JP4689817B2 - 電解水生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希塩水を電解槽内の一対の電極間に電圧を加えることにより電気分解して、電解水を生成する電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の電解水生成装置は、外部からの水(原水)を連続的に電解槽に供給するとともに、電解槽内の一対の電極間に電圧を印加してこの水を電気分解することにより電解水を生成している。また、この電解槽に供給する水にはタンク内に蓄えられている濃塩水を連続的に供給して希塩水とし、電気分解を促進するようにしている。このとき、電解槽内の一対の電極間の電流を電流センサにより検出し、この検出した電流値に基づいて希塩水の濃度が所定値となるように濃塩水および水の供給量を制御していた。しかし、このような電解水生成装置によく使用される半導体を利用した電流センサにおいては、検出した電流値が実際の電流値とずれ、正確な電流を検出することができないことにより、所望のpH値の電解水を供給することができない場合があった。
【0003】
これに対し特開平11―57716号公報には、ゼロ点調整用スイッチを設けこのスイッチを操作した時点の電流センサの検出値を記憶し、実際の電解水生成制御において、電流センサの検出値を前記記憶した検出値分だけ補正(加算または減算)する技術が記載されている。また、ゼロ点調整用スイッチを設けなくとも、電解水生成装置の電源投入時から注出スイッチ操作による電解水生成開始前までの期間、或は、原水及び濃塩水の供給が停止され電解水が生成されていない期間に、電極間に電源から自動的に所定電圧を与え、その時点の電流センサ検出値を記憶して、以降の制御時に用いるよう構成する技術も記載されている。
【0004】
また、電解水生成装置の電源投入時から電解水生成開始前までに電流センサにより電流値を検出し記憶し、その後電解水を生成しているとき電流センサにより検出した電流値を、先に検出し記憶した電流値に基づいて補正することも行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者すなわち特開平11―57716号公報においては、電流センサにより検出した電流値と実際の電流値とのずれを補正するという課題が提起されているがこの補正を必要とする背景および何時どのようにして行うのかについての記載がないので、この記載に基づいて電流センサにより検出した電流値と実際の電流値とのずれを補正することを実施することはできない。
【0006】
また、後者の補正方法においては、次のような問題がある。電解水生成装置の内部温度(電流センサの周囲温度)は、一般的に、装置の電源投入時から電解水生成の開始まで常温から徐々に上昇し飽和するものの比較的低い温度のままであり、電解水生成が開始されると上昇し、その後電解水生成が停止されると下降する。そして、電解水の生成・停止が繰り返し実行されると、内部温度はこの生成・停止に合わせて上昇・下降を繰り返し全体として上昇して飽和する。したがって、補正に使用する電流値の電流センサによる検出および記憶は、電解水生成がまだ行われていない内部温度が比較的低いときに行われ、その後電解水を生成しているときの電流センサによる電流値の検出は、内部温度が高いときに行われることとなる。一方半導体を利用した電流センサは検出するときの周囲温度が高くなるにしたがって出力が大きく変化するので、先に低い温度にて検出し記憶した電流値に基づいて、温度が上昇した電解生成中において検出した電流値を補正すると、補正した電流値は実際の電流値とずれたものとなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記各問題に対処するためになされたもので、その目的は、電流センサにより検出した電流値と実際の電流値とのずれを適切に補正することができる電解水生成装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解水生成装置に関する。本発明が適用対象とする電解水生成装置は、一対の電極を収容した電解槽と、一対の電極間に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、一対の電極間に流れる電流を検出する電流センサとを具備し、原水に濃塩水を混合して前記電解槽に供給した希塩水を同電解槽内で電気分解して電解水を生成する電解水生成装置である。
【0009】
しかして、本発明に係る電解水生成装置は、電圧の印加を停止した後電圧を印加していない間に電流センサにより第1電流値を検出する第1電流値検出手段と、第1電流値を補正値として記憶する補正値記憶手段と、第1電流値を記憶した時点以降であって初めて電圧を印加している間に電流センサにより一対の電極間に流れる第2電流値を検出して、補正値に基づいて、検出した第2電流値を補正する電流値補正手段とを備えものである。
