JP4693276B2 - ラップフィルム - Google Patents

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JP4693276B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、業務用あるいは家庭用ラップフィルムに関し、特に塩素を含まず、環境にやさしく、安全性に優れると共に、ラッピング性、透明性、変形復元性などラップフィルムとしての要求特性を満足することができるラップフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、青果、精肉、魚類あるいはこれらの加工食品、惣菜などの調理済食品などは、軽量発泡樹脂製トレーに載せてフィルムでラッピングして百貨店、スーパー、食料品店などで販売されている。また、家庭においても、食料品の冷凍、冷蔵などでの保存、電子レンジでの加熱時などの際に、容器などに入れラッピングすることが行われている。
【0003】
このラッピングフィルムとしては、透視性、ラッピング仕上がり外観、ラッピング効率、耐突き刺し性、指で押した場合の変形復元性などの特性が求められている。これらのラッピング特性を満足できるフィルムとして、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリ塩化ビニル系樹脂が一般的に多量に使用されている。
【0004】
しかしながら、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリ塩化ビニル系樹脂は、分子構造中に塩素を含有しているため、使用後廃棄された後の焼却処理により有害な、塩化水素ガス、ダイオキシンなどを発生させることが環境面から問題視されてきている。さらに、ラップフィルムとしての軟質化のために多量に配合されている可塑剤の溶出も安全性の観点から問題視されている。
【0005】
これらの問題点の解消のために、ポリエチレン系フィルムやポリプロピレン系フィルムを用いる試みもなされ一部実用化されている。しかしながら、ポリエチレン系フィルムは低温特性はよいものの耐熱性が低く、また、ポリプロピレン系フィルムは耐熱性は高いものの低温特性が低い問題点がある。さらに、ポリエチレン系、ポリプロピレン系どちらにあっても、トレーなどへの粘着力、フィルム同士の粘着力が不十分である問題点がある。
【0006】
このため、たとえば、プロピレン系樹脂に、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロツク共重合体、変成ポリオレフィン、ポリブテン、炭化水素樹脂、粘着性付与助剤などを配合する方法が各種提案されている。しかしこれらの配合剤はポリプロピレン系樹脂との相溶性が必ずしも十分でなく、表面の荒れ、透明性の低下、製膜性の低下、あるいは粘着性付与助剤である低分子量化合物のブリードなど新たな問題点がある。
【0007】
他のラップフィルムとして、特開平11−29967号公報には、ポリプロピレン系樹脂(A)50〜98質量部及び密度が0.900g/cm3 以下のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)2〜50質量部からなる樹脂組成物から形成されたラップフィルム、特開平11−29968号公報には、ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対して、油脂(B)1〜15質量部含有する樹脂組成物からなるラップフィルムが開示されている。しかしながら、ラップフィルムとしての粘着性を確保するためには、実質的にポリブテンや油脂などの低分子量化合物の添加が必要である点から従来の方法と何ら変わらないものである。
【0008】
特開2000−44742号公報には、(イ)80以上のアイソタクチック指数を有するポリプロピレン成分、20〜60質量%、及び(ロ)50〜95質量%のエチレンを含有する、エチレンと炭素数4以上のオレフィンとの共重合体成分であって、25℃におけるキシレンに不溶性の結晶性ポリエチレンを有する結晶成分(I)、25〜95質量%と、25℃キシレンに可溶性である非晶成分(II)、5〜75質量%とからなる共重合体成分、40〜80質量%からなる軟質ポリプロピレン系樹脂を含有するフィルムが開示されている。しかしながら、ラップフィルムとしての評価は、単層フィルムではなくプロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体を両外層とした多層フィルムであり、実質的にラップフィルムとしての特性はポリプロピレン系樹脂を生かしたものではなく、また透明性のレベルも十分なものではない。
【0009】
したがって、これらの塩素を含有しないポリオレフィン系樹脂からなるラップフィルムは、耐環境性の問題は解決できるものの、ポリ塩化ビニル系樹脂のラップフィルムのレベルには及ばず依然としてポリ塩化ビニル系樹脂からなるラップフィルムが巾広く使用されているのが実情である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ラッピング性、透明性、変形復元性、耐突き刺し性などラップフィルムとしての特性を有すると共に、塩素を含有せず、廃棄焼却時に塩素に由来する塩化水素、ダイオキシンなどの有害物質の発生の恐れのない地球環境に優しいラップフィルムを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定のプロピレン重合体とオレフィン系重合体からなる組成物を製膜してなるフィルムが、本目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 下記の(1)及び(2)を満たすプロピレン重合体〔I〕1〜99質量%、
(1)メソペンタッド分率(mmmm)が0.2〜0.6である
(2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たす
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.1
