JP4682711B2 - 印刷装置、及び端末装置の制御方法 - Google Patents

印刷装置、及び端末装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、受信したデータに基づいて印刷を行う印刷装置、当該印刷装置に前記データを送信して当該印刷装置を制御するホスト装置、前記印刷装置と前記ホスト装置とを含む印刷システム、当該印刷システムの一部又は全部を機能させるためのプログラム、及び当該印刷システムを構成する端末装置の制御方法に関するものである。
従来、上記した印刷装置に、用紙切れやカバーオープンや紙ジャムなどの要因が発生し、印刷が実行できない異常の状態となった場合、例えば、特許文献1に記載されているように、以下のような手順で印刷装置の異常状態からの復帰処理を行っている。
(1)印刷装置は、異常発生のステータスをホスト装置に送信し、予め指定されている処理モードに従い未印字データの処理を実行する。処理モードとしては、以下のモードが選択指定可能である。
(a)受信バッファおよびプリントバッファ内のデータを保持し、削除処理モードに移行せず、通常処理モードを継続する。
(b)受信バッファおよびプリントバッファ内のデータを破棄し、削除処理モードに移行する。
(2)印刷装置の状態監視を行っているホスト装置は、印刷装置からの異常発生ステータス取得により、データの送信を一時中止する。
(3)印刷装置は、異常要因が解除されたことを検出した後、異常解除のステータスをホスト装置に送信し、正常状態に復帰する。このとき、上記(a)のように受信バッファ内に未処理データがある場合には、当該未処理データの処理を実行する。
(4)ホスト装置は、印刷装置からの異常解除のステータスを受信して、選択指定した未印刷データの処理モードに対応する、未送信データの処理を実行する。上記(a)の処理モードを指定した場合には、(c)異常が復帰した後、既送信データの続きの未送信データから送信を再開する。上記(b)の処理モードを指定した場合には、(d)異常が復帰した後、未送信データを破棄し、既送信データの最初から、全データを再送信する。
特開2005−7762号公報
しかしながら、異常を発生させる要因は様々であり、要因によって適切な処理モードが異なるが、特許文献1に開示された装置又は方法においては、全要因に対して同一の処理モードを指定することから、全ての要因に対して、処理モードが必ずしも適切ではないという課題があった。
例えば、以下のような不適切な処理モードが選択されることに起因する課題があった。異常の要因が連続用紙の用紙切れの場合には、既印刷部分と新たな用紙とは分離されてしまうことから、新たな用紙に改めて既印刷部分の先頭から印刷することが好ましい。異常の要因がカバーオープンであって、カバーが閉じられるとそのまま正常状態に戻るような構造の印刷装置においては、既印刷部分に続けて未印刷データの印刷を実行することが好ましい。
上記(a)の処理モードが指定されており、異常の要因が連続用紙の用紙切れの場合には、新しい用紙がセットされて用紙切れが解除されると、ホスト装置からのデータ送信が再開され、既送信データの続きの「未送信データ」の送信が実行され、新しい用紙に、再開後送信された「未送信データ」に対応する印刷のみが実行される。印刷結果が用紙切れ前の用紙と新しい用紙とに分断されており、改めて最初から印刷することが必要である。従って、新しい用紙に実行された「未送信データ」に対応する印刷に要する時間、消費される用紙、及び消費される例えば印刷用インクなどの消耗品が、無駄に消費されるという課題があった。上記(b)の処理モードが指定されており、異常の要因が上記したカバーオープンである場合には、カバーが閉じられてカバーオープンが解除されると、ホスト装置からのデータ送信が再開され、「未送信データ」は破棄されて、「既送信データ」の最初から、全データが再送信され、「既送信データ」に対応して既に印刷されたものも含む、全データに対応する印刷が実行される。「既送信データ」に対応して既に印刷されたものに続けて「未送信データ」に対応する印刷が実行されることで全データに対応する印刷が実行できるにもかかわらず、全データに対応する印刷が実行されることで、「既送信データ」に対応して既に実行された印刷に要した時間、消費された用紙、及び消費された例えば印刷用インクなどの消耗品が、全て無駄になるという課題があった。
そこで、本願発明は、上記の問題点に鑑み、印刷装置の異常発生時において、異常の要因毎にそれぞれ個別に適切な処理モードが選択できる印刷装置、び端末装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明の印刷装置は、ホスト装置によって制御されて印刷を行う印刷装置であって、ホスト装置から送信されたデータに基づいて印刷を行う通常処理モードと、ホスト装置から送信されたデータを読み捨てる削除処理モードと、を有し、印刷装置は異常の発生を検出する異常検出手段と、異常の要因を判別する異常要因判別手段と、通常処理モードにおいて、異常検出手段によって異常が検出されたとき、当該異常の要因のそれぞれに対応して予め指定された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を選択する要因別処理モード決定手段と、要因別処理モード決定手段により決定した処理モードを実行する削除処理モード移行手段と、削除処理モードにおいて、ホスト装置からの印刷再開コマンドに従って、削除処理モードを終了し、通常処理モードに移行する通常処理モード移行手段と、前記ホスト装置から送信された前記データを格納する受信バッファと、前記データが前記印刷装置の印刷ヘッドに供給される形式に処理されたイメージデータを格納するプリントバッファと、を備え、前記削除処理モード移行手段は、前記削除処理モードを実行する場合、前記要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータの処理を実行し、前記破棄処理モードは、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄し、前記受信バッファ内の前記データを保持する第3破棄処理モードとを含み、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行の指定は、前記ホスト装置から受信した異常発生時モード選択コマンドにより指定され、当該異常発生時モード選択コマンドは、少なくとも、前記要因を指定する第1のパラメータと、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を含み、前記第1のパラメータは、前記要因の全てを指定する値を含むことを特徴とする。
この構成によれば、削除処理モード移行手段が、異常の要因のそれぞれに対応して予め指定された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を実行することで、個々の要因に対応した適切な処理モードを実行することができる。印刷装置の異常が検出されたとき、データを読み捨てる削除処理モードに移行することで、ホスト装置のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途上のデータが存在した場合でも、異常が解除されて印刷が再開されたときに、これらのデータに従って不必要な印刷が実行されることを回避することができる。また、印刷装置の異常が検出されたとき、通常処理モードを継続することで、異常が解除されて印刷が再開されたときに、異常が発生する前に実行された印刷に続く印刷を実行し、異常が発生する前後で連続した印刷結果を実現することができる。
この場合、印刷装置は、ホスト装置から送信されたデータを格納する受信バッファと、データが印刷装置の印刷ヘッドに供給される形式に処理されたイメージデータを格納するプリントバッファとを更に備え、削除処理モード移行手段は、要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、受信バッファ内のデータ及びプリントバッファ内のイメージデータの処理を実行することが好ましい。
この構成によれば、個々の要因に対応した適切な破棄処理モードで、受信バッファ内のデータ及びイメージデータの破棄処理を実行することができる。例えば、削除処理モードへの移行に伴い、データ及びイメージデータを破棄する破棄処理モードを実行することで、削除処理モードにおいて、受信バッファ内のデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。また、通常処理モードを継続するのに伴い、データ及びイメージデータを破棄しない破棄処理モードを実行することで、ホスト装置から印刷装置に送信されていたデータを維持することができる。
この場合、破棄処理モードは、削除処理モードへの移行に伴い、受信バッファ内のデータ及びプリントバッファ内のイメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、削除処理モードへの移行に伴い、受信バッファ内のデータ及びプリントバッファ内のイメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、削除処理モードへの移行に伴い、プリントバッファ内のイメージデータを破棄し、受信バッファ内のデータを保持する第3破棄処理モードと、を含むことが好ましい。
この構成によれば、データ及びイメージデータを破棄しない第1破棄処理モードを選択することで、ホスト装置から印刷装置に送信されていたデータを維持することができる。削除処理モードへの移行に伴い、データ及びイメージデータを破棄する第2破棄処理モードを選択することで、削除処理モードにおいて、受信バッファ内のデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。第3破棄処理モードを選択することで、受信バッファ内のデータを保持したまま、削除処理モードへ移行するため、ホスト装置のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途中のデータの中に印刷再開コマンドが含まれていた場合に、当該印刷再開コマンドによって通常処理モードに移行することができる。したがって、例えばページ毎に印刷再開コマンドが組み込まれたデータに基づいて印刷を行う場合は、異常発生頁の次の頁から印刷を再開することができる。
