JP4251706B2 - プロピレン系樹脂組成物及びフィルム、シート - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物及びフィルム、シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系樹脂組成物及びそれからなるフィルム、シートに関し、さらに詳しくは柔軟性及び透明性に優れ、かつヒートシール強度が大幅に向上したフィルム、シートを与える新規なプロピレン系樹脂組成物及びそれからなるフィルム、シートに関する。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ラミネートや共押出した積層フィルム、シートの少なくとも一層の構成成分としても好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
結晶性プロピレン系重合体のフィルムはその優れた剛性、透明性、及び防湿性等を活かして広く包装用フィルムとして使用されている。包装用フィルムはしばしば袋状に加工して使用されているが、フィルムを袋状に加工し内容物を充填した後に袋口を閉じる一連の操作は、通常加熱した棒により圧締してフィルムどうしを溶融接着するヒートシールと呼ばれる操作により行われている。近年これら一連の製袋、包装工程は生産性向上のため高速化が図られており、ヒートシ−ル温度が低温化されかつヒートシール強度が向上した素材即ち、低温ヒートシール性に優れた素材の開発が強く要望されている。ところで、プロピレン系重合体フィルムのヒートシール性改良手法としてはエチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)などのブレンドが従来から広く行われている。しかしこのような従来技術においては確かにヒートシール温度は低温化されるが、ヒートシール強度が低下するという欠点があった。
【0003】
一方、軟質フィルム、シートの分野においては従来塩化ビニル系の樹脂が多用されてきたが、近年その燃焼過程において塩素ガスを発生して焼却炉を傷める等の問題が大きく取り上げられるようになり、代替樹脂の出現が望まれている。ところで、プロピレン系重合体にはその立体規則性を下げたり、エチレン、1 −ブテン等のコモノマーを共重合させることにより柔軟性を付与することができるという特徴があり、従来からこれらの特徴を利用した多数の技術が軟質塩化ビニル系樹脂の代替として提案されている。しかしこれらは立体規則性を下げたり、エチレン、1 −ブテン等のコモノマーを共重合させる結果、プロピレン系重合体の耐熱性やヒートシール強度が低下するという欠点があった。さらに、この欠点を改良するためにプロピレン単独重合体などの結晶性成分とプロピレン、エチレン共重合体などのエラストマー成分をブレンドしたプロピレン系樹脂組成物が各種提案されているが、これらは結晶性成分とエラストマー成分とがいわゆる海、島構造を形成するため透明性に劣るものであった。このように従来技術は透明性、柔軟性、ヒートシール強度、耐熱性の全てを満足しうるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヒートシール温度が適度に低温化され、かつヒートシール強度が大幅に向上したプロピレン系フィルム又はシートを与える新規なプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなるフィルム、シートを提供することである。さらに、本発明の他の目的は、柔軟性に富み、透明性、耐熱性にも優れ、かつヒートシール強度が大幅に向上した、軟質塩化ビニル系樹脂の代替となり得る新規なプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなるフィルム、シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、示差走査型熱量計にて測定した結晶化曲線の最高温度側のピークトップ温度と融解曲線の示差熱量が特定の関係を満たし、かつ溶融粘弾性の周波数分散測定における貯蔵弾性率と損失弾性率が等しくなる周波数と示差熱量が特定の関係を満たすプロピレン系樹脂組成物が柔軟性と透明性のバランスに優れ、かつヒートシール強度を大幅に向上したフィルム、シートを与えることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下のプロピレン系樹脂組成物、及びそれからなるフィルム、シートを提供するものでる。
1. 示差走査型熱量計(DSC)により測定した結晶化曲線における最高温度側のピークトップ温度(Tc(℃))と融解曲線における示差熱量(ΔHm(J/g))が下記の関係式(1−1)を満たし、
Tc≧(1/4)・ΔHm+90 ・・・(1−1)
かつ、溶融粘弾性の周波数分散測定における貯蔵弾性率(G’(Pa))と損失弾性率(G”(Pa))が等しくなる周波数(ω(rad/sec ))とΔHmが下記の関係式(2−1)を満たすプロピレン系樹脂組成物。
【0006】
ω≦(1/10)・ΔHm+15 ・・・(2−1)
2. 下記の(1)〜(3)を満たすプロピレン系重合体[I]1〜99重量%と結晶性プロピレン系重合体[II]99〜1重量%からなる上記1記載のプロピレン系樹脂組成物。
(1)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)
が20〜100重量%である
(2)25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%である
(3)DSC測定において、融点(Tm(℃))を示さないか、或いはTmを示す場合はTmと融解吸熱量ΔH(J/g)が下記の関係を満たす
ΔH≧6×(Tm−140)
3. 下記の(1)〜(3)を満たすプロピレン単独重合体[a]1〜99重量%と結晶性プロピレン系重合体[II]99〜1重量%からなる上記1記載のプロピレン系樹脂組成物。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜60モル%である
(2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たす
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.1
(3)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100重量%である
4. 上記2におけるプロピレン系重合体[I]又は上記3におけるプロピレン単独重合体[a]が下記(1)及び/又は(2)を満たす上記2または3記載のプロピレン系樹脂組成物。
(1)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下である
(2)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度 [η] が0.5〜15.0デシリットル/gである
5. 上記2におけるプロピレン系重合体[I]又は上記3におけるプロピレン単独重合体[a]がDSC測定において、融点(Tm(℃))を示さない上記2〜4のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
6. 上記1〜5のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物からなる層を有するフィルムまたはシート。
7. JIS K7105に従い測定したフィルムまたはシートのヘイズが10%以下である上記6記載のフィルムまたはシート。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物[1]及びそれからなるフィルム、シート[2]について詳しく説明する。
[1]プロピレン系樹脂組成物
本発明のプロピレン系樹脂組成物[1]は、プロピレン単独重合体及び/又はプロピレン系共重合体から実質的になるものであり、示査型熱量計(DSC)により測定した結晶化曲線における最高温度側のピークトップ温度(Tc(℃))と融解曲線における示差熱量(ΔHm(J/g))が下記の関係式
Tc≧(1/4)・ΔHm+90 ・・・(1−1)
を満たし、かつ溶融粘弾性の周波数分散測定における貯蔵弾性率(G’(Pa))と損失弾性率(G”(Pa))が等しくなる周波数(ω(rad/sec))とΔHmが下記の関係式
ω≦(1/10)・ΔHm+15 ・・・(2−1)
を満たす樹脂組成物である。本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前記の要件を充たすことにより、柔軟性及び透明性に優れ、かつヒートシール強度が大幅に向上したフィルム、シートを与える。例えば、引張弾性率が1000MPa以下であり、ヘイズが5%以下であり、かつかつヒートシール強度が1000gf/15mm以上のフィルムが得られる。特に、ヒートシール強度に関しては、シール温度が高温、例えば160℃以上の場合にヒートシール強度が大幅に優れたフィルムが得られるという利点がある。また、柔軟性が同等である他のプロピレン系樹脂組成物に比較し、ヒートシール温度が高く、耐熱性が高いという利点がある。
【0008】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、フィルム、シートのみならず、ラミネートや共押出した積層フィルム、シートの少なくとも一層の構成成分としても好適に用いられる。
前記(1−1)の要件を満たさないと得られるフィルムやシートの柔軟性が低下し、透明性も低下する。また、前記(2−1)の要件を満たさないと得られるフィルムやシートの柔軟性はあるものの、ヒートシール強度が向上しなかったり、或いは透明性が優れたものにはならない。本発明のプロピレン系樹脂組成物としては、
Tc≧(1/4)・ΔHm+92 ・・・(1−2)
を満たし、かつ
ω≦(1/10)・ΔHm+13 ・・・(2−2)
を満たす樹脂組成物が柔軟性、透明性に優れかつシール強度が向上したフィルムやシートが得られ、さらに好ましい。
【0009】
なお、本発明における示査型熱量計(DSC)により測定した結晶化曲線における最高温度側のピークトップ温度(Tc(℃))及び融解曲線における示差熱量(ΔHm(J/g))は、以下の測定方法により求める。すなわち、パーキンエルマー社製のDSC7型示差走査型熱量計を用い、あらかじめ試料10mgを窒素雰囲気化230℃で3min溶融した後、10℃/minで0℃まで降温し、このとき得られた結晶化曲線の最高温度側のピークトップ温度がTc(℃)である。さらにこの温度で3min保持した後、10℃/minで昇温させて得られた融解曲線の示差熱量がΔHm(J/g)である。
【0010】
また、溶融粘弾性の周波数分散測定における貯蔵弾性率(G’(Pa)と損失弾性率(G”(Pa))が等しくなる周波数(ω(rad/sec))は、以下の測定方法により求める。すなわち、レオメトリクス社製の回転型レオメーターにおいてコーンプレート(直径25.0mm、コーンアングル0.10ラジアン)を用い、温度175℃、初期ひずみ20%の条件にて溶融粘弾性の周波数分散測定を行い、貯蔵弾性率(G’(Pa)と損失弾性率(G”(Pa))及びG’=G”となるときの周波数(ω(rad/sec))を求める。なお、周波数(ω(rad/sec))のときの複素弾性率G* (iω)を応力σ* とひずみγ* により記述すると
G* (iω)=σ* /γ* =G’(ω)+iG”(ω)
となる。但し、iは虚数単位である。
