JP4687004B2 - 硬化性樹脂組成物、成形材料及び燃料電池セパレーター - Google Patents

硬化性樹脂組成物、成形材料及び燃料電池セパレーター Download PDF

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Description

本発明は、成形材料に用いられる硬化性樹脂組成物及び燃料電池用セパレータ製造に用いる硬化性樹脂組成物に関するものである。詳しくは、成形時の流れ性、成形品外観、耐熱水性、耐吸水性に優れた硬化性樹脂組成物、成形材料及びそれを用いてなる燃料電池用セパレータに関するものである。
ラジカル硬化性成形材料に利用可能な不飽和樹脂としては、種々のものがあるが、例示すれば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(ビニルエステル樹脂とも表現される)、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、アリルエステル樹脂、(メタ)アクリレートエステルオリゴマー等がある。これら不飽和樹脂には、用途によって種々の性能が要求されている。中でも、浴槽用、船舶用、車両用、土木建築用、電気部品のなどに用いられる成形材料は、特に過酷な環境に曝されることを想定するため、高度の性能が求められている。機械物性が高く、耐水性、耐食性に優れる成形品を得るため、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が前記用途に好ましく用いられている。
一般にエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られ分子内に多くの水酸基を含有するため、これを硬化した成形品は吸水率が高く、このため耐水性、耐熱性が使用中に低下するという欠点があった。そこで、この問題を改良する目的で、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂にポリイソシアネート化合物とヒドロキシ化合物とを特定割合で添加した成形材料が知られている(特許文献1)。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の親水性の改良方法としては、例えばエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる液状反応生成物と光重合性単量体と光重合開始剤とを含む塗料用光硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献2)。
さらに、これと同様な手法を利用したビニルエステル樹脂(エポキシ(メタ)アクリレート樹脂)として、エポキシ樹脂に無水(メタ)アクリル酸(使用量0.9〜1.0モル、対エポキシ基1.0モル)を反応させる塗料、接着剤用途の二重結合当量170〜200の液状エポキシ(メタ)アクリレート樹脂が知られている(特許文献3)。
また、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂、炭素系充填剤及びポリイソシアネートを含む硬化性樹脂組成物が、燃料電池用セパレータとして提案されている(特許文献4)。
以上述べたように、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂またはビニルエステル樹脂等の不飽和樹脂が、取扱い性、複雑な形状を有する成形金型への充填性などの成形性、得られる成形品の機械的強度、耐食性、さらには耐熱水性などの長期耐久性といった性能を高度なレベルですべて満足できる成形材料用不飽和樹脂として、未だ知られていないのが現状である。さらには、高度の導電性とガス不透過性、耐食性などの耐久性を両立しうる燃料電池セパレータ成形品の製造用不飽和樹脂としての提供も知られていない。
特許登録第2908477号公報
特公昭55−12043号公報
米国特許第6515166号公報
米国特許第6251308号公報
本発明の目的は、エポキシ樹脂に(メタ)アクリロイル基を持たせた不飽和樹脂(以下、エポキ(メタ)アクリレート樹脂と言う)の良好な強度物性を保持したまま、成形時における樹脂成分と充填剤との分離やボイド、反りの発生といった成形性に関する問題もなく、かつ成形金型への充填性に優れ、硬化物の成形時の流れ性、成形品外観に優れ、耐吸水性、耐熱水性に優れた各種電気・電子部材等の成形品を得ることが可能な成形材料用硬化性樹脂組成物、及びそれを用いた成形性、寸法精度、導電性、耐熱性、機械的強度、さらには耐熱水性などの耐久性にも優れる燃料電池用セパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて得られる、特定の水酸基価、特定のエステル価及び特定の二重結合当量を有する(メタ)アクリロイル基を有する不飽和樹脂(A)とエチレン性不飽和単量体(B)、ラジカル重合開始剤(C)とを含有してなる硬化性樹脂組成物を成形材料に用いることにより、成形時の流れ性、成形品外観、耐熱水性及び耐熱性に優れた成形品が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られる常温固体状樹脂であって、二重結合当量が200〜500で、エステル価が100〜300で、かつ、水酸基価が130以下である(メタ)アクリロイル基を有する不飽和樹脂(A)とエチレン性不飽和単量体(B)とラジカル重合開始剤(C)とを含有してなる硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、導電性炭素材料及びポリイソシアネート化合物を含有する燃料電池用セパレータの成形に用いる成形材料用途の前記硬化性樹脂組成物を提供するものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成形材料とした際、成形時の流れ性、取り扱い性に優れるものであり、成形時における充填不良やボイド、反り、割れ等の発生といった成形性に関する問題もなく、かつ成形金型の転写性、寸法精度に優れた成形品を提供可能である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる成形品は、成形品外観、耐吸水性、耐熱水性、機械的強度、さらには特に耐水性などの耐久性に優れたものである。それ故、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる成形品は、住設機器部材の他に過酷な環境下で使用される電子電気部材、車両用部材、燃料電池用セパレータとして極めて有用である。本発明の硬化性樹脂組成物を用いれば、前記の優れた特性を有する燃料電池用セパレータ等の工業部材が簡易な工程で経済的、安定的に生産することができる。
更に、本発明の燃料電池セパレータを用いることにより、高性能、高耐久性を有する燃料電池を安価に提供することが可能となる。
本発明に使用される(メタ)アクリロイル基を有する不飽和樹脂(A)は、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸無水物を反応させて得られる常温固体状樹脂であって、二重結合当量が200〜500で、エステル価が100〜300で、水酸基価が130以下のものである。
前記不飽和樹脂(A)は、1分子中にエポキシ基の開環付加反応に基づく水酸基と(メタ)アクリロイル基とを複数含有する。水酸基と(メタ)アクリロイル基との合計個数は4個以上であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基の個数は3個以上であることが好ましい。
前記不飽和樹脂(A)の数平均分子量は、900〜10,000で、好ましくは900〜5,000、特に好ましくは1000〜3000である。900〜10,000の範囲であれば、強度、耐水性及び取り扱い性の点で良好である。この数平均分子量は、GPC測定によりポリスチレン換算で求めた値である。
前記不飽和樹脂(A)の水酸基価は、130以下であることが必要であり、好ましくは20〜130、特に好ましくは、30〜100である。水酸基価を130以下に調整することにより、耐熱水性及び成形材料の製造時に取り扱い性、成形時の流れ性、成形品外観の点が良好となる。また、水酸基価を20〜130にすることで、ポリイソシアネート等の増粘剤(E)を使用する際に、鎖伸長反応により成形に適した粘性が得られ、成形時のボイド等の欠陥の少ない良質な成形品を得ることが可能となる。
