JP2015214617A - 高分子電解質およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジベンゾチオフェン構造またはジベンゾフラン構造を、スルホン酸基含有親水部セグメントまたはスルホン酸基非含有疎水部セグメントの少なくとも一方に含むマルチブロックポリマーからなる高分子電解質、並びに、該高分子電解質を用いた燃料電池用高分子電解質膜、燃料電池用触媒層、燃料電池用膜/電極接合体、及び、燃料電池。
【選択図】なし
Description
で表される構造を含む高分子電解質に関する。
で表される構造を含む高分子電解質に関する。
で表される構造を含む高分子電解質である。
で表される構造を含む高分子電解質である。
で表される化合物を閉環することにより得られる高分子電解質である。
で表される化合物を閉環することにより得られる高分子電解質である。
本発明の高分子電解質は、スルホン酸基(−SO3 −)を有さない、主鎖が主に芳香環からなる疎水部セグメントと、スルホン酸基を有し、主鎖が主に芳香環からなる親水部セグメントとから構成されるマルチブロックポリマーを含み、疎水部セグメントまたは親水部セグメントに、ジベンゾチオフェン構造またはジベンゾフラン構造を含むものである。
で表される。
R1、R2としては、原料の入手容易性から水素が好ましい。
で表される。
で表される構造を有する。
R5〜R8の具体例としては、R1、R2で例示したものが挙げられるが、好ましくは水素である。
X、Yにおける−O−Ar−O−、および、−S−Ar−S−を具体的に例示するならば、以下の構造のものが挙げられる。
の構造を有する。
式(4)の親水部セグメントを具体的に例示するならば、以下の構造のものが挙げられる。
次に、本発明の高分子電解質の製造法について説明する。
マルチブロックポリマーに式(1)のジベンゾチオフェン構造またはジベンゾフラン構造を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、式(5)
で示されるハロゲン含有構造を閉環することにより得ることができる。式(5)におけるAは塩素、臭素、および、ヨウ素から選ばれるハロゲンであり、脱ハロゲン化水素反応により式(1)の構造が得られる。Aは使用する閉環反応の種類に応じて好適なものを選択すればよい。閉環反応の好ましい例としては、Synthesis、1983年、3号、234〜235頁に記載されている、遷移金属触媒を用いた反応が挙げられる。遷移金属触媒としては、パラジウム系化合物が好ましく、具体例を挙げるならば、PdCl2、Pd(OAc)2、Pd(PPh3)4等である。溶媒としてはジメチルアセトアミド等の極性の高い溶媒が好適に用いられる。反応系を塩基性にすることにより、高価なパラジウム系化合物の使用量を触媒量に抑えることが可能である。反応系を塩基性にするための塩基性化合物としては、特に限定はなく、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等を使用することができる。
で表される化合物と、式(8)
で表される化合物を塩基性化合物の存在下に、求核置換反応により重縮合させた後、脱ハロゲン化水素反応することにより得ることができる。
で表される化合物を製造し、式(3)の構造を有する疎水部オリゴマーの前駆体として用いることも可能である。
の化合物に変換した後、さらに式(11)
の化合物と重縮合反応を行って式(3)の構造を有する疎水部オリゴマーとすることもできるし、式(9)の化合物と式(11)の化合物を重縮合させてから、脱ハロゲン化水素反応によって、式(3)の構造を有する疎水部オリゴマーとすることもできる。重縮合反応は、公知の方法で行えばよい。
式(11)の化合物の具体例としては、式(8)の化合物の具体例として示した化合物を挙げることができる。
で示されるハロゲン含有構造の閉環反応が挙げられる。
とを重縮合した後に、閉環する方法が挙げられる。
スルホン化反応は、スルホン化剤そのものを溶媒として行ってもよく、また溶媒を用いてもよい。溶媒としては、スルホン化剤に対して不活性なものであればよく、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が挙げられる。炭化水素系溶媒としては、飽和脂肪族炭化水素が挙げられ、特に炭素数5〜15の直鎖状または分岐状の炭化水素が好ましく、溶解度の点から、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンが好ましい。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素などが挙げられる。ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどが挙げられ、取り扱の容易さから、ジクロロメタンが好ましい。ハロゲン化芳香族炭化水素としては、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが挙げられ、取り扱いの容易さから、クロロベンゼンが好ましい。