この場合、要因のそれぞれに対応する通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を予め指定する異常発生時モード選択コマンドは、少なくとも、要因を指定する第1のパラメータと、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を含み、第1のパラメータは、要因の全てを指定する値を含むことが好ましい。
この構成によれば、コマンドが、要因を指定する第1のパラメータと、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を有することで、各要因にそれぞれ対応させて、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を指定することができる。また、第1のパラメータが、要因の全てを指定する値を有することで、全ての要因において同一の処理をすることが適当である印刷装置に対する、ホスト装置におけるセットアップ時の処理を効率よく実行することができる。
この場合、印刷装置は、新たに受信した破棄処理モード選択コマンド又は処理モード選択コマンドで指定された設定値が、既に指定されて記憶装置に記憶されている設定値と同一の場合には、記憶装置に記憶されている設定値を保持し、記憶装置に記憶されている設定値の書替えを実行しないことが好ましい。
この構成によれば、指定された設定値が記憶されている設定値と同じ場合には書替えが実行されないことから、記憶装置への書き込み回数の増加を抑制することができる。記憶装置として、例えばフラッシュメモリのような書き込み回数に寿命がある装置を使用する場合に有効である。
本発明の端末装置の制御方法は、ホスト装置によって制御されて処理を行い、ホスト装
置から送信されたデータに基づいて処理を行う通常処理モードと、ホスト装置から送信されたデータを読み捨てる削除処理モードと、を有する端末装置の制御方法であって、端末
装置の異常を検出すると共に、異常の要因を判別する異常検出工程と、通常処理モードに
おいて、異常検出手段によって異常が検出されたとき、当該異常の要因のそれぞれに対応
して予め指定された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を実行する削
除処理モード移行工程と、ホスト装置からの処理再開コマンドに従って、削除処理モード
を終了し、通常処理モードに移行する通常処理モード移行工程と、
前記ホスト装置から送信された前記データは、受信バッファに格納され、前記データが前記処理装置の処理ヘッドに供給される形式に処理された処理形式データは、処理バッファに格納され、前記削除処理モード移行工程において、前記削除処理モードを実行する場合、前記要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、前記受信バッファ内の前記データ及び前記処理バッファ内の前記処理データの処理を実行する工程を、有し、
前記削除処理モード移行工程における前記破棄処理モードは、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記イメージデータを破棄し、前記受信バッファ内の前記データを保持する第3破棄処理モードと、を含み、
前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行の指定は、前記ホスト装置から受信した異常発生時モード選択コマンドにより指定され、当該異常発生時モード選択コマンドは、少なくとも、前記要因を指定する第1のパラメータと、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を含み、前記第1のパラメータは、前記要因の全てを指定する値を含むことを特徴とする。

この構成によれば、削除処理モード移行手段が、異常の要因のそれぞれに対応して予め指定された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を実行することで、個々の要因に対応した適切な処理モードを実行することができる。端末装置の異常が検出されたとき、データを読み捨てる削除処理モードに移行することで、ホスト装置のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途上のデータが存在した場合でも、異常が解除されて処理が再開されたときに、これらのデータに従って不必要な処理が実行されることを回避することができる。また、端末装置の異常が検出されたとき、通常処理モードを継続することで、異常が解除されて処理が再開されたときに、異常が発生する前に実行された処理に続く処理を実行し、異常が発生する前後で連続した処理結果を実現することができる。なお、「処理再開コマンド」とは、上記の印刷装置における「印刷再開コマンド」に相当するものである。
この場合、端末装置の制御方法は、ホスト装置から送信されたデータは、受信バッファに格納され、データが処理装置の処理ヘッドに供給される形式に処理された処理形式データは、処理バッファに格納され、削除処理モード移行工程において、要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、受信バッファ内のデータ及び処理バッファ内の処理データの処理を実行することが好ましい。
この構成によれば、個々の要因に対応した適切な破棄処理モードで、受信バッファ内のデータ及びイメージデータの破棄処理を実行することができる。削除処理モードへの移行に伴い、データ及びイメージデータを破棄することで、削除処理モードにおいて、受信バッファ内のデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。通常処理モードを継続するのに伴い、データ及びイメージデータの破棄を実行しないことで、ホスト装置から端末装置に既に送信されていたデータを維持することができる。
この場合、削除処理モード移行工程における破棄処理モードは、受信バッファ内のデータ及びプリントバッファ内のイメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、削除処理モードへの移行に伴い、受信バッファ内のデータ及びプリントバッファ内のイメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、削除処理モードへの移行に伴い、イメージデータを破棄し、受信バッファ内のデータを保持する第3破棄処理モードと、を含むことが好ましい。
この構成によれば、データ及びイメージデータを破棄しない第1破棄処理モードを選択することで、ホスト装置から端末装置に既に送信されていたデータを維持することができる。削除処理モードへの移行に伴い、データ及びイメージデータを破棄する第2破棄処理モードを選択することで、削除処理モードにおいて、受信バッファ内のデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。第3破棄処理モードを選択することで、受信バッファ内のデータを保持したまま、削除処理モードへ移行するため、ホスト装置のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途上のデータの中に印刷再開コマンドが含まれていた場合に、当該印刷再開コマンドによって通常処理モードに移行することができる。
これらの場合、端末装置は印刷装置であり、データには印刷データが含まれることが好ましい。
この構成によれば、印刷システムを構成する端末としての印刷装置に発生した異常の要因に応じて、適切な処理モードを選択し、異常に対応する適切な処理を実行することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る印刷装置、ホスト装置、印刷システム、プログラム、及び端末装置の制御方法について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明では、ホスト装置によって制御されて印刷を行う印刷装置が、印刷装置自身の異常を検出すると共に当該異常の要因を検出し、当該異常の要因のそれぞれに対応して予め指定された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を実行する。これにより、異常の発生に際して、個々の要因に対応した適切な処理モードを実行することができる。
そこで、以下、POS(Point Of Sale)システムにおいて用いられるホスト装置(レジ端末)と、印刷装置(レシートプリンタ)を例に挙げて、印刷装置および印刷システムについて説明する。また、本発明のプログラムは、上記のホスト装置および印刷装置を機能させるためのものであるため、プログラムについての記載は省略する。また、本発明の端末装置の制御方法は、印刷装置の説明に含めるものとして、これについての記載も省略する。
図1は本発明の一実施形態に係る印刷システム(POSシステム)の構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の印刷システム1は、オペレータによる商品情報の入力に基づいて会計処理を行うと共に、レシートや領収書等として用いられる印刷データを生成するホスト装置10と、当該ホスト装置10から送信された印刷データおよび制御データに基づいて印刷を行う印刷装置20と、複数のホスト装置10(POS端末)と接続され(図1に示す例では1台のみ図示)、これらホスト装置10を統括制御するPOSサーバ30と、によって構成されている。そして、ホスト装置10と印刷装置20とがセットとなり、一人のオペレータの操作対象となる1台のPOS端末を構成している。
