JP4681170B2 - ガスセンサ素子の温度制御装置及び温度制御方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,各種ガスの濃度を検出するガスセンサ素子の温度制御装置及び温度制御方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,ガスセンサ素子は,電気化学セルにおいて検出する被測定ガスのガス濃度の検出に適した温度(電気化学セルの活性領域内の温度)に制御することにより,このガス濃度の検出精度を安定させるようにしている。
図16に示すごとく,ガスセンサ素子9の温度を制御する1つの方法として,ガスセンサ素子9に発熱体21を備えたヒータ部2と温度センサ91とを設け,温度センサ91によって検出する温度が所望の値になるように,ヒータ部2に通電する電源装置22の電圧をヒータ制御手段94によって可変させて,ガスセンサ素子9の温度を制御する方法がある。
【0003】
この方法によれば,ガスセンサ素子9の温度の制御を簡単に行うことができるが,ガスセンサ素子9に直接温度センサ91を設ける必要があり,ガスセンサ素子9の構造が複雑になってしまう。そのため,温度センサ91を設けることなく,ガスセンサ素子9の温度を制御できる方法が望まれている。
【0004】
図17に示すごとく,温度センサ91を設けることなくガスセンサ素子9の温度を制御する方法としては,例えば,ヒータ部2の抵抗とガスセンサ素子9の温度との間には,相関関係(図18参照)があることを利用する方法(従来技術1)がある。この方法においては,発熱体21を備えたヒータ部2に電圧計951と電流計952を設けると共に,これらによって検出した電圧及び電流よりヒータ演算手段95によってヒータ部2の抵抗を算出する。そして,この抵抗が所望の値になるようにヒータ制御手段94によりヒータ部2に通電する電源装置22の電圧を可変させることにより,ガスセンサ素子9の温度を制御している。
【0005】
また,図19に示すごとく,ガスセンサ素子9の温度を制御する他の方法として,ガスセンサ素子9においてガス濃度の検出を行う電気化学セル61を備えた検出部6のインピーダンスとガスセンサ素子9の温度との間の相関関係(図20参照)を利用する方法(従来技術2)がある。この方法においては,上記検出部6に交流電圧973を印加すると共に,この交流回路に電圧計971と電流計972とを設ける。そして,この電圧計971及び電流計972によって検出した電圧及び電流より,インピーダンス演算手段97によって検出部6のインピーダンスを算出する。そして,このインピーダンスの値が所望の値になるようにヒータ制御手段94により,発熱体21を備えたヒータ部2に通電する電源装置22の電圧を可変させて,ガスセンサ素子9の温度を制御している。
【0006】
【解決しようとする課題】
ところで,例えば,被測定ガスの温度,流速等が変動して,ガスセンサ素子9におけるガス濃度の測定環境下に変動があった場合には,ヒータ部2と検出部6における電気化学セル61との間に温度差が生じることがある。しかしながら,従来技術1においては,上記ヒータ部2に通電する電圧22を可変させて,ヒータ部2の抵抗の値を制御している。そのため,このような温度差が生じると,被測定ガスのガス濃度の検出を行う電気化学セル61の温度を適切に制御することが困難になる。そのため,高精度なガス濃度の測定を困難にしている。
【0007】
また,従来技術2においては,検出部6のインピーダンスを検出して,ガスセンサ素子9の温度を制御するため,電気化学セル61の温度を適切に制御することは可能になる。しかし,この電気化学セル61は,被測定ガスに接触するため,長期間の使用により劣化してしまうおそれがある。そして,この劣化が発生すると,電気化学セル61のインピーダンスの値が変化してしまう。そのため,従来技術2の方法においても,長期間使用する場合には,高精度なガス濃度の測定を困難にしている。
それ故,温度センサを直接取り付けることなく,ガスセンサ素子9の温度,特に検出部6の温度を適切に制御することができる方法が望まれている。
【0008】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,温度センサを設けることなく,高精度な温度制御を可能にすることができるガスセンサ素子の温度制御装置及び温度制御方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
第1の発明は,電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する装置において,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧を検出するヒータ電圧検出手段と,上記ヒータ部におけるヒータ電流を検出するヒータ電流検出手段と,
上記ヒータ電圧検出手段により検出されたヒータ電圧と,ヒータ電流検出手段により検出されたヒータ電流とに基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出するヒータ演算手段と,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することにより上記ガスセンサ素子の温度を制御するヒータ制御手段とを有することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置にある(請求項1)。
【0010】
本発明におけるガスセンサ素子の温度制御装置は,ヒータ抵抗とヒータ電力との間には相関関係があることを利用するものである。
本発明においては,ガスセンサ素子の温度を制御するに当たり,上記ヒータ制御関数を用いる。このヒータ制御関数は,上記ヒータ制御手段によってガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として求めておく。また,このヒータ制御関数は,ガスセンサ素子の周囲の環境が変動したときに,この変動がヒータ抵抗及びヒータ電力に与える影響をも加味した相関関数として求めておく。
【0011】
上記ガスセンサ素子の温度を制御するに当たっては,ヒータ制御手段において,上記ガスセンサ素子の目標温度を設定し,この目標温度におけるヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数を目標温度におけるヒータ制御関数とする。そして,ヒータ制御手段は,ガスセンサ素子がこの目標温度になるようにヒータ部への通電を開始する。
上記通電を行っているときに,ヒータ電圧検出手段によって上記ヒータ部におけるヒータ電圧を検出し,ヒータ電流検出手段によって上記ヒータ部におけるヒータ電流を検出する。また,上記ヒータ演算手段は,検出したヒータ電圧及びヒータ電流に基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出する。
【0012】
次いで,ヒータ演算手段によって算出されたヒータ抵抗及びヒータ電力の値は,上記ヒータ制御手段に送信される。
そして,上記ヒータ制御手段は,上記ヒータ抵抗とヒータ電力との値が,上記目標温度におけるヒータ制御関数を満たすか否かを判定する。つまり,ヒータ制御手段は,上記算出したヒータ抵抗及びヒータ電力の値から算出されるガスセンサ素子の現在温度が,上記目標温度になっているか否かを判定する。そして,上記現在温度が上記目標温度になるように,ヒータ部に通電する電圧を可変させて,ヒータ電圧を制御する。
【0013】
このようにして,上記ヒータ電圧の制御を行うことにより,ガスセンサ素子の温度を目標温度に制御することができる。
ところで,例えば,検出部の電気化学セルにおいて測定する被測定ガスの温度,流速等が変動して,ガスセンサ素子におけるガス濃度の測定環境下に変動が生じたときには,上記ヒータ部における温度と上記検出部における温度との間に温度差が生じる場合がある。これに対し,本発明においては,上記のごとく,上記ヒータ制御関数が,ガスセンサ素子におけるガス濃度の測定環境下に変動があったときに,この変動がヒータ抵抗及びヒータ電力に与える影響をも加味した相関関数となっている。
【0014】
そのため,上記変動があったときにも,この変動に対するヒータ抵抗とヒータ電力の値の変化をも加味したヒータ制御関数を用いて,ガスセンサ素子の温度を適切に制御することができる。そして,ヒータ制御関数によりガスセンサ素子の温度を適切に制御することにより,間接的には,上記検出部の電気化学セルにおける温度を適切に制御することができる。
それ故,本発明のガスセンサ素子の温度制御装置によれば,高精度でガスセンサ素子の温度を制御することができる。
【0015】
第2の発明は,電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する装置において,
上記検出部に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と,
上記検出部におけるセル電圧を検出するセル電圧検出手段と,上記検出部におけるセル電流を検出するセル電流検出手段と,
上記セル電圧検出手段により検出されたセル電圧と,セル電流検出手段により検出されたセル電流とに基づいて,上記検出部のインピーダンスを算出するインピーダンス演算手段と,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧を検出するヒータ電圧検出手段と,上記ヒータ部におけるヒータ電流を検出するヒータ電流検出手段と,
上記ヒータ電圧検出手段により検出されたヒータ電圧と,ヒータ電流検出手段により検出されたヒータ電流とに基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出するヒータ演算手段と,
上記インピーダンス演算手段によって算出されたインピーダンスの値が,上記検出部のインピーダンスと上記ガスセンサ素子の温度との相関関数として予め求めたインピーダンス制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することによって上記ガスセンサ素子の温度を制御するヒータ制御手段と,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数を再設定するインピーダンス校正手段とを有していることを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置にある(請求項2)。
【0016】
本発明におけるガスセンサ素子の温度制御装置は,検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との間には相関関係があることを利用するものである。そして,本発明は,上記第1の発明で示したヒータ抵抗とヒータ電力との間における相関関係により,上記インピーダンスに基づく温度制御をより適切にしようとするものである。
