JP4687335B2 - 加圧充填バルブ - Google Patents

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Description

本発明は、容器内を密封してガス詰め充填を行う加圧充填バルブに係り、特に、容器の口部をシールする容器口パッキンを昇降させるタイプの加圧充填バルブに関するものである。
ガス詰め充填を行う充填装置では、供給されてきた容器の口部にパッキンを圧着させて容器内を密封した状態で充填を行う。従って、容器をリフタによって上昇させるか、あるいは逆に容器口パッキンを下降させて容器の口部をシールするようにしている。これら両タイプのうち、容器を昇降させず、容器口パッキンを昇降させて容器をシールする、いわゆるリフタレスタイプの充填装置では、一般に、充填バルブのバルブハウジング外周面に、下端に容器口パッキンを取り付けた円筒状の部材から成る容器口パッキンユニットを摺動自在に嵌合させている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特許文献1に記載された充填バルブは、口径の異なる容器に兼用可能なガス充填バルブであり、「バルブボディ2に大径部2aと小径部2bが形成され、このバルブボディ2にそれぞれ嵌合する大径部32aと小径部32bを有する容器口パッキンユニット32を備えている。両者の大径部2a、32a間をシールする第1シール部材34と、小径部2b、32b間をシールする第2シール部材36が設けられ、容器口パッキンユニット32の下面には、ボトル型の第1種容器Bの口径にほぼ一致する第1パッキン38と、缶等の第2種容器Cの口径にほぼ一致する第2パッキン40が」設けられている。
また、特許文献2に記載された充填バルブは、「ハウジング101の外側には、中空円筒として形成され、容器134の位置決め及び密閉の役をする保持部材104がハウジング101と同軸的でかつハウジング101に滑動可能に取り付けられ、保持部材104は、135(名称が記載されていないがシール部材である)で示される箇所でハウジング101の外壁に対して気液密に接触」している。
特開2002−370797号公報(第3−5頁、図2) 特許2659808号公報(第4−5頁、図1)
前記各特許文献に記載された発明では、バルブハウジングの外周に摺動自在に容器口パッキンユニットが嵌合しており、バルブハウジングと前記容器口パッキンユニット(容器口パッキンと円筒部材)との摺動部にシール部材が介装されているため、摺動により異物が発生するおそれがあるという問題があった。
本発明は、摺動部分が無くサニタリー性に優れ、しかも、ガス置換率の高い圧力充填バルブを提供することを目的とするものである。
請求項1に記載した発明は、内部に液通路が形成されたバルブハウジングと、前記液通路を開閉する液バルブと、バルブハウジングの外周側に昇降可能に配置された容器口パッキンと、バルブハウジング内の前記液通路の外側に形成され、容器内に加圧ガスを供給する加圧ガス供給通路と、バルブハウジング内の前記液通路の外側に形成され、加圧ガスを供給する際に容器内のエアを排出する排出通路とを備え、前記容器口パッキンを伸縮可能な弾性部材を介して前記バルブハウジングに取り付けるとともに、前記排出通路の開口部を前記バルブハウジングの一部を切り欠いた部分の、前記加圧ガスの供給通路の開口部よりも上方に形成し、容器と前記容器口パッキンの少なくともいずれか一方を昇降させて、パッキンを容器口に密着させた後、容器内に加圧ガスを供給するとともに、容器内のエアを排出してから充填を開始することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した発明は、前記排出通路の開口部を、前記弾性部材の上端取り付け位置とほぼ同じ高さまたはそれよりも上方に位置するように形成したことを特徴とするものである。
本発明の加圧充填バルブは、容器口パッキンが昇降する際のバルブハウジングに対する摺動部をなくすことにより、異物の発生するおそれをなくすとともに、排出通路の開口部を、ガス供給通路の開口部よりも上方に設けたことにより、ガス置換効率を向上させることができる。さらに、前記排出通路の開口部を、容器口パッキンを保持した弾性部材の上端取り付け部よりも上方に位置させることにより、一層ガス置換効率を向上させることができる。
