図1は本発明の一実施の形態例に係る静電搬送装置の構成を示す概略断面図である。図2は本実施の形態例の静電搬送装置の静電搬送部材の平面展開図である。なお、図2に示す静電搬送部材を平面として示しているが円筒状もしくはフレキシブルに回転可能な形状であればよく、これに限定されない。図1において、本実施の形態例の静電搬送装置における静電搬送部材100は、支持基板101上に3本の搬送電極102a、102b、102c(これらを搬送電極102と総称する)を1セットとして、図中の矢印方向のトナー搬送方向に沿って所定の間隔で、かつトナー搬送方向と略直交する方向に繰り返し形成され配置し、この上に搬送面を形成する絶縁性の搬送面形成部材となり、これらの搬送電極102の表面を覆う保護膜となる、無機又は有機の絶縁性材料で形成した表面保護層103を積層したものである。なお、ここでは、表面保護層103が搬送面を形成しているが、表面保護層103上に更に粉体(トナー)との適合性に優れた表面層を別途成膜することもできる。
これらの搬送電極102a、102b、102cの両側には、搬送電極102a、102b、102cとそれぞれ両端部で相互接続した図示していない共通電極をトナー搬送方向に沿って、すなわち搬送電極102a、102b、102cの各々と略直交する方向に設けられている。この場合、共通電極の幅(この幅は、トナー搬送方向と直交する方向の幅)は搬送電極102の幅(この幅は、トナー搬送方向に沿う方向の幅)よりも広くしている。
更に、これらの共通電極には、図1の駆動回路104からの駆動信号(駆動波形)Va、Vb、Vcを入力するための駆動信号印加用入力端子(図示せず)を設けている。この駆動信号入力用端子は、支持基板101に裏面側に設けてスルーホールを介して各共通電極に接続してもよいし、あるいは共通電極上に形成された層間絶縁膜(図示せず)上に設けてもよい。
ここで、支持基板101としては、ガラス基板、樹脂基板或いはセラミックス基板等の絶縁性材料からなる基板、或いはSUSなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を成膜したもの、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。
また、搬送電極102は、支持基板101上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜0.2μm厚で成膜し、これをフォトリソ技術等を用いて所要の電極形状にパターン化して形成している。図1に示すように、これらの複数の搬送電極102の粉体進行方向における幅Lは移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ搬送電極102の粉体進行方向の間隔Rも移動させる粉体の平均粒径の1倍以上20倍以下としている。
更に、表面保護層103としては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5、ZrO2、BaTiO3などを厚さ0.5〜1μmで成膜して形成している。また、無機ナイトライド化合物、例えばSiN、Bn、Wなどを用いることができる。特に、表面水酸基が増えると帯電トナーの帯電量が搬送途中で下がる傾向にあるので、表面水酸基(SiOH、シラトール基)が少ない無機ナイトライド化合物が好ましい。
次に、このように構成した静電搬送部材100におけるトナーの静電搬送の原理について説明する。静電搬送部材100の複数の搬送電極102に対してn相の駆動波形を印加することにより、複数の搬送電極102によって移相電界(進行波電界)が発生し、静電搬送部材100上の帯電したトナーは反発力及び/又は吸引力を受けて移送方向にホッピングと搬送を含んで移動する。
例えば、静電搬送部材100の複数の搬送電極102に対して図3に示すようにグランドG(0V)と正の電圧+との間で変化する3相のパルス状駆動波形(駆動信号)A(A相)、B(B相)、C(C相)を、タイミングをずらして印加する。
このとき、図4に示すように、静電搬送部材100上に負帯電のトナーTがあり、静電搬送部材100の連続した複数の搬送電極102に同図の(1)で示すようにそれぞれ「G」、「G」、「+」、「G」、「G」が印加されたとすると、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102上に位置する。更に、次のタイミングで複数の搬送電極102には同図の(2)に示すようにそれぞれ「+」、「G」、「G」、「+」、「G」が印加され、負帯電のトナーTには同図で左側の「G」の搬送電極102との間で反発力が、右側の「+」の搬送電極102との間で吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは「+」の搬送電極102側に移動する。さらに、次のタイミングで複数の搬送電極102には同図の(3)に示すようにそれぞれ「G」、「+」、「G」、「G」、「+」が印加され、負帯電のトナーTには同様に反発力と吸引力がそれぞれ作用するので、負帯電のトナーTは更に「+」の搬送電極102側に移動する。
このように複数の搬送電極102に電圧の変化する複相の駆動波形を印加することで、静電搬送部材100上には進行波電界が発生し、この進行波電界の進行方向に負帯電のトナーTは搬送及びホッピングを行いながら移動する。なお、正帯電のトナーTの場合には駆動波形の変化パターンを逆にすることで同様に同方向に移動する。
以下、トナーの搬送及びホッピングを行うための静電搬送部材100の複数の搬送電極102の電極幅L及び電極間隔R、並びに表面保護層103について説明する。
