JP4691476B2 - クロマトグラフィー用キット,試験容器 - Google Patents
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Description
第1の利点は,受け入れ部の前記内断面の面積が試験容器の開口に近づくにつれて大きくなる形状を有していることに起因する。第2の利点は,中間部の前記内断面の面積が試料収容部よりも小さいため,試料収容部と中間部の間に段差部が形成される点と,受け入れ部の前記内断面の面積が試験容器の開口に近づくにつれて大きくなる形状を有しているため,試験容器が転倒した時に試験容器の長手方向が水平よりも上向きになる点に起因する。第3の利点は,中間部の内断面が,試験片が試験容器に挿入されたときに試験片の反転を防止する細長い形状を有する点に起因する。
好ましくは,前記中間部は,第1平面部を有し,前記第1平面部は,前記試験片を前記試験容器に挿入した際の前記試験片の判定部に対応する位置に設けられてもよい。この場合,試験容器が透明である場合,試験片の判定部は,試験容器の側壁を間に挟んで観察されるが,この側壁が曲面であると,試験片の判定部の像が歪んで観察しにくい。本実施形態では,試験片の判定部は,平面である第1平面部を間に挟んで観察されるので,試験片の判定部の像が歪まず観察しやすい。
クロマトグラフィー用キットの試験容器についての記載は,基本的に,この試験容器についても当てはまる。この試験容器は,イムノクロマトグラフィー用試験片と共に用いてもよく,抗原抗体反応を用いないクロマトグラフィー用試験片や,クロマトグラフィーを用いない試験片などと共に用いてもよい。試験片の具体例としては,尿試験紙,水質検査試験紙,ホルムアルデヒド測定用試験紙,湿度インジケーターカード,pH試験紙,リトマス試験紙などが挙げられる。この試験容器は,単体で販売されてもよく,クロマトグラフィー用試験片以外の試験片と共にキットとして販売されてもよい。
図1は,本発明の第1実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す図である。このキットは,一端に試料を受け入れる開口1aを有する試験容器1と,開口1aから試験容器1に挿入されて用いられるイムノクロマトグラフィー用試験片3とを備える。
まず,本実施形態のキットに含まれるイムノクロマトグラフィー用試験片3について説明する。
図2(a),(b)は,図1の試験片3の側面図,正面図である。図2(a),(b)に示すように,試験片3は,表面に粘着層を有するプラスチック板からなる基材5上に,レーヨンの不織布からなる試料添加用部材7と,グラスファイバーの不織布からなる標識保持部材9と,ニトロセルロースの多孔体からなるクロマト用膜担体11と,セルロースの不織布からなる吸収部材13とを備える。試料添加用部材7は,試験容器1に収容された試料に浸漬される試料添加部として機能する。標識保持部材9は,試料添加用部材7に接触して配置され,試料中の被検出物質と抗原抗体反応によって結合する標識物質を保持する標識保持部として機能する。クロマト用膜担体11は,標識保持部材9に接触して配置され,被検出物質と抗原抗体反応によって結合する固定化用物質が固定された判定部を有する。吸収部材13は,クロマト用膜担体11と接触するように配置されている。
試料添加用部材7が試料に浸漬すると,試料は毛細管現象によって標識保持部材9及びクロマト用膜担体11を流れて吸収部材13まで展開される。
次に,本実施形態のキットに含まれる試験容器について説明する。
図3(a)〜(c)は,それぞれ,図1の試験容器1の正面図,平面図及び側面図であり,図3(d)は,図3(a)のI−I断面図である。図3(e),(f)は,それぞれ,図3(b)のII−II断面図,III−III断面図である。
一例では,受け入れ部15の内断面の面積が開口1aに近づくにつれて大きくなるように,受け入れ部15の側壁21が,テーパー状になっている。