ホスト装置10は、本体ケース18の前部上面にオペレータが商品情報を手入力するキーボード14と、その後部右側にオペレータが入力情報を確認するオペレータ用ディスプレイ17aとを配置し、本体ケース18内にはキャッシュドロア18aが収納されている。また、本体ケース18の右側側面には商品に貼付されたバーコードを読みとるためのバーコードスキャナ16、キーボード14の右側には、顧客から提示されたクレジットカードを読みとるためのカードリーダ15(カードリーダ用スロット)が形成されている。さらに、本体ケース18の背面側には、顧客が商品情報等を確認するための顧客用ディスプレイ17bが配置されている。
そして、ホスト装置10は、キーボード14やバーコードスキャナ16により入力された商品情報に基づいて、印刷データを生成して印刷装置20に送信する。また、ホスト装置10は、印刷装置20からのステータス情報やレスポンスを受信し、異常発生の有無や処理モード(通常処理モード又は削除処理モード:後述する)の確認など印刷装置20の状態監視を行うと共に、印刷装置20を制御するための各種制御データおよびコマンドを送信する。
一方、印刷装置20は、前部が開口した筐体21と、前部開口を開閉自在に覆蓋するカバー22を備え、当該カバー22を開放することによって、連続用紙P(図示省略)の交換および内部の保守、点検が可能となっている。連続用紙Pは、巻回された状態で、印刷装置内部の用紙収容部25に収納されている。また、用紙収容部25から繰り出された連続用紙Pは、カバー22に形成された排紙口24から筐体21外へ導かれる。また、排紙口24の内側にはカッタ機構(図示省略)を備えている。
また、印刷装置20は、コネクタ等を介してホスト装置10と接続されており、当該ホスト装置10からの印刷指示にしたがって、レシートや領収書の発行処理を行う。すなわち、ホスト装置10からの印刷指示により、印刷ヘッド122、インク供給部125(いずれも図4参照)を制御してキャラクタ(文字や記号など)および絵柄等の印刷を行い、紙送りモータ124(図4参照)を駆動して連続用紙Pを排紙口24に搬送する。そして、印刷を完了すると、排紙口24の内側に配置されたカッタ機構(図示省略)により切断分離する。連続用紙Pから切断分離されたシートは、排紙口24から排出された後、利用者に提供される。
また、筐体21の前面には、印刷装置20内の各種異常要因を表示する複数のエラーLED23が備えられており、用紙収容部25に収容された連続用紙Pを使い切った場合(用紙切れとなった場合)、インク切れの場合、その他紙ジャムなど印刷続行が困難となるエラーが発生した場合は、それぞれの異常要因に対応したエラーLED23を点灯または点滅することにより異常発生を表示する。
次に、図2を参照してホスト装置10の制御構成について説明する。図2は、ホスト装置の機能ブロック図である。図2に示すとおり、ホスト装置10は、印刷装置20とのデータの送受信を行うインタフェース31と、印刷装置20から受信したステータスやレスポンス等のデータを格納する受信バッファとして機能するデータ受信部32と、印刷装置20の異常発生時における処理モード(通常処理モード又は削除処理モード)を予め設定するためのコマンドの生成など、各種モード設定のための処理を行う要因別モード設定部33と、印刷装置20から受信したステータス情報やレスポンス等に基づき、印刷装置20の状態監視を行う状態監視部34と、連続用紙Pに印刷するための印刷データを生成する印刷データ生成部35と、印刷装置20における削除処理モードを終了させるための印刷再開コマンドを生成する印刷再開コマンド生成部36と、ホスト装置10全体を制御する制御部37と、各種コマンドや印刷データを送信するデータ送信部38(アプリケーションが管理するデータバッファ、およびOSが管理する送信バッファとしても機能する)と、を備えている。
要因別モード設定部33は、印刷装置20の異常発生時における処理モードを、上記した用紙切れやインク切れやエラーなどの異常の要因毎に、それぞれ個別に設定する。印刷装置20の異常発生時に実行する各処理の詳細は、後述する。
状態監視部34は、印刷装置20からASB(Automatic Status Back)ステータスを受信することにより、用紙切れやインク切れ等の印刷装置20の状態を監視する。また、プロセスIDレスポンス、削除処理開始レスポンス、削除処理終了レスポンス等により、印刷装置20におけるデータ処理の進行状況を監視する。なお、プロセスIDレスポンスとは、ホスト装置10が制御コマンドや印刷データに任意に挿入して印刷装置20に送信したプロセスIDに応じて送信されるレスポンスであり、当該制御コマンドや印刷データが印刷装置20によって処理されたことを示すものである。これにより、ホスト装置10は、印刷装置20の内部実行状況と同期を取りながらデータ送信を行うことができる。また、削除処理開始レスポンスおよび削除処理終了レスポンスは、印刷装置20において削除処理モードが開始したことおよび終了したこと(通常処理モードに復帰したこと)を示すレスポンスであり、これによりホスト装置10は、印刷装置20の処理モードを確認することができる。なお、印刷装置20の処理モードおよびこれらのレスポンスについては、後に詳述する。
制御部37は、印刷装置20が通常処理モードの場合は、通常の処理(印刷データや制御コマンドの送信)を行う。また、状態監視部34により印刷装置20が削除処理モードに移行したことを検出したとき(削除処理開始レスポンスを取得したとき)、その時点で実行しているデータ送信処理を停止する。また、印刷装置20から異常解除のステータスを受信したとき、印刷再開コマンド生成部36へ処理を移し、印刷再開コマンドを送信する。その後、状態監視部34により印刷装置20が通常処理モードに復帰したことを検出したとき(削除処理終了レスポンスを取得したとき)、印刷データの送信処理を再開する。
次に、図3を参照して印刷装置20の制御構成について説明する。図3は印刷装置の機能ブロック図である。図3に示すとおり、印刷装置20は、ホスト装置10とのデータの送受信を行うインタフェース41と、受信した印刷データや制御コマンドを格納する受信バッファ242(図4参照)として機能するデータ受信部42と、ホスト装置10から受信した印刷再開コマンドや印刷装置20の異常検出に基づいて、処理モードを判定し、判定した処理モードに対応する通常処理モード制御部44又は削除処理モード制御部45に処理を移す処理モード判定部43と、当該処理モード判定部43により通常処理モードと判定された場合に制御を行う通常処理モード制御部44と、同じく処理モード判定部43により削除処理モードと判定された場合に制御を行う削除処理モード制御部45と、異常発生時における処理モードを決定するためのホスト装置10からの指定値(コマンド)を記憶する要因別処理モード記憶部46と、カバー検出センサ142、用紙検出センサ143及びインク残量検出センサ144(いずれも図4参照)等の状態を検出して、印刷装置20内の異常の有無および異常要因を検出する要因検出部47aと、要因検出部47aの検出結果を監視することで印刷装置20が印刷続行可能な状態であるか否かを監視する状態監視部47と、ホスト装置10から送信された印刷データに基づいて生成されたイメージデータを格納するプリントバッファ245(図4参照)として機能し、かつ印刷制御を行う印刷制御部48と、ホスト装置10に送信する各種ステータスやレスポンスを生成するステータス/レスポンス生成部49と、ステータス/レスポンス生成部49により生成された各種ステータスやレスポンスを、ホスト装置10に送信するデータを格納する送信バッファ243(図4参照)として機能するデータ送信部50と、を備えている。要因検出部47aが、異常検出手段と要因判別手段とに相当する。
通常処理モード制御部44は、印刷装置20が正常に印刷できる通常処理モードの状態において、ホスト装置10から受信した印刷データや各種コマンドの処理を実行する。また、通常処理モード制御時において、印刷再開コマンドを受信した場合は、これを破棄する。印刷装置20に異常が発生した場合は、処理モード判定部43が、検出された異常の要因に対応して、処理モードを判定し、削除処理モードに移行することが指定された異常要因の場合には、削除処理モード制御部45に処理を移す。
また、削除処理モード制御部45は、削除処理モードに移行したときに、ホスト装置10に削除処理開始レスポンスを送信すると共に、ホスト装置10から印刷再開コマンドを受信したときに、削除処理終了レスポンスを送信し、その後通常処理モード制御部44に処理を移す。また、削除処理モード制御部45は、削除処理モードの処理対象となっている特定のコマンド(印刷再開コマンド、処理モード(通常処理モード又は削除処理モード)確認コマンド、印刷装置の状態通知要求コマンド、紙ジャムなどのエラーを復帰するためのエラー復帰コマンド)のみを実行し、これら以外のコマンドや印刷データは読み捨て処理を行う。
また、ステータス/レスポンス生成部49は、状態監視部47で検出した印刷装置20の状態を通知するASBステータスや、データの処理状況を通知する、プロセスIDレスポンス、削除処理開始レスポンス、削除処理終了レスポンス等の各種レスポンスを生成する。
次に、図4を参照して印刷装置20の制御を司る構成について説明する。図4は、印刷装置の制御構成を示す制御ブロック図である。図4に示すように、印刷装置20は、エラーLED23を有し、印刷装置20における異常状態を表示する表示部110と、印刷ヘッド122と、紙送りモータ124により連続用紙Pを搬送する用紙送り部123と、インクカートリッジ126からインクを供給するインク供給部125とを有し、ホスト装置10から送信された印刷データに基づいて印刷を行う印刷部120と、用紙カッタ132とこれを駆動するカッタモータ131とを有し、連続用紙Pの印刷済み部分の後端を切断する切断部130と、カバー22の開閉(カバーオープン又はカバークローズ)を検出するカバー検出センサ142と、連続用紙Pの有無を検出する用紙検出センサ143と、インクカートリッジ126内のインク残量を検出するインク残量検出センサ144とを有し、各種検出を行う検出部140と、ヘッドドライバ152およびモータドライバ153(送りモータドライバ153a、カッタモータドライバ153b)を有し、各部を駆動する駆動部150と、各部と接続され、印刷装置20全体を制御する制御部200と、を備えている。
