JP4695865B2 - インクジェット記録用インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)分散媒、および、色材を少なくとも含む荷電粒子、を含有し、かつ、吐出ヘッドの制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる静電界を利用するインクジェット方式(以下、「静電インクジェット方式」という)に用いるインク組成物において、該インク組成物が色材として少なくとも1つの塩基性カーボンブラックを含有し、該分散媒が主鎖部分とグラフト鎖である側鎖部分とからなり、主鎖部分に、酸性基および酸性基を中和してなる塩の少なくともいずれか一方を有するグラフトポリマーであることを特徴とする静電インクジェット方式用インク組成物。
(2)前記塩基性カーボンブラックが、カーボンブラック表面のカルボキシル基を表面処理により減少させて得られる塩基性カーボンブラックであることを特徴とする前記(1)に記載の静電インクジェット方式用インク組成物。
(3)前記(1)または(2)記載のインク組成物を用いて、静電界を利用したインクジェット記録方式によりインク滴を飛翔させることを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明のインク組成物は、色材を少なくとも含む荷電粒子と分散媒とを少なくとも含有し、かつ、吐出ヘッドの制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる静電界を利用するインクジェット方式に用い、該色材として少なくとも1つの塩基性カーボンブラックを含有し、該分散媒が主鎖部分とグラフト鎖である側鎖部分とからなり、主鎖部分に、酸性基および酸性基を中和してなる塩の少なくともいずれか一方を有するグラフトポリマーであるものであるが、本明細書には、その他の事項についても参考のために記載する。
本発明のブラックインク組成物に用いられる色材(顔料)としては、少なくとも1つの塩基性カーボンブラックを使用することを特徴とする。
本発明において「塩基性カーボンブラック」とは、カーボンブラック粒子をpH7のイオン交換水に分散し、pHメーターにて25℃のpHを測定したpH値が7以上を塩基性カーボンブラックと定義する。
一般にカーボンブラックは、「機能材料」Vol.20,No.7,p.42(2000年)等に示されるように、表面にカルボキシル基等の酸性基を有し、酸性を示すものが多く用いられているが、塩基性カーボンブラックも各社必要用途に対応するため、各種開発されている。
上記の方法によって、カーボンブラック表面のカルボキシル基を表面処理により減少させて本発明の塩基性カーボンブラックとすることが可能となる。なお、カーボンブラック粒子表面カルボキシル基の減少は、処理前後でのカーボンブラックの赤外吸収スペクトル(IR)のカルボキシル基ピーク(1720〜1730cm-1)の減少量で確認することができる。
本発明で用いる分散媒は、高い電気抵抗率、具体的には1010Ωcm以上の電気抵抗率を有する誘電性の液体であることが好ましい。電気抵抗率の低い分散媒を使用すると、隣接する記録電極間で電気的導通を生じさせるため、本発明には好ましくない。また、誘電性液体の比誘電率は5以下が好ましく、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、誘電性液体中の荷電粒子に有効に電界が作用されるため好ましい。
水素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水素のハロゲン置換体、シリコーンオイルがある。例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン.イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、トルエン、キシレンおよびメシチレン等が挙げられ、具体的にはアイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(アイソパー:エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)、KF−96L(信越シリコーン社の商品名)等を単独または混合して用いることができる。インク組成物全体に対する分散媒の含有量は、20〜99質量%の範囲内であることが好ましい。20質量%以上において、色材を含有する粒子を分散媒に良好に分散することができ、また、99質量%以下において、色材の含有量を充足することができる。
本発明において、顔料等の色材は、分散媒に直接、分散(粒子化)してもよく、また被覆材により被覆して分散(粒子化)してもよい。被覆剤により被覆された状態で分散(粒子化)することが、色材が持つ荷電を遮蔽し望ましい荷電特性を付与することができ、また、色材の種類により異なる分散安定性の相違を打ち消し、同様な分散安定性を付与できる点で好ましい。また、表面積が大きく高次の凝集体を形成しやすい顔料の表面を覆うことで、粒子同士の凝集を抑制し、粒子径分布の多分散化を抑制することができる。さらに本発明においては、被記録媒体へインクジェット記録した後、ヒートローラー等の加熱手段により定着することが好ましく、この際被覆剤が熱により溶融し、効率良く定着できるという効果も有する。
カル重合性モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、4−メチルスチレン等が挙げられる。
本発明では、例えば色材、後述する荷電調整剤および被覆剤の混合物を分散媒中に分散(粒子化)させるが、粒子直径を制御し、かつ粒子の沈降を抑制するために分散剤を使用する。
せることが望ましいが、この際、分散剤の添加量が多すぎてしまうと、小粒子が生成しやすく、粒子径分布が多分散なインクが得られる。
好ましくは、共役塩基−Yr-と、カチオン性根Zs+が共有結合又はイオン対を形成した一般式(5)で示される官能基である。