図3(a)〜(f)の実施形態及び図4(a)〜(f)の実施形態では,試験容器1の側壁が厚さ一定で中間部18の全体又は一部がくびれることによって中間部18の内断面18aの面積が試料収容部17の内断面17aよりも小さくなっているが,別の実施形態では,中間部18の全体又は一部のくびれの代わりに又はこれと共に,試験容器1の側壁が中間部18の内断面18aを狭めるように厚くなることによって中間部18の内断面18aの面積が試料収容部17の内断面17aよりも小さくなってもよい。
なお,表示24a〜cは,試験容器1に付す代わりに,試験片3の第1判定部11A,第2判定部11B及び対照部11Cに対応する位置に付してもよい。また,表示24a〜cは,「A」,「B」,「!」以外であってもよい。
試験容器1は,透明であっても非透明でもあってもよいが,試験片3の判定部(対照部がある場合は判定部及び対照部)に対応する部分は,透明であることが好ましい。この場合,試験片3を試験容器1から取り出すことなく検査結果の確認が可能であるからである。また,試験容器1は,試料収容部17が透明であることが好ましい。この場合,注入した試料の量を容易に確認することができるからである。試験容器1は,全体が透明であることが好ましい。
次に,本実施形態のキットの使用方法の一例について,図5(a),(b)を用いて説明する。図5(a)は,図1のキットの使用状態を示す正面図であり,図5(b)は,図5(a)のI−I断面図である。
まず,患者の鼻腔吸引液などの検体を展開溶媒に希釈して調製した試料25を試験容器1内に所定量注入する。次に,試験片3を試験容器1に挿入する。
この状態で,10〜20分程度放置すると,試料25が毛管現象により,試料添加用部材7,標識保持部材9,クロマト用膜担体11,吸収部材13を順次移動する。試料25が,標識保持部材9を通過する際に,標識保持部材9に保持されている標識物質(第1,第2及び対照用標識物質)が展開溶媒に溶出する。試料中にFluAウィルス又はFluBウィルスが含まれていると,上述した作用により,第1判定部11A又は第2判定部11Bには青色のライン27aが現れる。また,ウィルスの有無に関わらず,対照部11Cに赤色のライン27bが現れる(図5(a)は,検体中にFluAウィルスが含まれていた場合を示している。)。
次に,本実施形態のキットの試験容器1を用いると,試験容器1が転倒したときでも試験容器1内の試料25が外部に飛び出しくい点について,図6(a),(b)を用いて説明する。図6(a)は,第1及び第2平面部19a,19bが紙面に平行になる向きに試験容器1が転倒したときの状態を示し,図6(b)は,第1及び第2平面部19a,19bが紙面に垂直になる向きに試験容器1が転倒したときの状態を示す。図6(a),(b)は,それぞれ,図3(a),(c)に対応した図である。なお,図示の便宜上,試験容器1中の試料25や,試験容器1に挿入されている試験片3は,図示を省略した。
受け入れ部15の側壁21の傾きが,図6(a)のように試験容器1を見た場合と,図6(b)のように試験容器1を見た場合とで等しい場合,中間部18の幅が試料収容部17の幅より狭くなっている分だけ,受け入れ部15の開口1aでの幅と試料収容部17の幅の差が小さくなり,試験容器1の長手方向の,水平面29からの角度がθ1よりも小さい値であるθ2になる。
図7,図8(a),(b)を用いて,本発明の第2実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットについて説明する。図7は,本実施形態のイムノクロマトグラフィー用キットを示す図である。また,図8(a)は,図7のキットの使用状態を示す正面図であり,図8(b)は,図8(a)のI−I断面図である。
本実施形態のキットは,図1に示す第1実施形態のキットに類似しているが,主に(1)試験容器1の中間部18が第1実施形態よりも長く形成され,試験容器1の全長が試験片3の全長と実質的に等しくなっている点と,(2)試験容器1の中間部18の第1及び第2平面部19a,19bのそれぞれに、突起部23が,2つずつ設けられている点が異なっている。
また,本実施形態のキットの試験容器1には,第1及び第2平面部19a,19bのそれぞれに突起部23が2つずつ設けられているので,試験片3が試験容器1の中間部18の内面へ付着することをさらに確実に防止することができる。
