JP4692116B2 - セラミック塗料及び積層型電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック塗料及び積層型電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する際に、いわゆるシートアタック現象が発生せず、結果としてショート不良率が少ない積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品を製造可能なグリーンシート用のセラミック塗料と、該塗料を用いた積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の製造方法とに関する。
コンデンサ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタ、またはバリスタ等の積層型電子部品を製造する方法としては、たとえば下記の方法が知られている。まず、可撓性支持体(例としてPETフィルム)上にドクターブレード法などで、セラミック原料粉体、有機バインダ、可塑剤、溶剤等を含むセラミック塗料をシート状に成形し、グリーンシートとする。そのグリーンシートの上に、パラジウム、銀、ニッケル等の電極材を含む電極層用ペーストを所定パターンで印刷し、電極パターン層とする。
積層構造を得る場合には、得られたグリーンシートを所望の積層構造になるように積層し、プレス切断工程を経てセラミックグリーンチップを得る。このようにして得られたセラミックグリーンチップ中のバインダをバーンアウトし、1000℃〜1400℃で焼成し、得られた焼結体に、銀、銀−パラジウム、ニッケル、または銅等の端子電極を形成し、積層型電子部品を得る。
上述した製造方法において、例えば積層セラミックコンデンサを製造する場合、小型化、大容量化の手法として、1層あたりの誘電体層の厚みを薄くし、積層数を多くすることが考えられる。
しかしながら、乾燥させたグリーンシートの上に電極パターンを印刷する工程がWet−on−Dry方式である従来工法では、電極印刷時の溶剤によってグリーンシートを侵食すること(溶剤によるシートアタック)が起こり、電極印刷部下面のグリーンシートの厚みが薄くなり、ショート不良を発生し易いという問題があった。
そこで、本発明者らは、先に、グリーンシート形成用のセラミック塗料中に含まれる有機バインダとして反応硬化性樹脂を用いることを提案した(特願2004−287847号、たとえば、反応硬化性樹脂として、熱硬化型あるいは紫外線硬化型のアクリル樹脂等を用いている)。この技術によれば、セラミック塗料をシート状に成形してグリーンシートとした後、電極層用ペーストを印刷する前に、グリーンシートに含有されている反応硬化性樹脂を反応、硬化させることにより、反応前には溶剤に可溶であった反応硬化性樹脂が、反応後には三次元架橋することによってあらゆる溶剤に対して不溶な樹脂へと変化する。このため、反応、硬化させた後のグリーンシート上に、溶剤を含む電極層用ペーストを印刷しても、溶剤によるシートアタックの影響を受けにくく、ショート不良対策に効果があるというものである。
しかしながら、上記の技術では、シート強度を向上させるために、反応硬化性樹脂の反応前(未反応の状態)における分子量を高くすると、セラミック塗料がゲル化してしまい、シート化できないという問題があった。そのため、上記の技術においては、シート強度に関し、未だ改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、バインダとして、反応硬化性樹脂を含有するセラミック塗料において、塗料の状態におけるゲル化を防止しつつ、しかも、シート強度が高く、適度な可撓性を有するグリーンシートを得るのに適したセラミック塗料と、グリーンシートの表面に電極パターン層を形成する際にいわゆるシートアタック現象が発生せず、結果として、得られる電子部品のショート不良率が少ない積層型電子部品の製造方法とを、提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によると、セラミック原料と、酸価が2〜10mg・KOH/gの範囲にある硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを、含有するグリーンシート形成用のセラミック塗料が提供される。
あるいは、本発明によると、セラミック原料と、硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを、含有し、
前記硬化性アクリル樹脂が、酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分とを、重量比で、(酸価を構成する成分:実質的に酸価を構成しない成分)=1:99〜5:95の範囲で、含有するグリーンシート形成用のセラミック塗料が提供される。
好ましくは、セラミック原料と、硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを、含有し、
前記硬化性アクリル樹脂の酸価が2〜10mg・KOH/gの範囲にあり、
前記硬化性アクリル樹脂が、酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分とを、重量比で、(酸価を構成する成分:実質的に酸価を構成しない成分)=1:99〜5:95の範囲で、含有する。
好ましくは、前記酸価を構成する成分が、(メタ)アクリル酸単量体単位であり、前記実質的に酸価を構成しない成分が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位である。前記酸価を構成する成分は、アクリル樹脂中に共重合されていない、いわゆる遊離酸の状態で含有されていても良いし、あるいは、アクリル樹脂中に共重合されている状態で含有されていても良い。
好ましくは、前記硬化性アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万である。
好ましくは、前記硬化性アクリル樹脂が、0〜50℃のガラス転移温度(Tg)を持つ。
好ましくは、前記硬化性アクリル樹脂は、前記セラミック原料100重量部に対して、6〜12重量部(但し、12重量部を除く)含有される。
好ましくは、前記溶媒は、前記セラミック原料100重量部に対して、200〜300重量部含有される。
好ましくは、前記硬化性アクリル樹脂が、熱硬化型のアクリル樹脂であり、かつ、
前記セラミック塗料には、前記熱硬化型のアクリル樹脂を硬化させるための熱重合開始剤が、さらに含まれている。
好ましくは、前記硬化性アクリル樹脂が、紫外線硬化型のアクリル樹脂であり、かつ、
前記セラミック塗料には、前記紫外線硬化型のアクリル樹脂を硬化させるための紫外線重合開始剤が、さらに含まれている。
本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、
上記いずれかのセラミック塗料を用いてグリーンシートを形成する工程と、
前記グリーンシートを乾燥させる工程と、
乾燥後の前記グリーンシートに含有されている硬化性アクリル樹脂を反応させ、前記グリーンシートを硬化させる工程と、
硬化させた前記グリーンシートの表面に内部電極層用ペーストを塗布し、内部電極パターンを形成する工程と、
内部電極パターンが形成された前記グリーンシートを積層し、グリーンチップを得る工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程とを、有する。
本発明の製造方法において、前記塗料中の硬化性アクリル樹脂として、熱硬化型のアクリル樹脂を使用し、さらに熱重合開始剤を含有させた場合には、
乾燥後の前記グリーンシートを、80〜100℃(但し、100℃を除く)の温度で加熱することにより、硬化性アクリル樹脂を反応させることが好ましい。