【0010】
本発明に係る電解水生成装置を構成する第1電流値検出手段は、電圧の印加を停止した直後の時点、電圧の印加を停止した直後から電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間が経過するまでの時点、および、所定時間が経過した時点のいずれかの時点で、電流センサにより、第1電流値を検出することを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る電解水生成装置においては、前記補正値記憶手段を、第1電流値検出手段により検出した第1電流値と、補正値記憶手段に記憶されている補正値との差の絶対値を算出し、この絶対値が所定値より大きければ、検出した第1電流値を補正値として更新して記憶するように構成することができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る電解水生成装置においては、第1電流値の検出および記憶を、電圧の印加を停止した直後の時点、電圧の印加を停止した直後から前記電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間が経過するまでの時点、および、所定時間が経過した時点のいずれかの時点で行っている。これらの時点は、電圧の印加(電解水の生成)を停止した後の装置の内部温度(電流センサの周囲温度)がまだ高いときである。一方、第2電流値の検出は、内部温度が再び上昇したときに行われるが、この温度上昇は飽和に近づいた付近で行われるのでそれ程大きくはならない。このため、第1および第2電流値を検出した時の各内部温度の差は従来より小さくなって、電流センサにより検出した第2電流値を適切に補正することができるので、所望のpH値の電解水を生成することができる。
【0015】
本発明に係る電解水生成装置においては、残存イオンは、電圧印加を停止して所定時間経過した後にはなくなり、これに起因して電流値も0となる。当該所定時間経過した後においては残存イオンによる影響がなくなり、電解水生成装置の内部温度の低下により、次の電圧を印加している間の内部温度との差は増大する。したがって、補正された第2電流値と実際の電流値とのずれは、上述した所定時間が経過した時点までに検出した第1電流値を使って補正したものと比べ大きくなる一方である。このため、上述した所定時間が経過した時点までに第1電流値を検出し、これを記憶するようにすれば、電流センサにより検出した第2電流値を一層適切に補正して、所望のpH値の電解水を生成することができる。
【0016】
また、補正値記憶手段が、第1電流値検出手段により検出した第1電流値と、補正値記憶手段に記憶されている補正値との差の絶対値を算出し、この絶対値が所定値より大きければ、検出した第1電流値を補正値として更新して記憶するものによれば、上記した各作用・効果に加えてさらに、記憶されている補正値を検出した時点の装置の内部温度と、第1電流値を検出した時点の装置の内部温度がほとんど同じであり、検出した第1電流値と記憶されている補正値との差の絶対値が所定値以下となる場合には、第1電流値を検出する度毎にこの検出した第1電流値を補正値として記憶しなくてもよくなる。したがって、この記憶処理を無駄に実施するのを防止して、必要なときにのみ実施することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明すると、図1は電解水生成装置を概略的に示している。
【0020】
この電解水生成装置は生成器本体1と濃塩水タンク30とリモートコントローラ45等を備えている。また、生成器本体1は電解槽10を含む水路系部品と電気制御回路60を含む電気系部品とからなっている。
【0021】
電解槽10の内部は隔膜11によって一対の電極室12,13に区画されており、各電極室12,13にはそれぞれ給水管20を介して水(原水)が供給される。各電極室12,13はそれぞれ電極14,15を互いに対向させて収容しており、電源40が両電極14,15に正負の直流電圧を印加するように接続されている。この電源から直流電圧が両電極14,15に印加されることで前記供給された水が電気分解されて電解水が生成される。電解槽10の各電極室12,13には導出管16,17(通路)がそれぞれ接続されており、電解水はその先端部である注出口16a,17aから外部へ注出される。
【0022】
電源40と両電極14,15の間には、これら電極14,15間に流れる電流を検出するための電流センサ50が設けられている。この電流センサ50は、C字状に形成された磁性体のコアと、このコアの切欠き部分に介在させたホール素子とからなり、前記コア内側に貫通させた電源40と電極15(または電極14)を接続する電線に流れる電流を電圧に変換して電気制御回路60に出力するものである。また、電流センサ50は半導体を利用しており、検出するときの周囲温度が高くなるにしたがって出力が大きく変化するものである。また、前記した電源40は電気制御回路60に接続されている。
