JP2005082745A - 導電性樹脂組成物及びそれを用いてなる燃料電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス不透過性、導電性、長期耐久性に優れ、かつ成形性にも優れ、生産性も良好な導電性樹脂組成物及びこれを用いてなる燃料電池用セパレータを提供する。
【解決手段】 導電性充填剤(A)とエポキシ樹脂(b1)と、(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)とを反応させて得られる分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(B)と分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(C)と増粘剤(D)とを含有してなる導電性樹脂組成物に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性樹脂組成物に関するものである。詳しくは、導電性、耐熱性、熱伝導性、耐食性、ガス不透過性及び機械的強度に優れ、反りや割れ、膨れ等の発生がなく寸法精度にも優れた導電性樹脂組成物及び燃料電池用セパレータに関するものである。さらに詳しくは、高度の性能が要求される燃料電池セパレータとして有用な導電性樹脂組成物及びその導電性樹脂組成物により成形された燃料電池セパレータに関するものである。
導電性樹脂の成形品は、従来の金属加工品等に替わる材料として近年期待されている。特に電気分野で、成形加工性、耐腐食性に優れ、しかも安価な材料として注目されている。電気分野の材料としては、例えば燃料電池用等のセパレータの材料、各種電池用部材の使用される高導電性材料が挙げられる。
この燃料電池の構成に用いられるセパレータには、燃料と酸化剤ガスを分離した状態で安定的に電極に供給するためのガス不透過性、及び発電効率を高めるための導電性が要求され、さらに作動環境下での長期の耐久性等が要求される。加えてセパレータを製造する際には、生産性に優れ、金型転写性が良いことが必要である。
このような燃料電池用セパレータの材料としては、例えば炭素系充填剤と熱硬化性樹脂とから得られる成形材料、成形品の利用が検討されている。
この熱硬化性樹脂として、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びラジカル重合性樹脂等の使用が提案されている。これらの中でも成形時の生産性の点からラジカル重合性樹脂が優れている。
ラジカル重合性樹脂を用いた技術としては、例えばビニルエステル樹脂と炭素系充填材を含む硬化性組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。またビニルエステル樹脂等のラジカル重合性樹脂と炭素系充填材とを含む樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかし、これらの技術ではセパレータの機械的強度、導電性等の初期性能は達成できるが、耐食性、特に長期の耐久性が低下する傾向にある。さらにこれら成形材料は、成形性や生産性、成形品の品質が良くない等の問題がある。
例えば、一般的なビニルエステル樹脂は、構造上分子内に水酸基を数多く有するため、該樹脂を用いた成形品は、吸水率が高く、吸水に伴い強度低下が発生する。さらに進入した水による樹脂の加水分解が進行し、強度低下がさらに起こるので、燃料電池セパレータ用途の使用には問題がある。
一方、該水酸基の量を少なくしすぎると、ポリイソシアネートなどの増粘剤を加えても増粘性が不十分で、ボイド等の多くの欠陥を有する成形品になるという問題がある。
またビニルエステル樹脂等、炭素系充填剤及びポリイソシアネートを含む樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかしこの文献には、長期の耐久性及び成形性を改善するための技術は開示されていない。
特開2001−151833号公報 特開2002−164063号公報 米国特許第6251308号明細書
本発明の目的は、これらの問題に鑑み、ガス不透過性、導電性、長期耐久性に優れ、かつ成形性にも優れ、生産性も良好な導電性樹脂組成物及びこれを用いてなる燃料電池用セパレータを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸無水物を必須成分とする不飽和カルボン酸を反応させ、樹脂の水酸基価を制御することにより、吸水性が低く、耐水性に優れると同時に、適度の増粘性を有し、成形性等に優れるものが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、導電性充填剤(A)とエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸とを反応して得られるエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(B)と、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(C)と増粘剤(D)とを含有してなる導電性樹脂組成物を提供するものである。
また上記の導電性樹脂組成物を硬化させて得られる燃料電池用セパレータを提供するものである。
