなり、AND_EL1の出力がHighになる。また、図33に示すように、寿命末期を迎えた放電灯FLでグランドに対して負方向に整流作用が生じると、制御部2に入力される電圧V(Input)がコンパレータEL2の基準電圧Vth2よりも小さくなり、AND_EL2の出力がHighになる。ANDゲート(AND_EL1,AND_EL2)の出力がORゲート(OR_EL)を介してRSフリップフロップFF_ELのセット信号として入力されると、RSフリップフロップFF_ELの反転出力端子よりLowレベルの信号が出力される。この出力信号はNOTゲートを介して周波数制御回路15に入力される。このとき、周波数制御回路15にはHighレベルの信号が入力されるため周波数制御回路15は動作を停止し、その結果、駆動回路17は、インバータ回路の発振動作を停止する。
RSフリップフロップ(FF_EL)の反転出力信号は、スイッチング素子Q22のゲートにも入力される。FF_ELの反転出力信号がLowレベルになるとスイッチング素子Q22はオフする。このとき、電流源I3よりコンデンサC7が充電されるため、コンデンサC7の両端電圧が上昇し、この電圧がコンパレータCP2の基準電圧Vth6を超えるとコンパレータCP2の出力はLowになる。
リセット回路18のリセット入力端子Rには、コンパレータCP2の出力信号が入力される。このため、寿命末期検出が動作してコンパレータCP2の出力がLowになるまでの間(所定の時間)はリセット回路18の動作を遅らせることができる。また、リセット回路18のセット入力端子Sには、NOTゲート及びEL1/EL2マスク中の動作を禁止するANDゲート(AND_RS)を介して、コンパレータNLの出力が入力される。このため、寿命末期検出が動作してから所定の時間が経過した後に、放電灯FLが取り外されるとコンパレータNLの出力がLowとなり、リセット回路18のセット入力端子SにHigh信号が入力されるため、タイマー回路16がリセットされる。その後、放電灯FLが再度装着されるとコンパレータNLの出力がHighになり、この出力信号がタイマースタート信号としてタイマー回路16に入力される。以降の動作は上述のとおりである。
なお、図32に示したように、コンパレータEL1の基準電圧Vth1とコンパレータNLの基準電圧Vth3が同じであれば、放電灯FLが正方向に整流作用が生じた寿命末期状態の場合には、寿命末期検出と同時に、コンパレータNLの出力もHighになる。このため、リセット回路18のセット入力端子SにHigh信号が入力されることはない。すなわち、寿命末期検出と同時に、リセット回路18が動作してタイマー回路16が動作してしまうことはない。
しかし、放電灯FLの負方向に整流作用が生じた寿命末期を検出した直後はフィラメントf1が接続されているにも関わらず、コンパレータNLの出力がLowのままであるため、リセット回路18が動作してタイマー回路16が動作してしまう可能性がある。このため、インバータ回路の動作が停止してからV(Input)の電圧が通常の電圧に復帰して無負荷検出が正常に動作可能となるまでの間はリセット回路が動作しないようにする必要がある。本実施の形態では、図33に示すように、コンパレータCP2によって設定される寿命末期検出後の所定時間を、V(Input)が基準電圧Vth3よりも大きな値に復帰するまでの時間よりも長くする。こうすることで、放電灯FLの負方向に整流作用が生じた寿命末期の検出が動作した直後に無負荷検出回路が動作しない。
本実施の形態の放電灯点灯装置は、放電灯FLの寿命末期を検出した後、無負荷検出回路の動作を所定の時間だけマスクするため、その所定の時間内に放電灯が交換されたとき、無負荷状態の判定に伴うインバータ回路の再起動を防止できる。したがって、本実施の形態の放電灯点灯装置は、簡単な回路構成で、放電灯FLの寿命末期状態の検出と無負荷状態の判定をそれぞれ確実に行うことができる。なお、図32及び図33に示したタイミングチャートでは、電流源I1が常に直流バイアスを供給しているが、実施の形態7と同様に、駆動回路121が動作中のみ電流源I1が直流バイアスを供給しても良い。