及びオレフィン系重合体〔II〕99〜1質量%からなる樹脂組成物から形成されてなるラップフィルム。
〔2〕 プロピレン重合体〔I〕が下記の(3)を満たすプロピレン重合体である前記〔1〕記載のラップフィルム。
(3)テトラリン中135℃にて測定した極限粘度 [η] が1〜3デシリットル/gである
〔3〕 プロピレン重合体〔I〕が下記の(4)を満たすプロピレン重合体である前記〔1〕または〔2〕記載のラップフィルム。
(4) 昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100質量%である
〔4〕 プロピレン重合体〔I〕が2個の架橋基を介して架橋構造を形成してなる遷移金属化合物と助触媒からなるメタロセン触媒を用いて重合されたものである前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のラップフィルム。
〔5〕 オレフィン系重合体〔II〕がプロピレン系重合体である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のラップフィルム。
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する多層ラップフィルムを提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のラップフィルムは、特定のプロピレン重合体〔I〕99〜1質量%及びオレフィン系重合体〔II〕1〜99質量%からなる樹脂組成物から形成されたフィルムからなるものである。すなわち、本発明のラップフィルムは、この特定のプロピレン重合体を必須成分として含有する樹脂組成物を製膜してなるラップフィルムである。以下、本発明のラップフィルムについて詳しく説明する。
【0013】
本発明のラップフィルムで用いられる特定のプロピレン重合体〔I〕は、下記の(1)及び(2)を満たすものである。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)が0.2〜0.6である
(2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たす
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.1
本発明におけるプロピレン重合体〔I〕としては、前記範囲を満たせばよいが、メソペンタッド分率(mmmm)が0.3〜0.5であることが好ましく、ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.08であることが好ましく、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.06であることがより好ましく、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.05であることが特に好ましい。
【0014】
プロピレン重合体〔I〕の、(1)メソペンタッド分率(mmmm)が0.6を超える場合、及び(2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)の関係が満たされない場合は、組成物を製膜して得られたフィルムがラップフィルムとして要求される特性であるラッピング性、柔軟性、透明性、変形復元性、耐突き刺し性などを確保することができにくくなる。また、(1)メソペンタッド分率(mmmm)が0.2未満の場合は製膜安定性、添加剤のブリードによるトラブル発生、強度の低下などからラップフィルムとして適当でなくなる。
【0015】
本発明で用いるプロピレン重合体〔I〕を特定する、メソペンタッド分率(mmmm)とは、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率である。これが大きくなると、立体規則性が高くなることを意味する。前記プロピレン重合体のメソペンタッド分率(mmmm)が0.2未満では、フィルムのべたつき性により製膜が困難となる場合がある。また、0.6を超えると柔軟性や粘着性の低下によりラッピング性が十分とならない場合がある。
【0016】
同じくラセミペンタッド分率(rrrr)とは、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのラセミ分率である。[rrrr/(1−mmmm)]は、上記のペンタッド単位の分率から求められ、プロピレン重合体の立体規則性分布の均一さを表す指標である。この値が大きくなると立体規則性分布が広がり、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレン(PP)と非晶性ポリプロピレン(APP)の混合物となり、べたつきが増し製膜性が悪化すると共に透明性が低下することを意味する。前記プロピレン重合体〔I〕の[rrrr/(1−mmmm)]が0.1を超えるとべたつきの原因となる。
【0017】
なお、13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行う。
【0018】
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)の混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10,000回
【0019】
本発明で用いられる特定のプロピレン重合体〔I〕としては、前記要件の他に、
(3)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度 [η] が1〜3デシリットル/gのものが好ましい。この極限粘度 [η] は、フィルムの製膜性に関係し、Tダイキャスト成形方法が採用される場合には、1.0〜2.5デシリットル/g、インフレーション成形方法が採用される場合には、1.5〜3.0デシリットル/gが特に好ましい。ここにおいて [η] が、1デシリットル/g未満では、製膜性が低下し、3デシリットル/gを超えると、溶融粘度が高く流動性が低下し同様に製膜性が低下することになる。