静電搬送部材100における電極幅Lと電極間隔Rはトナーの搬送効率、ホッピング効率に大きく影響する。すなわち、搬送電極と搬送電極の間にあるトナーはほぼ水平方向の電界により、基板表面を隣接する搬送電極まで移動する。これに対して、搬送電極上に乗っているトナーは、少なくとも垂直方向の成分も持った初速が与えられることから、多くは基板面から離れて飛翔する。特に、電極端面付近にあるトナーは、隣接する搬送電極を飛び越えて移動するため、電極幅Lが広い場合には、その電極上に乗っているトナーの数が多くなり、移動距離の大きいトナーが増えて搬送効率が上がる。ただし、電極幅Lが広すぎると、電極中央付近の電界強度が低下するためにトナーが搬送電極に付着し、搬送効率が低下することになる。そこで、本発明は、低電圧で効率良く粉体を搬送、ホッピングするための適正な電極幅があることを見出した。
また、電極間隔Rは、距離と印加電圧の関係から電極間の電界強度を決定し、間隔Rが狭い程電界強度は当然強く、搬送、ホッピングの初速が得られやすい。しかし、搬送電極から搬送電極へ移動するようなトナーについては、一回の移動距離が短くなり、駆動周波数を高くしないと移動効率が上がらないことになる。これについても、本発明によれば、低電圧で効率良く粉体を搬送、ホッピングするための適正な電極間隔があることを見出した。
また、電極間隔Rは、距離と印加電圧の関係から電極間の電界強度を決定し、間隔Rが狭い程電界強度は当然強く、搬送、ホッピングの初速が得られやすい。しかし、電極から電極へ移動するようなトナーについては、一回の移動距離が短くなり、駆動周波数を高くしないと移動効率が上がらないことになる。これについても、本発明によれば、低電圧で効率よく粉体を搬送、ホッピングするための適正な電極間隔があることを見出した。
更に、電極表面を覆う表面保護層の厚さも電極表面の電界強度に影響を与え、特に垂直方向成分の電気力線への影響が大きく、ホッピングの効率を決定することをも見出した。
そこで、搬送基板の電極幅、電極間隔、表面保護層厚さの関係を適正に設定することによって、電極表面でのトナー吸着問題を解決し、低電圧で効率的な移動を行うことができる。ただし、駆動波形としては、矩形波(パルス状)駆動波形に限らず、時定数を持った三角波等の駆動波形であっても搬送、ホッピングの動作は可能であり、また、同様の時定数に相当する正弦波を駆動波形として用いても、実用上の搬送、ホッピングの動作は可能である。
次に、本実施の形態例の静電搬送装置における静電搬送部材の具体的な例について説明する。本実施の形態例の静電搬送装置を画像形成装置に用いる場合、搬送、ホッピング用の静電搬送部材としては、少なくともA4縦幅21cm、または横幅30cm以上の長尺、大面積にファインパタンの実用が必要になってくる。そのためには、ベースとなる基材、(図1の支持基板101)上に、薄層の電極(図1の搬送電極102)、薄層の保護膜(図1の表面保護層103)を順次積層して形成することが好ましい。
ここで、フレキシブルなファインピッチ薄層電極を有する静電搬送部材の一例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100μm)を基材(図1の支持基板101)として、その上に蒸着法によって0.1〜0.3μmのCu、Al、Ni-Cr等を成膜する。幅30〜60cmであれば、ロール・トゥ・ロールの装置で製造可能であり、量産性が非常に高まる。共通バスラインは同時に幅1〜5mm程度の電極を形成する。
この蒸着法の具体的手段としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法、イオンビーム法、等の方法が可能である。例えば、スパッタ法で電極を形成する場合において、ポリイミドとの密着性を向上させるため、Cr膜を介在させても良いし、プラズマ処理やプライマー処理によっても密着性を向上させることができる。
また、蒸着法以外の工法としては、電着法によっても薄層電極を形成することができる。この場合は、ポリイミドの基材上に、まず、無電解メッキによって電極を形成する。塩化Sn、塩化Pd、塩化Niに順次浸漬して下地電極を形成した後、Ni電解液中で電解メッキを行ってNi膜1〜3μmをロール・トゥ・ロールで製造することが可能である。
そして、これらの薄膜電極にレジスト塗布、パタンニング、エッチングで搬送電極102を形成する。この場合、0.1〜3μm厚さの薄層電極であれば、フォトリソ、エッチング処理によって5μm〜数10μm幅、又は間隔のファインパタン電極を精度良く形成することができる。
次いで、図1の表面保護層103としてSiO2、TiO2等を厚さ0.5〜2μmをスパッタ等により形成する。あるいは、表面保護層103としてPI(ポリイミド)を厚さ2〜5μmにロールコータ、その他コーティング装置により塗布し、ベークして仕上げる。PIのままで支障を生じるときには、更に最表面にSiO2、その他無機膜を0.1〜0.5μmの厚みにスパッタ等で形成すればよい。
このようなフレキシブルな静電搬送部材を構成することによって、円筒形状のドラムに貼り付け、あるいは部分的に曲面形状とすることが容易に行えるようになる。
また、別の例としては、ポリイミドのベースフィルム(厚さ20〜100μm)を基材(図1の支持基板101)として、その上に電極材料として、厚さ10〜20μmのCu、SUS等を使用することも可能である。この場合は、逆に金属材の上にポリイミドをロールコータにて20〜100μm塗布してベークする。その後、金属材をフォトリソ、エッチング処理によって図1の電極102の形状にパターン化し、その電極102面上に表面保護層103としてポリイミドをコーティング、金属材電極の厚さ10〜20μmに応じた凹凸がある場合は平坦化して完成する。
