JP2006032258A - 高分子電解質、これを含む高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質、これを含む高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れたプロトン伝導性を示し、燃料電池をはじめとする広範な分野に利用することができ、特に燃料電池の電解質膜として使用した場合に高温下や低温下でも高い発電効率が得られる高分子電解質、当該高分子電解質からなる電解質膜、及び、当該電解質膜を用いた燃料電池を提供する。
【解決手段】 繰り返し単位として、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいる縮合多環芳香族ユニットと、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいる柔軟構造ユニットとを含む高分子主鎖と、pKa5以下の酸性官能基と、pKa2以上の親水性官能基を有することを特徴とする、高分子電解質。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高分子電解質に関するものであり、詳しくは燃料電池等の高分子電解質膜として利用される新規の化学構造を有する高分子電解質に関する。
燃料電池は、電解質膜の一面側に燃料極及び他面側に空気極を有し、それぞれの電極に対して、水素を含有する又は水素を発生させる燃料ガス、酸素を含有する酸化剤ガスを供給し、電気化学反応による電気エネルギーを得るものである。プロトン伝導性電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池の場合には、燃料極及び酸化剤極では、下記に示す電気化学反応が進行している。
Figure 2006032258
燃料極で発生したプロトン(H)及び電子は、それぞれプロトン伝導性電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)又は外部回路を通って酸化剤極へと移動する。そして、酸化剤極において、酸化剤ガスから供給された酸素と燃料極から移動してきたプロトン及び電子が反応して水が生成する。
固体高分子型燃料電池のプロトン伝導性電解質膜としては、従来、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜などのフッ素系電解質膜が用いられてきた。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、パーフルオロアルキル主鎖と、先端にプロトン伝導性を有するスルホン酸基が結合した側鎖からなっており、パーフルオロアルキルが集合した疎水相中に、スルホン酸基が集合した球状の親水相が連結してクラスター構造を形成し、この親水相中のスルホン酸基上をプロトンが水を随伴しながら移動すると考えられている。パーフルオロスルホン酸ポリマーは、上記のようなクラスター構造により得られるプロトン伝導性と、フッ素樹脂骨格による化学的に安定な性質を有している。
しかしながら、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜内では、上記したようにプロトンがいくつかの水分子を伴って移動するため、膜の湿潤状態が悪いとプロトン伝導性が低下し、その結果、燃料電池の発電性能も低下してしまう。従って、膜を常に高い湿潤状態に保たなければならず、一般的には加湿器等の装置を用いて湿潤状態をコントロールすることが行われているが、膜全面に亘って好ましい湿潤状態とすることは難しい。また、パーフルオロスルホン酸ポリマー膜内において、プロトン伝導性基であるスルホン酸基は配向性を有していないため、規則的に配列してはおらず、プロトンを効率よく伝導するプロトン伝導路が形成されにくい。さらに、フッ素系電解質であるパーフルオロスルホン酸ポリマーは高価であり、燃料電池の低コスト化を阻む問題の一つとなっている。
これらフッ素系電解質膜が抱える問題を解決すべく、様々な方法が提案されており、例えば、特許文献1には、疎水性官能基、イオン交換基を有する官能基、平面分子構造を有する官能基がそれぞれ結合したビニルモノマーの共重合体からなるイオン交換膜が記載されている。
特開平11−302410号公報
特許文献1によれば、上記ビニルモノマーの共重合体からなるイオン交換膜は、イオン交換基相互の距離が小さく、且つ、イオン交換基が配列していることから高いイオン伝導性が得られると共に、安価な炭化水素系のモノマーを用いていることからコストを大幅に削減することができるとしている。しかしながら、従来のフッ素樹脂系電解質膜や、特許文献1に記載のイオン交換膜は耐熱性を有していないため、120℃以上の高温条件下では、膜が不可逆的な反応を起こしてしまうおそれがある。一方、低温条件下では、プロトンを伝導するために必要な膜内の水分が凍結し、電解質膜の含水量が低下することにより、プロトン伝導性が低下してしまう。さらに、フッ素樹脂系電解質膜では、電気化学反応により生成した水分や加湿器により膜内に供給された水分が親水相を形成するスルホン酸基に吸着されると電解質膜が膨潤する。すなわち、膜は湿潤状態によって膨潤と収縮を起こし膜の寸法が変動するため、寸法の安定性に欠け、電解質膜に積層されている電極が剥がれたり、寸法の変動を繰り返すうちにクリープ変形が生じるといった問題がおきる。また、水分を吸着した電解質膜は、膜強度が低くなるという問題もある。
本発明は上記問題を考慮して成し遂げられたものであり、第一の目的は、優れたプロトン伝導性を示し、燃料電池をはじめとする広範な分野に利用することができ、特に燃料電池の電解質膜として使用した場合に高温下や低温下でも高い発電効率が得られる高分子電解質、当該高分子電解質からなる電解質膜、及び、当該電解質膜を用いた燃料電池を提供することである。
また、本発明の第二の目的は、水分による膨潤の程度及び価格を抑えた新規構造の高分子電解質膜を提供することである。
本発明により提供される高分子電解質は、繰り返し単位として、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいる縮合多環芳香族ユニットと、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいる柔軟構造ユニットとを含む高分子主鎖と、pKa5以下の酸性官能基と、pKa2以上の親水性官能基を有することを特徴とする。
縮合多環芳香族ユニットと柔軟構造ユニットとの相互作用により、本発明の高分子は高次構造を形成することができる。剛直性を有する縮合多環芳香族ユニットが配列して規則的な高次構造を形成することによって、結晶性を有する領域が形成されるため、本発明の高分子電解質は、耐熱性及び高い力学的強度を有するものとなる。
さらに、本発明の高分子電解質は主鎖に芳香族基を含んでいるため、通常の酸・アルカリなどとは反応を起こさず、耐酸性及び耐アルカリ性を有する。また、ラジカル種に対する耐性に優れる。即ち、ラジカル的な酸化反応による酸化を受けにくいものである。
さらに、本発明の高分子電解質は、上記したようにその主鎖が規則的に配列した高次構造を形成するため、プロトン伝導性を有する酸性官能基が規則的に且つ官能基間の距離が比較的小さい状態で配列し、プロトンを効率良く伝導することができるプロトン伝導路を形成することができる。また、このような高次構造を形成することによって、酸性官能基と親水性官能基とが、互いに比較的近くに位置することとなり、いわゆる「束縛水」を保持することができる。束縛水は低温下でも凍結せず、高温下でも蒸発しないで、プロトン移動に有効に作用する。従って、本発明の高分子電解質は、氷点下のような低温域から100℃を超えるような高温域に亘る広い温度範囲において、保水性に優れるものであり、高いプロトン伝導性を発現する。
前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造が、縮合環構成原子として非共有電子対を有する異種原子を有する場合、この非共有電子対がプロトン伝導の足場となって、プロトン伝導を促進するため好ましい。
前記柔軟構造ユニットの柔軟構造に含まれる2個以上の原子が単結合により連結した構造としては、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を例示することができる。
前記pKa5以下の酸性官能基が縮合多環芳香族ユニットに結合している場合、高分子電解質が高次構造を形成した際に、当該酸性官能基同士が集合し、プロトン伝導路を効率良く形成することができる。さらに、当該酸性官能基間の相互作用によって、より安定した高次構造を形成することができる。
前記pKa5以下の酸性官能基は、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基又はリン酸基が結合してなる基であることが好ましい。スルホン酸基及びリン酸基は、プロトン解離性が高く、プロトン伝導性に優れた高分子電解質を得ることができる。
前記高分子主鎖は、繰り返し単位として、前記pKa2以上の親水性官能基からなる又は当該親水性官能基を有する親水性官能基ユニットをさらに含んでいてもよい。
前記pKa2以上の親水性官能基としては、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基であることが好ましい。このような親水性官能基は、弱いプロトン解離性を有し、プロトン伝導を促進することができる。
前記プロトン解離性基が、水酸基又は、チオール基である場合には、良好なプロトン解離性が得られる。
前記親水性官能基ユニットがpKa2以上の親水性官能基を有すると共に、さらに、前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造も親水性官能基を有する場合、より多くの水分を分子内に保持することが可能となる。
前記pKa5以下の酸性官能基に対する前記pKa2以上の親水性官能基の存在比を0.1〜10の範囲とすることにより、適切な量の水を保持することができ、且つプロトン伝導性基である酸性官能基の存在割合が限定されているので、水に対する大きな膨潤性を防ぎつつ、高いプロトン伝導度を実現できる。
本発明の高分子電解質の好ましい具体的な構造としては、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質が挙げられる。
Figure 2006032258
式中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
R2は、pKa5以下の酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなり且つ/又はpKa2以上の親水性官能基R5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
R5は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。
