JP4687025B2 - 高分子電解質、これを含む高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents
高分子電解質、これを含む高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池 Download PDFInfo
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Description
固体高分子型燃料電池のプロトン伝導性電解質膜としては、従来、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜などのフッ素系電解質膜が用いられてきた。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、パーフルオロアルキル主鎖と、先端にプロトン伝導性を有するスルホン酸基が結合した側鎖からなっており、パーフルオロアルキルが集合した疎水相中に、スルホン酸基が集合した球状の親水相が連結してクラスター構造を形成し、この親水相中のスルホン酸基上をプロトンが水を随伴しながら移動すると考えられている。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、上記のようなクラスター構造により得られるプロトン伝導性と、フッ素樹脂骨格による化学的に安定な性質を有している。
これらフッ素系電解質膜が抱える問題を解決すべく、様々な方法が提案されており、例えば、特許文献1には、疎水性官能基、イオン交換基を有する官能基、平面分子構造を有する官能基がそれぞれ結合したビニルモノマーの共重合体からなるイオン交換膜が記載されている。
また、本発明の第二の目的は、水分による膨潤の程度及び価格を抑えた新規構造の高分子電解質膜を提供することである。
さらに、本発明の高分子電解質は主鎖に芳香族基を含んでいるため、通常の酸・アルカリなどとは反応を起こさず、耐酸性及び耐アルカリ性を有する。また、ラジカル種に対する耐性に優れる。即ち、ラジカル的な酸化反応による酸化を受けにくいものである。
前記酸性官能基が縮合多環芳香族ユニットに結合しているので、高分子電解質が高次構造を形成した際に、当該酸性官能基同士が集合し、プロトン伝導路を効率良く形成することができる。さらに、当該酸性官能基間の相互作用によって、より安定した高次構造を形成することができる。
スルホン酸基、リン酸基、及びスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基からなる群から選ばれる前記酸性官能基により、スルホン酸基又はリン酸基の高いプロトン解離性のため、プロトン伝導性に優れた高分子電解質を得ることができる。
共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる前記親水性官能基は、弱いプロトン解離性を有し、プロトン伝導を促進することができる。
前記柔軟構造ユニットの柔軟構造に含まれる2個以上の原子が単結合により連結した構造としては、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を例示することができる。
前記親水性官能基ユニットが前記親水性官能基を有すると共に、さらに、前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造も親水性官能基を有する場合、より多くの水分を分子内に保持することが可能となる。
R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
R2は、前記酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3は、水酸基若しくはチオール基、又は、スペーサー構造として芳香族基を有し、その末端に水酸基若しくはチオール基が結合している基を表す。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体が前記親水性官能基からなり且つ/又は前記親水性官能基であるR5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
R5は、前記親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体が前記親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。
R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が前記親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
R5aは、前記親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体が前記親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。
R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
しかも、保水性に優れるものであり、100℃以上の高温域や0℃以下の低温域においても、電解質内の水分が蒸発したり、凍結することがない。従って、0℃以下の低温域から100以上高温域に亘る広い温度範囲において、プロトン伝導性を保持するものである。また、フッ素系高分子電解質とは異なり、綿密な水分管理を要しない。
さらに、本発明の高分子電解質は、耐熱性に優れると同時に、化学的安定性に優れ、高温下においても酸化分解反応が起きないため、100℃以上のような高温域における長期間の使用も可能である。また、本発明の高分子電解質は、酸及びアルカリと化学反応を起こさないため、通常、固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜がさらされる酸性条件下においても、高い耐久性を示す。また、カソードでの酸素とプロトンの反応において副生するヒドロペルオキシラジカルなどのラジカル種に対しても優れた耐性を有する。