例えば、粘度50〜10,000cps、より好ましくは100〜300cpsのポリイミド系材料、ポリウレタン系材料をスピンコートして放置することによって、材料の表面張力によって基板の凹凸がスムージングされ、搬送部材の最表面が平坦化される。
更に、フレキシブルな静電搬送部材の強度を上げた更に他の例としては、基材として厚さ20〜30μmのSUS、Al材等を用いて、その表面に絶縁層(図1の搬送電極102と支持基板101との間の絶縁)として5μm程度の希釈したポリイミド材をロールコータによりコーティングする。そして、このポリイミドを例えば150℃−30分のプリベーク、350℃−60分のポストベークして薄層ポリイミド膜を形成して支持基板101とする。その後、密着性向上のプラズマ処理やプライマー処理を施した後、薄層電極層としてNi-Crを0.1〜0.2μmの厚みに蒸着し、フォトリソ、エッチングによって数10μmのファインパタンの電極102を形成する。更に、表面にSiO2、TiO2等の表面保護層103を0.5〜1μm程度の厚みにスパッタにより形成することで、フレキシブルな静電搬送部材を得ることができる。
この例では、円筒状ドラムに搬送部材を巻き付ける場合、静電搬送部材の基材となる金属材料として、円筒状ドラムの材質と同じもの、あるいは円筒状ドラムと線膨張係数が略一致するものを使用することによって、静電搬送部材と円筒状ドラムとの線膨張の差によって生じる温度による伸縮の問題が発生することを防止できる。また、静電搬送部材を画像形成装置の現像部に使用する場合、基材のSUS、Al材を感光体との間のバイアス電極として使用することも可能である。
これらのフレキシブルな静電搬送部材とすることで、円筒ドラムに巻き付けたり、一部分を湾曲して使用する等の自由度が増すと同時に、製造においてロール・トゥ・ロールによる量産が可能であり、高精度なファインピッチ電極を有する静電搬送部材を低コストで製造することが容易となる。
なお、上記のいずれの例においても、進行波電界を使用するため各電極と共通電極のコンタクトが必要であるが、2相については両者の電極を同時に形成できるが、例えば3相電界の場合は1相については間に絶縁層を介してブリッジパターンを形成すればよい。
ここで、現像剤供給条件について説明する。以下の例では二成分現像剤供給装置を用いた。スリーブと静電搬送基板表面とのギャップは1.0mmであり、静電搬送部材には周波数が5kHz、±150Vの電圧を印加した。供給バイアスは直流成分に交流成分が重畳された矩形波のバイアスを印加した。周波数を3kHzとし、Peak-to-Peak電圧の最大値V_hiが常に0Vになるようにし、最小値V_lowを変化させていくことによって、供給電界を変化させた。
次に、本発明の静電搬送装置の静電搬送部材における接触角について説明する。なお、接触角は、静電搬送部材の表面への純水に対する接触角であり、図5に示すように、液滴の高さをh、液滴の半径をrとし、接触角をθと表すと、θ=2tan−1(h/r)で算出される。本発明では、協和界面科学(株)製接触角計CA-Xを用いて、純水を帯電部材表面に滴下して測定した。
そこで、本実施の形態例の静電搬送部材の最表面の表面層にフッ素樹脂微粒子の含有量を変えて、接触角の異なる静電搬送部材を用いて評価を行った。その結果、120°より接触角を大きくしようとすると、表面層中に含フッ素樹脂微粒子の含有量が高く成りすぎ、表面層が柔らくなり、長期に渡って使用を続けると、無機外添剤が表面層に埋め込まれ、それを核としてトナーが付着して搬送ムラが発生したり、所定のタイミングで行う静電搬送部材のクリーニング時に擦り傷が発生しやすい。表面層の水に対する接触角が90°未満では、静電搬送部材上のトナー搬送ムラが発生し、供給バイアスを大きくしてトナーの供給量を多くすると、トナー供給部直下でトナー付着が発生した。よって、静電搬送部材として最適な水に対する接触角が90°〜120°であることがわかった。
また、静電搬送部材の表面に供給する表面エネルギー低下剤について説明する。表面エネルギー低下剤とは静電搬送部材の表面に付着し、静電搬送部材の表面エネルギーを低下させる物質のことである。本発明に用いられる表面エネルギー低下剤としては、静電搬送部材の表面への延展性及び均一な膜形成性能を有する材料として脂肪酸金属塩が最も好ましい。脂肪酸金属塩は、炭素数10以上の飽和又は不飽和脂肪酸の金属塩が好ましい。例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸ガリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、パルチミン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸金属塩である。ただし、表面エネルギー低下剤としては、静電搬送部材の表面の接触角を増加させる材料であれば、脂肪酸金属塩あるいはフッ素系樹脂等の材料に限定されない。
更に、表面エネルギー低下剤を静電搬送部材の表面に供給する手段としての表面エネルギー低下剤供給の第1の例としては、表面エネルギー低下剤としてステアリン酸亜鉛を現像剤の中にあらかじめ混入させた現像剤を使用し、現像剤から静電搬送部材に付与する方式がある。この方式の場合、静電搬送部材の周面に新たな部材を配置する必要がないため、簡易な構成で低コスト化が図れるメリットがある。また、画像形成時に継続して表面エネルギー低下剤が供給されるため、特別なモードを設けて、静電搬送部材の表面に塗布する必要がない利点がある。この方式で表面エネルギー低下剤を接触角が75°の静電搬送部材の表面に供給し、十分に搬送とクリーニングを繰り返した後の静電搬送部材表面の接触角は95°であった。この条件では供給バイアスを大きくして供給量を多くしても、供給ニップ領域、搬送途中ともにトナー付着が発生せず、良好なトナー静電搬送を続けることができた。
