JP4684307B2 - ケーブルの自動切り出し方法および自動切り出し装置 - Google Patents

ケーブルの自動切り出し方法および自動切り出し装置 Download PDF

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Description

本発明は、ケーブルの自動切り出し方法および自動切り出し装置に関し、より詳細には、略長手方向に整列したケーブルの束から1本のケーブルを自動的に切り出すことが可能なケーブルの自動切り出し方法および自動切り出し装置に関する。
従来から、離隔した装置あるいは部品同士の間で力或いは動きを伝達するために、いわゆるケーブルが用いられている。
このケーブルは、中空部が長手方向に延びる柔軟な外側チューブと、この中空部に挿入され、長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に中空部内で回転自在な可撓性を有する芯線とを有し、この芯線の各端部には、装置あるいは部品に接続する、力或いは動きを伝達するための金属製接続端子面が設けられている。
このようなケーブルを活用した場合を、アクティブヘッドレストを例にさらに説明する。アクティブヘッドレストは、自動車のバックシートに装着され、追突された際の頸部への衝撃を緩和する安全装置であり、座位姿勢の搭乗者の頸部を保護するために、後方からの腰部への衝撃に応答してヘッドレストを前方に倒す動きを実現するために、このようなケーブルを利用して、腰部への衝撃と、ヘッドレストの前方への動きとを連動させるようにしている。そのため、芯線の一方の接続用端子面は、ヘッドレストに接続させるための専用とされ、他方の接続用端子面は、腰部の衝撃作用部に接続させるための専用とされることから、アクティブヘッドレスト用のケーブルは、ケーブルの長手方向に前後の区別があり、また両接続用端子面の面の向きに応じて表裏の区別もある。
従来、このようなアクティブヘッドレストへのケーブルの組み付け作業を行うのに、ケーブルの自動供給機を用いて、組み付け作業場へ供給していた。しかしながら、このようなケーブルの自動供給機へのケーブルの投入は、従来、人手による作業を余儀なくされ、その結果、アクティブヘッドレストの生産効率を低下させていた。
より詳細には、自動供給機へのケーブルの投入に際し、前後及び表裏により決められる一定の姿勢あるいは向きにケーブルを拘束した状態で投入する必要がある。しかしながら、上述のような構造を有するケーブルは、全体として柔軟な構造体であり、しかも芯線は、外側チューブに対して長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在であることから、接続端子面の向きあるいは姿勢を拘束した状態とすることは困難である。
そのため、従来は、ケーブル整列用の専用トレーを用いることにより、複数のケーブルをそれぞれ一定の姿勢を保持した状態で、自動供給機に供給していた。このケーブル整列用の専用トレーは、発砲スチロール製で、所望の姿勢のケーブルの外形に合わせて、ケーブルの全長に及ぶ長さの長溝が切ってあり、このような長溝が互いに平行に複数設けられている。
このとき、オペレータは、束となって積まれた多数のケーブルの山から1本ずつケーブルを切り出したうえで、ケーブルごとに長溝に差し込むことにより、ケーブルは姿勢が拘束され、すべての溝にケーブルを装てんしてから、自動供給機に供給していた。
しかしながら、このような人手による作業は、第1に、各ケーブルごとに人手で長溝に装てんする必要があり、第2に、複数の長溝すべてにケーブルを装てんし終わってから自動供給機に供給するバッチ処理である、以上の点において、ケーブルを組み付けて生産するアクティブヘッドレストのような装置の生産効率に悪影響を及ぼしていた。
この点において、束となって積まれた多数のケーブルの山から、人手によらずに、自動的に1本のケーブルを切り出し、ケーブルごとに供給することができる技術の開発が要望されている。
以上の技術的問題に鑑み、本発明の目的は、外側チューブに対して長手方向に移動自在であり、かつ長手方向を中心に回転自在な芯線を備えたケーブルの自動切り出し方法及び自動切り出し装置を提供することにある。
上記課題を達成するために、本発明のケーブルの自動切り出し方法は、
中空部を有する外側チューブと、各端に金属製接続用端子面を備え、該中空部内で長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在な金属製芯線とを有するケーブルの束からケーブルを切り出す自動切り出し方法であって、