【0023】
給水管20は、図示しない外部給水源(例えば水道)から水が供給されるよう構成されるとともに、上流から下流に向かう順に減圧弁21及び開閉弁であるウオーターバルブ22(WV)を介装している。減圧弁21は外部給水源から圧送される水の圧力を減圧し、所定圧力範囲内に保つ。ウオーターバルブ22は電気制御回路60に電気的に接続されて開閉制御され、開状態(オン)にて外部からの水を供給管20を介して電解槽10へ供給する。
【0024】
濃塩水タンク30は生成器本体1とは別体であり、内部に濃塩水を蓄えている。この濃塩水タンク30には電気制御回路60に接続された水位センサ33と、塩水吸い込み管55がタンク30上部から挿入されている。塩水吸い込み管55は生成器本体1内にてポンプ38の入力部に接続される。ポンプ38の出力部は濃塩水供給管37に接続され、この濃塩水供給管37は逆止弁39を介して前述の給水管20のウオーターバルブ22下流の位置に接続される。ポンプ38は電動式であり、電気制御回路60と電気的に接続され、圧送量が可変に制御されるよう構成されている。従って、ポンプ38は濃塩水タンク30から、その送出量に応じた濃塩水を吸引し、出力部から濃塩水供給管37に送出し、その結果、電解槽10には濃塩水タンク30からの濃塩水と外部給水源からの水とが混合された希塩水が給水管20を介して供給されることになる。すなわち、このポンプ38の圧送量制御により濃塩水の添加量が制御されることになる。
【0025】
リモートコントローラ45も、生成器本体1とは別体に構成され、導出管16,17の注出口16a,17a付近に配置される。このリモートコントローラ45には、電気制御回路60に接続された表示ランプ43及び注出スイッチ41(操作スイッチ)が備えられる。表示ランプ43は電気制御回路60から表示制御信号を受けて点灯制御される。また、注出スイッチ41は生成器本体1内の各部に電解水生成の作動の開始、終了を指示するための開始信号、終了信号を含む操作信号を電気制御回路60に送出する。なお、この注出スイッチ41は使用者が一度押圧すればオン状態を保ち、再度押圧するとオフ状態を保つよう構成されている。
【0026】
この電解水生成装置は、上記ウオーターバルブ22、ポンプ38、電源40、表示ランプ43、注出スイッチ41及び電流センサ50に接続された電気制御回路60を備えている。電気制御回路60はマイクロコンピュータにより構成され、本実施形態においては図2及び図3に示すフローチャート(ルーチン)に対応したプログラムを実行して、ウオーターバルブ22の開閉、ポンプ38、及び電源40の作動制御を行う。なお、本実施形態における上記ウオーターバルブ22等の動作及び後述するフラグの状態が図5に示されている。また、図2のルーチンは前述のマイクロコンピュータにより所定時間毎に実行される。
【0027】
次に、上記のように構成した電解水生成装置の動作を説明する。電気制御回路60は図示しないメイン電源が投入された段階で各フラグF,Gを「0」にクリアする。そして、図2のルーチンを上記所定時間毎にてステップ100から実行し、ステップ102にて注出スイッチ41がオンとなっているか、オフになっているかを判定する。メイン電源を投入後注出スイッチ41がオフの状態であれば、ステップ102にて「No」と判定し、ステップ116にてポンプ38を停止制御し(停止状態を維持し)、各ステップ118,120,122にてそれぞれ「No」と判定し、プログラムをステップ114に進め、同ステップ114にて本ルーチンを一旦終了する。この制御は、次に注出スイッチ41がオンされるまで繰り返し実行される。
【0028】
時刻t1(図5参照)にて使用者が注出スイッチ41をオフからオンに変更すると、ステップ102にて「YES」と判定し、電解水生成のための処置を以降のステップで実行する。すなわち、ステップ104にて電源40から電極14,15間に一定電圧V0を印加させ、ステップ106にてウオーターバルブ22をオン(開)して原水の供給を開始させ、ステップ108にて電流センサ50により両電極14,15間に流れる第2電流値Ia2を検出し、ステップ110にてこの検出した第2電流値Ia2を補正する。具体的には、第2電流値Ia2に、電気制御回路内60に予め記憶しておいた所定値例えば「0」または前回電源の投入時に記憶した後述する補正値Icを減算(補正値Icが負の場合は加算となる)することにより補正電流値Ibに補正する。そして、ステップ112にて図3に示すサブルーチンを実行し、ポンプ38による添加量フィードバック制御を開始する。その後プログラムはステップ114に進められ本ルーチンを一旦終了する。