(実施の形態11)
図34は、本発明の実施の形態11の放電灯点灯装置の基本構成を示す図である。実施の形態11の放電灯点灯装置が実施の形態10の放電灯点灯装置と異なる点は、制御部2の入力側と抵抗R4の間にコンデンサC8を並列に接続したことである。また、電流源I1は、常に動作するのではなく、駆動回路121が動作中及び放電灯FLの寿命末期が検出された後の所定の期間に直流バイアスを供給する。
放電灯FLの寿命末期に伴う負方向に整流作用が生じた状態が検出される直前は、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は負電位であるが、電流源I1と抵抗R4により、制御部2に入力される電圧V(Input)は負電圧とはならない。放電灯FLの寿命末期が検出されインバータ回路の発振動作が停止したと同時に電流源I1からの直流バイアスの供給が停止すると、バイパスコンデンサC5の負電位によって、コンデンサC8の電荷は抵抗R4を介してバイパスコンデンサC5へ引き抜かれる。また、その結果、コンデンサC8が負電位となる可能性がある。
図35は、駆動回路121によるインバータ回路の発振動作の停止と同時に電流源I1からの直流バイアスの供給が停止する場合のタイミングチャートである。また、図36は、駆動回路121によるインバータ回路の発振動作の停止後も所定の期間は電流源I1が直流バイアスを供給する場合のタイミングチャートである。
インバータ回路の発振動作が停止されると、バイパスコンデンサC5の電荷が引き抜かれる経路は存在しない。その結果、バイパスコンデンサC5は、「直流電源Vdc−抵抗R3−予熱制御用コンデンサC3−端子b−端子a−抵抗R1−バイパスコンデンサC5」の経路と、「電流源I1−抵抗R4−バイパスコンデンサC5」の経路の2つの経路で充電される。このように、バイパスコンデンサC5には充電の経路しか存在しないため、図35及び図36に示すように、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)は、放電灯FLの寿命末期が検出される直前の電圧が最低電圧となる。しかし、それ以降に電流源I1からの直流バイアスの供給が停止すると、図35に示すように、制御部2に入力される電圧V(Input)はさらに低下して負電圧となる。
本実施の形態では、インバータ回路の発振動作停止後、バイパスコンデンサC5の両端電圧V(C5)が負から正となるまでの時間よりも長い所定の期間、電流源I1による直流バイアスの供給を継続する。その結果、図36に示すように、制御部2に入力される電圧V(Input)が負電圧にはならない。このようにして、集積回路への負電圧の印加を防止することができる。
実施の形態1〜10においては、抵抗分圧回路の分圧抵抗と並列接続される第1の平滑コンデンサのみ接続されている。しかし、第1の平滑コンデンサが未接続で、保護素子と直流電流源の接続点とグランドの間に第2の平滑コンデンサが接続された形態であっても、第1の平滑コンデンサと第2の平滑コンデンサの両方が接続された形態であっても同様の効果が得られる。
本明細書において、インダクタンスやコンデンサなどの電気部品の接続態様について言及する時、用語「接続される」は、2つ以上の電気部品の間に、追加の部品を含み得る導電路が存在するものとする。例えば、インダクタンスの一端がコンデンサの一端と接続されるという場合、インダクタンスとコンデンサとの間に、本発明の作用効果に直接関係ない電気部品が接続されていても、インダクタンスの一端がコンデンサの一端に接続されているというものとする。
また、本明細書において、「直流電源」とは単向性を有していればよく、例えば商用の交流電源を平滑コンデンサで平滑した後の脈動の電源でもよいし、平滑コンデンサの後段にさらにチョッパ回路を設けたものでもよい。もちろん、電池のように脈動しないものでもよい。要は、経時変化に対して実質的に負にならない全ての電源を含むものとする。
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。