JP3632284B2 - 廃棄物処理材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害な重金属などを含有する廃棄物を安定化処理するのに有効な、廃棄物処理材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、日本では約4800万トン(1988年)の一般廃棄物と約3.1億トン(1985年)の産業廃棄物が排出されている。西暦2000年には、一般廃棄物は約8000万トンに、産業廃棄物は約6億トンに達すると予測されている。そのうち、一般廃棄物の約7割が焼却処理され、約2割が直接処分されている。また、産業廃棄物は、約4割が再生利用され、約3割が焼却などによって減容化されて処分され、約3割が直接最終処分場で廃棄されている。これらの焼却された一般廃棄物や産業廃棄物は、有害な重金属が大量に含まれているために処分に関する規制が大幅に強化される方向にある。
【0003】
例えば、都市ゴミ処理場の場合、ゴミの中に含まれるカラー印刷の紙やセロファン類にはカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、クロム(Cr)、水銀(Hg)、砒素(As)、銅(Cu)など、プラスチック類にはカドミウム、鉛、亜鉛(Zn)、クロム、水銀、砒素などが含まれており、これらを焼却することによって重金属が濃縮された灰が生ずる。焼却場では、この灰を、ゴミのもえがらからなる主灰と、バグフィルターなどで回収される飛灰とに分けて回収する場合が多くなってきている。この主灰、飛灰ともに重金属が含まれているが、飛灰では特に重金属が溶出しやすくなっている。これは、以下のような理由による。つまり、焼却場では、焼却時に発生する塩化水素ガスを捕捉するために、排気経路途中で消石灰や生石灰を吹き込んでいる。これらは塩化水素ガスと結合して塩化カルシウムとなるために、排ガス中の塩化水素ガス濃度を低減することができる。ところが、未反応の消石灰や生石灰が飛灰中に残存するために、飛灰はpH12以上の高アルカリ性となる。飛灰には鉛が高濃度に含まれており、この鉛は高アルカリ性では鉛塩酸として水溶性となる性質がある。したがって、このような灰を未処理で廃棄すると、鉛が溶出することになるのである。そこで、焼却場では、有害金属の溶出を防ぐ目的で、飛灰をセメントと混合し、水を加えて混練した後、養生固化して廃棄したり、主灰と混ぜて埋め立てたりしている。しかしながら、セメントはアルカリ性であるところから、このような飛灰に対してセメントを大量に加えると鉛の溶出は抑制されない。このように、単にセメントで固化する従来の処理方法には種々の問題があり、用途を限定しなければ二次公害が発生する恐れがある。
【0004】
また、飛灰処理にキレート化剤が試験的に使用されているが、特にアルカリ性が高く鉛含有量の多い飛灰に対しては、飛灰の重量に対して6%以上加えないと規制値以下に抑制されないものもある。一般に、この様なキレート化剤は単価がセメントの50倍から80倍と高価であるため、ランニングコストの面で大きな負担になると考えられる。このように、セメントやキレート化剤を用いた重金属の安定化処理は困難な場合があることが分かってきた。
【0005】
以上のように、現状では、処理材及び処理方法に問題があり、加えて国内の陸上埋立処分地の不足も問題になりはじめており、少量の処理材の添加で廃棄物中の有害な重金属が再溶出しないよう強力に安定化することが可能な処理材および処理方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような有害な重金属などを含有する廃棄物を安定化処理するのに有効な廃棄物処理材を提供することである。特に、本発明は、上記のように焼却炉から排出されるアルカリ性の飛灰に含まれる有害な重金属などが再溶出しないように安定化することが可能な廃棄物処理材を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、この目的を達成し得る廃棄物処理材を得るに至った。即ち、本発明の処理材は、BET法を用いて測定した比表面積の細孔径分布のピーク値が30〜60Åと言う特異な範囲に存在する多孔質の合成珪酸を主たる構成成分とする廃棄物処理材であり、この処理材によれば、特に、焼却炉から排出されるアルカリ性の飛灰に含まれる有害な重金属などを安定化することができる。
【0008】
以下に、本発明でいう比表面積、およびその測定法について説明する。