【0011】
本発明のプロピレン系樹脂組成物としては、少なくとも前記の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物であれば特に制限はない。例えば、下記の(1)〜(3)を満たすプロピレン系重合体[I]1〜99重量%と結晶性プロピレン系重合体[II]99〜1重量%からなるプロピレン系樹脂組成物が挙げられる。
(1)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)
が20〜100重量%である
(2)25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%である
(3)DSC測定において、融点(Tm(℃))を示さないか、或いはTmを示す場合はTmと融解吸熱量ΔHが下記の関係を満たす
ΔH≧6×(Tm−140)
本発明におけるプロピレン系重合体[I]が、上記の関係を満たすことにより、得られるフィルムやシートのべたつき成分の量と弾性率の低さと透明性のバランスが優れる。すなわち、弾性率が低く軟質性(柔軟性とも言う)に優れ、べたつき成分が少なく表面特性(例えば、ブリードや他の製品へのべたつき成分の移行が少ない等に代表される)にも優れ、かつ透明性にも優れるという利点がある。次に、本発明におけるプロピレン系重合体[I]の要件について説明する。
【0012】
本発明におけるプロピレン系重合体[I]は、昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出するプロピレン系重合体の成分量(W25)が20〜100重量%である。好ましくは、30〜100重量%、特に好ましくは、50〜100重量%である。W25は、プロピレン系重合体[I]が軟質であるか否かを表す指標である。この値が大きくなると弾性率の高い成分が多くなったり、及び/又は立体規則性分布の不均一さが広がっていることを意味する。本発明においては、W25が20%未満では、柔軟性がなくなり好ましくない場合がある。なお、W25とは、以下のような操作法、装置構成及び測定条件の昇温クロマトグラフィーにより測定して求めた溶出曲線におけるTREFのカラム温度25℃において充填剤に吸着されないで溶出する成分の量(重量%)である。
(a)操作法
試料溶液を温度135℃に調節したTREFカラムに導入し、次いで降温速度5℃/時間にて徐々に0℃まで降温し、30分間ホールドし、試料を充填剤表面に結晶化させる。その後、昇温速度40℃/時間にてカラムを135℃まで昇温し、溶出曲線を得る。
(b)装置構成
Figure 0004251706
(c)測定条件
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
試料濃度 :7.5g/リットル
注入量 :500マイクロリットル
ポンプ流量 :2.0ミリリットル/分
検出波数 :3.41μm
カラム充填剤 :クロモソルブP(30〜60メッシュ)
カラム温度分布 :±0.2℃以内
本発明におけるプロピレン系重合体[I]は、25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%である。好ましくは、0〜50重量%、特に好ましくは、0〜25重量%である。H25は、べたつき、透明性低下等の原因となるいわゆるべたつき成分の量が多いか少ないかを表す指標であり、この値が高いほどべたつき成分の量が多いことを意味する。H25が80重量%を超えると、べたつき成分の量が多く、ブロッキングの低下や透明性の低下が起こり、食品用途や医療品用途に使えないことがある。
【0013】
なお、H25とは、プロピレン系重合体[I]の重量(W0 )と該重合体を200mLのヘキサン中に、25℃、3日間以上静置後、乾燥した後の重量(W1 )を測定し、次式により計算して求めた重量減少率である。
H25=〔(W0 −W1 )/W0 〕×100(%)
本発明におけるプロピレン系重合体[I]は、DSC測定において、融点(Tm(℃))を示さないか、或いはTmを示す場合はTmと融解吸熱量ΔH(J/g)が下記の関係を満たす。
【0014】
ΔH≧6×(Tm−140)
さらに好ましくは、
ΔH≧3×(Tm−120)
特に好ましくは、
ΔH≧2×(Tm−100)
を満たす。
【0015】
なお、Tm及びΔHは、DSC測定により求める。すなわち、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温する。さらに、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピークトップが融点:Tmであり、この場合の融解吸熱量がΔHである。
【0016】
本発明におけるプロピレン系重合体[I]は、前記の要件を満たすものであれば特に制限はなく、プロピレン単独重合体やプロピレン系共重合体が挙げられる。なかでも、前記した本発明におけるプロピレン系重合体[I]は、より具体的には、下記のプロピレン単独重合体[a]又はプロピレン系共重合体[a’]により好適に実現される。
[a]プロピレン単独重合体
本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は、下記の(1)〜(3)を要件とする重合体である。
(1)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜60モル%であり、
(2)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たし、かつ、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.1
(3)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100重量%である
本発明におけるプロピレン単独重合体[a]が、上記の関係を満たすと、得られるフィルムやシートのべたつき成分の量と弾性率の低さと透明性のバランスが優れる。すなわち、弾性率が低く軟質性(柔軟性とも言う)に優れ、べたつき成分が少なく表面特性(例えば、ブリードや他の製品へのべたつき成分の移行が少ない等に代表される)にも優れ、かつ透明性にも優れるという利点がある。
【0017】
本発明におけるメソペンダッド分率(mmmm分率)とは、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率である。これが大きくなると、立体規則性が高くなることを意味する。本発明におけるプロピレン単独重合体[a]のメソペンタッド分率(mmmm)が20モル%未満では、べたつきの原因となる。60モル%を超えると弾性率が高くなり好ましくないことがある。同じくラセミペンダッド分率(rrrr分率)とは、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのラセミ分率である。[rrrr/(1−mmmm)]は、上記のペンタッド単位の分率から求められ、プロピレン単独重合体の規則性分布の均一さをあらわす指標である。この値が大きくなると規則性分布が広がり、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高規則性PPとAPPの混合物となり、べたつきが増し、透明性が低下することを意味する。本発明におけるプロピレン単独重合体[a]の[rrrr/(1−mmmm)]が0.1を超えるとべたつきの原因となることがある。なお、13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行う。
【0018】
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
<計算式>
M=m/S ×100
R=γ/S ×100
S=Pββ+P αβ+ Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
P αβ:18.0〜17.5ppm
P αγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖 :21.7〜22.5ppm
次に、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]に関するW25の意味及び測定方法については、前記のプロピレン系重合体[I]におけるものと同じである。本発明におけるプロピレン単独重合体[a]のW25が20%未満では、柔軟性がなくなることがある。
【0019】
さらには、本発明においては、前記のプロピレン単独重合体[a]が、前記の要件の中で下記の
(4)メソペンタッド分率(mmmm)が30〜50%であり、
(5)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たし、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.08
かつ、
(6)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が30〜100重量%である
ことを満たすとさらに好ましく、
(7)メソペンタッド分率(mmmm)が30〜50%であり、
(8)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たし、
[rrrr/(1−mmmm)]≦0.06
かつ、
(9)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が50〜100重量%である
ことを満たすと特に好ましい。
【0020】
本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は、上記の要件の他にゲルパーミエイション(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下及び/又はテトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度 [η] が0.5〜15.0デシリットル/gが好ましく、Mw/Mnが3.5以下及び/又 [η] が1.0〜5.0デシリットル/gがさらに好ましく、Mw/Mnが3以下及び/又 [η] が1.0〜3.0デシリットル/gが特に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4を超えると、フィルムやシートにべたつきが発生することがある。極限粘度〔η〕が0.5デシリットル/g未満では、べたつきが発生したり、また15.0デシリットル/gを超えると、フィルムやシートにゲルやフィッシュアイが発生することがある。
【0021】
なお、上記Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリエチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
さらに、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は、上記の要件の他に、DSC測定による融解吸熱量ΔHが20J/mol以下であると柔軟性が優れ好ましい。ΔHは、軟質であるかないかを表す指標でこの値が大きくなると弾性率が高く、軟質性が低下していることを意味する。なお、ΔHは前記の方法により求める。
【0022】
