JP4688069B2 - 1,4−ジオキサンの分解方法及び分解装置 - Google Patents

1,4−ジオキサンの分解方法及び分解装置 Download PDF

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Description

本発明は、紫外線による1,4−ジオキサンの分解方法とその分解装置に関するものである。
1,4−ジオキサンは、香りのある無色の液体で、発がん性の疑いが持たれている物質であるが、通常の廃水処理では適切な除去ができないことから、河川や地下水、埋立処分場浸出水などの水環境中からこの物質が頻繁に検出されており、深刻な社会問題となっている。また、平成16年4月の水道水の水質基準改正により1,4−ジオキサンの濃度が新たに水質基準項目に加わったこと(1,4−ジオキサンの濃度は0.05mg/L以下)から、今後この物質への対策が必要になることが予想される。
しかし現在、1,4−ジオキサンの処理方法は確立しておらず、また砂濾過処理、凝集沈殿処理、活性炭処理等、既存の方法では分解除去が困難であるという問題がある。
そこで、紫外線を利用した酸化分解処理が提案されており、廃水中の1,4−ジオキサンの分解処理に関しては、例えば特許文献1、2に、オゾン処理、過酸化水素処理、紫外線処理のうち2つ以上を組み合わせて処理する促進酸化処理法が開示されている。
特開2005−103401号公報 特開2005−349351号公報
これらの処理方法によれば、被処理水中の1,4−ジオキサンが10μg/L(Lはリットルを表わす。以下同じ。)程度から50mg/L程度までの濃度の場合に対して1〜2時間くらいで1,4−ジオキサンを分解処理することが可能であり、処理済水中の1,4−ジオキサン濃度を0.1mg/L以下にすることができる。
しかしながら、用いたオゾンあるいは過酸化水素は有害であるが、これは処理作業の終了後も被処理水中に微量残存し、これを完全に除去するのは難しいという問題があった。このため、オゾンあるいは過酸化水素を用いる従来の処理方法で得られた被処理水は水道水等の飲用水には適さないという重大な欠点があった。
また、これらの処理方法では、いずれもオゾンあるいは過酸化水素を用いるため、これらを供給するための設備が必要となる。このため、1,4−ジオキサンの処理に係る装置がその分だけ大型化し、また高額になるという問題があった。
さらに、単に1,4−ジオキサンの分解という観点でも、上記従来の方法は処理形態としては回分処理であり、所定処理槽内に被処理水を導入してこれに紫外線照射あるいはオゾン注入等を行なって分解処理を行なう方法であるが、上記の通り、処理に1〜2時間程度の時間を必要とし、数分ないしそれ以下の短時間で処理できる方法はこれまでに知られていなかった。
そうして、1,4−ジオキサンの分解に大掛かりな装置と長時間を必要とする従来の処理方法は、エネルギー消費の面でもその分だけエネルギーを余分に必要とすることになるので、エネルギー節約型の処理方法が求められていた。
本発明は上述のことに鑑みて創出したものであり、オゾンあるいは過酸化水素を使用することなく、紫外線のみを照射して1,4−ジオキサンを連続的かつ瞬時に分解し、飲用水を供給するのに適していると共に、1,4−ジオキサンの分解に要するエネルギー消費ができるだけ必要最小限の大きさで済む1,4−ジオキサンの分解方法及び分解装置を提供することを目的とする。
なお、濃度が0.2mg/L程度を超えるような高濃度の1,4−ジオキサンを含む被処理水に対しては、オゾンあるいは過酸化水素を使用して分解処理を行なう必要があるが、発明者は、1,4−ジオキサン濃度がそれ以下の低濃度の場合について、紫外線照射のみによる1,4−ジオキサンの分解の可能性を検討し、本発明を創出したものである。そこで、本発明では、0.01〜0.2mg/L程度の低濃度の1,4−ジオキサンを含む被処理水を対象とする。
上記目的を達成するために、本発明の1,4−ジオキサン分解方法は、流動している被処理水に波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を同時に照射して前記被処理水中の1,4−ジオキサンを連続的に分解する1,4−ジオキサン分解方法であって、前記被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーは前記紫外線の照射前の前記被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて選定されると共に、前記被処理水中の1,4−ジオキサン濃度は0.008〜0.19mg/L(Lは液体の体積の単位「リットル」を表わす。)であり、前記紫外線の照射エネルギーX[kW/h/m ]は、0.1〜1.2kW/h/m である範囲内で、前記被処理水中の1,4−ジオキサンが前記紫外線により分解される割合を示す百分率で表わした前記1,4−ジオキサン分解率をY(%)とした時、XとYが