本発明で用いる合成珪酸のような多孔質物質は、複雑な表面構造や内部構造を有しているため、様々な大きさの細孔を有する。したがって、細孔径に対して比表面積の分布が生じる。本発明では、細孔径に対するその細孔径での比表面積分布を「比表面積の細孔径分布」という。さらに、多孔質物質の中には、比表面積の細孔径分布にピーク値を有する場合がある。本発明では、このようなピーク値が見られる細孔径のことを「比表面積の細孔径分布のピーク値が存在する細孔径」という。吸着剤の表面のような非常に微細な細孔での表面物性は、細孔径が異なると同じ物質でも大きく異なるし、細孔の大きさが分子オーダーになると、細孔径は分子の拡散や吸着性能に大きな影響を与える。したがって、多孔質物質の性質を決めるためには、単に比表面積の大きさのみでなく、比表面積の細孔径分布が重要になる。
【0009】
次に、比表面積の測定方法について説明する。
比表面積の測定方法としては、BET法、水銀圧入法、ブレーン法などの測定方法が一般的である。本発明でいう比表面積とは、BET法により測定した値をいう。BET法は、一定温度で物質表面に物理吸着する気体分子の吸着量が圧力に依存することを利用して、気体の平衡圧力の測定値から物質の表面積を算出する方法である。この方法は、気体分子が進入できる微細な細孔の表面積を測定することができるため、吸着剤や触媒などの多孔質物質の比表面積の測定に一般的に利用される。吸着させる気体としては、窒素やアルゴンなどが用いられるが、本発明では、窒素を用いた窒素置換BET法により測定された値を用いる。BET法では、一定温度で気体分子が吸着できる細孔径領域が気体分子の分圧に依存することを利用して、気体の分圧を変化させる(実質的には温度を変化させる)ことにより、任意の細孔径領域での細孔の比表面積を測定することができる。
【0010】
上記のように、本発明でいう比表面積および比表面積の細孔径分布とは、窒素置換BET法により算出された値である。一般に、窒素置換BET法では、おおよそ10〜200Åの細孔径領域における比表面積の分布を測定することができる。したがって、本発明でいう「比表面積の細孔径分布のピーク値が存在する細孔径」とは、10〜200Åの細孔径領域においての、比表面積の細孔径分布のピーク値が存在する細孔径を指すことになる。
【0011】
【作用】
本発明のメカニズムについて説明する。本発明の処理材による、鉛などの有害重金属の安定化メカニズムは、主に多孔質合成珪酸による有害金属の吸着に由来するものである。重金属の安定化が吸着に由来するものであれば、比表面積が大きな吸着剤ほど重金属の安定化効果は大きいと考えられがちである。しかし、本発明者らは、研究の結果、処理材の全体的な比表面積よりも、比表面積の細孔径分布が需要な因子となることを知見した。すなわち、30〜60Åと言う限定された細孔径領域に比表面積のピーク値が存在する吸着剤が、Pbなどの重金属を効果的に安定化することができるのである。そのメカニズムは明確ではないが、以下のようなことが考えられる。まず、都市ゴミ焼却飛灰が強アルカリ性であることは先にも述べたが、このアルカリにより合成珪酸の表面が僅かに溶解する。溶解した珪酸の表面は活性を帯びており、Pbなどの重金属との反応性が高まる。このような、珪酸表面の溶解した細孔内では、溶解して分子状になった珪酸イオンや水酸イオンなどが渾然としているため、細孔内の液体の粘度が非常に高くなる。したがって、Pbなどの重金属イオンは高粘性の細孔内を拡散していかなければならず、Pb2+イオンのイオン半径(約5Å:LANGES HANDBOOK of CHEMISTRYによる。)よりはるかに大きな細孔径を持つ吸着剤が必要となる。もう一つの理由としては、Pbのクラスター化が考えられる。都市ゴミ焼却飛灰について溶出試験を行うと、Pbの溶解度よりはるかに多量のPbが検出されることが多く見受けられる。この現象は、都市ゴミ焼却飛灰を水に分散した場合に溶け出るPbが、イオン以外の形態(クラスターもしくは微細なコロイド状態)である可能性を示している。このようなクラスターを吸着するためには、クラスターの大きさに合った細孔径を有する吸着剤が有効となる。そこで、細孔の大きさが30〜60Åであれば、吸着剤として有効となる。その他、幾つかのメカニズムが考えられるが、明確なことは現時点では明らかでない。しかし、いずれにせよ、後に述べる合成ゼオライトのように、細孔径の物理的大きさが重金属イオンと同等な場合には、吸着が効果的に進まないことは明確である。
【0012】