たは、−OPO3 2-基を示す。Zs+は、水素イオン(H+)、アルカリ(土類)金属イオン、アンモニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン等のオニウムイオンまたは複素環化合物イオンを示し、具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ(土類)金属イオン、(モノ、ジ、トリ、テトラ)メチルアンモニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)エチルアンモニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)n-ブチルアンモニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)メトキシアンモニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)フェニルアンモニウム、フェニルジメチルアンモニウム、ジフェニルメチルアンモニウム、モルホリニウム、n-メチルモルホリニウム、ジメチルエタノールアンモニウム、メチルジエタノールアンモニウム、(モノ−、ジ−、トリ)エタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、ピペリジンをプロトン化したアンモニウム、(モノ、ジ、トリ)メチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリn-ブチルスルホニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)メチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラn-ブチルホスホニウム、(モノ、ジ、トリ、テトラ)フェニルホスホニウム、ピリジニウム等が挙げられる。
一般式(6)及び(7)中、R51、R52、R61及びR62は、同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子またはメチル基を示す。
X51は、単結合、または、置換基を有していてもよい炭素数1から100の炭化水素基を示す。該炭化水素基は分岐構造を有していてもよく、炭化水素基中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーバメート結合、を含んでいても良い。一般式(5)で表される官能基−Yr-・(Zs+)tは構成単位中に一つのみ有していてもよく、複数有して
いてもよい。また、一般式(5)で表される官能基−Yr-・(Zs+)tは構成単位中に一
種のみ有していてもよく、複数種有していてもよい。
X61は、単結合、または、C、H、N、O、SおよびPより選ばれた2種以上の原子よりなる総原子数が50個以下の2価の連結基を示す。
Gは、下記一般式(8)で示される構成単位を少なくとも含む重量平均分子量が500以上のポリマー成分、または、重量平均分子量500以上のポリジメチルシロキサン基を示す。
R73は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から30の炭化水素基を示す。R73の炭化水素基中に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、カーバメート結合、アミノ基、ヒドロキシル基またはハロゲン置換基を含んでいても良い。
X71は、単結合または、C、H、N、O、SおよびPより選ばれた2種以上の原子よりなる総原子数が50個以下の2価の連結基を示す。
なお、R73の総原子数は、R53の総原子数より多いほうが、インク吐出の安定性の観点から好ましい。
ノマーが挙げられる。
なお、一般式(8M)で表されるマクロモノマーの重量平均分子量は500〜500,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜7.0の範囲内であるマクロモノマーが好ましい。また、一般式(8M)で表されるマクロモノマーは、末端にラジカル重合性官能基を有するポリジメチルシロキサンであってもよい。
−メチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等のスチレン類、1−ブテン等の炭化水素類、及び酢酸ビニル類、ビニルエーテル類、ビニルピリジン類等が挙げられる。
また、グラフトポリマーの重量平均分子量は、グラフト鎖(好ましくは、上記一般式(10)で表されるマクロマー成分)の重量平均分子量に対して1.5倍以上であることが好ましい。
上の含有率で主鎖部が荷電粒子に対して強く吸着し、20mmol/g以下にて、グラフトポリマーの溶剤に対する望ましい溶解性を保持できる。さらに、主鎖を構成する単位とグラ
フト鎖を構成する単位の質量比は、30:70〜95:5の範囲内にあることが好ましい。これらのポリマーは、分散剤として単独で使用しても良いが、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明において、色材(好ましくは色材と被覆剤の混合物)を、分散剤を用いて分散媒中に分散(粒子化)させるが、粒子の荷電量を制御するために荷電調整剤を併用することがさらに好ましい。
好適な荷電調整剤としては、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。中でも、本発明においては、長時間安定性した荷電を保持する観点から、ポリマーの荷電調整剤を用いることが好ましい。なお、粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であっても良い。
本発明においては、さらに、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