【0017】
本発明においても,ガスセンサ素子の温度を制御するに当たり,上記第1の発明と同様に,上記ヒータ制御関数を上記ヒータ抵抗とヒータ電力との間の相関関数として求めておく。
また,本発明においては,上記インピーダンス制御関数を上記検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との相関関数として求めておく。
【0018】
本発明においては,上記ガスセンサ素子の検出部に上記交流電圧印加手段を設け,この交流電圧印加手段の交流回路の一部に上記セル電圧検出手段及びセル電流検出手段を設ける。そして,インピーダンス演算手段は,これらによって検出したセル電圧及びセル電流に基づいて検出部のインピーダンスを算出する。
一方,上記第1の発明と同様にして,上記ヒータ部にはヒータ電圧検出手段及びヒータ電流検出手段が設けてあり,これらによりヒータ電圧及びヒータ電流を検出する。また,上記ヒータ演算手段は,検出したヒータ電圧及びヒータ電流に基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出する。
【0019】
上記ガスセンサ素子の温度を制御するに当たっては,ヒータ制御手段において,上記ガスセンサ素子の目標温度を設定する。そして,この目標温度を上記検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との相関関数に代入し,この目標温度におけるインピーダンスの値をインピーダンスの狙い値として,上記ヒータ制御手段に設定する。
そして,ヒータ制御手段は,ガスセンサ素子が上記目標温度になるようにヒータ部への通電を開始する。
【0020】
上記通電を行っているときに,セル電圧検出手段によって上記検出部におけるセル電圧を検出し,セル電流検出手段によって上記検出部におけるセル電流を検出する。また,上記インピーダンス演算手段は,検出したセル電圧及びセル電流に基づいて,インピーダンスを算出する。
次いで,インピーダンス演算手段によって算出されたインピーダンスの値は,上記ヒータ制御手段に送信される。
【0021】
そして,上記ヒータ制御手段は,上記算出したインピーダンスの値が,上記目標温度におけるインピーダンスの狙い値であるか否かを判定する。つまり,ヒータ制御手段は,上記算出したインピーダンスの値から算出されるガスセンサ素子の現在温度が,上記目標温度になっているか否かを判定する。そして,上記現在温度が上記目標温度になるように,ヒータ部に通電する電圧を可変させて,ヒータ電圧を制御する。
【0022】
このようにして,上記ヒータ電圧の制御を行うことにより,ガスセンサ素子の温度を目標温度に制御することができる。
ところで,例えば,検出部の電気化学セルにおいて測定する被測定ガスの温度,流速等が変動して,ガスセンサ素子におけるガス濃度の測定環境下に変動が生じたときには,上記ヒータ部における温度と上記検出部の電気化学セルにおける温度との間に温度差が生じる場合がある。
【0023】
この場合に対し,本発明の温度制御装置は,上記のごとく,上記検出部の電気化学セルにおけるインピーダンスに基づき,ガスセンサ素子の温度の制御を行っている。そのため,上記電気化学セルの温度を,直接上記ガスセンサ素子の温度制御に反映することができる。
それ故,本発明によれば,ガスセンサ素子におけるガス濃度の測定環境下の変動等の外乱に対しても,強固な温度制御装置を実現することができる。
【0024】
また,上記ガスセンサ素子を長期間に渡って使用しているとき等には,ガスセンサ素子における検出部の電気化学セルに劣化等を生じ,上記検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との間の相関関数に狂いが生ずるおそれがある。これに対し,本発明においては,上記インピーダンス校正手段を有している。
【0025】
即ち,本発明においては,このインピーダンス校正手段により,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たすように,上記上記検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との間の相関関数を再設定する。そのため,上記検出部の電気化学セルに劣化等を生じた場合においても,上記検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との間の相関関数の狂いを校正することができる。
【0026】
そのため,上記長期間の使用により電気化学セルに劣化等が生じてインピーダンス制御関数に狂いが生じたときでも,上記ヒータ制御関数を用いて,ガスセンサ素子の温度を適切に制御することができる。
それ故,本発明のガスセンサ素子の温度制御装置によれば,高精度でガスセンサ素子の温度を制御することができる。
【0027】
第3の発明は,電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する方法において,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧及びヒータ電流を検出し,上記ヒータ電圧と上記ヒータ電流とに基づいてヒータ抵抗及びヒータ電力を算出し,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することにより上記ガスセンサ素子の温度を制御することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法にある(請求項6)。
【0028】
本発明のガスセンサ素子の温度制御方法によれば,上記第1の発明における温度制御装置の優れた特性を生かして,ガスセンサ素子の温度を制御することができる。それ故,本発明のガスセンサ素子の温度制御方法によれば,高精度でガスセンサ素子の温度を制御することができる。
【0029】
第4の発明は,電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する方法において,
上記検出部に交流電圧を印加すると共に該検出部におけるセル電圧及びセル電流を検出し,上記セル電圧と上記セル電流とに基づいて上記検出部のインピーダンスを算出し,
該インピーダンスの値が,上記検出部のインピーダンスと上記ガスセンサ素子の温度との相関関数として予め求めたインピーダンス制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することによって上記ガスセンサ素子の温度を制御するに当たり,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧及びヒータ電流を検出し,上記ヒータ電圧と上記ヒータ電流とに基づいてヒータ抵抗及びヒータ電力を算出し,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数を再設定することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法にある(請求項7)。
【0030】
本発明のガスセンサ素子の温度制御方法によれば,上記第2の発明における温度制御装置の優れた特性を生かして,ガスセンサ素子の温度を制御することができる。それ故,本発明のガスセンサ素子の温度制御方法によれば,高精度でガスセンサ素子の温度を制御することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明,第2の発明,第3の発明及び第4の発明のいずれにおいても,上記ヒータ電圧の制御は上記ヒータ部に通電する電圧により行い,この電圧は,ヒータ部に電源装置を設けてこの電源装置の電圧を可変させることにより制御することができる。
また,上記ヒータ電圧の制御は,通電する電圧を上下させて行うことができる。そして,この場合,例えば,上記ガスセンサ素子における現在温度が目標温度になったときには,ヒータ電圧を一定にすることができる。また,この場合,上記現在温度が目標温度よりも低い場合にはヒータ電圧を上昇させ,一方,上記現在温度が目標温度よりも高い場合にはヒータ電圧を下降させて,現在温度が目標温度となるように,ヒータ電圧を制御することができる。
【0032】
また,上記ヒータ電圧の制御は,通電する電圧を上下させるのではなく,通電する電圧の通電時間を変化させて行ってもよい。
また,上記ヒータ電圧の制御は,上記現在温度が目標温度となるように,これらの間の誤差に基づくいわゆるフィードバック制御を行ってもよい。
【0033】
また,上記ガス濃度を測定するガスセンサ素子の測定環境下の変動要因としては,例えば,被測定ガスの温度,流速,組成等の変動,外気温の変動等が考えられる。
また,上記ヒータ制御関数は,ガスセンサ素子のヒータ部の構造等が異なる場合は,このガスセンサ素子毎に求めておくことができる。この場合,ヒータ部の構造等の違いがヒータ制御関数に及ぼす影響を反映することができる。
また,上記第2の発明及び第4の発明におけるインピーダンス制御関数についても,ガスセンサ素子の電気化学セルの構造等が異なる場合は,このガスセンサ素子毎に求めておくことができる。この場合,ガスセンサ素子における電気化学セルの構造の違い等がインピーダンス制御関数に及ぼす影響を反映することができる。
【0034】
上記第1の発明及び第2の発明におけるガスセンサ素子の温度制御装置は,自動車のエンジンの排気系に設置するガスセンサ素子に使用することができる。また,上記温度制御装置は,エンジンの排気ガスに含まれるNOx,酸素ガス等のガス濃度を検出するガスセンサ素子に使用することができる。
また,上記温度制御装置は,エンジンの空燃比制御,触媒制御又は劣化検知等に使用するガスセンサ素子に使用することができる。
【0035】
また,上記第3の発明及び第4の発明におけるガスセンサ素子の温度制御方法は,自動車のエンジンの排気系に設置するガスセンサ素子の温度制御に使用することができる。また,上記温度制御方法は,エンジンの排気ガスに含まれるNOx,酸素ガス等のガス濃度を検出するガスセンサ素子の温度制御に使用することができる。
また,上記温度制御方法は,エンジンの空燃比制御,触媒制御又は劣化検知等に使用するガスセンサ素子の温度制御に使用することができる。
【0036】
また,上記第2の発明及び第4の発明において,上記検出部に印加する交流電圧は,正弦波,矩形波,三角波,もしくはそれらに類した波形とすることができる。
また,上記第2の発明において,上記インピーダンス校正手段は,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係がヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数におけるインピーダンスの狙い値を再設定することができる。
