JP4682240B2 - 重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法及び重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤 - Google Patents

重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法及び重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤 Download PDF

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本発明は、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法及び重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤に関する。
廃棄物の焼却処理に伴って生じる飛灰は、重金属、なかでも鉛やカドミウムなどの有害重金属を多量に含有しており毒性が高い。このため、飛灰による直接汚染や二次被害を防ぐ目的から、飛灰は特別管理廃棄物に指定されており、飛灰を廃棄する際には薬剤処理や溶融処理などの中間処理を行うことが義務づけられている。さらに、中間処理物を管理型埋立処理施設に埋め立てる場合には、その中間処理物が埋立溶出基準に適合していなければならないと定められている。
飛灰からの重金属の溶出を薬剤処理によって抑える場合、飛灰に含まれる重金属を化学的に不溶化する処理、すなわち重金属の安定化処理が行われる。具体的には、排ガスに含まれる飛灰を集じん装置で集じんし、そこへ重金属の安定化剤を添加して加水混練すればよい。
この重金属の安定化剤としては、これまでに、アルミニウム塩、特に水酸化アルミニウムが多く用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
一方で、リン酸アルミニウムなどの固体酸を重金属の安定化剤として用いる方法も報告されているが、固体酸からなる処理剤は、そのまま放置すると処理剤が固まってしまい取扱いが非常に困難になってしまうため、固結防止剤を必要とするという問題があった(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−122620号公報 特開平7−204605号公報
本発明は、重金属含有廃棄物に含まれる重金属を効率よく安定化できる新規安定化方法、及び、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の新規安定化剤を提供することを目的とする。
発明者は、鋭意検討の結果、加水混練により重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化を試みる場合には、アモルファスリン酸アルミニウムが安定化剤として格別に優れた効果を発揮することを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
(i)重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法であって、前記重金属含有廃棄物と、アモルファスリン酸アルミニウムを含む安定化剤と、水とを混練する工程を含む方法。
(ii)前記重金属が鉛であることを特徴とする、(i)に記載の方法。
(iii)前記重金属含有廃棄物が、飛灰、主灰、または、土壌のいずれかであることを特徴とする、(i)または(ii)に記載の方法。
(iv)前記安定化剤がさらに水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、(i)〜(iii)のいずれかに記載の方法。
(v)前記水酸化アルミニウムがアモルファス水酸化アルミニウムであることを特徴とする、(iv)に記載の方法。
(vi)重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤であって、アモルファスリン酸アルミニウムを含有することを特徴とする安定化剤。
(vii)前記安定化剤がさらに水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、(vi)に記載の安定化剤。
(viii)前記水酸化アルミニウムがアモルファス水酸化アルミニウムであることを特徴とする、(vii)に記載の安定化剤。