【0029】
ここで、図3に基づいて上記添加量フィードバックサブルーチンを説明する。前述のように電極14,15間には電源40による直流電圧(一定電圧V0)が印加され、電気分解を行うが、その際の補正された補正電流値Ibが導電率(イオン伝導度)を表す。そこで所望の電解水を得るためには、この補正電流値Ibを電流目標値ITとすればよく、濃塩水の添加量を増減してこれを達成する。なお、この電流目標値ITは、注出される電解水(アルカリ性水及び酸性水)が、要求されるpH値になるように設定されたものである。そこで、図3のサブルーチンでは、補正電流値Ibが電流目標値ITより大きい場合には、補正電流値Ibを低下させる。すなわち、濃塩水タンクから供給される濃塩水の添加量を減少させるべくポンプ38の圧送量Pを△Pだけ低下させ(ステップ200,202,206及び208)、補正電流値Ibが電流目標値ITより小さい場合には補正電流値Ibを増加させるべく濃塩水の添加量を増加させる。すなわち、ポンプ38の圧送量Pを△Pだけ増大させる(ステップ200,202,204及び208)。また、補正電流値Ibが電流目標値ITと等しい場合には、そのままの圧送量Pを維持する(ステップ200,202及び208)。
【0030】
上述したステップ100,102,104〜114による制御は、次に注出スイッチ41がオフされるまでは繰り返し実行され、この間に電解水が生成・注出される。
【0031】
電気制御回路60はその後も所定時間毎に図2のルーチンを実行するので、時刻t2(図5参照)にて使用者が注出スイッチ41をオフとすると、ステップ102にて「No」と判定し、電解水生成停止処置を実行するべくステップ116へとプログラムを進め、ステップ116にてポンプ38を停止し、濃塩水の電解槽への供給を停止させる。続くステップ118,120,122,124〜132においては、補正された補正電流値Ibが所定基準値I0より小さくなるまで(電解槽10内のイオン伝導度が所定値以下となるまで)、電極14,15間に電源40から一定電圧V1を印加し、補正電流値Ibが所定基準値I0より小さくなったか否かをモニターする。この期間も、原水の供給は継続される。
【0032】
具体的にはまずステップ118にてフラグGが「1」であるか否かを判定する。フラグGは後述するタイマー起動のためのフラグであり、電流センサ50により検出した第2電流値Ia2を補正した補正電流値Ibが所定基準値I0以下となるまでは「0」に保れるようになっている。すなわち、この時刻t2ではフラグGは「0」(起動時にクリアされている)であるので、プログラムはステップ120に進められ、フラグFが「1」か否かを判定する。フラグFは原水の供給を濃塩水の供給停止後も継続するとともに電極14,15間に一定電圧を印加するためのフラグであるが、この時点では「0」であるので、ステップ120にて「No」と判定され、プログラムはステップ122へ進められる。
【0033】
ステップ122においては、本ルーチンを前回実行した際の注出スイッチ41の状態がオンであったか否かを判定する。オンであった場合には、今回初めて注出スイッチ41がオフへと変化したことを意味するので、原水の継続供給の実行及び一定電圧V1の印加を開始すべくステップ124にてフラグFを「1」へ変更してプログラムをステップ126に進める。なお、このフラグFの「1」への変更により、次回以降の本ルーチン実行時には、プログラムをステップ120からステップ126へと直接進められるようになる。
【0034】
電気制御回路60は、ステップ126にて電源40から電極14,15間に一定電圧V1を印加させ、ステップ128にて電流センサ50により両電極14,15間に流れる第2電流値Ia2を検出し、ステップ130にて上記ステップ110と同様に第2電流値Ia2を補正電流値Ibに補正する。そして、ステップ132にて、補正電流値Ibと所定基準値I0とを比較し、補正電流値Ibが所定基準値I0より大きければ「No」と判定しプログラムをステップ114に進め、同ステップ114にて一旦本ルーチンを終了する。この時点では、電解水の生成を終了した直後であり、補正電流値Ibは所定基準値I0より大きいので、補正電流値Ibが所定基準値I0以下になるまで、ステップ100,102,116〜120,126〜132,114が繰り返し実行され、電極14,15間への所定電圧V1の印加が継続される。なお、所定基準値I0は、所定基準値I0が示すイオン伝導度まで低下した電解水(酸性水及びアルカリ水)であれば、電解水生成装置停止後に装置内に残存しても、酸性水による金属部分の腐食やアルカリ性水によるカルシウムの装置内への付着が防止できる値に設定された値である。
【0035】
したがって、時刻t2以降においては、濃塩水の供給を停止し、原水の供給のみ継続しているので、電解槽内の電解水が次第に希釈化され、従ってイオン伝導度が小さくなってくる。これに伴い補正電流値Ibも次第に減少し、時刻t3にて所定基準値I0より小さくなる。