あるいは、本発明の製造方法において、前記塗料中の硬化性アクリル樹脂として、紫外線硬化型のアクリル樹脂を使用し、さらに紫外線重合開始剤を含有させた場合には、乾燥後の前記グリーンシートに対して、50〜500mJ/cm(但し、500mJ/cmを除く)の紫外線を照射することにより、硬化性アクリル樹脂を反応させることが好ましい。
本発明の製造方法において、好ましくは、グリーンシート形成の際の乾燥温度が、50〜100℃(但し、100℃を除く)である。
本発明の製造方法において、好ましくは、乾燥後の前記グリーンシートの厚みが、3μm以下、より好ましくは0.5〜1μmである。
前記セラミック原料は、Ba2+、Sr2+、Ca2+を含む塩基性の原料であることが好ましく、特に、等電点が9〜12の範囲であることが好ましい。
好ましくは、前記セラミック原料は、平均粒径が0.1〜0.25μmである。
積層型電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電積層体部品、チップバリスタ、チップサーミスタ等の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
本発明に係るグリーンシート形成用のセラミック塗料は、酸価が特定の範囲に制御された硬化性アクリル樹脂、あるいは酸価を構成する成分の含有量を、特定の範囲とした硬化性アクリル樹脂を使用する。そのため、塗料の状態におけるゲル化を防止しながらも、シート強度が高く、しかも、適度な可撓性を有するグリーンシートを得ることができる。
また、本発明のセラミック塗料を用いた積層型電子部品の製造方法では、本発明のセラミック塗料を用いてグリーンシートを形成した後、該グリーンシートに含まれる硬化性アクリル樹脂を反応、硬化させる。硬化したアクリル樹脂は、あらゆる溶剤に対して不溶な樹脂に変化するため、その後、そのグリーンシートの表面に電極パターンを印刷法などで形成したとしても、電極パターンに含まれる溶剤がグリーンシートを侵食すること(溶剤によるシートアタック)はない。そのため、結果として得られる電子部品のショート不良を低減することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
図1に示すように、積層型電子部品の一例としての本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、層間誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体10において、内部電極層3および層間誘電体層2の積層方向の両外側端部には、外側誘電体層2aが配置してあり、素子本体10の内部を保護している。
層間誘電体層2および外側誘電体層2aの組成は、本発明では特に限定されないが、たとえば、{(Ba(1−x−y) CaSr)O}(Ti(1−z) Zrで表される主成分を有する誘電体磁器組成物から構成される。なお、A,B,x,y,zは、いずれも任意の範囲であるが、好ましくは、0.990≦A/B≦1.010、0≦x≦0.80、0≦y≦0.5、0.01≦z≦0.98の範囲である。誘電体磁器組成物中に主成分と共に含まれる副成分としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Sn,W,Ba,Ca,Mn,Mg,Cr,Si,およびPの酸化物から選ばれる1種類以上を含む副成分が例示される。
副成分を添加することにより、主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となり、層間誘電体層を薄層化した場合の信頼性不良を低減することができ、長寿命化を図ることができる。ただし、本発明では、層間誘電体層の組成は、上記に限定されるものではない。
なお、図1に示す層間誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、本実施形態では、層間誘電体層2の厚みは、2μm〜50μm程度である。また、外側誘電体層2aの厚みは、たとえば100μm〜数百μm程度である。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、層間誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、Ni、Cu、Ni合金またはCu合金が好ましい。内部電極層3の主成分をNiにした場合には、誘電体が還元されないように、低酸素分圧(還元雰囲気)で焼成するという方法がとられている。一方、誘電体は還元されないようにその組成比をストイキオ組成からずらす等の手法がとられている。
内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。
外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
次に、積層セラミックコンデンサ1の製造方法を説明する。本実施形態では、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
(1)まずは、誘電体層用ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体層用ペーストは、本発明のセラミック塗料で構成される。
セラミック塗料
本発明のセラミック塗料は、セラミック原料と、硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを含有する反応硬化型の塗料である。
セラミック原料
セラミック原料(誘電体原料)には、前述した誘電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料と、必要に応じて焼結助剤を構成する原料とが用いられる。
本実施形態では、主成分を構成する原料として、Ba2+、Sr2+、Ca2+を含み、等電点が9〜12のものを用いることが好ましい。等電点を所定範囲とすることで、塗料化時の各原料成分の凝集を防止することができる。等電点が上記範囲から外れると、Baイオンの溶出が大きくなってしまい、セラミック塗料がゲル化し易くなってしまう。
主成分を構成する原料としては、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrを含有する複合酸化物および/または焼成により複合酸化物になる化合物が用いられる。副成分を構成する原料としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Sn,W,Ba,Ca,Mn,Mg,Cr,Si,およびPの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物から選ばれる1種類以上、好ましくは3種類以上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。
誘電体原料には、必ずしも焼結助剤を含ませる必要はないが、焼結助剤を含ませる場合には、たとえばSiまたはLiの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。焼成により酸化物になる化合物としては、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が例示される。もちろん、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物とを併用してもよい。
これらの原料粉末は、通常、平均粒子径0.005〜5μm程度、好ましくは0.1〜0.25μm程度のものが用いられる。