さらに式(1)で表される繰り返し単位の好ましい構造として、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006032258
式中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3aは、水酸基又はチオール基又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
R5aは、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体がpKa2以上の親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。
さらに、式(2)で表される繰り返し単位の好ましい構造としては、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006032258
式中、各符号の意味は前記式(2)と同じであり、式(2)で示されていない符号は以下の意味で用いられる。
R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
前記式(1)、(2)又は(3)で表される繰り返し構成単位の重合度は5〜150,000程度とすることが好ましい。
以上のような高分子電解質を含有する高分子電解質膜は、優れたプロトン伝導度を広い温度範囲に渡って示す。
このような高分子電解質膜を有する燃料電池であれば、常温域ではもちろん、高温域及び低温域においても、高い発電効率で運転が可能である。
本発明により提供される高分子電解質は、高いプロトン伝導性を有するものである。
しかも、保水性に優れるものであり、100℃以上の高温域や0℃以下の低温域においても、電解質内の水分が蒸発したり、凍結することがない。従って、0℃以下の低温域から100以上高温域に亘る広い温度範囲において、プロトン伝導性を保持するものである。また、フッ素系高分子電解質とは異なり、綿密な水分管理を要しない。
さらに、本発明の高分子電解質は、耐熱性に優れると同時に、化学的安定性に優れ、高温下においても酸化分解反応が起きないため、100℃以上のような高温域における長期間の使用も可能である。また、本発明の高分子電解質は、酸及びアルカリと化学反応を起こさないため、通常、固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜がさらされる酸性条件下においても、高い耐久性を示す。また、カソードでの酸素とプロトンの反応において副生するヒドロペルオキシラジカルなどのラジカル種に対しても優れた耐性を有する。
また、本発明の高分子電解質は力学的強度に優れることから破断しにくい。さらに、湿潤状態における膨潤が抑制されているため、電解質膜とした際に膜の膨潤による膜強度の低下や、膜の湿潤状態によって膜の寸法が変化することによるクリープ変形が生じない。
以上のように、本発明の高分子電解質によれば、固体高分子型燃料電池の電解質膜に求められる諸特性に優れ、高性能を発揮する高分子電解質膜を提供することが可能である。しかも、本発明の高分子電解質は、安価に製造することができるため、高分子電解質のコストを削減することも可能である。従って、本発明の高分子電解質を用いた高分子電解質は、固体高分子型燃料電池に好適に用いることができる。
本発明の高分子電解質は、繰り返し単位として、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいる縮合多環芳香族ユニットと、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいる柔軟構造ユニットとを含む高分子主鎖と、pKa5以下の酸性官能基と、pKa2以上の親水性官能基を有することを特徴とする。
本発明の高分子電解質は、縮合多環芳香族ユニットと柔軟構造ユニットとを必須の繰り返し単位とする高分子主鎖を有するものである。縮合多環芳香族ユニットは、高分子の主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した平面構造を含んでいるため、該構造から形成される主鎖骨格は、剛直な性質を有するものとなる。
縮合多環芳香族ユニットは、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいれば特に限定されるものではなく、例えば、その主鎖骨格を形成する部分が非芳香族環構造を含んでいてもよく、また、芳香族環の構成原子として異種原子を含んでいてもよい。後述するpKa5以下の酸性官能基によるプロトン伝導を促進する観点からは、芳香族環の構成原子として、非共有電子対を持つ異種原子を含むことが好ましい。この場合、この非共有電子対がプロトン伝導の足場となり、プロトン伝導を促進するからである。
一方、柔軟構造ユニットは、高分子の主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいるため、該構造から形成される主鎖骨格は、柔軟な性質を有するものとなる。柔軟構造ユニットは、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を有し、柔軟性を示すものであれば特に限定されるものではないが、主に脂肪族炭化水素系骨格(主として炭素原子からなる連鎖)又はシリコーン系骨格(主としてシロキサンユニットからなる連鎖)を有するものが挙げられる。このとき、連鎖中に異種原子や脂環式構造を含んでいてもよく、例えば、脂肪族エーテル(ポリアルキレンオキシド)骨格や脂肪族エステル骨格等でもよい。また、直鎖骨格の途中に一価の置換基が結合した分岐構造を有していてもよい。柔軟構造ユニットから形成される高分子主鎖の長さは特に限定されないが、得られる高分子電解質が安定した高次構造を形成することができるように、その他の繰り返し単位、特に上記縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分の長さとのバランスを考慮して決定することが好ましい。
本発明の高分子電解質は、以上のようにその主鎖骨格内に剛直な部分と柔軟な部分とを有する。柔軟構造ユニットにより高分子主鎖の運動に自由度が付与されているため、剛直な主鎖骨格である縮合多環芳香族ユニット同士が近接し、配列することができ、規則的な高次構造を形成することが可能である。剛直性を有する縮合多環芳香族ユニットが配列して規則的な高次構造を形成することによって、結晶性を有する領域が形成されるため、本発明の高分子電解質は耐熱性を有するものとなる。しかも、上記したような結晶性領域が形成されることにより、高い力学的強度が得られる。
さらに、本発明の高分子電解質は主鎖に芳香族基を含んでいるため、通常の酸・アルカリなどとは反応を起こしにくい。固体高分子型燃料電池の高分子電解質膜は、通常、酸性条件下にさらされるが、本発明の高分子電解質であれば、そのような条件下でも、高い耐久性を示す。また、主鎖に位置する芳香族基は、高分子電解質内部に進入してきたラジカル種を安定化させ、その後、当該高分子電解質外部に排出することができるので、ラジカル種、例えばカソードでの酸素とプロトンの反応に際し副生するヒドロペルオキシラジカル(・OOH)などに対する耐性に優れる。即ち、ラジカル的な酸化反応による酸化を受けにくい。これは、高温での酸素による酸化をも受けにくいことを意味する。従って、本発明に係る高分子電解質を電解質膜とする固体高分子型燃料電池は、カソードでの副反応に対して耐久性が高く、且つ、120℃以上となるような高温での発電を行った場合にも高い耐久性を示す。
なお、本発明の高分子電解質は、上記縮合多環芳香族ユニットと柔軟構造ユニットとを必須の繰り返し単位としてその主鎖が形成されるものであるが、後述するような親水性官能基ユニットの他、高分子電解質の特性を調整することを目的として、その他の繰り返し単位を含んでいてもよい。これらの繰り返し単位はどのような順で配列していてもよく、また、各繰り返し単位の数も特に限定されるものではない。
前記pKaが5以下の酸性官能基(以下、単に酸性官能基ということがある)は、プロトンの伝導を媒介するものである。そのpKaは2以下であることが好ましく、さらに1以下であることがより好ましい。
また、酸性官能基は、高分子電解質の分子内のどの位置に導入されていてもよいが、縮合多環芳香族ユニットに結合して、いわゆるぶら下がり構造を形成していることが好ましい。その理由は、上記したように剛直な主鎖骨格を形成する縮合多環芳香族ユニットが、互いに近接し、規則的に配列する際、自然と酸性官能基同士が集合し、プロトン伝導路が効率良く形成されるからである。
さらに、酸性官能基がスペーサー構造を構成する基として芳香族基を有し、その芳香族基を介して縮合多環芳香族ユニットに結合している場合には、当該酸性官能基の芳香族基と、縮合多環芳香族ユニットとが一体となって共鳴構造を形成していることが好ましい。このような共鳴構造を形成することによって、さらに酸性官能基のプロトン解離が促進され、プロトン伝導性が向上するからである。
親水性官能基は、高分子電解質内の水と相互作用し、保水性を高めることを目的として高分子電解質に導入するものである。詳しくは、高温下では親水性官能基が水を吸着して高分子電解質が過度に乾燥するのを防ぎ、低温下では束縛水を確保して、凍結を防止する。親水性官能基がプロトン解離性を有する場合には、親水性官能基のpKaは2以上であることが好ましく、特に20〜2の範囲内、さらに10〜2の範囲内であることが好ましい。
親水性官能基としては、水酸基又はチオール基等の弱いプロトン解離性を有する親水性基、又はスペーサー構造として芳香族環を有し、その末端にプロトン解離性を有する親水性基が結合しているものが好ましく、特に、フェノール性水酸基を有する場合が好ましい。弱いプロトン解離性を有する親水性基は、保水性を向上させるだけでなく、弱いプロトン解離性を示すことによってプロトンの発生と伝導を促進するからである。また、プロトン解離性を有する親水性基が芳香族環を含む場合には、共鳴効果によってプロトン解離性を促進すると共に、芳香環の化学的安定性によって高分子電解質の耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性等も高まる。
本発明に係る高分子電解質は、繰り返し単位構造中に、これら複数の種類の親水性官能基を同時に含んでいてもよい。
親水性官能基は、高分子電解質の分子内のどの位置に導入されていてもよく、高分子主鎖に結合して、いわゆるぶら下がり構造を形成していてもよいし、高分子の側鎖に結合していてもよい。
また、本発明の高分子電解質の主鎖に、繰り返し単位として、pKa2以上の親水性官能基からなる又は当該親水性官能基を有する親水性官能基ユニットをさらに含ませることによって、親水性官能基を高分子電解質に導入することもできる。親水性官能基ユニットは、pKa2以上の親水性官能基自体が主鎖骨格を形成する部分(pKa2以上の親水性官能基からなる親水性官能基ユニット)であってもよいし、pKa2以上の親水性官能基が主鎖骨格を形成する部分にぶら下がったいわゆるペンダント構造を有するもの(pKa2以上の親水性官能基を有する親水性官能基ユニットの例)であってもよい。