一方、比較例として、静電搬送部材の表面そのものの接触角が75°の静電搬送部材を用いて、ステアリン酸亜鉛を含まない現像剤で静電搬送を行ったところ、トナー供給量を多くした条件でトナー付着が発生し、それ以上トナー供給量を増やすことができなかった。また、このとき搬送ムラも発生した。
次に、表面エネルギー低下剤を静電搬送部材の表面に供給する手段としての表面エネルギー低下剤供給の第2の例としては、上述した表面エネルギー低下剤供給の第1の例のように現像剤中に表面エネルギー低下剤を混入させず、別途に表面エネルギー低下剤塗布手段を設ける構成とした。表面エネルギー低下剤の塗布手段は静電搬送部材の周面の適当な位置に設置することができるが、設置空間を有効利用するためには、トナー供給手段、クリーニング手段の一部を利用して設置しても良い。
ここで、表面エネルギー低下剤供給の第2の例としてクリーニング手段に表面エネルギー低下剤の塗布手段を併合した例について図6を用いて以下に説明する。図6に示すように、本発明の静電搬送部材の周面の適当な位置に設置されるクリーニング手段201と、現像剤供給手段としての二成分現像剤供給装置202と、フレキシブルな静電搬送基板をベルト状に巻いた静電搬送部材203とを有している。また、クリーニング手段201には剤付与手段を兼ねたブラシローラ201−1が用いられている。このブラシローラ201−1は静電搬送部材203に付着したトナーの除去機能と共に、表面エネルギー低下剤を静電搬送部材203に供給する手段としての機能を有する。即ち、ブラシローラ201−1は静電搬送部材203と接触し、その接触部においては静電搬送部材203と進行方向が同方向に回転し、静電搬送部材203上のトナーを除去すると共に、除去されたトナーを搬送し、搬送スクリュー201−2に回収する。この間の経路はブラシローラ201−1に除去手段としてのフリッカ201−3を当接させることにより、静電搬送部材203からブラシローラ201−1に転移したトナー等の除去物を除去することが好ましい。更に、このフリッカに付着したトナーをスクレーパ201−4で除去し、トナーを搬送スクリュー201−2に回収する。回収されたトナーは図示しないパイプを経由して現像剤供給装置に搬送され再利用される。また、表面エネルギー低下剤(ステアリン酸亜鉛等の固形素材)201−5はブラシローラ201−1にバネ荷重201−6で押圧されて取り付けられており、ブラシローラ201−1が回転しながら、表面エネルギー低下剤を擦過して、静電搬送部材203の表面に表面エネルギー低下剤を供給する。
このように、クリーニング手段201に備えられたブラシローラ201−1は静電搬送部材203と接離可能に配置されている。このクリーニングブラシローラ201−1は、現像剤が供給されているときには静電搬送部材203の表面から離間しており、現像剤が供給されていない所定のタイミングにおいて、静電搬送部材203の表面と当接し、しかるのちに、静電搬送部材203の表面が少なくとも1周以上、回転することによって、静電搬送部材203の全周面に表面エネルギー低下剤が塗布される。その後、クリーニングブラシローラ201−1は再び静電搬送部材203の表面から離間する。ここでいう所定のタイミングとは、例えば1ジョブ終了後、電源ON直後又は電源OFF直前、静電搬送部材203の表面状態を検知するために設けられたセンサからの信号により何らかの変化を検知したときなどが挙げられる。また、静電搬送部材203の回転については、回転方向、回転速度を限定するものではない。一般に静電搬送部材の電極の層の数nが増えるとともに回転体から接点を取り出すのが難しくなるので、図6に示すようなベルト状の静電搬送部材であっても、回転自在ではなく、1周以内の回転しかできないような構成であっても構わず、例えば1周回転した後に逆回転して、元の状態に戻すようにしても良い。
また、図6に示すように、ブラシローラで表面エネルギー低下剤を供給する方式では、表面エネルギー低下剤を静電搬送部材の全周面に均一に塗布することができるため、接触角のばらつきが少なく、より安定的なトナー搬送を行うことができる利点がある。また、現像工程以降の中間転写プロセスでのチリや中抜けといった画像品質上の問題を引き起こす恐れがないという利点がある。この方式で表面エネルギー低下剤を供給し、十分に搬送とクリーニングを繰り返した後の静電搬送部材の表面の接触角は110°であった。この条件では供給バイアスを大きくして供給量を多くしても、供給ニップ領域、搬送途中ともにトナー付着が発生せず、良好なトナー静電搬送を続けることができた。
一方、静電搬送部材の表面そのものの接触角が75°の静電搬送部材を用いて、表面エネルギー低下剤を供給しないで静電搬送を行ったところ、トナー供給量を多くした条件でトナー付着が発生し、それ以上トナー供給量を増やすことができなかった。また、このとき搬送ムラも発生した。
ここで、表面エネルギー低下剤供給手段の第1,第2の例及び比較例における供給バイアスの最大値V_lowと搬送量の関係を示す図7からわかるように、表面エネルギー低下剤供給手段の第1,第2の例がそれぞれ比較例に比べて安定に供給バイアスの最大値V_lowに応じたトナー搬送量を搬送できる。