この水酸基価は、樹脂試料1gをJIS K−0070の規定の方法に基づきアセチル化剤を用いて、規定温度及び時間で反応させた時に生成する酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数(mgKOH/g)を指称する。
前記不飽和樹脂(A)の水酸基価を20〜130に制御する方法としては、使用するエポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、(メタ)アクリル酸が1モル反応した場合の理論水酸基価を算出し、この値を基準として、狙いの水酸基価になるように、(メタ)アクリル酸無水物の使用量を算出する。この結果を基にして、実際の仕込みモル比を決定する。なお、エポキシ樹脂がもともと水酸基を有する場合には、この量を加算して算出することにより、(メタ)アクリル酸無水物の仕込み量が決定される。
また、該不飽和樹脂(A)中の水酸基と反応性を有するポリイソシアネート化合物を用いて、開環付加反応後に添加して水酸基価を前記の範囲に調整しても良い。
前記不飽和樹脂(A)のエステル価は、硬化物の吸水率を低下させる上で100〜300であることが必要であり、好ましくは、100〜280である。300を越えると、耐熱水性と強度物性、硬化性とのバランスが困難になる。100より低すぎると、反応性が低くなり、硬化性が遅くなる為、成形材料として用いるのに不適当である。
このエステル価は、樹脂試料1gをJIS K−0070の規定の方法に基づき水酸化カリウムを用いて、規定温度及び時間で鹸化反応させた時に要する水酸化カリウムのミリグラム数の値(鹸化価)から酸価の値を引いた値である。
さらに、前記不飽和樹脂(A)は、前記水酸基価と前記エステル価との合計値が120〜320となるものであることが望ましく、特に好ましくは150〜320である。この合計値が320を越えると耐熱水性が経時的に低下する傾向となるため好ましくないし、この合計値が120より低いと、反応性が低くなり成形材料として用いる際の硬化性が遅くなるので取り扱い上好ましくない。
前記不飽和樹脂(A)の二重結合当量は、200〜500であることが必要であり、好ましくは、210〜400である。この範囲を外れると、成形材料としての硬化性に問題を生じ、耐熱水性の劣るものとなる。この二重結合当量は、二重結合1モルあたりの不飽和樹脂分子量であり、不飽和樹脂の単位重量あたりに含まれる不飽和基のモル数で前記不飽和樹脂の重量を割って算出される値である。前記不飽和樹脂(A)中の不飽和基とは、(メタ)アクリロイル基であり、含まれる(メタ)アクリロイル基のモル数は不飽和樹脂(A)のNMRによる分析により測定できる。
前記不飽和樹脂(A)としては、特定のエポキシ樹脂の選択、不飽和樹脂(A)の水酸基価とエステル価とのバランスに重点を置くことが重要である。さらに、不飽和樹脂(A)の反応性の指標として、二重結合当量が前記範囲に入っていることにより、成形材料とした際の成形時の流れ性、成形品外観、耐熱水性(強度保持率、耐重量減少率)といった特性がバランスの取れたものとなる。二重結合当量が200より低い場合には、前述のように不飽和樹脂(A)のエステル価を増大させ耐熱水性の優れた成形材料、成形品を提供することができない。
前記不飽和樹脂(A)の原料として使用可能なエポキシ樹脂とは、好ましくはエポキシ当量 200以上のもので、さらに好ましくは220〜800、より好ましくは220〜500のものである。この範囲外のものは、耐熱水性、成形時の流れ性、成形品外観のいずれかの点で劣る。このエポキシ当量は、前記不飽和樹脂(A)を特定の水酸基価及び特定のエステル価に調整するために200以上であること必要である。また、2種以上のエポキシ樹脂を原料として併用する場合は、配合割合と各々のエポキシ当量とを掛けた値の合計値で、使用する混合エポキシ樹脂のエポキシ当量とし、その値が200以上であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂は、芳香族環式構造及び/又は脂肪族環式構造を有するものであることが好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などの多核フェノール類のグリシジルエーテル類、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどのポリオールのグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル類、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン類、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特にノボラック型エポキシ樹脂を用いることが耐熱水性及び耐水性の点で好ましい。さらにジシクロペンタジエン系ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル系ノボラック型エポキシ樹脂の使用が特に好ましい。
ジシクロペンタジエン系ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンとフェノール類とを酸性触媒下で反応させ、生成物を有機溶剤中で活性白土と攪拌混合して得られる樹脂(特開平7−252349号公報参照)が挙げられる。またビフェニル系ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば4,4‘−ビフェニルジイルメチレン−フェノール樹脂のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化して得られる樹脂(特開2001−64340号公報参照)が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、分子中に芳香族環式構造単位及び/又は脂肪族環式構造単位を好ましくは30〜90重量%有するもので、特に好ましくは50〜80重量%有するものである。かかる30〜90重量%の範囲の芳香族環式構造単位及び/又は脂肪族環式構造単位を有するエポキシ樹脂を用いることにより、得られた成形材料を用いて得られる成形品は、吸水性が低く、高強度で、高耐久性を有するものである。
また、前記エポキシ樹脂は、得られる前記不飽和樹脂(A)の硬化性、耐熱水性の点で、一分子中に含まれるエポキシ基の数が平均2.0個以上であることが必要である。さらに耐熱水性を向上させるには、平均2.5個以上であるものが好ましく、平均3〜5個のものを用いることが特に好ましい。
前記不飽和樹脂(A)の原料として使用される(メタ)アクリル酸無水物は、(メタ)アクリル酸無水物に(メタ)アクリル酸を混合使用することができる。
その際、(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸との混合割合は、不飽和樹脂(A)の目標とする水酸基価にもよるが、(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸とのモル比が、100/0〜10/90の範囲であるのが望ましい。より望ましくは、100/0〜50/50である。なお(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸は、工業生産されている市販品を使用することができる。かかる(メタ)アクリル酸無水物の純度としては95重量%以上であることが特に望ましい。また製法にもよるが、不純物として(メタ)アクリル酸のみを含む場合には、目的の不飽和樹脂(A)が得られるように、実際の(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸との仕込み比を制御すればよい。