また、本発明の高分子電解質は力学的強度に優れることから破断しにくい。さらに、湿潤状態における膨潤が抑制されているため、電解質膜とした際に膜の膨潤による膜強度の低下や、膜の湿潤状態によって膜の寸法が変化することによるクリープ変形が生じない。
以上のように、本発明の高分子電解質によれば、固体高分子型燃料電池の電解質膜に求められる諸特性に優れ、高性能を発揮する高分子電解質膜を提供することが可能である。しかも、本発明の高分子電解質は、安価に製造することができるため、高分子電解質のコストを削減することも可能である。従って、本発明の高分子電解質を用いた高分子電解質は、固体高分子型燃料電池に好適に用いることができる。
縮合多環芳香族ユニットは、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいれば特に限定されるものではなく、例えば、その主鎖骨格を形成する部分が非芳香族環構造を含んでいてもよく、また、芳香族環の構成原子として異種原子を含んでいてもよい。後述するpKa5以下の酸性官能基によるプロトン伝導を促進する観点からは、芳香族環の構成原子として、非共有電子対を持つ異種原子を含むことが好ましい。この場合、この非共有電子対がプロトン伝導の足場となり、プロトン伝導を促進するからである。
さらに、本発明の高分子電解質は主鎖に芳香族基を含んでいるため、通常の酸・アルカリなどとは反応を起こしにくい。固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜は、通常、酸性条件下にさらされるが、本発明の高分子電解質であれば、そのような条件下でも、高い耐久性を示す。また、主鎖に位置する芳香族基は、高分子電解質内部に進入してきたラジカル種を安定化させ、その後、当該高分子電解質外部に排出することができるので、ラジカル種、例えばカソードでの酸素とプロトンの反応に際し副生するヒドロペルオキシラジカル(・OOH)などに対する耐性に優れる。即ち、ラジカル的な酸化反応による酸化を受けにくい。これは、高温での酸素による酸化をも受けにくいことを意味する。従って、本発明に係る高分子電解質を電解質膜とする固体高分子型燃料電池は、カソードでの副反応に対して耐久性が高く、且つ、120℃以上となるような高温での発電を行った場合にも高い耐久性を示す。
さらに、酸性官能基がスペーサー構造を構成する基として芳香族基を有し、その芳香族基を介して縮合多環芳香族ユニットに結合している場合には、当該酸性官能基の芳香族基と、縮合多環芳香族ユニットとが一体となって共鳴構造を形成していることが好ましい。このような共鳴構造を形成することによって、さらに酸性官能基のプロトン解離が促進され、プロトン伝導性が向上するからである。
本発明に係る高分子電解質は、繰り返し単位構造中に、これら複数の種類の親水性官能基を同時に含んでいてもよい。
親水性官能基は、高分子電解質の分子内のどの位置に導入されていてもよく、高分子主鎖に結合して、いわゆるぶら下がり構造を形成していてもよいし、高分子の側鎖に結合していてもよい。
高分子電解質の耐熱性を向上させる観点からは、親水性官能基ユニットの高分子主鎖骨格を形成する部分が芳香族環を含んでいるものが好ましい。
また、好ましい形態では、前記親水性官能基がpKa10〜2の、例えばフェノール性水酸基などの弱酸性基であり、弱いプロトン解離性を示すため、この親水性官能基もプロトンを発生する。この親水性官能基由来のプロトンも電荷担体として働くので、電荷を運ぶプロトンが増え、優れたプロトン伝導性が発現すると考えられる。
また、本発明の高分子電解質は、0℃から100℃の温度範囲のような常温下において、上記した高次構造の内部に「自由水」と呼ばれる水分子を多く保持することが可能であり、優れた保水性を有する。従って、低加湿状態でも高いプロトン伝導度が達成される。
本発明者は、良好な特性の高分子電解質を得るためには、酸性官能基に対する親水性官能基の存在比が0.1〜10の範囲であることが好ましく、さらに0.2〜5の範囲であることが好ましいことを見出した。
一方、酸性官能基に対する親水性官能基の存在比が10以上である高分子電解質膜では、プロトンの主要な供給源である酸性官能基が少なすぎ、プロトンが十分に供給されず、プロトン伝導性が損なわれるおそれがある。
ただし、酸性官能基と親水性官能基のpKaが共に3〜5の範囲である場合は、これらの間の存在比に特に制限はない。
本発明の高分子電解質は、その高分子主鎖中に、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
R2は、pKa5以下の酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなり且つ/又はpKa2以上の親水性官能基R5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
R5は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。
R1が、その縮合多環芳香基を構成する原子として、その環内に酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン等の非共有電子対を持つ異種原子を含む場合、この非共有電子対がプロトン伝導の足場となり、pKa5以下の酸性官能基によるプロトン伝導を促進することができるため好ましい。
R1は酸性官能基R2及び親水性官能基R3以外の基を有していてもよい。本発明の高分子電解質のプロトン伝導性をさらに向上させるためには、R1を構成する芳香族環に酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン等の非共有電子対を有する異種原子が結合していることが好ましい。