略長手方向に整列して積まれた多数のケーブルの束に対して、上方から磁石を近づけることにより、複数のケーブルを長手方向に整列し、かつ上下方向に密着整列した状態で、持ち上げる段階と、
持ち上げられた複数のケーブルのうち、最上部レベルのケーブルとその下方のケーブルとの密着状態を切り離すことにより、下方のケーブルを強制的に落下させる段階と、
を有する、構成としている。
以上の構成を有するケーブルの自動切り出し方法によれば、いったん複数のケーブルを磁石により吸着させることにより持ち上げ、その際、複数のケーブルそれぞれを磁石に直接吸着させずに、複数のケーブルを長手方向に整列し、かつ上下方向に密着整列した状態とすることにより、最上部レベルのケーブルのみ磁石に直接吸着させ、それより下方のケーブルは、その上のケーブルを介して間接的に磁石に吸着させる。この状態で磁石により直接吸着された最上部レベルのケーブルと、上方に隣り合うケーブルを通じて磁石に間接的に吸着されたケーブルとの間の密着状態を切り離すことにより、磁石により最上部レベルのケーブルのみ保持し、それ以外のケーブルを強制的に落下させることが可能であり、多数のケーブルの束から1本のケーブルを自動的に切り出すことが可能となる。
また、前記ケーブルの持ち上げ段階は、単一の磁石によりケーブルの長手方向ほぼ中央を吸着することにより行うのがよい。
さらに、前記密着状態の切り離し段階は、磁石により直接吸着された最上部レベルのケーブルと、自身より上方のケーブルを介して間接的に磁石により吸着された、最上部レベルのケーブルより下方のケーブルとの間に横向きに力を及ぼすことにより、密着状態を切り離すのがよい。
上記課題を達成するために、本発明のケーブルの自動切り出し装置は、
中空部を有する外側チューブと、各端に金属製接続用端子面を備え、該中空部内で長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在な金属製芯線とを有するケーブルの束からケーブルを切り出す自動切り出し装置であって、
略水平に向けられた吸着面を有する磁石と、
ケーブルの束から複数のケーブルを吸着するケーブル吸着レベルと、複数のケーブルから1本のケーブルを切り出す切り出しレベルとの間で該磁石を上下方向に移動させるための磁石移動手段と、
前記切り出しレベルに固定されたケーブルガイドであって、上下方向に延び、下方に向けて開口する案内溝を備えたケーブルガイドと、
前記磁石移動手段によってケーブル吸着レベルに移動した磁石により吸着されながら、前記案内溝によって案内され、上下方向に密着整列した状態で持ち上げられた複数のケーブルのうち、最上部のケーブルとその下方のケーブルとを強制的に切り離す密着解除手段とを有し、
それにより、切り出しレベルにおいて、最上部のケーブルのみを保持する、構成としている。
以上の構成を有する本発明のケーブルの自動切り出し装置によれば、ほぼ長手方向に整列した状態で積まれたケーブルの束から1本のケーブルを自動的に切り出すことが可能である。より詳細には、このようなケーブルの束から磁石を用いて1本のケーブルのみを吸着して持ち上げようとすると、1本のケーブルのみを吸着するに足る磁力の設定が微妙であり、技術的に困難であるところ、いったん複数のケーブルを磁石に吸着させて持ち上げ、その際、ケーブルガイドを用いて、複数のケーブルを下方に開口した案内溝に案内しながら持ち上げることにより、複数のケーブルが長手方向に整列し、かつ上下方向に密着整列した状態となる。この状態で、密着解除手段により、最上部レベルのケーブルと、その下方のケーブルとを強制的に切り離すことにより、自身より上部のレベルのケーブルと密着することにより磁石に間接的に吸着されていた最上部レベルのケーブルより下方のレベルのケーブルは落下し、磁石に直接的に吸着されている最上部のケーブルのみが切り出される。
また、前記案内溝は、ケーブルの長手方向に前記磁石に関して対称に配置された一対の案内溝を有するのがよい。
さらに、前記密着解除手段は、尖端を有する切り出しブロックからなり、この尖端が、最上部レベルのケーブルとそれより下方のケーブルとの境に差し込まれるように位置決めされているのがよい。
さらにまた、前記切り出しブロックをケーブルの送り出し方向に移動させるための送り出し方向移動手段をさらに有し、
前記切り出しブロックは、前記磁石に対してケーブルの送り出し方向下流側に配置され、
前記送り出し方向移動手段により、前記切り出しブロックをケーブルを吸着した磁石に向かって移動させるのがよい。
加えて、前記磁石を挟んでケーブルの長手方向にそれぞれ近接スイッチがさらに設けられ、それにより、前記磁石により吸着された複数本のケーブルが長手方向に整列した状態であるかを検出するのがよい。