また,上記第4の発明におけるガスセンサ素子の温度制御方法において,上記インピーダンス制御関数の再設定は,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係がヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数におけるインピーダンスの狙い値を再設定することによって行うことができる。
【0037】
また,上記第2の発明又は第4の発明において,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たしている場合とは,上記インピーダンス演算手段により算出されたインピーダンスの値を上記インピーダンス制御関数に代入して求まる温度が,上記ヒータ演算手段により算出されたヒータ抵抗及びヒータ電力の値を上記ヒータ制御関数に代入して求まる温度との間に誤差が生じていない場合とすることができる。
なお,この誤差は,ガスセンサ素子の目標温度の誤差として許容される範囲内の誤差とすることができる。
【0038】
また,上記ガスセンサ素子の温度制御装置は,エンジンの排気ガスを測定するガスセンサ素子の温度を制御する装置とすることができる(請求項5)。
この場合,上記温度制御装置により,ガスセンサ素子の温度制御を行い,エンジンの排気ガスの濃度の測定を高精度にすることができる。
【0039】
また,上記第2の発明の温度制御装置においては,上記インピーダンス校正手段は,上記検出部において検出する被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速の少なくともいずれか一方の変動が所定の範囲内にあるときに,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有していてもよい(請求項3)。
【0040】
この場合,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速が変動したことによって生じているのではないと,インピーダンス校正時期検出手段によって検出することができる。
即ち,上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記電気化学セルの劣化等が起こって生じていると検出することができる。そのため,この検出を行っているときに,上記インピーダンス制御関数の校正を行うことにより,正確にインピーダンス制御関数の校正を行うことができる。
【0041】
また,上記インピーダンス校正手段は,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときに,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有していてもよい(請求項4)。
【0042】
この場合,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記エンジンの回転数が変動したことによって生じているのではないと,インピーダンス校正時期検出手段によって検出することができる。
【0043】
即ち,上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記電気化学セルの劣化等が起こって生じていると検出することができる。そのため,この検出を行っているときに,上記インピーダンス制御関数の校正を行うことにより,インピーダンス制御関数の校正を正確に行うことができる。
また,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときとは,例えば,アイドリングを行っているときとすることができる。
【0044】
また,上記ガスセンサ素子の温度制御方法においても,エンジンの排気ガスを測定するガスセンサ素子の温度を制御することができる(請求項10)。
この場合,上記温度制御装置により,ガスセンサ素子の温度制御を行い,エンジンの排気ガスの濃度の測定を高精度にすることができる。
【0045】
また,上記インピーダンス制御関数の再設定は,上記検出部において検出する被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速の少なくともいずれか一方の変動が所定の範囲内にあるときに行うことができる(請求項8)。
この場合,上記温度制御方法において,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速が変動したことによって生じているのではないと検出することができる。
【0046】
即ち,上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記電気化学セルの劣化等が起こって生じていると検出することができる。そのため,この検出を行っているときに,上記インピーダンス制御関数の校正を行うことにより,インピーダンス制御関数の校正を正確に行うことができる。
【0047】
また,上記インピーダンス制御関数の再設定は,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときに行うことができる(請求項9)。
この場合,上記温度制御方法において,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記エンジンの回転数が変動したことによって生じているのではないと検出することができる。
【0048】
即ち,上記ヒータ制御関数を満たしていないときは,上記電気化学セルの劣化等が起こって生じていると検出することができる。そのため,この検出を行っているときに,上記インピーダンス制御関数の校正を行うことにより,インピーダンス制御関数の校正を正確に行うことができる。
また,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときは,例えば,アイドリングを行っているときとすることができる。
【0049】
【実施例】
(実施例1)
本例におけるガスセンサ素子の温度制御方法は,ガスセンサ素子に設けたヒータ部におけるヒータ抵抗とヒータ電力との間には相関関係があることを利用するものである。
即ち,図1に示すごとく,本例の温度制御方法では,電気化学セル61を備えた検出部6と,通電により発熱する発熱体21を備えたヒータ部2とを有するガスセンサ素子1の温度の制御を行う。そして,上記ヒータ部2には,ヒータ電圧の検出を行うヒータ電圧検出手段51と,ヒータ電流の検出を行うヒータ電流検出手段52とを設けておく。
【0050】
そして,上記温度制御を行うに当たっては,上記ヒータ部2におけるヒータ電圧Vh及びヒータ電流Ihを検出し,このヒータ電圧Vhとヒータ電流Ihとに基づいてヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを算出する。そして,このヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの関係が,予め求めておいたヒータ制御関数Fhを満たすように,上記ヒータ電圧Vhを制御することにより上記ガスセンサ素子1の温度を制御する。
【0051】
以下に,これを詳説する。
まずは,本例において用いるガスセンサ素子1の構成について説明する。
図2に示すごとく,ガスセンサ素子1は,絶縁材に外周を保持されて円筒ハウジング3内に収容されている。ガスセンサ素子1は,平板状に形成されており,一方の端部110は,上記ハウジング3よりも突出して,ハウジング3の一方の端部310に固定された容器状の排気カバー31内に収容されている。
【0052】
この排気カバー31は,ステンレス製の内部カバー311と外部カバー312との2重構造となっている。内部カバー311及び外部カバー312の側壁と底壁には,被測定ガスである排気ガスを排気カバー31内に導入するための導入口313及び導入口314がそれぞれ形成してある。
【0053】
上記ハウジング3の他方の端部320には,筒状のメインカバー321とその端部を覆うサブカバー322とからなる大気カバー32が固定されている。メインカバー321及びサブカバー322は,ガスセンサ素子1に基準ガスである大気を導入する必要があるため,それらの側壁の互いに対向する位置に大気口323及び大気口324を設ける。そして,これら大気口323及び大気口324より大気カバー32内に大気を導入するようになっている。
【0054】
また,メインカバー321とサブカバー322との間において,大気口323と大気口324とが形成されている部分には,防水のための撥水性のフィルタ325が設けてある。
また,上記大気カバー32のガスセンサ素子1が位置する側とは反対側の端部には開口部326が設けてあり,ガスセンサ素子1の他方の端部120に接続されたリード線33がこの開口部326から大気カバー32の外部に延びている。
【0055】
また,上記リード線33は,後述するヒータ部2におけるリード部211に対応し,後述するヒータ直流回路に接続されている。
また,上記リード部33は,後述する検出部6におけるリード部611にも対応しており,後述する交流回路70に接続されている。
【0056】
本例のガスセンサ素子の温度制御装置101は,自動車のエンジンの排気ガスを測定するガスセンサ素子1の温度を制御する装置である。また,本例におけるガスセンサ素子1は,排気ガスに含まれるNOx,酸素等を測定することによって,エンジンの燃焼制御を最適に行うために使用されるものである。
【0057】
また,図3に示すごとく,本例におけるガスセンサ素子1は,積層型ガスセンサ素子10である。
この積層型ガスセンサ素子10は,酸素イオンの導電性を有する固体電解質板11,絶縁性を有するスペーサ12及びセラミック板13を積層させて形成されている。また,この積層型ガスセンサ素子10には,被測定ガスを導入する被測定ガス空間14と,被測定ガスのガス濃度を測定する際の基準とする基準ガスを導入する基準ガス空間15とが設けてある。
【0058】
また,上記電気化学セル61は,上記固定電解質板11と,この固定電解質板11を挟むようにして設けた一対の電極615,616とからなり,一方の電極615は上記被測定ガス空間14に曝され,他方の電極616は上記基準ガス空間15に曝されている。
また,上記発熱体21は,スペーサ12とセラミック板13との間に設けてある。
【0059】
図1に示すごとく,本例の温度制御方法においては,温度制御装置101を用いてガスセンサ素子1の温度の制御を行う。
同図に示すごとく,温度制御装置101は,ヒータ電圧Vhを検出するヒータ電圧検出手段51,ヒータ電流Ihを検出するヒータ電流検出手段52,ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを算出するヒータ演算手段5,ガスセンサ素子1の温度を制御するヒータ制御手段4を有している。
【0060】
上記ヒータ部2は,上記ガスセンサ素子1の内部に配置された発熱体21と,発熱体21に通電を行う電源装置22と,該電源装置22と発熱体21とを結ぶリード部211とを有している。また,本例においては,電源装置22は直流電源装置である。また,ヒータ部2は電源装置22によりヒータ直流回路20を形成している。
