JP4695618B2 - 3ピース缶用鋼板とその製造方法及びその製造に用いる装置 - Google Patents
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Description
近年では、商品の差別化として、特に表面光沢に優れる3ピース缶用鋼板が求められており、また、鋼板の表面に錫(Sn)をめっきしたぶりきの場合、めっき金属であるSnが希少金属であることや溶接性の問題から、できるだけSn目付量を低減したいという要求もある。
例えば、特許文献1には、鋼板を複数スタンドの圧延機にて調質圧延を行うに当たり、最前段の圧延ロールを粗度1.2μmRa以下のスクラッチブライトロールとし、最後段の圧延ロールを粗度0.5μmRa以下のブライトロールとして調質圧延を行うことにより、高光沢の3ピース缶用鋼板を製造する技術が開示されている。
(1)一方の面の表面粗度Raが0.04μm以上、0.20μm以下であり、他方の面の表面粗度Raが前記一方の面の表面粗度より大きく、前記一方の面と他方の面の表面粗度Raの差が0.04μm以上、0.25μm以下であるようにして、表裏で表面粗度が異なる3ピース缶用鋼板とした。
(2)前記(1)の3ピース缶用鋼板のそれぞれの面に、片面あたりの目付け量が0.1g/m2以上、3.9g/m2以下のSnめっき層を形成して3ピース缶用Snめっき鋼板とした。
(3)前記(2)のSnめっき鋼板において、さらに、Snめっき層の表裏合計の目付け量を0.2g/m2以上、5.0g/m2以下とした。
(4)前記(2)または(3)のSnめっき鋼板において、さらに、表面粗度Raが小さい側の面の、60度の入射角で光束を入射して測定された光沢度が100を超えるようにした。
(5)鋼素材を、熱間圧延し冷間圧延して鋼板とし、その後、焼鈍を経て調質圧延を行うことにより3ピース缶用鋼板を製造する方法において、調質圧延の最終スタンドの直前のスタンドで、表面粗度Raが上下同一の0.6μm以上、1.2μm以下であるダルロールを用いて鋼板を圧延し、最終スタンドで、上下のロールで表面粗度が異なるロールを用いるとともに、表面粗度の小さい側のロールに表面粗度Raが0.01μm以上、0.20μm以下であるブライトロールを用いて鋼板を圧延するようにした。
(6)前記(5)の製造方法において、上下のロールの表面粗度の差を0.04μmRa以上、0.28μmRa以下とした。
(7)調質圧延設備の最終スタンドの直前のスタンドにおいて、表面粗度Raが上下同一の0.6μm以上、1.2μm以下であるダルロールとし、最終スタンドにおいて、ロールを上下のロールで表面粗度が異なるものとするとともに、表面粗度の小さい側のロールを表面粗度Raが0.01μm以上、0.20μm以下のブライトロールとした。
また、光沢度とは、JIS Z 8741に規定された、鋼板のL方向に平行に60度の入射角で光束を入射し、反対方向に反射する光束を受光器で測定した60度鏡面光沢Gs(60°)のことである。
また、本発明によれば、表面粗度Raが0.20μm以下の高光沢の3ピース缶用鋼板を、スリ疵の発生を防止して安定的に製造することができる。
表面粗度が0.20μmRa以下の高光沢の3ピース缶用鋼板は、表面が非常になめらかで滑りやすく、鋼板をコイルに巻き取る時や鋼板をシートカットし、パイリングする時、また、コイルの状態や鋼板シートを積み重ねた状態で搬送・ハンドリングする時では、鋼板の表面と裏面とが触れ合うときにわずかな滑りやずれが発生し、そのために表面にスリ疵が入り光沢劣化を招きやすい。
そこで、鋼板の表面と裏面とが触れ合う時にすべりやずれが発生しにくい方法について種々検討した。
その際、より効果的にスリ疵の発生を防止するには、表裏面の表面粗度Raの差は0.04μm以上必要である。また、その差の上限は0.25μm以下とするのが好ましい。
それぞれの面の好ましい表面粗度の範囲は、3ピース缶外面側となる面の表面粗度Raが0.18μm以下であり、3ピース缶内面側となる面の表面粗度Raが0.22〜0.30μmである。
また、0.04μm以上とするのは、さらに高光沢にしても区別がつかないからである。
このような点から、表裏面の表面粗度Raの差は0.25μm以下とするのが好ましく、そのためには、外面側の好ましい表面粗度の範囲は、0.22〜0.30μmである。
