JP5343461B2 - コンデンサ用ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサ Download PDF

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Description

本発明は、高温使用下での電気特性及び鳴き特性に優れたコンデンサ用ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサに関するものである。
ポリプロピレンフィルムは、その電気特性が優れていることなどの理由から、電気用途に広く用いられている。中でもコンデンサ用途における誘電体材料としての伸びは著しい。近年、小型化、低価格化の要求が強く、誘電体であるフィルムの厚さの薄膜化が進んでいる一方、高温・長期課電時における静電容量変化、誘電損失(以下tanδという)の要求特性も厳しくなってきている。加えて、安全規格コンデンサに代表される扁平型コンデンサにおいては、フィルムの振動に起因する鳴き軽減の要求が高まっている。この鳴きは、コンデンサ素子に巻回されたフィルムなどの誘電体が、印加された交番電界によって振動することに由来し、特に高周波入力やパルス入力に対しては顕著である。
一般的に高温下でポリプロピレンフィルムは耐熱性が低く、特に90℃以上の温度では、コンデンサとしての使用は不向きであり、ポリプロピレンを用いたコンデンサは最高使用温度を90℃以下に制限されているのが実状である。高温下での静電容量変化及びtanδの厳しい要求特性を満足するためには、この問題を解決する必要があり、耐熱性を向上する手法として立体規則性の高いポリプロピレン樹脂を用いる方法(特許文献1)が知られている。また、素子に電流が流れたときの自己発熱や雰囲気温度の上昇によるコンデンサ素子の変形によって容量が変動する可能性もあり、温度上昇による素子変形を防止するためには、フィルムの熱寸法安定性が重要であることが知られており、高温下でのフィルムの熱収縮率を低減する提案がなされている(特許文献2,3)。
しかしながら、高温下での静電容量変化及びtanδの厳しい要求特性を満足するには、単に立体規則性の高いポリプロピレン樹脂を使用したり、高温下でのフィルムの熱収縮を低減したりするだけでは、不十分であることが分かっている。
一方、鳴きに関しては、巻回されたフィルムの各層間の容積を最小限にとどめ、フィルム同士の密着性を高めるための提案がなされている。例えば、減圧状態下でコンデンサ素子を巻き取る方法が提案されている(特許文献4)。また、ポリプロピレンフィルムの両面にコロナ処理放電処理を施す提案がなされている(特許文献5)。
しかしながら、減圧状態下で素子を捲廻す方法では、コンデンサ素子の巻取り工程の複雑さによる生産性の低下やコンデンサ素子巻き後に素子を大気中に戻した時のフィルム層間への空気の再侵入を防止できないなどの欠点があった。また、フィルムの両面にコロナ放電処理を施す方法では、コンデンサ素子に巻き上げるまでの工程、例えば、真空蒸着工程などでブロッキングを起こす場合があるといった支障があった。
特開平11−273990号公報 特開平7−50224号公報 特開平11−67580号公報 特開昭54−53253号公報 特開昭61−145812号公報
本発明は、特定のメソペンタッド分率を有するポリプロピレンフィルムを用い、長手方向の120℃の熱収縮応力値を最適化することで、高温・長期課電時に静電容量低下率が小さく、かつtanδ特性の安定した電気特性を有し、更に、コンデンサの鳴きを小さくするのに好適なコンデンサ用ポリプロピレンフィルムおよびコンデンサを提供する。
本発明は上述の問題を解決するために、以下の特徴を有している。
(1)メソペンタッド分率が0.985以上であるポリプロピレン樹脂を含み、長手方向の120℃の熱収縮応力値が1.5〜2.0N/mmである、コンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
(2)フィルム同士のヒートシール剪断力が700〜1,500g/10cmである、上記(1)に記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
(3)120℃の幅方向の熱収縮率が0.8%以下であり、かつ140℃の幅方向の熱収縮率が4.0%以下である、上記(1)または(2)に記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサ。
本発明のコンデンサ用ポリプロピレンフィルムは、長手方向の120℃の熱収縮応力値と、必要に応じフィルム同士のヒートシール剪断力とを最適化することにより、