【0020】
さらに、前記(1)、(2)、(3)の要件の他に、
(4)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100質量%であることが好ましく、更に50〜100質量%がより好ましい。W25とは、実施例において述べる操作法、装置構成及び測定条件の昇温クロマトグラフィーにより測定して求めた溶出曲線におけるTREFのカラム温度25℃において充填剤に吸着されないで溶出する成分の量(質量%)である。W25は、プロピレン重合体が軟質であるか否かを表す指標である。この値が大きくなると弾性率の低い成分が多くなったり、及び/又は立体規則性分布の不均一さが広がっていることを意味する。本発明においては、W25が20%未満では、柔軟性などがなくなり好ましくない。
【0021】
本発明で用いられる特定のプロピレン重合体〔I〕は、さらに下記の要件を有するものが好ましい。
▲1▼ゲルパーミエイション(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下が好ましく、Mw/Mnが3.5以下がより好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4を超えると製膜性が低下する場合がある。
なお、上記分子量分布(Mw/Mn)は、実施例において述べるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により求められる。
【0022】
▲2▼DSC測定による融解吸熱量ΔHが30J/g以下であることが好ましい。このΔHは、軟質であるかないかを表す指標でこの値が大きくなると弾性率が高く、軟質性が低下していることを意味する。
▲3▼融点(Tm)は、あってもなくてもよいが、軟質性の点からないこと或いは低い値、特にTmについては100℃以下であることが好ましい。なお、ΔH、Tmは、実施例において述べるDSC測定により求める。
【0023】
本発明で用いられるプロピレン重合体〔I〕としては、前記特定要件である(1)、(2)を満足するものであればよく、プロピレン以外のコモノマーを2質量%以下共重合させたものであっても構わない。コモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられこれらの一種又は二種以上を用いて共重合することにより得られた共重合体であってもよい。
【0024】
本発明で用いられるプロピレン重合体〔I〕の製造方法としては、前記(1)、(2)の要件を満足するものであれは特に限定はない。たとえば、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物(A)と助触媒(B)を組み合わせて得られるメタロセン触媒を用いてプロピレンを重合または共重合する公知の方法(WO99/67303参照)で好ましく製造できる。具体的に、例示すれば、
一般式(1)
【0025】
【化1】
Figure 0004693276
【0026】
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1 及びE2 はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成しており、またそれらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1 ,E2 又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E1 ,E2 又はXと架橋していてもよく、A1 及びA2 は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR1 −、−PR1 −、−P(O)R1 −、−BR1 −又は−AlR1 −を示し、R1 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
で表される遷移金属化合物(A)と助触媒(B)としての、該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成し得る化合物(B−1)及びアルミノキサン(B−2)から選ばれる助触媒成分を含有する重合用触媒の存在下、プロピレンの単独重合、またはプロピレンと少量の他のα−オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。
【0027】
一般式(1)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,など及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。
【0028】
次に、助触媒(B)成分の、(B−1)としての、該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成し得る化合物は、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウムなどを挙げることができる。(B−1)は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
また、(B−2)としてのアルミノキサンは、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン等が挙げられる。これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
前記重合用触媒としては、上記(A)成分と(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
【0031】
ここで、プロピレンの重合に際しては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることもできる。重合方法は特に制限されず、スラリー重合法,気相重合法,塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法などのいずれの方法を用いてもよいが、塊状重合法,溶液重合法が好ましい。