本発明の導電性樹脂組成物は、増粘性が安定しているため取り扱いに優れ、さらに成形性も極めて良好である。また、該樹脂組成物を硬化させて得られる成形品は、耐熱性、耐水性、導電性、機械的強度、耐久性等に優れ、成形時に反り、割れ、膨れの発生がなく寸法精度にも優れており、成形品の内部状態も良好なものである。そのため、本発明の成形品は、過酷な環境下で使用される燃料電池用セパレータとしても極めて有用である。本発明の導電性樹脂組成物を用いれば該セパレータを簡易な工程で経済的、且つ安定的に生産することができる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明に使用する導電性充填剤(A)としては、特に限定されるものではないが、例えば炭素材料、金属、金属化合物、導電性ポリマー粉末等を挙げることができ、これらのうち耐久性の点で炭素材料が好ましい。
上記の炭素材料としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛を化学処理して得られる膨張黒鉛などが挙げられる。これらの炭素材料のうち、少量で高度の導電性が達成できる点で、人造黒鉛、天然黒鉛及び膨張黒鉛が好ましい。またこれらの炭素材料の形状は、繊維状、粒子状、箔状、鱗片状、針状、球状、無定形の何れであってもよい。
上記のうち、繊維状の炭素材料としては、例えば、原料繊維の種類によりピッチ系、PAN系、レーヨン系の炭素繊維を挙げることができる。これらのうち、導電性を考慮すると2000℃以上の高温で炭素化、黒鉛化工程を経て製造される炭素繊維が好ましい。炭素繊維の長さ及び形態に特に制限はないが、樹脂との混練性を考慮すれば、繊維長さが25mm以下のものが好ましい。この長さの炭素繊維としては、フィラメント、チョップドストランド、ミルドファイバー等が挙げられる。
また、上記の金属及び金属化合物としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、銀、金、ステンレス、パラジウム、チタン及びこのホウ化物、ジルコニウムのホウ化物、ハフニウムのホウ化物などを挙げることができる。かかる金属及び金属化合物の形状は、粒子状、繊維状、箔状、無定形など何れであってもよい。
上記導電性充填剤は、その1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明の効果を損なわない限り、上記の導電性材料に不導電性材料を併用することができるし、導電性材料と不導電性材料との複合材料を使用することができる。
かかる導電性材料と不導電性材料との複合材料としては、例えば金属被覆ガラス繊維、金属被覆ガラスビーズ、金属被覆無機フィラーなどを挙げることができる。
上記導電性充填剤(A)は、本発明の導電性樹脂組成物の総量に対し、少なくとも60重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、70〜90重量%である。導電性充填剤(A)がかかる範囲にあるならば、混合物の流動性も良好であり成形性に優れ、燃料電池等のセパレータに要求される優れた導電性を達成できる。
本発明に使用する分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(B)[以下不飽和樹脂(B)という]は、エポキシ樹脂(b1)と、(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)とを反応させて得られ、一分子中に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーである。
通常ビニルエステル樹脂と呼ばれる樹脂は、(メタ)アクリル酸等の不飽和一塩基酸を使用するため、(メタ)アクリル酸と等モルの水酸基が生成するが、本発明に使用する不飽和樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸無水物を主成分として用いることにより、エポキシ基の開環に伴って形成される遊離の水酸基がエステル基を形成して同時にブロックされるので、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸無水物とのモル比率、又はエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸とのモル比率を適宜調整することにより水酸基の生成率を制御することができる。また高い水酸基価を有する不飽和樹脂(B)が得られた場合は、イソシアネート化合物等の水酸基と反応する官能基を有する化合物を添加して水酸基価を下げることができる。
なお不飽和樹脂(B)全体の水酸基量は、原料のエポキシ樹脂に元々ある水酸基量を加算する必要がある。
本発明に使用する不飽和樹脂(B)は、原料エポキシ樹脂や開環付加反応に由来する水酸基を有する。不飽和樹脂(B)の水酸基価としては、30〜130であることが好ましい。特に50〜100であることが好ましい。水酸基価がこの範囲であることにより、増粘性が良好で、ボイド等の欠陥の少ない良質且つ、低吸水性の成形品を得ることが可能となる。
ここで水酸基価とは、試料1gを規定の方法に基づきアセチル化剤を用いて、規定温度及び時間で反応させたときに生成する酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