Y=a+Ln(X)+b
(但し、a及びbは前記紫外線による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解反応に係る0でない定数。Lnは対数記号を表わす。)
なる式で表わされる比例関係を保つように選定されることを特徴とする。
本発明の1,4−ジオキサン分解方法においては、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を同時に照射するので、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線の吸収による直接分解と、波長185nmを中心とする第1の波長域の紫外線により発生する活性酸素化学種による分解とを同時に起こすことができ、1,4−ジオキサンの効率的な分解に適しており、流動している被処理水に含まれる1,4−ジオキサンを連続的かつ瞬時に分解することが可能である。
また本発明の1,4−ジオキサン分解方法においては、前記紫外線の照射前の前記被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて前記被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーを選定するので、1,4−ジオキサンの分解に要するエネルギーは必要最小限の量で済み、エネルギー節約が可能であるという効果がある。
そして、前記被処理水中の1,4−ジオキサンが前記紫外線により分解される割合を示す1,4−ジオキサン分解率と、前記被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーの対数とが比例関係を保つように前記紫外線を照射するので、被処理水中の1,4−ジオキサン濃度と要求される1,4−ジオキサン分解率に応じて、必要な紫外線照射エネルギーを予め把握した上で紫外線を照射することができ、効率的に分解処理できるという効果がある。
発明者らは、飲用水中の1,4−ジオキサンを分解することを想定して、0.01〜0.1mg/L程度の低濃度の1,4−ジオキサンを含む被処理水を対象とし、オゾンあるいは過酸化水素を使用することなく、紫外線のみを照射して1,4−ジオキサンを連続的かつ瞬時に分解する方法を検討した。
まず、紫外線照射による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解における紫外線波長の影響を調査した。すなわち、紫外線照射に、主に波長254nmを中心とする波長域の光を放射するランプ(ランプA:例えば200nm以下の紫外線をカットした低圧水銀ランプ等)と、主に波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を放射するランプ(ランプB:例えば全紫外域の光を放射する低圧水銀ランプ等)を使用し、それぞれ照射した場合に1,4−ジオキサンの分解率に違いが見られるか比較検討を行なった。ランプ電力は、どちらのランプの場合も、紫外線処理に使用される平均的な大きさである0.6kW・h/mとした。その結果、ランプAによる光を照射した場合は、1,4−ジオキサンの分解率が38%であったのに対し、ランプBによる光を照射した場合には、その分解率が89%であった。このことから、波長254nmを中心とする波長域の光単独よりもこれに波長185nmを中心とする波長域の光を同時に照射した方が1,4−ジオキサンの分解効率が倍以上に向上することが判明した。波長185nmを中心とする波長域の光は1,4−ジオキサンの分解に大きく関与していると推定される。
次に、紫外線照射による1,4−ジオキサンの分解速度に及ぼす1,4−ジオキサンの初期濃度の影響を調査した。すなわち、主に波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を放射するランプBを用いて、1,4−ジオキサン濃度が異なる前記被処理水について、1,4−ジオキサンの分解速度を検討した。