上記ヒータ電圧検出手段51は,上記ヒータ直流回路20に設けてあり,発熱体21を含むヒータ部2における電圧を測定するようになっている。また,上記ヒータ電流検出手段52もまた,ヒータ直流回路20に設けてあり,発熱体21を含むヒータ部2に流れる電流を測定するようになっている。
【0061】
上記ヒータ演算手段5は,ヒータ電圧検出手段51と電気的に接続されており,ヒータ電圧検出手段51から電圧の信号を受信するようになっている。上記ヒータ演算手段5は,ヒータ電流検出手段52とも電気的に接続されており,ヒータ電流検出手段52から電流の信号を受信するようになっている。そして,ヒータ演算手段5は,ヒータ電圧Vh及びヒータ電流Ihからヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを求めるようになっている。
また,上記ヒータ演算手段5は,ヒータ制御手段4と電気的に接続されており,ヒータ制御手段4にヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを送信するようになっている。
【0062】
上記ヒータ制御手段4は,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの関係が,ヒータ制御関数Fhを満たすように,上記電源装置22の電圧を可変させてヒータ電圧Vhを制御する。
そして,ヒータ制御手段4は,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの関係が,ヒータ制御関数Fhを満たす場合に,ガスセンサ素子1の温度が所望とする目標温度Trになっているとする。
【0063】
本例においては,上記ヒータ制御関数Fhは,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下が変動したときに,ガスセンサ素子1の温度を所望の各目標温度Trに保つときの上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの相関関係Fsとして求めておく。
【0064】
以下に,上記相関関数Fsを求める方法につき説明する。
本例においては,相関関数Fsを求めるに当たり,ガスセンサ素子1における電気化学セル61の近傍に温度センサを設置し,この温度センサの温度をガスセンサ素子1の温度とする。そして,ガスセンサ素子1の温度が所望の目標温度Trとなるように,電源装置22の電圧を可変させてヒータ部2に通電するヒータ電圧Vhを制御した。そして,ガスセンサ素子1の温度が所望の目標温度Trになったときのヒータ電圧Vh及びヒータ電流Ihを読み取り,これらよりヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを算出した。
【0065】
本例においては,上記所望の目標温度Trは,730℃,750℃,770℃とした。また,本例においては,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下の変動は,検出部6の電気化学セル61においてガス濃度の測定を行う被測定ガスの温度Tgの変化とした。
そして,この被測定ガスの温度Tgの変化がガスセンサ素子1の温度に与える影響を加味して,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの相関関数Fsを求めた。
【0066】
横軸にヒータ電力Wh,縦軸にヒータ抵抗Rhを取り,上記ガスセンサ素子1の温度及び被測定ガスの温度Tgをパラメータとして,ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとをプロットしたのが,図4である。
同図より,概ね,ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの相関関数Fsは,ガスセンサ素子1の温度を高くするためにヒータ電圧Vhを上昇させると,ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whは共に上昇する関係を有していることがわかる。また,上記相関関数Fsは,被測定ガスの温度Tgを高くした場合には,ヒータ抵抗Rhは上昇するが,ヒータ電力Whは低下する関係を有していることがわかる。
【0067】
以下に,上記相関関数Fsについて詳説する。
ガスセンサ素子1の温度が一定である場合のヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの関係は,相関関数Fs1に近似することができる。この相関関数Fs1は右肩下がりの比例関数となった。
この相関関数Fs1によれば,被測定ガスの温度Tgが変化した場合においても,検出するヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値が,上記相関関数Fs1を満たすように,つまり上記相関関数Fs1のライン上に近づくようにヒータ電圧Vhを制御すれば,ガスセンサ素子1の目標温度Trが得られることがわかる。
【0068】
また,被測定ガスの温度Tgが一定である場合のヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの関係は,関数Fs2に近似することができる。この相関関数Fs2は右肩上がりの比例関数となった。
【0069】
この関数Fs2によれば,ガスセンサ素子1の温度は,ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとが上昇したときに上昇する。つまり,検出したヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの関係が,上記ガスセンサ素子1の目標温度Trにおける相関関数Fs1のラインよりも,左下方向にある場合(図5のTh1参照)には,ガスセンサ素子1の現在温度Th1は,目標温度Trよりも低いことになる。
そのため,上記ヒータ制御手段4によりヒータ電圧Vhを上昇させて,ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whが上記ガスセンサ素子1の目標温度Trにおける相関関数Fs1のラインに近づくようにすれば,ガスセンサ素子1の目標温度Trが得られることがわかる。
【0070】
一方,検出したヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの関係が,上記ガスセンサ素子1の目標温度Trにおける相関関数Fs1のラインよりも,右上方向にある場合(図5のTh2参照)には,ガスセンサ素子1の現在温度Th2は,目標温度Trよりも高いことになる。そのため,上記ヒータ制御手段4によりヒータ電圧Vhを下降させて,ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whが上記ガスセンサ素子1の目標温度Trにおける相関関数Fs1のラインに近づくようにすれば,ガスセンサ素子1の目標温度Trが得られることがわかる。
【0071】
次に,図6のフローチャートを用いて,ガスセンサ素子1の目標温度Trを得る方法の一例を説明する。
まずは,上記の手順に従って,ヒータ制御関数Fhとしての相関関数Fsを求めておく。
次いで,上記ヒータ制御手段4により,電源装置22の電圧を上げて発熱体21を含むヒータ部2に通電し,ガスセンサ素子1の温度を上昇させる。
また,ガスセンサ素子1においてガス濃度を検出するのに適した温度を,ガスセンサ素子1の目標温度Trとして,相関関数Fsにおいて目標温度Trを維持するための相関関数Fs1をヒータ制御手段4に設定する。
【0072】
そして,ステップS100において,ガスセンサ素子1の温度制御をスタートする。
次いで,ステップS101において,上記ヒータ電圧検出手段51によりヒータ電圧Vhを検出すると共に,上記ヒータ電流検出手段52によりヒータ電流Ihを検出する。
次いで,ステップS102において,上記ヒータ演算手段5によりヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whを算出する。このヒータ抵抗Rhは,Rh=Vh/Ihより求め,ヒータ電力Whは,Wh=Vh×Ihより求める。また,このヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whは,ヒータ制御手段4に送信される。
【0073】
次いで,ステップS103において,ヒータ制御手段4は,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値が,上記相関関数Fs1を満たすか否かを判定する。つまり,ヒータ制御手段4は,算出したヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値により求まるガスセンサ素子1の現在温度Thが,目標温度Trよりも高いか低いかを判定する。
S103の判定がYesの場合は,再びS101に戻る。なお,この場合は,上記電源電圧22の電圧を可変させる必要がない場合であり,ヒータ制御手段4はこの電圧の値を維持する。
【0074】
一方,S103の判定がNoの場合は,ヒータ制御手段4は,ステップS104において上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値が,上記相関関数Fs1よりも左下方向にあるか否かを判定する。つまり,この場合は,上記現在温度Thが目標温度Trよりも低いか否かを判定していることになる。
【0075】
S104の判定がYesの場合は,現時点におけるヒータ抵抗Rh1とヒータ電力Wh1との値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Th1が,目標温度Trよりも低い場合(図5のTh1参照)であるため,ステップS105において,上記ヒータ制御手段4により電源装置22の電圧を上げる。そして,その後,再びS101を行う。
【0076】
一方,S104の判定がNoの場合は,現時点におけるヒータ抵抗Rh2とヒータ電力Wh2との値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Th2が,目標温度Trよりも高い場合(図5のTh2参照)であるため,ステップS106において上記ヒータ制御手段4により電源装置22の電圧を下げる。そして,その後,再びS101を行う。
【0077】
そして,上記電源装置22の電圧の上げ下げを繰り返してヒータ電圧Vhを制御することにより,最終的には,ガスセンサ素子1の温度を目標温度Trに保つためのヒータ電圧Vhの値が維持される。
このように,上記ヒータ制御手段4により電源装置22の電圧を可変させてヒータ電圧Vhを制御することにより,ガスセンサ素子1の目標温度Trを得ることができる。