R2としては、酸性発現部位のプロトン解離定数がpKa5以下を示す基(原子団)であればとくに限定されないが、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、プロパン酸基、ブタン酸基、ジカルボン酸基などを含むものが挙げられる。酸性発現部位として好ましいのは、スルホン酸基又はリン酸基である。R2は、これら酸性発現部位とR1との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。
特に好ましいのは、スルホン酸基又はリン酸基、又は、スペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基を持つ原子団から成る基である。スペーサー構造を構成する基としては、置換基を有していてもよい芳香族基、酸素原子(エーテル基)、イオウ原子(チオエーテル基)、スルホニル基、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有していてもよいハロゲン化アルカンジイル基、カルボニル基、チオカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、及びそれらの組み合わせからなるものを例示することができる。
本発明に係る高分子電解質は、繰り返し構造中に、これらの複数の種類の酸性官能基を同時に含んでいてもよい。
縮合多環芳香族基R1に結合する酸性官能基R2は、1つでも又は2つ以上であってもよいが、R1の構造や、上述したような親水性官能基R3及びR4若しくはR5との存在比を考慮しながら、適宜調節することが好ましい。また、2つ以上のR2がR1に結合する場合には、これらR2は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
R3としては、親水性発現部位のpKaが2以上である基(原子団)であれば特に限定されず、親水性発現部位とR1との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良く、具体的には、後述する親水性基R5と同様のものを例示できる。
2つ以上のR3がR1に結合する場合には、これらR3は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
また、R4が主鎖骨格を形成する部分として芳香族環(環内異種原子を有していてもよい)を有し、且つ、R5が芳香族環のような共鳴構造を有するスペーサー構造の末端に水酸基のようなプロトン解離性基が結合した基である場合には、R4とR5とが一体となって共鳴構造を形成し、プロトン解離が促進され、結果として高分子電解質のプロトン伝導性を向上させるという効果が期待される。
R4自体がpKa2以上の親水性官能基である場合、R4の具体的な構造としては、後述するpKa2以上の親水性官能基であるR5と同様の構造を有するものを用いることができる。
親水性基R5は、その親水性発現部位とR4との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。スペーサー構造を構成する基としては、前記酸性官能基R2のスペーサー構造と同様のものを例示できる。
2つ以上のR5がR4に結合する場合には、これらR5は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基としては、共鳴構造を有する環状官能基の共鳴構造部分にプロトン解離性基が結合してなるものであれば、その構造は限られるものではない。環状官能基としては、芳香族環のみからなるものであっても、脂肪族環からなるものであっても、又はこれらの組み合わせよりなるものであってもよく、又、環状官能基内の環の数は1つでも、2つ以上であってもよく、2つ以上の環を含む場合には、これらが縮合環を形成していてもよく、又は、スペーサー構造を介して或いは介さずに連結していてもよい。
例えば、R4がベンゼン環のような単環芳香族環であり、そこにR5として水酸基又はチオール基のようなプロトン解離性基が直接結合してなる基や、R4がベンゼン環のような単環芳香族環であり、そこにp−ヒドロキシフェニル基のように芳香族骨格を介してプロトン解離性基が結合してなる基が挙げられる。
これらの共鳴構造を有する環状官能基には、プロトン解離性基以外の基が結合していてもよい。
R6の具体例としては、脂肪族炭化水素系骨格(主として炭素原子からなる連鎖)又はシリコーン系骨格(主としてシロキサンユニットからなる連鎖)を有するものが挙げられる。このとき、連鎖中に異種原子や脂環式構造を含んでいてもよく、例えば、脂肪族エーテル(ポリアルキレンオキシド)骨格や脂肪族エステル骨格等でもよい。また、分岐構造を有していてもよい。
具体的には、酸性官能基を有する縮合多環芳香族ユニットと、親水性官能基ユニットと、柔軟構造ユニットの共重合比が10〜90:50〜10:40〜10であり、且つ、縮合多環芳香族ユニットと親水性官能基ユニットと柔軟構造ユニットの共重合割合の合計が、50モル%以上であることが好ましい。
高分子主鎖が規則正しく配列した高次構造が形成されることによって、酸性官能基R2もまた、規則的に配列するため、効率良くプロトンを伝導することができるプロトン伝導路が形成されることとなり、高分子電解質のプロトン伝導性が向上する。また、酸性官能基R2及び、親水性官能基R3、R4或いはR5がより高い確率で、近接することとなり、より多くの束縛水を保持することが可能となる。また、酸性官能基間、親水性官能基間の相互作用により、より安定した高次構造を形成することができる。さらに、結晶性を有する領域もまた多く形成されるため、高分子電解質の耐熱性をより向上させることができる。しかも、上記したような結晶性領域が形成されることにより、さらに高い力学的強度が得られる。