その結果、0.011mg/L、0.020mg/L、0.10mg/L、0.19mg/Lの4種類の1,4−ジオキサン濃度について、紫外線照射エネルギー[kW・h/m]と1,4−ジオキサン分解率[%]の関係は図3に示す通りであった。この紫外線照射エネルギーは、前記被処理水の単位体積に照射する紫外線の照射エネルギーである。なお、この被処理水の水温は15〜20℃の範囲の温度とした。
そこで、この照射エネルギーをX、1,4−ジオキサン分解率をYとし、Xの対数に対してYをプロットすると、1,4−ジオキサン濃度が0.01〜0.19mg/Lの範囲内にある時、1,4−ジオキサン濃度にかかわらず、1,4−ジオキサン分解率Yは照射エネルギーXの対数に比例することを見出した(図4参照)。すなわち、1,4−ジオキサン分解率Yは次式で表わされる。
Y=a×Ln(X)+b (式1)
(但し、a及びbは前記紫外線による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解反応に係る0でない定数。Lnは対数記号を表わす。以下同じ。)
但し、照射エネルギーXは0.1〜1.2kW・h/mである。
さらに、定数a及びbはいずれも、1,4−ジオキサン濃度に依存しており、この濃度をCとすると、それぞれ次式で表わされることも明らかになった。
a=p×C−q (式2)
b=r×C+s (式3)
すなわち、図5、図6に示すように、定数aは濃度Cの増加とともに指数関数的に減少し、定数bは濃度Cに比例する。
そこで、濃度Cが与えられると、式2、式3から定数a、定数bを求めることができ、それらを式1に代入すれば、要求される分解率Yを与える紫外線照射エネルギーXを求めることができる。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の1,4−ジオキサン分解方法の実施例を説明するための概略模式図である。
本発明の1,4−ジオキサン分解方法では、紫外線の照射前の被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーを増減させ、図1に示す装置を用いて処理を行なう。1は、流動している被処理水10に紫外線を照射して被処理水10中の1,4−ジオキサンを分解するための紫外線処理槽であり、例えば径の異なる2本の紫外線透過性ガラス管を材料とし、これらを同軸円筒状に配置して構成される外管2及び内管3と、内管3の内側の中心に同軸状に配置した棒状紫外線ランプ4と、円筒両端に配置したフランジ6及び7などから構成される。外管2と内管3に挟まれた環状部が、被処理水10が流通する流路5を形成する。15は、被処理水10を紫外線処理槽1に導くためのポンプである。22は、被処理水10中の1,4−ジオキサン濃度を検知する濃度検知手段、24は、被処理水10に照射する紫外線の照射エネルギーを制御する照射エネルギー制御手段である。
本発明の分解方法においては、被処理水10は、流入管8から流入させ、流路5の中を流通する間に紫外線ランプ4による紫外線照射を受けさせ、排出管9へ排出して処理済水11にする。そして、紫外線処理槽1の稼動中は常時、採水管21を通じて採取した被処理水中の1,4−ジオキサン濃度を濃度検知手段22により検知しておき、その濃度に応じて、照射エネルギー制御手段24を用いて紫外線ランプ4に供給する電力を制御する。23は、濃度検知手段22と照射エネルギー制御手段24を繋ぐ信号線、25は、電力供給線である。
紫外線ランプ4は、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を同時に放射するランプであればどのようなランプでも用いることができるが、これらの波長域を含む紫外線領域の光透過性が高い発光管で構成され、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方に強い輝線がある低圧水銀ランプがより好ましい。
紫外線処理槽1は、図1に示す装置では、1本の紫外線ランプを備えた紫外線処理槽が1槽しか示されていないが、本発明ではこのような紫外線処理槽を複数槽有する装置を用いてもよく、また、1つの紫外線処理槽が複数本の紫外線ランプを備える装置を用いていてもよい。その場合、濃度検知手段、照射エネルギー制御手段、及びそれらから伸出する信号線等は、紫外線処理が効率的に行なえるように、必要に応じて複数配置する。
紫外線の照射エネルギーを制御する照射エネルギー制御手段24は、具体的には紫外線ランプ4に供給する電力を制御する手段である。ランプに供給する電力を制御する方法としては、既存の電力制御方法を用いればよく、制御の様式としては、個々のランプに供給する電力を連続的に変化させてもよいし、また、複数配備したランプのうち点灯させるランプの本数を変えてもよい。