アクティブヘッドレストに用いられるケーブルを例に、本発明に係るケーブルの自動切り出し装置を含む、ケーブルを自動的に送り出すケーブル送り出し装置について、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、アクティブヘッドレストに用いられるケーブルの概略図である。図2は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置の全体構成を示す図である。図3は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置の概略平面図である。図4は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部を示す正面図である。図5は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの投入部において、ケーブルが磁石により吸着される状態を示す概略側面図である。図6は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの投入部において、ケーブルCが移し替えられる状態を示す概略側面図である。図7は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが磁石により吸着される状態を示す概略側面図である。図8は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが切り出される直前の状態を示す概略側面図である。図9は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが切り出される状態を示す概略側面図である。図10は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢出し部において、切り出されたケーブルが受け台に向かって下方に移動される状態を示す概略側面図である。図11は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢出し部にケーブルが送られる状態を示す概略側面図である。図12は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢保持部における作用を示す概略部分側面図である。図13は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢検出部における処理手順を示す概略フローである。図14は、本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの送り出し部において、ケーブルが送られる状態を示す概略側面図である。
図1に示すように、アクティブヘッドレストに用いられるケーブルCは、中空部を有する外側チューブ12と、各端に金属製接続用端子面14A,Bを備え、中空部内で長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在な可撓性を有する金属製芯線16とを有する。金属製接続用端子面14A,Bおよび金属製芯線16はいずれも、後に説明する磁石により吸着可能な磁性を有する金属からなる。また、金属製接続用端子面14A,Bはいずれも、ケーブルCの長手方向に関して対称な形状を有し、内部に端子面とほぼ同心状の開口部を有する。
なお、一方の金属製接続用端子面14の向きと、他方の金属製接続用端子面14の向きとは、アクティブヘッドレストへの装着の観点から、長手方向を中心に90°オフセットした状態とされている。
図2に示すように、本発明に係るケーブルCの自動供給装置(図示せず)へのケーブルCの自動送り出し装置10は、ケーブルCの投入部18と、ケーブルCの自動切り出し部20と、ケーブルCの自動姿勢出し部22と、ケーブルCの送り出し部24とから概略構成され、さらにケーブルCの自動姿勢出し部22は、ケーブルCの姿勢保持部26と、ケーブルCの姿勢検出部28と、ケーブルCの姿勢補正部30とから概略構成され、ケーブルCの送り出し方向上流側から下流側に向かってこの順に配置され、ケーブルCの送り出し部24からケーブルCの自動供給装置へ送り出されるように構成している。
図3および図4に示すように、ケーブルCの自動送り出し装置10は、天井21と床面19とを有するフレーム内に配置され、後に説明するように、ケーブルCを送り出し方向上流側から下流側に向かって移動させたり、上下方向に移動させたりするケーブルの移動手段は、天井21から設けられ、一方、ケーブルCは、床面19上で姿勢出し、姿勢保持、あるいは姿勢補正が行われるようにしている。