前記不飽和樹脂(A)の反応方法または反応条件としては、例えば反応容器に前記エポキシ樹脂を仕込み、90℃付近まで昇温した後、窒素/乾燥空気混合気流下にて、攪拌下、(メタ)アクリル酸無水物を発熱に注意しながら滴下し、反応させる。発熱が終了した後は、好ましくは90〜120℃の温度を維持しながら、目標の酸価になるまで反応を続け、目的の不飽和樹脂(A)を得る。必要により、反応後半に、過剰の(メタ)アクリル酸等を除くために、減圧処理をしてもよい。(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸を併用する場合の反応方法としては、一括反応、分割反応でもどちらでもよい。工業生産等のスケールアップの容易性から分割反応が望ましく、より望ましくは、反応容器に前記エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを仕込み、90℃付近まで昇温した後、窒素/乾燥空気混合気流下にて、攪拌下、(メタ)アクリル酸を先に反応させ酸価0〜10になってから、(メタ)アクリル酸無水物を滴下反応させる方が望ましい。この時の酸価の目安としては、1〜10である。不飽和樹脂製造時の終点としては、通常は酸価10以下、さらに5以下となった時点とするのが望ましい。
上記反応の際、反応を促進するために触媒を、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸無水物[(メタ)アクリル酸を含む]との合計量に対して0.1〜2.0重量%添加するのが望ましい。触媒としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルアミン等の三級アミン化合物、トリフェニルフォスフィン等の有機りん系化合物、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。さらに、反応中のゲル化等の異常反応を防止するために、空気を吹き込みながら反応を行うのが望ましい。さらに重合禁止剤を0.01〜1.0重量%添加するのが望ましい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン等のキノン類を挙げることができ、これらに必要によりその他フェノチアジンや各種酸化防止剤を併用することが望ましい。
前記不飽和樹脂(A)は、芳香族環式構造単位及び/又は脂肪族環式構造単位を20〜80重量%有するものであることが望ましい。さらに好ましくは30〜60重量%である。この範囲から外れると、硬化性、強度、耐熱水性等のバランスが取れなくなる。
エチレン性不飽和単量体(B)としては、不飽和樹脂(A)と共重合可能な単量体であれば、特に制限なく用いることができる。
前記不飽和樹脂(A)は、常温(25℃)で流動性のない水飴様の固体状であるか、固化した固体状であるため、かかるエチレン性不飽和単量体(B)は、前記不飽和樹脂(A)の希釈剤兼反応成分として用いるものである。不飽和樹脂(A)の粘度は、エチレン性不飽和単量体(B)に溶解した際に測定でき、その粘度は、好ましくは500〜15000mPa・s(25℃、不飽和樹脂(A)80重量%とスチレンモノマー20重量%との混合溶液)である。
このエチレン性不飽和単量体(B)を用いて、前記不飽和樹脂(A)を希釈することにより、成形材料の製造時の取り扱い性、成形性を高め、また成形品の耐熱性、耐水性を向上させることができる。
前記エチレン性不飽和単量体(B)としては、例えば、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートエステル、カルボン酸ビニルエステル、ビニルエーテル、マレイミド化合物等を挙げることができる。これらの中でも、低吸水性、高耐熱性を有することが要求される成形品、例えば燃料電池用セパレータを得るためには、芳香族ビニル単量体が好ましい。
かかる芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、ペンタフルオロスチレン、ビニルピレン、ビニルチオフェン、ビニルカルバゾールなどが挙げられる。さらに耐水性及び耐熱性を向上させるためには、これらの芳香族ビニル単量体に、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニルなどのジビニル単量体を併用することが特に好ましい。これら芳香族ビニル単量体は、通常エステル価は0である。また各種性能を改善する目的で、成形性、吸水性、耐熱性等を低下させない限度で、その他の単量体を併用することができる。
また(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、アダマンタンメタクリレートなどの単官能性モノマーや、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−ドデカンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、水素添加型ビスフェノールAのジメタクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物ジメタクリレートのなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。その他、三官能性モノマー、四官能性モノマーなども使用することができる。耐水性、耐熱性の点においては、二官能以上の多官能が望ましいが、架橋密度が高くなる過ぎると成形品が脆くなるため注意が必要となる。また、これらの化合物のうち、耐吸水性、耐水性の点でエステル価が400以下の化合物が好ましい。また各種性能を改善する目的で、低吸水性、耐加水分解性等を低下させない限度で、他の単量体を併用することができる。
前記不飽和樹脂(A)とエチレン性不飽和単量体(B)との配合割合は、該樹脂(A)とエチレン性不飽和単量体(B)との硬化物の架橋構造、要求性能により異なるが、成形材料の成形性と耐熱水性とのバランスの点で、重量比で(A)/(B)=90/10〜40/60の範囲が好ましい。より好ましくは80/20〜50/50の範囲である。(A)/(B)が上記範囲にあれば、本発明の成形材料の成形性が適切となるとともに、機械的強度、耐熱水性などの性能の高い硬化物、成形品が得られる。
本発明で使用するラジカル重合開始剤(C)としては、上記不飽和樹脂(A)とエチレン性不飽単量体(B)との共重合を開始させ硬化させる能力のある化合物であれば特に制限なく用いることができる。例えば、熱重合開始剤、紫外線重合開始剤、電子線重合開始剤等から選択される1種類以上のものが挙げられる。ラジカル重合開始剤(C)の使用量は、前記不飽和樹脂(A)とエチレン性不飽単量体(B)との混合物100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。
熱重合開始剤としては、例えばジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系化合物等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうち、成形条件に応じて好ましいものが適宜選択される。
紫外線重合開始剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイド系、ベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系化合物等の光増感物質が挙げられる。これらは、成形条件に応じて好ましいものを適宜選択して使用することができる。また電子線重合開始剤としては、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物等が挙げられる。
また、前記ラジカル重合開始剤(C)と併用して、硬化を促進するためラジカル重合促進剤、すなわち硬化促進剤を用いることができる。かかる硬化促進剤としては、例えばナフテン酸コバルトやオクテン酸コバルト等の金属塩類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)パラトルイジン、ジメチルアセトアセタミド等の3級アミン類等が挙げられ、必要により適宜選択して使用することができる。
本発明で使用する強化材及び/又は充填剤(D)としては、導電性物質、非導電性物質等が挙げられ、これらの中から用途に応じて適宜選択して使用される。