以上説明したように、各実施の形態例においては、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いたが、一成分現像剤を用いた場合でも同様である。二成分方式では、静電搬送部材と現像スリーブ間の電界による力が、トナーとキャリアの付着力に打ち勝った場合に、トナーがキャリアから離脱して静電搬送部材に供給される。一方、一成分方式では、静電搬送部材と現像ローラ間の電界による力が、トナーと現像ローラ表面との付着力に打ち勝った場合に、トナーが静電搬送部材に供給される。
図8は本実施の形態例の静電搬送部材を用いた現像装置の構成例を示す概略図である。同図に示す現像装置は、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いる現像装置であり、静電潜像が形成される潜像担持体301との対向領域にトナーを搬送するローラ状に形成した静電搬送部材302と、この静電搬送部材302に対向し、静電搬送部材302に対してトナーを供給するトナー供給手段である現像剤担持体303と、この現像剤担持体303で供給するトナー及び磁性キャリアを収容する現像剤収容部304とを備えている。この場合、静電搬送部材302は潜像担持体301及び現像剤担持体303に対して径方向の反対側の領域で対向している配置としている。
なお、この静電搬送部材302と潜像担持体301は、50〜1000μm、好ましくは150〜400μmの間隙を開けて非接触で対向している。また、静電搬送部材302は回転せず、外周面をトナーが矢印Aの方向に搬送電界(移相電界)で搬送される。一方、現像剤担持体303は矢印Bの方向に回転する。
現像剤収容部304は、2室に分けられており、各室は現像装置内の両端部の図示しない現像剤通路によって連通している。この現像剤収容部304には二成分現像剤が収容されており、各室にある攪拌搬送スクリュー305a、305bによって攪拌されながら現像剤収容部304内を搬送されている。
また、現像剤収容部304には図示しないトナー収容部から現像剤を補給するためのトナー補給口306を設けている。そして、現像剤収容部304には現像剤の透磁率を検知する図示しないトナー濃度センサ(図示せず)が設置されており、現像剤の濃度を検知している。現像剤収容部304のトナー濃度が減少すると、トナー補給口306から現像剤収容部304にトナーが補給される。
更に、現像剤担持体303は、現像剤収容部304の攪拌搬送スクリュー305aと対向する領域に配置されている。現像剤担持体303の内部には、固定された磁石が配置されており、現像剤担持体303の回転と磁力によって、現像剤収容部304内の現像剤は現像剤担持体303の表面に汲み上げられる。
また、現像剤の汲み上げ領域より現像剤担持体303の回転方向(矢印Bの方向)下流側で静電搬送部材302との対向領域より上流側には、現像剤担持体303と対向する領域に現像剤層規制部材307を設け、汲み上げ領域で汲み上げたれた現像剤を一定量の現像剤層厚に規制される。そして、現像剤層規制部材307を通った現像剤は現像剤担持体303の回転に伴って、静電搬送部材302と対向する領域まで搬送される。
ここで、現像剤担持体303には、第1電圧印加手段308によって供給バイアスが印加されている。また、静電搬送部材302には、第2電圧印加手段309によって搬送電極に電圧が印加されている。
これにより、現像剤担持体303と静電搬送部材302が対向する領域においては、第1電圧印加手段308と第2電圧印加手段309によって静電搬送部材302と現像剤担持体303との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはキャリアから解離し、静電搬送部材302の表面に移動する。
次いで、潜像担持体301と対向する領域まで搬送電界によって搬送されたトナーは、静電搬送部材302と潜像担持体301上の画像部との間の現像電界によって潜像担持体301上に搬送されて潜像担持体301上の潜像を可視像化(現像)する。静電搬送部材302上の表面電位を検出する表面電位測定部310が、静電搬送部材302に対向して設けられている。搬送電圧が静電搬送部材302上の電極に印加された状態での、静電搬送部材302の表面電位は搬送電圧および搬送されているトナーの状態により変化する。この表面電位測定部310により直接表面電位を測定し検出することで、正確な静電搬送部材302上の電位を知ることが可能となる。
このように、二成分現像剤の場合、キャリアとの接触摩擦によってトナーが帯電するため、帯電が安定する。また、帯電の安定したトナーを大量に静電搬送部材に供給することができ、高速現像に適している。二成分方式の実施例では、現像剤担持体と静電搬送部材のギャップは、1.0mmとした。現像剤として、トナーから成る一成分現像剤を用いることもできる。
図9は本実施の形態例の静電搬送部材を用いた現像装置の別の構成例を示す概略図である。同図において、図8と同じ参照符号は同じ構成要素である。同図に示す現像装置は、非磁性トナーから成る一成分現像剤を用いた現像装置の一例であり、トナーは現像剤収容部304に収容されており、トナー補給ローラ311によってトナーは現像剤担持体303と摩擦帯電を行い、静電気力によって現像剤担持体303上に汲み上げられる。現像剤担持体303上のトナーは現像剤層規制部材307によって薄層とされ、現像剤担持体303の回転に伴って静電搬送部材302と対向する位置に搬送される。現像剤担持体303には、第1電圧印加手段308によって供給バイアスが印加されている。また、静電搬送部材302には、第2電圧印加手段309によって搬送電極に電圧が印加されている。