このような原料粉末から誘電体原料を得るには例えば下記のようにすればよい。まず、出発原料を所定の量比に配合し、例えば、ボールミル等により湿式混合する。次いで、スプレードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼し、主成分を構成する上記式の誘電体酸化物を得る。なお、仮焼は、通常500〜1300℃、好ましくは500〜1000℃、さらに好ましくは800〜1000℃にて、2〜10時間程度、空気中にて行う。次いで、ジェットミルあるいはボールミル等にて所定粒径となるまで粉砕し、誘電体原料を得る。得られた誘電体原料の粒径は、好ましくは0.1〜0.25μm程度である。なお、副成分と、焼結助剤(SiOまたはLiOなど)とは、それぞれ主成分とは別に仮焼きし、得られた誘電体原料に混合される。
硬化性アクリル樹脂
本発明で使用される硬化性アクリル樹脂は、反応硬化性のアクリル系重合体又は共重合体で構成されている樹脂である。本発明で使用されるこの硬化性アクリル樹脂は、酸価が特定の範囲に制御されていることが特徴である。この点については後述する。
以下の説明では、上述のアクリル系重合体又は共重合体が、「(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸と、必要に応じて添加される官能性単量体と、共単量体とを、共重合して構成される」場合を、一実施形態として、例示して説明する。
(メタ)アクリル酸エステル
(メタ)アクリル酸エステルとは、通常、炭素数が30以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸などのエステルを意味する。本発明で使用される硬化性アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸エステルは、実質的に酸価を構成しない成分となる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが例示される。特に、メタクリル酸アルキルエステルの一例としてのメチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、アクリル系重合体又は共重合体を構成する全単量体の合計100重量%中、例えば50重量%以上、好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜99重量%程度の量が好適である。
(メタ)アクリル酸
(メタ)アクリル酸とは、通常、炭素数が30以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸を意味する。(メタ)アクリル酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などが挙げられる。(メタ)アクリル酸は、酸価を構成する成分であり、上記(メタ)アクリル酸エステル中に遊離脂肪酸として、含有されている場合が多い。
本実施形態においては、硬化性アクリル樹脂において、酸価を構成する成分と、酸価を実質的に構成しない成分とを、重量比で、(酸価を構成する成分:実質的に酸価を構成しない成分)=1:99〜5:95の範囲とする。すなわち、酸価を構成する成分である(メタ)アクリル酸単量体単位と、酸価を実質的に構成しない成分である(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを、重量比で、1:99〜5:95の範囲とすることが好ましい。
酸価を構成する成分と、酸価を実質的に構成しない成分とを、このような比率とすることにより、硬化性アクリル樹脂の酸価を2〜10mg・KOH/gの範囲に制御することができる。なお、本実施形態において、酸価(単位は、mg・KOH/g)とは、硬化性アクリル樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに必要なKOHの重量(単位、mg)を表したものである。酸価が低いということは、硬化性アクリル樹脂中における酸量が少ないことを意味し、一方、酸価が高いということは、酸量が多いことを意味する。酸価が低すぎると、得られるグリーンシートの強度が不十分となり、保形成に劣ってしまい、結果として良好な積層体を得ることができない。一方、酸価が高すぎると、セラミック塗料がゲル化してしまうため、塗布することができなくなってしまう。なお、酸価を構成する成分(本実施形態では、(メタ)アクリル酸)は、硬化性アクリル樹脂中に共重合した状態で含有されていても良いし、あるいは、硬化性アクリル樹脂に共重合されずに、遊離した状態となっていても良い。
官能性単量体
官能性単量体とは、上述の(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸と共重合するためのラジカル重合性不飽和基の他に、少なくとも1個の官能性基を有する単量体を意味する。官能性単量体としては、官能性基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、水酸基、または、メルカプト基などを有する単量体が例示される。
官能性単量体の具体例としては、アミド基もしくは置換アミド基含有単量体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド(好ましくは、アクリルアミド、メタクリルアミド)など); アミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体(例えば、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(好ましくは、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート)など); 水酸基含有単量体(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール(好ましくは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)など); メルカプト基含有単量体(例えば、ビニルメルカプタン、アリルメルカプタンなど);等が例示される。これらの官能性単量体のうち、アミド基含有単量体及び置換アミノ基含有単量から選択される少なくとも1種以上の単量体を用いるのが特に好ましい。上記各単量体は、1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。官能性単量体の使用量は、アクリル系重合体又は共重合体を構成する全単量体の合計100重量%中、例えば20重量%以下、好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%程度の量を例示できる。
共単量体
共単量体とは、上記した(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、及び官能性単量体と共重合可能な単量体を意味する。共単量体としては、飽和脂肪酸ビニルエステル単量体(例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど); α,β−不飽和ジカルボン酸の炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐アルキルエステル(例えば、ジブチルマレート、ジブチルフマレート、ジブチルイタコネート、ジオクチルマレート、ジオクチルフマレート、ジオクチルイタコネートなど); 芳香族ビニル単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなど); シアン化ビニル単量体(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど); イソシアネート類(トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);等が例示される。
共単量体の使用量は、アクリル系重合体又は共重合体を構成する全単量体の合計100重量%中、一般に50重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下程度の量が好適である。