本発明で使用する不飽和樹脂(B)の原料として使用できるエポキシ樹脂(b1)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などの多価フェノール類のグリシジルエーテル類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル;水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン類;トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐水性、耐熱性と増粘性とのバランスの点で、特にノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。このなかでも、ジシクロペンタジエン系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル系フェノールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ジシクロペンタジエン系フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエンとフェノール類とを酸性触媒下で反応させ、生成物を有機溶剤中で活性白土と攪拌混合して得られる樹脂(特開平7−252349号公報参照)が挙げられる。またビフェニル系フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、4,4‘−ビフェニルジイルメチレン−フェノール樹脂のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化してえられる樹脂(特開2001−64340号公報参照)が挙げられる。
また本発明に使用するエポキシ樹脂(b1)は、反応物の不飽和樹脂(B)の硬化性、耐熱水性の点で、一分子中に含まれるエポキシ基の数が平均1.0個以上であることが好ましい。さらに耐熱性を向上させるには、平均1.5個以上であるものが好ましく、平均1.6〜4個のものを用いることが特に好ましい。使用するエポキシ樹脂(b1)の全体のエポキシ当量は、不飽和樹脂(B)の水酸基価を30〜130に調整するためには、200以上であることが好ましい。より好ましくは220〜1000である。さらに好ましくは、220〜500である。
本発明に使用する不飽和樹脂(B)の原料として(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)を使用する。
(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸との割合は、不飽和樹脂(B)の目標とする水酸基価にもよるが、(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸とのモル比で、100/0〜20/80の範囲で設計するのが望ましい。なお(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸は、工業生産されている市販品を使用することができる。かかる無水(メタ)アクリル酸の純度としては95重量%以上であることが特に望ましい。また製法にもよるが、不純物として(メタ)アクリル酸のみを含む場合には、目的の樹脂(B)が得られるように、実際の(メタ)アクリル酸無水物と(メタ)アクリル酸の仕込み比を制御すればよい。
エポキシ樹脂(b1)と(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)との反応物の不飽和樹脂(B)の水酸基価を30〜130に調整する方法としては、例えば使用するエポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、(メタ)アクリル酸が1モル反応した場合の理論水酸基価を算出し、この値を基準として、目的とする水酸基価になるように、無水(メタ)アクリル酸によるエステル化率、及びその使用量を算出する。この結果を基にして、実際の仕込みモル比を決定する。なお、エポキシ樹脂中に元々水酸基がある場合には、この量を加味して算出することにより、仕込み量を決定する。
エポキシ樹脂(b1)と(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)との反応方法としては、例えば反応缶にエポキシ樹脂を仕込み、90℃付近まで昇温した後、窒素/乾燥空気混合気流下にて、攪拌下(メタ)アクリル酸無水物、及び(メタ)アクリル酸を発熱に注意しながら滴下し、反応させる。発熱終了後は、90〜120℃の温度を維持しながら、目標の酸価になるまで反応を続け、目的の不飽和樹脂(B)を得る。必要により、反応後半に、過剰の(メタ)アクリル酸等を除くために、減圧処理をしてもよい。
また、上記反応を促進するために、触媒を0.1〜2.0重量%添加することが好ましい。具体的には、トリエチルアミン、ベンジルアミン等の三級アミン化合物、トリフェニルフォスフィン等の有機りん系化合物、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
さらに、反応中のゲル化等の異常反応を防止するために、重合禁止剤を0.01〜1.0重量%添加するのが好ましい。具体的には、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン等のキノン類が挙げられる。使用に際しては、フェノチアジンや各種酸化防止剤を必要により併用することが好ましい。
不飽和樹脂(B)の二重結合当量は、成形材料の硬化性、耐熱性、耐熱水性等のバランスの点で190〜500であることが好ましい。より好ましくは、200〜350である。この当量は、樹脂設計、必要物性に応じて、適宜選択される。