制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240、フラッシュROM250および入出力制御装置(以下、「IOC(Input Output Controller)」と表記する。)260を備え、当該各装置は、互いに内部バス270により接続されている。ROM220は、処理モードに応じた制御を行うためのプログラムの他、CPU210で処理する各種プログラムを記憶する制御プログラムブロック221と、各種テーブルや制御データを記憶する制御データブロック222とを有している。また、CG−ROM230は、文字や記号のフォントデータを記憶しており、文字等を特定するコードデータが与えられると、対応するフォントデータを出力する。なお、ホスト装置10の処理能力に応じて、CG−ROM230を省略した構成としても良い。
RAM240は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック241の他、ホスト装置10から受信した印刷データ等を記憶するデータ受信部42(図3参照)として機能する受信バッファ242と、ホスト装置10に送信するステータスおよび各種レスポンスを記憶するデータ送信部50(図3参照)として機能する送信バッファ243と、異常発生時モード選択コマンド(図5(a)参照)の指定値を記憶する要因別処理モード記憶部46(図3参照)として機能する異常発生時モードブロック244と、印刷するためのイメージデータを記憶するプリントバッファ245と、を有し、作業領域として使用される。
フラッシュROM250は、起動時モード選択コマンドの指定値を記憶する要因別処理モード記憶部46(図3参照)として機能する起動時モードブロック251と、用紙検出センサ143で検出した検出結果に基づいて特定された用紙種類に関するデータを記憶する用紙種類データブロック252と、を有する。用紙種類としては、連続用紙、単票用紙、特定用途向け用紙などがある。当然、フラッシュROM250はフラッシュROMであるため、電源をオフしてもこれら記憶したデータを失うことはない。なお、用紙種類の設定は、用紙検出センサ143で検出した検出結果に基づいて設定する構成の他に、ホスト装置10からの制御データに基づいて設定する構成でも良いし、印刷装置20に備えられたディップスイッチを手作業で操作してセットし、当該セット状態に基づいて設定する構成でもよい。
IOC260には、CPU210の機能を補うと共に各種周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。これにより、IOC260は、ホスト装置10からの印刷データや制御データをそのまま或いは加工して内部バス270に取り込む。
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムにしたがって、IOC260を介してホスト装置10および印刷装置20内の各部から各種信号やデータを入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データを処理し、IOC260を介して印刷装置20内の各部に、各種信号やデータを出力することにより、ホスト装置10から送信された制御コマンドに応じたモード移行や印刷処理等の制御を行う。
次に、ホスト装置10から印刷装置20に送信される制御コマンドについて説明する。図5は、制御コマンドの一例を示す説明図である。図5(a)に示すように、異常発生時における処理を決定するための異常発生時モード選択コマンドは、「ESC A m1 m2 m3」で表される。最初に、パラメータm1について説明する。m1=0の場合(第1処理モード)は、異常発生時において、処理モード判定部43は、削除処理モードに移行しないと判定する。この場合、受信バッファ242およびプリントバッファ245内に蓄積された印刷が完了していないデータを保持する。また、m1=1の場合(第2処理モード)は、異常発生時において、処理モード判定部43は、削除処理モードに移行すると判定し、削除処理モード制御部45に処理を移す。削除処理モード制御部45は、削除処理モードの各処理を実行すると共に、受信バッファ242およびプリントバッファ245内に蓄積された印刷が完了していないデータを一括破棄する。また、m1=2の場合(第3処理モード)は、異常発生時において、処理モード判定部43は、削除処理モードに移行すると判定し、削除処理モード制御部45に処理を移す。削除処理モード制御部45は、削除処理モードの各処理を実行すると共に、プリントバッファ245内に蓄積された印刷が完了していないデータを一括破棄し、受信バッファ242内に蓄積された印刷が完了していないデータを保持する。
このように、パラメータm1を変化させることにより、異常発生時の適切な処理モードを選択することができる。すなわち、第1処理モード(m1=0)を選択すると、異常が解除された後、異常発生前に実行した印刷のデータに続くデータに基づく印刷が、異常発生前に実行された印刷結果に連続して印刷されることで、継続した印刷結果を得ることができる。従って、例えばインクエンドのような、異常発生によって用紙が分断しない異常要因による異常の場合に有効である。この場合、印刷データの再送信が必要なくなると共に、異常発生前に実行した印刷が無駄にならないことから、用紙などの無駄が発生することがない。
また、第2処理モード(m1=1)を選択すると、受信バッファ242とプリントバッファ245内のデータを一括破棄するため、削除処理モードにおいてデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。さらに、印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションを用いている場合は、印刷装置20からのステータスを監視しながら処理を行うことができるため、異常解除のステータス受信後に印刷再開コマンドを送信することで、支障なく処理を続行することができる。
また、第3処理モード(m1=2)を選択すると、受信バッファ242内のデータを保持したまま、削除処理モードへ移行し、削除処理モードにおいて、受信バッファ242内のデータを1バイトずつ確認しながら削除していく。異常発生時にホスト装置10のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途上のデータの中に印刷再開コマンドが含まれていた場合に、印刷装置20の異常状態が解除されたときに、当該印刷再開コマンドによって通常処理モードに移行することができる。なお、通信途上のデータには、ホスト装置10に設けられたOSが管理する送信バッファ内のデータ、印刷装置サーバに設けられたデータバッファ内のデータ、印刷装置20の受信バッファ242内のデータなどがある。印刷装置20の異常状態解除を検出して、ホスト装置10から印刷再開コマンドを送ることを必要とせずに通常処理モードに復帰することができるため、ホスト装置10のアプリケーションが、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションであっても、支障なく処理を続行することができる。なお、受信バッファ242内のデータを1バイトずつ確認しながら削除していく処理は、削除処理に時間がかかるため、印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションを使用している場合には、第2処理モード(m1=1)を選択することが好ましい。
次に、パラメータm2について説明する。異常発生時モード選択コマンド「ESC A m1 m2 m3」は、パラメータm2によって、処理モード移行時のレスポンスをホスト装置10に送信するか否かを指定する。例えば、m2=0の場合は、処理モード移行時のレスポンスをホスト装置10に送信しない。また、m2=1の場合は、通常処理モードから削除処理モードへの移行、又は削除処理モードから通常処理モードへの移行の際に、削除処理モード制御部45又は通常処理モード制御部44が、それぞれ削除処理開始レスポンス又は削除処理終了レスポンスを、ステータス/レスポンス生成部49に生成させて、ホスト装置10に送信する。この場合の削除処理モード制御部45又は通常処理モード制御部44が、モード移行レスポンス選択手段に相当する。
印刷装置20から、削除処理開始レスポンスおよび削除処理終了レスポンスを送信することで、ホスト装置10は、印刷装置20の処理モードを把握することができる。また、削除処理終了レスポンスにより、印刷再開コマンドが正常処理されたことを確認することができる。
また、処理モード移行時のレスポンスをホスト装置10に送信するか否かを選択して指定することが可能であるため、両レスポンスをホスト装置に「送信しない」とすることで、ホスト装置10のアプリケーションが、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションである場合にも対応することができる。
次に、パラメータm3について説明する。異常発生時モード選択コマンド「ESC A m1 m2 m3」は、パラメータm3によって、当該異常発生時モード選択コマンドが、パラメータm1で指定する処理モードで対応する異常要因を指定する。例えば、m3=10の場合は、異常の要因がカッタエラーの場合に、パラメータm1で指定する処理モードで対応することを指定する。m3=11、m3=20、m3=21、m3=30、m3=40は、それぞれ、異常の要因がキャリッジ動作エラー、カバーAのオープン、カバーBのオープン、用紙なし(用紙切れ)、インクエンド(インク切れ)の場合に、パラメータm1で指定する処理モードで対応することを指定する。m3=0は、全ての異常要因に対して、当該異常発生時モード選択コマンドがパラメータm1で指定する処理モードで対応することを指定する。