図3ないし図5に示すように、ケーブルCの投入部18は、自動送り出し装置10の下流側に向かって下方に傾斜するトレイ32と、トレイ32内に投入された複数本のケーブルCを吸着する第1磁石34と、この第1磁石34をトレイ32内のケーブルCを吸着する吸着レベルと、吸着したケーブルCを切り離す切り離しレベルとの間で上下方向に移動させる第1磁石上下方向移動手段36と、第1磁石上下方向移動手段36、かくして第1磁石34を自動送り出し装置10の送り出し方向に移動させる第1磁石送り出し方向移動手段38と、第1磁石34により吸着されたケーブルCを第1磁石34から切り離すための切り離し手段40とを有する。
第1磁石34は、永久磁石からなり、ケーブルCを吸着するための吸着面を有し、その磁力及び吸着面の大きさは、一度に何本のケーブルCを吸着させるかの観点から選択すればよい。
トレイ32は、底面の一方の端部にピストンーシリンダ機構42が付設され、底面を所望の傾斜角度に調整できるようにしている。トレイ32には、仕切り44が設けられ、手前部32Aと奥部32Bとに分けられ、オペレータにより手前部32Aに投入された複数本のケーブルCを第1磁石34によりたとえば3本吸着しながら持ち上げ、奥部32Bに移し替えるようにしている。
第1磁石上下方向移動手段36および第1磁石送り出し方向移動手段38はいずれも、従来既知の通常のピストンーシリンダ機構からなる。
切り離し手段40は、送り出し方向遅れ側に尖端が向けられた固定ブロックであり、所定数のケーブルCを吸着した第1磁石34を第1磁石送り出し方向移動手段38によって固定ブロックに向かって移動させることにより、固定ブロックの尖端が第1磁石34の吸着面付近に差し込まれ、ケーブルCを第1磁石34から切り離し、トレイ32の奥部32Bに落下させるようにしている。
図3ないし図5に示すように、ケーブルCの自動切り出し部20は、ケーブルCの長手方向ほぼ中央に配置された第2磁石46と、第2磁石46をケーブル吸着レベルとケーブル切り出しレベルとの間で上下方向に移動させる第2磁石上下方向移動手段48と、第2磁石46を送り出し方向に移動させる第2磁石送り出し方向移動手段49と、第2磁石46に関してケーブルCの長手方向に対称に配置された一対のガイド50と、それぞれ対応するガイド50からさらに外側に、磁石に関してケーブルCの長手方向に対称に配置された一対の近接スイッチ52と、第2磁石46により吸着されたケーブルCを切り出す切り出しブロック54とを有する。第2磁石46は、永久磁石からなり、ケーブルCを吸着するための吸着面を有し、その磁力及び吸着面の大きさは、1本のケーブルCを切り出す際、いったん複数本、たとえば3本のケーブルCを吸着させるようにしているが、その観点から選択すればよい。
一対のガイド50はそれぞれ、下方に開口し、ほぼ鉛直方向に延びる案内溝56を有し(図5参照)、この案内溝56の上端は、第2磁石46のケーブル吸着レベルに位置決めされている。案内溝56の幅Wは、1本のケーブルCずつ案内するに足る大きさであり、案内溝56の上下方向長さLは、案内溝56の中に複数本のケーブルCを長手方向に整列し、かつ上下方向に密着整列した状態とするに十分な長さである。近接スイッチ52は、第2磁石46により吸着レベルにおいて所定数(この場合3本)のケーブルCが吸着されているかを検出する。切り出しブロック54は、ケーブルCの送り出し方向に尖端が向けられた可動ブロックであり、所定レベルに設けられ、既知のピストンーシリンダ機構(図示せず)により、可動ブロックを第2磁石46により案内溝56に沿って上下方向に密着整列した状態で吸着された3本のケーブルCに向かって水平に移動させることにより、可動ブロックの尖端が最上部のケーブルCとその下方のケーブルCとの境目のレベルに差し込まれて、下方のケーブルCを最上部のケーブルCから切り離し、強制的に落下させるようにしている。
図3及び図4に示すように、ケーブルCの姿勢出し部22は、第3磁石58と、第3磁石58を上下方向に移動させる第3磁石上下方向移動手段60と、一対のケーブルCの受け台62と、ケーブルCの一方の接続端子面14を撮影する判別用カメラ64と、受け台62に載置されたケーブルCの長手方向の位置を調整するための長手方向位置調整手段66とを有する。
第3磁石58は、永久磁石からなり、ほぼ水平な吸着面を有し、その磁力は、第3磁石58を第3磁石上下方向移動手段60により下方からケーブルCの接続用端子面14に近づけたときに、接続用端子面14をケーブルCの長手方向を中心として回転させることが可能な程度の大きさを必要とする。第3磁石58は、一対のケーブルCの受け台62の間に設置され、ケーブルCの長手方向ほぼ中央を吸着することが可能なように位置決めされている。