静電搬送部材302と対向する位置においては、第1電圧印加手段308と第2電圧印加手段309によって静電搬送部材302と現像剤担持体303との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーは現像剤担持体303から解離し、静電搬送部材302の表面に移動する。静電搬送部材302の表面に達したトナーは、第2電圧印加手段309が印加する電圧による搬送電界によって、静電搬送部材302の表面上をホッピングしながら搬送される。潜像担持体301と対向する位置まで搬送電界によって搬送されたトナーは、静電搬送部材302と潜像担持体301上の画像部との間の現像電界によって、潜像担持体301上に現像される。現像に寄与しなかったトナーは静電搬送部材302によってさらに搬送され、回収手段(図示せず)によって静電搬送部材302の表面から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部304に戻され、現像装置内を循環する。
このように、一成分方式の場合は静電搬送部材へのキャリア付着の問題がなく、また現像剤収容部が簡単な構成となるため、小型化・低コスト化が可能である。一成分方式の実施例では、大部分の現像ローラと静電搬送部材のギャップは0.2mmとした。
ただし、静電搬送部材へのトナー供給方式は、従来の二成分磁気ブラシ方式、一成分方式に限定するものではなく、スポンジローラ等による直接供給・トナー帯電付与方式等であっても構わない。
なお、いずれの実施の形態例においても重合トナーを使用した。重合トナーは製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均一性に優れ、粒径分布がシャープであることから好ましい。
また、静電搬送部材の表面には、トナーの粒径と比べて非常に小さい凹凸を設ける粗面化処理を施すことが好ましい。例えば十点平均粗さ(Rz)が0.2〜2.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.8μmにすることにより、静電搬送部材へのトナー付着を防止できる。なお、Rzの測定には、表面粗さ計(小坂研究所社製 Surfcorder SE−30H)を用いた。
ここで、図10は粗面化処理を施した静電搬送部材の表面保護層の最表面を示す断面図である。同図に示すように、表面保護層103の表面に粗面化処理を施して凹部105a及び凸部105bを形成することで最表面を凹凸面とする。この粗面化処理は、例えば、表面保護層103を形成した後フォトリソと湿式エッチング(ウエットエッチング)又はフォトリソとドライエッチングを行って目的形状の凹凸面を形成する。または、表面保護層103自体の表面は平坦面とし、凹凸粒子をコート塗布し、あるいはシート膜を接着することなどによっても凹凸面を形成することができる。このように、静電搬送部材の最表面を粗面化処理することで、静電搬送部材の最表面の水に対する接触角が90°以上であれば、当該接触角をより一層大きくでき、所望の接触角120°まで大きくすることができるため、トナーTの基板への吸着力を低く抑えることができ、電極上でトナーが付着する問題がなくなり、搬送、ホッピングの効率向上を図ることができる。
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第1の実施の形態例の画像形成装置について図11を参照して説明する。
この画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム401は基体402上に感光体層403を形成してなり、同図で矢示方向に回転駆動される。この感光体ドラム401は帯電装置404によって一様に帯電され、露光部405からの読み取り画像に応じたレーザ光による書き込みにより、感光体ドラム401の表面に静電潜像が形成される。
そして、この感光体ドラム401の表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置406によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像は、給紙カセット407から給紙された転写紙(記録媒体)408に転写電源409からの電圧が印加される転写コロ410によって転写され、この可視像が転写された転写紙408は、感光体ドラム401の表面より分離されて、定着ユニット411のローラ間を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイへと排紙される。
一方、転写が終了した感光体ドラム401の表面に残留しているトナーはクリーニング装置412によって除去され、感光体ドラム401の表面に残留している電荷は除電ランプ413によって消去される。
そこで、本発明の現像装置について説明すると、現像装置406内には粉体であるトナーの帯電を施す部材の一例として帯電ブラシ414a、414bの両ブラシが接触するように配置され回転動作し、トナータンク415から送り込まれるトナーTは帯電ブラシ414a、414bによる摩擦を受けて帯電が施される。そして、帯電が施されたトナーTは、静電搬送部材416に送り込まれ、この静電搬送部材416上を搬送、ホッピングされて潜像担持体401に対向する現像領域に送られて、所要の現像を行った後、現像に供されなったトナーTは静電搬送部材416の終端から落下して、逆送用の静電搬送部材417によってトナーに帯電を施す部材(帯電ブラシ414b)に逆送される。