バルブハウジングの内部に充填液通路を形成し、この充填液通路を液バルブの開閉によって連通遮断する。バルブハウジングの周囲に昇降可能な容器口パッキンを嵌合させ、弾性部材を介してバルブハウジングに取り付ける。バルブハウジングの内部の充填液通路の外側にガス供給通路とガス排出通路を形成し、ガス排出通路の開口部をガス供給通路の開口部よりも上方で、かつ、前記弾性部材の上端のバルブハウジングへの取り付け部とほぼ同じ高さ、またはそれよりも上方に位置させるという構成により、容器口パッキンユニットが昇降する際の摺動部をなくすとともに、ガス置換効率を向上させるという目的を達成する。
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る加圧充填バルブの縦断面図、図2は図1の要部の拡大図、図3はこの加圧充填バルブのバルブハウジングを下方から見た図である。この加圧充填バルブ(全体として符号1で示す)のバルブハウジング2は、その内部に充填液通路4が形成されており、図示しない充填液タンクから給液管6を介して送られた充填液が、この充填液通路4を通って容器10内に充填される。給液管6には流量計8が設けられており、容器10内に充填される液量を計量する。なお、この実施例で使用される容器10、つまりこの加圧充填バルブ1により液体が充填される容器10は、大きい開口を有する缶型の容器である。但し、この形状の容器に限定されるものではない。
前記バルブハウジング2の内部に、充填液通路4を開閉する液バルブ12が設けられている。この液バルブ12は、充填液通路4内に昇降可能に挿入されたロッド14の下端に形成された弁体16と、前記充填液通路4の下部内面に設けられた弁座18とによって構成されている。この弁体16が弁座18に着座する部分の外周面には、シール部材20が嵌着されて液密を保持するようになっている。前記バルブハウジング2の下端部は液吐出口22になっており、前記液バルブ12が開放すると、充填液通路4内の充填液がこの液吐出口22から吐出されて容器10内に充填される。この液吐出口22内には、容器10内に充填される液体を整流するとともに、異物の混入を防止するためのスクリーン24が設けられている。
前記液バルブ12の弁体16が設けられている昇降ロッド14は、バルブハウジング2の上部に固定された第1エアシリンダ26(液バルブ開閉用エアシリンダ)によって昇降する。前記昇降ロッド14の上端部にピストン28が設けられ、バルブハウジング2の上端に固定された第1シリンダハウジング30内に摺動自在に嵌合して、第1シリンダハウジング30内の空間を上下の圧力室32、34に区画している。これら両圧力室32、34は、それぞれエア通路36、38を介してエア圧力源(図示せず)に接続されており、圧力室32、34内に圧力エアを導入し、または、大気に開放できるようになっている。上方の圧力室32に圧力エアを導入したときには、ピストン28とともに昇降ロッド14が下降して弁体16(正確には弁体16の外周に嵌着されたシール部材20)が弁座18に着座することにより前記充填液通路4を閉じ(図1および図2に示す状態)、下方の圧力室34にエアを導入したときには、昇降ロッド14が上昇して弁体16が弁座18から離座して充填液通路4を開放する。なお、バルブハウジング2内の充填液通路4側と、その上方に固定された第1エアシリンダ16との間にダイヤフラム40が介装されて両者の間が遮断されている。
前記バルブハウジング2の下部寄りに容器口パッキンユニット42が取り付けられている。この容器口パッキンユニット42は、その下端部に設けられ、前記容器10の口部10aの径に一致する口径を有する環状の容器口パッキン44と、この容器口パッキン44をバルブハウジング2の外面に沿って昇降自在に保持する弾性部材(ベローズ)46とを備えている。ベローズ46は、上下の端部に厚肉部46a、46bが形成されており、下方の厚肉部46bに設けられた環状溝46ba内に前記容器口パッキン44が取り付けられている。また、上方の厚肉部46aは、バルブハウジング2の外面に形成された取り付け用フランジ2aの下面に取り付けられている。この上方厚肉部46aの内周面にシールリング48が嵌着されており、前記容器口パッキン44が容器10を密封した際に、ベローズ46の内部側の空間47と外部側との間の気密を保持するようになっている。このベローズ46の内面側の最大径(内側の谷径)D1が、容器10の口部10aと容器口パッキン44とのシール径D2と同一あるいはそれよりも大径になっている(D1≧D2)。