第3磁石上下方向移動手段60および長手方向位置調整手段66はいずれも、従来既知の通常のピストンーシリンダ機構からなる。
判別用カメラ64は、後に説明するように一定の姿勢に保持されたケーブルCの一方の接続用端子面14を撮影し、撮影したケーブルCの色と形状とに基づいて、ケーブルCの姿勢を検出するようにしている。この判別用カメラ64は、従来既知のものでよく、たとえばスマートセンサ52ZFV-SC10 (オムロン社製)を採用してもよい。判別用カメラ64は、図5に示すように、一対の受け台62に載置されたケーブルCの一方の接続用端子面14を撮影可能な高さに設置され、また長手方向位置調整手段66によって、芯線16を外側チューブ12に対して長手方向に押し出して、一方の接続用端子面14が常に一定の位置(図3において上下方向)に位置決めされるようにしており、この位置に対応させて、接続用端子面14の面を横方向から撮像する位置に判別用カメラ64を配置している。
図3に示すように、ケーブルCの姿勢補正部30は、反転機構67と、判別用カメラ64からの制御信号を受信して反転機構67を制御する制御部(図示せず)とを有する。反転機構67は、互いに平行に対向した一対の把持面68と、一対の把持面68を姿勢が保持されたケーブルCの長手方向に移動させるピストンーシリンダ機構70と、一対の把持面68を長手方向を中心に回転させる駆動機構(図示せず)とを有する。これにより、一対の把持面68によりケーブルCの一方の接続用端子面14を把持した状態で、さらに一対の把持面68がケーブルCの長手方向に180度回転し、それによりケーブルCの表裏を反転させるようにしている。より詳細には、一対の把持面68は、ほぼ鉛直方向に姿勢保持された接続用端子面14と平行とされ、一対の把持面68の間に接続用端子面14が挿入する位置となるように、反転機構67が配置されている。
図5および図14に示すように、ケーブルCの送り出し部24は、姿勢保持部26と送り出し部との間で送り出し方向に移動可能であり、かつ上下方向に移動可能なピックアップシリンダ71を有し、姿勢保持部26において姿勢が保持されたケーブルCをピックアップシリンダ71によりピックアップして、送り出し方向に移動して、姿勢検出部28に移動し、さらに姿勢検出部28において姿勢が検出されたケーブルCをピックアップして、姿勢補正部30に移動し、さらに姿勢補正部30において姿勢が補正されたケーブルCをピックアップして、送り出し部に移動させるようにしている。
以上の構成を有するケーブルCの送り出し装置10について、図面を参照しながら、以下にその作用を説明する。
まず、図5に示すように、オペレータがトレイ32の手前部32Aに前後方向をそろえた状態で十数本程度のケーブルCを入れる。トレイ32は、送り出し方向に向かって下方に傾斜しているため、ケーブルCは、仕切り44の位置で束となった状態で積まれる。
次いで、トレイ32内のケーブルCの束に向かって、第1磁石上下方向移動手段36により、第1磁石34を吸着レベルまで下方に移動する。ケーブルCの束から複数本のケーブルCが第1磁石34に吸着され、この状態で第1磁石上下方向移動手段36により、第1磁石34を上方に切り離しレベルまで移動することにより、数本のケーブルCが持ち上げられる。
次いで、図6に示すように、第1磁石送り出し方向移動手段38により、切り離しレベルにある第1磁石34を送り出し方向に切り離し手段40に向かって移動する。切り離し手段40の尖端部が第1磁石34の吸着面近傍に差し込まれ、第1磁石34に吸着されていた数本のケーブルCは、切り離され、トレイ32の奥部32B内に落下し、底面が送り出し方向に下方に傾斜しているため、トレイ32の先端部に落下したケーブルCが集まる。
これで、ケーブルCの投入部18における処理が終わる。
次いで、図7に示すように、トレイ32の先端部に集まっているケーブルCに向かって、第2磁石上下方向移動手段48により、第2磁石46を吸着レベルまで下方に移動する。
次いで、図8に示すように、3本のケーブルCが、第2磁石46により吸着されながら、ガイド50の案内溝56に導かれ、それにより3本のケーブルCは、長手方向には略整列した状態で、上下方向に互いに密着整列した状態となる。すなわち、最上部レベルのケーブルCは、第2磁石46により直接吸着され、それより下方のケーブルCは、自身より上方のケーブルCを介して間接的に第2磁石46に吸着された状態となる。なお、3本のケーブルCが案内溝56に導かれた状態は、変形例の図15にも明瞭に示されている。