例えば、両末端に脱離基を有する疎水部オリゴマーと、両末端に水酸基(−OH基)またはチオール基(−SH基)から選ばれる求核性置換基を有する親水部オリゴマーを用意し、重縮合反応を行う方法が挙げられる。重縮合反応は、疎水部オリゴマーの製造において説明した反応条件を用いて行うことができる。ここで、両末端に脱離基を有する疎水部オリゴマーは、例えば、式(7)の化合物と式(8)の化合物の反応において、脱離基を有する化合物を過剰に用いることにより得られ、両末端に求核性置換基を有する親水部オリゴマーは、例えば、式(7)の化合物と式(12)の化合物の反応において、求核性置換基を有する化合物を過剰に用いることにより得られる。
本発明の高分子電解質は、様々な産業上の利用が考えられ、その利用(用途)については、特に制限されるものではないが、高分子電解質膜、燃料電池用触媒層、膜/電極接合体、燃料電池に好適である。
本発明にかかる高分子電解質膜は、上記高分子電解質を任意の方法で膜状に成型したものである。このような製膜方法としては、公知の方法が適宜使用され得る。上記公知の方法としては、例えば、ホットプレス法、インフレーション法、Tダイ法などの溶融押出成形、キャスト法、エマルション法などの溶液からの製膜方法が例示され得る。例えば溶液からの製膜方法としては、キャスト法が例示される。これは粘度を調整した高分子電解質の溶液を、ガラス板などの平板上に、バーコーター、ブレードコーターなどを用いて塗布し、溶媒を気化させて膜を得る方法である。工業的には溶液を連続的にコートダイからベルト上に塗布し、溶媒を気化させて長尺物を得る方法も一般的である。
本発明の燃料電池用触媒層は、本発明の高分子電解質を含有してなるものである。具体的には、当該燃料電池用触媒層は、上述の高分子電解質、燃料電池用触媒、必要に応じて撥水剤やバインダー樹脂から構成されるものである。本発明の高分子電解質を使用することにより、固体高分子形燃料電池や直接メタノール型燃料電池のアノードまたはカソード触媒層に好適な、優れた発電特性を示すことができる。
本発明にかかる膜/電極接合体(以下、「MEA」と表記する)は、本発明の高分子電解質または高分子電解質膜を用いてなる。かかるMEAは、例えば、燃料電池、特に、固体高分子形燃料電池に用いることができる。
各測定は以下のように行った。
GPC法により分子量を測定した。条件は以下の通り。
GPC測定装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
カラム:SuperAW4000及びSuperAW2500(昭和電工株式会社製)の2本を直列に接続
カラム温度:40℃
移動相溶媒:NMP(N−メチルピロリドン、LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量:0.3mL/min
標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
以下、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量をMnと表記し、標準ポリスチレンで換算した重量平均分子量をMwと表記する。
測定サンプルとして、酸処理後の膜を10〜20mg切り出し、80℃で減圧乾燥し、乾燥重量(Wdry)を測定した。この膜を、飽和NaCl水溶液(30mL)に室温で24時間浸漬させることで、イオン基をH+型からNa+型へ変換した。その後得られた溶液に含まれるHClを、電位差自動滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)を用いて0.01M NaOH水溶液により定量し、以下の式を用いてイオン交換容量IEC値を算出した。同一の膜について2サンプル作成し、2回の測定の平均値を滴定による算出IEC値とした。
電解質膜のプロトン伝導度測定は、日本ベル株式会社製電解質評価装置(MSB−AD−V−FC)を用いて行った。チャンバー内温度は80℃一定で、相対湿度(RH)20%、40%、60%、80%、および、90%の条件下で行った。測定は、RH=20%→40%→60%→80%→90%→80%→60%→40%→20%を1サイクルとして、2サイクル目の湿度降下時の値を測定結果として用いた。サンプルのサイズは1.0cm×3.0cm、Auプローブ間の距離は1.0cmとし、Solartron 1255B/1287(株式会社東陽テクニカ製)を用いて、交流4端子法(300mV、1−100000Hz)により測定を行った。インピーダンスZはボードプロットにより位相角が0°に近い値でかつ1000Hzに近い値を用いた。導電率σ(S/cm)は次式により計算した。
σ = (L/Z)×1/A
ここでLはAuプローブ間の距離(1.0cm)、Aはサンプルの断面積(1cm×膜厚Xcm)である。