本発明で使用される合成珪酸とよく似たものに、合成ゼオライトがある。合成ゼオライトは、特定のイオンを分離するための吸着剤としてよく用いられる。合成ゼオライトは、原子骨格を制御することにより、多くの場合3〜10Å程度の細孔領域において特異な大きさの細孔径を形成したものであり、分子飾とも呼ばれるものである。したがって、合成ゼオライトがイオンを吸着するメカニズムは、原子骨格中に開いた孔と同じ大きさのイオンが入り込むというものである。例えば、分子の大きさが、3Åの水やアンモニアは、3Å以上の細孔を持つ合成ゼオライトに吸着される。このような考えであれば、Pbイオンのイオン半径は5Å程度と推定されるので、5Å以上の細孔径を持つゼオライトで効果的に吸着されるはずである。しかしながら、本発明は都市ゴミ焼却飛灰中に含まれるPbを安定化するためには、前記のような合成ゼオライトの細孔径領域外の細孔径が重要であることを見出したものであり、合成珪酸を用いた本発明の処理材は、合成ゼオライトとは全く異なる思想の基に完成されたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる合成珪酸について詳しく説明する。本発明で用いられる合成珪酸は粉体状である。合成珪酸は、結晶性、無定形、非晶質、ガラス状などの種類が知られているが、ここでは、粉体状であれば使用することができる。合成珪酸は、比表面積が大きい方がPbなどの重金属の吸着能力が高い。しかし、比表面積が大きくなると同時に処理材の体積も増大してしまうため、比表面積が大きすぎることも望ましくない。また、先にも述べたように、都市ゴミ焼却飛灰を処理するための合成珪酸は、30〜60Å付近に比表面積の細孔径分布のピーク値が存在し、その比表面積が大きいことが好ましい。
【0014】
本処理材の添加剤について説明する。本処理材には、前記の多孔質合成珪酸に加えて、固化剤や補助剤として、セメントやフライアッシュを添加することができる。本発明で使用されるセメントとしては、普通セメント、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、早強セメント、アルミナセメント、石膏など、粉体状の固化剤であればいずれも使用できる。また、Pbの溶解度は、pHが9程度で最小となる。したがって、アルカリ性飛灰を処理する場合には、酸剤を添加してPbを不安定化させ、合成珪酸にPbがより吸着しやすくすることも有効である。この場合に用いる酸剤としては、非晶質水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マグネシウムなどが有効である。さらに、重金属と直接反応する可溶性燐酸イオンを含んだ燐酸ナトリウム、燐酸1水素ナトリウム、燐酸2水素ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸1水素カリウム、燐酸2水素カリウムを粉体状にして添加することも有効である。他に、重金属と直接反応する添加剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸塩などもあり、これらを添加することも有効である。さらに、水には難溶性であるがイオン交換反応により重金属を吸着する燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウムなどの粉体を添加剤として用いることも有効である。
【0015】
次に、本発明に係る廃棄物処理材の作製方法について説明する。本処理材は、それぞれの成分を予め混合してもよいし、又、使用に際して混合してもよい。さらには、廃棄物の処理時に、セメントやキレート剤その他の処理材成分、及び廃棄物の全てを同時に混合してもよい。さらに混合の仕方とか順序については特に制限はない。尚、予め混合する場合の処理材の保存に当たっては、水分の混合を出来るだけ避けるのがよい。
【0016】
また、処理材の各成分の混合比に関しては、対象とする廃棄物により異なる。例えば、多孔質合成珪酸を単独で使用してもよい。また、pH調節するために多量の酸剤を必要とする廃棄物に対しては、酸剤の混合率を増加すればよいし、逆に小量の酸剤でpH調節が可能な廃棄物に関しては、合成珪酸を多量に添加したり、燐酸塩や炭酸塩など、吸着以外のメカニズムで重金属を安定化する添加剤をさらに添加することも可能である。したがって、それぞれの成分の混合比に関しては特に制限はない。
【0017】