めっき層の片面あたりのSn目付け量は、溶接時のスパーク限界でもその下限が規定されるが、鋼板の表面光沢度を更に上げるためには0.1g/m2以上が必要である。しかし、Snは希少金属であり、コスト面でもその使用量を少なくするのが望ましく、また、溶接缶では基本的にSn目付け量が少ないほうが溶接にとって有利であるから、片面あたりのSn目付け量の上限を3.9g/m2とする。
また、特に高速溶接に供する場合はSnめっき層の表裏合計の目付け量が0.2以上、5.0g/m2以下であるのが望ましい。なお、接着にて3ピース缶に製缶する場合は、接着性確保のために表裏合計のSn目付け量を制限する必要はない。
本発明の3ピース缶用鋼板は、常法に従い3ピース缶用の化学組成を有する鋼スラブとし、このスラブを熱間圧延及び冷間圧延を経て所定の板厚の鋼板とした後、焼鈍及び調質圧延を行って製造される。この時、連続焼鈍までの製造条件については、従来公知の条件で行えばよい。上記3ピース缶用鋼板の表面粗度は、次に説明する調質圧延によって行われる。
なお、上記の説明においては、3ピース缶用鋼板として、Snめっきをしたぶりきについて説明してきたが、表面光沢あるいは表面粗度が小さいことが要求される他のめっき鋼板、例えば、ティンフリースチール等にも、本発明の技術を有効に適用することができる。
その結果、一方の面の表面粗度が0.10μmRaで、他方の面の表面粗度が0.25μmRaの鋼板が得られた。
得られた鋼板をコイルに巻取り、その後、巻き戻しながらスリ疵の発生の有無を調べた後、更に、当該コイルを2.8g/m2の目付け量でSnめっきして同様に調査した。その結果、いずれの場合もスリ疵の程度は良好であり、本発明の効果が確認された。
得られた結果を表1に示す。
スリ疵及び圧痕疵: ○;目視にて疵の発生がないと判断
×;同様にありと判断
溶接性: ◎・・・高速溶接が可能(製缶速度600cpm以上で不良率が0.3%以下)。
○・・・溶接可能(実用上、溶接機手入れ等を行えば問題はなし)。
×・・・溶接可能であるが錫粉の発生が激しく設備や溶接電極に付着し
溶接安定性にかける。
Claims (7)
- 一方の面の表面粗度Raが0.04μm以上、0.20μm以下であり、他方の面の表面粗度Raが前記一方の面の表面粗度より大きく、前記一方の面と他方の面の表面粗度Raの差が0.04μm以上、0.25μm以下である、表裏で表面粗度が異なることを特徴とする3ピース缶用鋼板。
- 請求項1に記載の鋼板のそれぞれの面に、片面あたりの目付け量が0.1g/m2以上、3.9g/m2以下のSnめっき層が形成されていることを特徴とする3ピース缶用Snめっき鋼板。
- Snめっき層の表裏合計の目付け量が0.2g/m2以上、5.0g/m2以下であることを特徴とする請求項2に記載の3ピース缶用Snめっき鋼板。
- 表面粗度Raが小さい側の面の、60度の入射角で光束を入射して測定された光沢度が100を超えることを特徴とする請求項2または3に記載の3ピース缶用Snめっき鋼板。
- 鋼素材を、熱間圧延し冷間圧延して鋼板とし、その後、焼鈍を経て調質圧延を行うことにより請求項1に記載の3ピース缶用鋼板を製造する方法において、調質圧延の最終スタンドの直前のスタンドで、表面粗度Raが上下同一の0.6μm以上、1.2μm以下であるダルロールを用いて鋼板を圧延し、最終スタンドで、上下のロールで表面粗度が異なるロールを用いるとともに、表面粗度の小さい側のロールに表面粗度Raが0.01μm以上、0.20μm以下であるブライトロールを用いて鋼板を圧延することを特徴とする3ピース缶用鋼板の製造方法。
- 前記上下のロールの表面粗度の差を0.04μmRa以上、0.28μmRa以下とすることを特徴とする請求項5に記載の3ピース缶用鋼板の製造方法。
- 請求項5に記載の3ピース缶用鋼板の製造方法を実施するための調質圧延設備であって、該調質圧延設備の最終スタンドの直前のスタンドにおいて、表面粗度Raが上下同一の0.6μm以上、1.2μm以下であるダルロールとし、最終スタンドにおいて、ロールを上下のロールで表面粗度が異なるものとするとともに、表面粗度の小さい側のロールを表面粗度Raが0.025μm以上、0.20μm以下のブライトロールとしたことを特徴とする調質圧延設備。
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