本発明に使用する分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(C)[以下不飽和単量体(C)という]としては、上記の不飽和樹脂(B)と共重合可能な単量体であれば特に制限なく用いることができる。
不飽和単量体(C)としては、例えば芳香族ビニル単量体類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、フタル酸ジアリル類、カルボン酸ビニル類、ビニルエーテル類、マレイミド化合物等を挙げることができる。これらの中でも、低吸水性、高耐熱性を有することが要求される、燃料電池用セパレータを得るためには、芳香族ビニル単量体類が好ましい。
芳香族ビニル単量体類としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、ペンタフルオロスチレン、ビニルピレン、ビニルチオフェン、ビニルカルバゾールなどが挙げられる。さらにこれらの芳香族ビニル単量体類に、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニルなどのジビニル単量体を併用することが、耐水性及び耐熱性の点で好ましい。また各種性能を改善する目的で、成形性、吸水性、耐熱性等を低下させない限度で、その他の単量体を併用することができる。
本発明に使用する不飽和樹脂(B)と不飽和単量体(C)との配合割合は、該不飽和樹脂(B)及び不飽和単量体(C)の種類により異なるが、重量比で(B)/(C)=90/10〜40/60の範囲が好ましい。(B)/(C)が上記範囲であれば、本発明の導電性樹脂組成物の増粘特性が適切となると共に、強度、耐熱性などの性能の高い硬化物、成形品が得られる。また良好な成形性を有する、
本発明に使用する増粘剤(D)は、1分子中に、不飽和樹脂(B)中の水酸基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物である。例えばポリイソシアネート化合物、ポリカルボジイミド化合物、金属アルコキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、室温などの穏和な条件でも反応するポリイソシアネート化合物が好ましい。
かかるポリイソシアネート化合物としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの変性液状化合物、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、3,3‘−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイルジイソシアネート等を挙げることができる。その他、各種イソシアネート化合物をイソシアヌレート化せしめて得られる多量体、プロピレングリコール等の多価アルコール化合物と反応させたイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
ポリイソシアネート化合物の使用量としては、イソシアネート基(NCO)のモル数に対して、不飽和樹脂(B)の水酸基(OH)のモル数と不飽和単量体(D)の水酸基のモル数との総モル数とのモル比(OH/NCO)が1.0/0.5〜1.0/1.5になるように使用する。これらのうち、1.0/0.8〜1.0/1.2の範囲であることが好ましい。このポリイソシアネートの使用量を制御することにより、樹脂組成物の増粘度、成形品の物性等を制御することができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、さらに必要に応じて低収縮化剤、硬化剤、重合禁止剤、内部離型剤、相溶化剤、その他のラジカル重合性オリゴマー、充填剤、着色剤などを含むことができる。
低収縮化剤としては、例えば熱可塑性樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン−共役ジエンブロック共重合体、スチレン−水添共役ジエンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸n−ブチルエステル等のスチレンを含まない(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。また、これら重合体中に二重結合を有する場合、かかる二重結合に反応性を有する化合物を反応させたものも用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、耐水性の点で、ポリスチレン系樹脂が好ましい。
上記のスチレン−共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレンと共役ジエンを重合させて得られるスチレン単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体であり、共役ジエン単位としてブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどが用いられる。さらに、これらスチレン−共役ジエンブロック共重合体を水素添加して得られるスチレン−水添共役ジエンブロック共重合体であっても良い。
上記のブロック共重合体の構成は特に限定されるものではなく、スチレン−共役ジエン、スチレン−共役ジエン−スチレン、共役ジエン−スチレン−共役ジエンなどのスチレン単位と共役ジエン単位等からなる構造が挙げられる。具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
