JP4687109B2 - 集積型発光ダイオードの製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、この発明が解決しようとする課題は、熱抵抗の大幅な低減が可能で光取り出し効率も高い集積型発光ダイオードおよびその製造方法ならびにこの集積型発光ダイオードを用いた高輝度の発光ダイオードディスプレイおよび発光ダイオード照明装置ならびにこの集積型発光ダイオードを構成するのに用いて好適な微小発光ダイオードを提供することである。
すなわち、従来のLEDにおいては、発光ダイオードチップ上の発光構造を構成する半導体層の厚さは通常10μm程度であり、半導体層の横方向(チップ面に平行な方向)の大きさ(300μm程度)に対する半導体層の厚さの比(アスペクト比)は非常に小さいが、これは光の取り出しの効率の観点からは好ましくない。これに対し、半導体層の横方向の大きさを半導体層の厚さに近づけることでこのアスペクト比を1に近い値にすることができれば、光取り出し効率の大幅な向上を図ることができる。それだけでなく、半導体層の横方向の大きさを例えば数十μm程度またはそれ以下とすることにより、半導体層に含まれる転位の数を大幅に減らすことができ、実質的に無転位とすることも可能である。このような転位が非常に少ない、あるいは無転位の半導体層により構成された微小なLEDは、これまでにないものである。そして、この微小なLEDをヒートシンク上に複数搭載し、そのLED集合体を一つのLEDとすることで、従来にない新たな集積型LEDを実現することができる。また、この集積型LEDによりハイパワーLEDを構成する場合には、ヒートシンク上に必要な数の微小LEDを配列することで所望の光量を得ることができる。しかもこの場合、集積型LEDでは、複数の微小なLEDがヒートシンク上に搭載されている結果、動作時に発生する熱をいわば三次元的に逃がすことができるため、単体の大きなLEDチップをヒートシンク上に搭載する従来のLEDに比べて、発熱による温度上昇を低く抑えることが可能である。このため、ハイパワーLEDで問題となる発熱の問題を解消することができる。さらに、この集積型LEDによれば、従来の300μm角程度の単体のLEDと同じ使用面積で、実質的に発光部の面積を大きくすることができるため、より面発光に近づけることも可能である。
さらに、上記のような集積型LEDをサファイア基板などの上にELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)法によりGaN系半導体層を横方向成長させることで製造する場合、解決する必要がある課題があることが分かった。すなわち、この方法では、図29Aに示すように、サファイア基板201上にGaN系半導体層202を形成し、このGaN系半導体層202をシードとしてELO法によりGaN系半導体層203を横方向させ、その上に素子形成用のGaN系半導体層204を成長させた後、図29Bに示すように、サファイア基板201を除去する。この場合、このGaN系半導体層204の表面は比較的平坦となるため、その上に電極を形成したり、そこから光取り出しを行ったりすることができるが、GaN系半導体層203は実際にはサファイア基板201から宙に浮いた形で横方向成長するため、その上面および下面とも平坦にならず、また、このGaN系半導体層203とサファイア基板201との間の空間は通常、水素ガスや窒素ガスなどが封入された状態または空気が後に侵入する状態になっていることから、その下面は結晶性が悪い状態や変質した状態となっている。このようにGaN系半導体層203の下面が平坦になっていないと、GaN系半導体層203、204の全体の上面と下面との平行度が悪く、光取り出し効率の劣化を招く。また、この下面が結晶性の悪い状態や変質した状態になっていると、この部分で光が吸収されるため、やはり光取り出し効率の劣化を招く。この問題を防止するためには、GaN系半導体層204を成長させ、サファイア基板201をレーザ剥離法により剥離した後に、図29Cに示すように、このGaN系半導体層203の剥離面をエッチング、研磨などにより平坦化することで、GaN系半導体層203、204の全体の上面と下面との平行度を高くするとともに、下面の結晶性が悪かったり、変質した部分を除去することが有効である。
この発明は、上記の検討に基づいて案出されたものである。
第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層が順次積層された構造を有し、上記積層面内の少なくとも一方向の大きさが20μm以下であり、上記第1の半導体層および上記第2の半導体層のうちの外部に光が取り出される方の光取り出し面に発光波長の光を散乱する凹凸が設けられている同種類の複数の微小発光ダイオードが一体のヒートシンク上に互いに分離された状態で搭載されてなることを特徴とする集積型発光ダイオードである。
