JP4691979B2 - スリットダイ及びスリット隙間調節方法並びに塗布装置 - Google Patents
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Description
上記顔料分散法の工程の中で最も重要な役割を担う塗布工程では、従来、ガラス基板中央に感光性材料を一定量滴下し、その後ガラス基板を一定速度で回転させることで液を薄く均一に塗り広げる、所謂、スピンコート方式が一般的であった。しかしながら、この方式は材料の廃棄量、顔料の固着による異物の発生、ガラス基板中心部の厚膜化、大型のガラス基板への対応が困難であること等が問題となっていた。
しかし、このスリットダイ方式ではスピンコート方式と違って直接薄膜を塗布するため、スリット隙間がスリットダイの長手方向で不均一であると塗布液の吐出量に差が生じ、塗布膜厚が不均一になったり、また、その膜厚の不均一が原因で縦筋むらが発生したりする事が大きな問題となっていた。
上記問題の解決策として、スリットと水平方向に調節用ネジを設け、その調節用ネジの押し引きによってスリットダイを弾性変形させ、スリット隙間を調節する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、油圧ユニットによってスリットダイを弾性変形させスリット隙間を調節する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、簡易的な調節機構を用いる事でスリットダイ製作時に複雑な加工をする事が無いためイニシャルコストを抑える事ができた。またスリットダイ自体に切り欠きを施す必要が無いため、スリットダイ自体の剛性の低下を抑える事ができた。
また、スリットダイの長手方向の端部及び中央部に配置した複数の調節用ボルトを、その締め付けトルクにより調節し管理する事で、スリット隙間の極微小な調節を簡単に行う事ができ、その結果高精度で再現性の高い塗布が可能となった。
更にまた、上記スリットダイを搭載した塗布装置によれば、膜厚均一性が良好で高品質な塗布基板を提供する事ができた。
つまり、本発明が課題とするスリットダイ及びスリット隙間調節方法及び塗布装置を提供する事ができた。
図1は、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターのような、角型ガラス基板に高精度の塗布膜を形成するためのスリットダイを用いた塗布装置の一例の概略を示す説明図である。図1に示す通り、そのスリットダイ(1)は主に手前側ブロック(2)と奥側ブロック(3)とで構成されている。スリットダイ(1)の内部には、塗布液を一時的に貯留しておくマニホールド(4)と、マニホールドに接続されマニホールド内部の塗布液を外部に吐出するための、極微小な隙間のスリット(5)が形成されている。塗布液の吐出側のスリット端部には、手前側ブロック(2)及び奥側ブロック(3)両側に、狭幅でスリットダイ長手方向に細長く高精度な平面を成しているリップ(8)がある。
なお、図1におけるスリットダイ(1)の断面図は、説明上、本発明の原型となるスリットダイの従来の一例を示したものである。
マニホールド(4)に溜まったエアーは塗布液供給弁(21)とエアー抜き弁(23)を開き、ポンプ(20)を作動させる事で、排出口(7)を通り廃液タンク(24)に排出される。
なお、図9(a)は、図9(b)中、左側の方向からの手前側ブロック(2)の正面図である。また、同様に図10(a)は、図10(b)に示す手前側ブロック(2)の正面図である。
端部調節用ボルトB(33)は固定ボルト(31)の位置よりもスリットダイ先端部側(リップ(8)側)に、端部調節用ボルトA(32)はその逆側にそれぞれ配置されている。
また、図4(c)で示す通り、図4(a)の状態から、端部調節用ボルトA(32)を締めずに、端部調節用ボルトB(33)を締めると、スリットダイの長手方向両端部(E)のスリットダイ先端部(71)のスリット隙間が極微小に狭まる。この時、端部調節用ボルトB(33)の締め付けトルクを大きくするとスリット隙間の狭まる量がやや大きくなり、締め付けトルクを小さくするとスリット隙間の狭まる量がやや小さくなる。
図5(a)で示す通り、スリットダイの長手方向中央部(F)をマクロ的に見ると、スリットダイ(1)は固定ボルト(31)を締め込んだ時、固定ボルト(31)を支点としてスリットダイ先端部(71)及びスリットダイ後端部(72)が極微小に広がっている。
また、図5(c)で示す通り、図5(a)の状態から、中央部調節用押しボルト(34)を締め込まず、中央部調節用ボルト(37)を締めると、スリットダイ先端部(71)のスリット隙間は微小に狭くなる。この時、中央部調節用ボルト(37)の締め付けトルクを大きくするとスリット隙間の狭まる量がやや大きくなり、締め付けトルクを小さくするとスリット隙間の狭まる量がやや小さくなる。
本発明のスリットダイ及び塗布装置として、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造工程において、感光性材料をスリットダイを用いて塗布した場合を説明する。