さらに、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]としては、特に示差走査型熱量計(DSC)測定の結晶化曲線において結晶化ピークの観察されないことが好ましい。ここで、示差走査型熱量計(DSC)測定の結晶化曲線において結晶化ピークの観察されないとは、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温する。このとき結晶化発熱カーブが認められないこと、さらに、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させるときに融解吸熱カーブが認められないことを言う。プロピレン単独重合体が示差走査型熱量計(DSC)測定の結晶化曲線において結晶化ピークの観察されるものでは柔軟性に優れたフィルムやシートが得られないことがある。
【0023】
ところで、一般にプロピレンの重合時においては、プロピレンモノマーのメチレン側の炭素原子が触媒の活性点と結合し、順次同じようにプロピレンモノマ−が配位して重合してゆくいわゆる1,2挿入の重合が通常行われるが、まれに2,1挿入又は1,3挿入すること(異常挿入とも言う)がある。本発明における単独重合体[a]は、この2,1挿入又は1,3挿入が少ないと好ましい。また、これらの挿入の割合が、下記の関係式(1)
〔(m−2,1)十(r−2,1)十(1,3)〕≦5.0(%)…(1)
[式中、(m−2,1)は13C−NMRで測定したメソ−2,1挿入含有率(%)、(r−2,1)は13C−NMRで測定したラセミ−2,1挿入含有率(%)、(1,3)は13C−NMRで測定した1,3挿入含有率(%)を示す。〕を満足するするものが好ましく、さらに関係式(2)
〔(m−2,1)十(r−2,1)十(1,3)〕≦1.0(%)…(2)
を満足するするものがより好ましい。特に関係式(3)
〔(m−2,1)十(r−2,1)十(1,3)〕≦0.1(%)…(3)
を満足するするものが最も好ましい。この関係式(1)を満足しないと、予想以上に結晶性が低下し、べたつきの原因となる場合がある。
【0024】
なお、(m−2,1)、(r−2,1)及び(1,3)はGrassiらの報告(Macromolucules,21,p .617 (1988))及びBusicoらの報告(Macromolucules,27,p .7538(1994))に基づいて13C−NMRスペクトルのピークの帰属を決定し、各ピークの積分強度から求めた各挿入含有率である。すなわち、(m−2,1)は、全メチル炭素領域における積分強度に対する17.2ppm付近に現れるPα,γthreo に帰属するピークの積分強度の比から算出されるメソ−2,1挿入含有率(%)である。(r−2,1)は、全メチル炭素領域における積分強度に対する15.0ppm付近に現れるPα,γthreo に帰属するピークの積分強度の比から算出されるラセミ−2,1挿入含有率(%)である。(1,3)は、全メチン炭素領域における積分強度に対する31.0ppm付近に現れるTβ,γ十に帰属するピークの積分強度の比から算出される1,3挿入含有率(%)である。
【0025】
さらに、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は13C−NMRスペクトルの測定において、2,1挿入に由来する分子鎖未端(n−プチル基)帰属するピークが実質的に観測されないものがより好ましい。この2,1挿入に由来する分子鎖末端に関しては、Junglingらの報告(J .Polym .Sci .:Part A:Po1ym .Chem. ,33,p1305 (1995))に基づいて13C−NMRスペクトルのピークの帰属を決定し、各ピークの積分強度から各挿入含有率を算出する。なお、アイソタクチックポリプロピレンでは、18.9ppm付近に現れるピークがn−ブチル基の未端メチル基炭素に帰属される。また、異常挿入又は分子鎖末端測定に関する13C−NMRの測定は、前記の装置及び条件で行えばよい。
【0026】
また、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は、上記の要件に加えてさらに、弾性率の指標である沸騰ジエチルエーテル抽出量が5重量%以上であることが好ましい。なお、沸騰ジエチルエーテル抽出量の測定は、ソックスレー抽出器を用い、以下の条件で測定する。
抽出試料:1〜2g
試料形状:パウダー状
(ペレット化したものは粉砕し、パウダー化して用いる)
抽出溶媒:ジエチルエーテル
抽出時間:10時間
抽出回数:180回以上
抽出量の算出方法:以下の式により算出する。
〔ジエチルエーテルへの抽出量(g)/仕込みパウダー重量(g)〕×100
また、本発明におけるプロピレン単独重合体[a]は、上記に加えてさらに、引張弾性率が100MPa以下であることが好ましく、より好ましくは70MPa以下である。
[a’]プロピレン系共重合体
本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]は、下記の(1)〜(2)を要件とするプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体である。
(1)13C−NMR測定による立体規則性指標(P)が55〜90モル%であり、かつ
(2)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)
が20〜100重量%である
本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]が、前記の関係を満たすと、得られるフィルムやシートのべたつき成分の量と弾性率の低さと透明性のバランスが優れる。すなわち、弾性率が低く軟質性(柔軟性とも言う)に優れ、べたつき成分が少なく表面特性(例えば、ブリードや他の製品へのべたつき成分の移行が少ない等に代表される)にも優れ、かつ透明性にも優れるという利点がある。本発明における立体規則性指標(P)は、前記の日本電子社製のJNM−EX400型NMR装置を用い、13C−NMRスペクトルを前記の条件と同様に測定し、プロピレン連鎖のメソトライアッド(mm)分率を測定して求めた値である。この値が大きいほど、立体規則性が高いことを意味する。本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]としては、立体規則性指標(P)が65〜80モル%であるとさらに好ましい。立体規則性指標(P)が55モル%未満では、弾性率が低下しすぎるため成形性が不良となることがある。また90モル%を超えると硬質となり軟質でなくなることがある。また、W25が30〜100重量%であるとさらに好ましく、50〜100重量%であると特に好ましい。W25が20%未満では、柔軟性がなくなることがある。なお、W25の意味及び測定方法は、前記と同じである。
【0027】
さらに、本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]は、上記の要件の他にゲルパーミエイション(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下及び/又はテトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度 [η] が0.5〜15.0デシリットル/gが好ましく、Mw/Mnが3.5以下及び/又 [η] が1.0〜5.0デシリットル/gがさらに好ましく、Mw/Mnが3以下及び/又 [η] が1.0〜3.0デシリットル/gが特に好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4を超えると、フィルムやシートにべたつきが発生することがある。極限粘度〔η〕が0.5デシリットル/g未満では、べたつきが発生したり、また15.0デシリットル/gを超えると、フィルムやシートにゲルやフィッシュアイが発生することがある。
【0028】
なお、上記Mw/Mnの測定方法は前記と同様である。
さらに、本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]は、上記の要件の他に、DSC測定による融解吸熱量ΔHが20J/mol以下であると柔軟性が優れ好ましい。さらに、本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]としては、特に示差走査型熱量計(DSC)測定の結晶化曲線において結晶化ピークの観察されないことが好ましい。示差走査型熱量計(DSC)測定の結晶化曲線において結晶化ピークの観察されるものでは柔軟性に優れたフィルムやシートが得られないことがある。
なお、ΔH、Tm及びTcの測定方法は前記と同じである。
【0029】
本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]は、上記の要件に加えてさらに、弾性率の指標である沸騰ジエチルエーテル抽出量が5重量%以上であることが好ましい。なお、沸騰ジエチルエーテル抽出量の測定は、前記と同じである。
また、引張弾性率が100MPa以下であることが好ましく、より好ましくは70MPa以下である。
【0030】
本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]に関し、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、エチレン,1−ブテン,1−ペンテン,4−メチル−1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,1−デセン,1−ドデセン,1−テトラデセン,1−ヘキサデセン,1−オクタデセン,1−エイコセンなどが挙げられ、本発明においては、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。
【0031】
さらに、本発明におけるプロピレン系共重合体[a’]は、ランダム共重合体であるものが好ましい。また、プロピレンから得られる構造単位は90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上である。
[プロピレン単独重合体[a]及びプロピレン系共重合体[a’]の製造方法]本発明におけるプロピレン単独重合体[a]及びプロピレン系共重合体[a’]の製造方法としては、メタロセン触媒と呼ばれる触媒系を用いてプロピレンを単独重合する方法又はプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンを共重合する方法が挙げられる。メタロセン系触媒としては、特開昭58−19309号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−300887号公報、特開平4−211694号公報、特表平1−502036号公報等に記載されるようなシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個配位子とする遷移金属化合物、及び該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られる触媒が挙げられる。
【0032】
本発明においては、メタロセン触媒のなかでも、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物からなる場合が好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン触媒を用いてプロピレンを単独重合する方法又はプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンを共重合する方法がさらに好ましい。具体的に例示すれば、