本発明に使用する導電性物質としては、例えば炭素材料、金属、金属化合物、導電性ポリマー粉末等を挙げることができ、これらのうち耐久性、耐食性の点で炭素系材料が好ましい。炭素系材料としては、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛を化学処理して得られる膨張黒鉛などが挙げられる。また、繊維状の炭素繊維を使用することもできる。なお燃料電池セパレータを得る場合には、人造黒鉛が望ましい。黒鉛の焼成温度は、2500℃以上、好ましくは2700℃以上、より好ましくは2900℃以上であり、平均粒径は、1〜500μm、好ましくは50〜350μmで、アスペクト比3.5以下のものである。
前記のうち、繊維状の炭素材料としては、例えば、原料繊維の種類によりピッチ系、PAN系、レーヨン系の炭素繊維を挙げることができる。炭素繊維の長さ及び形態に特に制限はないが、バルク・モールディング・コンパウンド(以下BMCという)を得るためには、樹脂との混練性を考慮して繊維長さが25mm以下、1μm〜10mmのものが好ましい。この長さの炭素繊維としては、フィラメント、チョップドストランド、ミルドファイバー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
また、前記の金属及び金属化合物としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、銀、金、ステンレス、パラジウム、チタン及びこれらのホウ化物、ジルコニウムのホウ化物、ハフニウムのホウ化物、錫−アンチモン酸化物、インジウム−錫酸化物、インジウム−亜鉛酸化物、酸化インジウム、亜鉛−アルミニウム酸化物などを挙げることができる。かかる金属及び金属化合物の形状は、粒子状、繊維状、箔状、無定形など何れであってもよい。
非導電性物質としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、パーライト、バライト、シリカ、ケイ砂、炭化珪素、窒化ホウ素、ドロマイト、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、アラミド繊維等が挙げられる。これらの物質は、作業性や得られる成形品の強度、外観、要求性能などを考慮して適宜選ぶことができる。通常、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、シリカ、タルク、アルミナ、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などがよく用いられる。なお、充填剤には上記の充填剤を表面処理したものも含まれる。
強化材及び/又は充填剤(D)の使用量は、前記(A)、(B)、(C)、(D)からなる樹脂組成物の通常1〜90重量%である。かかる範囲のうち、用途、要求性能により異なるが、好ましくは10〜80重量%である。なお高導電性の燃料電池セパレータを得る場合には、(D)成分として導電性炭素系材料が60〜85重量%であることが望ましい。この範囲より少ないと導電性が不十分であり、多過ぎると成形品の強度、耐水性が低下し望ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル硬化性の成形材料とする際、該成形材料のハンドリング性の向上や、圧縮成形時の成形欠陥を低減する目的で、さらに増粘剤(E)を含むことが望ましい。
かかる増粘剤(E)としては、増粘効果を奏する有機化合物又は無機化合物を挙げることができる。かかる化合物を用途に応じて適宜選択して使用することができる。
本発明において使用できる前記の有機化合物としては、例えばポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物、金属アルコキシ化合物などが挙げられる。中でも、室温から50℃前後の温和な条件でも前記不飽和樹脂(A)中の水酸基と反応し増粘する点で、ポリイソシアネート化合物が好ましい。その他、アクリル樹脂系微粒子が容易に加熱増粘するため好ましい。かかるアクリル樹脂系微粒子の市販品としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂系の商品名「F303」(日本ゼオン製)などが挙げられる。
前記増粘剤(E)としての無機化合物としては、例えば微粉状シリカ、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが挙げられる。酸化マグネシウムを用いて増粘させる場合には、硬化性成形材料中に酸基を有するポリマー化合物を含んでいることが好ましい。例えば、スチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体などが耐水性の点で望ましい。
前記増粘剤(E)の使用量としては、使用する化合物によって異なる。例えば、ポリイソシアネート化合物を増粘剤として使用する場合は、前記不飽和樹脂(A)中の水酸基に対し、OH/NCO比が1/0.8〜1/1.2になるように使用するのが耐熱水性の点から望ましい。また、使用量を制御することで、成形材料の成形性、成形品の物性等をコントロールすることができる。
前記のポリイソシアネート化合物としては、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。また各種イソシアネート化合物をイソシアヌレート化せしめて得られるイソシアヌレート化合物も挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
前記の増粘剤(E)としてアクリル樹脂系微粒子を使用する場合には、前記不飽和樹脂(A)と不飽和単量体(B)の混合物100重量部に対し、好ましくは10〜50重量部使用される。金属酸化物を増粘剤として用いる場合には、酸基を有する化合物の種類、分子量に応じて最適使用量を決定する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて低収縮化剤、重合禁止剤、内部離型剤、相溶化剤、その他添加剤、着色剤等を含ませることができる。
その他の添加剤としては、シラン系及びチタネート系カップリング剤、難燃剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、親水性付与剤、抗菌剤、撥水剤、脱泡剤、空気遮断剤等を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、成形材料に用いられ、例えば、シート・モールディング・コンパウンド(以下SMCという)、バルク・モールディング・コンパウンド(以下BMCという)としてのプレス成形材料、射出成形材料、その他ハンドレイアップ成形材料、注型用成形材料、引き抜き成形材料、ライニング材などとして、成形品の製造に用いることができる。
成形品は、上記硬化性樹脂組成物を使用した成形材料を各種成形方法を使用して得ることができる。
その成形方法としては、例えば、ハンドレー成形、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、引き抜き成形、回転成形などが挙げられる。成形品の形状等は、用途に応じて適宜選択される。
この成形品としては、例えば、浴槽、キッチンカウンター、洗面化粧台、人造大理石等の住設機器、引き抜き材、ポリマーコンクリート等の土木建築材料、風力発電用ブレード等工業部材、ランプリフレクター、炭素繊維複合材等の自動車等の車輌用部品、モータ封止、ダイオード封止、ブレーカボックス、電気基板、燃料電池用セパレータ等の電機機器部品、電子部品などが挙げられる。
前記の成形材料の製造方法としては、前記不飽和樹脂(A)、エチレン性不飽和単量体(B)、ラジカル重合開始剤(C)、必要に応じ強化材及び/又は充填剤(D)を一括仕込み或いは分割仕込みをして混合装置にて混練する。混練方法は、ニーダー、攪拌機、ミキサー等の混合装置により行うことができる。かかる混練は、常圧下で行っても減圧下で行ってもよい。また混練する際の温度は、室温〜60℃が好ましい。
また成形性や混合物の取り扱い性を向上させるために混練物をシート状、ブロック状又は粒子状にすることができる。
前記成形材料で増粘工程を必要とする場合には、前記混練を行った後、室温〜80℃の加温雰囲気下で保管し、増粘を促進してもよい。この工程に要する時間は、樹脂の組成及び増粘剤の種類、量、温度条件にもよるが、1〜100時間程度である。