なお、静電搬送部材416及び逆送用の静電搬送部材417の構成は、上述した本発明の静電搬送部材100と同様であり、静電搬送部材416及び逆送用の静電搬送部材417の各電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、現像装置の実施の形態例で説明した同様である。
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
次に、本発明の現像装置を搭載する別の発明に係る第2の実施の形態例の画像形成装置について図12を参照して説明する。
第2の実施の形態例の画像形成装置の全体の概略及び動作を説明すると、潜像担持体である感光体ドラム501(例えば、有機感光体:OPC)は同図で時計方向に回転駆動される。コンタクトガラス502上に原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源503とミラー504とを含む走査光学系505と、ミラー506、507を含む走査光学系508とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。ここで、走査された原稿画像がレンズ509の後方に配置した画像読取素子510で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理される。そして、この画像処理をした信号でレーザダイオードを駆動し、このレーザダイオードからのレーザ光をポリゴンミラー511で反射した後、ミラー512を介して感光体ドラム501上に照射する。この感光体ドラム501は帯電装置513によって一様に帯電されており、レーザ光による書き込みにより、感光体ドラム501の表面に静電潜像が形成される。
そして、この感光体ドラム501表面の静電潜像は、本発明に係る現像装置514によってトナーが付着されて可視像化され、この可視像(トナー像)は、給紙部515A又は515Bから給紙コロ516A又は516Bで給紙された転写紙(記録媒体)517に転写チャージャ518のコロナ放電により転写される。この可視像が転写された転写紙517は、分離チャージャ519により感光体ドラム501の表面より分離されて、搬送ベルト520によって搬送され、定着ローラ対521の圧接部を通って、可視像が定着され、機外の排紙トレイ522へと排紙される。
一方、転写が終了した感光体ドラム501の表面に残留しているトナーはクリーニング装置523によって除去され、感光体ドラム501の表面に残留している電荷は除電ランプ524によって消去される。
図12の現像装置514は、図13に示すように、トナーを収納するトナーホッパ部525と、このトナーホッパ部525内のトナーを攪拌するアジテータ526と、トナーホッパ部525内のトナーを帯電させてトナーボックス部527に供給する帯電ローラ528及びこの帯電ローラ528の周面に接触させて配置したドクターブレード529とを備えている。また、トナーボックス部525内に供給されたトナーを現像のために搬送、ホッポングするために搬送する静電搬送部材530と、この静電搬送部材530の終端から落下する現像に供されなかったトナーを、帯電を施す部材である帯電ローラ528に戻す方向に搬送する逆送用の静電搬送部材531とを備えている。
なお、上記第1の実施の形態例でも述べたとおり、静電搬送部材530及び逆送用の静電搬送部材531の構成は、上述した静電搬送部材100と同様であり、静電搬送部材530及び逆送用の静電搬送部材531の各搬送電極に駆動波形を与える駆動回路の構成も図示は省略するが、上述した現像装置の実施の形態例で説明した同様である。
このように構成することで、飛散トナーが少なく、高い現像品質で現像を行って高画質の画像を形成することができる。
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた第3の実施の形態例の画像形成装置について、図14及び図15を参照して簡単に説明する。なお、図14はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略断面図、図15は図14のプロセスカートリッジの概略断面図である。
図14に示す画像形成装置600は、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の4色でフルカラー画像を形成するレーザプリンタの一例であり、各色用の画像信号に応じたレーザビームを出射する4つの光書込装置601−M、601−C、601−Y、601−Bk(以下、光書込装置601と総称する)と、作像用の4つのプロセスカートリッジ602−M、602−C、602−Y、602−Bk(以下、プロセスカートリッジ602と総称する)と、画像が転写される記録用紙を収納する給紙カセット603と、給紙カセット603から記録用紙を給紙する給紙ローラ604と、記録用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラ605と、記録用紙を各プロセスカートリッジの転写部に搬送する転写ベルト606と、記録用紙に転写された画像を定着する定着ベルト607と加圧ローラ608からなる定着装置609と、定着後の記録用紙を排紙トレイ611に排紙する排紙ローラ610等を備えた構成となっている。
4つのプロセスカートリッジからなるプロセスカートリッジ602は、図15に示すように、各プロセスカートリッジ602は、ケース内に像担持体であるドラム状の感光体612と、帯電ローラ613と、本発明に係る現像装置614と、クリーニングブレード615等を一体に備え、画像形成装置の本体に対して着脱可能に構成している。現像装置614を着脱自在であるプロセスカートリッジ602内に具備させることにより、メンテナンス性の向上、他の装置との一体交換を容易に行うことができるようになる。