以上の成分を用い、色材(好ましくは色材と被覆剤)を本発明の分散剤を用いて、分散(粒子化)することにより、インク組成物を作成することができる。分散(粒子化)する方法としては、例えば下記が挙げられる。
1)色材と被覆剤をあらかじめ混合した後、分散剤と分散媒を用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
2)色材、被覆剤、分散剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
3)色材、被覆剤、分散剤、荷電調整剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)する。
以上のようにして作成したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録するが、本発明においては、長時間のインクジェット記録において常に安定してインク滴を吐出するため、下記条件(A)〜(D)のすべてを満足するインク組成物を使用することが好ましい。
(A)インク組成物の20℃での電気伝導度が、1nS/m〜5000nS/mの範囲内である。
(B)荷電粒子の電気伝導度が、インク組成物の電気伝導度の20%以上である。
(C)荷電粒子の体積平均直径が、0.2〜5.0μmの範囲内である。
(D)インク組成物の20℃での粘度が、0.5〜50mPa・sの範囲内である。
粒子の電気伝導度は、インク組成物を遠心沈降し、粒子を沈降させた上澄み液の電気伝導度を測定し、インク組成物の電気伝導度から差し引いた値である。
また、粒子の荷電量は、1〜1000μC/gの範囲が好ましい。荷電量が1μC/g以上の場合に、濃縮が十分であり、また1000μC/g以下の場合に、過度に濃縮されることもなく、ヘッド吐出口でのインクの詰まりが防止できる。より好ましくは10〜500μC/g、更に好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
好ましくは、1.0〜4.0である。
滴の吐出が良好である。さらに好ましくは、0.8〜10mPa・sの範囲内である。
また、インク組成物の表面張力は、10〜70mN/mの範囲内であることが好ましい。表面張力が10mN/m以上の場合に、ヘッドのインク吐出口からインク組成物が液だれしてしまうという問題が生じず、また、70mN/m以下の場合に、インク滴の吐出が良好である。さらに好ましくは、15〜50mN/mの範囲である。
以上記述したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録するが、本発明においては、静電界を利用したインクジェット記録方式を用いる。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
まずは、図1に示す記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Y及び2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、さらに吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピュータ、RIP等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10及び力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12及びガイド13、剥離後の記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14及びガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、記録媒体位置検出手段16を有し、さらにインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17及び溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
ガイド13を経て、搬送ベルト7に搬送される。搬送ベルト7の裏面(好ましくは金属裏面)はローラ6Aを介して設置されている。搬送された記録媒体は、静電吸着手段9により搬送ベルト上に静電吸着される。図1では、負の高圧電源に接続されたスコロトロン帯電器により静電吸着がなされる。静電吸着手段9により、記録媒体9が搬送ベルト7上に浮き無く静電吸着されると共に、記録媒体表面を均一帯電する。ここでは静電吸着手段を記録媒体の帯電手段としても利用しているが、別途設けてもよい。帯電された記録媒体Pは、搬送ベルト7によって吐出ヘッド部まで搬送され、帯電電位をバイアスとして記録信号電圧を重畳することにより静電インクジェット画像形成がなされる。画像形成された記録媒体Pは、除電手段10により除電され、力学的手段11により搬送ベルト7により剥離されて定着部へ搬送される。剥離された記録媒体Pは、画像定着手段14に送られ、定着がなされる。定着された記録媒体Pは、ガイド15を通って図示されない排紙ストッカーに排紙される。また、該装置は、インク組成物から発生する溶媒蒸気の回収手段を有する。回収手段は溶媒蒸気吸収材18からなり、排気ファン17により機内の溶媒蒸気を含む気体が吸着材に導入され、蒸気が吸着回収された後、機外に排気される。該装置は、上記例に限定されず、ローラ、帯電器等の構成デバイスの数、形状、相対配置、帯電極性等は任意に選べる。また上記システムでは4色描画について記述しているが、淡色インクや特色インクと組み合わせて、より多色のシステムとしてもよい。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に記録媒体又は記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、記録媒体又は対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても記録媒体又は対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