濃度検知手段22は、既存の濃度測定法を利用した濃度測定器等で構成すればよい。濃度測定法としては、例えばガスクロマトグラフィーと質量分析とを組み合わせた方法を用いることができる。
処理済水11が流れる排出管9の下流側には、処理済水中の微細な埃や微生物等を除去し高純度の飲用水を提供できるようにするため、活性炭処理槽40を設けてもよい。活性炭処理槽40は、既存の活性炭処理設備を利用することができる。
紫外線照射のしかたは、前記被処理水中の1,4−ジオキサンが前記紫外線により分解される割合を示す1,4−ジオキサン分解率と、前記被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーの対数とが比例関係を保つように紫外線を照射する。
上記比例関係は、具体的には、1,4−ジオキサン濃度が0.008〜0.19mg/Lであり、前記照射エネルギーをX[kW・h/m]、百分率で表わした前記1,4−ジオキサン分解率をY(%)とした時、Xが0.1〜1.2kW・h/mであって、Yが
Y=a×Ln(X)+b (式1)
(但し、a及びbは前記紫外線による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解反応に係る0でない定数。)
なる式で表わされる関係とする。
紫外線照射に用いるべき照射エネルギーは、次のようにして求める。すなわち、まず、紫外線処理槽1に流入する前の被処理水中の1,4−ジオキサン濃度Cと、目標とする紫外線照射処理後の1,4−ジオキサン濃度Cとから、要求される1,4−ジオキサン分解率Y(%)を
Y(%)=((C−C)/C)×100 (式4)
により求め、次いで、式1から照射エネルギーX[kW・h/m]を求める。
式1における定数a及び定数bは、予備実験を行なって事前に求めておく。すなわち、照射エネルギーXの対数と1,4−ジオキサン分解率Y(%)との関係をプロットして得られた直線(式1)の傾きから定数aを、切片から定数bを求める。
本発明の方法によれば、1,4−ジオキサンを必要な分解率Yで丁度分解することができるような大きさの照射エネルギーXを求めることができ、余分な照射エネルギーを用いなくて済むという利点がある。しかし、紫外線処理の際は、水質の安全を期する観点からは、上記方法で求められた照射エネルギーよりも幾分大きいエネルギーの紫外線を照射するのが好ましい。
本発明の方法では、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を同時に照射可能な光源、例えば低圧水銀ランプを用いて、1,4−ジオキサン濃度が0.008〜0.19mg/Lである被処理水に紫外線照射を行なうに際して、紫外線の照射エネルギーは、式1で表わされる関係式から求めた照射エネルギーではなく、0.1〜1.2kW・h/mの範囲内で選定した任意の照射エネルギーであってもよい。この範囲の照射エネルギーであれば、数分以内に1,4−ジオキサンの分解処理を行なうことができ、従来の手法に比べれば十分に短時間に処理できる。しかしながら、1,4−ジオキサンの分解に必要な大きさの照射エネルギーを付与するためには、式1で表わされる関係式から照射エネルギーを求める手法が好ましい。
図2は本発明に対応した比較例の1,4−ジオキサン分解方法を説明するための概略模式図である。このタイプの1,4−ジオキサン分解方法は、紫外線の照射前の被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて前記紫外線を照射する被処理水の流量を増減させるもので、紫外線処理槽など、大部分が図1に示す装置と同じ基本構成を有する図2に示す装置を用いて処理が行なわれる。図1と図2とを比較すると、図2に示す装置は、被処理水10中の1,4−ジオキサン濃度を検知する濃度検知手段22は備えているが、被処理水10に照射する紫外線の照射エネルギーを制御する照射エネルギー制御手段24は備えず、代わりに、紫外線処理槽1に流入させる被処理水10の流量を制御する流量制御手段31を備えている点が異なる。
すなわち、比較例の分解方法においても、被処理水10は、流入管8から流入させ、流路5の中を流通する間に紫外線ランプ4による紫外線照射を受けさせ、排出管9へ排出して処理済水11にするが、紫外線ランプ4に供給するランプ電力は一定であり、また、紫外線処理槽1の稼動中は常時、採水管21を通じて採取した被処理水中の1,4−ジオキサン濃度を濃度検知手段22により検知しておき、その濃度に応じて、流量制御手段24を用いて紫外線処理槽1に流入させる被処理水10の流量を制御するという要素が加わっている。