(A)一般式(I)
【0033】
【化1】
Figure 0004251706
【0034】
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1 及びE2 はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成しており、またそれらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1 ,E2 又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E1 ,E2 又はXと架橋していてもよく、A1 及びA2 は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR1 −、−PR1 −、−P(O)R1 −、−BR1 −又は−AlR1 −を示し、R1 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
で表される遷移金属化合物、及び(B)該(B−1)(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する重合用触媒の存在下、プロピレンを単独重合させる方法、またはプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。
【0035】
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属などが挙げられるが、これらの中ではオレフィン重合活性などの点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適である。E1 及びE2 はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素または炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成している。また、E1 及びE2 はたがいに同一でも異なっていてもよい。このE1 及びE2 としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
【0036】
また、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1 ,E2 又はYと架橋していてもよい。該Xの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1 ,E2 又はXと架橋していてもよい。該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。
【0037】
次に、A1 及びA2 は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR1 −、−PR1 −、−P(O)R1 −、−BR1 −又は−AlR1 −を示し、R1 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。このような架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば一般式
【0038】
【化2】
Figure 0004251706
【0039】
(R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2 =C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
【0040】
この一般式(I)で表される遷移金属化合物において、E1 及びE2 が置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又は置換インデニル基である場合、A1 及びA2 の架橋基の結合は、(1,2’)(2,1’)二重架橋型が好ましい。このような一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(II)
【0041】
【化3】
Figure 0004251706
【0042】
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
上記一般式(II)において、M,A1 ,A2 ,q及びrは上記と同じである。X1 はσ結合性の配位子を示し、X1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 又はY1 と架橋していてもよい。このX1 の具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1 はルイス塩基を示し、Y1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 又はX1 と架橋していてもよい。このY1 の具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。R4 〜R9 はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R4 〜R9 はたがいに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士がたがいに結合して環を形成していてもよい。
【0043】
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子が(1,2’)(2,1’)二重架橋型が好ましい。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−イソプロプルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4,7−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。もちろんこれらに限定されるものではない。また、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。
【0044】
次に、(B)成分のうちの(B−1)成分としては、上記(A)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の錯体を形成しうる化合物であれば、いずれのものでも使用できるが、次の一般式(III),(IV)
(〔L1 −R10k+a (〔Z〕- b ・・・(III)
(〔L2 k+a (〔Z〕- b ・・・(IV)
(ただし、L2 はM2 、R11123 、R13 3 C又はR143 である。)
〔(III),(IV)式中、L1 はルイス塩基、〔Z〕- は、非配位性アニオン〔Z1 - 及び〔Z2 - 、ここで〔Z1 - は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち〔M1 1 2 ・・・Gf - (ここで、M1 は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1 〜Gf はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1 〜Gf のうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属M1 の原子価)+1〕の整数を示す。)、〔Z2 - は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R10は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R14はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは〔L1 −R10〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M2 は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M3 は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
【0045】
ここで、L1 の具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
【0046】
10の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R11,R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。R13の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。また、M2 の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3 などを挙げることができ、M3 の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
【0047】
また、〔Z1 - 、すなわち〔M1 1 2 ・・・Gf 〕において、M1 の具体例としてはB,Al,Si ,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1 ,G2 〜Gf の具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
【0048】
また、非配位性のアニオンすなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基〔Z2 - の具体例としてはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3 SO3 - ,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO4 - ,トリフルオロ酢酸アニオン(CF3 CO2 - ,ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF6 - ,フルオロスルホン酸アニオン(FSO3 - ,クロロスルホン酸アニオン(ClSO3 - ,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3 /SbF5 - ,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO3 /AsF5 - ,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3 SO3 /SbF5 - などを挙げることができる。
【0049】
このような前記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物、すなわち(B−1)成分化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(4−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テオラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。
【0050】