高分子電解質の耐熱性を向上させる観点からは、親水性官能基ユニットの高分子主鎖骨格を形成する部分が芳香族環を含んでいるものが好ましい。
親水性官能基ユニットを形成するpKa2以上の親水性官能基としては、中でも、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基が好ましい。このような基は、保水性を高める作用だけでなく、共鳴効果によりプロトンを発生し、プロトン伝導性を示すため、得られる高分子電解質のプロトン伝導性を向上させる。共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基は、共鳴構造を有する環状官能基の共鳴構造部分にプロトン解離性基が結合してなるものであれば良く、環状官能基全体として共鳴構造を有している必要はない。環状官能基は、芳香族環、非芳香族環、又はこれらの組み合わせによりなるものが挙げられる。代表的なものとしては、水酸基又はチオール基等のプロトン解離性基が芳香族環に直接結合してなる基が挙げられる。
また、親水性官能基ユニットと共に、さらに縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造に親水性官能基が結合しているような構造とすることによって、高分子電解質の水分保持性をさらに向上させることができる。
なお、上記酸性官能基のpKaは5以下であり、上記親水性官能基のpKaは2以上であるので、それぞれの官能基のpKaが2〜5の範囲であれば、酸性官能基と親水性官能基が同じものであることもありうる。本発明においては、このような場合、例えば、高分子鎖中に酸性基及び親水性基としてpKa2〜5の一種の基(例えば一般的なカルボキシル基)しか含まない場合なども、酸性官能基であるpKa5以下の基と親水性官能基であるpKa2以上の基とが存在しているものと考え、本発明の範囲に含めてよい。
前記酸性官能基、親水性官能基は、全体としてプロトンの移動経路を形成している。本発明に係る高分子電解質中では、強酸性の酸性官能基から発生するプロトンが、前記プロトン移動経路を移動するが、その時に、親水性官能基が前記プロトン移動経路内に適量の水分子を保持することで、優れたプロトン伝導性を発現していると考えられる。
また、好ましい形態では、前記親水性官能基がpKa10〜2の、例えばフェノール性水酸基などの弱酸性基であり、弱いプロトン解離性を示すため、この親水性官能基もプロトンを発生する。この親水性官能基由来のプロトンも電荷担体として働くので、電荷を運ぶプロトンが増え、優れたプロトン伝導性が発現すると考えられる。
さらに、本発明の高分子電解質は、上記したようにその主鎖が規則的に配列した高次構造を形成するため、プロトン伝導性を有する官能基(酸性官能基、好ましい形態ではこれに加えて親水性官能基も)が規則的に且つ官能基間の距離が比較的小さい状態で配列し、プロトンを効率良く伝導することができるプロトン伝導路を形成することができる。
また、本発明の高分子電解質は、0℃から100℃の温度範囲のような常温下において、上記した高次構造の内部に「自由水」と呼ばれる水分子を多く保持することが可能であり、優れた保水性を有する。従って、低加湿状態でも高いプロトン伝導度が達成される。
しかも、本発明の高分子電解質がこのような高次構造を形成することによって、酸性官能基と親水性官能基とが、互いに比較的近くに位置することになる。比較的近くに位置する酸性官能基及び親水性官能基は、その間にあるひとつの水分子に同時に作用することができる。このような高分子電解質では、複数の官能基がひとつの水分子と同時に相互作用しているため、水を強固に保持することができる。このように複数の官能基から同時に相互作用を受け、分子内に挟み込まれた水分子は、いわゆる「束縛水」である。通常の水分子は、分子間に移動する「自由水」であり、0℃から100℃の温度範囲のような常温下ではプロトン移動の際に有効であるが、氷点下になると凍結し、プロトン移動に同伴できなくなる。これに対し、束縛水は自由水と異なり、例えば−20℃という低温下でも凍結しないでプロトン移動に有効に作用する。また、自由水は高温で蒸発するため電解質膜が乾燥しやすくなる。これに対し、束縛水は自由水と異なり、例えば120℃という高温でも蒸発しないで分子内に存在し、プロトン移動に有効に作用する。従って、本発明の高分子電解質は、氷点下のような低温域から100℃を超えるような高温域に亘る広い温度範囲において、保水性に優れるものであり、高いプロトン伝導性を発現する。また、低温耐久性にも優れるものである。この高分子電解質を燃料電池の電解質膜として用いれば、120℃以上の高温でも、−20℃以下の低温でも発電可能な固体高分子型燃料電池を得ることができる。
以上のように、本発明では酸性官能基及び親水性官能基が、全体としてプロトンの移動経路を形成するが、それらの存在比を調節することで、適量のプロトンが供給され、且つ、適量の水を保持し、プロトン移動が促進される。
本発明者は、良好な特性の高分子電解質を得るためには、酸性官能基に対する親水性官能基の存在比が0.1〜10の範囲であることが好ましく、さらに0.2〜5の範囲であることが好ましいことを見出した。
酸性官能基に対する親水性官能基の存在比が0.1以下である高分子電解質膜では、高温下で高分子電解質のプロトン伝導が阻害されるおそれがあり、さらに、低温下でもプロトン伝導が阻害されるおそれがある。その理由は、プロトン移動経路内での親水性官能基と水との相互作用が不十分で、適当量の水が保持されないおそれがあるからである。例えば、120℃以上となるような高温では、水が保持されないため、過度の水の蒸発が起こり、高分子電解質膜内の水が極度に不足するため、プロトン伝導が阻害されるおそれがある。また例えば、−20℃を以下となるような低温下では、親水性官能基と水との相互作用が弱いため、高分子電解質内の水は容易に凍結してしまい、その結果、高分子電解質膜の形状変化や破壊及び含水率の低下が起こり、プロトン伝導が阻害されてしまうおそれがある。
さらに、酸性官能基の方が親水性官能基よりも電解質膜の水に対する膨潤性を増大させる程度が大きいので、プロトン伝導性を損なわない範囲で酸性官能基の存在量を少なくし、膨潤を抑えることが好ましい。電解質膜の膨潤は、膜の強度の低下や寸法の変動により生じる問題を発生させるため、抑制する必要がある。従って、このような観点からも、酸性官能基に対する親水性官能基の存在比を0.1以上にすることが好ましい。
一方、酸性官能基に対する親水性官能基の存在比が10以上である高分子電解質膜では、プロトンの主要な供給源である酸性官能基が少なすぎ、プロトンが十分に供給されず、プロトン伝導性が損なわれるおそれがある。
ただし、酸性官能基と親水性官能基のpKaが共に3〜5の範囲である場合は、これらの間の存在比に特に制限はない。
以上のような構造を有する本発明の高分子電解質の分子量は特に限定されず、重量平均分子量が3,000〜1,000,000の範囲程度とすればよい。
以下、本発明の高分子電解質を、好ましい具体例を挙げて説明する。
本発明の高分子電解質は、その高分子主鎖中に、下記式(1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure 2006032258
式中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
R2は、pKa5以下の酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなり且つ/又はpKa2以上の親水性官能基R5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
R5は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。
式(1)において、R1は、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基であれば特に限定されるものではなく、例えば、非芳香族環構造を部分的に含んでいてもよい。具体的には、2〜15個の芳香族環が縮合した構造が好ましく、さらに2〜8個の芳香族環が縮合した構造が好ましい。縮合環内に含まれる各芳香族環の構成原子は、4〜12個であることが好ましく、5〜8個であることがさらに好ましい。
R1が、その縮合多環芳香基を構成する原子として、その環内に酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン等の非共有電子対を持つ異種原子を含む場合、この非共有電子対がプロトン伝導の足場となり、pKa5以下の酸性官能基によるプロトン伝導を促進することができるため好ましい。
R1は酸性官能基R2及び親水性官能基R3以外の基を有していてもよい。本発明の高分子電解質のプロトン伝導性をさらに向上させるためには、R1を構成する芳香族環に酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン等の非共有電子対を有する異種原子が結合していることが好ましい。
R1としては、具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、クリセン、1−ベンゾフラン、2−ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾピラン、オキサントレン、ピロリジン、キノリジン、キナゾリン、フタラジン、ピリンジン、カルバゾール等の骨格を有するもの及びこれらの芳香族環が複数縮合した基、これらの芳香族環がその他の芳香族環や非芳香族性の環式官能基と縮合した基等が挙げられる。
R2は、pKaが5以下の酸性官能基であり、そのpKaは2以下であることが好ましく、さらに1以下であることがより好ましい。
R2としては、酸性発現部位のプロトン解離定数がpKa5以下を示す基(原子団)であればとくに限定されないが、スルホン酸基、リン酸基、ボロン酸基、プロパン酸基、ブタン酸基、ジカルボン酸基などを含むものが挙げられる。酸性発現部位として好ましいのは、スルホン酸基又はリン酸基である。R2は、これら酸性発現部位とR1との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。
特に好ましいのは、スルホン酸基又はリン酸基、又は、スペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基を持つ原子団から成る基である。スペーサー構造を構成する基としては、置換基を有していてもよい芳香族基、酸素原子(エーテル基)、イオウ原子(チオエーテル基)、スルホニル基、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有していてもよいハロゲン化アルカンジイル基、カルボニル基、チオカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、及びそれらの組み合わせからなるものを例示することができる。