【0032】
重合温度は通常−100〜250℃、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が、好ましくは1〜108 、100〜105 となることがより好ましい。さらに、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は通常、常圧〜20MPa(gauge)である。
【0033】
次に、本発明のラップフィルムとしての樹脂組成物の他の成分について説明する。他の成分である、オレフィン系重合体〔II〕としては、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、密度が850〜940kg/m3 のエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、水素添加スチレン系エラストマー等が挙げられる。中でもポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、密度が850〜940kg/m3 のエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、これらのオレフィン系重合体は複数用いることもできる。オレフィン系集合体〔II〕としては、特にプロピレン系重合体が好ましい。
【0034】
本発明のラップフィルムを形成する樹脂組成物は、前記プロピレン重合体〔I〕1〜99質量%とオレフィン系重合体〔II〕99〜1質量%からなる。好ましくは、前記プロピレン重合体〔I〕25〜96質量%とオレフィン系重合体〔II〕75〜4質量%からなる。さらに好ましくは、前記プロピレン重合体〔I〕40〜92質量%とオレフィン系重合体〔II〕60〜8質量%、最も好ましくは、前記プロピレン重合体〔I〕50〜90質量%とオレフィン系重合体〔II〕50〜10質量%からなるものである。
【0035】
ここで、前記プロピレン重合体〔I〕の組成比が少ない場合は、柔軟性、透明性、変形復元性、ラッピング性などのラップフイルムとしての性能が低下し、また、逆に多い場合には、製膜安定性に劣り生産性よく安定したフィルムの製造が困難となる場合がある。したがって、その配合比率は、用いるプロピレン重合体〔I〕の、たとえばメソペンタッド分率、 [η] などや、オレフィン系重合体〔II〕の種類、分子量、溶融粘度などを考慮して、主としてラッピング性を基に適宜選定することができる。
【0036】
なお、本発明のラップフィルムの製造に当たっては、樹脂組成物に所望により、公知の各種添加剤を配合することができる。
所望により用いられる各種添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、造核剤又は帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0037】
リン系酸化防止剤の具体例としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、アデカスタブ1178(旭電化(製))、スミライザーTNP(住友化学(製))、JP−135(城北化学(製))、アデカスタブ2112(旭電化(製))、JPP−2000(城北化学(製))、Weston618(GE(製))、アデカスタブPEP−24G(旭電化(製))、アデカスタブPEP−36(旭電化(製))、アデカスタブHP−10(旭電化(製))、SandstabP−EPQ(サンド(製))、フォスファイト168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(製))等が挙げられる。
【0038】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3' ,5' −ジ−t−ブチル−4' −ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4' −ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、スミライザーBHT(住友化学(製))、ヨシノックスBHT(吉富製薬(製))、アンテージBHT(川口化学(製))、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(製))、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(製))、アデカスタブAO−60(旭電化(製))、スミライザーBP−101(住友化学(製))、トミノックスTT(吉富製薬(製))、TTHP(東レ(製))、イルガノックス3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(製))、アデカスタブAO−20(旭電化(製))、アデカスタブAO−40(旭電化(製))、スミライザーBBM−S(住友化学(製))、ヨシノックスBB(吉富製薬(製))、アンテージW−300(川口化学(製))、イルガノックス245(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(製))、アデカスタブAO−70(旭電化(製))、トミノックス917(吉富製薬(製))、アデカスタブAO−80(旭電化(製))、スミライザーGA−80(住友化学(製))等が挙げられる。
【0039】
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3' −チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3' −チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3' −チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、スミライザーTPL(住友化学(製))、ヨシノックスDLTP(吉富製薬(製))、アンチオックスL(日本油脂(製))、スミライザーTPM(住友化学(製))、ヨシノックスDMTP(吉富製薬(製))、アンチオックスM(日本油脂(製))、スミライザーTPS(住友化学(製))、ヨシノックスDSTP(吉富製薬(製))、アンチオックスS(日本油脂(製))、アデカスタブAO−412S(旭電化(製))、SEENOX 412S(シプロ化成(製))、スミライザーTDP(住友化学(製))等が挙げられる。