電解質膜(0.5cm×3cm)を、アイティー計測制御株式会社製DV−200を用いて行った。測定周波数10Hz、80℃一定での1%RH/minの湿度上昇速度における相対湿度0%RHから90%RHの貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、および、損失正接(tanδ)の各データを取得した。測定は3サイクル行い、3サイクル目のデータを使用した。
一口フラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(FBP)(101mmol)、濃硫酸(151mL)を加え、溶解するまで撹拌した。その後、Nーブロモスクシンイミド(NBS)(207mmol)を15分おきに4回に分けて加え、室温で24時間反応を行った。反応後、純水に滴下し、沈殿を濾過によって回収した。得られた沈殿物を純水で数回洗浄し、80℃で減圧乾燥することで白色固体を得た。その後、得られた固体をトルエン(20mL)に加え、加熱撹拌することで溶解し、ヘキサン(50mL)を加えた後に室温までゆっくり放冷することで再結晶を行った。同様の再結晶の操作を行い、下式に示す純度の高い目的物(Br−FBP)を得た。得られたBr−FBPは1H NMR及び19F NMRスペクトル測定により構造決定した。
リービッヒ冷却管、ディーンスタークトラップ、窒素導入口を備えた三口フラスコに、Br−FBPに対して5倍モル量の4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DHDPE)(33mmol)、K2CO3(66mmol)、および、脱水ジメチルアセトアミド(DMAc)(30mL)を加えた後、共沸剤としてトルエン(15mL)を加え、油浴温度を150℃に昇温、1時間撹拌した。共沸剤のトルエンを除去し油浴温度を140℃とした後に、脱水DMAc(9.9mL)に溶解した、製造例1で得られたBr−FBP(6.6mmol)を滴下し、油浴温度140℃で3時間反応を行った。反応液を室温まで放冷後、1M塩酸水溶液(600mL)に滴下した。ろ過によって沈殿を回収し、得られた沈殿物を純水中で洗浄し、吸引濾過によって沈殿を回収した。更に、未反応のモノマーを取り除くため、塩酸を加えたメタノール(MeOH)水溶液(MeOH:0.1M HCl=5:6)中で2回洗浄を行い、得られた固体を60℃で減圧乾燥することにより、下式に示す目的物を得た(Br−FBP−DHDPEモノマー)。得られた固体は、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定により構造決定した。
リービッヒ冷却管、ディーンスタークトラップ、窒素導入口を備えた三口フラスコに、製造例2で得られたBr−FBP−DHDPEモノマー(2.0mmol)、トリフェニルホスフィン(PPh3)(0.41mmol)、Cs2CO3(10mmol)、および、脱水DMAc(25.5mL)を加え、5分間窒素バブリングを行った。別のナスフラスコに、酢酸パラジウム(II)(0.20mmol)を溶解したDMAc(15mL)溶液を加え、5分間窒素バブリングを行った後に、Br−FBP−DHDPEモノマーを加えた三口フラスコに滴下し、油浴温度を100℃に昇温して、6時間反応を行った。その後、反応液を濾過し、得られた溶液を1M塩酸水溶液に滴下し析出した沈殿を濾過によって回収した。得られた沈殿物にメタノールを加え、濾過によって不溶物を取り除き、エバポレーターを用いて濃縮後、80℃で減圧乾燥することで、下式に示すジベンゾフラン構造を有するモノマーを黄色固体として得た。得られた固体は、1H NMRスペクトル測定により構造決定した。
リービッヒ冷却管、ディーンスタークトラップを備え、窒素パージした三口フラスコに、製造例3で得られたジベンゾフラン構造を有するモノマー(1.0mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(FPS)(0.92mmol)、Cs2CO3(2.1mmol)および脱水DMAc(2.0mL)を加え溶解し、共沸剤としてトルエン(1.0mL)を加えた。反応中に生成する水を除去するため油浴温度150℃で1時間撹拌した。その後、ディーンスタークトラップ中のトルエンを除去し、油浴温度を170℃に昇温し、3時間反応を行った。末端を確実にエンドキャップするため、製造例3で得られたジベンゾフラン構造を有するモノマー(0.1mmol)を加え、さらに油浴温度170℃で1時間反応を行った。反応液を室温まで放冷した後、純水中に滴下した。濾過によって沈殿物を回収し、得られた沈殿物を純水中で洗浄した。濾過によって沈殿物を回収し、更に未反応のモノマーを除去するためにメタノール中で2回洗浄を行い、60℃で減圧乾燥することで下式に示す疎水性オリゴマーを得た。鎖長は、x=8となるようモノマーを仕込んだのに対し、GPC測定ではx=6.6、1H NMR測定ではx=9.8であった。