【0078】
なお,上記ヒータ電圧Vhを制御してガスセンサ素子1の温度を制御するに際して,図6のフローチャートによれば,上記S101〜S106の制御ループを繰り返す間で,ガスセンサ素子1の現在温度Thが,目標温度Trよりもかなり低い場合には,上記ヒータ電圧Vhはほとんど最大の値に制御することになる。
そして,現在温度Thが始めて目標温度Trになったあるいは始めて目標温度Trを超えたときに,ヒータ電圧Vhの値が下がることになる。そして,その後,現在温度Thが上記目標温度Trの近傍で変位するようになり,例えば,ガスセンサ素子1のガス濃度の測定環境下に変動がないときには,ヒータ電圧Vhの値とガスセンサ素子1の温度とがつりあい,このガスセンサ素子1の温度が目標温度Trに維持されることになる。
【0079】
また,上記S103において,ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whの値が相関関数Fs1を満たす場合を,相関関数Fs1のライン上とするのではなく,ガスセンサ素子1の目標温度Trに許容される誤差の範囲内で,右上方向又は左下方向の少なくともいずれか一方に幅を持たせて設定してもよい。
【0080】
また,本例では,ヒータ電圧Vhの制御は,上記電源装置22の電圧を上げ下げして行った。これに対して,上記電源装置22の電圧によりヒータ部2に通電する時間を可変させて,ヒータ電圧Vhの制御を行ってもよい。
また,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの値が上記相関関数Fs1に近づくように,目標温度Trと現在温度Thとの誤差に基づくPID制御等のフィードバック制御を行ってもよい。
【0081】
ところで,例えば,検出部6の電気化学セル61において測定する被測定ガスの温度Tgが変動して,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下に変動が生じたときには,上記ヒータ部2における温度と上記検出部6における温度との間に温度差が生じる場合がある。これに対し,本例においては,上記のごとく,上記ヒータ制御関数Fhが,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下に変動があったときに,この変動がヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whに与える影響をも加味した相関関数Fsとなっている。
【0082】
そのため,上記変動があったときにも,この変動に対するヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whの値の変化をも加味した相関関数Fsを用いて,ガスセンサ素子1の温度を適切に制御することができる。そして,相関関数Fsによりガスセンサ素子1の温度を適切に制御することにより,間接的には,上記検出部6の電気化学セル61における温度を適切に制御することができる。
それ故,本例のガスセンサ素子1の温度制御方法によれば,高精度でガスセンサ素子1の温度を制御することができる。
【0083】
(実施例2)
本例におけるガスセンサ素子の温度制御方法は,検出部のインピーダンスとガスセンサ素子の温度との間には相関関係があることを利用するものである。そして,本例は,上記実施例1で示したヒータ抵抗とヒータ電力との間における相関関係により,上記インピーダンスに基づく温度制御をより適切にしようとするものである。
【0084】
即ち,図7に示すごとく,本例の温度制御方法においても,電気化学セル61を備えた検出部6と,通電により発熱する発熱体21を備えたヒータ部2とを有するガスセンサ素子1の温度の制御を行う。そして,上記ヒータ部2には,ヒータ電圧Vhの検出を行うヒータ電圧検出手段51と,ヒータ電流Ihの検出を行うヒータ電流検出手段52とを設けておく。また,上記ヒータ演算手段5は,検出したヒータ電圧Vh及びヒータ電流Ihに基づいて,ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを算出するよう構成されている。
【0085】
また,本例においては,上記ガスセンサ素子1の検出部6に上記交流電圧印加手段73を設け,この交流電圧印加手段73による交流回路70の一部に上記セル電圧検出手段71及びセル電流検出手段72を設ける。そして,これらによって検出したセル電圧Vc及びセル電流Icに基づいて,インピーダンス演算手段7は検出部6のインピーダンスRcを算出する。
【0086】
そして,本例の温度制御方法は,上記インピーダンス演算手段7によって算出されたインピーダンスRcの値が予め求めておいたインピーダンス制御関数Fcを満たすように,上記ヒータ電圧Vhを制御することによって上記ガスセンサ素子1の温度を制御する。そして,本例においては,この温度制御を行うに当たって,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの関係が,ヒータ制御関数Fhを満たすように,上記インピーダンス制御関数Fcの再設定を行う。
【0087】
以下に,これを詳説する。
本例の温度制御方法においては,温度制御装置102を用いてガスセンサ素子の温度の制御を行う。
本例の温度制御装置102は,検出部6に交流電圧を印加する交流電圧印加手段73,検出部6のセル電圧Vcを検出するセル電圧検出手段71,検出部6のセル電流Icを検出するセル電流検出手段72,検出部6のインピーダンスRcを算出するインピーダンス演算手段7,ガスセンサ素子1の温度を制御するヒータ制御手段4を有している。
【0088】
また,本例の温度制御装置102は,上記実施例1と同様にして,ヒータ部2のヒータ電圧Vhを検出するヒータ電圧検出手段51,ヒータ部2のヒータ電流Ihを検出するヒータ電流検出手段52,ヒータ電圧Vh及び電流Ihよりヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを算出するヒータ演算手段5を有している。
【0089】
上記検出部6は,上記電気化学セル61とリード部611とによって構成されている。
また,上記交流電圧印加手段73は,一定の周期及び振幅の交流電圧を発生させて,検出部6にこの交流電圧を印加する。
上記セル電圧検出手段71は,上記交流回路70に設けてあり,電気化学セル61を含む検出部6における交流電圧を測定するようになっている。また,上記電流検出手段72もまた,交流回路70に設けてあり,電気化学セル61を含む検出部6に流れる交流電流を測定するようになっている。
【0090】
上記インピーダンス演算手段7は,セル電圧検出手段71と電気的に接続されており,セル電圧検出手段71から電圧の信号を受信するようになっている。また,インピーダンス演算手段7は,セル電流検出手段72とも電気的に接続されており,セル電流検出手段72から電流の信号を受信するようになっている。そして,インピーダンス演算手段7は,セル電圧Vc及びセル電流IcからインピーダンスRcの値を求めるようになっている。
また,上記インピーダンス演算手段7は,ヒータ制御手段4と電気的に接続されており,ヒータ制御手段4にインピーダンスRcの値を送信するようになっている。
【0091】
そして,本例におけるヒータ制御手段4は,上記インピーダンス演算手段7によって算出されたインピーダンスRcの値がインピーダンス制御関数Fcを満たすように,上記電源装置22の電圧を可変させて上記ヒータ電圧Vhを制御する。
また,本例の温度制御装置102は,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの関係がヒータ制御関数Fhを満たすように,上記インピーダンス制御関数Fcを再設定するインピーダンス校正手段41を有している。本例においては,このインピーダンス校正手段41は,上記ヒータ制御手段4の内部に構成されている。
【0092】
本例においても,上記ヒータ制御関数Fhは,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下が変動したときに,ガスセンサ素子1の温度を所望の各目標温度Trに保つときの上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの相関関係Fsとして求めておく。
【0093】
また,本例においては,上記インピーダンス制御関数Fcを上記インピーダンスRcとガスセンサ素子1の温度との相関関数Fpとして求めておく。
この相関関数Fpを求めるに当たっては,ガスセンサ素子1における電気化学セル61の近傍に温度センサを設置し,この温度センサの温度をガスセンサ素子1の温度とする。そして,ガスセンサ素子1の温度が所望の目標温度Trとなるように,電源装置22の電圧を可変させてヒータ部2に通電するヒータ電圧Vhを制御した。
【0094】
また,上記検出部6に交流電圧を印加した状態で上記ヒータ電圧Vhを制御し,ガスセンサ素子1の温度が所望の目標温度Trになったときのセル電圧Vc及びヒータ電流Icを読み取り,これらよりインピーダンスRcを算出した。
こうして,各目標温度Trと,各目標温度Trを維持したときのインピーダンスRcの値とより,上記相関関数Fpを求めた。
【0095】
この相関関数Fpは,図8に示すような反比例のグラフとなった。
即ち,同図より,インピーダンスRcが上昇するとガスセンサ素子1の温度Tcは低くなり,一方,インピーダンスRcが下降するとガスセンサ素子1の温度Tcは高くなることがわかる。
【0096】
次に,図9,図10のフローチャートを用いて,ガスセンサ素子1の目標温度Trを得る方法の一例を説明する。
まずは,上記の手順に従って,ヒータ制御関数Fhとしての相関関数Fs及びインピーダンス制御関数Fcとしての相関関数Fpを求めておく。
本例においては,ガスセンサ素子1においてガス濃度を検出するのに適した温度を,ガスセンサ素子1の目標温度Trとして,相関関数Fpにおいて目標温度Trを維持するためのインピーダンスRcの値をインピーダンスの狙い値Rrとして,ヒータ制御手段4に設定する。
【0097】
また,上記相関関数Fsにおいて目標温度Trを維持するための目標温度Trにおける相関関数Fs1をヒータ制御手段4に設定する。
また,後述するごとく,本例においては,上記ガスセンサ素子1の温度が目標温度Trになったときの上記ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを上記相関関数Fsに代入して求まるガスセンサ素子1の現在温度Thが,ガスセンサ素子1の実際の温度Tsであるとして,上記インピーダンスの狙い値Rrを校正して,上記目標温度Trを得る。
【0098】
そして,上記ヒータ制御手段4により,電源装置22の電圧を上げて発熱体21を含むヒータ部2に通電し,ガスセンサ素子1の温度を上昇させ,ステップS200において,ガスセンサ素子1の温度制御をスタートする。