【0040】
これらの中でも、イルガノックス1010:物質名:ペンタエリスリチル−テトラキス[ 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、イルガフォス168:物質名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、イルガノックス1076:物質名:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イルガノックス1330:物質名:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、イルガノックス3114:物質名:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト、P−EPQ:物質名:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4' −ビフェニレン−ジ−フォスファイトが特に好ましい。
【0041】
本発明において酸化防止剤を用いる場合は、前記プロピレン重合体樹脂組成物100質量部に対し酸化防止剤を0.001〜1質量部程度添加すればよい。これにより、黄変等を防ぐことができて好ましい。
【0042】
上記の酸化防止剤の具体的な使用例を挙げれば、
Figure 0004693276
等が挙げられる。
【0043】
また、中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(DHT−4A):組成式:Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2 O、Li2 Al4 (OH)12CO3 ・3H2 O〔水沢化学(製)の「ミズカラックH−1」〕等が特に好ましい。
【0044】
アンチブロッキング剤としては、富士シリシア(製)の「サイリシア」:合成シリカ系や水澤化学工業(製)の「ミズカシル」:合成シリカ系等が特に好ましい。
【0045】
スリップ剤としては、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカアミド、オレイルパルミトアミドが特に好ましい。
【0046】
防曇剤としては、(ジ)グリセリンモノ(ジ、トリ)オレート、(ジ)グリセリンモノ(ジ、トリ)ステアレート、(ジ)グリセリンモノ(ジ)パルミテート、(ジ)グリセリンモノ(ジ)ラウレートなどのグリセリン脂肪酸エステル化合物、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタン(トリ)スチアレート、ソルビタン(トリ)オレートなどのソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレートなどのエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノオレートなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらの防曇剤は複数もちいることもできる。防曇剤の使用によって、ラッピッング物からの蒸気による曇りを防止でき、透視性の維持による展示商品価値を高くすることができる。
【0047】
造核剤を用いる場合、造核剤の添加量は、通常、プロピレン重合体〔I〕とオレフィン系重合体からなる樹脂組成物に対して10ppm以上であり、好ましくは10〜10,000ppmの範囲であり、より好ましくは10〜5,000ppmの範囲であり、さらに好ましくは10〜2,500ppmである。
【0048】
本発明のラップフィルムを形成する樹脂組成物は、前記特定のプロピレン重合体〔I〕とオレフィン系重合体〔II〕および必要により加えられる各種添加剤を所定量加えて、通常の方法、たとえば押出成形機、バンバリーミキサーなどの溶融混練機によりペレット化する方法で製造することができる。
【0049】
このようにして得られた組成物ペレットを用いての、本発明のラップフィルムを形成する方法としては、例えば、Tダイキャスト成形法、インフレーション成形法、カレンダー成形法などが採用できる。フィルムの成形方法においては、成形樹脂温度を190〜270℃程度に樹脂を加熱して押し出し、冷却して製膜する。なお、冷却方法としては空冷、水冷のどちらを採用することもできる。
【0050】
本発明のラップフィルムは、無延伸フィルムでも十分にラップフィルムとしての機能を有するものである。しかしながら、必要により、公知の方法で二軸延伸することもできる。この延伸によってラップフィルムのカット性を向上させることができる。本発明のラップフィルムの厚みは通常5〜40μm、好ましくは10〜20μmの範囲であり、ラップフィルムの用途、使用形態などを考慮して適宜決定される。
【0051】
本発明のラップフィルムは、前記樹脂組成物からなる単層フィルムを基準とするものであるが、この樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有する多層フィルムとすることもできる。多層フィルムとしては、本発明で用いる特定のプロピレン重合体〔I〕の要件の範囲内での多層フィルムの場合であってもよく、また、要件、組成比が同じで添加剤処方が異なる樹脂組成物からなる多層フィルムでもよい。
【0052】
また、本発明のラップフィルムを形成する樹脂組成物層と他のオレフィン系樹脂から適宜選ばれた一層以上からなる多層フィルムとすることもできる。この場合には、特定のプロピレン重合体〔I〕を含む樹脂組成物からなる層の比率は1〜99%、好ましくは20〜80%の範囲であり、また、この層が少なくとも片外層にくることが、本発明の特徴を生かすことができ好ましい。なお、多層フィルムの他のオレフィン系樹脂としては、前記樹脂組成物でのオレフィン系樹脂〔II〕で詳述したオレフィン系樹脂から適宜選択して用いることができる。