上記スペーサー構造を構成する基が、置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。スペーサー構造を構成する基を芳香族基とすることによって、その末端に結合した酸性発現部位のプロトン解離が促進され、プロトン伝導性を向上させることができる。さらに、芳香族基の導入によって、高分子電解質の耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性等も高まる。
本発明に係る高分子電解質は、繰り返し構造中に、これらの複数の種類の酸性官能基を同時に含んでいてもよい。
好ましいR2の具体例としては、スルホン酸基そのもの;スルホン酸基を含む原子団として、いずれも置換基を有していてもよい且つ炭素数1〜12であるスルホアルキル基、スルホハロゲン化アルキル基、スルホアリール基、スルホアルコキシ基、スルホハロゲン化アルキルオキシ基、スルホアリールオキシ基、スルホアルキルアリール基、スルホハロゲン化アルキルアリール基、スルホアリールアルキル基、スルホアリールハロゲン化アルキル基、スルホアルコキシアリール基、スルホハロゲン化アルキルオキシアリール基、スルホアリールオキシアルキル基、スルホアリールオキシハロゲン化アルキル基、スルホアルキルアリールオキシ基、スルホハロゲン化アルキルアリールオキシ基、スルホアリールアルキルオキシ基、スルホアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、スルホアルコキシアリールオキシ基、スルホハロゲン化アルキルオキシアリールオキシ基、スルホアリールオキシアルコキシ基、スルホアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、スルホアミノアルキル基;リン酸基そのもの;及び、リン酸基を含む原子団として、いずれも置換基を有していてもよい且つ炭素数1〜12であるリン酸アルキル基、リン酸ハロゲン化アルキル基、リン酸アリール基、リン酸アルコキシ基、リン酸ハロゲン化アルキルオキシ基、リン酸アリールオキシ基、リン酸アルキルアリール基、リン酸ハロゲン化アルキルアリール基、リン酸アリールアルキル基、リン酸アリールハロゲン化アルキル基、リン酸アルコキシアリール基、リン酸ハロゲン化アルキルオキシアリール基、リン酸アリールオキシアルキル基、リン酸アリールオキシハロゲン化アルキル基、リン酸アルキルアリールオキシ基、リン酸ハロゲン化アルキルアリールオキシ基、リン酸アリールアルキルオキシ基、リン酸アリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、リン酸アルコキシアリールオキシ基、リン酸ハロゲン化アルキルオキシアリールオキシ基、リン酸アリールオキシアルコキシ基、リン酸アリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、などが挙げられる。
R2としては、上述のように炭素数が12以下の基(原子団)であることが、分子構造に無駄がなく、スルホン酸基やリン酸基密度を高く保つことができ、高いプロトン伝導度を保つ点から好ましい。
縮合多環芳香族基R1に結合する酸性官能基R2は、1つでも又は2つ以上であってもよいが、R1の構造や、上述したような親水性官能基R3及びR4若しくはR5との存在比を考慮しながら、適宜調節することが好ましい。また、2つ以上のR2がR1に結合する場合には、これらR2は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
縮合多環芳香族基R1に結合する親水性官能基R3はなくてもよいが、保水性やプロトン伝導性の点から1つ以上結合していることが好ましい。式(1)の繰り返し単位に、R4−R5で示される親水性官能基ユニットだけでなく、さらに親水性官能基R3を導入することによって保水性が高まるからである。
R3としては、親水性発現部位のpKaが2以上である基(原子団)であれば特に限定されず、親水性発現部位とR1との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良く、具体的には、後述する親水性基R5と同様のものを例示できる。
2つ以上のR3がR1に結合する場合には、これらR3は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分である。R4は、それ自体がpKa2以上の親水性官能基からなるものであってもよい。また、R4自体はpKa2以上の親水性官能基ではなく、pKa2以上の親水性官能基R5を有するものであってもよい。さらに、R4自体がpKa2以上の親水性官能基であり、且つ、pKa2以上の親水性官能基R5を有していてもよい。ここで、R4自体がpKa2以上の親水性官能基であって、親水性官能基R5を有していない場合には、R4のみで親水性官能基ユニットが形成される。
高分子電解質の耐アルカリ性、耐酸性及び耐熱性が向上する観点から、R4は主鎖骨格を形成する部分として芳香族環を有していることが好ましい。芳香族環を構成する炭素原子の数は4〜16であることが好ましい。
また、R4が主鎖骨格を形成する部分として芳香族環(環内異種原子を有していてもよい)を有し、且つ、R5が芳香族環のような共鳴構造を有するスペーサー構造の末端に水酸基のようなプロトン解離性基が結合した基である場合には、R4とR5とが一体となって共鳴構造を形成し、プロトン解離が促進され、結果として高分子電解質のプロトン伝導性を向上させるという効果が期待される。
R4自体が、共鳴構造を有する芳香環にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基である場合には、R5がR4に結合していることを要せず、分子構造上無駄がないため、プロトン伝導性基である酸性官能基R2の含有割合を減少させないため好ましい。
R4自体がpKa2以上の親水性官能基である場合、R4の具体的な構造としては、後述するpKa2以上の親水性官能基であるR5と同様の構造を有するものを用いることができる。
R4は、R5以外の置換基を有していてもよく、R5以外の置換基としては特に限定されない。R4が芳香族環を有している場合には、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン等の非共有電子対を有する異種原子が結合していることが好ましい。このように芳香族環に結合した異種原子もまた、その非共有電子対がプロトン伝導を促進することができるため、プロトン伝導を促進することができる。
R5としては、親水性発現部位のpKaが2以上である基(原子団)であれば特に限定されないが、例えば、炭素原子を含まない又は炭素数が1〜12の有機基であって、水酸基や、チオール基、カルボキシル基、エステル基、アルデヒド基、カルボニル基、エポキシ基、チオカルボニル基、カルボキシメチルエステル基、カルボキシアルキルエステル基、スルホニル基、アミノ基、イミド基、イミノ基、アミド基、シアノ基などの親水性発現部位を含むものが挙げられる。上記pKaは20〜2の範囲内であることが好ましく、特に10〜2の範囲内であることが好ましい。
親水性基R5は、その親水性発現部位とR4との間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。スペーサー構造を構成する基としては、前記酸性官能基R2のスペーサー構造と同様のものを例示できる。
特に、水酸基又はチオール基、又はスペーサー構造として芳香族環を有し、その末端に水酸基若しくはチオール基が結合している場合が好ましく、特に、フェノール性水酸基を有する場合が好ましい。フェノール性水酸基に代表される芳香族水酸基又は芳香族チオール基は弱いプロトン解離性を示し、プロトンの発生と伝導を促進するからである。また、その構造中に芳香族環を含むことにより、耐アルカリ性、耐酸性、耐熱性等も高まる。
特に好ましいR5の例のいくつかを具体的に挙げると、水酸基そのもの;及び、水酸基を含む原子団として、いずれも置換基や異種原子を有していてもよい且つ炭素数1〜12であるヒドロキシアルキル基、ヒドロキシハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアルコキシ基、ヒドロキシハロゲン化アルキルオキシ基、ヒドロキシアリールオキシ基、ヒドロキシアルキルアリール基、ヒドロキシハロゲン化アルキルアリール基、ヒドロキシアリールアルキル基、ヒドロキシアリールハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルコキシアリール基、ヒドロキシハロゲン化アルキルオキシアリール基、ヒドロキシアリールオキシアルキル基、ヒドロキシアリールオキシハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキルアリールオキシ基、ヒドロキシハロゲン化アルキルアリールオキシ基、ヒドロキシアリールアルキルオキシ基、ヒドロキシアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、ヒドロキシアルコキシアリールオキシ基、ヒドロキシハロゲン化アルキルオキシアリールオキシ基、ヒドロキシアリールオキシアルコキシ基、ヒドロキシアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基;チオール基そのもの;及び、チオール基を含む原子団として、いずれも置換基を有していてもよい且つ炭素数1〜12であるチオキシアルキル基、チオキシハロゲン化アルキル基、チオキシアリール基、チオキシアルコキシ基、チオキシハロゲン化アルキルオキシ基、チオキシアリールオキシ基、チオキシアルキルアリール基、チオキシハロゲン化アルキルアリール基、チオキシアリールアルキル基、チオキシアリールハロゲン化アルキル基、チオキシアルコキシアリール基、チオキシハロゲン化アルキルオキシアリール基、チオキシアリールオキシアルキル基、チオキシアリールオキシハロゲン化アルキル基、チオキシアルキルアリールオキシ基、チオキシハロゲン化アルキルアリールオキシ基、チオキシアリールアルキルオキシ基、チオキシアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基、チオキシアルコキシアリールオキシ基、チオキシハロゲン化アルキルオキシアリールオキシ基、チオキシアリールオキシアルコキシ基、チオキシアリールオキシハロゲン化アルキルオキシ基などが挙げられる。
2つ以上のR5がR4に結合する場合には、これらR5は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