製造例4と同様の方法で、x=16となるようにモノマーの仕込比を変えて合成を行った。疎水性オリゴマーの鎖長は、GPC測定ではx=6.4、1H NMR測定ではx=12.3であった。
リービッヒ冷却管、ディーンスタークトラップ、メカニカルスターラーを備え、窒素パージした三口フラスコに、鎖長y=4となるよう調整したモノマー混合物(4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)(11mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(FPS)(14mmol))、炭酸カリウム(22mmol)、および、炭酸カルシウム(220mmol)を加え、脱水DMAc(24.8mL)中に溶解し、共沸剤としてトルエン(12.4mL)を加えた。反応中に生成する水を除去するため、油浴温度150℃で1時間半撹拌した。その後、ディーンスタークトラップ中のトルエンを除去し、油浴温度を170℃に昇温し、1時間半反応を行った。末端を確実にエンドキャップするため、FPS(1.4mmol)を加え、さらに170℃で1時間反応を行った。反応液を1M塩酸水溶液に滴下し、濾過によって白色沈殿を回収した。その後、1M塩酸水溶液、メタノール、および、温メタノールによって洗浄を行い、吸引濾過によって沈殿を回収した後、60℃で減圧乾燥することで白色固体を得た。鎖長は、GPC測定ではy=7.5、1H NMR測定ではy=5.7であった。
次に、三口フラスコに、得られたFPS末端オリゴマー(1.6mmol)、30wt%発煙硫酸(36mL)(オリゴマーの芳香族環モル比5倍量)を加え、室温で72時間撹拌した。反応液を氷上に滴下することで反応を終了し、得られた溶液にNaOH水溶液を加え、弱塩基性とし一晩撹拌した。その後、分画分子量1000のSpectra/Por(登録商標) 6Dialysis membraneを用いて塩分濃度が0になるまで透析した。得られた溶液をエバポレーターで濃縮し、80℃で減圧乾燥することで下式に示すスルホン酸基含有オリゴマーを淡黄色透明固体として得た。1H NMR及び19F NMRスペクトル測定により構造決定した。
100mLフラスコに、鎖長x=3となるよう調整したモノマー混合物(ビフェノール(BP)(1.862g,10.0mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(FPS)(1.907g,7.50mmol))、K2CO3(3.455g,25.0mmol)、DMAc(20mL)、および、トルエン(1mL)を加え、150℃で16時間反応後、室温まで放冷した。DMAc(20mL)で希釈した後、1M塩酸水溶液(1L)に滴下することで固体を得た。これを1M塩酸水溶液、温水、温メタノールで数回洗浄した。80℃で12時間、減圧乾燥することで下式に示す目的物を得た。鎖長は、GPC測定ではx=6.4、1H NMR測定ではx=4.8であった。
200mLビーカーに、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン(FPS)(10.0g,39.3mmol)、および、濃硫酸(60mL)を加え、室温で均一溶液とした。その後、N−ブロモスクシンイミド(NBS)(16.0g,89.9mmol)を20分おきに3回に分けて加え、室温で48時間撹拌を行った。反応溶液を超純水1.5L中に注入し、析出した白色個体をろ過により回収、温超純水500mLで3回洗浄することで、粗成生物を得た。これをトルエン/ヘキサンから2回、再結晶することで、下式に示す高純度の目的物(Br−FPS)を得た。構造は、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定から確認した。
100mLフラスコに、鎖長y=4となるよう調整したモノマー混合物(製造例8で得られたBr−FPS(2.210g,5.364mmol)、ジヒドロキシベンゾフェノン(DHBP)(0.919g,4.291mmol))、K2CO3(1.480g,10.71mmol)、CaCO3(8.580g,85.70mmol)、DMAc(10mL)、および、トルエン(1mL)を加え、120℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷後、DMAc(10mL)で希釈した後、1M塩酸水溶液(1L)に注入することで固体が析出した。これを温水、温メタノールで数回洗浄後、80℃で12時間、減圧乾燥することで、下式で示すオリゴマーを固体として得た。得られたオリゴマーの鎖長は、GPC測定ではy=4.9、1H NMR測定ではy=4.5であった。
製造例9と同様の手法により、仕込み鎖長y=10に対して、得られたオリゴマー鎖長は、GPC測定ではy=8.2、1H NMR測定ではy=9.0であった。