本発明の高分子電解質は、式(1)で表される繰り返し単位を主体として構成されることが好ましいが、高分子電解質の目的に応じて、その他の繰り返し単位を含んでいても良い。
R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
R5aは、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体がpKa2以上の親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、また、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。
式(2)において、R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基であれば特に限定されるものではなく、例えば、非芳香族環構造を有していてもよい。特に、2〜8個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基であることが好ましい。各芳香族環の構成原子は、4〜12個であることが好ましく、5〜8個であることがさらに好ましい。
R1aの具体例としては、式(1)のR1として例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であってもよく、その場合には、R4aの具体的な構造としては、後述するR5aと同様の構造を有するものを用いることができる。
好ましいR5aの具体例としては、例えば、インドフェノール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ヒドロキノン、2−メトキシ−4−メチルフェノール等の1価の基を挙げることができる。例えば、インドフェノールは、下記式(4)に示すような共鳴構造をとり、水酸基のプロトンを解離することができる。さらに、酸素原子もまた、プロトンを伝導することが可能である。
R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
R4b−R5bからなる親水性官能基ユニットの具体例としては、インドフェノール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ヒドロキノン、2−メトキシ−4−メチルフェノール等の2価の基がその芳香族環において、隣り合うキサンテン骨格及びR6bと結合するものが挙げられる。
縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格部分がキサンテン骨格である式(3)の繰り返し単位において、炭素原子数が上記範囲である脂肪族炭化水素骨格、或いは、シロキサンユニット数が上記範囲であるシリコーン骨格を有するものを柔軟構造ユニットの主鎖骨格部分とすることで、剛直性を有する縮合多環芳香族ユニットと柔軟構造ユニットとのバランスがとれ、安定した高次構造を形成することができる。
また、親水性官能基ユニットR4b−R5bであるインドフェノールは、酸素原子を介して縮合多環芳香族基に結合している。インドフェノールは上述したように共鳴構造を有し、フェノール性水酸基のプロトン解離を容易とし、プロトン伝導を促進する。
柔軟構造ユニットとしては、ヘキセン基が酸素を介してインドフェノールに結合している。
式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質は、剛直なキサンテン骨格のユニットと、柔軟なヘキセン基のユニットが交互に配列しているため、規則正しい高次構造を形成する。この高次構造内において、スルホン酸フェニルのスルホン酸基、キサンテン骨格の構成原子である酸素原子、キサンテン骨格及びインドフェノールの水酸基及び酸素原子が近接し、且つ、規則正しく配列されるため、スルホン酸基が中心となってプロトン伝導を行い、さらに、他の水酸基や酸素原子もプロトン伝導を促進するため、高いプロトン伝導性を有する。
また、この高次構造内においては、スルホン酸基等の酸性官能基と、親水性官能基である水酸基が規則正しく配列されるため、これら酸性官能基と親水性官能基の相互作用によって、多くの束縛水を強固に保持することができるため、高温でも乾燥しにくく、また、低温でも凍結しにくい。
別途、1,6−ヘキサンジオール(IV)と水素化ナトリウムを混合し、氷冷しながら攪拌し、化合物(IV)を金属塩(V)にする(式7)。得られた金属塩(V)を上記反応液に加え、室温下でさらに攪拌する(式8)。
続いて、得られた反応溶液を水等の沈殿溶媒中に空け出し、生成物を沈殿させ、遠心分離とアセトンによる洗浄を2回繰り返して、高分子電解質(VI)を得る。沈殿溶媒は水に限られず、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン等を使用することができる。
また、上記各反応は−30℃〜150℃程度の温度範囲で行うことができ、好ましくは、−20〜50℃の範囲内で行うことが好ましい。−30℃より低い温度では、塩の析出が多くなるので、生成・加工した電解質の膨潤度が大きくなりすぎてしまう。また、150℃よりも高い場合には、高分子主鎖間が架橋してしまい、プロトン伝導性を有する官能基の配向性がランダムとなり、プロトン伝導性が低下してしまう。
これらの試薬のいくつかは、例えば、ミネラルオイル、灯油、軽油、重油、流動パラフィン、シリコンオイルなどの不活性な液体中に保存することがしばしば行われているが、本反応には、それらの不活性な液体を含んだ状態のままでも使用することができる。