また、成形品の靭性、耐衝撃性等を改良するため、熱可塑性樹脂にゴム系樹脂を添加したものを低収縮化剤として用いることができる。ゴム系樹脂としては、アクリロニトリルブタンジエン系樹脂、架橋性ゴム微粒子などが挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上を併せて用いられる。
前記硬化剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の硬化剤を用いることができる。公知の硬化剤としては、例えば熱硬化剤、紫外線硬化剤、電子線硬化剤等が挙げられる。硬化剤の使用量は、樹脂混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。
熱硬化剤としては、例えばジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系化合物等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうち、成形条件に応じて好ましいものが適宜選択される。
紫外線硬化剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイド系、ベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系化合物等の光増感物質が挙げられる。これらは、成形条件に応じて好ましいものが適宜選択される。また電子線硬化剤としては、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジサルファイド系化合物等が挙げられる。
また、前記硬化剤と併用し、硬化を促進するため、硬化促進剤を用いることができる。かかる硬化促進剤としては、特に限定されるものではないが、例えばナフテン酸コバルトやオクテン酸コバルト等の金属塩類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)パラトルイジン、ジメチルアセトアセタミド等の3級アミン類等が挙げられる。
前記重合禁止剤としては、特に限定されるものでなく、従来公知の重合禁止剤を用いることができる。具体的には、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、トルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、1種のみを用いても良く、また、2種以上を適時混合して用いても良い。
前記内部離型剤としては、例えば、カルナバロウなどのパラフィン系化合物、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩、あるいは脂肪酸エステル化合物、アルキルリン酸エステル、変性シリコンオイル、変性フッ素系化合物などが挙げられる。これらは、成形条件、各種用途に応じて好ましいものを適宜選択し、使用することができる。
前記相溶化剤は、本発明の導電性樹脂組成物に、前記ポリスチレン等の低収縮化剤を添加することによる経時的な分離を防止し、該低収縮化剤を微分散させる効果を有するものである。かかる相溶化剤としては、市販の各種添加剤や化合物を用いることができる。例えばポリスチレン系ブロック共重合体、グラフト重合体などが挙げられる。これらのうち、例えば特開2001−192456号公報及び特開2001−213967号公報に記載の相溶化剤が好ましい。
前記のラジカル重合性オリゴマーとしては、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。かかる多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えばビスフェノールAのPO付加物のジメタクリレートなどが挙げられる。これらのうち、耐水性を考慮すると、エステル価が300以下のメタクリレートが望ましい。また多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとジフェニルメタンジイソシアネートを反応させて得られるオリゴマーなどが挙げられる。これらのうち、耐水性を考慮すると、多官能ウレタンメタクリレートが好ましい。これら化合物は、耐熱性の調整、成形性の改善の目的で配合される。
導電性充填材以外のその他の充填剤としては、無機系充填材、有機系充填材が使用可能である。例えば、ガラス粉末、シリカ、炭化珪素等の無機系充填材、ポリテトラフルオロエチレン粉末、メラミン樹脂粉末等の有機系充填材が挙げられる。これらの充填剤を成形条件、各種用途に応じて適宜選択し、使用することができる。
着色剤としては、各種無機顔料、有機顔料等を使用することができる。例えば、チタンホワイト、カーボンブラック等無機顔料類やフタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ペリレン系等有機顔料類が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物は、上記配合成分を、ニーダー、攪拌機、ミキサー等により混練することにより得ることができる。その混練は、常圧下で行っても減圧下で行ってもよい。また成形性や混合物の取り扱い性を向上させるために混練物をシート状、ブロック状又は粒子状にすることができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、上記調製を行った後、室温又は60℃以下の加温雰囲気下で増粘させる。増粘時間は、樹脂組成、温度条件にもよるが、5〜100時間程度である。本発明の導電性樹脂組成物は、前記増粘工程が終了した後も、長期に渡り良好な成形性と取り扱い性を有する。これは、不飽和樹脂(B)及び不飽和単量体(C)の水酸基価が高度に制御されているためである。