100mLフラスコに、製造例9で合成したオリゴマー(1.50g)、30%発煙硫酸(8.3mL)を加え、室温で48時間撹拌した。その後、氷冷水(500mL)に注入し、NaOH水溶液で中和し、透析と水の除去を行い、80℃で12時間、減圧乾燥することで、下式に示す目的物を得た。構造は、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定から確認した。
製造例9のオリゴマーのかわりに、製造例10で合成したオリゴマーを用いる以外は、製造例11と同様にして、目的物を得た。構造は、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定から確認した。
100mLフラスコに、製造例11で得たオリゴマー(0.4857g,0.120mmol)、製造例7で得たオリゴマー(0.2549g,0.120mmol)、K2CO3(0.0415g,0.300mmol)、CaCO3(0.1201g,1.20mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)(3mL)、および、トルエン(0.5mL)を加え、120℃で15時間撹拌した。その後、1M塩酸水溶液(50mL)に注入し、6時間撹拌した。固体を1M塩酸水溶液、飽和食塩水、純水で洗浄後、80℃で12時間、減圧乾燥することで、下式に示す前駆ポリマーを得た。構造は、GPC、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定から確認した。
製造例11で合成したオリゴマーのかわりに製造例12で合成したオリゴマーを用いる以外は、製造例13と同様にして、目的とする前駆ポリマーを得た。構造は、GPC、1H NMR及び19F NMRスペクトル測定から確認した。
(高分子電解質樹脂の製造)
リービッヒ冷却管とディーンスタークトラップを備え、窒素パージした三口フラスコに、製造例6で得た親水性オリゴマー(0.070mmol)、製造例4で得た疎水性オリゴマー(0.070mmol)、Cs2CO3(0.28mmol)、CaCO3(2.8mmol)と脱水したジメチルスルホキシド(DMSO)(9.6mL)を加え溶解し、共沸剤としてトルエン(2mL)を加えた。その後、油浴温度140℃で48時間反応し、さらに湯浴温度を150℃に昇温して48時間反応を行った。反応液に、DMSO(4.8mL)を加え希釈し、室温まで放冷した後に1M塩酸水溶液中に滴下し、沈殿物を濾過によって回収した。得られた沈殿物を純水中で洗浄した後、濾過によって回収し、80℃で真空乾燥を行い、下式に示すマルチブロックポリマーを得た(設定鎖長x=8、y=4)。GPC測定の結果、Mn=40kDa、Mw=191kDaであった。また1H NMRスペクトル測定結果から、親水部、疎水部ともにピークが確認できた。
得られたマルチブロックポリマー(0.17g)を、DMAc(4mL)に溶解し、シリコーンゴムで3cm×8cmに縁取りしたガラス板に流し込み、50℃に熱したホットプレート上に一晩静置し、黄色の膜を得た。得られた膜は、1M硫酸中に一晩浸漬することで酸処理し、純水で数回洗浄した後、メンブレンフィルターで膜を挟み、上から重しを乗せることで圧縮乾燥を行った。
得られた高分子電解質膜のイオン交換容量(IEC)を測定したところ、0.94meq./gであった。プロトン伝導度の湿度依存性の測定結果を図1に示した。また、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)の湿度依存性の測定結果を図2〜4にそれぞれ示した。
製造例4の疎水性オリゴマーのかわりに、製造例5の疎水性オリゴマーを使用する以外は、実施例1と同様な操作により、マルチブロックポリマーを得た(設定鎖長x=16、y=4)。GPC測定の結果、Mn=33kDa、Mw=154kDaであった。また1H NMRスペクトル測定結果から、親水部、疎水部ともにピークが確認できた。さらに、実施例1と同様にして、高分子電解質膜を得た。イオン交換容量は、0.73meq./gであった。プロトン伝導度の湿度依存性の測定結果を図1に示した。また、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)の湿度依存性の測定結果を図2〜4にそれぞれ示した。
(電解質樹脂の製造)
窒素パージした200mL三口フラスコで、製造例13の前駆ポリマー(0.600g)をDMAc(100mL)に溶解させた。次いで、モノスルホン酸化トリフェニルホスフィン(s−PPh3)(0.0339g,0.0932mmol)とCs2CO3(1.165g,3.576mmol)を加え、1時間撹拌した。次いで、酢酸パラジウム(II)(0.0105g,0.0467mmol)のDMAc(20mL)溶液をフラスコに加えた。窒素下、100℃で24時間反応後、室温に放冷した。反応溶液を濾過後、濾液を1M硝酸(400mL)に注入し、活性炭を加えた後、室温で12時間撹拌した。溶液を濾過後、再び活性炭を加え、室温で12時間撹拌した。この作業をさらに2回繰り返した。濾液を透析し、水を除去することで固体を得た。粗成生物を3時間、飽和食塩水中で撹拌し、濾過、純水洗浄した後、80℃で12時間、減圧乾燥することで下式に示すマルチブロックポリマー(設定鎖長x=5,y=5)を得た。