次いで,ステップS201において,上記交流電圧印加手段73により,ガスセンサ素子1の検出部6に交流電圧を印加する。
次いで,ステップS202において,上記セル電圧検出手段71により検出部6のセル電圧Vcを検出すると共に,上記セル電流検出手段72により,検出部6のセル電流Icを検出する。
【0099】
次いで,ステップS203において,上記インピーダンス演算手段7により,インピーダンスRcを算出する。このインピーダンスRcは,Rc=Vc/Icより求める。そして,このインピーダンスRcは,ヒータ制御手段4に送信される。
【0100】
次いで,ステップS204において,上記インピーダンス校正手段41により,上記インピーダンスの狙い値Rrの校正を行う時期を判定する。本例においては,S204の判定がYesの場合,つまり狙い値Rrの校正時期である場合は,上記インピーダンス演算手段7によって算出されたインピーダンスRcの値が,上記狙い値Rrになったときとする。
そして,S204の判定がYesの場合には,後述する狙い値Rrの再設定のフローであるステップS205(図10のステップS251〜S257)を実行して,狙い値Rrの再設定を行う。
【0101】
一方,S204の判定がNoの場合には,ステップS206において,ヒータ制御手段4は,算出したインピーダンスRcの値が上記狙い値Rrであるか否かの判定を行う。つまり,S206において,ヒータ制御手段4は,算出したインピーダンスRcの値により求まるガスセンサ素子1の現在温度Tcが,目標温度Trよりも高いか低いかを判定する。
S206の判定がYesの場合は,RcとRrとが同じである場合であり,再びS201に戻る。なお,この場合は,上記電源電圧22の電圧を可変させる必要がない場合であり,ヒータ制御手段4はこの電圧の値を維持する。
【0102】
一方,S206の判定がNoの場合は,ステップS207において,ヒータ制御手段4は,上記算出したインピーダンスRcの値が,上記狙い値Rrよりも高いか否かを判定する。つまり,この場合は,上記現在温度Tcが目標温度Trよりも低いか否かを判定していることになる。
【0103】
S207の判定がYesの場合は,上記算出した現在のインピーダンスRc1の値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Tc1が,目標温度Trよりも低い場合(図8のTc1参照)であるため,ステップS208において,上記ヒータ制御手段4により電源装置22の電圧を上げる。そして,その後,再びS201を行う。
【0104】
S207の判定がNoの場合は,上記算出した現在のインピーダンスRc2の値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Tc2が,目標温度Trよりも高い場合(図8のTc2参照)であるため,ステップS209において,上記ヒータ制御手段4により電源装置22の電圧を下げる。そして,その後,再びS201を行う。
【0105】
そして,上記電源装置22の電圧の上げ下げを繰り返してヒータ電圧Vhを制御し,算出したインピーダンスRcの値が上記狙い値Rrになったとき(上記S206における判定がYesとなったとき),上記S204における狙い値Rrの校正時期の条件を満たすことになり(S204の判定がYesになり),この後,上記S205を実行する。
【0106】
図10に,S205におけるインピーダンスの狙い値Rrの再設定のフローチャートを示す。
即ち,上記S204の判定がYesになった場合には,まず,S251において,上記ヒータ電圧検出手段51によりヒータ電圧Vhを検出すると共に,上記ヒータ電流検出手段52によりヒータ電流Ihを検出する。
次いで,ステップS252において,上記ヒータ演算手段5によりヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whを算出する。このヒータ抵抗Rhは,Rh=Vh/Ihより求め,ヒータ電力Whは,Wh=Vh×Ihより求める。また,このヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whは,ヒータ制御手段4に送信される。
【0107】
次いで,ステップS253において,ヒータ制御手段4は,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値が,上記目標温度Trにおける相関関数Fs1を満たすか否かを判定する。
つまり,算出したヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの値により求まるガスセンサ素子1の現在温度Th(ガスセンサ素子1の実際の温度Ts)が,上記目標温度Trよりも高いか低いかを判定する。
【0108】
S253の判定がYesの場合は,ステップS254において,上記ヒータ制御手段4は,狙い値Rrの値を維持する。この場合は,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとより求まる相関関数Fs1と,上記目標温度Trにおける相関関数Fs1とが一致している場合であり,上記現在温度Thと上記目標温度Trとの間に誤差がない場合である。即ち,この場合は,上記狙い値Rrを校正させる必要がない場合であり,ヒータ制御手段4はこの狙い値Rrの値を維持する。
そして,その後,上記S206を再び実行する。
【0109】
一方,S253の判定がNoの場合は,ヒータ制御手段4は,ステップS255において,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとより求まる相関関数Fs1hが,上記目標温度Trにおける相関関数Fs1よりも左下方向にあるか否かを判定する。つまり,この場合は,上記相関関数Fs1hに代入して求められるガスセンサ素子1の現在温度Thが目標温度Trよりも低いか否かを判定していることになる。
【0110】
また,上記現在温度Thがガスセンサ素子1の実際の温度Tsである。そのため,上記S255の判定がYesの場合は,上記実際の温度Tsにおける相関関数Fs1hが上記目標温度Trにおける相関関数Fs1よりも左下方向にある場合であり,上記実際の温度Tsが上記目標温度Trよりも低い場合である。
【0111】
即ち,S255の判定がYesの場合は,現在のヒータ抵抗Rh3と現在のヒータ電力Wh3との値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Th3が,目標温度Trよりも低い場合(図11のTh3参照)であるため,ステップS256において,上記ヒータ制御手段4により上記狙い値Rrを上げる。
そして,その後,上記S206の判定を再び実行する。
【0112】
そして,再びS206の判定を実行すると,狙い値Rrが上がったため,算出したインピーダンスRcの値の方が狙い値Rrよりも小さくなっており,この判定はNoになる。そして,さらに,S207の判定を実行して,この判定がNoになり,S209において,ヒータ制御手段4は,電源装置22の電圧を下げて,ガスセンサ素子1の温度Tcを下降させる。こうして,ガスセンサ素子1の温度Tcが校正後の目標温度Trになるように制御される。
【0113】
一方,上記S255の判定がNoの場合は,上記実際の温度Tsにおける相関関数Fs1hが上記目標温度Trにおける相関関数Fs1よりも右上方向にある場合であり,上記実際の温度Tsが上記目標温度Trよりも高い場合である。
即ち,S255の判定がNoの場合は,現在のヒータ抵抗Rh4とヒータ電力Wh4との値より求められるガスセンサ素子1の現在温度Th4が,目標温度Trよりも高い場合(図11のTh4参照)であるため,ステップS257において,上記ヒータ制御手段4により上記狙い値Rrを下げる。
そして,その後,上記S206の判定を再び実行する。
【0114】
そして,再びS206の判定を実行すると,狙い値Rrが下がったため,算出したインピーダンスRcの値の方が狙い値Rrよりも大きくなっており,この判定はNoになる。そして,さらに,S207の判定を実行して,この判定がYesになり,S208において,ヒータ制御手段4は,電源装置22の電圧を上げて,ガスセンサ素子1の温度Tcを上昇させる。こうして,ガスセンサ素子1の温度Tcが校正後の目標温度Trになるように制御される。
【0115】
そして,上記電源装置22の電圧の上げ下げを繰り返して,算出されたインピーダンスRcの値が校正後の狙い値Rrになったときには,再び上記S204における判定がYesになり,上記S205における狙い値Rrの再設定を繰り返す。
このようにして,上記狙い値Rrの再設定を繰り返すことにより,上記相関関数Fs1hによるガスセンサ素子1の現在温度Th(ガスセンサ素子1の実際の温度Ts)と,上記狙い値Rrにおける目標温度Trとがほとんど一致するようになる。そして,このときには,ガスセンサ素子1の温度Tcを校正後の目標温度Trに保つためのヒータ電圧Vhの値が維持される。こうして,ガスセンサ素子1の温度制御が最適に行われる。
【0116】
なお,上記S206において,インピーダンスRcの値と上記狙い値Rrとは必ずしも同一である必要はなく,ガスセンサ素子1の目標温度Trに許容される誤差の範囲内で同一であればよい。
また,上記S253において,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whの値が上記相関関数Fs1を満たす場合を,相関関数Fs1のライン上とするのではなく,ガスセンサ素子1の目標温度Trに許容される誤差の範囲内で,右上方向又は左下方向の少なくともいずれか一方に幅を持たせて設定してもよい。
【0117】
ところで,上記ガスセンサ素子1を長期間に渡って使用しているとき等には,ガスセンサ素子1における検出部6の電気化学セル61に劣化等を生じる場合がある。この場合に対し,本例の温度制御装置102は,上記のごとく,上記検出部6の電気化学セル61におけるインピーダンスRcに基づき,ガスセンサ素子1の温度Tcの制御を行っている。そのため,上記電気化学セル61の温度を,直接上記ガスセンサ素子1の温度制御に反映することができる。そのため,本例によれば,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下の変動等の外乱に対しても,強固な温度制御装置102を実現することができる。
【0118】
また,上記ガスセンサ素子1を長期間に渡って使用しているとき等には,ガスセンサ素子1における検出部6の電気化学セル61に劣化等を生じ,上記検出部6のインピーダンスRcとガスセンサ素子1の温度Tcとの間の相関関数Fpに狂いが生ずるおそれがある。これに対し,本例においては,上記インピーダンス校正手段41を有している。
【0119】