【0053】
このようにして得られた本発明のラップフィルムは、安全性、柔軟性、ラッピング性(粘着性)、透明性、変形回復性、耐突き刺し性、カット性などが良好であると共に、廃棄焼却時の有害物質の排出がなく、地球環境にも優しいものである。したがって、本発明のラップフィルムは、食品類などの樹脂発泡トレー包装、冷蔵、冷凍、保存用として、業務用、家庭用ラップフィルムとして好適に使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0055】
プロピレン重合体〔I〕の製造
(イ)錯体の合成
(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
シュレンク瓶に(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97mmol)をTHF50mLに溶解し−78℃に冷却する。ヨードメチルトリメチルシラン2.1mL(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間攪拌する。溶媒を留去しエーテル50mLを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄する。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)を得た。(収率84%)
【0056】
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)とエーテル50mLを入れる。−78℃に冷却しn−BuLi(ヘキサン溶液1.54M)を7.6mL(11.7mmol)加えた後、室温で12時間攪拌する。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン40mLで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た。(収率73%)
1H−NMR(90MHz,THF−d8 )による測定の結果は、: δ 0.04(s,18H,トリメチルシリル),0.48(s,12H,ジメチルシリレン),1.10(t,6H,メチル),2.59(s,4H,メチレン),3.38(q,4H,メチレン),6.2−7.7(m,8H,Ar−H)であった。
【0057】
窒素気流下で前記で得られたリチウム塩をトルエン50mLに溶解する。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20mL)懸濁液を滴下する。滴下後、室温で6時間攪拌する。その反応溶液の溶媒を留去する。得られた残渣をジクロロメタンより再結晶化することにより(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを0.9g(1.33mmol)を得た。(収率26%)
1H−NMR(90MHz,CDCl3 )による測定の結果は、: δ 0.0(s,18H,トリメチルシリル),1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン),2.51(dd,4H,メチレン),7.1−7.6(m,8H,Ar−H)であった。
【0058】
(ロ)プロピレンの重合
攪拌機付き、内容積10リットルのステンレス製オートクレーブにn−ヘプタン4リットル、トリイソブチルアルミニウム2ミリモル、さらに、メチルアルミノキサン(アルベマール社製)2ミリモルと、前記で得た(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド2マイクロモルを、順次投入した。次いで、水素を0.06MPa(gauge)まで導入し、60℃まで温度を上昇させながら、全圧で0.8MPa(gauge)になるまでプロピレンガスを導入し、重合を開始した。重合中、全圧が0.8MPa(gauge)になるように調圧器によりプロピレンガスを連続的に供給した。温度60℃で、30分間重合を行なった後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン重合体〔I〕を得た。
【0059】
(ハ)プロピレン重合体の評価
▲1▼.ペンタッド分率の測定
前記明細書本文に記載した方法により測定した。
▲2▼.極限粘度[η] の測定
(株) 離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、テトラリン溶媒中135℃において測定した。
▲3▼.昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量
以下のようにして、溶出曲線におけるTREFのカラム温度25℃において充填剤に吸着されないで溶出する成分の量W25(質量%)を求めた。
(a)操作法
試料溶液を温度135℃に調節したTREFカラムに導入し、次いで降温速度5℃/時間にて徐々に0℃まで降温し、30分間ホールドし、試料を充填剤に吸着させる。その後、昇温速度40℃/時間にてカラムを135℃まで昇温し、溶出曲線を得た。
【0060】
Figure 0004693276
【0061】
(c)測定条件
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
試料濃度 :7.5g/リットル
注入量 :500マイクロリットル
ポンプ流量 :2.0ミリリットル/分
検出波数 :3.41μm
カラム充填剤 :クロモソルブP(30〜60メッシュ)
カラム温度分布 :±0.2℃以内
▲4▼.分子量分布(Mw/Mn)の測定
GPC測定装置:WATERS 150C
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
【0062】
▲5▼.DSC測定