1.フィルム層間密着性が良いことにより、コンデンサ素子に仕上げた際のコロナ発生が低く抑えられ、交流印加での耐圧特性に優れる。
2.特に扁平型コンデンサ素子を形成した際の形状安定性に優れることにより、耐圧特性の優れたコンデンサ素子を製造することができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細を説明する。
本発明のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム(以下本発明フィルム)は、ポリプロピレン樹脂を含む少なくとも一軸方向に延伸されてなるフィルムである。
以下に本発明フィルムを構成するポリプロピレン樹脂について説明する。
本発明においてポリプロピレン樹脂はチーグラーナッタ触媒、メタロセン触媒等を用い製造されるアイソタクチックポリプロピレンを主要構成とするものであり、本発明の目的に反しない範囲で、他のポリオレフイン系樹脂を含んでいてもよいし、またコモノマーとしてエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4メチルペンテン−1、等のαオレフイン類を含んでいてもよい。また、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリブテン1、ポリ4メチルペンテン1、シンジオタクチックポリスチレン等のポリマーを含有せしめることも可能である。
本発明において、該樹脂の立体規則性の指標であるメソペンタッド分率は0.95以上であることが重要であり、好ましくは0.96以上であり、さらに好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率が低すぎると特に高温時(80℃以上)の耐圧特性が低下する恐れがある。メソペンタッド分率はプロピレンモノマー連鎖の5つのユニットのメチル基の配列状態を13C−NMRで測定するものであり、完全なアイソタクチック構造ではメソペンタッド分率は1となる。しかしながら現在の技術レベルで実現できるメソペンタッド分率の上限は、0.99程度である。従って、本発明においてメソペンタッド分率の上限を技術的観点から規定できるものでは無いが、経済性の点から0.99程度が上限となる。もちろん、今後の技術的な進歩を鑑みると0.99以上の樹脂が適用できる可能性があることはいうまでも無い。
このようなメソペンタッド分率のポリプロピレン樹脂を得るためには、公知のチーグラー系あるいはメタロセン系重合触媒を用い、フタル酸エステル類の助触媒等を組み合わせることで立体規則性をコントロールする(高める)ことができる。
また、該樹脂のメルトマスフローレート(以下MFRという)は1.0〜5.5g/10分であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜5.0g/10分である。MFRが1.0g/10分を下回ると、シート成型時の均一性が低下し、フィルムの厚み斑が大きくなる恐れがある。一方、MFRが5.5g/10分を超えると延伸が難しくなるばかりでなく、耐圧特性が低下するおそれがある。
更に、該樹脂には触媒残査に起因するアルミニウム、チタン、マグネシウム等の金属化合物類が含まれ、樹脂を完全に燃焼させた際の残分として灰分として定量されるが、該灰分は電気特性を良好とする上で、40ppm以下(重量基準、以下同じ)であることが好ましく、更に好ましくは30ppmであるとより好ましい。また、該触媒の成分である塩素も同様の理由で少ないことが好ましく、5ppm以下であることが好ましく、より好ましくは3ppm以下であることが好ましい。
該樹脂には溶融押出時の安定性、使用時の耐久性を向上する目的で、公知の熱安定剤・酸化防止剤、塩素捕獲剤を添加することができる。具体的には、熱安定剤・塩素捕獲剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−ターシャリブチル−4−ハイドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製Irganox1010)、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製Irganox1330)等のヒンダードフェノール系化合物が例示され、塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が例示される。
次いで、本発明フィルムが具備すべき物理的な特性について説明する。