即ち,本例においては,このインピーダンス校正手段41により,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの値が上記相関関数Fs1を満たすように,上記インピーダンスの狙い値Rrを再設定する。そのため,上記検出部6の電気化学セル61に劣化等を生じた場合においても,上記相関関数Fpの狂いを校正することができる。
【0120】
そのため,上記長期間の使用により電気化学セル61に劣化等が生じて上記相関関数Fpに狂いが生じたときでも,上記相関関数Fs1を用いて,ガスセンサ素子1の温度を適切に制御することができる。
それ故,本例のガスセンサ素子1の温度制御装置102によれば,高精度でガスセンサ素子1の温度Tcを制御することができる。
【0121】
(実施例3)
本例は,上記実施例2の温度制御方法において,上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定は,上記検出部6において検出する被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速の少なくともいずれか一方の変動が所定の範囲内にあるときに行う例である。即ち,本例におけるインピーダンス校正手段41は,上記変動が所定の範囲内にあるときに上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有している。
また,本例においては,図9のS204における狙い値Rrの校正時期の判定がYesになる場合が,上記変動が所定の範囲内にあるときである。
その他は上記実施例2と同様である。
【0122】
本例においては,上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの値が上記相関関数Fs1を満たしていないときは,上記被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速が変動したことによって生じているのではないと,インピーダンス校正時期検出手段によって検出することができる。
即ち,上記相関関数Fs1より求まるガスセンサ素子1の実際の温度Tsと,上記インピーダンスの狙い値Rrより求まる目標温度Trとの間の誤差は,上記電気化学セル61の劣化等が生じたことにより,起こっているとして検出することができる。
【0123】
そのため,この検出を行っているときに,上記インピーダンスの狙い値Rrの校正を行うことにより,正確にこの校正を行うことができる。それ故,本例によれば,高精度でガスセンサ素子1の温度を制御することができる。
その他,上記実施例2と同様の作用効果を得ることができる。
【0124】
(実施例4)
本例は,上記実施例2の温度制御方法において,上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定は,エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときに行う例である。本例におけるインピーダンス校正手段41は,上記変動が所定の範囲内にあるときに上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有している。
【0125】
本例においては,上記エンジンの回転数が所定の範囲内にあるときを,エンジンがアイドリングを行っているときとして,上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定を行った。
また,本例においては,図9のS204における狙い値Rrの校正時期の判定がYesになる場合が,エンジンがアイドリングを行っている状態にあるときである。
その他は上記実施例2と同様である。
【0126】
本例においては,上記インピーダンスの狙い値Rrの再設定を行う際に,上記ヒータ抵抗Rhと上記ヒータ電力Whとの値が上記相関関数Fs1を満たしていないときは,エンジンの回転数が変動したことによって生じているのではないと,インピーダンス校正時期検出手段によって検出することができる。
即ち,上記相関関数Fs1より求まるガスセンサ素子1の実際の温度Tsと,上記インピーダンスの狙い値Rrより求まる目標温度Trとの間の誤差は,上記電気化学セル61の劣化等が生じたことにより,起こっているとして検出することができる。
【0127】
そのため,このときに,上記インピーダンスの狙い値Rrの校正を行うことにより,正確にこの校正を行うことができる。それ故,本例によれば,高精度でガスセンサ素子1の温度を制御することができる。
その他,上記実施例2と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
(実施例5)
本例は,上記実施例2の温度制御方法102に対して,上記インピーダンス制御関数Fcの再設定を行う時期が異なる例である。また,本例においては,上記インピーダンス校正手段7は,ガスセンサ素子1の温度制御を行っているときにインピーダンス制御関数Fcの設定を行うのではなく,ガスセンサ素子1の温度制御を行う前に,インピーダンス制御関数Fcの再設定を行う。
【0129】
以下に,これを詳説する。
本例においても,上記インピーダンス制御関数Fcは,検出部6のインピーダンスRcの値とガスセンサ素子1の温度Tcとの間の相関関数Fpとする。
そして,ガスセンサ素子1の目標温度TrにおけるインピーダンスRcの値をインピーダンスの狙い値Rrとして,インピーダンス算出手段7により算出したインピーダンスRcの値が,狙い値Rrとなるようにガスセンサ素子1の温度制御を行う。
【0130】
本例における温度制御方法によって,ガスセンサ素子1の目標温度Trを得る方法の一例を,図12のフローチャートに示す。
なお,本例の温度制御方法は,上記図9のフローチャートにおけるS204の狙い値Rrの校正時期かの判定及びS205の狙い値Rrの再設定が異なるのみで,その他のS200〜S203,S206〜S209については実施例2と同様である。
【0131】
本例においても,上記ヒータ制御関数Fhは,ガスセンサ素子1におけるガス濃度の測定環境下が変動したときに,ガスセンサ素子1の温度を所望の各目標温度Trに保つときの上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの相関関係Fsとして求めておく。また,上記インピーダンス制御関数Fcは,上記インピーダンスRcとガスセンサ素子1の温度Tcとの相関関数Fpとして求めておく。
また,ガスセンサ素子1においてガス濃度を検出するのに適した温度を,ガスセンサ素子1の目標温度Trとして,上記相関関数Fsにおいて目標温度Trを維持するための相関関数Fs1をヒータ制御手段4に設定する。
【0132】
また,後述するごとく,本例においては,上記ヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whを上記相関関数Fs1に代入して求まるガスセンサ素子1の現在温度Thが,ガスセンサ素子1の実際の温度Tsであるとして,上記相関関数Fpを校正して上記目標温度Trを得る。
【0133】
本例においては,上記相関関数Fpの再設定は,ガスセンサ素子1の温度制御を行う初期又は以前に,図13のフローチャートに示す方法で行う。
同図において,ステップS301において,上記交流電圧印加手段73により,ガスセンサ素子1の検出部6に交流電圧を印加する。
次いで,ステップS302において,上記セル電圧検出手段71により検出部6のセル電圧Vcを検出すると共に,上記セル電流検出手段72により,検出部6のセル電流Icを検出する。
【0134】
次いで,ステップS303において,上記インピーダンス演算手段7により,インピーダンスRcを算出する。このインピーダンスRcは,Rc=Vc/Icより求める。そして,このインピーダンスRcは,ヒータ制御手段4に送信される。
次いで,ステップS304において,算出したインピーダンスRcの値を上記相関関数Fpに代入して,相関関数Fpによる現在温度Tcを算出する。
【0135】
次いで,ステップS305において,上記ヒータ電圧検出手段51によりヒータ電圧Vhを検出すると共に,上記ヒータ電流検出手段52によりヒータ電流Ihを検出する。
次いで,ステップS306において,上記ヒータ演算手段5によりヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whを算出する。このヒータ抵抗Rhは,Rh=Vh/Ihより求め,ヒータ電力Whは,Wh=Vh×Ihより求める。また,このヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whは,ヒータ制御手段4に送信される。
【0136】
次いで,ステップS307において,算出したヒータ抵抗Rh及びヒータ電力Whの値を上記相関関数Fs1に代入して,相関関数Fs1による現在温度Th(ガスセンサ素子1の実際の温度Ts)を算出する。
次いで,ステップS308において,ヒータ制御関数4は,上記相関関数Fs1による現在温度Thと,相関関数Fpによる現在温度Tcとの間の差が,ガスセンサ素子1の温度制御を行う目標温度Trの誤差として許容される温度の許容範囲内であるか否かを判定する。
【0137】
S308の判定がYesの場合は,上記現在温度Thと現在温度Tcとの差が許容範囲内であるため,上記相関関数Fpの再設定は行わない。
一方,S308の判定がNoの場合は,上記現在温度Thと現在温度Tcとの差が許容範囲を超えている場合であり,上記相関関数Fpの再設定を行う。そして,本例においては,上記相関関数Fpの再設定は,再度,上記検出部6におけるインピーダンスRcの値と上記ガスセンサ素子1の温度Tcとの間の相関関数Fpを求めることによって行う。
その他は,上記実施例2と同様である。
【0138】
本例においては,上記インピーダンス制御関数Fcの再設定は,インピーダンスの狙い値Rrを上下させることにより行うのではなく,再度上記インピーダンスRcの値とガスセンサ素子1の温度Tcとの間の相関関数Fpを求め直すことによって行う。そして,上記ヒータ抵抗Rhとヒータ電力Whとの間の相関関数Fs1は,上記相関関数Fpの再設定を行う必要があるか否かを検出するために用いている。
このように,本例の温度制御方法によっても,上記実施例2のガスセンサ素子1の温度制御方法と同様の作用効果を得ることができ,高精度なガスセンサ素子の制御を実現することができる。
【0139】
(実施例6)
本例は,上記実施例2におけるガスセンサ素子1の温度制御方法を,コップ型ガスセンサ素子100に適用する例である。
図14に示すごとく,このコップ型ガスセンサ素子100は,酸素イオン導電性を有する固体電解質体11と,棒状のセラミックヒータ13とを有している。また,このセラミックヒータ13には上記発熱体21が配置してある。
【0140】
また,上記固体電解質体11は有底円筒コップ型の形状に形成されており,この固体電解質体11の内側に上記セラミックヒータ13が配置してある。また,固体電解質体11の外側には被測定ガスを導入する被測定ガス空間14が設けてあり,一方,固体電解質体11の内側には被測定ガスのガス濃度を測定する際の基準とする基準ガスを導入する基準ガス空間15が設けてある。