この(B−1)成分である、該(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
【0051】
【化4】
Figure 0004251706
【0052】
(式中、R15は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基などの炭化水素基あるいはハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R15は同じでも異なっていてもよい。)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
【0053】
【化5】
Figure 0004251706
【0054】
( 式中、R15及びwは前記一般式(V) におけるものと同じである。)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
前記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、▲1▼有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、▲2▼重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、▲3▼金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、▲4▼テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、さらに水を反応させる方法などがある。なお、アルミノキサンとしては、トルエン不溶性のものであってもよい。
【0055】
これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)触媒成分と(B)触媒成分との使用割合は、(B)触媒成分として(B−1)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲が望ましく、上記範囲を逸脱する場合は、単位重量ポリマーあたりの触媒コストが高くなり、実用的でない。また(B−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。この範囲を逸脱する場合は単位重量ポリマーあたりの触媒コストが高くなり、実用的でない。また、触媒成分(B)としては(B−1),(B−2)を単独または二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0056】
本発明の製造方法における重合用触媒は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。
ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
16 v AlJ3-v ・・・(VII)
〔式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である〕
で示される化合物が用いられる。
【0057】
前記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
【0058】
これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
本発明の製造方法においては、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて予備接触を行なう事もできる。予備接触は、(A)成分に、例えば、(B)成分を接触させる事により行なう事ができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。これら予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(B)使用割合の低減など、触媒コストの低減に効果的である。また、さらに、(A)成分と(B−2)成分を接触させる事により、上記効果と伴に、分子量向上効果も見られる。また、予備接触温度は、通常−20℃〜200℃、好ましくは−10℃〜150℃、より好ましくは、0℃〜80℃である。予備接触においては、溶媒として不活性炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、などを用いる事ができる。これらの中で特に好ましいものは、脂肪族炭化水素である。
【0059】
前記(A)触媒成分と(C)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、さらに好ましくは1:10ないし1:1000の範囲が望ましい。該(C)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になるとともに、重合体中に多量に残存し、好ましくない。
【0060】
本発明においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2 ,Al2 3 ,MgO,ZrO2 ,TiO2 ,Fe2 3 ,B2 3 ,CaO,ZnO,BaO,ThO2 やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2 ,Al2 3 が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
【0061】
一方、上記以外の担体として、MgCl2 ,Mg(OC2 5)2 などのマグシウム化合物などで代表される一般式MgR17 X 1 y で表されるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X1 はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2でり、かつx+y=2である。各R17及び各X1 はそれぞれ同一でもよく、また異なってもいてもよい。
【0062】
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。
本発明において用いられる担体としては、MgCl2 ,MgCl(OC2 5 ),Mg(OC2 5)2 ,SiO2 ,Al2 3 などが好ましい。また担体の状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
【0063】
粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2 /g、好ましくは50〜500m2 /g、細孔容積は通常0.1〜5cm3 /g、好ましくは0.3〜3cm3 /gである。
【0064】
比表面積又は細孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。なお、比表面積及び細孔容積は、例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサィエティ,第60巻,第309ページ(1983年)参照)。
【0065】
さらに、上記担体は、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を前記担体に担持させる場合、(A)触媒成分及び(B)触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは(A)触媒成分及び(B)触媒成分の両方を担持させるのが望ましい。
【0066】
該担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば▲1▼(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とを混合する方法、▲2▼担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物で処理したのち、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、▲3▼担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法、▲4▼(A)成分又は(B)成分を担体に担持させたのち、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、▲5▼(A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、▲6▼(A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法などを用いることができる。
【0067】
なお、上記▲4▼、▲5▼及び▲6▼の反応において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
本発明においては、前記(A),(B),(C)を接触させる際に、弾性波を照射させて触媒を調製してもよい。弾性波としては、通常音波、特に好ましくは超音波が挙げられる。具体的には、周波数が1〜1000kHzの超音波、好ましくは10〜500kHzの超音波が挙げられる。
【0068】
このようにして得られた触媒は、いったん溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。
また、本発明においては、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。例えば(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とさらに必要により前記(C)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレンなどのオレフィンを常圧〜20kg/cm2 加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行い触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
【0069】
本発明においては、(B−1)成分と担体との使用割合は、重量比で好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましく、(B−2)成分と担体との使用割合は、重量比で好ましくは1:0.5〜1:1000、より好ましくは1:1〜1:50とするのが望ましい。(B)成分として二種以上を混合して用いる場合は、各(B)成分と担体との使用割合が重量比で上記範囲内にあることが望ましい。また、(A)成分と担体との使用割合は、重量比で、好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。
【0070】
(B)成分〔(B−1)成分又は(B−2)成分〕と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。このようにして調製された本発明の重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1000m2 /g、好ましくは50〜500m2 /gである。平均粒径が2μm未満であると重合体中の微粉が増大することがあり、200μmを超えると重合体中の粗大粒子が増大することがある。比表面積が20m2 /g未満であると活性が低下することがあり、1000m2 /gを超えると重合体の嵩密度が低下することがある。また、本発明の触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。遷移金属量が上記範囲外であると、活性が低くなることがある。