本発明の導電性樹脂組成物を調製し、増粘した後に、金型等を用いて、圧縮成形、射出成形等の成形法により成形を行うことにより成形品を得ることができる。この際の成形温度は、使用している硬化剤の最適温度帯に合わせるのが好ましい。この成形温度は、一般的には、100〜200℃程度である。また成形圧力としては、使用される金型、成形品の形状、用途に応じて最適な圧力に調整する。この場合の圧力は、一般的には、5〜20MPa程度である。必要により、成形後さらに硬化を促進させたり、矯正したりする目的で、加熱雰囲気下で後硬化(アフターキュア)をさせることができる。
本発明の燃料電池用のセパレータは、所望のセパレータ形状の金型等を用いて圧縮成形、トランスファー成形、射出成形等の成形法により成形を行うことにより簡便に得ることができる。この際の成形温度は適宜選択できるが、生産性を考慮すると、通常、140〜190℃の範囲が好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物を硬化させて得られる成形品の耐熱性は、熱変形温度により評価することができる。
熱変形温度の測定方法は、JIS−K−7207又は、ISO−75のエッジワイズ法に準拠した方法で行うものである。ここでの熱変形温度は、荷重181.3N/cmで行われた数値を意味する。得られた熱変形温度は、200℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは250℃以上である。成形品を燃料電池用セパレータとして用いる場合には、耐熱性が十分高い方が装着後に熱変形したりする可能性が低いので好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータは、発電時の作動温度が200℃以下である燃料電池に用いるのが好ましい。
本発明の燃料電池用セパレータは、ヒドラジン型、直接メタノール型、アルカリ型、固体高分子型、リン酸塩型等種々の形式の燃料電池のセパレータとして使用することができる。中でも固体高分子型燃料電池に好適である。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。以下において、部および%は、特に断りのない限り、全て重量基準であるものとする。
本発明で用いた測定方法及び評価基準について以下に述べる。
[導電性樹脂組成物の取り扱い性の評価]
後記実施例で得られた導電性樹脂組成物を保管用フィルムから取り出す時の、フイルムからの剥離性及び該樹脂組成物表面のべたつきの程度を目視により観察した。その結果を2段階に分類した。
良好:フイルムからの剥離性が悪く、樹脂組成物表面のべたつきが大きい。
不良:フイルムからの剥離性が良く、樹脂組成物表面のべたつきもない。
[導電性樹脂組成物の成形時の流れ性の評価]
後記実施例で得られた導電性樹脂組成物を50tのトランスファー成形機を使用し、圧力150kgf/cm(ゲージ圧)、ピストン速度1mm/秒、温度150℃で成形した。成形品の断面は、7×2mmであった。その時の硬化物のスパイラルフロー長を測定し、その結果を4段階に分類した。
1:0cm以上、20cm未満。
2:20cm以上、40cm未満。
3:40cm以上、80cm未満。
4:80cm以上。
良好な金型充填性と緻密で空隙のない成形品を得るためには、上記3の40cm以上、80cm未満であることが好ましい。上記1の20cm未満では充填性が不良であり、また上記4の80cm以上では緻密な成形品を得られない場合がある。
[成形品の外観評価]
後記実施例で得られた燃料電池用セパレータをそのまま試験片とし、この試験片について、充填性、反り、割れ、膨れ、内部状態の目視観察を行った。充填性については、端部まで均一に充填されている場合には、「良好」とし、未充填であったり、厚みが不均一である場合には「不良」とした。反り、割れ、膨れについては、試験片に全く発生が認められないものを「なし」とし、少しでも発生が認められるものを「あり」とした。内部状態については、試験片の断面を目視観察し、緻密な状態のものを「良好」とし、空所が多く発生しているものを「ボイド多」とした。
[成形品の導電性の測定]
後記実施例で得られた平板状成形品から、幅1cm、厚み3mm、長さ10cmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS C―2525に従い、体積抵抗率を測定した。
[成形品の曲げ強さの測定]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とし、JIS K−6911に従い曲げ強さを測定した。なお測定時の雰囲気は、25℃であった。なお試験片は、幅2.5cm、厚み3mm、長さ7cmになるように加工した。
[成形品の熱変形温度の測定]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とし、JIS K−7207のA法に従い、熱変形温度を測定した。その時の荷重条件は、181.3N/cmである。