32は、濃度検知手段22からの1,4−ジオキサン濃度に関する信号を伝達する信号線、33は、紫外線ランプ4に電力を供給する電源、34は、電力供給線である。流量制御手段31は、液体の流量を制御する既存の流量制御手段が用いられる。
上記流量制御手段は一般的に、高価で、定期的なメンテナンスを必要とする複雑な機器である。しかるに、本発明の実施形態と比較例との分解方法の比較から分かるように、本発明の分解方法によれば、流量制御手段という余分な要素を持たないシステムで1,4−ジオキサンを分解できるという利点がある。
本発明の1,4−ジオキサン分解装置は、上記説明の1,4−ジオキサン分解方法が実現されるように構成すればよく、紫外線の照射前の被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーを選定するように構成する。紫外線処理工程で生成した副生成物、あるいは処理済水中の微細な埃や微生物等を除去するために、1,4−ジオキサン分解装置の後段側に処理水精製手段(例えば活性炭処理槽)を設けてもよい。
本発明の実施例の1,4−ジオキサン分解装置を説明する。この装置50は、前記説明で示した図1の装置と同様の構成を有するものである。紫外線ランプ4は、波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の紫外線を同時に放射し、発光管が石英ガラス製でランプ電力120Wの直管状低圧水銀ランプを1灯使用した。発光管は、全長1140mm、発光長1040mm、外径15mmであった。紫外線処理槽1は、外形がほぼ円筒状であり、同軸の二重円筒構造を有しており、その中心軸上の処理槽1の中央部に紫外線ランプ4を配置した。処理槽1は、円筒部の全長が1190mm、外管2は、外径114mm、内径108mm、内管3は、外径31mm、内径25mmであった。外管2はステンレス製、内管3は石英ガラス製である。
1,4−ジオキサン濃度が0.01〜0.19mg/Lである種々の濃度の浄水(波長254nmの紫外線透過率が97.2〜97.6%)を対象として、1,4−ジオキサン分解装置50を用い、0.3〜3.4m/hの流量、0.1〜1.2kW・h/mの紫外線照射エネルギーにて紫外線処理を行なったところ、1,4−ジオキサン分解率の実測値は表1に示す値を得た。なお、この被処理浄水が処理槽1内の通過に要する時間は、表1の各被処理水流量について、最小で7秒、最大で81秒であり、またその水温は16〜20℃であった。
Figure 0004688069
例えば1,4−ジオキサン濃度が0.11mg/Lの浄水に対しては、照射エネルギー0.61kW・h/mの紫外線を照射した場合、1,4−ジオキサン分解率の実測値は89.1%であり、また、1,4−ジオキサン濃度が0.19mg/Lの浄水に対しては、照射エネルギー1.20kW・h/mの紫外線を照射した場合、分解率の実測値は81.6%であった。これらの分解率に対応する処理済の浄水中の1,4−ジオキサン濃度は、飲用水に求められる水質基準(1,4−ジオキサン濃度0.05mg/L以下)を十分に満足するものであった。
表1に示したデータのうち、処理前の浄水の1,4−ジオキサン濃度が0.180mg/Lで、紫外線照射処理により1,4−ジオキサン分解率が46.7%となった場合だけは、処理済の浄水中の1,4−ジオキサン濃度が水質基準を大きく超えており、この時の照射エネルギー0.11kW・h/mでは飲用水の製造に十分でないことを示していた。
表1に示したデータから、1,4−ジオキサン分解率Yを紫外線照射エネルギーXの対数に対してプロットすると、
Y=a×Ln(X)+b (式1)
(但し、a及びbは前記紫外線による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解反応に係る0でない定数。)
で表わされる関係式を得ることができた。
また、種々の1,4−ジオキサン濃度について定数a、定数bとの関係を検討すると、
a=9.14×C−0.282 (式2A)
b=−150×C+107 (式3A)
で表わされる関係式を得ることができた。
そこで、処理前の浄水の1,4−ジオキサン濃度を検知することができ、目標とする1,4−ジオキサン分解率が与えられれば、式1、式2A及び式3Aから、目標の分解率を達成するのに必要な紫外線照射エネルギーXを求めることができる。