GPC測定の結果、Mn=65kDa、Mw=317kDaであった。また1H NMRスペクトル測定結果から、親水部、疎水部ともにピークが確認できた。
得られたポリマー(0.2g)を、DMSO(3mL)に溶解し、シリコーンゴムで3cm×8cmに縁取りしたガラス板に流し込み、80℃に熱したホットプレート上に一晩静置することで、膜を得た。得られた膜は、1M硫酸中に一晩浸漬することで酸処理し、純水で数回洗浄した後、メンブレンフィルターで膜を挟み、上から重しを乗せることで圧縮乾燥を行った。イオン交換容量は、1.6meq./gであった。プロトン伝導度の湿度依存性の測定結果を図1に示した。また、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)の湿度依存性の測定結果を図2〜4にそれぞれ示した。
製造例13の前駆ポリマーのかわりに製造例14の前駆ポリマーを使用すること以外は、実施例3と同様な操作により、マルチブロックポリマー(設定鎖長x=5,y=10)を得た。GPC測定の結果、Mn=82kDa、Mw=314kDaであった。また1H NMRスペクトル測定結果から、親水部、疎水部ともにピークが確認できた。高分子電解質の作製は、実施例3と同様にして行った。イオン交換容量は、2.12meq./gであった。プロトン伝導度の湿度依存性の測定結果を図1に示した。また、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)の湿度依存性の測定結果を図2〜4にそれぞれ示した。
ディーンスタークトラップを備えた100mL三口フラスコに、製造例6の親水部オリゴマー(Na+型,0.13mmol)、製造例7の疎水部オリゴマー(0.13mmol)、K2CO3(0.52mmol)、CaCO3(5.19mmol)、DMSO(10mL)、および、トルエン(4mL)を加え、140℃で72時間、攪拌を行った後、室温まで放冷した。1M塩酸を50mL加え、濾過、1M塩酸洗浄、超純水洗浄を行った。これを十分に乾燥させた後、メタノールで洗浄を行い、80℃で減圧乾燥さることにより、下式のマルチブロックポリマーを得た。GPC測定の結果、Mn=103kDa、Mw=341kDaであった。また、1H NMR測定結果から、親水部、疎水部ともにピークが確認できた。
ポリマー0.8gをN−メチルピロリドン(NMP)10mLに溶解させ、ガラス基板上に50℃でキャスト製膜を行ったところ、透明な柔軟な膜となった。得られた膜を1M硫酸水溶液中でプロトン交換を行い、超純水中で洗浄を行った後、減圧乾燥を行った。イオン交換容量は、1.69meq./gであった。プロトン伝導度の湿度依存性の測定結果を図1に示した。また、貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)の湿度依存性の測定結果を図2〜4にそれぞれ示した。
Claims (11)
- 疎水部セグメントが式(3)
で表される構造を含む請求項1記載の高分子電解質。 - 親水部セグメントが式(4)
で表される構造を含む請求項2記載の高分子電解質。 - スルホン酸基を有する親水部オリゴマーと、スルホン酸基を有さない疎水部オリゴマーとを、直接結合、−O−および−S−から選ばれる少なくとも一種を介してブロック共重合させることにより得られる請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質を用いた、燃料電池用高分子電解質膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質を用いた、燃料電池用触媒層。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質を用いた、燃料電池用膜/電極接合体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の高分子電解質を用いた、燃料電池。
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WO2020017113A1 (ja) * | 2018-07-19 | 2020-01-23 | 国立大学法人山梨大学 | 高分子電解質、その製造方法、それを用いた高分子電解質膜、触媒層、膜/電極接合体、及び燃料電池 |
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WO2013018677A1 (ja) * | 2011-07-29 | 2013-02-07 | Jsr株式会社 | プロトン伝導性基を有する芳香族系共重合体およびその用途 |
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