バルブハウジング2の上端に固定された第1エアシリンダ(液バルブ開閉用エアシリンダ)26の上部に、第2のエアシリンダ(容器口パッキン昇降用エアシリンダ)50が固定されている。この第2エアシリンダ50は、第2シリンダハウジング52内にピストン54が摺動自在に嵌合されており、第2シリンダハウジング52内の空間がこのピストン54によって上下の圧力室56、58に区画されている。これら両圧力室56、58は、それぞれエア通路60、62を介してエア圧力源(図示せず)に接続されており、圧力室56、58内に圧力エアを導入し、または、大気に開放できるようになっている。
前記第2エアシリンダ50のピストンロッド54aは、第2シリンダハウジング52の上方に伸びており、連結部材64を介して、前記バルブハウジング2と平行な直立した連結ロッド66の上端に連結されている。この連結ロッド66の下端に、前記容器口パッキン44を保持しているベローズ46の下方厚肉部46bが固定されており、連結ロッド66の昇降に伴って容器口パッキン44が昇降する。前記第2エアシリンダ50の上方の圧力室56に圧力エアを導入すると、ピストン54とともに連結ロッド66が下降して、容器口パッキン44が容器10の口部10aに圧接される(図1および図2の右側の状態を参照)。また、下方の圧力室58にエアを導入したときには、連結ロッド66が上昇して容器口パッキン44が容器10の口部10aから離れるようになっている(図1および図2の左側の状態を参照)。
バルブハウジング2の内部の、前記充填液通路4の外側には、このバルブハウジング2の下端面に開口する三本の気体通路68、70、72が設けられている。第1の気体通路68は加圧ガスの供給通路であり、開閉弁74を介して、図示しない充填液タンクのヘッドスペース(貯留された充填液の上部空間)に接続されている。このガス供給通路68は、バルブハウジング2のテーパー状の下端面2bに開口している(開口部を図2中に符号68aで示す)。
また、第2の気体通路70はガス排出通路であり、開閉弁76を介して、図示しない回収チャンバーに連通しており、容器10内から排出されるエアを回収する。前記バルブハウジング2の下部は、充填液通路4の外側の部分が一部切り欠かれており(切り欠かれた部分2cを図1および図2中に想像線で示す)、ガス排出通路68は、この切り欠かれた部分2cを除去した下端面2dに開口している(開口部を図2中に符号70aで示す)。前記バルブハウジング2の切り欠き部2cを除去した下端面2dの高さは、前記ベローズ46の上方厚肉部46a(バルブハウジング2への取り付け部)の下面46aaの高さに一致している。
さらに、第3の気体通路72はスニフト通路であり、開閉弁78を介して、図示しないスニフトチャンバーに接続されている。このスニフト通路72も、前記ガス排出通路70と同様に、バルブハウジング2の切り欠き部2cを除去した下端面2dに開口している。
以上の構成に係る加圧充填バルブ1の作動について説明する。充填バルブ1の下方に容器10が供給される時点では、容器口パッキンユニット42の下部に取り付けられている容器口パッキン44は、第2エアシリンダ50(容器口パッキン昇降用エアシリンダ)によって上昇した位置にあり(図1および図2の左側参照)、容器10が供給された後に、第2エアシリンダ50の上方圧力室56に圧力エアを導入し、ピストン54および連結ロッド66を介してこの容器口パッキン44を下降させる。第2エアシリンダ50によって下降された容器口パッキン44は、容器10の口部10aに圧着されて容器10内を密封する(図1および図2の右側参照)。
前記のように容器口パッキン44によって容器10内を密封した後、ガス供給通路68の開閉弁74を開いて、ガス供給通路68から容器10内に加圧ガス(例えば炭酸ガス)を供給する。この実施例では、ガス供給通路68は充填液タンク(図示せず)内の気相部に連通しており、この気相部から容器10内に加圧ガスが供給される。加圧ガスの供給を開始するとともに、ガス排出通路70の開閉弁76を開放する。ガス排出通路70は専用の回収チャンバー(図示せず)に連通しており、容器10内に加圧ガスを供給するのに伴って、容器10内から排出されるエアが前記回収チャンバーに回収される。なお、この実施例では、ガス供給通路68を充填液タンクの気相部に接続しているが、加圧ガス専用のチャンバーに接続するようにしても良い。