本発明フィルムの熱収縮特性としては、120℃の幅方向の熱収縮率が0.8%以下であり、かつ140℃の幅方向の熱収縮率が4.0%以下であることが好ましい。これは幅方向の熱収縮率が高いとコンデンサ素子を形成した際の蒸着フィルムの電極接地側と溶射金属との接着性が悪化して、素子のtanδが上昇する恐れがあるためである。より好ましい幅方向の熱収縮率としては、120℃で0.6%以下、140℃で3.5%以下であることが好ましい。ここで、幅方向の熱収縮率をコントロールする方法としては、樹脂を適宜選択する方法、フラットダイ法で2軸延伸フィルムを得る場合、横延伸時の倍率、温度で制御する方法等が例示される他、横延伸後にリラックスをかけることで可能である。ここでリラックスとは横延伸機のクリップの最大幅(Wmax)に対して出口幅(Wout)を狭めることで、横方向の配向を緩和するプロセスであり、リラックス率(%)は100×{1−(Wout/Wmax)}で定義され、リラックス率を大きくすると熱収縮率を小さくできる。
一方、長手方向の熱収縮率は特に制限されるものでは無いが、長手方向の120℃の熱収縮応力値は0.8〜2.0N/mmであることが重要であり、好ましくは1.0〜1.8N/mmである。また、該熱収縮応力値のピークを示す温度は110〜130℃の範囲であると好ましい。
また、長手方向の熱収縮開始温度は60〜100℃であることが好ましく、更に好ましくは65〜90℃、特に好ましくは70〜85℃であることが好ましい。熱収縮開始温度が60℃を下回ると蒸着加工時のシワの発生、クーリングドラムとの密着不良による熱負けの発生の恐れがある。一方熱収開始温度が100℃を超えると、素子形成時のアニーリング工程での層間密着性が不良となり、特に交流用途で問題を生じる恐れがある。
このような熱収縮応力値、熱収縮開始温度を制御する方法としては、本発明フィルム製造時の延伸温度と延伸倍率を適宜選択する方法が例示される。具体的には、延伸温度を下げる及び/または延伸倍率を上げることで熱収縮開始温度を下げ、また熱収縮応力値を高めることができる。
さらに、本発明のように高い立体規則性(メソペンタッド分率)を有する樹脂を用いる場合には、フィルムが高度に結晶化するため、低熱収縮応力化してしまう傾向があるため、フラットダイ法にて2軸延伸した後に、周速の異なるロールを用いて延伸を行うことが好ましい。この場合、100〜130℃で長手方向に延伸比0.1〜3%で延伸を行うことにより、最適の熱収縮特性と安定した延伸特性を両立させることができる。なお、延伸比(%)とは、延伸前後でのフィルム搬送速度をそれぞれV,Vとすると、(V/V−1)×100(%)で定義される値である。
本発明フィルムのフィルム同士のヒートシール剪断力は700〜1,500g/10cmであることが重要であり、好ましくは800〜1,400g/10cmである。
ヒートシール剪断力が700g/10cmを下回ると素子形成が旨くいかず、交流電圧を印加した際の寿命特性が短くなる。一方ヒートシール剪断力が1,500g/10cmを超えると蒸着加工時のブロッキングが問題になる可能性がある。
このようなヒートシール剪断力を得るためには、コロナ放電処理強度を適宜選定する方法、90〜140℃に融解ピークを有する酸化防止剤を0.3〜1重量%添加する方法が例示され、これら手法を適宜組み合わせることができる。例えば、コロナ放電処理強度を強めるとヒートシール剪断力が高くなり、弱めるとヒートシール剪断力が弱くなる。また上記酸化防止剤添加量を増量するとヒートシール剪断力が高くなり、減量するとヒートシール剪断力が弱くなる。
本発明フィルムは特に蒸着コンデンサとして好ましく使用されるものであり、少なくとも片面の表面濡れ指数は35〜52mN/mであることが好ましく、特に好ましくは、38〜49mN/mであることが、蒸着金属との接着性と滑り性にバランスが取れるので好ましい。通常のポリプロピレンフィルム表面の濡れ指数は高々30mN/m程度であるが、このような濡れ指数を得るためには、フィルムを空気、不活性ガス雰囲気でコロナ放電処理、プラズマ処理等を施し、表面にカルボニル基、カルボキシル基、アミノ基等々の極性基を付加することで達成でき、濡れ指数は表面処理の処理強度で制御することが可能である。
また、本発明フィルムはフィルム表面に亜鉛、アルミニウム等の金属蒸着を施し電極を形成してコンデンサとする蒸着コンデンサ用として使用できるばかりでなく、金属薄膜と共に捲廻する箔巻きコンデンサ、オイル等の封入剤と共に使用する油含浸コンデンサ等々に使用することができるが、特に蒸着コンデンサ用に使用するとその性能が発揮できるので好ましい。蒸着コンデンサの形状としては、フィルムを単純に捲廻す円筒型コンデンサ、素子断面を楕円状に成形した扁平型コンデンサ、フィルムを積み重ねた積層コンデンサ等が具体的には例示されるが、特に扁平型コンデンサ、積層コンデンサ用として使用すると素子の成形性に優れるために好ましく使用される。