第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層が順次積層された構造を有し、上記積層面内の少なくとも一方向の大きさが20μm以下であり、上記第1の半導体層および上記第2の半導体層のうちの外部に光が取り出される方の光取り出し面に発光波長の光を散乱する凹凸が設けられていることを特徴とする微小発光ダイオードである。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
少なくとも一方向の大きさが20μm以下の同種類の複数の微小発光ダイオードが一体のヒートシンク上に互いに分離された状態で搭載されてなる集積型発光ダイオードの製造方法であって、
基板上に第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層を順次成長させる工程と、
上記第2の半導体層上に第2導電型側の電極を形成する工程と、
上記第2導電型側の電極をマスクとして上記第2の半導体層、上記活性層および上記第1の半導体層をエッチングすることにより少なくとも一方向の大きさが20μm以下の複数の微小発光ダイオードを形成する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記第2導電型側の電極上にヒートシンクを貼り合わせる工程と、
上記基板をレーザ剥離法により除去する工程と、
上記第1の半導体層の剥離面を平坦化する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記平坦化された上記第1の半導体層上に第1導電型側の電極を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
第1の半導体層の剥離面の平坦化は、エッチングや研磨などを組み合わせることにより行うことができる。
第1の半導体層の剥離面を平坦化した後に、光取り出し面となるこの平坦面に発光波長の光を散乱する凹凸を形成するようにしてもよい。
第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
少なくとも一方向の大きさが20μm以下の同種類の複数の微小発光ダイオードが一体のヒートシンク上に互いに分離された状態で搭載されてなる集積型発光ダイオードの製造方法であって、
基板上に第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層を順次成長させる工程と、
上記第2の半導体層上に第2導電型側の電極を形成する工程と、
上記第2導電型側の電極をマスクとして上記第2の半導体層、上記活性層および上記第1の半導体層をエッチングすることにより少なくとも一方向の大きさが20μm以下の複数の微小発光ダイオードを形成する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記第1の半導体層上に第1導電型側の電極を形成する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記第1導電型側の電極および上記第2導電型側の電極上にヒートシンクを貼り合わせる工程と、
上記基板をレーザ剥離法により除去する工程と、
上記第1の半導体層の剥離面を平坦化する工程とを有することを特徴とするものである。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第3の発明に関連して説明したことが成立する。
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードを基板上にそれぞれ複数個配列することにより形成された発光ダイオードディスプレイにおいて、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一種類の発光ダイオードが、第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層が順次積層された構造を有し、上記積層面内の少なくとも一方向の大きさが20μm以下であり、上記第1の半導体層および上記第2の半導体層のうちの外部に光が取り出される方の光取り出し面に発光波長の光を散乱する凹凸が設けられている同種類の複数の微小発光ダイオードが一体のヒートシンク上に互いに分離された状態で搭載されてなる集積型発光ダイオードであることを特徴とするものである。
第5の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードを基板上にそれぞれ複数個配列することにより形成された発光ダイオード照明装置において、
上記赤色発光の発光ダイオード、上記緑色発光の発光ダイオードおよび上記青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一種類の発光ダイオードが、第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層が順次積層された構造を有し、上記積層面内の少なくとも一方向の大きさが20μm以下であり、上記第1の半導体層および上記第2の半導体層のうちの外部に光が取り出される方の光取り出し面に発光波長の光を散乱する凹凸が設けられている同種類の複数の微小発光ダイオードが一体のヒートシンク上に互いに分離された状態で搭載されてなる集積型発光ダイオードであることを特徴とするものである。