しかも、吸水性が抑制されているため、膨潤しすぎることもない。また、力学的強度にも優れるものである。従って、本発明の高分子電解質を含有する高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、−20℃以下の低温から120℃以上の高温までの広い温度での運転が可能であり、さらには、発電性能が膜の湿潤状態によって大きく左右されず、電気を安定して供給することができる。また、耐熱性、耐酸化性にも優れるため、長期間の連続電池運転にも耐久性を示すものである。また、電解質膜の膨潤による膜強度の低下や電解質膜に積層された電極が剥がれるといった問題を防止することができる。しかも、本発明の高分子電解質は、フッ素系モノマーを用いないため、安価な高分子電解質膜を提供することが可能である。
まず、ジムロート冷却管を装着した三口フラスコ1内をアルゴンガスで置換し、アセトニトリル−塩化メチレン(重量比50:50)の混合溶媒10ml、9−スルホフェニル−2,3,7−トリヒドロキシ−6−フルオロン0.5g(1.25×10-3モル)、水素化ナトリウム60%鉱物油分散液0.13ml(水素化ナトリウム3.12×10-3モル)を順に加え、氷で冷やしながらマグネチックスターラーで30分間攪拌した。次に、反応溶液に2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム塩水和物0.45g(1.56×10-3モル)を加え、室温下で2時間攪拌した。
上記で得られた高分子0.2gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlに溶解し、得られた溶液をガラスシャーレ上に流延して50℃で2時間乾燥させ、高分子電解質膜(i)を得た。得られた高分子電解質膜(i)は水中浸漬によりシャーレから剥がして使用した。
図1に示すイオン伝導度測定用電極を使用して高分子電解質膜(i)のプロトン伝導度を測定した。
図1に示すイオン伝導度測定用電極(100)は、4.0cm角で厚さ1cmのテフロン(登録商標)板(1)であって、その中央部に長さ1cm、幅0.5mmの矩形の貫通窓(2)、4隅にはそれぞれ直径3mmの貫通孔(3)が設けられたものである。また、前記貫通窓の四辺は、前記テフロン(登録商標)板の対向する一辺とそれぞれ平行になっている。
そして、長さ4cm、幅1cm、厚さ30μmの2枚の白金箔(4)が、その長さ方向の1辺を前記貫通窓(2)の2つの短辺にちょうど合わせられて、且つ、テフロン(登録商標)板上に白金箔全体がほぼぴったりと載る状態で、エポキシ系接着剤で貼り合わされている。
まず、2枚のイオン伝導度測定用電極を準備し、それらの2組の白金箔を互いに対向させ、その間に、縦0.8cm、横1.3cm、厚さ50μmの高分子電解質膜(i)を挟んだ状態で2枚のテフロン(登録商標)板電極の貫通孔にボルトを通し、ナットで締め付けて固定した。次に、全体を内容量が0.5リットルで、ヒータ、加湿器、温度センサー及び湿度センサーを備えたステンレス製オートクレーブ(耐圧度20kg/cm2)中に固定し、貫通窓の両側の白金箔にそれぞれ導線を接続し、それらの先をインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製型番1250)に接続した。得られたコール・コールプロットの半円の半径を見積もり、その値から膜抵抗値(Ω)を求め、測定領域(1.0cm×0.5cm)及び膜厚(50μm)を勘案し、次の数式(1)からイオン伝導度を求めた。
図2から明らかなように、全測定温度範囲に渡って高分子電解質膜(i)の方がナフィオン膜よりも高いイオン伝導度を示した。特に、−20℃以下の低温域、100℃以上の高温域において、高分子電解質膜1のナフィオン膜に対するイオン伝導度の相対比は大きく、高分子電解質膜1の低温域、及び高温域におけるプロトン伝導性の高さが示された。
図3から明らかなように、全測定湿度範囲に渡って高分子電解質膜(i)の方がナフィオン膜よりも高いイオン伝導度を示した。
耐熱性の目安となる標準サンプルとしてナフィオン膜を使用した。
10mgのナフィオン膜を銀製のセルに入れ、TG−DTA装置(マックサイエンス社製)にセットした。窒素ガスでセル周囲の雰囲気を窒素とし、毎分10℃の昇温速度で加熱した。重量減少が始まった温度を標準サンプルの熱分解温度T1(℃)とした。
図4に、高分子電解質膜(i)の熱分解温度T2を標準サンプルの熱分解温度T1に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、耐熱性において優れていた。
濃度5%の過酸化水素水に硫酸鉄(II)を濃度4ppmになるように溶解させ、その中に標準サンプルとして3cm角のナフィオン膜を入れ、80℃に1時間保った。この酸化処理前後の重量変化量(重量減少量)W1(g)を標準サンプルの標準重量変化量とした。
図4に、標準サンプルの重量変化量W1を高分子電解質膜(i)の重量変化量W2に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、重量変化量が少なく耐酸化性において優れていた。
図5に示す形状(最大幅2cm、最小幅1cm、長さ10cmのダンベル形状)に加工した厚さ50μmのナフィオン膜を標準サンプルとした。また、測定機としては、加熱器、加湿器、温度センサー、及び湿度センサーを備えたステンレス製オートクレーブ内に試料片の設置場所が設けられている引っ張り試験機(テンシロン型)を用いた。
まず、標準サンプルを試料片の設置場所のチャックに挟みこみ、湿度100%、80℃の条件下、引っ張り速度1cm/分にて膜を引っ張って、その時の応力−伸度を観察し、膜が破断した時の破断強度を標準サンプルの引張り強度S1(MPa)とした。
図4に、高分子電解質膜(i)の引張り強度S2を標準サンプルの引張り強度S1に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、引張り強度において優れていた。