特に、R4自体又はR4−R5の構造が、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性を有する親水性部位が結合してなる親水性基であることが好ましい。このような親水性基は、共鳴効果によりプロトン解離性基のプロトン解離を促進し、プロトンを発生し、酸性官能基R2によるプロトン伝導を補足的に促進する機能を有するからである。
共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基としては、共鳴構造を有する環状官能基の共鳴構造部分にプロトン解離性基が結合してなるものであれば、その構造は限られるものではない。環状官能基としては、芳香族環のみからなるものであっても、脂肪族環からなるものであっても、又はこれらの組み合わせよりなるものであってもよく、又、環状官能基内の環の数は1つでも、2つ以上であってもよく、2つ以上の環を含む場合には、これらが縮合環を形成していてもよく、又は、スペーサー構造を介して或いは介さずに連結していてもよい。
例えば、R4がベンゼン環のような単環芳香族環であり、そこにR5として水酸基又はチオール基のようなプロトン解離性基が直接結合してなる基や、R4がベンゼン環のような単環芳香族環であり、そこにp−ヒドロキシフェニル基のように芳香族骨格を介してプロトン解離性基が結合してなる基が挙げられる。
これらの共鳴構造を有する環状官能基には、プロトン解離性基以外の基が結合していてもよい。
R4に結合する親水性官能基R5は、R4自体がpKa2以上の親水性官能基である場合にはなくてもよいが、R4自体が親水性官能基でない場合は少なくとも1つ結合している必要がある。R4に結合するR5の数rは、R4の構造や、上述したような酸性官能基R2及び親水性官能基R3若しくはR4との存在比を考慮しながら、適宜調節することが好ましい。また、2つ以上のR5をR4に結合する場合には、これらR5は互いに異なるものであっても、或いは同じであってもよい。
R6は、2個以上の原子が単結合により連結した構造を有し、柔軟性主鎖骨格を形成することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。環状又は不飽和結合の構造、一価の基としては、特に限定されないが、R6により形成される柔軟性ユニットの主鎖骨格の柔軟性を阻害しないものであることが好ましい。
R6の具体例としては、脂肪族炭化水素系骨格(主として炭素原子からなる連鎖)又はシリコーン系骨格(主としてシロキサンユニットからなる連鎖)を有するものが挙げられる。このとき、連鎖中に異種原子や脂環式構造を含んでいてもよく、例えば、脂肪族エーテル(ポリアルキレンオキシド)骨格や脂肪族エステル骨格等でもよい。また、分岐構造を有していてもよい。
上記式(1)で表される繰り返し単位の主鎖骨格を形成するR1、R4及びR6は、単結合又は2価の有機基A1、A2及びA3で連結されている。2価の有機基としては、高分子電解質中のプロトン伝導性基である酸性官能基R2の割合を減少させないよう、総原子数12以下のものが好ましい。また、2価の有機基が異種原子を含む又は含まない炭化水素鎖の場合には、炭素数12以下のものが好ましい。このような2価の有機基としては特に限定されるものではないが、例えば、酸素原子(エーテル基)、イオウ原子(チオエーテル基)、スルホニル基、置換基を有していてもよいアルカンジイル基、置換基を有していてもよいアルケンジイル基、アルキンジイル基、置換基を有していてもよいハロゲン化アルカンジイル基、置換基を有していてもよいアリーレン基、カルボニル基、チオカルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、イミノ基、及びそれらの組み合わせからなる基が挙げられる。その中でも特に好ましいのは、カルボニル基、エーテル基、チオエーテル基、スルホニル基、アルカンジイル基、アリーレン基、ハロゲン化アルカンジイル基又はそれらの組み合わせからなる基である。
式(1)で表される繰り返し単位は、R1、R2及びR3よりなる縮合多環芳香族ユニットと、R4のみ又はR4及びR5よりなる親水性官能基ユニットと、R6よりなる柔軟構造ユニットとからなるものであり、本発明の高分子電解質は、式(1)で表される繰り返し単位を主体として構成されることが好ましい。
具体的には、酸性官能基を有する縮合多環芳香族ユニットと、親水性官能基ユニットと、柔軟構造ユニットの共重合比が10〜90:50〜10:40〜10であり、且つ、縮合多環芳香族ユニットと親水性官能基ユニットと柔軟構造ユニットの共重合割合の合計が、50モル%以上であることが好ましい。
上記各構成ユニットを一定の割合で含み、且つ規則正しく配列された繰り返し単位を主体とする本発明の高分子電解質は、高分子主鎖がより規則正しく配列した高次構造を形成することができると推測される。
高分子主鎖が規則正しく配列した高次構造が形成されることによって、酸性官能基R2もまた、規則的に配列するため、効率良くプロトンを伝導することができるプロトン伝導路が形成されることとなり、高分子電解質のプロトン伝導性が向上する。また、酸性官能基R2及び、親水性官能基R3、R4或いはR5がより高い確率で、近接することとなり、より多くの束縛水を保持することが可能となる。また、酸性官能基間、親水性官能基間の相互作用により、より安定した高次構造を形成することができる。さらに、結晶性を有する領域もまた多く形成されるため、高分子電解質の耐熱性をより向上させることができる。しかも、上記したような結晶性領域が形成されることにより、さらに高い力学的強度が得られる。
式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子電解質の好ましい重合度は、繰り返し単位(1)の種類によって異なってくるが、重合度が小さすぎる場合、高分子電解質が高次構造を形成することが困難になるため、高次構造を形成することにより得られる効果、例えば、プロトン伝導路が効率よく形成されることによるプロトン伝導性の向上、相互作用水の保持による広い温度範囲、低加湿条件下におけるプロトン伝導性の保持、力学的強度の向上など様々な効果が得られにくくなる。また、重合度が小さすぎる高分子電解質は水に溶解するおそれがある。一方、重合度が大きすぎる場合には、高次構造の加重が大きくなりすぎる結果、高分子電解質が脆くなり、かえって力学的強度が低下してしまうおそれがある。従って、高分子電解質のこれらの特性を評価することで適宜好ましい重合度を求めることが好ましい。具体的には、好ましくは5〜150,000、さらに好ましくは40〜100,000、特に好ましくは80〜6,0000程度とする。
本発明の高分子電解質は、式(1)で表される繰り返し単位を主体として構成されることが好ましいが、高分子電解質の目的に応じて、その他の繰り返し単位を含んでいても良い。
上記式(1)で表される繰り返し単位の好ましい具体例としては、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006032258
式中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
R5aは、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体がpKa2以上の親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、また、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。
以下に、式(1)よりもさらに限定される点について述べる。
式(2)において、R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基であれば特に限定されるものではなく、例えば、非芳香族環構造を有していてもよい。特に、2〜8個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基であることが好ましい。各芳香族環の構成原子は、4〜12個であることが好ましく、5〜8個であることがさらに好ましい。
R1aの具体例としては、式(1)のR1として例示されたものと同様のものが挙げられる。
R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基であれば、特に限定されるものではなく、具体的には、上記にて説明したR2のうち、スルホン酸基又はリン酸基を含む原子団として列挙したものが挙げられる。スルホン酸基又はリン酸基を含む原子団は、プロトンの解離性が高く、プロトン伝導性に優れるものである。R2aがスペーサー部分を有する場合には、プロトン解離性を向上させる観点から、フェニルスルホン酸基のように、スペーサー部分がR1aと一体の共鳴構造を形成するような芳香族基であることが好ましい。
R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、であり、保水性だけでなく、弱いプロトン解離性によりプロトン伝導を促進することができる。
R4aは、芳香族基であれば特に限定されるものではないが、プロトン伝導性基であるR2aの高分子電解質中の含有割合を高く保つためには、その構成原子数が小さいことが好ましい。従って、芳香族環を構成する炭素原子の数が4〜16であることが好ましく、さらに、単環芳香族基であることが好ましい。また、R4aは、環内異種原子を含んでいてもよく、非芳香族縮合環を含んでいてもよい。具体的には、フェニレン基、ピリジンジイル基、ピリミジンジイル基、ピリダジンジイル基、ピラジンジイル基、チアジアゾールジイル基、チオフェンジイル基、ピロールジイル基、チアゾールジイル基、イミダゾールジイル基、ナフタレンジイル基、キノリンジイル基、キノキサリンジイル基、インドールジイル基、ベンゾチオフェンジイル基、ベンゾイミダゾールジイル基、ベンゾチアゾールジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイル基、カルバゾールジイル基、ピレンジイル基(これらの基は、それぞれ置換基を有していてもよい)などが挙げられる。
また、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であってもよく、その場合には、R4aの具体的な構造としては、後述するR5aと同様の構造を有するものを用いることができる。
R5aは、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であれば、特に限定されるものではなく、上記R5にて説明したように、代表的なものとしては、水酸基又はチオール基が芳香環に直接結合してなる基が挙げられ、特に、フェノール性水酸基を有する場合が好ましい。
好ましいR5aの具体例としては、例えば、インドフェノール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ヒドロキノン、2−メトキシ−4−メチルフェノール等の1価の基を挙げることができる。例えば、インドフェノールは、下記式(4)に示すような共鳴構造をとり、水酸基のプロトンを解離することができる。さらに、酸素原子もまた、プロトンを伝導することが可能である。