増粘剤(E)としてポリイソシアネートを使用した場合でも、本発明の成形材料は、長期にわたり良好な成形性と取り扱い性を有する。これは、前記不飽和樹脂(A)が水酸基価とエステル価及びその合計値、二重結合当量とが高度に制御されている効果である。
前記の成形材料から特に燃料電池セパレータを製造する場合には、セパレータの形状をした溝つきの金型等を用いて、圧縮成形、射出成形等の成形法により成形を行うことにより可能である。この際の成形温度は、100〜200℃程度であることが好ましい。使用した熱重合開始剤の最適温度帯に合わせるのが好ましい。生産性を考慮すると、通常、140〜190℃の範囲が好ましい。また成形圧力としては、使用する金型、成形品の形状、用途に応じて最適な圧力に調整する。この場合の圧力は、一般的には、5〜20MPa程度である。必要により、成形後さらに硬化を促進させたり、矯正したりする目的で、加熱雰囲気下で後硬化をさせることができる。
前記成形品の耐熱性は、例えば、JIS−K−7207(ISO−75のエッジワイズ法)に準拠した方法で熱変形温度を測定することにより評価することができる。前記成形品が有する熱変形温度は、荷重 181.3N/cmの測定条件により求められた値で、150℃以上であることが望ましく、200℃以上であることが特に好ましい。特に燃料電池用セパレータとして用いる場合には、耐熱性が十分高い方が、装着後に熱変形したりする可能性が低いため好ましい。
前記の成形材料は、公知の樹脂成形法により、切削等の加工をすることなく、ガス流路としての溝を精度よく成形できるので、特に精密成形品、例えば、燃料電池用セパレータの生産に好ましく用いることができる。また、本発明の成形材料は、パテ、シーリング材、接着剤、歯科材料としても有用である。
本発明の硬化性樹脂組成物を使用して得られた燃料電池用セパレータは、発電時の作動温度が200℃以下である燃料電池に用いるのが好ましい。こうした燃料電池用セパレータは、ヒドラジン型、直接メタノール型、アルカリ型、固体高分子型、リン酸塩型等の種々の形式の燃料電池のセパレータとして使用することができる。これらの中でも固体高分子型燃料電池に好適である。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層具体的に説明する。以下において、部および%は、特に断りのない限り、全て重量基準であるものとする。
《合成例1》不飽和樹脂(A−1)の製造
温度計、窒素及び空気導入管、撹拌機を設けた1Lのフラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロン1055」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量470、]を470g、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]154g、t−ブチルハイドロキノン0.2gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.2gを入れ、110℃に昇温して8時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、目的の不飽和樹脂を得た。以下、これを樹脂A−1という。この樹脂A−1の水酸基価 82、エステル価 178、二重結合当量 312、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)11000mPa・s、芳香族環式構造単位 51%、数平均分子量 2100であった。
《合成例2》不飽和樹脂(A−2)の製造
合成例1と同様の1Lの4つ口フラスコに、エポキシ樹脂[日本化薬(株)製商品名「NC−3000」、ビフェニル基含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量276、]を552g、メタクリル酸86g、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]154g、t−ブチルハイドロキノン0.25gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.0gを入れ、110℃に昇温して6時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、目的の不飽和樹脂を得た。以下これを樹脂A−2という。この樹脂A−2の水酸基価75、エステル価212、二重結合当量263、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)5100mPa・s、芳香族環式構造単位45%、数平均分子量1400であった。
《比較合成例1》 比較用不飽和樹脂(V-1)の製造
合成例1と同様のフラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロン850」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190]を380g、メタクリル酸169g、t−ブチルハイドロキノン0.16gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.1gを入れ、110℃に昇温して10時間反応させると、酸価が4以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを不飽和樹脂V−1という。この樹脂V−1の水酸基価は198、エステル価196、二重結合当量283、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)1780mPa・s、芳香族環式構造単位30%、数平均分子量810であった。
(実施例1)
合成例1で得られた樹脂A−1 70部、スチレン30部の比率でガラス瓶に仕込み、50℃で加温下、攪拌混合する。常温まで冷却した後、50%ベンゾイルパーオキサイド2部を添加し、樹脂混合液を得た。この樹脂液全体の水酸基価は57であった。 得られた樹脂混合液を用いて成形材料を調製した。
次に、充填材としてガラスチョップドストランドマットを用意した。単位重量
450g/mのガラスマット[日東紡績(株)製商品名「MC450A」]を20×20(cm)の大きさに切断したものを3枚作製した。
30cm角のガラス板を基板とし、この上に、片面にシリコン離型処理を施した厚さ38μのポリエチレンテレフタレート製シート(以下PETシートという)を固定した。次に、このPETシートの上に前記の切断したガラスマット3枚(重量54g)を載せ、これに、樹脂混合液(重量200g)を金属性ローラーを用いて良く含浸させた。最後に、この上に上記と同様のPETシートを被せた。さらに液漏れの無い様に周囲をテープで留めて密封し、成形材料を得た。この成形材料をシート1とする。
(実施例2)
不飽和樹脂A−1を不飽和樹脂A−2に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、樹脂混合液を調製した。この樹脂液全体の水酸基価は52であった。さらに実施例1と同様の操作を行い成形材料を得た。この成形材料をシート2という。
(比較例1)
不飽和樹脂A−1を不飽和樹脂V−1に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、樹脂混合液を調製した。この樹脂液全体の水酸基価は138であった。さらに実施例1と同様の操作を行い成形材料を得た。この成形材料をシート3という。
(評価試験)
実施例1、2、比較例1で得られたシート1、シート2及びシート3を、厚さ3mmのアルミニウム平板二枚の間に挟み、70℃の恒温器の中で1時間静置した。さらに70℃から150℃まで約1時間かけて昇温した後、この温度でさらに2時間保持した後、室温まで徐冷した。厚さ4.5mm、20cm×20cmのFRP成形品を得た。
これらのFRP成形品について、曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形温度及び煮沸吸水率の各種試験を行った。結果は表−1に示した。
・曲げ強度及び曲げ弾性率;上記実施例及び比較例で得られたFRP成形品から、2.5×10cmの板を切り出し、この板を試片としてJIS−K6911に準拠して、室温にて曲げ試験を行った。