第6の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第5の発明に関連して説明したことが成立する。
まず、この発明の第1の実施形態による集積型LEDについて説明する。
図1〜図11はこの集積型LEDの製造方法を示し、図12は集積型LEDの完成状態を示す。ここで、図1〜図6および図10〜図12のAは平面図、Bは断面図である。
上記のn型GaN層15、活性層16、p型GaN層17などのうち、n型GaN層12の側面と会合部14との間のほぼ無転位の部分のn型GaN層13上に成長した部分も同様にほぼ無転位となる。
次に、図6に示すように、上記の円柱部の間の部分に発光波長の光に対して透明な透明絶縁材料19を埋め込む。この透明絶縁材料19は、例えば透明樹脂やSiO2 などである。
このようにして剥離されたもののn型GaN層12、13の剥離面は、既に述べたように、平坦性が悪く、しかも結晶性が悪かったり、変質層が形成されていたりする。そこで次に、図9に示すように、n型GaN層12、13の剥離面をHClなどにより処理した後、この剥離面を化学的機械的研磨(CMP)法などにより研磨したり、RIE法によりエッチングしたりして平坦化し、最終的にn型GaN層15の裏面を露出させる。この時点で各マイクロGaN系LEDは相互に分離される。
次に、円柱状のマイクロGaN系LEDが集積された半導体基板20を図11に示す1チップ領域の形状に切り出してチップ化する。これによって、図12に示すように、複数の円柱状のマイクロGaN系LEDがヒートシンクである半導体基板20上に集積された集積型LEDチップが得られる。この集積型GaN系LEDチップの大きさは、従来のLEDチップの大きさと同様に、300μm程度またはそれ以下とすることができる。この集積型LEDチップに含まれるマイクロGaN系LEDの個数は、その直径や配列ピッチにもよるが、例えば10〜50個程度である。
この第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様にして、図5に示すように、n型GaN層15、活性層16およびp型GaN層17を円柱状に加工する工程まで実行する。
次に、上述のようにして円柱状のn型GaN層15、活性層16およびp型GaN層17が多数形成されたサファイア基板11のp側電極18側を軟粘着基板(図示せず)と貼り合わせる。
次に、各マイクロGaN系LEDのn型GaN層15側を別の軟粘着基板(図示せず)と貼り合わせた後、最初の軟粘着基板を剥離する。次に、マイクロGaN系LEDを拡大転写する。すなわち、マイクロGaN系LEDが多数貼り合わされた軟粘着基板を延伸して各マイクロGaN系LEDの間隔を広げ、その状態でマイクロGaN系LEDを例えば4個毎に間引きし、ヒートシンクとなる基板(図示せず)上にあらかじめ形成された配線に各マイクロGaN系LEDのp側電極18を接合する。この状態を図14に示す。図14において、符号24aがマイクロGaN系LED、25aが図中縦方向の一列のマイクロGaN系LEDのp側電極18を接続する配線を示す。このマイクロGaN系LED24aは青色発光であるとする。
以上のようにしてカラーディスプレイを製造することができる。このカラーディスプレイは、パッシブマトリックス方式で縦横に線順次駆動することで画像を表示することができる。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な構造のマイクロLEDを用いて高輝度のカラーディスプレイを実現することができる。
この第3の実施形態においては、第1の実施形態と同様にして、図5に示す工程まで実行した後、図16に示すように、n型GaN層15上に一方向に延在するn側電極22を形成する。
次に、別途用意した基板の表面に、ワックスなどにより、サファイア基板11上のp側電極18およびn側電極22側を貼り合わせる。次に、第1の実施形態と同様にして、レーザ剥離法によりサファイア基板11から、n型GaN層12、13から上の部分を剥離する。次に、ワックスを溶かして上記の基板から集積型LED層を剥離する。
次に、図18に示すように、この集積型LEDチップ103のp側電極18およびn側電極22をそれぞれヒートシンク111、112に接合した後、集積型GaN系LEDチップ103およびヒートシンク111、112の全体を透明な樹脂110によりモールドする。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
図19〜図24はこの集積型LEDの製造方法を示し、図25は集積型LEDの完成状態を示す。ここで、図19〜図24のAは平面図、Bは断面図である。
この第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に工程を進めてp側電極18の形成まで行った後、図19に示すように、このp側電極18をマスクとしてn型GaN層15の厚さ方向の途中の深さまでエッチングを行い、n型GaN層15、活性層16およびp型GaN層17を円柱状に加工する。