次に、本発明の処理材による廃棄物の処理方法を説明する。本発明の処理方法は、廃棄物に添加し、必要に応じて水を添加したものを混練する。本発明の好ましい実施態様としては、ホッパーに集められたダストや飛灰などの廃棄物を、別のホッパーからの前記廃棄物処理材とを混合し、必要に応じてこれに水を加え賦型装置内で十分に練り合わせて押し出す。一般に、従来のセメントによる処理方法では、廃棄物100重量部に対して10〜30重量部のセメントを加えて混練を行う。これは処理物の減容化の観点から、30重量部を超える処理材の添加は現実的でないからである。本発明の処理材を用いる場合には、セメントを同量加えた場合よりも優れた性能が得られる。そのために、例えば、セメントと同等の重金属安定化能を希望する場合には、セメントよりも少量の添加でよく、処理物の減容化が期待できる。また、従来のセメントでは30重量部添加しても重金属の安定化が不十分な場合が多いが、セメントと同量の本処理材を加えることで、セメントの場合よりも強力な重金属安定化効果が期待できる。本処理材の廃棄物に対する添加量は、上記のように処理物の減容化の観点から廃棄物100重量部に対して30重量部以下であることが望ましい。また、同じ焼却場でも、処理物のPb含有量などは大きく変化するので、安定的に処理材の効果を発現させるという観点から、3重量部以上添加することが望ましい。
【0018】
【発明の効果】
本発明の廃棄物処理材を用いて有害重金属を含有する産業廃棄物や都市ゴミの焼却炉から排出されるEP灰やバグ灰(特に、消石灰や生石灰を吹き込んだアルカル性のEP灰やバグ灰)を処理することで、有害重金属、特に鉛が効率よく安定化されて溶出量が減少し、安定化処理に非常に有効なものである。有害重金属では鉛の他に、カドミウム、水銀、クロム、銅、ニッケル、亜鉛などを安定化できる。また、例えば、半導体工場やメッキ工場のような各種廃液の処理後に排出されるスラリー状スラッジや脱水ケーキスラッジ、あるいは製鋼所での電気炉溶融窯などの作業場での作業環境保全用の有害集塵ダスト、あるいは埋立投棄処分などによる汚染土壌などを安定化処理することが出来、この際、有害重金属が安定化されて溶出量が抑えられる。
【0019】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)を処理材とした。
都市ゴミ処理場から排出された、Pbを多量に含んだ都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰(無処理におけるPb溶出量21mg/L、pH12.45(環境庁告示13号法での抽出液のpH、以下同じ。))100重量部(50g)に対して、上記処理材を5重量部もしくは7重量部添加してよく混合した後、水を40重量部添加し、へらでよく混練して処理を行った。処理物を20℃で1日間養生した後に破砕し、環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した。表1にその結果を示す。なお、比較例としてセメントを処理材として用いた場合、ならびに水のみで混練した場合のPb溶出量を併記した。
【0021】
【表1】
Figure 0003632284
【0022】
表1から明らかなように、本発明に係る処理材を5重量部添加することにより、Pb溶出量を規制値以下(0.3mg/L以下)に抑えることができている。これに対して、セメントで処理した場合、および水のみで処理した場合では、Pb溶出量を規制値以下にすることはできない。
以上の結果より、比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸である本発明の処理材は、効果的に廃棄物中の重金属を安定化できることが分かる。
【0023】
(実施例2)
比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304およびBS304F)を処理材とした。
都市ゴミ処理場から排出された、Pbを多量に含んだ都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰(無処理におけるPb溶出量100mg/L、pH12.02)100重量部(50g)に対して上記処理材を7.5重量部もしくは10重量部添加してよく混合した後、水を30重量部添加し、へらでよく混練して処理を行った。処理物を20℃で7日間養生した後に破砕し、環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した。表2にその結果を示す。なお、比較例として、細孔径分布のピーク値が11Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;カープレックス80)を処理材として用いた場合ならびに代表的な天然珪酸系吸着剤である活性白土を用いた場合のPb溶出量を併記する。