異常時の処理モードが、要因によらず同一の処理でよい印刷装置においては、m3=0を選択して指定することで、セットアップ時のアプリケーションの処理を効率化することができる。また、一旦、m3=0を選択して指定することで、全ての要因に対して同一処理モードを指定し、次に異なる処理モードが必要な要因についてのみ、個々に再設定することで、要因毎に異常時の処理モードが異なる印刷装置においても、セットアップ時のアプリケーションの処理を効率化することができる。パラメータm3が、第1のパラメータに相当する。
カッタエラーは、連続紙を切断するカッタが、例えば基準位置に戻らないため、用紙カットが実行できないなどの、カッタ周辺のエラーである。キャリッジ動作エラーは、ヘッドを搭載したキャリッジが、摺動しないため印刷が実行できないなどの、キャリッジ周辺のエラーである。これらのエラーは、当該エラーが発生する直前の印刷が正常に実行されていない場合があり、エラー発生から復帰したところで、既印刷部分も再度印刷を実行することが好ましい。
カバーAのオープン、カバーBのオープンは、カバーA、カバーBが開いている状態を指定する。カバーAは、例えばインクカートリッジの収容部のカバーであって、カバーAが開けられると印刷が停止する。印刷が停止しても、用紙やヘッドは印刷が停止した時の状態を維持しており、カバーAが閉じられたところで、既印刷部に続けて未印刷データによる印刷を実行することで、目的の印刷を実行することが可能である。カバーBは、例えば、開けることで用紙の保持ができなくなる構成の用紙収容部のカバーであって、カバーBが開けられて印刷が停止したところで用紙の位置ずれがおこる。従って、カバーBが閉じられたところで、未印刷データによる印刷を再開しても、既印刷部と未印刷データによる印刷が連続しない可能性が高いため、既印刷部分も再度印刷を実行することが好ましい。
用紙なし(用紙切れ)は、セットされた印刷用紙が無くなった状態である。印刷停止後、新たに連続紙を補充することで異常要因が解除されるが、補充された連続紙に未印刷データによる印刷を再開しても、既印刷部分に連続して印刷することはできない。従って、連続紙が補充された後、既印刷部分も再度印刷を実行することが好ましい。また、用紙が単票用紙の場合には、印刷停止後、新たに用紙を補充することで異常要因が解除され、補充された用紙に未印刷データによる印刷を実行することで、目的の印刷を実行することが可能である。
インクエンド(インク切れ)は、ヘッドに供給される印刷用インクが無くなった状態である。インクエンドが要因で印刷が停止しても、用紙やヘッドは印刷が停止した時の状態を維持しており、インクが補充されたところで、既印刷部に続けて未印刷データによる印刷を実行することで、目的の印刷を実行することが可能である。
なお、異常発生時の処理モードの選択、モード移行レスポンス有無の選択、並びに当該選択した処理を適用する異常要因の選択は、上記の通りコマンドによって選択可能とする方法以外に、印刷装置20にメモリスイッチを備え、ホスト装置10から当該メモリスイッチを切り替え可能な制御データを送信することで選択できるようにしても良い。また、印刷装置20にディップスイッチ等を備え、当該ディップスイッチ等を切替えることによって選択可能としても良い。
次に、図5(b)を参照して印刷再開コマンドについて説明する。印刷再開コマンドは、削除処理モードから通常処理モードへの移行を指令するためのコマンドであり、「ESC B d1・・・dk」で表される。ここで、d1・・・dkは、例えば「FINISH」といった文字列など、任意のキーワードを設定可能となっている。このように、任意のキーワードをパラメータとすることにより、不測の一致による誤動作を回避することができる。また、ホスト装置10のアプリケーションが、印刷装置20の状態監視を行っているアプリケーションである場合は、ホスト装置10から印刷装置20へ、印刷再開コマンドを送信することで、通常処理モードへの復帰をアプリケーションが管理することができるため、印刷が完了していないデータを確実に削除することができる。さらに、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いる場合は、印刷データの先頭に印刷再開コマンドを付加することで、異常発生時に処理されていた頁の次の頁から印刷を再開することができる。また、連続用紙Pの切断を指令するコマンドの直前(被印刷媒体が単票用紙の場合は、当該単票用紙の排出を指令するコマンドの直前)など、確実に動作させたいデータの直前に印刷再開コマンドを付加することで、これらの処理を確実に行わせることができる。
次に、図5(c)を参照して処理モード確認コマンドについて説明する。処理モード確認コマンドとは、印刷装置20の処理モードを確認するためのコマンドであり、「ESC C m」で表される。ここで、パラメータmは、例えばm=1とすることができる。このように、ホスト装置10は、処理モード確認コマンドを用いることで、例えば印刷データを送信する前にこれを送信し、印刷装置20の処理モードを確認して、印刷装置20の処理モードに合わせたデータ送信を行うことができる。したがって、印刷データを送信したにも関わらず、印刷装置20が削除処理モードのため、当該印刷データが読み捨てられるといったことがない。また、ホスト装置10のアプリケーションが起動する前に、既に印刷装置20が削除処理モードに移行していた場合、削除処理開始レスポンスがアプリケーションに届かないことが考えられるが、この場合でも処理モード確認コマンドを使用することで印刷装置20が削除処理モードであることを認識することができる。
なお、この処理モード確認コマンド「ESC C m」に対する印刷装置20からの戻り値は、例えば、削除処理開始レスポンス又は削除処理終了レスポンスである。すなわち、印刷装置20が、削除処理モードの場合、削除処理開始レスポンスを送信し、通常処理モードの場合、削除処理終了レスポンスを送信する。このように、モード移行を通知するためのレスポンスと同様のレスポンスを戻り値とすることで、ホスト装置10は、各処理モードに応じた制御と共通のタスクを使用して処理を行うことができる。
次に、図6ないし図8のフローチャートを参照し、印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合の印刷装置20の処理例について説明する。
最初に、図6を参照して通常データ処理時(通常処理モード)における印刷装置20の処理例について説明する。図6に示すように、印刷装置20は、ホスト装置10からデータを受信すると(ステップS11)、異常発生時のモード指定であるか否か(異常発生時モード選択コマンド「ESC A」であるか否か)を判定する(ステップS12)。ここで、異常発生時のモード指定である場合は(ステップS12でYes)、指定値A(パラメータm1,m2,m3の値)を異常発生時モードブロック244(図4参照)に記憶し(ステップS13)、受信したデータに対応する処理を終了する。なお、印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合、指定値Aのパラメータm2は常に1(モード移行レスポンスを送信する)とする(図5(a)参照)ことが好ましい。上述したように、パラメータm3は要因を指定するパラメータであり、パラメータm3が示す要因毎の指定値A(パラメータm1,m2の値)が記憶される。なお、データを受信した時点で、既に異常発生時モードブロック244に指定値Aが記憶されており、受信したデータの指定値Aと記憶されていた指定値Aとが同一の場合には、新たに受信した指定値Aの異常発生時モードブロック244への書き込みは実行せず、記憶されていた指定値Aを維持する。異常発生時モードブロック244は、書き込み回数の増加による劣化の可能性があるフラッシュメモリであるような場合に、不要な書き込み動作を実行しないことで、劣化を抑制することができる。
異常発生時のモード指定でない場合は(ステップS12でNo)、処理モード確認コマンド「ESC C」であるか否かを判定する(ステップS14)。処理モード確認コマンドである場合は(ステップS14でYes)、現在が通常処理モードであるため、削除処理終了レスポンスをホスト装置10に送信し(ステップS15)、通常処理モードであることを通知する。また、処理モード確認コマンドでない場合は(ステップS14でNo)、データの指令に応じた処理(印刷制御やメカ制御等)を実行し(ステップS16)、受信したデータに対応する処理を終了する。
なお、図示は省略したが、通常処理モードにおいて、例えばオペレータのミス等により印刷再開コマンドを受信した場合は、これを破棄する。
次に、図7および図8を参照して異常発生時および削除処理モードにおける印刷装置20の処理例について説明する。
図7に示すように、印刷装置20の要因検出部47aが異常発生(紙ジャム、カバーオープン、用紙切れ、インク切れ等)を検出すると(ステップS21でYes)、印刷制御およびメカ制御を停止し、異常発生の状態通知をホスト装置10に送信する(ステップS22)。説明を簡略するために、異常要因を仮に、カバーオープン(要因a)、用紙切れ(要因b)、インクエンド(要因c)の3種類として説明する。カバーオープン(要因a)、用紙切れ(要因b)、インクエンド(要因c)は、図5(a)を参照して説明した、カバーAのオープン、用紙なし(用紙切れ)、インクエンド(インク切れ)である。