Figure 2006032258
R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を有するものであれば、連鎖中に異種原子や脂環式構造を含んでいてもよく、骨格の途中に一価の基が結合した分岐構造を有していてもよい。しかしながら、得られる高分子電解質が安定した高次構造を形成することができるように、R1aやR4a、特にR1aの長さとのバランスを考慮して決定することが好ましい。例えば、上記R1aが、2〜15個の芳香族環が縮合した構造を有し、各芳香族環の構成原子が、4〜12個である場合、R6により形成される高分子主鎖(異種原子を含んでいても良い)が炭素原子数2〜12の脂肪族炭化水素骨格、又はシロキサンユニットの数2〜12のシリコーン骨格であることが好ましい。
上記式(2)で表される繰り返し単位の好ましい具体例としては、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006032258
式(3)は、前記式(2)におけるR1aがキサンテン骨格を有するものであり、式中の符号のうち、式(2)で示されていない符号は以下の意味で用いられる。
R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
式(3)においては、キサンテン骨格を縮合多環芳香族基として用いている。キサンテン骨格は、酸素原子をその環内に有しており、この酸素原子が有する非共有電子対もまた、プロトン伝導の足場として機能し、酸性官能基R2bによるプロトン伝導を促進させることができる。
キサンテン骨格に結合する酸性基R2bとしては、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基であって、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であれば、特に限定されるものではない。スペーサー構造の部分には、スルホン酸基やリン酸基以外の置換基を有していてもよく、具体的には、スルホン酸基、スルホン酸フェニル基、リン酸基、リン酸フェニル基、スルホン酸ナフチル基、ジスルホン酸ナフチル基、スルホン酸メチルプロピル基、スルホン酸メチルフェニル基等が挙げられる。
式(3)においては、R4b−R5bからなる親水性官能基ユニットが、親水性部位である水酸基又はチオール基により保水性を発揮するだけでなく、弱いプロトン解離性を有する水酸基又はチオール基が共鳴構造に結合しているため、プロトン解離が促進され、高分子電解質のプロトン伝導性を高めることができる。また、この親水性官能基ユニットは、主鎖骨格部分が芳香族環からなるため、耐熱性等の諸特性を向上させることができる。
R4b−R5bからなる親水性官能基ユニットの具体例としては、インドフェノール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、ヒドロキノン、2−メトキシ−4−メチルフェノール等の2価の基がその芳香族環において、隣り合うキサンテン骨格及びR6bと結合するものが挙げられる。
R6bは、炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又はシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を有するものであれば、骨格の途中又は末端に異種原子、不飽和結合又は脂環式構造を含んでいてもよく、骨格の途中に一価の基が結合した分岐構造を有していてもよい。
縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格部分がキサンテン骨格である式(3)の繰り返し単位において、炭素原子数が上記範囲である脂肪族炭化水素骨格、或いは、シロキサンユニット数が上記範囲であるシリコーン骨格を有するものを柔軟構造ユニットの主鎖骨格部分とすることで、剛直性を有する縮合多環芳香族ユニットと柔軟構造ユニットとのバランスがとれ、安定した高次構造を形成することができる。
ここで、さらに式(3)で表される繰り返し単位の典型例として、下記式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質が挙げられる。
Figure 2006032258
上記式(5)においては、縮合多環芳香族基としてキサンテン骨格を有する基が用いられており、プロトン伝導性基として中心的な役割を担う酸性官能基R2bとしてスルホン酸フェニル基がキサンテン骨格に結合している。この場合、キサンテン骨格及びスルホン酸フェニル基のフェニル骨格が一体となって共鳴構造をとるため、スルホン酸基の解離性が高く、プロトンの発生が促進され、高いプロトン伝導性を示す。また、水酸基がキサンテン骨格に結合しており、プロトン解離性を有する親水性官能基R3aとして機能する。さらに、キサンテン骨格には酸素原子が結合しており、この酸素原子が有する非共有原子対によりプロトン伝導が促進される。
また、親水性官能基ユニットR4b−R5bであるインドフェノールは、酸素原子を介して縮合多環芳香族基に結合している。インドフェノールは上述したように共鳴構造を有し、フェノール性水酸基のプロトン解離を容易とし、プロトン伝導を促進する。
柔軟構造ユニットとしては、ヘキセン基が酸素を介してインドフェノールに結合している。
図7は、式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質の高次構造を模式的に示す概念図である。
式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質は、剛直なキサンテン骨格のユニットと、柔軟なヘキセン基のユニットが交互に配列しているため、規則正しい高次構造を形成する。この高次構造内において、スルホン酸フェニルのスルホン酸基、キサンテン骨格の構成原子である酸素原子、キサンテン骨格及びインドフェノールの水酸基及び酸素原子が近接し、且つ、規則正しく配列されるため、スルホン酸基が中心となってプロトン伝導を行い、さらに、他の水酸基や酸素原子もプロトン伝導を促進するため、高いプロトン伝導性を有する。
また、この高次構造内においては、スルホン酸基等の酸性官能基と、親水性官能基である水酸基が規則正しく配列されるため、これら酸性官能基と親水性官能基の相互作用によって、多くの束縛水を強固に保持することができるため、高温でも乾燥しにくく、また、低温でも凍結しにくい。
以下、上記式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を例に、本発明の高分子電解質の合成方法について具体的に説明する。
まず、アセトニトリル−塩化メチレン混合溶媒等の重合溶媒中に9−スルホフェニル−2,3,7−トリヒドロキシ−6−フルオロン(I)、水素化ナトリウムを加え、氷冷しながら攪拌し、化合物(I)を金属塩(II)にする(式6)。重合溶媒としては、極性の大きな溶媒を含む混合溶媒が好ましい。極性が大きな溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、ジメチルアセトアミド(DMA)、スルホラン、ヘキサフルオロイソプロパノールなどが挙げられる。特に好ましいのは、アクリロニトリル、DMSO、DMF、スルホラン、ヘキサフルオロイソプロパノールである。
さらに上記極性の大きな溶媒と塩素系溶媒との混合溶媒が好ましい。塩素系溶媒としては、分子中に1〜6個の塩素原子を含むものが好ましく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどが挙げられる。
この混合溶媒は、均一な状態であることが好ましいが、相分離した不均一な状態でもよい。また、混合溶媒中における前記極性溶媒の含有率は3%〜98%の範囲であることが好ましい。前記極性溶媒の含有率が3%未満であると、高分子電解質の原料が混合溶媒に十分に溶解しないおそれがあり、重合反応が十分に進行せず、得られる高分子電解質の物性(例えば膜を形成した時の膜強度など)が低下してしまう場合がある。一方、前記極性溶媒の含有率が98%より大きいと、高分子電解質の原料の低極性官能基の溶解性が低下するおそれがあり、やはり、重合反応が十分に進行せず、得られる高分子電解質の物性が低下してしまう場合がある。
次に、得られた反応液に、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム塩水和物(III)を加え、室温下で攪拌する。
別途、1,6−ヘキサンジオール(IV)と水素化ナトリウムを混合し、氷冷しながら攪拌し、化合物(IV)を金属塩(V)にする(式7)。得られた金属塩(V)を上記反応液に加え、室温下でさらに攪拌する(式8)。
続いて、得られた反応溶液を水等の沈殿溶媒中に空け出し、生成物を沈殿させ、遠心分離とアセトンによる洗浄を2回繰り返して、高分子電解質(VI)を得る。沈殿溶媒は水に限られず、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン等を使用することができる。
Figure 2006032258
Figure 2006032258
Figure 2006032258
上記合成工程における各反応容器内は、窒素、アルゴン、キセノン等の不活性ガスにより置換しておく。攪拌方法は特に限られず、テフロン(登録商標)製攪拌子、金属を内包した硝子製攪拌子、ポリエチレン製攪拌子等の攪拌子や攪拌棒等、一般的な攪拌方法を採用することができる。
また、上記各反応は−30℃〜150℃程度の温度範囲で行うことができ、好ましくは、−20〜50℃の範囲内で行うことが好ましい。−30℃より低い温度では、塩の析出が多くなるので、生成・加工した電解質の膨潤度が大きくなりすぎてしまう。また、150℃よりも高い場合には、高分子主鎖間が架橋してしまい、プロトン伝導性を有する官能基の配向性がランダムとなり、プロトン伝導性が低下してしまう。
また、上記式(6)及び式(7)において、化合物(I)及び化合物(IV)を金属塩にするための試薬としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、水素化アルミニウム、水素化マグネシウム等の金属水素化物、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、メチルリチウム、エチルリチルウム、ブチルリチウムなどのアルキル金属、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属等が挙げられる。
これらの試薬のいくつかは、例えば、ミネラルオイル、灯油、軽油、重油、流動パラフィン、シリコンオイルなどの不活性な液体中に保存することがしばしば行われているが、本反応には、それらの不活性な液体を含んだ状態のままでも使用することができる。