【0036】
この時刻t3(図5参照)にて、電気制御回路60は、ステップ132にて「Yes」と判定し、プログラムをステップ134に進め、ステップ134にて電極14,15間への所定電圧V1の印加を停止し、各フラグF,Gをそれぞれ「0」,「1」へ変更してプログラムをステップ136に進める。なお、このフラグGの「1」への変更により、次回以降の本ルーチン実行時には、プログラムをステップ118からステップ136へと直接進められるようになる。
【0037】
電気制御回路60は、ステップ136にて、この時点までは「0」に保たれていたタイマー値Tに初めて「1」を加算して、実質的にタイマーを起動させ、続くステップ138にてタイマー値Tが所定時間(第1の所定時間)T0以上になったか否かを判定し、タイマー値Tが所定時間T0より小さければ「No」と判定しプログラムをステップ114に進め、同ステップ114にて一旦本ルーチンを終了する。この時点では、タイマーを起動させた直後であり、タイマー値Tは所定時間T0より小さいので、プログラムをステップ114に進め、タイマー値Tが所定時間T0以上になるまで、ステップ100,102,116,118,136,138,114が所定時間間隔にて繰り返し実行される。なお、所定時間T0は電圧印加後に電解槽内に残存するイオンが排出されてこれに起因する電流が0となるのに必要な時間に設定されている。
【0038】
所定時間T0が経過した時刻t4(図5参照)になると、ステップ138にて「Yes」と判定するので、プログラムをステップ140に進め、電流センサ50により電極14,15間の第1電流値Ia1を検出し、ステップ142にて次回の電解水生成・注出のために検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして電気制御回路60内に記憶する。そして、ステップ144にて、ウオーターバルブ22をオフ(閉)して原水の供給を停止し、次回の処理のためにフラグGおよびタイマー値Tを「0」にクリアする。その後プログラムはステップ114に進められ本ルーチンを一旦終了する。
【0039】
時刻t4以降次に注出スイッチ41がオンされるまで、上述したステップ100,102,116〜122,114による制御が繰り返し実行され、この間は電解水の生成・注出が停止される。
【0040】
そして、再び使用者が注出スイッチ41をオンとすると再び電解水が生成・注出され始め、次に同スイッチ41がオフされるまで上述した時刻t1から時刻t2までの制御(ステップ100,102,104〜114の制御の繰り返し)と同様に電解水が生成・注出されることとなる。このとき、ステップ110においては、電流センサ50により検出した第2電流値Ia2に上述したステップ140,142にて検出して記憶した補正値Icを減算(補正値Icが負の場合は加算となる)することにより補正電流値Ibに補正する。以降、上述した電解水の生成とその停止が注出スイッチ41のオン・オフ状態に合わせて繰り返し行われることとなる。
【0041】
上記説明からも理解できるように、上記実施形態においては、第1電流値Ia1の検出および補正値Icの記憶は、電圧の印加(電解水の生成)を停止した後電圧を印加していないとき(例えば時刻t4)の装置の内部温度(電流センサ50の周囲温度)がまだ高いときに行われ(ステップ140,142)、その後初めて電圧を印加している間の第2電流値Ia2の検出(ステップ108)は、内部温度が再び上昇したときに行われるが、この温度上昇は飽和に近づいた付近で行われるのでそれ程大きくはならない。したがって、第1電流値Ia1および第2電流値Ia2を検出した時の各内部温度の差は従来より小さくなる。これにより電流センサにより検出した第2電流値Ia2を補正電流値Ibに適切に補正することができるので(ステップ110)、所望のpH値の電解水を供給することができる。
【0042】
なお、上記実施形態においては、電圧の印加を停止した直後(時刻t3)から電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間T0が経過した時点(時刻t4)において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶していたが、時刻t3から時刻t4までの間において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶するようにしてもよい。この場合にも、第1電流値Ia1を記憶した時点以降であって初めて電圧を印加している間に、電流センサ50により一対の電極14,15間に流れる第2電流値Ia2を検出して、検出した第2電流値Ia2を補正値Icに基づいて補正電流値Ibに補正する。
【0043】