本発明フィルムの厚みについては臨界的に限定するものでは無いが、2〜15μmの範囲が通常使用される範囲であり、特に3〜8μmが広く用いられる。
次の本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
次に本発明の実施例に用いる測定法及び評価法について説明する。
(1)フィルム厚み
JIS−C−2330(2001)7.4.1.1により、マイクロメータ法厚さ(以下MMVという)を測定した。
(2)メソペンタッド分率
メソペンタッド分率(mmmm)の測定
試料を溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求める。
測定条件
装置:Bruker社製 DRX−500
測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
測定濃度:10wt%(試料10wt%、溶媒90wt%)
溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液(容量比)
測定温度:130℃
スピン回転数:12Hz
NMR試料管:5mm管
パルス幅:45°(4.5μs)
パルス繰り返し時間:10秒
データポイント:64K
積算回数:10,000回
測定モード:complete decoupling
解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、更にソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmとss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)のピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。尚、測定はn=5で行い、その平均値を求める。
ピーク
(a)mrrm
(b)(c)rrrm(2つのピークとして分割)
(d)rrrr
(e)mrmm+rmrr
(f)mmrr
(g)mmmr
(h)ss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)
(i)mmmm
(j)rmmr
(3)MFR(g/10分)
JIS−K−7210(1999)により、MFRを測定した。
(4)ヒートシール剪断力(g/10cm
長さ方向に10cm、幅方向に5cmの大きさの試料を同一のフィルムから2枚採取する(便宜上、それぞれのフィルム片をF1、F2とする)。次いでフィルム片F1の裏面とF2の表面とが長さ方向の2cm分重なり合うように、ヒートシーラー(テスター産業(株)/型式TP−701特)にセットし、該重ね合わせ部(面積10cm)に荷重1kg/cm、温度120℃、1秒にてヒートシールを施す。その後、引張り試験機にて、フィルム片F1、F2のそれぞれの端部を把持し、ヒートシール面に平行な方向に引張り、ヒートシール部が剥離する際の引張り力をヒートシール剪断力として測定する。単位はg/10cmとする。なお、引張り試験機は、TENSILON/UTM-IIIL(TOYO MEASURING INSTRUMENTS CO.LTD)を用い、引張りスピードは300mm/minとした。測定は3回行い、その平均を求めた。
(5)熱収縮率(%)
JIS−C−2330(2001)7.4.6.2に準拠し、サンプルフィルムを熱風オーブン中で120℃×15分、140℃×15分で以下の条件で保持した際の寸法変化率を熱収縮率とする。フィルムの幅方向(TD)を測定した。
(a)サンプル:幅10mm×長さ200mm
(b)オーブン条件:120℃、140℃、荷重3g
(c)測定長は処理前長L0=100mmを基準として、処理前後のフィルム長さL1(mm)の精読値を用いて次式で求める。
熱収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100
(6)120℃の熱収縮応力値(N/mm)、熱収縮開始温度
TMA(SII・ナノテクノロジー(株)社製/型式TMA/SS6100)を用いて、以下の条件でフィルム長手方向の熱収縮力曲線を測定した。
(a)サンプル:幅4mm×長さ20mm
(b)温度プログラム:30℃から加熱レート10℃/minにて昇温
<120℃の熱収縮応力値>
該熱収縮曲線から120℃の熱収縮力を読みとり、次式により算出した。
120℃の熱収縮応力値(N/mm)=
120℃の熱収縮力(N)/{4(mm)×WMV(mm)}
ここで、WMVは、JIS−C−2330(2001)7.4.1.2により求めたフィルムの質量法厚さ(単位:mm)である。測定は3回行い、平均を求めた。