【0024】
【表2】
Figure 0003632284
【0025】
表2から明らかなように、比表面積のピーク値が41Åにある2種類の合成珪酸は、ほぼ同等のPb安定化性能を示し、Pb溶出量が効果的に低下している。これに対して、比較例は、Pb安定化性能で明らかに劣っている。
この結果より、比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸が重金属の安定性に優れていることがわかる。
【0026】
(実施例3)
酸性白土を硫酸処理して得られた天然珪酸と、比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304F)を混合して得られたものを処理材とした。
都市ゴミ焼却場から排出された、Pbを多量に含んだ3種類の都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰100重量部(30g)に対して、所定量の上記処理材を混合し、水を60重量部添加し、混練して処理を行った後、処理物を20℃で7日間養生した。各飛灰のPb含有量、および環境庁告示13号法により測定した無処理におけるPb溶出量を表3に、また、環境庁告示13号法によりPb溶出量、およびpHを測定した各飛灰についての処理結果を表4に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003632284
【0028】
【表4】
Figure 0003632284
【0029】
上記表3、4の結果から明らかなように、各飛灰は高濃度のPbを含有し、かつ高濃度のPbを溶出するにも関わらず、本発明の処理材で処理することにより、いずれの場合もPb溶出量が規制値以下になっている。
【0030】
(実施例4)
ポルトランドセメント20重量部と、比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)を80重量部とをよく混合し、処理材とした。
都市ゴミ焼却場から排出されるPbを多量に含んだ5種類の都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰100重量部(30g)に対して、20重量部の上記処理材を混合し、水を60重量部添加し、混練して処理を行った後、20℃で1日間養生した。各飛灰のPb含有量、および環境庁告示13号法により測定した無処理におけるPb溶出量を表5に、環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した各飛灰についての処理結果を表6に示す。
【0031】
【表5】
Figure 0003632284
【0032】
【表6】
Figure 0003632284
上記の表5、6の結果から明らかなように、各飛灰は高濃度のPbを含有し、かつ高濃度のPbを溶出するにも関わらず、本発明の処理材で処理することにより、いずれの場合もPb溶出量が規制値以下になっている。
【0033】
(実施例5)
【0034】
比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)を処理材5−1、酸性白土を硫酸処理して得られた天然珪酸50重量部と比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)50重量部とを混合して得られたものを処理材5−2とした。また、比較材5−1として早強セメント、比較材5−2として早強セメント100重量部とキレート系飛灰処理材10重量部とを併用するものも処理材として用いた。
都市ゴミ焼却場から排出された、Pbを多量に含んだ都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰(無処理におけるPb溶出量41mg/L、pH12.10)100重量部(30g)に対して、所定量の上記処理材を混合し、水を60重量部添加し、混練して処理を行った後、処理物を20℃で1日間養生した。環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した各処理材での処理結果を表7に示す。また、比較材を用いた処理実験の評価も同時に行った。ただし、比較材5−2に関しては、早強セメントを飛灰に混ぜた後、キレート系処理材と添加水の混合液を添加して混練を行った。
【0035】
【表7】
Figure 0003632284
【0036】