なお、これらの位置、個数及び配置間隔はスリットダイの長手方向の長さや調節したい位置等により適当に決めてよい。また、中央部調節用押しボルト及び中央部調節用ボルトの位置関係は、逆或いは同じ高さであってもよい。
厚はスリットダイの長手方向で2.0μm±1%(但し両端10mmを除く)とした。
事前にスリットダイ長手方向端部及び中央部において、調節用ボルト及び調節用押しボルトの締め付けトルクとスリット隙間の関係を調べた。締め付けトルクの調節は市販のトルクレンチにて行い、その時の調節用ボルト直下のスリット隙間を倍率1000倍のマイクロスコープを用いて測定した。各調節用ボルトごとに一定の間隔でトルクを変化させ、その時のスリット隙間をグラフ上にプロットし近似曲線を引いた。
中央部調節用ボルト(37)を締め込んだ時、スリット隙間は微小に狭くなり、トルクT3(Nm)以上でスリット隙間S3(μm)にほぼ収束した。
また、中央部調節用押しボルト(34)を締め込んだ時、スリット隙間は微小に広くなり、測定したトルクT4(Nm)、スリット隙間S4(μm)までの範囲では収束しなかった。
また、塗布液量はスリット隙間の3乗に比例する事が知られており、上記グラフより計算する事によって、塗布膜厚と調節用ボルト及び調節用押しボルトの締め付けトルクの関係を把握する事ができた。
図1、図6及び図7に示す通り、図示されてないローダーユニットの搬送ロボットによって、ガラス基板(51)は精密テーブル(44)上に載置され、真空吸着される。塗布液タンク加圧弁(12)は予め開いており、塗布液(17)は常時加圧されている。スリットダイ(1)は図示されていない精密定盤上で予め組み付けられ、天板(41)に固定されている。この時、スリットダイ(1)の各調節用ボルト及び調節用押しボルトは全て締め付けトルク0Nmの状態としている。
一方、Rレジストを塗布したガラス基板(51)は図示されない搬送ロボットによって図示されない膜厚計に載置され、インラインにてスリットダイ(1)の長手方向の塗布膜厚を測定する。
この測定結果とそれぞれの調節用ボルトの位置から、0mm側の端部調節用ボルトBの1箇所、中央部調節用押しボルト8、9、13の3箇所、中央部調節用ボルト6の1箇所を、図8のグラフ及び膜厚計算結果を元にトルクレンチにて適正な値に調節し、再度塗布を行った。その結果、図11で示す通りとなり、膜厚均一性は2.0μm±1%以内に入り、目標を達成する事ができた。
なお、今回の塗布装置では、スリットダイに塗布液を供給する方法としてポンプによる方法を用いたが、圧縮エアー加圧のみによる供給方法を用いても良い。
更にまた、スリットダイは今回使用したタイプでなく、スリットダイの両側からプレートを貼り付ける事でマニホールド及びスリットを形成するタイプでも良い。
2・・・手前側ブロック
3・・・奥側ブロック
4・・・マニホールド
5・・・スリット
6・・・供給口
7・・・排出口
8・・・リップ
9・・・スリット面
10・・・貼り合わせ面
11・・・圧縮クリーンエアー
12・・・塗布液タンク加圧弁
13・・・減圧弁
14・・・圧力計
15・・・フィルタ
16・・・塗布液タンク
17・・・塗布液
18・・・塗布液吸入弁
19・・・一次フィルタ
20・・・ポンプ
21・・・塗布液供給弁
22・・・二次フィルタ
23・・・エアー抜き弁
24・・・廃液タンク
31・・・固定ボルト
32・・・端部調節用ボルトA
33・・・端部調節用ボルトB
34・・・中央部調節用押しボルト
35・・・固定用押しボルト
36・・・押しボルト用座グリ穴
37・・・中央部調節用ボルト
41・・・天板
42・・・垂直方向精密駆動装置
43・・・水平方向精密駆動装置
44・・・精密テーブル
51・・・ガラス基板
52・・・ビード
53・・・塗布膜
71・・・スリットダイ先端部
72・・・スリットダイ後端部
A・・・塗布開始上位置
B・・・塗布開始位置
C・・・塗布終了位置
D・・・塗布終了上位置
E・・・長手方向両端部
F・・・長手方向中央部
Claims (3)
- 複数の金属製構造物を組み合わせて一定の容積を有するマニホールドとマニホールドに接続された極狭幅のスリットを形成し、該スリットの出口部両側には狭幅のリップを有し、該マニホールドへ外部より液を供給する経路とマニホールドから外部へエアーを排出する経路を有するスリットダイにおいて、
スリットダイの長手方向両端部に、スリット隙間を調節するために、固定ボルトと、この固定ボルトの位置よりスリットダイ先端部側の端部調節用ボルトBと、スリットダイの後端部側の端部調節用ボルトAが設けられ、
スリットダイの長手方向中央部に、スリット隙間を調節するために、固定ボルトと、この固定ボルトの位置よりスリットダイ先端部側の中央部調節用押しボルトと、この中央部調節用押しボルトの位置よりさらにスリットダイ先端部側に設けられた中央部調節用ボルトが設けられたことを特徴とするスリットダイ。 - 請求項1に記載のスリットダイを用いて、前記複数の調節用ボルトの締め付けトルクの大小を調節することで、スリット隙間を調節することを特徴とするスリット隙間調節方法。
- 請求項1に記載のスリットダイを搭載したことを特徴とする塗布装置。
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