次に、要因が要因a(カバーAのオープン)であって、要因aの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因aに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS23)。要因が要因aでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS23でNo)、要因が要因b(用紙切れ)であって、要因bの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因bに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS24)。要因が要因bでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS24でNo)、要因が要因c(インクエンド)であって、要因cの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因cに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS25)。
要因が要因cでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS25でNo)、新たな要因による異常が発生したか否かを判定する(ステップS41)。新たな要因による異常が発生していた場合(ステップS41でYes)は、ステップS23に戻り、ステップS23からステップS25を繰返す。ステップS41を実行することで、要因の判定及び削除処理モードの指定の有無の判定を実行する間に発生した新たな要因による異常に対応して、適切な処理を実行することができる。例えば、ステップS25が実行されてNoと判定されると、削除処理モードには移行しない。従って、ステップS25が実行されてNoと判定される間に、要因a又は要因bによる異常が発生し、要因a又は要因bに対して削除処理モードの指定がある(指定値Aが、m1=1又は2)場合には、新たに発生した要因a又は要因bによる異常に対しては適切な処理が実行されない。ステップS41を実行することで、新たに発生した異常に対して、要因の判定及び削除処理モードの指定の有無の判定を実行し、適切な処理を実行することができる。
新たな要因による異常が発生していない場合(ステップS41でNo)は、異常が解除されたか否か判定し(ステップS42)異常が解除されない場合は(ステップS42でNo)、ステップS41を繰返す。異常解除された後(ステップS42でYes)、未処理データ(印刷が完了していないデータ)の処理を再開し(ステップS43)、異常発生時の処理を終了する。この場合、異常発生時に未処理データを破棄していない(保持したままである)ため、異常発生前の印刷に継続して印刷を行う。
一方、異常の要因が、要因a、要因b、又は要因cであって、いずれかの要因に対して削除処理モードの指定がある(指定値Aが、m1=1又は2)場合は(ステップS23、ステップS24、又はステップS25のすくなくともひとつでYes)、ステップS26に進む。ここで、m1=1の場合は、受信バッファ242内の未処理データとプリントバッファ245内の未処理イメージデータとを一括破棄する。また、m1=2の場合は、受信バッファ242内の未処理データを保持したまま、プリントバッファ245内の未処理イメージデータを破棄する。さらに、処理モード移行時のレスポンス送信が指定されている場合(指定値Aが、m2=1)は、削除処理開始レスポンスをホスト装置10に送信し、削除処理モードに移行する。また、m2=0の場合には、削除処理開始レスポンスを送信せずに削除処理モードに移行する(ステップS26)。
次に、印刷装置20に状態変化があるか否かを判定し(ステップS27)、状態変化があった場合は(ステップS27でYes)、それが異常解除であるか否かを判定し(ステップS28)、異常解除である場合は(ステップS28でYes)、異常解除のステータスをホスト装置10に送信する(ステップS29)。また、異常発生である場合は(ステップS28でNo)、異常発生のステータスをホスト装置10に送信する(ステップS30)。
異常解除又は異常発生のステータスの送信を実行した後(ステップS29,ステップS30)、並びに状態変化がない場合は(ステップS27でNo)、図8に示すように、ホスト装置10からの受信データがあるか否かを判定する(ステップS31)。受信データがある場合は(ステップS31でYes)、当該データが処理モード確認コマンド「ESC C」であるか否かを判定し(ステップS32)、処理モード確認コマンドである場合は(ステップS32でYes)、現在が削除処理モードであるため、削除処理開始レスポンスを送信し(ステップS33)、削除処理モードであることを通知する。
また、処理モード確認コマンドでない場合は(ステップS32でNo)、状態通知(ステータス)要求コマンドであるか否かを判定し(ステップS34)、状態通知要求コマンドである場合は(ステップS34でYes)、状態通知を送信する(ステップS35)。
さらに、状態通知要求コマンドでもない場合は(ステップS34でNo)、印刷再開コマンド「ESC B」であるか否かを判定し(ステップS36)、印刷再開コマンドでない場合は(ステップS36でNo)、受信したデータを読み捨てる(ステップS37)。また、印刷再開コマンドである場合は(ステップS36でYes)、削除処理終了レスポンスを送信し(ステップS38、但し、指定値Aがm2=0の場合には、レスポンスは送信しない)、削除処理モードを終了して通常処理モードに復帰する。
なお、ステップS26で実行している未処理データの破棄を、ステップS26のように削除処理モードの移行前に実行することは、必須ではない。例えば、削除処理モードへの移行処理の終了時に未処理データの破棄を実行するなど、上述した一連の削除処理の間に実行すればよい。
このように、削除処理モードにおいては、上記に示す特定のコマンド(処理モード確認コマンド、状態通知要求コマンド、印刷再開コマンド)以外は全て読み捨てるため、異常発生時モード選択コマンドで削除処理モードを指定することにより、未処理データ(ホスト装置10が削除を所望するデータ)を確実に削除することができる。
なお、印刷再開コマンドを受信し、通常処理モードに復帰した時点で、異常要因(異常状態)が解除されていない場合は、最初の異常検出処理により異常あり(ステップS21でYes)となり、再度上記した異常発生時の処理を実行する。この構成によれば、印刷装置20は確実に異常要因を解除することができる、また、ホスト装置10は、異常状態が継続していることを把握することができると共に印刷再開コマンドが正常処理されたことを確認することができる。
また、例えば印刷再開コマンドをオペレータの判断でも送信できる構成となっている場合、オペレータの操作ミス等により、異常要因が解除されていないにも関わらず、印刷再開コマンドを送信してしまうことが考えられる。このような場合であって、印刷装置20からレスポンスが送信できない状況となると、印刷装置の送信バッファ243内に過去の削除処理開始レスポンスおよび削除処理終了レスポンスが未送信のまま残ってしまうことがある。また、レスポンスの受信と処理モード確認コマンドの送信を別タスクで起動するような場合にも、同様にレスポンスが重複することが考えられる。このように、送信バッファ243内に過去の両レスポンスおよび削除処理終了レスポンスが未送信のまま存在している状態で、再度削除処理モードに移行した場合は、当該過去の両レスポンスを破棄して、最新の削除処理開始レスポンスのみを送信する。この構成によれば、送信バッファ243内に蓄積された過去の削除処理開始レスポンスおよび削除処理終了レスポンスがホスト装置に連続送信されることがない。したがって、印刷装置20の状態監視の間隔が大きいアプリケーションを用いても、複数のレスポンスが連続送信されることで制御部(CPU等)に負荷をかけることがない。
次に、図9のフローチャートを参照して印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合のホスト装置10の処理例について説明する。
図9に示すように、ホスト装置10は、印刷装置20への送信データがあるか否かを判定し(ステップS51)、送信データがある場合には(ステップS51でYes)、印刷装置20へのデータ送信処理を行う(ステップS52)。次に、ホスト装置10は、印刷装置20からの受信データがあるか否かを判定し(ステップS53)、受信データがある場合には(ステップS53でYes)、これが削除処理開始レスポンスであるか否かを判定する(ステップS54)。削除処理開始レスポンスでない場合は(ステップS54でNo)、受信データが異常発生の通知(図7ステップS22参照)であるか、即ち印刷装置20において異常が発生したか否かを判定する(ステップS55)。受信データが異常発生の通知でない場合は(ステップS55でNo)、受信データに応じた処理を実行し(ステップS57)、処理を終了する。
また、受信データが削除処理開始レスポンスである場合は(ステップS54でYes)、これにより印刷装置20が削除処理モードに入ったことを認識し、データ送信処理を停止する(ステップS56)。
データ送信処理を停止すると(ステップS56)、印刷装置20からのデータを受信したか否かを判定し(ステップS63)、受信していない場合は(ステップS63でNo)、データの受信を待つ。印刷装置20からのデータを受信した場合は(ステップS63でYes)、受信したデータが異常解除通知であるか否かを判定し(ステップS64)、異常解除通知でない場合は(ステップS64でNo)、データの受信を待つ。そして、異常解除通知を受信した場合は(ステップS64でYes)、未送信データを破棄し(ステップS65)、印刷再開コマンド「ESC B」を送信する(ステップS66)。そして、当該印刷再開コマンド「ESC B」に対する削除処理終了レスポンスを受信したか否かを判定し(ステップS67)、削除処理終了レスポンスを受信できない場合(ステップS67でNo)は、受信できるまで待機する。削除処理終了レスポンスを受信することにより(ステップS67でYes)、印刷装置20が通常処理モードに復帰したことを認識し、異常発生時の処理を終了する。
ステップS55で、受信データが異常発生の通知であった場合は、これにより印刷装置20に異常が発生したことを認識し(ステップS55でYes)、データ送信処理を停止する(ステップS58)。