を定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラー、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置、及びドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連続し、一体となっていることが好ましい。定着時の被記録媒体の温度は、定着の容易さから、40℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、定着の時間は、1マイクロ秒〜20秒の範囲内であることが好ましい。
静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク組成物中の荷電粒子が濃縮されて吐出する。したがって、長時間インクの吐出を行うと、インク組成物中の荷電粒子が減量し、インク組成物の電気伝導度が低下する。また、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合が変化する。さらに、吐出の際、直径の小さな荷電粒子よりも大きな荷電粒子が優先して吐出する傾向にあるため、荷電粒子の平均直径が小さくなる。また、インク組成物中の固形物の含有量が変化するため、粘度も変化する。これら物性値の変化により、結果として、吐出不良を起こしたり、記録された画像の光学濃度の低下やインクのにじみが発生する。このため、当初インクタンクへ仕込んだインク組成物よりも、高濃度(固形分濃度が高い)のインク組成物を補充することにより、荷電粒子の減量を防止し、インク組成物の電気伝導度や、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合を一定の範囲に留めることができる。また、平均粒子直径や粘度も維持することができる。さらに、インク組成物の物性値を、一定の範囲内に保つことにより、インク吐出が長時間安定して均一に行われる。この際の補充は、例えば、使用しているインク液の電気伝導度や光学濃度等の物性値を検出し、不足量を算出して、機械的または人力で成されることが好ましい。また、画像データを基に使用するインク組成物の量を算出し、機械的または人力で成されてもよい。
本発明においては、用途に応じて様々な被記録媒体を用いることができる。例えば、紙、プラスチックフィルム、金属、及び、プラスチックまたは金属がラミネートまたは蒸着された紙、金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等を用いれば、インクジェット記録することにより、直接印刷物を得ることができる。被記録媒体の形状は、シート状のように平面的であっても、円筒形状のように立体的であってもよい。
本発明においては、被記録媒体へのインク吐出後、適当な加熱手段によりインクを定着することが好ましい。用いられる加熱手段としては、ヒートローラー、ヒートブロック、ベルト加熱等の接触式加熱装置および、ドライヤー、赤外線ランプ、可視光線ランプ、紫外線ランプ、温風式オーブン等の非接触式加熱装置を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェット記録装置と連携し、一体となっていることが好ましい。
本実施例においては、下記の材料を使用した。
・被覆剤[AP−1]
・分散剤[BZ−1]〜[BZ−2]
・荷電調整剤[CT−1]
・分散媒 アイソパーG(エクソン社(株)製)、
被覆剤[AP−1]は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリルおよびメタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルを公知の重合開始剤(V65;和光純薬(株)製)を用いてラジカル重合させることにより得た。重量平均分子量は、15,000であり、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、2.7であった。ガラス転移点(ミッドポイント)は51℃であり、ストレインゲージ法による軟化点は46℃であった。
荷電調整剤[CT−1]は、1−オクタデセンと無水マレイン酸のコポリマーに、1−ヘキサデシルアミンを反応させることにより得た。重量平均分子量は、17,000であった。
末端にメタクリロイル基を有するメタクリル酸ステアリルのポリマー[BP−1]と、メタクリル酸、メタクリル酸n-ヘキシルをラジカル重合させることで分散剤[BZ-2]を得た。重量平均分子量は、127,000であった。
<インク組成物[EC−1]の作成>
ブラック顔料(三菱化学(株)製カーボンブラック#4000B[pH:10.0])10gと被覆剤[AP−1]20gを、入江商会(株)製卓上型ニーダーPBV−0.1に入れ、ヒーター温度を100℃に設定し2時間加熱混合した。得られた混合物30gをトリオサイエンス(株)製トリオブレンダーにて粗粉砕し、さらに協立理工(株)製SK−M10型サンプルミルにて微粉砕した。得られた微粉砕物30gを、分散剤[BZ−1]7.5g、アイソパーG75g、および直径約3.0mmのガラスビーズと共に、東洋精機製作所(株)製ペイントシェーカーにて予備分散した。ガラスビーズを除去した後、直径約0.6mmのジルコニアセラミックビーズと共に、シンマルエンタープライゼズ(株)製TypeKDLダイノミルにて、内温を25℃に保ちながら5時間、引き続き45℃で5時間、2,000rpmの回転数で分散(粒子化)した。得られた分散液からジルコニアセラミックビーズを除去し、アイソパーG316gと荷電調整剤[CT−1]0.6gを加え、インク組成物[EC−1]を得た。