・熱変形温度;上記実施例及び比較例で得られたFRP成形品から、1.27cm×12cmの板を切り出し、この板を試片としてJIS−K7191に準拠して、試験を行った。試験条件は、エッジワイズ法、荷重1.8MPaで行った。
・煮沸吸水率;上記実施例及び比較例で得られたFRP成形品から、5cm×5cmの板を切りだし、この板を試片として、100℃のイオン交換水に浸漬し、浸漬前の重量に対する重量増加率を1時間後、24時間後、100時間後及び400時間後の値を測定した。
Figure 0004687004
表−1に記載の結果から明らかなように、実施例1〜2は、低い煮沸吸水率から耐吸水性に優れる高品質な成形品が得られた。
次に、住設部材として使用可能な、不飽和樹脂(A)の合成例、成形材料の調製例及び評価結果、及び比較の不飽和樹脂の合成例、それを用いた成形材料の調製例及び評価結果を示す。そこで用いた測定方法及び評価基準について以下に述べる。
[成形品の外観評価]
後記実施例で得られた平板状成形品をそのまま試験片とし、この試験片について、充填性、反り、割れ、膨れ、内部状態の目視観察を行った。充填性については、端部まで均一に充填されている場合には、「良好」とし、未充填である場合、厚みが不均一である場合には「不良」とした。反り、割れ、膨れについては、試験片に全く発生が認められないものを「なし」とし、少しでも発生が認められるものを「あり」とした。内部状態については、試験片の断面を目視観察し、緻密な状態のものを「良好」とし、空所が多く発生しているものを「ボイド多」とした。
[成形品の曲げ強さの測定]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とし、JIS K−6911に従い曲げ強さを測定した。測定時の雰囲気は、25℃であった。なお試験片は、幅2.5cm、長さ7cmになるように加工した。
[成形品の熱変形温度の測定]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とし、JIS K−7207のA法に従い熱変形温度を測定した。その時の荷重条件は、181.3N/cmである。
[成形品の耐熱水性の評価(強度保持性試験法)]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とした。1.5Lの圧力容器(SUS316L製圧力容器、耐圧硝子工業製商品名「TEM−D1000型」)に試験片30本と、イオン交換水1Lを仕込み、密閉する。この容器を50℃の恒温油槽に設置し、約2時間で内温が110℃となるように油槽を昇温した。その後、110±1℃の範囲で内温を保持しながら、200時間浸漬する。所定時間終了後に、油槽より容器を取り出し、室温にて約12時間放冷、圧力開放した後、試験片を取り出した。回収された試験片は、室温にて約48時間静置した後、JIS K−6911に従い、曲げ強さを測定した。浸漬する前の強度に対する保持率(%)を算出し、四段階で評価した。なお測定時の雰囲気は、25℃である。
<評価>
1:浸漬する前の強度に対する保持率0%以上、40%未満。
2:浸漬する前の強度に対する保持率40%以上、60%未満。
3:浸漬する前の強度に対する保持率60%以上、80%未満。
4:浸漬する前の強度に対する保持率80%以上、110%以下。
(成形品の重量減少率の評価)
曲げ試験片と同じ形状の試験片を前記同一条件で熱水浸漬した後、室温下で48時間静置する。さらに、90℃で48時間強制乾燥した後、室温で1時間静置してから重量を測定した。初期の重量に対しての重量減少率を算出する。
成形品の性能としては、重量減少率が低いものが望ましい。
[耐熱水試験後の成形品の外観評価]
曲げ試験片と同じ形状の試験片を前記同一条件で熱水浸漬した後、室温下で48時間静置し、成形品外観を目視にて評価した。
光沢については、光沢むらがある場合には、「不良」とし、無い場合には「良好」とした。膨れ(ブリスター)については、膨れが有る場合には「有」とし、無い場合には、「無」とした。
成形品としては、光沢むらが無く、膨れが無いものが望ましい。
《合成例3》 不飽和樹脂(A−3)の製造
窒素および空気導入管を設けた1Lの4つ口フラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロン850」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190]を296g、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロン1050」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量470]を206g仕込み、90℃まで攪拌混合しながら昇温した。この時の混合物のエポキシ当量は、251であった。90℃にてメタクリル酸31g、t−ブチルハイドロキノン0.3g、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、105℃まで昇温した。105℃に昇温して1時間反応させると、酸価が5以下になったので、100℃付近まで冷却した後、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]246gを発熱に注意しながら滴下した。その後、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、110℃まで昇温した。110℃で5時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを不飽和樹脂A−3という。この不飽和樹脂A−3の水酸基価は、61、エステル価は251、二重結合当量は238であり、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)1380mPa・s、芳香族環式構造単位は30%、数平均分子量1020であった。
《合成例4》 不飽和樹脂(A−4)の製造
合成例1と同様にしてフラスコに、エポキシ樹脂[日本化薬製商品名「NC−3000」、ビフェニル基含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量274]を548g仕込み、90℃まで攪拌しながら昇温した。90℃にてメタクリル酸55g、t−ブチルハイドロキノン0.4g、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、105℃まで昇温した。105℃に昇温して2時間反応させると、酸価が5以下になったので、100℃付近まで冷却した後、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]203gを発熱に注意しながら滴下した。その後、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、110℃まで昇温した。110℃で6時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを不飽和樹脂A−4という。この不飽和樹脂A−4の水酸基価は48、エステル価は225、二重結合当量は245であり、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)4300mPa・s、芳香族環式構造単位は44%、数平均分子量1300であった。
《比較合成例2》 比較用不飽和樹脂(V−2)の製造
合成例1と同様のフラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロン850」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190]を380g仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、80℃まで昇温した。次にトリフェニルフォスフィン4g、メタクリル酸17.2g、t−ブチルハイドロキノン0.33gを仕込み、さらにメタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]277.2gを発熱に注意しながら滴下した。滴下終了後、90℃まで昇温した。90℃で5時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを不飽和樹脂V−2という。この樹脂V−2の水酸基価は17、エステル価314、二重結合当量178で、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)350mPa・s、芳香族環式構造単位は24%、数平均分子量830であった。