上記合成方法にて重合度の異なる高分子電解質を調製し、それぞれの高分子電解質からなる高分子電解質膜を作製した。各高分子電解質膜の重合度は、レーザー光散乱法による分子量測定を行い求めた。重合度の異なる高分子電解質膜について、上記引っ張り強度の評価と同様の方法により破断強度を測定し、高分子電解質の引っ張り強度S2’(MPa)とした。図6に、各重合度の高分子電解質膜の引っ張り強度S2’を、上記引っ張り強度評価で得られた標準サンプルの引っ張り強度S1に対する百分率で示した。この図からわかるように、重合度が5〜150,000の範囲で標準サンプルより引っ張り強度が大きいことから、化学式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を高分子電解質膜として使用する場合、引っ張り強度の面からはその重合度を上記範囲内とすることが好ましいことがわかる。
1…テフロン(登録商標)板
2…貫通窓
3…貫通孔
4…白金箔
5…引張り強度測定用サンプル
Claims (13)
- 繰り返し単位として、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいる縮合多環芳香族ユニットと、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいる柔軟構造ユニットとを含む高分子主鎖と、スルホン酸基、リン酸基、及びスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基からなる群から選ばれ、且つ、前記縮合多環芳香族ユニットに結合している酸性官能基と、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる親水性官能基を有することを特徴とする、高分子電解質。
- 前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造は、縮合環構成原子として、非共有電子対を有する異種原子を有する請求項1に記載の高分子電解質。
- 前記柔軟構造ユニットの柔軟構造に含まれる2個以上の原子が単結合により連結した構造は、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格である請求項1又は2に記載の高分子電解質。
- 前記高分子主鎖は、繰り返し単位として、前記親水性官能基からなる又は当該親水性官能基を有する親水性官能基ユニットをさらに含んでいる請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子電解質。
- 前記プロトン解離性基が水酸基又はチオール基である請求項1乃至4のいずれかに記載の高分子電解質。
- 前記親水性官能基ユニットが前記親水性官能基を有すると共に、さらに、前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造も親水性官能基を有する請求項4又は5に記載の高分子電解質。
- 前記酸性官能基に対する前記親水性官能基の存在比が0.1〜10の範囲であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高分子電解質。
- 下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の高分子電解質。
R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
R2は、前記酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3は、水酸基若しくはチオール基、又は、スペーサー構造として芳香族基を有し、その末端に水酸基若しくはチオール基が結合している基を表す。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体が前記親水性官能基からなり且つ/又は前記親水性官能基であるR5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
R5は、前記親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体が前記親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。 - 下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質である請求項8に記載の高分子電解質。
R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が前記親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
R5aは、前記親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体が前記親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。 - 下記式(3)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質である請求項9に記載の高分子電解質。
R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。 - 前記式(1)、(2)又は(3)で表される繰り返し構成単位の重合度が5〜150,000である、請求項8乃至10のいずれかに記載の高分子電解質。
- 請求項1乃至11のいずれかに記載の高分子電解質を含有する高分子電解質膜。
- 請求項12に記載の高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池。
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