<熱収縮開始温度>
上記熱収縮力曲線において、昇温過程で熱収縮力が立ち上がる温度を熱収縮開始温度とした。測定は3回行い、平均を求めた。
(7)コンデンサ特性
ポリプロピレンフィルムを真空蒸着機にて、金属アルミニウムと金属亜鉛の蒸着を施し、膜抵抗18Ω/□のアロイ金属蒸着膜(アルミニウム:亜鉛=5:95(質量比)、パターン無しのベタ蒸着)を形成した。得られた蒸着フィルムから以下のようにコンデンサ素子を作製し、静電容量減少率、tanδ、鳴きを評価した。
評価(○、△、×)は、○:実用特性に優れる、△:使用可能であるがやや劣る、×:実用上問題がある、を意味する。
A.静電容量減少率
上記で得たコンデンサ素子から10個を抜き取り、120℃の温度および30kg/cmの圧力で6分間のプレス処理を行い、メタリコンおよびリード端子付けを行った。この素子をウレタン樹脂で外装し、静電容量0.47μFのコンデンサを作製し、85℃の雰囲気下でAC413Vの電圧を印加して、課電時間1,000時間での静電容量減少率を測定した。その結果を下記基準にて判定した。容量測定は安藤電気株式会社製LCRメータ AG−4311を用いて1V、1kHzの条件で測定した。
○:容量減少率 2%未満
△:容量減少率 2%以上5%未満
×:容量減少率 5%以上
B.tanδ
Aと同様の素子に、同様に85℃の雰囲気下でAC413Vの電圧を印加して、課電時間1,000時間でのtanδを測定した。その結果を下記基準にて判定した。測定は安藤電気株式会社製LCRメータ AG−4311を用いて1V、1kHzの条件で測定した。
○:tanδ 2%未満
△:tanδ 2%以上5%未満
×:tanδ 5%以上
C.鳴き
Aと同様のプレス条件にて、静電容量1.0μFの扁平プレス型コンデンサ素子10個作成し、耐圧パルス試験器MODEL:TP-500(武南測器社製)にてコンデンサに60Hzの方形波を印加した。その際コンデンサ素子が発生する騒音をRION(株)製の精密騒音計:NA−29Eを用いて測定し、その平均値を算出した。その結果を下記基準にて判定した。またこのときの主要条件は次のとおりである。
暗騒音レベル:49〜50dB
テスト電圧:205V
素子〜集音マイク間の距離:5cm
測定素子数:10素子
○:鳴き音レベル 50dB未満
△:鳴き音レベル 50dB以上55dB未満
×:鳴き音レベル 55dB以上
(8)製膜方法
以下の製膜方法により2軸延伸を行い、フィルムサンプルを得た。
スクリュー径90mmφの押出機を用いて、樹脂を250℃にて溶融押出し、90℃の冷却ドラム上で冷却固化する。次いで、得られたシートを145℃で予熱し、周速差を設けた2つのロール間で4.7倍に長手方向に延伸する。更に該一軸延伸フィルムを横延伸機に導き、該一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持し、熱風オーブン中で160℃に予熱した後に、幅方向に9倍に延伸し、引き続き幅方向にリラックスを取って2軸延伸フィルムとする。更に、横延伸機の後部に設置されたロール群で横延伸機の走行速度に対して適宜周速差を設けて長手方向に延伸した(本工程を「MD2延伸」とする。延伸条件は後述)。次いで該2軸延伸フィルムを搬送工程内でコロナ放電処理を行い、製膜エッジをトリミングし巻き取る。
コロナ放電処理装置はフィルムの両面に設置されており、コロナ処理条件は適宜変更した。
なお、本発明においては、便宜上フィルムの冷却ドラム面をA面、反対面をB面と表記する。
(9)濡れ指数
JIS K−6768(2007)に準じて、濡れ指数を測定した。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂として、メソペンタッド分率が0.985、MFRが2.5g/10分の樹脂(Borealis社製“Borclean(登録商標)”HB300BF)を準備した。
該樹脂を上述の製膜方法を用いて、厚さ5.0μm(MMV)の2軸延伸フィルムを得た。この際に、横延伸後のリラックス率は10%、MD2延伸条件は120℃で+0.3%とし、A面のフィルムの濡れ指数が49mN/m、B面のフィルムの濡れ指数が37mN/mとなるように、A面とB面にコロナ放電処理を行った。
こうして得られたフィルムのヒートシール剪断力は1,020g/10cmであり、幅手方向の熱収縮率は120℃、140℃でそれぞれ0.4%、3.0%であり、長手方向の120℃の熱収縮応力値は1.6N/mmであった。
コンデンサ特性の評価の結果、表1に示す如く、静電容量減少、tanδ、鳴きいずれも優れていた。
(実施例2)