上記合成例1から合成例4、及び比較合成例1から比較合成例2で得られた樹脂以外で、後記実施例で使用した成分を以下に挙げる。
・スチレンモノマー:以下これを単量体B−1という。
・ターシャリーブチルペルオキシイソプロピルカーボネート[化薬アクゾ製商品名「BIC−75」]:開始剤C−1という。
・p−ベンゾキノン(イーストマンケミカル社製商品名「p−BQ」):以下これを禁止剤−1という。
・ステアリン酸亜鉛:以下これを離型剤−1という。
・炭酸カルシウム[丸尾カルシウム社製商品名「MM−100D」、平均粒子径が3μ]:充填剤D−1という、
・ガラスチョップドストランド[日東紡製商品名「CS6PA−473S」、繊維長6mm]:以下これを強化材D−2という。
《実施例3〜4》 成形材料及び成形品の調製
合成例3〜4で製造した不飽和樹脂A−3、A−4、及び前記の配合成分を用いて、表−2に示す配合で各々の成分と共に、禁止剤−1 0.002部、離型剤−1 1部を加えて、室温下でニーダーを使用して各々混合し成形材料を調製した。この成形材料をスチレン不透過性の多層フィルムで厳重に包装し、この成形材料を室温にて静置し保管した。調製してから2日経過した後に、この成形材料を前記多層フィルムから取り出し、平面板金型に充填し、圧縮成形機で、圧力180kgf/cm2(ゲージ圧力)、上型150℃、下型145℃、成形時間10分の条件で成形し、幅30cm、長さ30cm、厚み2.8mm、の平板状成形品を製造した。この平板状成形品については、曲げ強さ、熱変形温度、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−3に示す。
《比較例2〜3》
実施例3〜4において使用した不飽和樹脂A−3及びA−4の代わり比較合成例1〜2で製造した不飽和樹脂V−1、V−2をそれぞれを用いて、実施例と同様にして比較例2〜3の成形材料及び成形品を得た。その配合を表−2に示す。この評価結果を表−3に示す。
表−2
Figure 0004687004
表−3
Figure 0004687004

表−3に記載の結果から明らかなように、実施例3〜4は、成形性が良好で、高品質な成形品が得られ、さらに高い耐熱性、耐熱水性を有する。よって住設部材、電気部材として好適な材料が、提供可能である。一方、表−3に記載の結果から明らかなように、比較例2〜3は、成形性は良好であるが、得られた成形品は、耐熱性が低かったり、耐熱水性が劣る或いは耐熱水試験後の外観評価に問題があった。また、重量減少率も高い傾向にあった。
次に、燃料電池用セパレータ用としても使用可能な、不飽和樹脂(A)の合成例、成形材料の調製例及び評価結果を示す。
本発明で用いた測定方法及び評価基準については、前記と同じで、追加された試験項目の評価方法を以下に述べる。
[導電性成形材料の取り扱い性の評価]
後記実施例で得られた導電性成形材料を保管用の多層フィルムから取り出す時の、フィルムからの剥離性及び該樹脂表面のべたつきの程度を目視により観察した。その結果を2段階に分類した。
・不良:フィルムからの剥離性が悪く、樹脂組成物表面のべたつきが大きい。
・良好:フィルムからの剥離性が良く、樹脂組成物表面のべたつきもない。
[導電性成形材料の成形時の流れ性の評価]
後記実施例で得られた導電性成形材料を50tのトランスファー成形機を使用し、圧力150kgf/cm(ゲージ圧)、ピストン速度1mm/秒、温度150℃で成形した。成形品の断面は、7mm×2mmであった。その時の硬化物(成形品)のスパイラルフロー長を測定し、その結果を4段階に分類した。
<評価>
1:0cm以上、20cm未満。
2:20cm以上、40cm未満。
3:40cm以上、80cm未満。
4:80cm以上。
なお、良好な金型充填性と緻密で空隙のない成形品を得るためには、上記評価:3の40cm以上、80cm未満であることが好ましい。上記評価:1の20cm未満では充填性が不良であり、また上記の「評価:4」の80cm以上では緻密な成形品を得られない場合がある。
[成形品の外観評価]
後記実施例で得られた燃料電池用セパレータをそのまま試験片とした以外は、前記試験と同様に行った。
[成形品の導電性の測定]
後記実施例で得られた平板状成形品から、幅1cm、厚み3mm、長さ10cmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS C―2525に従い、体積抵抗率を測定した。
[成形品の曲げ強さの測定]、[成形品の熱変形温度の測定]、[成形品の耐熱水性の評価(促進試験法)](成形品の重量減少率の評価)については、前記と同じ試験を行った。ただし、耐熱水性の評価は、前実験条件「110℃×200時間」を「150℃×240時間」に変更して行った。
《合成例5》 不飽和樹脂(A−5)の製造
合成例1と同様のフラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロンHP−7200」、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量260]520gを仕込み、90℃まで攪拌しながら昇温した。90℃にてメタクリル酸86g、t−ブチルハイドロキノン0.4g、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、105℃まで昇温した。105℃に昇温して2時間反応させると、酸価が5以下になったので、100℃付近まで冷却した後、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]142gを発熱に注意しながら滴下した。その後、トリスジメチルアミノフェノール0.7gを仕込み、110℃まで昇温した。110℃で6時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し不飽和樹脂(A)を得た。以下これを不飽和樹脂A−5とする。不飽和樹脂A−5の水酸基価80、エステル価215、二重結合当量258で、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)5200mPa・sで、芳香族及び脂肪族環式構造単位は、40%、数平均分子量900であった。
《合成例6》 不飽和樹脂(A)の製造
合成例1と同様のフラスコに、エポキシ樹脂[日本化薬製商品名「NC−3000」、ビフェニル基含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量274]548gを仕込み、90℃まで攪拌しながら昇温した。90℃にてメタクリル酸 79g、t−ブチルハイドロキノン0.4g、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、105℃まで昇温した。105℃に昇温して2時間反応させると、酸価が5以下になったので、100℃付近まで冷却した後、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]160gを発熱に注意しながら滴下した。 その後、トリスジメチルアミノフェノール 0.7gを仕込み、110℃まで昇温した。110℃で6時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し不飽和樹脂(A)を得た。以下これを不飽和樹脂A−6とする。不飽和樹脂A−6の水酸基価71、エステル価211、二重結合当量263で、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)5000mPa・sで、芳香族環式構造単位は45%、数平均分子量1390であった。
《合成例7》 不飽和樹脂(A−7)の製造