アクリル系重合体又は共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来から一般的に知られている溶液重合、乳化重合など公知の重合方法を採用できるが、重合により得られた(共)重合体混合物から、本発明のセラミック塗料を製造するに当たって、処理工程が比較的簡単で且つ短時間で行い得る溶液重合の採用が好ましい。溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体混合物、重合開始剤、および、必要に応じて用いる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中または有機溶媒の還流温度で、攪拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。
なお、一実施形態に係る硬化性アクリル樹脂においては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、必要に応じて添加される官能性単量体、共単量体の種類や添加比率を適宜選択することにより、熱硬化に適した熱硬化型の硬化性アクリル樹脂としたり、あるいは、紫外線硬化に適した紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂とすることができる。また、硬化性アクリル樹脂を、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂とする場合には、セラミック塗料中に、熱重合開始剤を添加することが好ましい。同様に、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂とする場合には、セラミック塗料中に、紫外線重合開始剤を添加することが好ましい。
ガラス転移温度
本発明で使用されるアクリル系重合体又は共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、0〜50℃、好ましくは0〜30℃、より好ましくは0〜20℃、特に好ましくは0〜10℃である。Tgが高すぎると、シート化した際のグリーンシート強度が高くなり過ぎ、可撓性が低下し、割れやすくなる傾向がある。Tgが低すぎると、シート強度が低くなり過ぎ、保形性を満足することができない。
なお、アクリル系重合体又は共重合体のTgは、主成分の(メタ)アクリル酸エステルに共重合させる官能基の種類を選択することで、変化させることが可能である。
分子量
本発明で使用可能なアクリル系重合体又は共重合体は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5万〜50万、より好ましくは10万〜50万である。Mwが高すぎると、このようなアクリル系重合体又は共重合体の製造が困難となるばかりでなく、最終的なセラミック塗料の粘度が高くなり過ぎる不都合を生じる傾向がある。Mwが低すぎると、グリーンシートのシート強度が低下する傾向にある。特に、本実施形態に係る硬化性アクリル樹脂は、酸価が上記範囲に制御されているため、従来において、問題となっていたMwを比較的に大きくした場合における塗料のゲル化を有効に防止することができる。
本発明では、上述のアクリル系重合体又は共重合体として、例えば、ポリエステルアクリレート2官能共重合体、ウレタンアクリレート2官能共重合体、(メチルメタアクリレート2官能共重合体(以上、日本カーバイド工業社製)、エチルメタアクリレート2官能共重合体、n−ブチルメタアクリレート2官能共重合体(以上、(東亜合成化学)社製)など市販されているものを使用することもできる。
アクリル系重合体又は共重合体の含有量は、セラミック原料100重量部に対して、好ましくは6〜12重量部(但し、12重量部を除く)、より好ましくは8〜12重量部(但し、12重量部を除く)、さらに好ましくは10〜12重量部(但し、12重量部を除く)である。アクリル系重合体又は共重合体の含有量は少なすぎると、シートの保形性がなく、シート化することが困難になる傾向がある。アクリル系重合体又は共重合体の含有量の増加に伴ってシート強度は向上するが、含有量が多すぎると、シート成形時にクラックが入る不都合を生じる。
重合開始剤
重合開始剤としては、硬化性アクリル樹脂として、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、熱重合開始剤を使用することが好ましい。熱重合開始剤としては、加熱により、ラジカル(活性種)を発生し、該ラジカルが上述のアクリル系重合体又は共重合体の反応基に反応し、ラジカル重合を開始させることが可能な化合物であれば特に限定されない。本実施形態では、重合開始剤としては、アミンを使用することが好ましい。
このようなアミンとしては、窒素元素に、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が結合した構造を有するものが、例示される。具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族第一級アミン; ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族第二級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族第三級アミン; アニリン、トルイジンなどの芳香族第一級アミン;ジフェニルアミンなどの芳香族第二級アミン; トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミンなどが挙げられる。これらのなかでも、脂肪族第一級アミン、脂肪族第二級アミン、芳香族第一級アミン、芳香族第一級アミンが好ましい。
熱重合開始剤の含有量(配合量)は、アクリル系重合体又は共重合体100重量部に対して、好ましくは1〜6重量部(但し、6重量部を除く)、より好ましくは3〜6重量部(但し、6重量部を除く)である。重合開始剤の含有量が少なすぎると、硬化不良を生じることがあり、逆に多すぎると、得られるグリーンシートの可撓性が悪化してしまう場合がある。
あるいは、硬化性アクリル樹脂として、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、紫外線重合開始剤を使用することが好ましい。紫外線重合開始剤としては、紫外線の照射によってラジカル(活性種)を発生し、該ラジカルが上述のアクリル系重合体又は共重合体の反応基に反応し、ラジカル重合を開始させることが可能な化合物であれば特に限定されない。本発明では、紫外線重合開始剤として、好ましくは、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンジルアセトフェノン系化合物及びベンジルフェノン系化合物から選択される1つ以上の化合物を用いる。これらの群の1つ以上の化合物を用いることにより、上記樹脂を硬化させる際に過剰硬化を防止でき、結果的にグリーンシートへの可撓性を付与できる。
アセトフェノン系化合物としては、例えばジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ベンジルアセトフェノン系化合物としては、ジベンジルアセトフェノンなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ベンジルフェノン系化合物としては、ジベンジルフェノンなどが挙げられる。これらは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
紫外線重合開始剤の含有量(配合量)は、アクリル系重合体又は共重合体100重量部に対して、好ましくは0.5〜3.0重量部、より好ましくは1.0〜2.0重量部である。重合開始剤の含有量が少なすぎると、硬化不良を生じることがあり、逆に多すぎると過剰硬化反応によりシート強度,伸び物性面での脆さが生じる不都合がある。
溶媒