次いで、図9に示すように、切り出しブロック54を送り出し方向に、第2磁石46及びガイド50に向かって水平方向に移動させることにより、尖端部は、3本のケーブルCのうち、最上部レベルのケーブルCと、それより下方の2本のケーブルCとの間に差し込まれ、それにより、最上部レベルのケーブルCと、それより下方の2本のケーブルCとに押し離し力が作用することにより、強制的に切り離され、下方の2本のケーブルCは磁石の磁力による吸着効果を失い、下方にトレイ32の奥部32B内に落下する。これにより、依然として吸着された状態の最上部のケーブルC1本のみが切り出される。
これで、ケーブルCの切り出し部20の処理が終わる。
このように、いったん複数本のケーブルCを磁石により吸着し、その後にそのうちの1本のケーブルCのみを吸着保持した状態として切り出すことにより、以下のような技術的利点がある。
第1に、多数のケーブルCの束に磁石を近づけた状態で、1本ずつ磁石により吸着することにより切り出すとすれば、その磁力あるいは吸着面の大きさの調整は微妙で困難であり、切り出しの信頼性あるいは安定性に欠けるところ、上記方法によれば、確実に1本のケーブルCを切り出すことが可能である。
第2に、多数のケーブルCが束となっている状態では、異なるケーブルC同士の接続用端子面14が絡み合い、磁石により1本のケーブルCだけを独立に吸着させることが困難であるため、吸着の際は、複数本のケーブルCを吸着させ、持ち上げとともに案内ガイド50により、長手方向及び上下方向に整列した状態とするのが有利である。
次いで、図10に示すように、第2磁石送り出し方向移動手段49により、1本のケーブルCを吸着した状態の第2磁石46を受け台62の真上の位置まで移動させる。
次いで、第2磁石上下方向移動手段48により、第2磁石46を受け台62まで下方に移動する。受け台62に載置されたケーブルCは、受け台62に付設されたチャック機構(図示せず)によりチャックされ、ケーブルCが切り離された第2磁石46は、次のケーブルCを切り出すために、第2磁石上下方向移動手段48及び第2磁石送り出し方向移動手段49により、元のトレイ32の奥部32Bの位置まで戻される。
次いで、長手方向位置調整手段66により、受け台62に載置されたケーブルCに対してその芯線16を外側チューブ12に対して長手方向に移動させる。より詳細には、一方の接続用端子面14Aが外側チューブ12の端部に当たるまで、他方の接続用端子面14Bを外側チューブ12から離れる向きに移動させる。これにより、他方の接続用端子面14Bは受け台62で載置された状態において、常に同じ位置に位置決めされ、後の姿勢検出部28において、判別用カメラ64によりケーブルCの姿勢を検出することが可能となる。
次いで、図11に示すように、位置決めされたケーブルCの他方の接続用端子面14Bに向かって、下方真下から第3磁石58を近づける。その際、他方の接続用端子面14Bが連結されている芯線16は、外側チューブ12に対してその長手方向を中心に回転自在であるから、他方の接続用端子面14Bの向きは、ケーブルCごとにまちまちである。(なお、たとえば図3においては、明瞭性の観点から、すべてのケーブルCが長手方向に整列した状態で示されている)。しかしながら、図12に示すように、たとえば、第3磁石58を近づける前は、他方の接続用端子面14Bが略水平方向を向いているとする(図12(A))。この状態で、第3磁石58を第3磁石上下方向移動手段48により、ケーブルCの真下から上方に移動して、他方の接続用端子面14Bに徐々に近づけると、他方の接続用端子面14BはケーブルCの長手方向を中心にして中空部内で回転し始め(図12(B))、最終的には、他方の接続用端子面14Bはほぼ鉛直方向を向き、この姿勢が第3磁石58の磁力により保持され、他方の接続用端子面14Bのわきに設置されている判別用カメラ64により他方の接続用端子面14Bを正面から撮影することが可能となる(図12(C))。
これで、ケーブルCの姿勢保持部26における処理が終わる。
次いで、判別用カメラ64により、このように姿勢が保持されたケーブルCの他方の接続用端面を撮影して、その姿勢を検出する。
より詳細には、図13に示すように、まず、ステップ1において、他方の接続用端子面14Bの形状に異常があるか否かを判定し、異常があると判定した場合には、送り出し装置10を停止して、この不良ケーブルCを除外する。次いで、異常がないと判定された場合には、ステップ2において、ケーブルCの前後方向が正常であるか否かを判別する。この場合、たとえば、他方の接続用端子面14BがケーブルCの前であるときには、その根元部に黄色のケーシングが付設されており、この色を判別することにより、ケーブルCの前後が正常であるか否かを判別する。正常でない場合には、送り出し装置10を停止して、このケーブルCを除外する。次いで、正常である場合には、ステップ3において、ケーブルCの表裏が正常であるか否かを判別する。ケーブルCの表裏が正常である場合には、そのままケーブルCは次工程のケーブルCの姿勢補正部30に送られ(ステップ5)、異常である場合には、異常検出信号をケーブルCの姿勢補正部30の反転機構67の制御部に送信したうえで(ステップ4)、ステップ5に進むようにしている。