本発明によって、重金属含有廃棄物に含まれる重金属を効率よく安定化できる新規安定化方法、及び、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の新規安定化剤を提供することが可能となる。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により当業者には明らかであり、本明細書の記載から当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤==
本発明に係る重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤は、アモルファスリン酸アルミニウムを含有することを特徴とする。
重金属含有廃棄物とは、重金属を含む廃棄物であって、例えば、一般廃棄物を焼却処理施設において焼却処理することによって生じる飛灰(フライアッシュ)、および、主灰(ボトムアッシュ)、または、土壌などがあげられるが、これらに限定されない。
なお、「一般廃棄物」とは、廃棄物の処理および清掃に関する法律に定められる、産業廃棄物以外の廃棄物のことをいう。例えば、市町村などの地方公共団体において廃棄された一般廃棄物は、基本的にそれぞれの地方公共団体の処理施設において処理される。このため、一般廃棄物を焼却によって処理する場合、処理されるべき廃棄物や、処理に用いられる焼却処理施設の設備構成は、処理を行う市町村ごとにそれぞれ異なることとなる。
しかしながら、一般廃棄物のうち可燃性のごみの成分及びその割合は、全国的にも、また年度が異なってもほぼ同程度であるため(例えば、「廃棄物処理技術」、福本勤著、共立出版株式会社、22頁、ならびに、第16回廃棄物学会研究発表会講演論文集(2005)、酒井護ら、31頁、等を参照)、一般廃棄物を同一の方法で焼却処理した場合に生じる飛灰などの成分及びその割合も、ほぼ同程度になると考えることができる。
実際に、実施例に後述するように、複数の地方公共団体で排出された異なる一般廃棄物を、異なる設備構成を有するそれぞれの焼却処理施設で焼却した場合においても、本発明の安定化剤を用いると、有効に飛灰の処理ができることが確かめられている。従って、本発明の安定化剤は、広く一般廃棄物の焼却処理をする際に排出される飛灰などの処理に有効である。
ここで、重金属とは、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令が規定する物質のうち、例えば、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ヒ素(As)、セレン(Se)、水銀(Hg)、および、六価クロム(Cr6+)などがあげられるが、これらに限定されず、特に焼却場の灰類や土壌汚染で注目される金属が好ましい。
例えば、飛灰には、鉛、カドミウム、そして、水銀に代表される重金属が含まれている。
アモルファスリン酸アルミニウム(AlPO)とは、非晶質状態のリン酸アルミニウムをいう。リン酸アルミニウムが非晶質状態であるかどうかは、例えば、X線回折分析によって容易に判別することができる。即ち、X線回折分析においてハロー図形が観測されれば、リン酸アルミニウムが非晶質状態であると判別できる。
アモルファスリン酸アルミニウムの純度は特に限定されず、重金属の安定化の妨げとならなければ、不純物を含んでいても良い。
本発明の安定化剤は、さらに水酸化アルミニウム(Al(OH))を含んでいても良い。水酸化アルミニウムは、アモルファス水酸化アルミニウムであることが好ましい。水酸化アルミニウムがアモルファスであるかどうかは、上述のリン酸アルミニウムの場合と同じ方法で判別することができる。
水酸化アルミニウムの純度は特に限定されず、重金属の安定化の妨げとならなければ、不純物を含んでいても良い。
安定化剤における、アモルファスリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとのモル比(アモルファスリン酸アルミニウム:水酸化アルミニウム)は特に限定されないが、安定化剤が重金属を安定化する効率を考慮に入れれば、1:6以下であることが好ましく、2:7以下であることがより好ましい。
アモルファスリン酸アルミニウムは、結晶状態のリン酸アルミニウムに比べて、流体特性が高い。このため、結晶状態のリン酸アルミニウムは放置すると固まってしまい取扱いが困難になってしまうのに対し、アモルファスリン酸アルミニウムは、流動性が優れていることから取扱いが容易であり、さらに、固結防止剤を必要としない、もしくは、固結防止剤を必要とする場合であってもごく少量の添加で良いという点で非常に優れている。