データ送信処理を停止すると(ステップS58)、印刷装置20からのデータを受信したか否かを判定し(ステップS59)、受信していない場合は(ステップS59でNo)、データの受信を待つ。印刷装置20からのデータを受信した場合は(ステップS59でYes)、受信したデータが削除処理開始レスポンスであるか否かを判定する(ステップS60)。受信したデータが削除処理開始レスポンスである場合は(ステップS60でYes)、これにより印刷装置20が削除処理モードに入ったことを認識し、ステップS63に進んで、上述したステップS63からステップS67の処理を実行する。
削除処理開始レスポンスでない場合は(ステップS60でNo)、受信したデータが異常解除通知であるか否かを判定し(ステップS61)、異常解除通知でない場合は(ステップS61でNo)、データの受信を待ち、上述したステップS59及びステップS60の処理を実行する。そして、異常解除通知を受信した場合は(ステップS61でYes)、未送信データの送信処理を再開し(ステップS62)、異常発生時の処理を終了する。
なお、削除処理開始レスポンスを受信した場合の処理終了後は、異常発生時に送信を停止したデータの最初からデータを送信することが好ましい。
次に、図10および図11のフローチャートを参照し、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合の印刷装置20の処理例について説明する。なお、印刷装置20の状態監視を行わない点で、図2ないし図4を参照して説明した状態監視を行うアプリケーションを用いた場合のホスト装置10および印刷装置20と異なるが、印刷装置20からステータスやレスポンスを送信しない点、並びにアプリケーションが生成するデータ(印刷データおよび制御データ)に印刷再開コマンドが挿入されている点以外は、状態監視を行う場合と同様であるため、図2ないし図4を参照して説明した制御構成に相当する説明を省略する。
最初に、図10を参照して通常データ処理時(通常処理モード)における印刷装置20の処理例について説明する。
図10に示すように、ホスト装置10からデータを受信すると(ステップS71)、異常発生時のモード指定であるか否か(異常発生時モード選択コマンド「ESC A」であるか否か)を判定し(ステップS72)、異常発生時のモード指定である場合は(ステップS72でYes)、指定値A(パラメータm1,m2,m3の値)を異常発生時モードブロック244(図4参照)に記憶し(ステップS73)、受信したデータに対応する処理を終了する。上述したように、パラメータm3は要因を指定するパラメータであり、パラメータm3が示す要因毎の指定値A(パラメータm1,m2の値)が記憶される。なお、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合、指定値Aのパラメータm2は常に0(モード移行レスポンスを送信しない)とする(図5(a)参照)ことが好ましい。
異常発生時のモード指定でない場合は(ステップS72でNo)、受信データが印刷再開コマンド「ESC B」であるか否かを判定する(ステップS74)。受信データが印刷再開コマンドである場合は(ステップS74でYes)、これを破棄し(ステップS75)、受信したデータに対応する処理を終了する。受信データが、印刷再開コマンドでもない場合は(ステップS74でNo)、そのデータに応じた処理を実行し(ステップS76)、受信したデータに対応する処理を終了する。
このように、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合に印刷再開コマンドが組み込まれた場合でも、通常処理モードでは印刷再開コマンドを破棄するため、通常通りの印刷処理を行うことができる。
次に、図11を参照して異常発生時および削除処理モードにおける印刷装置20の処理例について説明する。図11に示すように、印刷装置20が異常発生(紙ジャム、カバーオープン、用紙切れ、インク切れ等)を検出すると(ステップS81:Yes)、印刷制御およびメカ制御を停止する(ステップS82)。説明を簡略するために、異常要因を仮に、カバーオープン(要因a)、用紙切れ(要因b)、インクエンド(要因c)の3種類として説明する。カバーオープン(要因a)、用紙切れ(要因b)、インクエンド(要因c)は、図5(a)を参照して説明した、カバーAのオープン、用紙なし(用紙切れ)、インクエンド(インク切れ)である。
次に、要因が要因a(カバーAのオープン)であって、要因aの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因aに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS83)。要因が要因aでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS83でNo)、要因が要因b(用紙切れ)であって、要因bの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因bに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS84)。要因が要因bでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS84でNo)、要因が要因c(インクエンド)であって、要因cの場合に削除処理モードの指定があるか否か、すなわち要因cに対応する指定値Aが、m1=1又は2であるか否か(図5(a)参照)を判定する(ステップS85)。
要因が要因cでないまたは削除処理モードの指定がない(m1=0)場合は(ステップS85でNo)、新たな要因による異常が発生したか否かを判定する(ステップS91)。新たな要因による異常が発生していた場合(ステップS91でYes)は、ステップS83に戻り、ステップS83からステップS85を繰返す。ステップS91を実行することで、要因の判定及び削除処理モードの指定の有無の判定を実行する間に発生した新たな要因による異常に対応して、適切な処理を実行することができる。例えば、ステップS85が実行されてNoと判定されると、削除処理モードには移行しない。従って、ステップS85が実行されてNoと判定される間に、要因a又は要因bによる異常が発生し、要因a又は要因bに対して削除処理モードの指定がある(指定値Aが、m1=1又は2)場合には、新たに発生した要因a又は要因bによる異常に対しては適切な処理が実行されない。ステップS91を実行することで、新たに発生した異常に対して、要因の判定及び削除処理モードの指定の有無の判定を実行し、適切な処理を実行することができる。
新たな要因による異常が発生していない場合(ステップS91でNo)は、異常が解除されたか否か判定し(ステップS92)異常が解除されない場合は(ステップS92でNo)、ステップS91を繰返す。異常解除された後(ステップS92でYes)、未処理データ(印刷が完了していないデータ)の処理を再開する(ステップS93)。この場合、異常発生時に未処理データを破棄していない(保持したままである)ため、異常発生前の印刷に継続して印刷を実行する。
一方、異常の要因が、要因a、要因b、又は要因cであって、いずれかの要因に対して削除処理モードの指定がある(指定値Aが、m1=1又は2)場合は(ステップS83、ステップS84、又はステップS85のすくなくともひとつでYes)、ステップS86に進む。ここで、m1=1の場合は、受信バッファ242内の未処理データとプリントバッファ245内の未処理イメージデータとを一括破棄し、削除処理モードに移行する。また、m1=2の場合は、プリントバッファ245内の未処理イメージデータを破棄し、受信バッファ242内の未処理データを保持したまま、削除処理モードに移行する(ステップS86)。
次に、異常要因が解除されたか否かを判定し(ステップS87)、異常要因が解除されていない場合は(ステップS87でNo)、異常要因の解除を待つ。また、異常要因が解除された場合は(ステップS87でYes)、ホスト装置10からの受信データがあるか否かを判定する(ステップS88)。受信データがない場合は(ステップS88でNo)、ホスト装置10からのデータを待つ。受信データがある場合は(ステップS88でYes)、当該データが印刷再開コマンドであるか否かを判定し(ステップS89)、印刷再開コマンドでない場合は(ステップS89でNo)、これを読み捨てる(ステップS90)。また、印刷再開コマンドである場合は(ステップS89でYes)、削除処理モードを終了し、通常処理モードに復帰する。
なお、ステップS86で実行している未処理データの破棄を、ステップS86のように削除処理モードの移行前に実行することは、必須ではない。例えば、異常解除を検出した(ステップS87)後に未処理データの破棄を実行するなど、上述した一連の削除処理の間に実行すればよい。
このように、ホスト装置10のアプリケーションとして、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合でも、削除処理モードにおいては、印刷再開コマンド以外は全て読み捨てるため、異常発生時モード選択コマンドで削除処理モードを指定することにより、未処理データを確実に削除することができる。
なお、上記のように、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合においても、通常処理モードに復帰した時点で、異常要因(異常状態)が解除されていない場合は、最初の異常検出処理により異常発生あり(ステップS81でYes)となり、再度削除処理モードに移行する。
以上、説明したとおり、本発明の印刷装置20および印刷システム1によれば、要因検出部47aが印刷装置20の異常を検出すると、処理モード判定部43が、異常の要因のそれぞれに対応して予め指定され、要因別処理モード記憶部46に記憶された、通常処理モードの継続、又は削除処理モードへの移行を実行することで、個々の要因に対応した適切な異常発生時の処理モードを実行することができる。印刷装置20の異常が検出されたとき、データを読み捨てる削除処理モードに移行することで、ホスト装置10のデータ送信中止処理に間に合わなかったデータや、通信途上のデータが存在した場合でも、異常が解除されて印刷が再開されたときに、これらのデータに従って不必要な印刷が実行されることを回避することができる。また、印刷装置20の異常が検出されたとき、通常処理モードを継続することで、異常が解除されて印刷が再開されたときに、異常が発生する前に実行された印刷に続く印刷を実行し、異常が発生する前後で連続した印刷結果を実現することができる。