これで、ケーブルCの姿勢検出部28における処理が終わる。
次いで、図14に示すように、ケーブルCの姿勢補正部30において、反転機構67によりケーブルCはチャックされた状態で、ケーブルCの長手方向を中心に180度回転され、それにより表裏が反転され、正常となる。より詳細には、異常検出信号を受信した制御部は、反転機構67に対して作動信号を送信し、作動信号を受信した反転機構67は、一対の把持面68がその間に鉛直に姿勢保持された接続用端子面14を挟んだ状態で、互いに近づくことにより、接続用端子面14を把持し、その状態で長手方向を中心に180度回転することにより、表裏を反転することが可能となる。
次いで、ケーブルCの送り出し部24において、表裏が正常とされたケーブルCは、自動供給機の投入位置(図示せず)へ搬送される。なお、この間のケーブルCの移動は、ピックアップシリンダ71により行う。
以上で、ケーブルCの自動供給機への一連の送り出しが完了する。このような工程を繰り返しながらケーブルCを1本ずつ連続的に自動供給機に自動的に送り出すことが可能となる。特に、投入部18、自動切り出し部20、および自動姿勢出し部22において、ケーブルを上下方向あるいは送り出し方向に移動させる手段は、いったんケーブルを次工程に引き渡したら、次のケーブルの処理のために、即座に元の位置に戻るようにしているため、処理部間の引き渡しのための待ち時間を極力短くした態様で、ケーブルCを1本ずつ送り出すことが可能である。
なお、変形例として、図15に示すように、仕切りにより手前側と奥側に二分したトレイ32の代わりに、切り出し用搬送コンベア80と、このコンベア80を駆動する駆動装置(図示せず)とを採用してもよい。このコンベア80は、その表面にコンベア80の搬送方向に直交する歯81が所定のピッチで付設され、隣り合う歯同士のスペースに1本ずつケーブルCを載置した状態で次工程のケーブルCの自動切り出し部20に搬送するようにするのがよい。

以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施例においては、アクティブヘッドレスト向けのケーブルCを例に説明したが、それに限定されることなく、ブレーキに用いられるケーブルC等にも適用可能である。
アクティブヘッドレストに用いられるケーブルの概略図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置の全体構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置の概略平面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの投入部において、ケーブルが磁石により吸着される状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの投入部において、ケーブルCが移し替えられる状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが磁石により吸着される状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが切り出される直前の状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部において、ケーブルが切り出される状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢出し部において、切り出されたケーブルが受け台に向かって下方に移動される状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢出し部にケーブルが送られる状態を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢保持部における作用を示す概略部分側面図である。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの姿勢検出部における処理手順を示す概略フローである。 本発明の実施形態に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの送り出し部において、ケーブルが送られる状態を示す概略側面図である。 本発明の変形例に係るケーブルの自動送り出し装置のケーブルの切り出し部の概略斜視図である。