【0071】
このように担体に担持することによって工業的に有利な高い嵩密度と優れた粒径分布を有する重合体を得ることができる。
本発明で用いるプロピレン系重合体は、上述した重合用触媒を用いて、プロピレンを単独重合、またはプロピレン並びにエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとを共重合させることにより製造される。
【0072】
この場合、重合方法は特に制限されず、スラリー重合法,気相重合法,塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法などのいずれの方法を用いてもよいが、スラリー重合法,気相重合法が特に好ましい。
重合条件については、重合温度は通常−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃、より好ましくは0〜130℃である。また、反応原料に対する触媒の使用割合は、原料モノマー/上記(A)成分(モル比)が好ましくは1〜108 、特に100〜105 となることが好ましい。さらに、重合時間は通常5分〜10時間、反応圧力は好ましくは常圧〜200kg/cm2 G、特に好ましくは常圧〜100kg/cm2 Gである。
【0073】
重合体の分子量の調節方法としては、各触媒成分の種類,使用量,重合温度の選択、さらには水素存在下での重合などがある。
重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタンなどの脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。また、α−オレフィンなどのモノマーを溶媒として用いてもよい。なお、重合方法によっては無溶媒で行うことができる。
【0074】
重合に際しては、前記重合用触媒を用いて予備重合を行うことができる。予備重合は、固体触媒成分に、例えば、少量のオレフィンを接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。予備重合に用いるオレフィンについては特に制限はなく、前記に例示したものと同様のもの、例えばエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、あるいはこれらの混合物などを挙げることができるが、該重合において用いるオレフィンと同じオレフィンを用いることが有利である。
【0075】
また、予備重合温度は、通常−20〜200℃、好ましくは−10〜130℃、より好ましくは0〜80℃である。予備重合においては、溶媒として、不活性炭化水素,脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素,モノマーなどを用いることができる。これらの中で特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。また、予備重合は無溶媒で行ってもよい。
【0076】
予備重合においては、予備重合生成物の極限粘度〔η〕(135℃デカリン中で測定)が0.2デシリットル/g以上、特に0.5デシリットル/g以上、触媒中の遷移金属成分1ミリモル当たりに対する予備重合生成物の量が1〜10000g、特に10〜1000gとなるように条件を調整することが望ましい。
次に、本発明における前記の結晶性プロピレン系重合体[II]について、以下説明する。
【0077】
本発明における前記の結晶性プロピレン系重合体[II]としては、結晶性を示すプロピレン系重合体であればよく、特に制限はない。例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などが挙げられる。また、結晶性プロピレン系重合体[II]の分子量については、何れの場合にも成形性の観点から選択され、Tダイキャストフィルム成形にはメルトインデックスが2〜20g/10min程度のものが好ましく、シート成形には1〜10g/10min程度のものが好ましい。これらの中から、フィルムやシートの目的とする用途により任意に選択して用いることができる。具体的に例をあげれば耐熱性、ヒートシール強度が重視される用途には融点が高く、結晶性の高いプロピレン系単独重合体が好ましく、特開平8−85711号公報に記載されたものを例示することができる。すなわち、
(1)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が98.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P+27.125<H
を満たすこと、及び(2)メルトインデックス(MI)が1〜20g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0 =100 rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、
式 τ≦0.65−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
【0078】
さらに好ましくは、
(1’)立体規則性指標であるアイソタクチックベンタッド分率(P)が85.0〜92.0モル%及びn−ヘプタン不溶部量(H)が86.0〜97.0重量%であり、かつPとHとの関係が、式
0.750P十26.000<H
を満たすこと、及び(2’)メルトインデックス(MI)が1〜25g/10minであり、かつ温度175℃において、周波数分散測定により得られる周波数ω0 =100 rad/secにおける緩和時間τ(sec)とMIとの関係が、式 τ≦0.63−0.025MI
を満たすポリプロピレン系重合体が挙げられる。
【0079】
なお、前記のP,H,MI,ω0 及びτの意味、測定方法並びにプロピレン系重合体の製造方法等に関しては特開平8−85711号公報に記載されたとおりである。
またフィルムやシートの低温ヒートシール性を改良する場合には、結晶性プロピレン系重合体[II]も低温ヒートシール性に優れたプロピレン、エチレンランダム共重合体やプロピレン、エチレン、1−ブテンランダム共重合体などが好ましく、特開平9−208629号公報、特開平9−272718号公報、特開平10−130336号公報などに記載されたものを例示することができる。すなわち、プロピレンとエチレンの共重合体であつて、下記の▲1▼〜▲5▼を満足するプロピレン系共重体が挙げられる。(特開平9−208629号公報)
▲1▼ 共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が3〜10wt%であ
る。
▲2▼ 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が、4〜12g/10minである
▲3▼ 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(I)または(II)の関係を満たす
E≦0.25χ十1.1 (χ=3〜6wt%) ・・・(I)
E≦2.6 (χ=6〜10wt%)・・・(II)
▲4▼ 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(III)または(IV)の関係を満たす
Tm≦140 (χ=3〜5wt%) ・・・(III)Tm≦165−5χ (χ=5〜10wt%)・・・(IV)
▲5▼ 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である
または、プロピレンとエチレンのランダム共重合体であつて、下記の▲1▼〜▲5▼を満足するプロピレン系ランダム共重合体が挙げられる。(特開平9−272718号公報)
▲1▼ 共重合体中のエチレン単位の合有量(χ(wt%))が0.2〜4wt%である
▲2▼ 共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が4〜12g/10minである
▲3▼ 沸騰ジエチルエーテル抽出量(E(wt%))とχが式(1)の関係を満たす
E≦0.25χ十1.1 ・・・(1)
▲4▼ 示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))とχが式(2)の関係を満たす
Tm≦165−5χ ・・・(2)
▲5▼ 13C−NMRで測定したPPP連鎖部のアイソタクチックトライアッド分率(mm(mol%))が、98.0mol%以上である
次に、エチレン/1−ブテン/プロピレン共重合体としては、特開平11−60639号公報に記載してあるものが挙げられる。すなわち、
プロピレン、エチレン及び1−ブテンの共重合体であって、下記の▲1▼〜▲6▼を満足するプロピレン系ランダム共重合体。
▲1▼共重合体中のエチレン単位の合有量(α mol%)と1−ブテン単位の合有量(β mol%)が(1)式を満たす
4≦α+β≦15・・・(1)
▲2▼共重合体のメルトインデックス(MI(g/10min))が1〜12g/10minである
▲3▼沸騰ジエチルエーテル抽出量(E)と(α+β)の関係が(α+β)≦12の場合には式(2)を、(α+β)>12の場合には式(3)の関係を満たす
E≦0.2(α+β)十0.6・・・(2)
E≦3.0 ・・・(3)
▲4▼示差走査型熱量計で測定した融点(Tm(℃))と(α+β)が式(4)の関係を満たす
Tm≦164−3.6(α+β) ・・・(4)
▲5▼13C−NMRで測定した立体規則性指標P(mol%)が98mol%以上である
▲6▼ゲルパーミエインョンクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が6以下である
(特開平11−60639号公報)
なお、各パラメーターの意味及び測定方法並びに各重合体の製造方法は、それぞれの公報の記載のとおりである。
【0080】
本発明における結晶性プロピレン系重合体[II]が結晶性を示さないものでは、フィルムやシートの耐熱性が低下することがある。
ところで、本発明においては、前記したプロピレン系重合体[I]と結晶性プロピレン系重合体[II]をヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドしたものであってもよく、或いは、単軸又は2軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて、溶融混練したものであってもよい。配合の割合は通常、[I]を1〜99重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%で配合する。[I]が1重量%未満であると柔軟性が低下したりすることがある。
【0081】
本発明のプロピレン系樹脂組成物には、所望に応じて各種添加剤が添加されていてもよい。所望に応じて用いられる各種添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、又は帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0082】
リン系酸化防止剤の具体例としては、
トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、アデカスタブ1178(旭電化(製))、スミライザーTNP(住友化学(製))、JP−135(城北化学(製))、アデカスタブ2112(旭電化(製))、JPP−2000(城北化学(製))、Weston618(GE(製))、アデカスタブPEP−24G(旭電化(製))、アデカスタブPEP−36(旭電化(製))、アデカスタブHP−10(旭電化(製))、SandstabP−EPQ(サンド(製))、フォスファイト168(チバ・ガイギー(製))等が挙げられる。
【0083】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、スミライザーBHT(住友化学(製))、ヨシノックスBHT(吉富製薬(製))、アンテージBHT(川口化学(製))、イルガノックス1076(チバ・ガイギー(製))、イルガノックス1010(チバ・ガイギー(製))、アデカスタブAO−60(旭電化(製))、スミライザーBP−101(住友化学(製))、トミノックスTT(吉富製薬(製))、TTHP(東レ(製))、イルガノックス3114(チバ・ガイギー(製))、アデカスタブAO−20(旭電化(製))、アデカスタブAO−40(旭電化(製))、スミライザーBBM−S(住友化学(製))、ヨシノックスBB(吉富製薬(製))、アンテージW−300(川口化学(製))、イルガノックス245(チバ・ガイギー(製))、アデカスタブAO−70(旭電化(製))、トミノックス917(吉富製薬(製))、アデカスタブAO−80(旭電化(製))、スミライザーGA−80(住友化学(製))等が挙げられる。
【0084】
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、スミライザーTPL(住友化学(製))、ヨシノックスDLTP(吉富製薬(製))、アンチオックスL(日本油脂(製))、スミライザーTPM(住友化学(製))、ヨシノックスDMTP(吉富製薬(製))、アンチオックスM(日本油脂(製))、スミライザーTPS(住友化学(製))、ヨシノックスDSTP(吉富製薬(製))、アンチオックスS(日本油脂(製))、アデカスタブAO−412S(旭電化(製))、SEENOX 412S(シプロ化成(製))、スミライザーTDP(住友化学(製))等が挙げられる。
【0085】
フィルム、シート用途の酸化防止剤としては、
イルガノックス1010:物質名:ペンタエリスリチル−テトラキス[ 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
イルガフォス168:物質名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
イルガノックス1076:物質名:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
イルガノックス1330:物質名:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
イルガノックス3114:物質名:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト
P−EPQ:物質名:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4' −ビフェニレン−ジ−フォスファイト
が特に好ましい。
【0086】
本発明において酸化防止剤を用いる場合は、前記プロピレン系樹脂組成物100重量部に対し酸化防止剤を0.001〜1重量部程度添加すればよい。これにより、黄変等を防ぐことができて好ましい。
上記の酸化防止剤の具体的な使用例を挙げれば、
例1
イルガノックス1010 1000ppm
PEP−Q 1000ppm
例2
イルガノックス1076 1200ppm
PEP−Q 600ppm
イルガフォス168 800ppm
例3
イルガノックス1010 400〜1000ppm
イルガフォス168 750〜1500ppm
等があげられる。
【0087】
フィルム、シート用途の中和剤としては、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(DHT−4A):組成式:Mg4.5 Al2 (OH)13CO3 ・3.5H2 O等が特に好ましい。
フィルム、シート用途のアンチブロッキング剤としては、
富士シリシア(製)の「サイリシア」:合成シリカ系や水澤化学工業(製)の「ミズカシル」:合成シリカ系等が特に好ましい。
【0088】
フィルム、シート用途のスリップ剤としては、
エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリルエルカアミド、オレイルパルミトアミドが特に好ましい。
本発明において造核剤を用いる場合、造核剤の添加量は、通常、プロピレン系樹脂組成物に対して10ppm以上であり、好ましくは10〜10000ppmの範囲であり、より好ましくは10〜5000ppmの範囲であり、さらに好ましくは10〜2500ppmである。10ppm未満では低温ヒートシール性の改善がみられず、一方、10000ppmを超える量を添加しても好ましい効果が増大しないだけでなく、外観不良の原因となる。
【0089】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
まず、本発明における樹脂特性及びフィルム品質の評価方法について説明する。
「樹脂特性の評価方法」
(1)[η] の測定
(株) 離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、テトラリン溶媒中135℃において測定した。
(2)ペンタッド分率および異常挿入分率の測定
明細書本文中に記載した方法により測定した。すなわち、メソペンダッド分率(mmmm分率)及びラセミペンタッド分率(rrrr分率)は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C核磁気共鳴スペクトルのメチル基のシグナルを測定し、ポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率及びアタクチック分率を下記の計算式により求めた。
<計算式>
M=m/S ×100
R=γ/S ×100
S=Pββ+P αβ+ Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
P αβ:18.0〜17.5ppm
P αγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖 :21.7〜22.5ppm
また、(m−2,1)、(r−2,1)及び(1,3)はGrassiらの報告(Macromolucules,21,p .617 (1988))及びBusicoらの報告(Macromolucules,27,p .7538(1994))に基づいて13C−NMRスペクトルのピークの帰属を決定し、各ピークの積分強度から各挿入含有率を算出した。(m−2,1)は、全メチル炭素領域における積分強度に対する17.2ppm付近に現れるPα,γthreo に帰属するピークの積分強度の比をメソ−2,1挿入含有率(%)として算出した。(r−2,1)は、全メチル炭素領域における積分強度に対する15.0ppm付近に現れるPα,γthreo に帰属するピークの積分強度の比をラセミ−2,1挿入含有率(%)として算出した。(1,3)は、全メチン炭素領域における積分強度に対する31.0ppm付近に現れるTβ,γ十に帰属するピークの積分強度の比を1,3挿入含有率(%)として算出した。なお、メソ−2,1挿入、ラセミ−2,1挿入又は1,3挿入に帰属されるべきピ―クがノイズ内に隠れる等で識別できないことがある場合は、各異種結合含有率(m−2,1)、(r−2,1)又は(1,3)は0とみなした。
【0090】
13C核磁気共鳴スペクトルの測定は、下記の装置及び条件にて行った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ミリリットル
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
(3)分子量分布(Mw/Mn)の測定
Mw/Mnは、明細書本文中に記載した方法により測定した。すなわち、Mw/Mnは、GPC法により、下記の装置及び条件で測定したポリエチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
GPC測定装置
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ミリリットル/分
試料濃度 :2.2mg/ミリリットル
注入量 :160マイクロリットル
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
(4)DSC測定
明細書本文中に記載した方法により測定した。すなわち、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温後、さらに、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔHmまたはΔHとした。また、このときに得られる融解吸熱カーブの最大ピークのピークトップを融点:Tmとした。さらに、230℃にて3分間ホールドした後、10℃/分で0℃まで降温する。このときに得られる結晶化発熱カーブの最大ピークのピークトップを結晶化温度:Tcとした。
(5)昇温分別クロマトグラフ
以下のようにして、溶出曲線におけるTREFのカラム温度25℃において充填剤に吸着されないで溶出する成分の量W25(重量%)を求めた。
(a)操作法
試料溶液を温度135℃に調節したTREFカラムに導入し、次いで降温速度5℃/時間にて徐々に0℃まで降温し、試料を充填剤表面に結晶化させる。その後、昇温速度40℃/時間にてカラムを135℃まで昇温し、溶出曲線を得た。
(b)装置構成
Figure 0004251706
(c)測定条件
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
試料濃度 :7.5g/リットル
注入量 :500マイクロリットル
ポンプ流量 :2.0ミリリットル/分
検出波数 :3.41μm
カラム充填剤 :クロモソルブP(30〜60メッシュ)
カラム温度分布 :±0.2℃以内
(6)引張弾性率
プロピレン系重合体をプレス成形して試験片を作成し、JIS K−7113に準拠した引張試験により測定した。
【0091】
・クロスヘッド速度:50mm/min
・ロードセル:100kg
(7)昇温分別クロマトグラフ
以下のようにして、溶出曲線におけるTREFのカラム温度25℃において充填剤に吸着されないで溶出する成分の量W25(重量%)を求めた。
(a)操作法
試料溶液を温度135℃に調節したTREFカラムに導入し、次いで降温速度5℃/時間にて徐々に0℃まで降温し、30分間ホールドし、試料を充填剤に吸着させる。その後、昇温速度40℃/時間にてカラムを135℃まで昇温し、溶出曲線を得た。
(b)装置構成
Figure 0004251706
(c)測定条件
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
試料濃度 :7.5g/リットル
注入量 :500マイクロリットル
ポンプ流量 :2.0ミリリットル/分
検出波数 :3.41μm
カラム充填剤 :クロモソルブP(30〜60メッシュ)
カラム温度分布 :±0.2℃以内
(8)ヘキサンに溶出する成分量(H25)
H25は、下記の測定条件にて測定して求めた。