本発明のセラミック塗料には、上述した、セラミック原料と、硬化性アクリル樹脂の他に、通常は、さらに溶媒を含有する。
溶媒としては、アクリル系重合体又は共重合体の製造に際して使用される、芳香族炭化水素類、脂肪族系もしくは脂肪族炭素化水素類、エステル類、ケトン類、アルコール類などが用いられる。これらの溶媒は、使用に際して、それぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
溶媒の含有量は、セラミック原料100重量部に対して、好ましくは200〜300重量部、より好ましくは240〜270重量部である。溶媒量が少なすぎると、樹脂を溶解しきれず、セラミック塗料が得られない。逆に多すぎると、溶媒が乾燥工程で飛びにくくなり、残留溶媒が多くなって、高強度のグリーンシートが得られない傾向がある。
本発明のセラミック塗料は、セラミック原料、アクリル系重合体又は共重合体、及び重合開始剤を、合計で、セラミック塗料全体100重量%に対して、好ましくは25〜35重量%、より好ましくは28〜31重量%含有しており、その粘度は、好ましくは20〜80cps、より好ましくは40〜60cps(回転粘度計;25℃;10rpm)程度であるのがよい。
その他の成分
本発明のセラミック塗料には、必要に応じて、分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電助剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10重量%以下とすることが望ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤を配合する場合の塗料中における可塑剤の重量割合は、特に限定されず、アクリル系重合体又は共重合体100重量部に対して、好ましくは40〜70重量部である。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
本実施形態では、上述したセラミック原料と、アクリル系重合体又は共重合体と、重合開始剤と、溶媒とは、例えばボールミル等で混合することにより、本発明のセラミック塗料からなる誘電体層用ペースト(スラリー)を得ることができる。なお、混合に際し、セラミック原料を溶媒で一次混合して一次分散液を得た後、この一次分散液に、上記アクリル系重合体又は共重合体と、重合開始剤とを、上記の含有量となるように添加、分散させて調製してもよい。可塑剤などのその他の成分を添加する場合には、二次混合する際に、添加して、混合させるようにすればよい。
(2)次に、誘電体層用ペーストをシート化する。
本実施形態では、前記誘電体層用ペーストを用いて、図1に示す層間誘電体層2および外側誘電体層2aを成形することができるが、以下の説明では、特に、膜厚が薄い層間誘電体層2を成形する場合を主として説明する。
本実施形態では、誘電体層用ペーストをシート化するための手段として、ノズルコート法、ドクターブレード法などが用いられる。具体的には、誘電体層用ペーストを、ノズルコート法やドクターブレード法などによってキャリアシート上に、所定厚さで塗布し、グリーンシートを形成する。
グリーンシートは、キャリアシートに形成された後に乾燥される。グリーンシートの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃(但し、100℃を除く)であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥温度が低すぎると、残留溶剤が残り、保形性を保てず、グリーンシートの強度が低下する。逆に高すぎると、溶媒が急激に蒸発してシート表面が荒れるため好ましくない。
乾燥後のグリーンシートの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後のグリーンシートの厚みは、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは0.5〜1μmである。
キャリアシートとしては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシートの厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
(3)キャリアシートの上にグリーンシートを形成して乾燥した後に、硬化性アクリル樹脂を反応、硬化させる。具体的には、硬化性アクリル樹脂として、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、グリーンシートを加熱することにより、グリーンシートに含まれる硬化性アクリル樹脂を硬化させる。あるいは、硬化性アクリル樹脂として、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、紫外線を照射して、グリーンシートに含まれる硬化性アクリル樹脂を硬化させる。こうすることで、後述の内部電極パターンの形成の際に、グリーンシートがシートアタックされることがなくなる。
熱硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、セラミック塗料を硬化する際の加熱温度は、80〜100℃(但し、100℃を除く)とすることが好ましい。加熱温度が低すぎると、硬化時間が長くなったり、硬化が不十分となり、逆に、加熱温度が高すぎると、樹脂の硬化は促進されるが脆くなる傾向にある。
あるいは、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用する場合には、セラミック塗料の硬化に用いられる紫外線の照射量は、ランプの強度、照射される面までの距離および照射時間を調節することにより照射線量を調節でき、該照射線量は照射面を積算光量計を用いて測定して、好ましくは50〜500mJ/cm(但し、500mJ/cmを除く)、より好ましくは100〜500mJ/cm(但し、500mJ/cmを除く)とする。照射線量が少なすぎると、硬化時間が長くなり、逆に照射線量が多くなりすぎると、樹脂の硬化は促進されるが脆くなる傾向にある。
上記のようにして成形されたグリーンシートは、図1に示す層間誘電体層2を構成する部分であり、好ましくは0.5〜3μm程度の膜厚を有する。この層間誘電体層用グリーンシートとは別に、好ましくは100μm以上、さらに好ましくは140μm以上、特に好ましくは250μm以上の膜厚を有する外側誘電体層用グリーンシートを形成する。
(4)次に、この層間誘電体層用グリーンシートの表面には、図1に示す内部電極層3となる内部電極層用ペーストが所定パターンで塗布乾燥され、内部電極パターンが形成される。
内部電極層用ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
内部電極層用ペーストを製造する際に用いる導体材料としては、NiやNi合金さらにはこれらの混合物を用いる。このような導体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導体材料の平均粒子径は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いればよい。
(5)次に、内部電極層用ペーストが塗布された層間誘電体層用グリーンシートを交互に積層すると共に、その積層方向の外側両端部に、外側誘電体層用グリーンシートを単層または複層で積層する。
(6)次に、得られた積層体を、所定の積層体サイズに切断し、グリーンチップとした後、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を経て形成された、焼結体で構成されるコンデンサ素子本体10に、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4,4を形成して、積層セラミックコンデンサ1が製造される。なお、外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された積層セラミックコンデンサ1は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