符号の説明
C ケーブル
12 外側チューブ
14 接続用端子面
16 芯線
18 投入部
20 自動切り出し部
22 自動姿勢出し部
24 送り出し部
26 姿勢保持部
28 姿勢検出部
30 姿勢補正部
32 トレイ
44 仕切り
34 第1磁石
36 第1磁石上下方向移動手段
38 第1磁石送り出し方向移動手段
40 切り離し手段
42 第2磁石
48 第2磁石上下方向移動手段
49 第2磁石送り出し方向移動手段
50 ガイド
52 近接スイッチ
54 切り出しブロック
56 案内溝
58 第3磁石
62 受け台
64 判別用カメラ
66 長手方向位置調整手段
67 反転機構
68 把持面
71 ピックアップシリンダ
80 切り出し用コンベア
81 歯

Claims (8)

  1. 中空部を有する外側チューブと、各端に金属製接続用端子面を備え、該中空部内で長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在な金属製芯線とを有するケーブルの束からケーブルを切り出す自動切り出し方法であって、
    長手方向に整列して積まれた多数のケーブルの束に対して、上方から磁石を近づけることにより、複数のケーブルを長手方向に整列し、かつ最上部レベルのケーブルのみ磁石に直接吸着させた状態で、吸着された複数のケーブルを磁石に対応する位置に配置された一対のガイド各々の案内溝に導くことにより、上下方向に整列されるように複数のケーブルを持ち上げる段階と、
    持ち上げられた複数のケーブルのうち、最上部レベルのケーブルとその下方のケーブルとの密着状態を切り離すことにより、下方のケーブルを強制的に落下させる段階と、
    を有する、ことを特徴とする自動切り出し方法。
  2. 前記ケーブルの持ち上げ段階は、単一の磁石によりケーブルの長手方向中央を吸着することにより行う、請求項1に記載の自動切り出し方法。
  3. 前記密着状態の切り離し段階は、磁石により直接吸着された最上部レベルのケーブルと、自身より上方のケーブルを介して間接的に磁石により吸着された、最上部レベルのケーブルより下方のケーブルとの間に横向きに力を及ぼすことにより、密着状態を切り離す、請求項1に記載の自動切り出し方法。
  4. 中空部を有する外側チューブと、各端に金属製接続用端子面を備え、該中空部内で長手方向に移動自在で、かつ長手方向を中心に回転自在な金属製芯線とを有するケーブルの束からケーブルを切り出す自動切り出し装置であって、
    水平に向けられた吸着面を有する磁石と、
    ケーブルの束から複数のケーブルを吸着するケーブル吸着レベルと、複数のケーブルから1本のケーブルを切り出す切り出しレベルとの間で該磁石を上下方向に移動させるための磁石上下方向移動手段と、
    前記切り出しレベルに固定されたケーブルガイドであって、上下方向に延び、下方に向けて開口する案内溝を備えたケーブルガイドと、
    前記磁石移動手段によってケーブル吸着レベルに移動した磁石により吸着されながら、前記案内溝によって案内され、最上部レベルのケーブルのみ磁石に直接吸着させて上下方向に密着整列した状態で持ち上げられた複数のケーブルのうち、最上部のケーブルとその下方のケーブルとを強制的に切り離す密着解除手段とを有し、
    それにより、切り出しレベルにおいて、最上部のケーブルのみを保持する、ことを特徴とする自動切り出し装置。
  5. 前記案内溝は、ケーブルの長手方向に前記磁石に関して対称に配置された一対の案内溝を有する、請求項4に記載の自動切り出し装置。
  6. 前記密着解除手段は、尖端を有する切り出しブロックからなり、この尖端が、最上部レベルのケーブルとそれより下方のケーブルとの境に差し込まれるように位置決めされている、請求項4に記載の自動切り出し装置。
  7. 前記切り出しブロックをケーブルの送り出し方向に移動させるための送り出し方向移動手段をさらに有し、
    前記切り出しブロックは、前記磁石に対してケーブルの送り出し方向下流側に配置され、
    前記送り出し方向移動手段により、前記切り出しブロックをケーブルを吸着した磁石に向かって移動させる、請求項6に記載の自動切り出し装置。
  8. さらに、前記磁石を挟んでケーブルの長手方向にそれぞれ近接スイッチが設けられ、それにより、前記磁石により吸着された複数本のケーブルが長手方向に整列した状態であるかを検出する、請求項6に記載の自動切り出し装置。
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