以上のようにして得られた本発明の高分子電解質は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のキャスト(流延)溶媒に溶解させ、得られた溶液をガラスシャーレ上等に流延し、乾燥させることによって、高分子電解質膜とすることができる。キャスト溶媒としては、上記DMFの他、例えば、ジメチルスルホオキサイド、アセトニトリル、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド−エタノール混合溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド−メタノール混合溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド−エタノール混合溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド−メタノール混合溶媒、スルホラン−エタノール混合溶媒、スルホラン−メタノール混合溶媒、スルホラン−プロパノール混合溶媒、N−メチルピロリドン等を用いることができる。
本発明の高分子電解質を用いて作成される高分子電解質膜は、高いプロトン伝導性能を有し、且つ、その膜内に効率良くプロトンを伝導することができるプロトン伝導路を形成するものであることから、燃料電池に使用した場合に優れた発電性能を示す。この高分子電解質は、束縛水を豊富に保持できるため、低加湿条件下や、−20℃程度の低温から120℃程度の高温にわたる温度範囲での運転においても高いプロトン伝導性が得られる。
しかも、吸水性が抑制されているため、膨潤しすぎることもない。また、力学的強度にも優れるものである。従って、本発明の高分子電解質を含有する高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池は、−20℃以下の低温から120℃以上の高温までの広い温度での運転が可能であり、さらには、発電性能が膜の湿潤状態によって大きく左右されず、電気を安定して供給することができる。また、耐熱性、耐酸化性にも優れるため、長期間の連続電池運転にも耐久性を示すものである。また、電解質膜の膨潤による膜強度の低下や電解質膜に積層された電極が剥がれるといった問題を防止することができる。しかも、本発明の高分子電解質は、フッ素系モノマーを用いないため、安価な高分子電解質膜を提供することが可能である。
以下、式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を用いて、本発明をさらに説明する。
(高分子電解質の合成)
まず、ジムロート冷却管を装着した三口フラスコ1内をアルゴンガスで置換し、アセトニトリル−塩化メチレン(重量比50:50)の混合溶媒10ml、9−スルホフェニル−2,3,7−トリヒドロキシ−6−フルオロン0.5g(1.25×10-3モル)、水素化ナトリウム60%鉱物油分散液0.13ml(水素化ナトリウム3.12×10-3モル)を順に加え、氷で冷やしながらマグネチックスターラーで30分間攪拌した。次に、反応溶液に2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム塩水和物0.45g(1.56×10-3モル)を加え、室温下で2時間攪拌した。
別途、ジムロート冷却管を装着した三口フラスコ2内をアルゴンガスで置換し、1,6−ヘキサンジオール0.184g(1.56×10-3モル)、水素化ナトリウム60%鉱物油分散液0.13ml(水素化ナトリウム3.12×10-3モル)を加え、氷で冷やしながらマグネチックスターラーで30分間攪拌した。得られた反応溶液を上記三口フラスコ1内の反応溶液に加え、室温下でさらに2時間攪拌した。続いて、反応溶液を水80ml中に空け出し、生成物を沈殿させ、遠心分離とアセトンによる洗浄を2回繰り返して高分子0.6gを得た。
(高分子電解質膜の作製)
上記で得られた高分子0.2gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50mlに溶解し、得られた溶液をガラスシャーレ上に流延して50℃で2時間乾燥させ、高分子電解質膜(i)を得た。得られた高分子電解質膜(i)は水中浸漬によりシャーレから剥がして使用した。
(評価1:イオン伝導度測定)
図1に示すイオン伝導度測定用電極を使用して高分子電解質膜(i)のプロトン伝導度を測定した。
(イオン伝導度測定用電極)
図1に示すイオン伝導度測定用電極(100)は、4.0cm角で厚さ1cmのテフロン(登録商標)板(1)であって、その中央部に長さ1cm、幅0.5mmの矩形の貫通窓(2)、4隅にはそれぞれ直径3mmの貫通孔(3)が設けられたものである。また、前記貫通窓の四辺は、前記テフロン(登録商標)板の対向する一辺とそれぞれ平行になっている。
そして、長さ4cm、幅1cm、厚さ30μmの2枚の白金箔(4)が、その長さ方向の1辺を前記貫通窓(2)の2つの短辺にちょうど合わせられて、且つ、テフロン(登録商標)板上に白金箔全体がほぼぴったりと載る状態で、エポキシ系接着剤で貼り合わされている。
さらに、このイオン伝導度測定用電極上の白金箔(4)は、上記のようにテフロン(登録商標)基板に貼り合わされた後、3%塩化白金酸水溶液に浸した状態で、50mA/cmの電流密度で50分間通電処理されることで、その表面に白金黒メッキを施されている。
(プロトン伝導度測定)
まず、2枚のイオン伝導度測定用電極を準備し、それらの2組の白金箔を互いに対向させ、その間に、縦0.8cm、横1.3cm、厚さ50μmの高分子電解質膜(i)を挟んだ状態で2枚のテフロン(登録商標)板電極の貫通孔にボルトを通し、ナットで締め付けて固定した。次に、全体を内容量が0.5リットルで、ヒータ、加湿器、温度センサー及び湿度センサーを備えたステンレス製オートクレーブ(耐圧度20kg/cm)中に固定し、貫通窓の両側の白金箔にそれぞれ導線を接続し、それらの先をインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製型番1250)に接続した。得られたコール・コールプロットの半円の半径を見積もり、その値から膜抵抗値(Ω)を求め、測定領域(1.0cm×0.5cm)及び膜厚(50μm)を勘案し、次の数式(1)からイオン伝導度を求めた。
Figure 2006032258
一定の湿度下、測定温度を変えて、高分子電解質膜(i)のイオン伝導度を測定し、各温度での高分子電解質膜(i)のイオン伝導度を得た。高分子電解質膜(i)のイオン伝導度の測定値を、同様の方法で測定されたパーフルオロスルホン酸ポリマー(商品名ナフィオン、Du Pont製)の膜(以下、「ナフィオン膜」と称する)のイオン伝導度を100としたときの相対比にして図2に示す。
図2から明らかなように、全測定温度範囲に渡って高分子電解質膜(i)の方がナフィオン膜よりも高いイオン伝導度を示した。特に、−20℃以下の低温域、100℃以上の高温域において、高分子電解質膜1のナフィオン膜に対するイオン伝導度の相対比は大きく、高分子電解質膜1の低温域、及び高温域におけるプロトン伝導性の高さが示された。
次に、一定の温度下、測定湿度を変えて、高分子電解質膜(i)のイオン伝導度を測定し、各湿度での高分子電解質膜(i)のイオン伝導度を得た。高分子電解質膜(i)のイオン伝導度の測定値を、同様の方法で測定されたナフィオン膜のイオン伝導度を100としたときの相対比にして図3に示した。
図3から明らかなように、全測定湿度範囲に渡って高分子電解質膜(i)の方がナフィオン膜よりも高いイオン伝導度を示した。
(評価2:耐熱性評価)
耐熱性の目安となる標準サンプルとしてナフィオン膜を使用した。
10mgのナフィオン膜を銀製のセルに入れ、TG−DTA装置(マックサイエンス社製)にセットした。窒素ガスでセル周囲の雰囲気を窒素とし、毎分10℃の昇温速度で加熱した。重量減少が始まった温度を標準サンプルの熱分解温度T1(℃)とした。
次に、10mgの高分子電解質膜(i)を用い、その熱分解温度T2(℃)を、標準サンプルと同様の測定条件で測定した。
図4に、高分子電解質膜(i)の熱分解温度T2を標準サンプルの熱分解温度T1に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、耐熱性において優れていた。
(評価3:耐酸化分解性評価)
濃度5%の過酸化水素水に硫酸鉄(II)を濃度4ppmになるように溶解させ、その中に標準サンプルとして3cm角のナフィオン膜を入れ、80℃に1時間保った。この酸化処理前後の重量変化量(重量減少量)W1(g)を標準サンプルの標準重量変化量とした。
次に、高分子電解質膜(i)を標準サンプルと同形状に加工し、標準サンプルと同じ酸化処理を行った。この酸化処理前後の重量変化量(重量減少量)W2(g)を高分子電解質膜(i)の重量変化量とした。
図4に、標準サンプルの重量変化量W1を高分子電解質膜(i)の重量変化量W2に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、重量変化量が少なく耐酸化性において優れていた。
(評価4:引張り強度評価)
図5に示す形状(最大幅2cm、最小幅1cm、長さ10cmのダンベル形状)に加工した厚さ50μmのナフィオン膜を標準サンプルとした。また、測定機としては、加熱器、加湿器、温度センサー、及び湿度センサーを備えたステンレス製オートクレーブ内に試料片の設置場所が設けられている引っ張り試験機(テンシロン型)を用いた。
まず、標準サンプルを試料片の設置場所のチャックに挟みこみ、湿度100%、80℃の条件下、引っ張り速度1cm/分にて膜を引っ張って、その時の応力−伸度を観察し、膜が破断した時の破断強度を標準サンプルの引張り強度S1(MPa)とした。
次に標準サンプルと同じ形状に加工した標準サンプルと同じ厚さの高分子電解質膜(i)を、同じ測定機を用い、同じ条件で膜が破断する時の破断強度を測定し、それを高分子電解質膜(i)の引張り強度S2(Mpa)とした。
図4に、高分子電解質膜(i)の引張り強度S2を標準サンプルの引張り強度S1に対する百分率で示した。この図から解るように、高分子電解質膜(i)の方が、標準サンプルとしたナフィオン膜より、引張り強度において優れていた。
(評価5:高分子電解質の重合度と引っ張り強度の関係)
上記合成方法にて重合度の異なる高分子電解質を調製し、それぞれの高分子電解質からなる高分子電解質膜を作製した。各高分子電解質膜の重合度は、レーザー光散乱法による分子量測定を行い求めた。重合度の異なる高分子電解質膜について、上記引っ張り強度の評価と同様の方法により破断強度を測定し、高分子電解質の引っ張り強度S2’(MPa)とした。図6に、各重合度の高分子電解質膜の引っ張り強度S2’を、上記引っ張り強度評価で得られた標準サンプルの引っ張り強度S1に対する百分率で示した。この図からわかるように、重合度が5〜150,000の範囲で標準サンプルより引っ張り強度が大きいことから、化学式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質を高分子電解質膜として使用する場合、引っ張り強度の面からはその重合度を上記範囲内とすることが好ましいことがわかる。