なお、化合物が結晶状態であるとは、固体であって、その内部構造が、一次元的に、もしくは二次元的に、あるいは更に三次元的に構成原子の規則正しい繰り返しを有している状態であることをいう。
本発明の安定化剤の剤形は、重金属含有廃棄物と共に加水混練したときの安定化処理が効率的に行われるような剤形であればよく、特に限定されない。アモルファスリン酸アルミニウムの高い流動性を生かし、アモルファスリン酸アルミニウムを含んだ粉末状の剤形とした安定化剤とすることが、取り扱いの容易さや安定化効率の維持などの点で好ましい。安定化剤がさらに水酸化アルミニウムを含有する場合には、十分に混合した水酸化アルミニウムとアモルファスリン酸アルミニウムを含んだ粉末状の剤形とすることが好ましい。
安定化剤の剤形は、粉末状の他にも、必要に応じて、例えば、顆粒状、ペレット状、及び、スラリー状などの剤形にしてもよい。
このようにして調製された安定化剤は、重金属含有廃棄物及び水と一緒に混練することによって、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤として用いることができる。
==重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法==
本発明の重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化方法によると、重金属含有廃棄物と、アモルファスリン酸アルミニウムを含む上記安定化剤と、水とを混練することによって、重金属含有廃棄物に含まれる重金属を化学的に不溶化し、廃棄物から重金属が溶出するのを防ぐことにより、重金属を安定化することができる。
用いる安定化剤の量は、特に限定されない。しかし、重金属安定化処理をした後の飛灰からの鉛などの溶出量は、昭和48年環境庁告示13号に定められる試験方法により測定した場合に、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令が規定する埋立溶出基準値である0.3 mg/L以下が望ましいことを踏まえれば、本基準を満たすように、用いる安定化剤の量を調節することが好ましい。
水の純度は特に限定されず、安定化の妨げとならなければ、不純物を含んでいても良い。
用いる水の量も、特に限定されず、重金属の安定化が効率的に行えるように適宜調節することができる。例えば、重金属含有廃棄物の重量に対して、約40重量%程度の水を加えて混練する方法が一般的であるが、重金属含有廃棄物の種類や使用する混練装置の種類などによっては、15〜50重量%程度となるように適宜調節してもよい。
重金属含有廃棄物と、安定化剤と、水とを混練するための方法は、粉体に液体を加えて混合する一般的な方法で行えばよく、例えば混練用ミルや、振動式または二軸式ミキサーといった、一般的な混練装置を用いて混練することができ、これに限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[実施例1]各種アルミニウム塩との比較
アモルファスリン酸アルミニウム(AlPO)が重金属含有廃棄物に含まれる重金属を安定化する能力と、他のアルミニウム塩が重金属を安定化する能力とを比較した。他のアルミニウム塩としては、結晶状態の水酸化アルミニウム(Al(OH))、及び、結晶状態の塩化アルミニウム(AlCl)を用いた。具体的な方法は、次の通りである。
3箇所の焼却処理施設A〜Cから回収した飛灰について、それぞれ全体が均質になるように十分に混合した。この均質とした各飛灰50 gをディスポーザブル容器に採取した後、採取した飛灰に対し、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、もしくは、アモルファスリン酸アルミニウムのいずれかを、3.5 g(飛灰に対して7重量%)または5.0 g(飛灰に対して10重量%)加え、さらに、水約20 gを加えた。これら混合物をヘラを用いて粘土状になるまで混練した後、昭和48年環境庁告示13号に定められる重金属溶出試験により鉛溶出量を測定した。得られた結果を、表1に示す。
具体的にデータを解析すると、飛灰が混在する排ガスに用いる重金属安定化剤として好適であるとされている、水酸化アルミニウムや塩化アルミニウムを、安定化剤として施設Aの飛灰に対して用いた場合には、添加率7重量%で、鉛溶出量はそれぞれ31 mg/L (O-7)、および、65 mg/L (C-7)であった。一方、アモルファスリン酸アルミニウムを施設Aの飛灰に対して添加率7重量%で加え加水混練した場合には(P-7)、鉛溶出量は0.23 mg/Lと、水酸化アルミニウム使用時に比べ135倍もの鉛安定化能を示し、さらに、塩化アルミニウム使用時と比べた場合には417倍という飛躍的に高い鉛安定化能を発揮した。