また、上記実施形態においては、電圧の印加を停止した直後(時刻t3)から電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間T0が経過した時点(時刻t4)において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶していたが、電圧の印加を停止した直後(時刻t3)において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶するようにしてもよい。この場合にも、第1電流値Ia1を記憶した時点以降であって初めて電圧を印加している間に、電流センサ50により一対の電極14,15間に流れる第2電流値Ia2を検出して、検出した第2電流値Ia2を補正値Icに基づいて補正電流値Ibに補正する。
【0044】
これら前述したものからも理解できるように、電圧の印加を停止した直後(時刻t3)から、電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間(第1の所定時間)T0が経過した時点(時刻t4)までの期間に電流センサ50により第1電流値Ia1を検出するものによれば、上記した各作用・効果に加えて、次のような作用・効果を得ることができる。電圧印加の停止後、残存イオンは所定時間T0経過後にはなくなり、これに起因する電流も0となる。この所定時間T0経過後においては、残存イオンによる影響がなくなり電解水生成装置の内部温度の低下により、次の電圧を印加している間の内部温度との差は増大する。したがって、補正された補正電流値Ibと実際の電流値とのずれは、上述した所定時間T0が経過した時点までに検出した第1電流値Ia1を使って補正したものと比べ大きくなる一方である。これにより、上述した所定時間T0が経過した時点までに第1電流値Ia1を検出するものによれば、電流センサ50により検出した第2電流値Ia2を一層適切に補正して、所望のpH値の電解水を供給することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、電圧の印加を停止した直後(時刻t3)から電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間T0が経過した時点(時刻t4)において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶していたが、所定時間T0が経過した時点(時刻t4)からさらに任意の第2の所定時間が経過した時点において検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶するようにしてもよい。この場合にも、第1電流値Ia1を記憶した時点以降であって初めて電圧を印加している間に、電流センサ50により一対の電極14,15間に流れる第2電流値Ia2を検出して、検出した第2電流値Ia2を補正値Icに基づいて補正電流値Ibに補正する。なお、第2の所定時間は、電解生成が停止されている一般な停止時間のうち短いものより小さい値に設定されるもので、使用者が任意に設定できる。このとき、この所定時間となる前に電解水の生成が開始された場合には、例えば電解水の生成が開始された時点にて記憶されている補正値Icに基づいて、検出した第2電流値Ia2を補正電流値Ibに補正する。
【0046】
また、上記実施形態においては、第1電流値Ia1を検出する度毎に、この検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶するようにしたが(ステップ140,142)、補正値Icの記憶を必要とする時期を決定し、この決定した時期にのみ第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶するようにしてもよい。このとき、電気制御回路60は、図4に示すフローチャートに対応したプログラムを実行する。すなわち、記憶されている補正値Icを検出した時点の装置の内部温度と、第1電流値Ia1を検出した時点(ステップ300)の装置の内部温度がほとんど同じであり(または両時点における温度の差が小さく)、検出した第1電流値Ia1と記憶されている補正値Icとの差の絶対値|Ia1−Ic|が所定値C以下となる場合には、第1電流値Ia1を検出した後この検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶することを省略し(ステップ302)、上記実施形態と同様に記憶されている補正値Icに基づいて、検出した第2電流値Ia2を補正する。また、記憶されている補正値Icを検出した時点の装置の内部温度と比べて、第1電流値Ia1を検出した時点(ステップ300)の装置の内部温度が大きく変化して、検出した第1電流値Ia1と記憶されている補正値Icとの差の絶対値|Ia1−Ic|が所定値Cより大きくなる場合には、ステップ300にて検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして電気制御回路60内に更新して記憶し(ステップ302,304)、上記実施形態と同様に更新記憶した補正値Icに基づいて、検出した第2電流値Ia2を補正する。