本発明の実施例で用いた、イオン伝導度測定用電極の斜視図。 一定の湿度下での高分子電解質膜(i)のイオン伝導度とナフィオン膜のイオン伝導度との相対比の温度変化に対する変化を示すグラフ。 一定の温度下での高分子電解質膜(i)のイオン伝導度とナフィオン膜のイオン伝導度との相対比の湿度変化に対する変化を示すグラフ。 耐熱性評価試験での高分子電解質膜(i)の熱分解温度T2を標準サンプルの熱分解温度T1に対する百分率で示した棒グラフ、及び、耐酸化分解性評価試験前後での標準サンプルの重量変化量W1を高分子電解質膜(i)の重量変化量W2に対する百分率で示した棒グラフ、及び、引張り強度評価試験によって得られた高分子電解質膜(i)の引張り強度S2を標準サンプルの引張り強度S1に対する百分率で示した棒グラフ。 本発明の実施例での引張り強度評価に用いたサンプルの平面図。 引張り強度評価試験によって得られた、重合度の異なる高分子電解質膜の引張り強度S2’を標準サンプルの引張り強度S1に対する百分率で示した棒グラフ。 式(5)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質の高次構造を模式的に示す概念図。
符号の説明
100…イオン伝導度測定用電極
1…テフロン(登録商標)板
2…貫通窓
3…貫通孔
4…白金箔
5…引張り強度測定用サンプル

Claims (16)

  1. 繰り返し単位として、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の芳香族環が縮合した構造を含んでいる縮合多環芳香族ユニットと、主鎖骨格を形成する部分が2個以上の原子が単結合により連結した構造を含んでいる柔軟構造ユニットとを含む高分子主鎖と、pKa5以下の酸性官能基と、pKa2以上の親水性官能基を有することを特徴とする、高分子電解質。
  2. 前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造は、縮合環構成原子として、非共有電子対を有する異種原子を有する請求項1に記載の高分子電解質。
  3. 前記柔軟構造ユニットの柔軟構造に含まれる2個以上の原子が単結合により連結した構造は、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格である請求項1又は2に記載の高分子電解質。
  4. 前記pKa5以下の酸性官能基は、縮合多環芳香族ユニットに結合している請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子電解質。
  5. 前記pKa5以下の酸性官能基は、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基又はリン酸基が結合してなる基である請求項1乃至4のいずれかにに記載の高分子電解質。
  6. 前記高分子主鎖は、繰り返し単位として、前記pKa2以上の親水性官能基からなる又は当該親水性官能基を有する親水性官能基ユニットをさらに含んでいる請求項1乃至5のいずれかに記載の高分子電解質。
  7. 前記pKa2以上の親水性官能基は、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなる基である請求項6に記載の高分子電解質。
  8. 前記プロトン解離性基が水酸基又はチオール基である請求項7に記載の高分子電解質。
  9. 前記親水性官能基ユニットがpKa2以上の親水性官能基を有すると共に、さらに、前記縮合多環芳香族ユニットの2個以上の芳香族環が縮合した構造も親水性官能基を有する請求項6乃至8のいずれかに記載の高分子電解質。
  10. 前記pKa5以下の酸性官能基に対する前記pKa2以上の親水性官能基の存在比が0.1〜10の範囲であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の高分子電解質。
  11. 下記式(1)で表される繰り返し単位を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の高分子電解質。
    Figure 2006032258
    式中、各符号は以下の意味で用いられる。
    R1は、縮合多環芳香族ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2及びR3以外の基が結合していても良い。
    R2は、pKa5以下の酸性官能基を表し、その酸性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。pはR1に結合するR2の数を示す1以上の数であり、R2が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R3は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R1の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。qはR1に結合するR3の数を示す0以上の数であり、R3がなくても良く、また、R3が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R4は、親水性官能基ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなり且つ/又はpKa2以上の親水性官能基R5を有し、R5以外の基が結合していても良い。
    R5は、pKa2以上の親水性官能基を表し、その親水性発現部位と前記R4の間に介在するスペーサー構造を含んでいても良い。rはR4に結合するR5の数を示す0以上の数であり、R4自体がpKa2以上の親水性官能基からなる場合にはR5がなくても良く、また、R5が複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R6は、柔軟構造ユニットの主鎖骨格を形成する部分であって、2個以上の原子が単結合により連結した構造を表し、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、主鎖骨格を形成する単結合の連鎖の途中に一価の基が結合していても良い。
    A1、A2及びA3は、単結合又は2価の有機基を表す。
  12. 下記式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質である請求項11に記載の高分子電解質。
    Figure 2006032258
    式中、各符号は以下の意味で用いられる。
    R1aは、2〜15個の芳香族環が縮合した縮合多環芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族縮合環を含んでいても良く、R2a及びR3a以外の基が結合していても良い。
    R2aは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、sは1以上の数であり、R2aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R3aは、水酸基又はチオール基、又は、スペーサー構造として前記R1aと一体の共鳴構造を形成する芳香族基を有しその末端に水酸基又はチオール基が結合した基を表し、tは0以上の数であり、R3aがなくても良く、また、R3aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R4aは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R4a自体が共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基であっても良く、R5a以外の基が結合していても良い。
    R5aは、共鳴構造を有する環状官能基にプロトン解離性基が結合してなるpKa2以上の親水性官能基を表し、uは0以上の数であり、R4a自体がpKa2以上の親水性官能基である場合にはR5aがなくてもよく、R5aが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    R6aは、異種原子を含んでいても良い脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシリコーン骨格を表し、脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に環状又は不飽和結合の構造を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
    A1、A2及びA3は、式(1)と同じく、単結合又は2価の有機基を表す。
  13. 下記式(3)で表される繰り返し単位を有する高分子電解質である請求項12に記載の高分子電解質。
    Figure 2006032258
    式中、各符号の意味は前記式(2)と同じであり、式(2)で示されていない符号は以下の意味で用いられる。
    R2bは、スルホン酸基、リン酸基、又はスペーサー構造の末端にスルホン酸基若しくはリン酸基が結合してなる基を表し、スペーサー構造が置換基を有していてもよいフェニレン基若しくはナフチレン基であり、vは1〜6の数であり、R2bが複数存在する場合は同一でも異なっていても良い。
    wは、キサンテン骨格に結合したR3aの数を表し、(6−v)で表される数である。
    R4bは、芳香族基を表し、環内異種原子を含んでいても良く、非芳香族環を含んでいても良く、R5b以外の基が結合していても良い。
    R5bは、水酸基又はチオール基、又は、R4bと一体の共鳴構造を有する環状官能基に水酸基又はチオール基が結合してなる基を表す。
    yは、R4bに結合したR5bの数を表し、1以上の数である。
    R6bは、異種原子を含んでいても良い炭素原子の数が2〜12の脂肪族炭化水素骨格又は異種原子を含んでいても良いシロキサンユニットの数が2〜12のシリコーン骨格を表し、いずれも脂肪族炭化水素骨格又はシリコーン骨格の途中又は末端に異種原子、環状結合又は不飽和結合を含んでいても良く、骨格の途中に一価の基が結合していても良い。
  14. 前記式(1)、(2)又は(3)で表される繰り返し構成単位の重合度が5〜150,000である、請求項11乃至13のいずれかに記載の高分子電解質。
  15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の高分子電解質を含有する高分子電解質膜。
  16. 請求項15に記載の高分子電解質膜を有する固体高分子型燃料電池。
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