施設BおよびCの飛灰においても、水酸化アルミニウム7重量%使用時(O-7)、および、塩化アルミニウム7重量%使用時(C-7)に比べ、同じ重量のアモルファスリン酸アルミニウムを用いた場合には(例えば、P-7)には、桁違いの優れた鉛安定化能を示した。
このように、飛灰に含まれる鉛を加水混練により安定化する方法において、アモルファスリン酸アルミニウムの添加は、比較検討した他のアルミニウム塩の全てに比べ、いずれの焼却処理施設から回収した飛灰に対しても非常に高い鉛安定化能を示した。
[実施例2]アモルファス化合物と結晶状態の化合物との比較
上記実施例1で非常に優れた重金属安定化能を示したアモルファスリン酸アルミニウムについて、代わりに結晶状態のリン酸アルミニウム、アモルファス水酸化アルミニウム、または、結晶状態の水酸化アルミニウムを用いた場合の重金属含有廃棄物に含まれる重金属を安定化する能力との比較を行った。用いるリン酸アルミニウム及び水酸化アルミニウムの結晶状態は、X線回折分析を行うことによって判定した。
具体的な方法は、次の通りである。
2箇所の焼却処理施設D及びEから回収した飛灰について、それぞれ全体が均質になるように十分に混合した。この均質とした各飛灰50 gを容器に採取した後、採取した飛灰に対し、結晶状態の水酸化アルミニウム、アモルファス水酸化アルミニウム、結晶状態のリン酸アルミニウム、もしくは、アモルファスリン酸アルミニウムのいずれかを、2.5 g(飛灰に対して5.0重量%)、3.75 g(飛灰に対して7.5重量%)、5.0 g(飛灰に対して10.0重量%)、6.25 g(飛灰に対して12.5重量%)、7.5 g(飛灰に対して15.0重量%)、8.75 g(飛灰に対して17.5重量%)、または、10.0 g(飛灰に対して20.0重量%)加え、さらに、水約20 gを加えた。これら混合物をヘラを用いて粘土状になるまで混練した後、昭和48年環境庁告示13号に定められる重金属溶出試験により鉛溶出量を測定した。得られた結果を、焼却処理施設Dから回収した飛灰を用いたものについては表2に、及び、焼却処理施設Eから回収した飛灰を用いたものについては表3にまとめた。
表2から明らかなように、施設Dの飛灰に対して、アモルファスリン酸アルミニウムを添加率7.5重量%で加えた際には、鉛溶出量は0.23 mg/Lと極めて低く、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令が規定する埋立溶出基準値である0.3 mg/Lを大きく下回った。
この一方で、結晶状態のリン酸アルミニウムを同量加えた際には、鉛の溶出量は88 mg/Lとなり、アモルファスリン酸アルミニウムを加えた際の値に比べて、382倍もの多量の鉛が観測された。また、アモルファス水酸化アルミニウムを同量加えた際には、鉛の溶出量は58 mg/Lとなり、結晶状態のリン酸アルミニウムを加えた場合よりはやや高い鉛安定化能を示したものの、アモルファスリン酸アルミニウムを加えた際の値と比較すると250倍と極めて高く、埋立溶出基準値には遠く及ばなかった。なお、結晶状態の水酸化アルミニウムを同量加えた際には、他の化合物を加えた場合に比べて、最も多い鉛の溶出が検出された。
また、表3から明らかなように、施設Eの飛灰に対しても、アモルファスリン酸アルミニウムを添加率7.5重量%で加えた際には、鉛溶出量は0.20 mg/Lと極めて低く、金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令が規定する埋立溶出基準値である0.3 mg/Lを大きく下回った。
この一方で、結晶状態のリン酸アルミニウム、または、アモルファス水酸化アルミニウムを同量加えた際には、鉛の溶出量は25〜27 mg/Lとなり、アモルファスリン酸アルミニウムを加えた際の値に比べて、125〜135倍もの多量の鉛が観測された。結晶状態の水酸化アルミニウムを同量加えた際には、最も多い鉛の溶出が検出された。
このように、飛灰に含まれる鉛を加水混練により安定化する方法において、アモルファスリン酸アルミニウムの添加は、結晶状態のリン酸アルミニウムに比べて、いずれの焼却処理施設から回収した飛灰に対しても、非常に高い鉛安定化能を示した。さらに、アモルファスリン酸アルミニウムの添加は、アモルファス水酸化アルミニウムや結晶状態の水酸化アルミニウムの添加と比べても、いずれの焼却処理施設から回収した飛灰に対しても遥かに高い鉛安定化能を示した。