図1〜3に示すインクジェット記録装置に、実施例1のインク組成物[EC−1]をインクタンクに充填した。ここでは吐出ヘッドとして図2に示すタイプの150dpi(チャンネル密度50dpiの3列千鳥配置)、833チャンネルヘッドを使用し、また定着手段として1kWのヒータを内蔵したシリコンゴム性ヒートローラを使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈澱・凝集防止用の攪拌手段としても使用した。またインク流路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)あるいは濃縮インク(上記インク組成物の固形分濃度を2倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。被記録媒体としてオフセット印刷用微コート紙を使用した。エアーポンプ吸引により被記録媒体表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを画像形成位置まで被記録媒体に近づけ、記録すべき画像データを画像データ演算制御部に伝送し、搬送ベルトの回転により被記録媒体を搬送させながら吐出ヘッドを逐次移動しながらインク組成物を吐出して2400dpiの描画解像力で画像を形成した。搬送ベルトとして、金属ベルトとポリイミドフィルムを張り合わせたものを使用し、このベルトの片端付近に搬送方向に沿ってライン状のマーカーを配置し、これを搬送ベルト位置検知手段で光学的に読みとり、位置制御手段を駆動して画像形成を行った。この際、光学的ギャップ検出装置による出力により吐出ヘッドと記録媒体の距離は0.5mmに保った。また吐出の際には被記録媒体の表面電位を−1.5kVとしておき、吐出をおこなう際には+500Vのパルス電圧を印加し(パルス巾50μsec)、15kHzの駆動周波数で画像形成を行った。
得られたグレースケール画像記録物(印刷物)に関して、荷電評価、インクジェット描画を以下のように実施した。
インク組成物の荷電量は、前記のLCRメーター及び液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定した比電導度より求め、インク粒子の電導度は、インク組成物の全体の比電導度から、インク組成物を遠心分離器にかけた上澄みの比電導度を差し引いて求めた。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23°Cの条件で30分間行ったものである。
インク粒子の荷電発生効率(%)=(インク粒子の荷電量Q1/インク組成物の荷電量Q2)×100
経時での荷電量変化率(%)=(Q3/Q4)×100
ブラック顔料として、カーボンブラック#40[pH:7.5](三菱化学(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様な方法にてインク組成物[EC−2]を得た。得られたインクを用い、荷電評価、インクジェット描画を実施した。
ブラック顔料として、カーボンブラックMA100[pH:3.5](三菱化学(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様な方法にてインク組成物[RC−1]を得た。得られたインクを用い、荷電評価、インクジェット描画を実施した。
結果を表1に示す。
A 経時での荷電量変化率(%)95以上
B 経時での荷電量変化率(%)95未満〜80以上
C 経時での荷電量変化率(%)80未満
2)インクジェット描画画像品質:描画画像の滲みの程度を目視評価
A 滲みなし
B 若干滲み発生
C 滲み発生
比較例1では酸性カーボンブラックを用いた結果を開示しており、これでは、インク粒子の荷電発生効率および経時での荷電安定性が不十分で、本方式によるインクジェット描画画像において、吐出部でのインク粒子の電気泳動速度が遅く、インク粒子の濃縮が十分に起こらないため、滲みが発生し、良好な品質の画像が得られない。
実施例2のインク組成物[EC−2]の作成において、色材(カーボンブラック)を下記表2に示したものに変更した以外は実施例2と同様にして、インク組成物[EC−3]〜[EC−22]を作成した。
P 被記録媒体
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2、2Y、2M、2C、2K 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A、6B、6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部
Claims (3)
- 分散媒、および、色材を少なくとも含む荷電粒子、を含有し、かつ、吐出ヘッドの制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる静電界を利用するインクジェット方式(以下、「静電インクジェット方式」という)に用いるインク組成物において、該インク組成物が色材として少なくとも1つの塩基性カーボンブラックを含有し、該分散媒が主鎖部分とグラフト鎖である側鎖部分とからなり、主鎖部分に、酸性基および酸性基を中和してなる塩の少なくともいずれか一方を有するグラフトポリマーであることを特徴とする静電インクジェット方式用インク組成物。
- 前記塩基性カーボンブラックが、カーボンブラック表面のカルボキシル基を表面処理により減少させて得られる塩基性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の静電インクジェット方式用インク組成物。
- 請求項1または2記載のインク組成物を用いて、静電界を利用したインクジェット記録方式によりインク滴を飛翔させることを特徴とするインクジェット記録方法。
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