[成形品の耐熱水性の評価(促進試験法)]
後記実施例で得られた平板状成形品を指定サイズに切り出し、これを試験片とした。1.5Lの圧力容器(SUS316L製圧力容器、TEM−D1000型、耐圧硝子工業製)に試験片30本(体積約0.15L)と、イオン交換水0.85Lを仕込み、密閉する。この容器を50℃の恒温油槽に設置し、約2時間で内温が150℃となるように油槽を昇温した。その後、150±1℃の範囲で内温を保持しながら、240時間浸漬する。所定時間終了後に、油槽より容器を取り出し、室温にて約12時間放冷、圧力開放した後、試験片を取り出した。回収された試験片は、室温にて約48時間風乾した後、JIS K−6911に従い、曲げ強さを測定した。浸漬する前の強度に対する保持率(%)を算出し、四段階で評価した。なお測定時の雰囲気は、25℃である。
1:0%以上、50%未満。
2:50%以上、80%未満
3:80%以上、90%未満
4:90%以上、110%以下
《合成例1》 (不飽和樹脂(B)の調製)
窒素および空気導入管を設けた1Lの4つ口フラスコに、エピクロンHP−7200[ジシクロペンタジエンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量260、大日本インキ化学工業(株)製]を520g、メタクリル酸86g、メタクリル酸無水物[レーム社(独)製]142g、t−ブチルハイドロキノン0.38gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.5gを入れ、110℃に昇温して9時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを樹脂B−1とする。樹脂B−1の水酸基価は80、二重結合当量は263であった。
《合成例2》 (不飽和樹脂(B)の調製)
合成例1と同様の1Lの4つ口フラスコに、NC−3000(ビフェニル基含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量274、日本化薬製)を548g、メタクリル酸79g、メタクリル酸無水物[レーム社(独)製]154g、t−ブチルハイドロキノン0.39gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.5gを入れ、110℃に昇温して8時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを樹脂B−2とする。樹脂B−2の水酸基価は71、二重結合当量は268であった。
《合成例3》 (不飽和樹脂(B)の調製)
合成例1と同様の1Lの4つ口フラスコに、NC−3000を548g、メタクリル酸45g、メタクリル酸無水物[レーム社(独)製]216g、t−ブチルハイドロキノン0.4gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.6gを入れ、110℃に昇温して8時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、不飽和樹脂を得た。以下これを樹脂B−3とする。樹脂B−3の水酸基価は40、二重結合当量は245であった。
《比較合成例1》 ビスフェノール型ビニルエステル樹脂の調製
合成例1と同様の1Lの4つ口フラスコに、エピクロン850[ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量189、大日本インキ化学工業(株)製]を567g、メタクリル酸250g、t−ブチルハイドロキノン0.25gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.6gを入れ、110℃に昇温して8時間反応させると、酸価が3以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、ビニルエステル樹脂を得た。以下これを樹脂V−1とする。この樹脂V−1の水酸基価は198、二重結合当量は281であった。
《比較合成例2》 ノボラック型ビニルエステル樹脂の調製
合成例1と同様の4つ口フラスコに、エピクロンHP−7200[ジシクロペンタジエンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量260、大日本インキ化学工業(株)製]を520g、メタクリル酸167g、t−ブチルハイドロキノン0.29gを仕込み、窒素と空気とを1対1で混合したガス流通下で、90℃まで昇温した。ここにトリスジメチルアミノフェノール1.5gを入れ、110℃に昇温して10時間反応させると、酸価が5以下になったので、反応を終了した。80℃付近まで冷却した後、反応容器より取り出し、ビニルエステル樹脂を得た。以下これを樹脂V−2とする。樹脂V−2の水酸基価は160、二重結合当量は354であった。
上記合成例1から合成例3で得られた樹脂以外で、後記実施例で使用した成分を以下に挙げる。
DVB−810[ジビニルベンゼン、純度:81%、新日鐵化学製):以下これを不飽和単量体C−1とする。
ISONATE143LJ[ジフェニルメタンジイソシアネートの変性液状化合物、NCO29%、ダウポリウレタン日本製]:以下これを増粘剤D−1とする。
ディックスチレンCR−2500[ポリスチレン樹脂、分子量20万、大日本インキ化学工業(株)製]:以下これを低収縮化剤−1とする。
BIC−75[有機過酸化物、10時間半減期が97℃、化薬アクゾ製]:以下これを硬化剤−1とする。