また、異常発生時モード選択コマンドにより、アプリケーションの種類やユーザが所望する印刷結果、及び異常の要因に対応して、適切な処理モードを選択することができる。パラメータm3の値によって要因を指定し、パラメータm1の値によって処理モードを指定することで、要因毎に適切な処理モードを選択することができる。例えば、異常発生によって用紙を分断(分割)しない要因の場合、第1処理モード(m1=0)を選択すると、継続した印刷結果を得ることができる。したがって、印刷データの再送信が必要なくなると共に用紙の無駄が発生することがない。また、第2処理モード(m1=1)を選択すると、受信バッファ242内のデータを破棄するため、削除処理モードにおいてデータを削除するのに要する時間を短縮することができる。さらに、印刷装置20の状態監視を行うアプリケーションであれば、印刷装置20からのステータスを監視しながら処理を行うことができるため、破棄するデータ内に印刷再開コマンドを含ませない制御が可能となる。また、第3処理モード(m1=2)を選択すると、受信バッファ242内のデータを保持したまま、削除処理モードへ移行するため、通信途上のデータの中に印刷再開コマンドが含まれていた場合に、当該印刷再開コマンドによって通常処理モードに移行することができる。したがって、受信バッファ242内のデータの削除処理に時間がかかるが、印刷装置20の状態監視を行わないアプリケーションであっても、支障なく処理を続行することができる。
なお、上記の例では、ホスト装置10と印刷装置20とによって構成される印刷システム1を例に挙げたが、ホスト装置10によって制御される装置は印刷装置に限らず、種々の端末装置に適用することが可能である。また、上記の実施例によらず、例えばシステム構成やコマンド等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示す図。 本発明のホスト装置の制御構成を示す機能ブロック図。 本発明の印刷装置の制御構成を示す機能ブロック図。 本発明の印刷装置の制御構成を示す制御ブロック図。 本発明の制御コマンドの一例を示す説明図。 印刷装置の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合の、印刷装置における通常データ処理過程を示すフローチャート。 印刷装置の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合の、印刷装置における異常発生時における処理過程を示すフローチャート。 図7に続く、印刷装置における異常発生時における処理過程を示すフローチャート。 印刷装置の状態監視を行うアプリケーションを用いた場合の、印刷装置の異常発生時におけるホスト装置の処理過程を示すフローチャート。 印刷装置の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合の、印刷装置における通常データ処理過程を示すフローチャート。 印刷装置の状態監視を行わないアプリケーションを用いた場合の、印刷装置における異常発生時における処理過程を示すフローチャート。
符号の説明
1…印刷システム、10…ホスト装置、20…印刷装置、30…POSサーバ、31…インタフェース(ホスト装置)、32…データ受信部、33…要因別モード設定部、34…状態監視部、35…印刷データ生成部、36…印刷再開コマンド生成部、37…制御部、38…データ送信部、41…インタフェース(印刷装置)、42…データ受信部、43…処理モード判定部、44…通常処理モード制御部、45…削除処理モード制御部、46…要因別処理モード記憶部、47…状態監視部、47a…要因検出部、48…印刷制御部、49…ステータス/レスポンス生成部、50…データ送信部、242…受信バッファ(印刷装置)、243…送信バッファ、244…異常発生時モードブロック、245…プリントバッファ、P…連続用紙。

Claims (4)

  1. ホスト装置によって制御されて印刷を行う印刷装置であって、
    前記ホスト装置から送信されたデータに基づいて印刷を行う通常処理モードと、
    前記ホスト装置から送信された前記データを読み捨てる削除処理モードと、を有し、
    異常の発生を検出する異常検出手段と、
    前記異常の要因を判別する異常要因判別手段と、
    前記通常処理モードにおいて、前記異常検出手段によって前記異常が検出されたとき、当該異常の前記要因のそれぞれに対応して予め指定された、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行を選択する要因別処理モード決定手段と、
    前記要因別処理モード決定手段により決定した処理モードを実行する削除処理モード移行手段と、
    前記削除処理モードにおいて、前記ホスト装置からの印刷再開コマンドに従って、前記削除処理モードを終了し、前記通常処理モードに移行する通常処理モード移行手段と、
    前記ホスト装置から送信された前記データを格納する受信バッファと、
    前記データが前記印刷装置の印刷ヘッドに供給される形式に処理されたイメージデータを格納するプリントバッファと、を備え、
    前記削除処理モード移行手段は、前記削除処理モードを実行する場合、前記要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータの処理を実行し、
    前記破棄処理モードは、
    前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、
    前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、
    前記削除処理モードへの移行に伴い、前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄し、前記受信バッファ内の前記データを保持する第3破棄処理モードと、を含み、
    前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行の指定は、前記ホスト装置から受信した異常発生時モード選択コマンドにより指定され、当該異常発生時モード選択コマンドは、少なくとも、前記要因を指定する第1のパラメータと、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を含み、前記第1のパラメータは、前記要因の全てを指定する値を含むことを特徴とする印刷装置。
  2. 新たに受信した前記破棄処理モード選択コマンド又は前記処理モード選択コマンドで指定された設定値が、既に指定されて記憶装置に記憶されている設定値と同一の場合には、前記記憶装置に記憶されている前記設定値を保持し、前記記憶装置に記憶されている前記設定値の書替えを実行しないことを特徴とする、請求項1記載の印刷装置。

  3. ホスト装置によって制御されて処理を行い、前記ホスト装置から送信されたデータに基づいて処理を行う通常処理モードと、前記ホスト装置から送信された前記データを読み捨てる削除処理モードと、を有する端末装置の制御方法であって、
    前記端末装置の異常を検出すると共に、前記異常の要因を判別する異常検出工程と、
    前記通常処理モードにおいて、前記異常検出手段によって前記異常が検出されたとき、当該異常の前記要因のそれぞれに対応して予め指定された、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行を実行する削除処理モード移行工程と、
    前記ホスト装置からの処理再開コマンドに従って、前記削除処理モードを終了し、前記通常処理モードに移行する通常処理モード移行工程と、
    前記ホスト装置から送信された前記データは、受信バッファに格納され、前記データが前記処理装置の処理ヘッドに供給される形式に処理された処理形式データは、処理バッファに格納され、前記削除処理モード移行工程において、前記削除処理モードを実行する場合、前記要因のそれぞれに対応して予め指定された破棄処理モードで、前記受信バッファ内の前記データ及び前記処理バッファ内の前記処理データの処理を実行する工程を、有し、
    前記削除処理モード移行工程における前記破棄処理モードは、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄しない第1破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記受信バッファ内の前記データ及び前記プリントバッファ内の前記イメージデータを破棄する第2破棄処理モードと、前記削除処理モードへの移行に伴い、前記イメージデータを破棄し、前記受信バッファ内の前記データを保持する第3破棄処理モードと、を含み、
    前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行の指定は、前記ホスト装置から受信した異常発生時モード選択コマンドにより指定され、当該異常発生時モード選択コマンドは、少なくとも、前記要因を指定する第1のパラメータと、前記通常処理モードの継続、又は前記削除処理モードへの移行のいずれかを指定する第2のパラメータと、を含み、前記第1のパラメータは、前記要因の全てを指定する値を含むことを特徴とする端末装置の制御方法。
  4. 前記端末装置は印刷装置であり、前記データには印刷データが含まれることを特徴とする、請求項2に記載の端末装置の制御方法。
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