上述した実施形態では、本発明に係る塗料組成物を用いて、積層セラミックコンデンサを製造しているが、本発明に係る塗料組成物を用いて製造される電子部品としては、図1に示すように、内部電極層3が多数積層してある積層セラミックコンデンサに限定されない。たとえば、図1では、内部電極層3が多数積層してあるが、内部電極が1対のみ、または複数対のみしか積層されないコンデンサやその他の電子部品もある。
また、上述した実施形態では、層間誘電体層用グリーンシートの表面に、内部電極パターンを印刷法で形成した後、またはその前に、グリーンシート上の内部電極パターンが形成されていない表面隙間(余白パターン部分)に、内部電極パターンと実質的に同じ厚みの余白パターン層を形成してもよい。これにより段差の発生を防止することができる。余白パターン層を形成するためのペーストは、層間誘電体層用グリーンシートに含まれるセラミック原料と同じ組成かつ同じ平均粒径を有するセラミック原料と、有機ビヒクルとを含有するようにする。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1(試料番号2)
まず、下記の各ペーストを準備した。
誘電体層用ペーストA
出発原料として、主成分原料:BaTiO(平均粒径0.2μm/堺化学工業社製BT02粉)と、副成分原料とを準備した。副成分原料としては、主成分原料100モルに対し、2モルのYと、2モルのMgOと、0.4モルのMnOと、0.1モルのVと、3モルの(Ba0.6 Ca0.4 )SiOとを用いた。これらの出発原料100重量部と、分散剤(高分子系分散剤/サンノプコ社製、SN5468)1重量部と、エタノール100重量部とを、ジルコニアボール(2mmφ)とともにポリエチレン容器に投入し、16時間混合して誘電体混合溶液を得た。この誘電体混合溶液を乾燥温度120℃で12時間乾燥し、誘電体原料(粉末状)を得た。
得られた誘電体原料:100重量部と、溶剤:250重量部(MEK:トルエン=71.5:28.5(重量比))と、ブロック型分散剤1重量部(ユニケマ(株)社製JP4)とをボールミルで4時間混合行って一次分散させた。
一次分散後の分散物に、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂:10重量部と、熱硬化開始剤としてのアミン系化合物(日本カーバイド社製の商品名 SD−326)5重量部とを添加してボールミルにて16時間混合し、二次分散させて、誘電体層用ペーストを得た。
なお、本実施例(表1の試料番号2)においては、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂としては、酸価を構成する成分として、アクリル酸を使用し、酸価を実質的に構成しない成分として、メタクリル酸メチルを使用することにより、製造された硬化性アクリル樹脂を使用した。また、本実施例においては、硬化性アクリル樹脂としては、酸価を構成する単量体単位と、酸価を実質的に構成しない単量体単位との含有量を、重量比で1:99とした。
酸価の測定
硬化性アクリル樹脂の酸価(単位は、mg・KOH/g)は、JIS K 2501に準拠した方法により測定した。得られた結果を表1に示す。
Tgの測定
硬化性アクリル樹脂のTgは、次のようにして測定した。まず、樹脂をラッカー状とし、ラッカー状とした樹脂を成膜し、次いで溶剤を乾燥させることにより、フィルム化した。フィルム化した硬化性アクリル樹脂を、RIGAKU社製の示差走査熱分析器(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で、−150℃から+150℃まで昇温して示差走査熱量を測定し、得られた吸熱曲線を微分して変極点を求め、この変極点をTgと判断した。
Mwの測定
硬化性アクリル樹脂のMwは、まず、移動相溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定を行い、得られた結果を、標準ポリスチレン換算値として算出することにより求めた。
セラミック塗料の粘度の測定
セラミック塗料の粘度(単位は、cps)の測定は、B型粘度計を使用して、せん断速度10rpm、測定温度25℃における粘度を測定することにより、スラリー粘度の評価を行った。
セラミック塗料のゲル化の有無
セラミック塗料のゲル化の有無は、得られた塗料を20分間静置し、静置後の塗料を、所定の容器に流し、流動性の有無を確認することにより評価した。塗料が液体の状態を保ち、流動性を有している場合には、ゲル化は「無し」と判断し、塗料が固体化してしまい、流動性を失っている場合には、ゲル化は「有り」と判断した。
誘電体層用ペーストB
上記誘電体層用ペーストAの一次分散後の分散物と同じ分散物を作製し、この分散物に、硬化性アクリル樹脂を加えないで、熱可塑性アクリル樹脂(藤倉化成社製のMM747樹脂)10重量部を添加した以外は、誘電体層用ペーストAと同様にして、誘電体層用ペーストBを得た。
内部電極層用ペースト
平均粒径が0.2μmのNi粒子100重量部に対して、BaTiO粉末(平均粒径0.2μm/堺化学工業社製BT02粉):20重量部、有機ビヒクル:58重量部(ポリビニルブチラール樹脂8重量部をターピネオール92重量部に溶解したもの)、可塑剤としてフタル酸ビス(2エチルヘキシル)DOP:50重量部、ターピネオール:5重量部、分散剤:1重量部、アセトン:45重量部を添加して、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストとした。
積層体ユニットU1の作製
まず、誘電体層用ペーストAを、表面にシリコーン系樹脂により剥離処理を施したPETフィルム上にノズルコート法により塗布した後、乾燥することにより下側グリーンシートを形成した。乾燥炉内にシートを連続して送り込み乾燥を行い、乾燥炉内の温度を80℃とし、乾燥時間は2分間であった。下側グリーンシートは、乾燥時の膜厚が0.5μmとなるように形成した。
次に、得られた下側グリーンシートを加熱処理炉に通し、
硬化温度:80℃、
硬化時間:5分、
の条件下で、加熱による硬化処理を行った。
加熱による硬化処理後の下側グリーンシートについて、シート強度とシート伸びについて評価した。
シート強度の評価
シート強度は次のようにして評価した。インストロン引張試験機5543を用い、シートをダンベル型形状に型抜いて所定の引張スピードでシートを両端側から引っ張り、破断時の強度をシート強度とした。本実施例では、シート強度が6MPa以上の場合を良好と判断した。結果を表1に示す。
シート伸びの評価
シート伸びは次のようにして評価した。インストロン引張試験機5543を用い、シートをダンベル型形状に型抜いて所定の引張スピードでシートを両端側から引っ張り、破断時の伸びをシート伸びとした。本実施例では、シート伸びが10%以上の場合を良好と判断した。結果を表1に示す。
次に、その下側グリーンシート上に、内部電極用ペーストを用いて、スクリーン印刷機により印刷し、次いで、90℃および10分の条件で乾燥し、所定パターンを有する電極パターン層を形成した。内部電極層は、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。
次に、第1層目の電極パターン層を形成した下側グリーンシートの前記電極パターン層の上に、誘電体層用ペーストAを、ノズルコート法により塗布した後、乾燥することにより中間グリーンシートを得た。乾燥炉内にシートを連続して送り込み乾燥を行い、乾燥炉内の温度を所定温度(下側グリーンシートの場合と同じ温度)とし、乾燥時間は2分間であった。中間グリーンシートは、乾燥時の膜厚が1μmとなるように形成した。
次に、得られた中間グリーンシートを加熱処理炉に通し、下側グリーンシートの場合と同じ条件の下で、加熱による硬化処理を行った。