次に、基板全面に例えばSiO2 膜を形成し、さらにこのSiO2 膜上にリソグラフィーにより所定形状のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとしてSiO2 膜をエッチングすることにより、一つのp側電極18とそれに隣接する一つのn側電極22とを含む長方形の区画に分けるように縦横に走る溝を形成する。次に、レジストパターンを除去した後、こうして溝が形成されたSiO2 膜をマスクとして例えばRIE法によりサファイア基板11が露出するまでエッチングする。これによって、図21に示すように、サファイア基板11に達する溝28が形成される。
次に、図24に示すように、このようにしてサファイア基板11から剥離されたもののn型GaN層12、13をHClなどを用いてウエットエッチングしたり、さらにラッピングを行ったりすることにより除去してn型GaN層15の裏面を露出させる。この時点で各マイクロGaN系LEDは相互に分離される。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
この第5の実施形態においては、第1の実施形態と同様に工程を進めてp側電極18の形成まで行うが、この場合、このp側電極18は、ストライプ形状のn型GaN層12の側面と会合部14との間の部分のほぼ無転位のp型GaN層17上に、n型GaN層12に平行に延在するストライプ形状に形成する。そして、このp側電極18をマスクとして例えばRIE法によりn型GaN層13が露出するまでエッチングを行う。こうして、n型GaN層15、活性層16およびp型GaN層17がストライプ形状に加工される。このストライプ形状の部分が一つのマイクロGaN系LEDを構成する。この後、第1の実施形態と同様に工程を進めて、図26に示すように、n側電極22上へのパッド電極23の形成まで行う。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
この第6の実施形態においては、第1の実施形態と同様にして図9に示す工程まで実行した後、n型GaN層15の裏面に、ウエットエッチングを行ったり、リソグラフィーおよびRIE法などによるエッチングを行ったりして、発光波長の光を効率的に散乱することができる微小な凹凸を形成する。図28に一例として、n型GaN層15の裏面にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてRIE法によりエッチングすることにより凹凸33を形成した場合を示す。この凹凸33の大きさおよび間隔は例えば0.1〜1μm程度である。
この後、第1の実施形態と同様に工程を進めて目的とする集積型LEDを製造する。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、各マイクロGaN系LEDのn型GaN層15の光取り出し面に発光波長の光を散乱することができる微小な凹凸が形成されていることにより、光取り出し効率の向上を図ることができるという利点を得ることができる。
例えば、上述の第1〜第6の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセスなどを用いてもよい。また、必要に応じて、第1〜第6の実施形態の二以上を組み合わせてもよい。
また、第1〜第6の実施形態においては、成長基板としてサファイア基板を用いているが、必要に応じて、すでに述べたSiC基板、Si基板などの他の基板を用いてもよい。
また、第4の実施形態において、はんだバンプ31、32の代わりに単なるはんだ層を用いてもよい。
Claims (3)
- 基板上に第1導電型の第1の半導体層、活性層および第2導電型の第2の半導体層を順次成長させる工程と、
上記第2の半導体層上に第2導電型側の電極を形成する工程と、
上記第2導電型側の電極をマスクとして上記第2の半導体層、上記活性層および上記第1の半導体層をエッチングすることにより、上記第1の半導体層、上記活性層および上記第2の半導体層の、積層面内の少なくとも一方向の大きさが20μm以下の、発光波長が互いに同一の同種類の複数の微小発光ダイオードを形成する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記第2導電型側の電極上に、半導体基板からなるヒートシンクの表面にコーティングされた導電層を貼り合わせる工程と、
上記基板をレーザ剥離法により除去する工程と、
上記第1の半導体層の剥離面を平坦化する工程と、
上記複数の微小発光ダイオードの上記平坦化された上記第1の半導体層上に第1導電型側の電極を形成する工程とを有する集積型発光ダイオードの製造方法。 - 上記第1の半導体層、上記活性層および上記第2の半導体層が窒化物系III−V族化合物半導体からなる請求項1記載の集積型発光ダイオードの製造方法。
- 上記第1の半導体層、上記活性層および上記第2の半導体層がAlGaInP系III−V族化合物半導体からなる請求項1記載の集積型発光ダイオードの製造方法。
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