被検出物質は抗原抗体反応を生じる物質であれば特に限定されず,細菌,原生生物や真菌などの細胞,ウィルス,タンパク質,多糖類などが挙げられる。例えば,前記インフルエンザウイルスのほか,パラインフルエンザウイルス,RSウイルス,マイコプラズマニューモニエ,ロタウイルス,カルシウイルス,コロナウイルス,アデノウイルス,エンテロウイルス,ヘルペスウイルス,ヒト免疫不全ウィルス,肝炎ウィルス,重症急性呼吸器症候群の病原ウィルス,大腸菌,スタフィロコッカスアウレウス,ストレプトコッカスニューモニエ,ストレプトコッカスピヨゲネス,マラリア原虫,その他,消化器系疾患,中枢神経系疾患,出血熱等の様々な疾患の病原体,これらの代謝産物,癌胎児性抗原やシフラなどの腫瘍マーカー,ホルモンなどが例示される。
ホルムアルデヒド測定用試験紙を用いることにより,建材や接着剤などから発生するホルムアルデヒドを検出することができる。
湿度インジケーターカードを用いることにより,試料(気体)の湿度を検出することができる。
リトマス試験紙を用いることにより,試料が酸性,中性及びアルカリ性の何れであるかを判定することができる。
Claims (7)
- 一端に試料を受け入れる開口を有する試験容器と,前記開口から前記試験容器に挿入されて用いられるクロマトグラフィー用試験片とを備え,
前記試験片が,前記試験容器に収容された前記試料に浸漬される試料添加部と,前記試料中の被検出物質と結合する標識物質を保持する標識保持部と,前記被検出物質と結合する固定化用物質が固定された判定部とを備え,
前記試験容器は,前記開口を有する受け入れ部と,底部に前記試料を収容する試料収容部と,前記受け入れ部と前記試料収容部との間に位置する中間部とを有し,
前記受け入れ部は,前記試験容器の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積が,前記開口に近づくにつれて大きくなる形状を有し,
前記中間部は,前記試験容器の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積が前記試料収容部の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積よりも小さく,前記試験片が前記試験容器に挿入されたときに前記試験片の反転を防止するように前記中間部の内断面が細長い形状を有するクロマトグラフィー用キット。 - 前記中間部は,第1平面部を有し,
前記第1平面部は,前記試験片を前記試験容器に挿入した際の前記試験片の判定部に対応する位置に設けられる請求項1に記載のキット。 - 前記中間部は,前記第1平面部に対向する第2平面部をさらに有し,
前記第1及び第2平面部間の距離は,前記試験片の幅よりも短い請求項2に記載のキット。 - 前記試験容器は,その内面に,前記試験片の主面が前記試験容器の内面に付着することを防止する突起部を有する請求項1〜3の何れか1つに記載のキット
- 前記試験容器は,前記試験片を前記試験容器に挿入した際の前記試験片の判定部に対応する位置に,前記試験片の前記判定部を示す表示を有する請求項1〜4の何れか1つに記載のキット。
- 前記試験片は,前記試料が前記判定部を通過したことを確認するための対照部を前記判定部の下流側に有し,
前記試験容器は,前記試験片を前記試験容器に挿入した際の前記試験片の前記対照部に対応する位置に,前記試験片の前記対照部を示す表示を有する請求項1〜5の何れか1つに記載のキット。 - 試験片が挿入される開口を有する受け入れ部と,底部に試料を収容する試料収容部と,前記受け入れ部と前記試料収容部との間に位置する中間部とを備える試験容器であって,
前記受け入れ部は,前記試験容器の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積が,前記開口に近づくにつれて大きくなる形状を有し,
前記中間部は,前記試験容器の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積が前記試料収容部の長手方向に対して垂直な面の内断面の面積よりも小さく,前記試験片が前記試験容器に挿入されたときに前記試験片の反転を防止するように前記中間部の内断面が細長い形状を有する試験容器。
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