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下220℃で3分間溶融した後、1℃/分で−40℃まで降温したときに得られる結晶化発熱カーブの最大ピークのピークトップを結晶化温度:Tcとした。さらに、−40℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔHとした。また、このときに得られる融解吸熱カーブの最大ピークのピークトップを融点:Tmとした。
【0063】
(ニ)プロピレン重合体〔I〕の物性
(1)メソペンタッド分率(mmmm):0.45
(2)〔rrrr/(1−mmmm)〕:0.044〔rrrr:0.024〕
(3)極限粘度 [η] :1.5デシリットル/g
(4)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25):91質量%
(5)分子量分布(Mw/Mn):2.0
(6)融点:81℃
(7)融解吸熱量(ΔH):25J/g
(8)メルトフローレート(MFR:230℃、荷重:21.18N):6g/10分
【0064】
実施例1〜3及び参考例
(イ)ペレットの製造
上記で得られたプロピレン重合体〔I〕に、フェノール系酸化防止剤:イルガノックス1010:500ppm、リン系酸化防止剤:イルガフォス168:1000ppmを添加し、単軸押出成形機(TLC35−20型、塚田樹機製作所製)を用いて、樹脂温度:200℃で押出成形してペレットを得た。
【0065】
(ロ)ラップフィルムの製造
前記(イ)で得られたペレットと出光石油化学(株)製 IDEMITSU PP F−704NP(メルトフローレート:7g/10分)、F−734NP(メルトフローレート:6g/10分)を、表1に示す比率でドライブレンドした。次いで、田辺プラスチック機械(株)製のVS40粍押出機、及びTダイキャスト成形機を使用して厚み20μmのラップフィルムを下記製膜条件で得た。
【0066】
Figure 0004693276
【0067】
(ハ)ラップフィルムの評価
得られたラップフィルムを、全て温度23℃±2℃、湿度50±10%で16時間以上状態調節を行い、同じ温度、湿度下で下記項目などを評価した。評価結果を第1表に示す。
▲1▼透明性(ヘーズ)
JIS K7105に準拠して測定した。
▲2▼引張降伏強度・引張弾性率
JIS K 7127に準拠した引張試験により測定した。
・クロスヘッド速度:50mm/min
・測定方向:マシン方向(MD方向)
【0068】
▲3▼ラッピング性1
ステンレス製バット(内寸法125×180×深さ:70mm)の口を160×220mmにカットしたラップフィルムによりラッピングした。5℃で1週間放置後もフィルムが剥がれたりしないでラッピング状態が保持された場合を◎、それ以外を×として判定した。
【0069】
▲4▼ラッピング性2
上記のバットの口に、短辺側から30mm、50mm離して160×170mmにカットしたラップフィルムを置き、フィルムの耳を角バットに密着させる。続いて、中央端部から順次フィルムを引き伸ばして、開口部の被覆を試みた。30mm、50mm何れも成功しラッピングを完成できた場合を◎、30mmのみ成功の場合を○、何れも失敗した場合を×と判定した。
【0070】
▲5▼耐突き刺し性
ラッピング性1と同様に角バットの口をラッピングし、続いてその中央部をゆっくりと指で突いた。角バットの底に当たるまで破れなかった場合を◎、それ以外の場合を×として判定した。
【0071】
▲6▼変形(弾性)回復性
ラッピング性1と同様の角バットの中央部に、一辺が45mmのサイコロを置き、ラッピング性1と同様な操作でラッピングを行った。次いで、フィルムの中央部を指でゆっくりと突き、底に置いたサイコロに当たったら、指をフィルムから離し、3分後の状態を観察した。元通りに復元する場合を◎、袋状の痕が残る場合を△、破けた場合を×として判定した。
【0072】
比較例1
市販のポリ塩化ビニリデン製のラップフィルム〔商品名:サランラップR(旭化成(株)製〕を実施例1と同様に評価した。結果を第1表に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004693276
【0074】
【発明の効果】
本発明のラップフィルムは、廃棄焼却時に塩素由来の塩化水素ガス、ダイオキシンなどの有毒ガス等が発生する恐れがなく、地球環境に優しく安全で、透明性、耐突き刺し性、変形回復性が現在多量に用いられていポリ塩化ビニリデン樹脂製のラッピングフィルムと同等乃至は、耐突き刺し性、変形復元性などにおいてはさらに優れた特性を有する。

Claims (6)

  1. 下記の(1)及び(2)を満たすプロピレン重合体〔I〕70〜99質量%、
    (1)メソペンタッド分率(mmmm)が0.3〜0.5である
    (2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たす
    [rrrr/(1−mmmm)]≦0.05
    及びオレフィン系重合体〔II〕30〜1質量%からなる樹脂組成物から形成されてなるラップフィルム。
  2. プロピレン重合体〔I〕が下記の(3)を満たすプロピレン重合体である請求項1記載のラップフィルム。
    (3)テトラリン中135℃にて測定した極限粘度[η]が1〜3デシリットル/gである
  3. プロピレン重合体〔I〕が下記の(4)を満たすプロピレン重合体である請求項1または2記載のラップフィルム。
    (4)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100質量%である
  4. プロピレン重合体〔I〕が2個の架橋基を介して架橋構造を形成してなる遷移金属化合物と助触媒からなるメタロセン触媒を用いて重合されたものである請求項1〜3のいずれかに記載のラップフィルム。
  5. オレフィン系重合体〔II〕がプロピレン系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載のラップフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する多層ラップフィルム。
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