また、現像装置614内には、トナー供給ローラ616、帯電ローラ617、静電搬送部材618、静電搬送部材618へのトナー送り込み基板619、回収トナーを戻すトナー戻しローラ620が設けられており、各色のトナーが収納されている。また、プロセスカートリッジ602の背面側には、図14の光書込装置601からのレーザビームLが入射される窓口となるスリット621が設けられている。
各光書き込み装置601−M、601−C、601−Y、601−Bkは、半導体レーザ、コリメートレンズ、ポリゴンミラー等の光偏向器、走査結像用光学系等から構成され、装置外部のパーソナルコンピュータ等のホスト(画像処理装置)から入力される各色用の画像データに応じて変調されたレーザビームを出射し、各プロセスカートリッジ602−M、602−C、602−Y、602−Bkの感光体612上を走査し、静電荷像(静電潜像)を書き込む。
そして、画像形成が開始されると、各プロセスカートリッジ602−M、602−C、602−Y、602−Bkの感光体612が帯電ローラ613で均一に帯電され、各光書込装置601−M、601−C、601−Y、601−Bkから画像データに応じたレーザビームが照射されて各感光体上に各色の静電潜像が形成される。
この感光体612上に形成された静電潜像は、本発明の現像装置614の静電搬送部材618によるETH現像により、各色のトナーによって現像され顕像化される。また、現像に供されなかったトナーは静電搬送部材618で搬送されてトナー戻しローラ620によってトナー送り込み基板619の入口側に戻される。このように、本発明に係る現像装置によって現像を行うことで、前述したように高品質の画像を形成することができる。
一方、各プロセスカートリッジ602−Bk、602−Y、602−C、602−Mの各色の画像形成に同期して、供給カセット603内の記録用紙が供給ローラ604で給紙され、レジストローラ605により所定のタイミングで転写ベルト606に向けて搬送される。そして、記録用紙は転写ベルト606に担持されて4つのプロセスカートリッジ602−Bk、602−Y、602−C、602−Mの感光体612に向けて順次搬送され、各感光体上のBk、Y、C、Mの各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。4色のトナー像が転写された記録用紙は、定着装置609に搬送され、4色のトナー像からなるカラー画像が定着されて排紙トレイ611に排紙される。
次に、別の発明に係るプロセスカートリッジを備えた第4の実施の形態例の画像形成装置について、図16及び図17を参照して簡単に説明する。なお、図16はプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の概略断面図、図17は図16のプロセスカートリッジの概略断面図である。
図16に示す画像形成装置700は、水平に延在する転写ベルト(像担持体)701に沿って、各色のプロセスカ−トリッジ702−Y、702−M、702−C、702−Bk(以下、プロセスカートリッジ702と総称する)を並置したタンデム方式のカラー画像形成装置である。なお、プロセスカートリッジ702は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で説明したが、この順番に特定されるものではなく、どの順番で並置してもよい。
そして、図17に示すプロセスカ−トリッジ702は、像担持体705、帯電手段706、静電搬送部材707を含む本発明に係る現像装置708、クリーニング装置709等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成している。
通常、カラーの画像形成装置は複数の画像形成部を有するため装置が大きくなってしまう。また、現像装置、クリーニングや帯電などの各ユニットが個別で故障したり、寿命による交換時期がきた場合は、装置が複雑でユニットの交換に非常に手間がかかっていた。
そこで、少なくとも像担持体と現像装置の構成要素をプロセスカートリッジ702として一体に結合して構成することによって、ユーザによる交換も可能な小型で高耐久のカラー画像形成装置を提供することができる。
ここで、各色のプロセスカートリッジ702−Y、702−M、702−C、702−Bkで現像された像担持体705上の現像トナーは水平に延在する転写電圧が印加された転写ベルト701に順次転写される。
このようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと画像の形成が行なわれ、転写ベルト701上に多重に転写され、転写手段703で転写材704にまとめて転写される。そして、転写材704上の多重トナー像は図示しない定着装置によって定着される。
上記各実施の形態例の画像形成装置は、いずれも本発明に係る現像装置を備えているので、装置の小型化、低コスト化を図れ、トナー飛散などもなく、画像品質を向上することができる。
なお、上記実施の形態例においては、粉体としてトナーを例に説明しているが、トナー以外の粉体を搬送するための装置などにも同様に適用することができる。また、搬送電極に印加する駆動信号は3相を例に説明しているが、4相、6相などのn相(nは2以上の正の整数)でもよい。また、搬送基板を円筒状にすることにより、搬送基板からのトナー回収が、小型化が可能になり、利用効率も向上する。
また、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。