[実施例3]水酸化アルミニウムとの併用
アモルファスリン酸アルミニウムとアモルファス水酸化アルミニウムとの各種配合による混合物を安定化剤として用い、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化を行った。具体的な方法は、次の通りである。
まず、安定化剤として、アモルファスリン酸アルミニウムとアモルファス水酸化アルミニウムとを、1:1のモル比で混合した安定化剤a、2:7のモル比で混合した安定化剤b、1:6のモル比で混合した安定剤c、及び、2:25のモル比で混合した安定剤dを調製した。
次に、3箇所の焼却処理施設F〜Hから回収した飛灰について、それぞれ全体が均質になるように十分に混合した。この均質とした各飛灰50 gを容器に採取した後、採取した飛灰に対し、安定剤a〜d及びアモルファス水酸化アルミニウムのいずれか1種類を、1.5 g(飛灰に対して3.0重量%)、2.5 g(飛灰に対して5.0重量%)、3.5 g(飛灰に対して7.0重量%)、5.0 g(飛灰に対して10.0重量%)、または、7.5 g(飛灰に対して15.0重量%)加え、さらに、水約20 gを加えた。これら混合物をヘラを用いて粘土状になるまで混練した後、昭和48年環境庁告示13号に定められる重金属溶出試験により鉛溶出量を測定した。得られた結果を、焼却処理施設Fから回収した飛灰を用いたものについては表4に、焼却処理施設Gから回収した飛灰を用いたものについては表5に、及び、焼却処理施設Hから回収した飛灰を用いたものについては表6にまとめた。
以上のように、アモルファスリン酸アルミニウムは、アモルファス水酸化アルミニウムとの混合物であっても、重金属含有廃棄物に含まれる重金属の安定化剤として用いることができ、いずれの配合においても、アモルファス水酸化アルミニウム単体に比べて、優れた鉛安定化能を示した。
[実施例4]アモルファスリン酸アルミニウムの流動性
アモルファスリン酸アルミニウムの流体特性と、結晶状態のリン酸アルミニウムの流体特性とを比較した。
具体的には、それぞれのリン酸アルミニウムについて、パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社、PT−E型)を用いて、安息角、圧縮度、スパチュラ角、及び、凝集度などの値を測定した。測定時に使用したパウダテスタのフルイの組み合わせは、それぞれのリン酸アルミニウムの平均見掛比重に基づいて決定した。
安息角、圧縮度、スパチュラ角、及び、凝集度の測定値を、パウダテスタ取扱説明書第20頁に記載の粉体の流動性指数表に基づいて、指数換算した。
これらの結果を、まとめて図1に示す。
アモルファスリン酸アルミニウムは、結晶状態のリン酸アルミニウムに比べて、凝集度がわずかに大きくなっているものの、安息角及びスパチュラ角が小さく、流動性が高いことが示された。さらに、安息角、圧縮度、スパチュラ角、及び、凝集度の指数を合計した総合判定からも、アモルファスリン酸アルミニウムは、結晶状態のリン酸アルミニウムと比較して、流体特性に優れていることが示された。
本発明の一実施例において、アモルファスリン酸アルミニウムの流体特性と結晶状態のリン酸アルミニウムの流体特性とを比較した表である。

Claims (6)

  1. 飛灰、または、主灰に含まれる重金属の安定化方法であって、
    前記飛灰、または、主灰と、アモルファスリン酸アルミニウムを含む安定化剤と、水とを混練する工程を含み、
    前記重金属が鉛を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記安定化剤がさらに水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水酸化アルミニウムがアモルファス水酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  4. 飛灰、または、主灰に含まれる重金属の安定化剤であって、
    アモルファスリン酸アルミニウムを含有し、
    前記重金属が鉛を含むことを特徴とする安定化剤。
  5. 前記安定化剤がさらに水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項に記載の安定化剤。
  6. 前記水酸化アルミニウムがアモルファス水酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求項に記載の安定化剤。
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