合成例1と同様フラスコに、エポキシ樹脂[日本化薬製「NC−3000H」、ビフェニル基含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量289]を578g仕込み、90℃まで攪拌しながら昇温した。90℃にてメタクリル酸 48g、t−ブチルハイドロキノン 0.4g、トリスジメチルアミノフェノール 0.8gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、105℃まで昇温した。105℃に昇温して1時間反応させると、酸価が5以下になったので、100℃付近まで冷却した後、メタクリル酸無水物[レーム社製商品名「MAAH」]215gを発熱に注意しながら滴下した。 その後、トリスジメチルアミノフェノール0.8gを仕込み、110℃まで昇温した。110℃で7時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し不飽和樹脂(A)を得た。以下これを不飽和樹脂A−7とする。不飽和樹脂A−7の水酸基価40、エステル価221、二重結合当量250で、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)12600mPa・sで、芳香族環式構造単位は、46%、数平均分子量1770であった。
《比較合成例3》 比較用不飽和樹脂(V−3)の製造
合成例1と同様のフラスコに、エポキシ樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「エピクロンHP−7200」、ジシクロペンタジエンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量260]を520g、メタクリル酸 168g、t−ブチルハイドロキノン 0.29gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール 1.5gを入れ、110℃に昇温して10時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを不飽和樹脂V−3という。この不飽和樹脂V−3の水酸基価は162、エステル価153、二重結合当量352で、樹脂粘度(20%スチレンモマー希釈液)8600mPa・s、芳香族及び脂肪族環式構造単位は、44%、数平均分子量870であった。
前記合成例5から合成例7、及び比較合成例1、比較合成例3で得られた樹脂及び、前述の成形材料の実施例3〜実施例4で使用した原料以外で、後記実施例で使用した成分を以下に挙げる。
・ジビニルベンゼン[新日鐵化学製商品名「DVB−810」、純度:81%]:以下これを単量体B−2という。
・ジフェニルメタンジイソシアネートの変性液状化合物[ダウポリウレタン日本社製商品名「ISONATE143LJ」、NCO29%]:以下これを増粘剤(ポリイソシアネート)E−1とする。
・ポリスチレン樹脂[大日本インキ化学工業(株)製商品名「ディックスチレンCR−2500」、分子量20万]:以下これを低収縮化剤−1という。
・相溶化剤[大日本インキ化学工業(株)製商品名「RS−900」]:以下これを相溶化剤−1という。
・パーフルオロポリエーテル[Solvay Solexis社製商品名「FLUOROLINK D10−H」、分子量1500]:以下これを離型剤−2という。
・合成グラファイト[Applied Carbon Technology社製商品名「K−100」、平均粒子径が300μ]:以下これを充填剤D−3という。
《実施例5〜8》 導電性成形材料及び成形品の調製
合成例5〜7で製造した不飽和樹脂A−5、A−6及びA−7と、B−1、B−2、C−1、D−3、E−1などの上記の配合成分を用いて、表−4に示す配合で各々の成分と共に、禁止剤−1 0.01部、離型剤−2 0.2部を加えて、室温下でニーダーを使用して各々混合し硬化性樹脂組成物を得、導電性成形材料を調製した。次いで、この成形材料をスチレンモノマー不透過性の多層フィルムで厳重に包装した。この導電性成形材料を30℃にて2日間増粘した後、室温にて静置、保管した。調製してから3日経過した後に、この成形材料を前記多層フィルムから取り出し、燃料電池用セパレータ形状金型および平面板金型に均一に充填し、圧縮成形機で、圧力150kgf/cm2(ゲージ圧力)、上型150℃、下型145℃、成形時間10分の条件で成形し、幅13cm、長さ20cm、厚み3mmの燃料電池用セパレータ及び平面板成形品を製造した。この時の樹脂組成物の取り扱い性の評価を行った。燃料電池用セパレータについては、外観の評価を行い、平板状成形品については、導電性及び曲げ強度、熱変形温度、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−6に示した。
《比較例4〜6》 比較の成形材料及び成形品の調製
実施例5〜8において使用した不飽和樹脂(A)の代わりに比較合成例1、比較合成例3で調製した不飽和樹脂V−1、V−3を用いて、実施例5〜8と同様にして導電性成形材料及び成形品を得た。この場合、成形材料中の導電性充填剤の添加量を同じするために、樹脂成分全体の配合量を調整した。その配合を表−5に示す。この評価結果を表−7に示した。
表−4
Figure 0004687004

表−5
Figure 0004687004
表−6
Figure 0004687004
表−7
Figure 0004687004
表−6に記載の結果から明らかなように、実施例5〜8は、成形性が良好で、高品質な成形品が得られ、さらに高い耐熱性、耐熱水性を有する。よって、燃料電池用セパレータ材として好適な材料が、提供可能である。一方、表−7に記載の結果から明らかなように、比較例4〜6は、成形性が不良、または得られた成形品は大きな欠陥を有しており、実用性が低かった。また、耐熱水性が低い傾向にあった。重量減少率も高い傾向にあり、溶出量が多く燃料電池用セパレータ材としては適さないものであった。

Claims (10)

  1. エポキシ当量200以上のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて得られる常温固体状樹脂であって、二重結合当量が200〜500で、エステル価が100〜300で、水酸基価が130以下である(メタ)アクリロイル基を有する不飽和樹脂(A)と、エチレン性不飽和単量体(B)とラジカル重合開始剤(C)とを含有してなることを特徴とする成形材料用硬化性樹脂組成物。
  2. 前記不飽和樹脂(A)の数平均分子量が、900〜5000である請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  3. 前記不飽和樹脂(A)の水酸基価が、20〜130である請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  4. 前記不飽和樹脂(A)の水酸基価とエステル価との合計値が、120〜320である請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  5. 前記不飽和樹脂が、芳香族環式構造単位及び/又は脂肪族脂環式構造単位を20〜80重量%有するものである請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  6. 前記不飽和樹脂(A)が、25℃、不飽和樹脂(A)80重量%とスチレンモノマー20重量%との混合溶液の粘度を500〜15000mPa・sとするものである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂が、ジシクロペンタジエン系ノボラック型エポキシ樹脂およびビフェニル骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種である、請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物に、更に、強化材及び/又は充填剤(D)を含有させてなる成形材料。
  9. 更に、導電性炭素系材料及び増粘剤を含有し、燃料電池用セパレータを製造するための材料として使用される請求項1記載の成形材料用硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項9記載の成形材料用硬化性樹脂組成物を成形して得られる燃料電池用セパレータ。
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