例えば、処理前の浄水の1,4−ジオキサン濃度が0.180mg/Lであった場合、1,4−ジオキサン分解率を75%とすれば、処理済の浄水の1,4−ジオキサン濃度が0.045mg/Lとなり、水質基準を満足することができるから、この分解率とするための紫外線照射エネルギーXは、式1、式2A及び式3Aから、
X=0.701kW・h/m
と求めることができる。すなわち、流量1m/hの被処理浄水に対して約700Wの照射エネルギーを与えればよい。
上記照射エネルギーは、被処理浄水の流量を1m/hとした時、ランプ電力700Wの紫外線ランプ1本で達成することができるが、ランプ電力120Wの紫外線ランプであれば6本使用すれば十分である。
但し、実際には、ランプからの紫外線出力は、ランプ仕様の違い、出力維持率の経時的な低下、ランプ外周を囲繞するジャケット(図1、図2で内管3に相当する部材)の汚れや劣化等の影響により低下するので、これらの影響を予め考慮して更に多めの照射エネルギーを加える(多めのランプ本数とする)ことが望ましい。
表1には、1,4−ジオキサン分解率Yの計算値も示した。これは、与えられた各1,4−ジオキサン濃度Cと各紫外線照射エネルギーXとから、式1、式2A及び式3Aを用いた計算によって求めたものである。表1から、1,4−ジオキサン分解率の実測値と計算値とがよく一致していることが分かる。
以上説明したように、本発明の1,4−ジオキサン分解方法によれば、0.01〜0.1mg/L程度の低濃度の1,4−ジオキサンを含む被処理液を対象とし、これを絶えず流動させながら、オゾンあるいは過酸化水素を使用することなく、紫外線のみを照射して1,4−ジオキサンを連続的かつ瞬時に分解して、良質な飲用水を供給することができる。
本発明は、一般の水道水を供給する浄水処理工程に使用することができる。特に、飲用水にとって好ましくない物質が低濃度になっている浄水処理の最終工程の前段に使用すると効果的である。
本発明の1,4−ジオキサン分解方法の実施例を説明するための概略模式図である。 比較例の1,4−ジオキサン分解方法を説明するための概略模式図である。 いくつかの1,4−ジオキサン濃度について、紫外線照射エネルギーと1,4−ジオキサン分解率との関係を示したグラフである。 いくつかの1,4−ジオキサン濃度について、紫外線照射エネルギーの対数と1,4−ジオキサン分解率との関係を示したグラフである。 紫外線による1,4−ジオキサン分解反応における、1,4−ジオキサン濃度と定数aとの関係を示すグラフである。 紫外線による1,4−ジオキサン分解反応における、1,4−ジオキサン濃度と定数bとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1…紫外線処理槽
2…外管
3…内管
4…紫外線ランプ
5…流路
6…フランジ
7…フランジ
8…流入管
9…排出管
10…被処理水
11…処理済水
15…ポンプ
21…採水管
22…濃度検知手段
23…信号線
24…照射エネルギー制御手段
25…電力供給線
31…流量制御手段
32…信号線
33…電源
34…電力供給線
40…処理水精製手段
50…1,4−ジオキサン分解処理装置

Claims (1)

  1. 流動している被処理水に波長185nmを中心とする第1の波長域と波長254nmを中心とする第2の波長域の両方の紫外線を同時に照射して前記被処理水中の1,4−ジオキサンを連続的に分解する1,4−ジオキサン分解方法であって、前記被処理水の単位体積に照射する前記紫外線の照射エネルギーは前記紫外線の照射前の前記被処理水中の1,4−ジオキサン濃度に応じて選定されると共に、前記被処理水中の1,4−ジオキサン濃度は0.008〜0.19mg/L(Lは液体の体積の単位「リットル」を表わす。)であり、前記紫外線の照射エネルギーX[kW/h/m ]は、0.1〜1.2kW/h/m である範囲内で、前記被処理水中の1,4−ジオキサンが前記紫外線により分解される割合を示す百分率で表わした前記1,4−ジオキサン分解率をY(%)とした時、XとYが
    Y=a+Ln(X)+b
    (但し、a及びbは前記紫外線による前記被処理水中の1,4−ジオキサンの分解反応に係る0でない定数。Lnは対数記号を表わす。)
    なる式で表わされる比例関係を保つように選定されることを特徴とする1,4−ジオキサン分解方法。
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