次に、この中間グリーンシートの表面に、第1層目の電極パターン層と同様にして、第2層目の電極パターン層を形成した。
次に、乾燥後の第2層目の電極パターン層の表面に、誘電体層用ペーストBを用いて、ノズルコート塗布により、上側グリーンシートを形成した。このシートを80℃の乾燥炉内に連続的にシートを送り込んで溶剤を乾燥させた。乾燥時間は2分で行った。乾燥後の上側グリーンシートの厚さは0.5μmであった。
このようにしてPETフィルムの上に、下側グリーンシート、第1層目の電極パターン層、中間グリーンシート、第2層目の電極パターン層、および上側グリーンシートから成る積層体ユニットU1を形成した。
グリーンチップの作製
PETフィルムから剥がした積層体ユニットU1を多数準備し、電極パターン層の積層数が合計で100層となるように熱圧着して積層して積層体を得た。熱圧着時の条件は、100MPaおよび70℃の条件であった。
次に、得られた積層体を、ダイシング加工機によって、切断することにより、焼成前のグリーンチップを得た。
得られたグリーンチップについて、シートアタックの有無について観察した。
シートアタックの有無の測定
得られたグリーンチップのサンプルについて、シートアタックの発生度合いを測定した。測定は、まず、50個のグリーンチップサンプルを、誘電体層および内部電極層の側面が露出するように、2液硬化性エポキシ樹脂中に埋め込み、その後、2液硬化性エポキシ樹脂を硬化させた。次いで、エポキシ樹脂中に埋め込んだグリーンチップサンプルを、サンドペーパーを使用して、深さ1.6mmまで研磨した。なお、サンドペーパーによる研磨は、#400のサンドペーパー、#800のサンドペーパー、#1000のサンドペーパーおよび#2000のサンドペーパーを、この順に使用することにより行った。次いで、サンドペーパーによる研磨面を、ダイヤモンドペーストを使用して、鏡面研磨処理を施した。そして、光学顕微鏡を使用し、鏡面研磨処理を行った研磨面を、拡大倍率400倍にて、観察し、シートアタックの有無を調べた。光学顕微鏡による観察の結果、全測定サンプルに対する、シートアタックが発生していたサンプルの比率を、シートアタック比率とした。結果を表1に示す。
なお、シートアタックが生じているか否かについては、グリーンシートの厚みが、他の部分に比較して、50%以下に極端に薄くなっている部分があるか否かで判断した。
グリーンチップの焼成など
得られたグリーンチップを、脱バインダ処理、焼成およびアニール(熱処理)を行って、チップ形状の焼結体を作製した。脱バインダは、昇温速度:50℃/時間、保持温度:240℃、保持時間:8時間、雰囲気ガス:空気中、で行った。焼成は、昇温速度:300℃/時間、保持温度:1200℃、保持時間:2時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気ガス:露点20℃に制御されたNガスとH(5%)との混合ガス、で行った。アニール(再酸化)は、保持時間:3時間、冷却速度:300℃/時間、雰囲気用ガス:露点20℃に制御されたNガス、で行った。なお、雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
次に、チップ形状の焼結体の端面をサンドブラストにて研磨したのち、In−Ga合金ペーストを端部に塗布し、その後、焼成を行うことにより外部電極を形成し、図1に示す構成の積層セラミックコンデンサのサンプルを得た。焼成後のサンプルの幅0.8mmで、長さ1.6mmであった。
ショート不良率の測定
ショート不良率は、50個のコンデンササンプルを準備し、ショート不良が発生した個数を調べて測定した。具体的には、絶縁抵抗計(HEWLETT PACKARD社製E2377Aマルチメーター)を使用して、抵抗値を測定し、抵抗値が100kΩ以下となったサンプルをショート不良サンプルとし、全測定サンプルに対する、ショート不良サンプルの比率をショート不良率とした。本実施例では、ショート不良率が0%の場合を良好と判断した。結果を表1に示す。
実施例2
下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを形成するための誘電体層用ペーストAとして、表1に示す各条件を変更した以外は、実施例1(試料番号2)と同様にして、セラミック塗料、グリーンシート、グリーンチップサンプルおよびコンデンササンプルを作製し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
すなわち、実施例2においては、表1に示すように、以下の各条件を変更した試料を作製した。
酸価を構成する単量体単位と、酸価を実質的に構成しない単量体単位との比率を変化させた硬化性アクリル樹脂(試料番号1,3,4)、Mwを変化させた硬化性アクリル樹脂(試料番号11〜13)、Tgを変化させた硬化性アクリル樹脂(試料番号21〜24)に、それぞれ変更した。さらに、セラミック塗料を製造する際に、硬化性アクリル樹脂の種類以外の条件として、硬化性アクリル樹脂の含有量(試料番号31〜33)、BaTiOの等電点(試料番号41,42)、硬化処理の温度(試料番号51〜53)、乾燥温度(試料番号61〜63)、および溶剤の含有量(試料番号71,72)を、それぞれ変化させた。
なお、硬化性アクリル樹脂のTgは、官能基を変更することにより変化させた。また硬化性アクリル樹脂のMwについては重合度を変更することにより変化させた。
Figure 0004692116
なお、表1中、酸価構成成分の比率は、「酸価を構成する成分の比率/実質的に酸価を構成しない成分」を重量比で表した。
評価1
表1に示すように、誘電体層用ペーストのバインダとして使用した硬化性アクリル樹脂の酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分との比を、0:100(重量比)とし、酸価を0mg・KOH/gとした場合(試料番号1)には、セラミック塗料のゲル化は防止できるものの、得られるグリーンシートの保形性が著しく悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。また、硬化性アクリル樹脂の酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分との比を、10:90(重量比)とし、酸価を20mg・KOH/gとした場合(試料番号4)、セラミック塗料がゲル化してしまい、グリーンシートを形成することができなかった。これに対し、硬化性アクリル樹脂の酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分との比を、本発明の範囲内とし、酸価を2〜10mg・KOH/gの範囲とした場合(試料番号2,3)には、セラミック塗料のゲル化を有効に防止しつつ、得られるグリーンシートの保形性を良好に保ちつつ、しかも、シートアタックを防止し、ショート不良を低減できることが確認できた。
また、バインダとしての硬化性アクリル樹脂のMwが5万を下回る場合(試料番号11)は、シート化した際のシート強度に問題があり、ショート不良を評価できなかった。Mwが50万を上回る場合は、樹脂を作製することができなかった(試料番号14)。
バインダとして使用した硬化性アクリル樹脂のTgが0℃を下回った場合(試料番号21)には、得られるグリーンシートの保形性が悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。また、50℃を上回った場合(試料番号24)には、得られるグリーンシートの保形性が著しく悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。
誘電体層用ペースト中の硬化性アクリル樹脂の含有量が少なすぎても(試料番号31)、多すぎても(試料番号33)、シート化する際の保形性が著しく悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。