【0092】
試料 :0.1〜5g
試料形状:パウダー状
(ペレット化したものは粉砕し、パウダー化して用いる)
溶媒 :ヘキサン
溶出条件:25℃、3日間以上静置
溶出量の算出方法:以下の式により算出する。
【0093】
H25=〔(W0 −W1 )/W0 〕×100(%)
「フィルム品質の評価法」
製膜したフィルムは全て温度40℃にて24時間のアニール処理を行い、更に温度23±2℃、湿度50±10%で16時間以上の状態調節した後に同じ温度、湿度条件下で測定を行った
(1)ヒートシール温度、ヒートシール強度
JIS Z−1707に準拠して測定した。具体的には表面温度計により較正されたヒートシールバーにより以下の条件にてシールし、室温で一昼夜放置した後、室温で剥離速度を200mm/ minにしたT型剥離法により剥離強度(ヒートシール強度)を測定した。ヒートシール温度は剥離強度が300g/ 15mmになる温度と定義し、シール温度―剥離強度曲線から計算により求めた。
シール条件
シール面:金属ロール面/金属ロール面
シール面積:15×10mm
シール圧力:2.0Kg/ cm2
シール時間:1秒
シール温度:ヒートシール温度を内挿できるように数点
(2)透明性(ヘイズ)
JIS K7105に従い測定した
(3)引張弾性率
JIS K7127に準拠した引張試験により以下の条件にて測定した
クロスヘッド速度:500mm/ min
ロードセル:10Kg
測定方向:マシン方向(MD)
(4)溶融粘弾性の周波数分散測定
レオメトリクス社製の回転型レオメーターにおいてコーンプレート(直径25.0mm、コーンアングル0.10ラジアン)を用い、温度175℃、初期ひずみ20%の条件にて溶融粘弾性の周波数分散測定を行った。周波数(ω(rad/sec ))のときの複素弾性率G* (iω)を応力σ* とひずみγ* により記述すると
G* (iω)=σ* /γ* =G’(ω)+iG”(ω) となる。但し、iは虚数単位である。
〔実施例1〕
(1)触媒の調製
(ジメチルシリレン) 2(3−n−ブチルインデニル)2 ジルコニウムジクロライドの合成
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(インデン)2 を0.83g(2.4mmol)とエーテル50mLを入れる。−78℃に冷却しn−BuLi(ヘキサン溶液1.6M)を3.1mL(5.0mmol)加えた後、室温で12時間攪拌する。溶媒を留去し得られた固体をヘキサン20mLで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として1.1g(2.3mmol)得る。このリチウム塩をTHF50mLに溶解し−78℃に冷却する。臭化n−ブチル0.57mL(5.3mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間攪拌する。溶媒を留去しヘキサン50mLで抽出したあと溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−n−ブチルインデン)2 を0.81g(1.77mmol)得た。(収率74%)
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に前記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−n−ブチルインデン)2 を0.81g(1.77mmol)とエーテル100mLを入れる。−78℃に冷却しn−BuLi(ヘキサン溶液1.54M)を2.7mL(4.15mmol)加えた後、室温で12時間攪拌する。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として0.28g(1.43mmol)得た。
【0094】
窒素気流下で前記で得られたリチウム塩をトルエン50mLに溶解する。−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム0.33g(1.42mmol)のトルエン(50mL)懸濁液を滴下する。滴下後、室温で6時間攪拌する。その後ろ過し、ろ液の溶媒を留去する。ジクロロメタンより再結晶化することにより(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−n−ブチルインデニル)2 ジルコニウムジクロライドを0.2g(0.32mmol)得た。(収率22%)
1 H−NMR(90MHz,CDCl3 )による測定の結果は、: δ 0.88,0.99(12H,ジメチルシリレン),0.7−1.0,1.1−1.5(18H,n−Bu),7.0−7.6(8H,ベンゼン環プロトン)であった。
(2)プロピレンの重合
内容積10リットルのステンレス製オートクレーブにヘプタン6リットル、トリイソブチルアルミニウム6ミリモル、さらに、メチルアルミノキサン(アルベマール社製)5ミリモルと、前記で得た(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−n−ブチルインデニル)2 ジルコニウムジクロライド5マイクロモルをトルエン中5分間予備接触させた触媒成分を投入した。ここで、水素0.5kg/cm2 Gを導入した後、全圧で8.0kg/cm2 Gまでプロピレンガスを導入し重合中圧力が一定になるように調圧器によりプロピレンを供給した。重合温度50℃で、30分間重合を行なった後、内容物を取り出し、減圧下、乾燥することにより、プロピレン単独重合体(B−1)を得た。(3)配合及び混練
上記で得られたポリプロピレン単独重合体(B−1)に以下の添加剤を処方し、単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押し出し造粒し、ペレットを得た。
(添加剤処方)
Figure 0004251706
(4)樹脂組成物の製造
プロピレン系重合体[I]として上記の方法により製造したプロピレン系重合体[a−1]15重量部及び、結晶性プロピレン系重合体[II]として出光ポリプロF−704NPを85重量部ブレンダーに投入して良く混合し、さらに単軸押出機(塚田樹機製作所製:TLC35−20型)にて押出造粒した。
(5)フィルムの製膜
このようにして得たプロピレン系樹脂組成物のペレットから塚田樹機製作所製20mmφ押出機を用い、Tダイ出口における樹脂温度190℃、チルロール温度30℃、引取速度6m/ minの条件にて膜厚50μmのフィルムに成形した
(6)樹脂特性及び物性の評価
前記した評価方法により評価した。得られた結果を表1及び表2に示す。
〔実施例2〕
プロピレン系重合体[a−1]30重量部と出光ポリプロF−704NPを70重量部にブレンド比率を変更した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
〔実施例3〕
プロピレン系重合体[a−1]60重量部と出光ポリプロF−704NPを40重量部にブレンド比率を変更した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
〔比較例1〕
プロピレン系重合体[a−1]の代わりに日本合成ゴム株式会社のエチレン−プロピレン共重合体ゴム(グレード名 : EP913Y)を使用した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
〔比較例2〕
プロピレン系重合体[a−1]の代わりに日本合成ゴム株式会社のエチレン−プロピレン共重合体ゴム(グレード名 : EP913Y)を使用した以外は全て実施例2と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
〔比較例3〕
プロピレン系重合体[a−1]の代わりに日本合成ゴム株式会社のエチレン−プロピレン共重合体ゴム(グレード名 : EP913Y)を使用した以外は全て実施例3と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
〔比較例4〕
プロピレン系重合体[I]をブレンドせず、出光ポリプロF−704NPを単独で使用した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。〔比較例5〕
プロピレン系重合体[I]をブレンドせず、出光ポリプロF−454NPを単独で使用した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。〔比較例6〕
プロピレン系重合体[I]をブレンドせず、出光TPO E2900を単独で使用した以外は全て実施例1と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
【0095】
【表1】
Figure 0004251706
【0096】
【表2】
Figure 0004251706
【0097】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ヒートシール温度が適度に低温化され、かつヒートシール強度が大幅に向上したプロピレン系フィルム又はシートを与える。また、本発明のプロピレン系樹脂組成物により、柔軟性に富み、透明性、耐熱性にも優れ、かつヒートシール強度が大幅に向上したフィルム、シートが得られ、軟質塩化ビニル系樹脂の代替として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 下記の(i)〜(vii)を満たすプロピレン単独重合体[a]1〜99重量%と結晶性プロピレン系重合体[II]99〜1重量%からなるプロピレン系樹脂組成物であって、
    示差走査型熱量計(DSC)により測定した結晶化曲線における最高温度側のピークトップ温度(Tc(℃))と融解曲線における示差熱量(ΔHm(J/g))が下記の関係式(1−1)を満たし、
    Tc≧(1/4)・ΔHm+90・・・(1−1)
    かつ、溶融粘弾性の周波数分散測定における貯蔵弾性率(G’(Pa))と損失弾性率(G”(Pa))が等しくなる周波数(ω(rad/sec))とΔHmが下記の関係式(2−1)を満たすプロピレン系樹脂組成物。
    ω≦(1/10)・ΔHm+15・・・(2−1)
    (i)昇温クロマトグラフィーにおける25℃以下で溶出する成分量(W25)が20〜100重量%である
    (ii)25℃のヘキサンに溶出する成分量(H25)が0〜80重量%である
    (iii)DSC測定において、融点(Tm(℃))を示さない
    (iv)メソペンタッド分率(mmmm)が20〜60モル%である
    (v)ラセミペンタッド分率(rrrr)と(1−mmmm)が下記の関係を満たす
    [rrrr/(1−mmmm)]≦0.1
    (vi)ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が4以下である
    (vii)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度[η]が0.5〜15.0デシリットル/gである
  2. 請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物からなる層を有するフィルムまたはシート。
  3. JISK7105に従い測定したフィルムまたはシートのヘイズが10%以下である請求項2記載のフィルムまたはシート。
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