p−ベンゾキノン(イーストマンケミカル製):以下これを禁止剤−1とする。
カルナバロウ(加藤洋行製):以下これを離型剤−1とする。
RS−900[ポリスチレンとポリエチレンオキサイドとのグラフト共重合体を含有、大日本インキ化学工業(株)製]:以下これを相溶化剤−1とする。
K−100[合成グラファイト、平均粒子径が300ミクロン、Applied Carbon Technology社製]:以下これを充填剤A−1とする。
《実施例1〜4》 導電性樹脂組成物及び成形品の調製
合成例1〜3で調製した樹脂B−1、B−2及びB−3と、C−1、D−1などの上記の配合成分を用いて、表−1に示す配合割合で室温下混合し導電性樹脂組成物を調製した。次いで、この導電性樹脂組成物をスチレンモノマー不透過性の多層フイルム(保管用フィルム)で厳重に包装した。この導電性樹脂組成物を30℃にて2日間増粘した後、室温にて静置、保管した。調製してから3日経過した後に、燃料電池用セパレータ形状金型および平面板金型に均一に充填し、圧縮成形機で、圧力150kgf/cm2(ゲージ圧力)、上型150℃、下型145℃、成形時間10分の条件で成形し、幅13cm、長さ20cm、厚み3mm、の燃料電池用セパレータ及び平面板成形品を製造した。この時の樹脂組成物の取り扱い性の評価行った。燃料電池用セパレータについては、外観の評価を行い、平板状成形品については、導電性及び曲げ強度、熱変形温度、耐熱水性の評価を行った。評価結果を表−3に示す。
また、スパイラルフローは、調製してから3日経過した後、及び15日経過した後に測定した。その評価結果も併せて表−3に示す。
《比較例1〜3》
実施例1〜4において使用した不飽和樹脂(B)の代わりに比較合成例1〜2で調製したビニルエステル樹脂V−1、V−2を用いて、実施例と同様にして導電性樹脂組成物及び成形品を得た。この場合、樹脂組成物中の導電性充填剤の添加量を同じするために、樹脂成分全体の配合量を調整した。その配合を表−2に示す。この評価結果を表−4に示す。
Figure 2005082745
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Figure 2005082745
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表−3に記載の結果から明らかなように、実施例1〜4は、成形性が良好で、高品質な成形品が得られ、さらに高い耐熱性、耐熱水性を有する。よって燃料電池用セパレータ材として好適な材料が、提供可能である。一方、表−4に記載の結果から明らかなように、比較例1〜3は、成形性が不良、または得られた成形品は大きな欠陥を有しており、実用性が低かった。また耐熱水性が低い傾向にあった。


Claims (12)

  1. 導電性充填剤(A)とエポキシ樹脂(b1)と、(メタ)アクリル酸無水物、又は(メタ)アクリル酸無水物及び(メタ)アクリル酸(b2)とを反応させて得られる分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂(B)と分子中にエチレン性不飽和二重結合を有する単量体(C)と増粘剤(D)とを含有してなる導電性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(B)の水酸基価が30〜130である請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂(b1)が、エポキシ当量200以上である請求項1又は2記載の導電性樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(b1)が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  5. 前記増粘剤(D)が、ポリイソシアネート化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記導電性充填剤(A)の含有量が、60〜95重量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  7. 前記樹脂(B)の二重結合当量が、190〜500である請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  8. 前記単量体(C)が、芳香族ビニル単量体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  9. ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数に対する、樹脂(B)全体の水酸基のモル数と不飽和単量体全体の水酸基のモル数との総モル数との比が、1.0/0.5〜1.0/1.5である請求項5〜8のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  10. さらに低収縮化剤を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物。
  11. 前記導電性樹脂組成物を硬化させて得られる成形品の熱変形温度が、200℃以上である請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性樹脂組成物を成形してなる燃料電池用セパレータ。

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