使用するBaTiOの等電点が低すぎても(試料番号41)、高すぎても(試料番号42)、セラミック塗料がゲル化してしまう結果となった。
硬化性アクリル樹脂を反応させる際の加熱温度を本発明の範囲外とした場合(試料番号51,53)、グリーンシートを乾燥させる際の温度を本発明の範囲外とした場合(試料番号61,63)、およびセラミック塗料に含有させる溶媒の量を本発明の範囲外とした場合(試料番号71,72)においては、いずれも、シート化する際の保形性が著しく悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。
実施例3
熱硬化型の硬化性アクリル樹脂の代わりに、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂を、熱重合開始剤5重量部の代わりに、紫外線重合開始剤としてのベンゾフェノン系化合物(日本カーバイド社製の商品名 SD−0314)1重量部を使用し、さらに、硬化性アクリル樹脂の硬化条件を以下のように変更した以外は、実施例1,2と同様にして、セラミック塗料、グリーンシート、グリーンチップサンプルおよびコンデンササンプルを作製し、同様な測定を行った。
なお、硬化性アクリル樹脂の硬化は、下側グリーンシートおよび中間グリーンシートを紫外線処理炉に通し、
処理温度:室温、
照射線量:表2参照(単位はmJ/cm)、
照射時間:5秒、
の条件下で、紫外線を照射することにより行った。
また、実施例3においては、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂としては、硬化性アクリル樹脂としては、酸価を構成する成分として、アクリル酸を使用し、酸価を実質的に構成しない成分として、メタクリル酸メチルを使用することにより、製造された硬化性アクリル樹脂を使用した。
Figure 0004692116
なお、表2中、酸価構成成分の比率は、「酸価を構成する成分の比率/実質的に酸価を構成しない成分」を重量比で表した。
評価2
表2の試料番号101〜124の結果より、熱硬化型の硬化性アクリル樹脂の代わりに、紫外線硬化型の硬化性アクリル樹脂を使用した場合にも、同様の結果が得られることが確認できる。
また、紫外線の照射線量が少なすぎても(試料番号151)、多すぎても(試料番号152)、シート化する際の保形性が著しく悪化してしまい、グリーンチップを形成することができなかった。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
符号の説明
1…積層セラミックコンデンサ
10…コンデンサ素子本体
2…層間誘電体層
2a…外側誘電体層
3…内部電極層
4…外部電極

Claims (13)

  1. セラミック原料と、酸価が2〜10mg・KOH/gの範囲にある硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを、含有し、
    前記硬化性アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万であるグリーンシート形成用のセラミック塗料。
  2. セラミック原料と、硬化性アクリル樹脂と、溶媒とを、含有し、
    前記硬化性アクリル樹脂が、酸価を構成する成分と、実質的に酸価を構成しない成分とを、重量比で、(酸価を構成する成分:実質的に酸価を構成しない成分)=1:99〜5:95の範囲で、含有し、
    前記硬化性アクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万であるグリーンシート形成用のセラミック塗料。
  3. 前記酸価を構成する成分が、(メタ)アクリル酸単量体単位であり、前記実質的に酸価を構成しない成分が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位である請求項2に記載のセラミック塗料。
  4. 前記硬化性アクリル樹脂が、0〜50℃のガラス転移温度(Tg)を持つ請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料。
  5. 前記硬化性アクリル樹脂は、前記セラミック原料100重量部に対して、6〜12重量部(但し、12重量部を除く)含有される請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料。
  6. 前記溶媒は、前記セラミック原料100重量部に対して、200〜300重量部含有される請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料。
  7. 前記硬化性アクリル樹脂が、熱硬化型のアクリル樹脂であり、かつ、
    前記セラミック塗料には、前記熱硬化型のアクリル樹脂を硬化させるための熱重合開始剤が、さらに含まれている請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料。
  8. 前記硬化性アクリル樹脂が、紫外線硬化型のアクリル樹脂であり、かつ、
    前記セラミック塗料には、前記紫外線硬化型のアクリル樹脂を硬化させるための紫外線重合開始剤が、さらに含まれている請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のセラミック塗料を用いてグリーンシートを形成する工程と、
    前記グリーンシートを乾燥させる工程と、
    乾燥後の前記グリーンシートに含有されている硬化性アクリル樹脂を反応させ、前記グリーンシートを硬化させる工程と、
    硬化させた前記グリーンシートの表面に内部電極層用ペーストを塗布し、内部電極パターンを形成する工程と、
    内部電極パターンが形成された前記グリーンシートを積層し、グリーンチップを得る工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程とを、有する積層型電子部品の製造方法。
  10. 請求項に記載のセラミック塗料を用いてグリーンシートを形成する工程と、
    前記グリーンシートを乾燥させる工程と、
    乾燥後の前記グリーンシートを、80〜100℃(但し、100℃を除く)の温度で加熱する工程と、
    加熱後の前記グリーンシートの表面に内部電極層用ペーストを塗布し、内部電極パターンを形成する工程と、
    内部電極パターンが形成された前記グリーンシートを積層し、グリーンチップを得る工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程とを、有する積層型電子部品の製造方法。
  11. 請求項に記載のセラミック塗料を用いてグリーンシートを形成する工程と、
    前記グリーンシートを乾燥させる工程と、
    乾燥後の前記グリーンシートに対して、50〜500mJ/cm(但し、500mJ/cmを除く)の紫外線を照射する工程と、
    紫外線照射後の前記グリーンシートの表面に内部電極層用ペーストを塗布し、内部電極パターンを形成する工程と、
    内部電極パターンが形成された前記グリーンシートを積層し、グリーンチップを得る工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程とを、有する積層型電子部品の製造方法。
  12. グリーンシート形成の際の乾燥温度が、50〜100℃(但し、100℃を除く)である請求項11のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
  13. 乾燥後の前記グリーンシートの厚みが、3μm以下である請求項12のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
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