上記表7の結果から明らかなように、本発明の処理材は、いずれも10重量部の添加量でPb溶出量を検出限界以下(<0.1mg/L)にすることができている。これに対して、比較材5−1では規制値(<0.3mg/L)以下にすることはできていない。また、代表的な飛灰処理材であるキレート系処理剤とセメントの併用系である比較材5−2を用いた場合には、合計11重量部も添加しているにも関わらず、本発明の処理材よりもPb溶出量は多くなっている。
【0037】
(実施例6)
比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)に各種添加剤を混合し、下記の表8に示す処理材を作製した。
【0038】
【表8】
Figure 0003632284
【0039】
都市ゴミ焼却場から排出された、Pbを多量に含んだ都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰(無処理におけるPb溶出量73mg/L、pH12.30)100重量部(30g)に対して、所定量の上記処理剤を混合し、水を60重量部添加し、混練して処理を行った後、処理物を20℃で1日間養生した。環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した各処理材での処理結果を表9に示す。また、処理材として、早強セメントのみを用いた場合の処理結果も表9に示す。
【0040】
【表9】
Figure 0003632284
【0041】
表9の結果から明らかなように、本発明の処理材は、セメントを処理材として用いた場合と比較して、Pb溶出量の抑制効果に優れていることがわかる。また、本発明の多くの処理材では、飛灰に対して20重量部添加することにより、Pb溶出量を規制値(0.3mg/L)以下にすることができている。
【0042】
(実施例7)
比表面積の細孔径分布のピーク値が41Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS304)、および60Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製合成珪酸;BS306)を処理材とした。都市ゴミ焼却場から排出された、Pbを多量に含んだ都市ゴミ焼却アルカリ性飛灰(無処理における溶出量50mg/l、pH12.57)100重量部(30g)に対して、上記処理材を5重量部添加してよく混合した後、水を60重量部添加し、へらでよく混練して処理を行った。処理物を20℃で7日間養生した後に破砕し、環境庁告示13号法によりPb溶出量およびpHを測定した。表1にその結果を示す。なお、比較例として比表面積の細孔径分布のピーク値が100Åにある多孔質合成珪酸(塩野義製薬製;カープレックス67)を処理材として用いた場合のPb溶出量を併記した。
【0043】
【表10】
Figure 0003632284
【0044】
表10から明らかなように、本発明の処理材は、比較材と比較してPb溶出防止効果に優れていることがわかる。

Claims (5)

  1. 窒素置換BET法で測定した比表面積の細孔径分布のピーク値が存在する細孔径が30Å以上、60Å以下である多孔質合成珪酸を主たる構成成分とする粉体状である廃棄物処理材。
  2. 多孔質合成珪酸を10重量%以上、90重量%以下含有し、さらにセメント、フライアッシュ、石膏、非晶質水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上の粉体状の物質を含有する請求項1記載の廃棄物処理材。
  3. 多孔質合成珪酸を10重量%以上、90重量%以下含有し、さらに燐酸ナトリウム、燐酸1水素ナトリウム、燐酸2水素ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸1水素カリウム、燐酸2水素カリウムからなる群から選ばれる1種以上の粉体状の物質を含有する請求項1記載の廃棄物処理材。
  4. アルカリ性飛灰の処理用である請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物処理材。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物処理材を、都市ゴミ焼却灰100重量部に対して2重量部以上、30重量部以下添加し、必要に応じて水を加え、混練することを特徴とする廃棄物処理方法。
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