【0047】
したがって、記憶されている補正値Icを検出した時点の装置の内部温度と、第1電流値Ia1を検出した時点の装置の内部温度がほとんど同じであり(または両時点における温度の差が小さく)、検出した第1電流値Ia1と記憶されている補正値Icとの差の絶対値|Ia1−Ic|が所定値C以下となる場合には、第1電流値Ia1を検出する度毎にこの検出した第1電流値Ia1を補正値Icとして記憶しなくてもよくなる。したがって、この記憶処理を無駄に実施するのを防止して、必要なときにのみ実施することができる。
【0048】
なお、所定値Cは使用する室温に応じて設定するのが好ましい。これは、内部温度が高くなるにしたがって検出する電流値の誤差は大きくなるので、使用する室温(装置の運転中の飽和内部温度)に応じた所定値Cを設定する必要があるためである。例えば室温が10度であれば所定値Cを1アンペア、室温が30度であれば所定値Cを2アンペアに設定すればよい。
【0049】
また、ステップ302,304においては補正値Icを自動的に補正するようにしたが、作業者に補正値Icの補正が必要であることを例えば警告ランプを点灯するなどして知らせて、作業者により手動で補正値Icを補正をするようにしてもよい。この場合、警告ランプの点灯を視認した作業者が、補正を開始するための補正スイッチを押す。これに応じて電解水生成装置はステップ300にて検出した第1電流値Ia1(または補正スイッチを押した時点に検出した第1電流値Ia1)を補正値Icとして記憶し、上記と同様に更新記憶した補正値Icに基づいて検出した第2電流値Ia2を補正する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電解水生成装置の全体図である。
【図2】 図1の電気制御回路(マイクロコンピュータ)により実行される実施形態に係るフローチャートである。
【図3】 図1の電気制御回路(マイクロコンピュータ)により実行され、図2の添加量フィードバックのためのサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】 図1の電気制御回路(マイクロコンピュータ)により実行され、図2のステップ140,142の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図5】 図1の電解水生成装置の作動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
10…電解槽、14,15…電極、20…給水管、22…ウオーターバルブ、38…ポンプ、40…電源、41…注出スイッチ(操作スイッチ)、43…表示ランプ、45…リモートコントローラ、50…電流センサ、60…電気制御回路。
Claims (2)
- 一対の電極を収容した電解槽と、前記一対の電極間に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、前記一対の電極間に流れる電流を検出する電流センサとを具備し、原水に濃塩水を混合して前記電解槽に供給した希塩水を同電解槽内で電気分解して電解水を生成する電解水生成装置であり、
当該電解水生成装置は、前記電圧の印加を停止した後電圧を印加していない間に前記電流センサにより第1電流値を検出する第1電流値検出手段と、前記第1電流値を補正値として記憶する補正値記憶手段と、前記第1電流値を記憶した時点以降であって初めて前記電圧を印加している間に前記電流センサにより前記一対の電極間に流れる第2電流値を検出して、前記補正値に基づいて前記第2電流値を補正する電流値補正手段とを備え、
前記第1電流値検出手段は、前記電圧の印加を停止した直後の時点、前記電圧の印加を停止した直後から前記電解槽内に残存するイオンを排出するのに必要な所定時間が経過するまでの時点、および、前記所定時間が経過した時点のいずれかの時点で、前記電流センサにより、前記第1電流値を検出することを特徴とする電解水生成装置。 - 請求項1に記載の電解水生成装置において、前記補正値記憶手段は、前記第1電流値検出手段により検出した前記第1電流値と、前記補正値記憶手段に記憶されている前記補正値との差の絶対値を算出し、この絶対値が所定値より大きければ、前記検出した第1電流値を前記補正値として更新して記憶することを特徴とする電解水生成装置。
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