ガス供給通路68から容器10内にガスの供給を開始してから所定時間経過した後、ガス排出通路70の開閉弁76を閉鎖するとともに、第1エアシリンダ26(液バルブ開閉用エアシリンダ)の下方圧力室34にエアを導入して、ピストン28および昇降ロッド14を上昇させる。昇降ロッド14が上昇すると、その下端に設けられている弁体16が弁座18から離れて液バルブ12が開放する。充填液タンクから給液管6を介してバルブハウジング4内の充填液通路6に供給されてきた充填液が、液バルブ12内を通り、スクリーン24を通過して液吐出口22から容器10内に充填される。給液管6を流れる充填液の流量が流量計8によって計測されており、所定の充填量を計測すると、前記第1エアシリンダ26の上方圧力室32にエアを導入し、昇降ロッド14を下降させて液バルブ12を閉じ充填を終了する。
その後、スニフト通路72の開閉弁78を開放して、容器10のヘッドスペース内のガスをスニフトチャンバーに回収する。前記実施例に係る加圧式充填バルブ1は、容器10内をシールする容器口パッキン44を、伸縮可能な弾性部材(ベローズ)46を介して取り付けているので、従来のような円筒状部材から成る容器口パッキンユニットを用いた場合のように摺動する部分がないため、異物が発生するおそれが無い。しかも、バルブハウジング2の一部を切り欠いて、ガス排出通路70の開口部70aを、ガス供給通路68の開口部68aよりも上方で、ベローズ46のバルブハウジング2への取り付け部(上端厚肉部)46aとほぼ同じ高さに配置したので、ガス供給通路68の開口部68aから容器10に供給される加圧ガスにより容器10内には開口部68aから容器底面にはね返って排出通路70の開口部70aの方向へ流れが生じるので、バルブハウジング2の外面とベローズ46の内面との間の空間47においても加圧ガスが充分に流れ込みガス置換効率を向上させることができる。また、バルブハウジング2の一部に切り欠き部2cを設けることにより、バルブハウジング2の外面とベローズ46の内面との距離を大きくすることができ、しかも、その下端面2dに排出通路70の開口部70aを臨ませることにより、開口部70aを下方に向けて、しかも、開口部68aより高い位置に配置したので、容器10内のエアを供給される加圧ガスによって開口部に導くことができ、ベローズ46のひだの内部側までガス置換を行うことができる。なお、前記ガス排出通路70の開口部70aの高さは、前記ベローズ46の取り付け位置(バルブハウジング2の切り欠き部2cを除去した下端面2d)とほぼ同一の位置に限るものではなく、さらに高い位置でも良く、また、逆に低い位置の場合でも、ベローズ46内の空間47を拡大した分だけガス置換効率を向上させることができる。
加圧充填バルブの縦断面図である。(実施例1) 前記加圧充填バルブの要部の拡大図である。 バルブハウジングを下面から見た図である。
符号の説明
1 加圧充填バルブ
2 バルブハウジング
4 液通路(充填液通路)
10 容器
10a 容器口
12 液バルブ
44 容器口パッキン
46 弾性部材(ベローズ)
68 加圧ガス供給通路
68a ガス供給通路の開口部
70 ガス排出通路
70a ガス排出通路の開口部

Claims (2)

  1. 内部に液通路が形成されたバルブハウジングと、前記液通路を開閉する液バルブと、バルブハウジングの外周側に昇降可能に配置された容器口パッキンと、バルブハウジング内の前記液通路の外側に形成され、容器内に加圧ガスを供給する加圧ガス供給通路と、バルブハウジング内の前記液通路の外側に形成され、加圧ガスを供給する際に容器内のエアを排出する排出通路とを備え、
    前記容器口パッキンを伸縮可能な弾性部材を介して前記バルブハウジングに取り付けるとともに、前記排出通路の開口部を前記バルブハウジングの一部を切り欠いた部分の、前記加圧ガスの供給通路の開口部よりも上方に形成し、
    容器と前記容器口パッキンの少なくともいずれか一方を昇降させて、パッキンを容器口に密着させた後、容器内に加圧ガスを供給するとともに、容器内のエアを排出してから充填を開始することを特徴とする加圧充填バルブ。
  2. 前記排出通路の開口部を、前記弾性部材の上端取り付け位置とほぼ同じ高さ、またはそれよりも上方に位置するように形成したことを特徴とする請求項1に記載の加圧充填バルブ。
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