実施例1において、幅方向のリラックス率を5%に変更した以外は同様の条件でフィルムを得た。この結果、幅手方向の熱収縮率が上昇し、120℃、140℃でそれぞれ1.1%、4.9%となった。フィルムのヒートシール剪断力は1,020g/10cm、長手方向の120℃の熱収縮応力値は1.5N/mmであった。
コンデンサ特性の評価では、tanδが上昇した。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂として、メソペンタッド分率が0.985、MFRが2.5g/10分の樹脂(Borealis社製“Borclean(登録商標)”HB300BF)を準備した。
該樹脂を実施例1の製膜方法を用いて、厚さ5.0μm(MMV)の2軸延伸フィルムを得た。この際にA面のフィルムの濡れ指数が49mN/mとなるように、A面のみにコロナ放電処理を実施した。
こうして得られたフィルムのヒートシール剪断力は720g/10cmであり、幅手方向の熱収縮率は120℃、140℃でそれぞれ0.4%、3.1%であり、長手方向の120℃の熱収縮応力は1.5N/mmであった。
コンデンサ特性の評価では、静電容量減少が大きくなった。
(実施例4)
実施例1において、B面のフィルムの濡れ指数が49mN/mとなるように、B面のコロナ放電処理強度を上げた以外は同様の条件でフィルムを得た。
この結果、ヒートシール剪断力が上昇し、1460g/10cmとなった。また、幅手方向の熱収縮率は120℃、140℃でそれぞれ0.4%、3.0%、長手方向の120℃の熱収縮応力値は1.6N/mmであり、実施例1と同等であった。
コンデンサ特性の評価では、静電容量減少が小さくなり、鳴きも低減した。しかし、蒸着加工工程において、時折ブロッキングが発生し、製品の歩留まりがやや悪化する結果となった。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂として、メソペンタッド分率が0.980、MFRが3.5g/10分の樹脂(Borealis社製“Borclean(登録商標)”HC300BF)を準備した。
該樹脂を実施例1の製膜方法を用いて、厚さ5.0μm(MMV)の2軸延伸フィルムを得た。MD2の延伸比は0%とした。この際にコロナ放電処理としてはA面のみに処理を行い、A面のフィルムの濡れ指数を49mN/mとした。
こうして得られたフィルムのヒートシール剪断力は710g/10cmであり、幅手方向の熱収縮率は120℃、140℃でそれぞれ0.7%、3.3%であり、長手方向の120℃の熱収縮応力値は0.7N/mmであった。
コンデンサ特性の評価ではtanδは良好であったが、静電容量減少が大きく、鳴き特性が悪化した。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂として、メソペンタッド分率が0.945、MFRが3.0g/10分の樹脂(Borealis社製“Borclean(登録商標)”HC318BF)を準備した。
該樹脂を比較例1の製膜方法を用いて、厚さ5.0μm(MMV)の2軸延伸フィルムを得た。この際にコロナ放電処理としてはA面とB面に処理を行い、A面のフィルムの濡れ指数を49mN/m、B面のフィルムの濡れ指数を37mN/mとした。
こうして得られたフィルムのヒートシール剪断力は1,010g/10cmであり、幅手方向の熱収縮率は120℃、140℃でそれぞれ0.5%、3.0%であり、長手方向の120℃の熱収縮応力は1.2N/mmであった。
コンデンサ特性の評価ではtanδ、鳴き特性は良好であったが、静電容量減少が大きくなった。
Figure 0005343461
本発明により得られるポリプロピレンフィルムはフィルム層間の密着性に優れることから、蒸着コンデンサ用途に好ましく用いられるが、その他箔巻きコンデンサ用としても使用することができる。

Claims (4)

  1. メソペンタッド分率が0.985以上であるポリプロピレン樹脂を含み、長手方向の120℃の熱収縮応力値が1.5〜2.0N/mmである、コンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
  2. フィルム同士のヒートシール剪断力が700〜1,500g/10cmである、請求項1に記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
  3. 120℃の幅方向の熱収縮率が0.8%以下であり、かつ140℃の幅方向の熱収縮率が4.0%以下である、請求項1または2に記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ用ポリプロピレンフィルムを用いたコンデンサ。
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