【0141】
また,上記電気化学セル61は,上記固定電解質体11と,この固定電解質体11を挟むようにして設けた一対の電極615,616とからなり,固定電解質体11の外側面に設けた電極615は上記被測定ガス空間14に曝され,固定電解質体11の内側面に設けた電極616は上記基準ガス空間15に曝されている。
また,上記固定電解質体11の外側面に設けた電極615は保護層617で被覆されている。
上記コップ型ガスセンサ素子100は,ハウジング31内に挿通されており,このハウジング31は二重構造のカバー311,312よりなる。なお,これらのカバー311,312には,それぞれ被測定ガスの導入を行う導入口313,314が設けてある。
【0142】
そして,図15に示すごとく,本例においては,上記実施例2のガスセンサ素子1の温度制御装置102により,ガスセンサ素子の温度制御を行う。その他は上記実施例2と同様である。
本例においても,上記実施例2のガスセンサ素子1の温度制御方法と同様の作用効果を得ることができ,高精度なガスセンサ素子の制御を実現することができる。
【0143】
なお,上記実施例1の温度制御方法を上記コップ型ガスセンサ素子100に適用することも可能である。また,上記実施例3〜5の温度制御方法を上記コップ型ガスセンサ素子100に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図2】実施例1における,ガスセンサ素子を用いたガスセンサの構成を示す断面説明図。
【図3】実施例1における,積層型のガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図4】実施例1における,ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数を示す説明図。
【図5】実施例1における,ガスセンサ素子の温度制御方法を説明する説明図。
【図6】実施例1における,ガスセンサ素子の温度制御方法を示すフローチャート。
【図7】実施例2における,ガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図8】実施例2における,ガスセンサ素子の温度制御方法を説明する説明図。
【図9】実施例2における,ガスセンサ素子の温度制御方法を示すフローチャート。
【図10】実施例2における,ガスセンサ素子の温度制御方法を示すフローチャートで,インピーダンスの狙い値の再設定を示すフローチャート。
【図11】実施例2における,インピーダンスの狙い値の再設定を説明する説明図。
【図12】実施例5における,ガスセンサ素子の温度制御方法を示すフローチャート。
【図13】実施例5における,ガスセンサ素子の温度制御方法を示すフローチャートで,インピーダンスの値とガスセンサ素子の温度との間の相関関数の再設定を示すフローチャート。
【図14】実施例6における,コップ型ガスセンサ素子を示す断面説明図。
【図15】実施例5における,ガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図16】従来例における,温度センサによるガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図17】従来例における,ヒータ抵抗によるガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図18】従来例における,ヒータ抵抗とガスセンサ素子の温度との関係を示すグラフ。
【図19】従来例における,インピーダンスによるガスセンサ素子の温度制御装置を示す構成図。
【図20】従来例における,インピーダンスと電気化学セルの温度との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1...ガスセンサ素子,
2...ヒータ部,
21...発熱体,
22...電源装置,
4...ヒータ制御手段,
41...インピーダンス校正手段,
5...ヒータ演算手段,
51...ヒータ電圧検出手段,
52...ヒータ電流検出手段,
6...検出部,
61...電気化学セル,
7...インピーダンス演算手段,
71...セル電圧検出手段,
72...セル電流検出手段,
73...交流電圧印加手段,
Claims (10)
- 電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する装置において,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧を検出するヒータ電圧検出手段と,上記ヒータ部におけるヒータ電流を検出するヒータ電流検出手段と,
上記ヒータ電圧検出手段により検出されたヒータ電圧と,ヒータ電流検出手段により検出されたヒータ電流とに基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出するヒータ演算手段と,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することにより上記ガスセンサ素子の温度を制御するヒータ制御手段とを有することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置。 - 電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する装置において,
上記検出部に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と,
上記検出部におけるセル電圧を検出するセル電圧検出手段と,上記検出部におけるセル電流を検出するセル電流検出手段と,
上記セル電圧検出手段により検出されたセル電圧と,セル電流検出手段により検出されたセル電流とに基づいて,上記検出部のインピーダンスを算出するインピーダンス演算手段と,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧を検出するヒータ電圧検出手段と,上記ヒータ部におけるヒータ電流を検出するヒータ電流検出手段と,
上記ヒータ電圧検出手段により検出されたヒータ電圧と,ヒータ電流検出手段により検出されたヒータ電流とに基づいて,ヒータ抵抗及びヒータ電力を算出するヒータ演算手段と,
上記インピーダンス演算手段によって算出されたインピーダンスの値が,上記検出部のインピーダンスと上記ガスセンサ素子の温度との相関関数として予め求めたインピーダンス制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することによって上記ガスセンサ素子の温度を制御するヒータ制御手段と,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数を再設定するインピーダンス校正手段とを有していることを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置。 - 請求項2において,上記インピーダンス校正手段は,上記検出部において検出する被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速の少なくともいずれか一方の変動が所定の範囲内にあるときに,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有していることを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置。
- 請求項2又は3において,上記インピーダンス校正手段は,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときに,上記インピーダンス制御関数の再設定を行う時期を検出するインピーダンス校正時期検出手段を有していることを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記ガスセンサ素子の温度制御装置は,エンジンの排気ガスを測定するガスセンサ素子の温度を制御するものであることを特徴とするガスセンサ素子の温度制御装置。
- 電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する方法において,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧及びヒータ電流を検出し,上記ヒータ電圧と上記ヒータ電流とに基づいてヒータ抵抗及びヒータ電力を算出し,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することにより上記ガスセンサ素子の温度を制御することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法。 - 電気化学セルを備えた検出部と,通電により発熱する発熱体を備えたヒータ部とを有するガスセンサ素子の温度を制御する方法において,
上記検出部に交流電圧を印加すると共に該検出部におけるセル電圧及びセル電流を検出し,上記セル電圧と上記セル電流とに基づいて上記検出部のインピーダンスを算出し,
該インピーダンスの値が,上記検出部のインピーダンスと上記ガスセンサ素子の温度との相関関数として予め求めたインピーダンス制御関数を満たすように,上記ヒータ電圧を制御することによって上記ガスセンサ素子の温度を制御するに当たり,
上記ヒータ部におけるヒータ電圧及びヒータ電流を検出し,上記ヒータ電圧と上記ヒータ電流とに基づいてヒータ抵抗及びヒータ電力を算出し,
上記ヒータ抵抗と上記ヒータ電力との関係が,上記ガスセンサ素子の温度を変化させたときにおける上記ヒータ抵抗とヒータ電力との相関関数として予め求めたヒータ制御関数を満たすように,上記インピーダンス制御関数を再設定することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法。 - 請求項7において,上記インピーダンス制御関数の再設定は,上記検出部において検出する被測定ガスの温度又は被測定ガスの流速の少なくともいずれか一方の変動が所定の範囲内にあるときに行うことを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法。
- 請求項7又は8において,上記インピーダンス制御関数の再設定は,上記エンジンの回転数の変動が所定の範囲内にあるときに行うことを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法。
- 請求項6〜9のいずれか一項において,エンジンの排気ガスを測定するガスセンサ素子の温度を制御することを特徴とするガスセンサ素子の温度制御方法。
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