JP4681093B2 - 電子化学式測定センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、ガス中の、例えば内燃機関の排気ガス中のガス濃度を求めるための電気化学式測定センサであって、酸素イオン輸送固体電解質を備え、該固体電解質は相互に間隔をおいて配置されている電極層および少なくとも1つの抵抗加熱エレメントを備えており、該抵抗加熱エレメントは少なくとも1つの電気的な絶縁層によって前記固体電解質から分離されており、ここで少なくとも1つのフィルムバインダ層が前記1つまたは複数の絶縁層と前記電解質との間に設けられている形式のものから出発している。
【0002】
【従来の技術】
ドイツ連邦共和国特許第3120159号明細書から既に公知であるこの種のセンサでは、加熱エレメントの作動の際に、加熱エレメントと例えば安定化イットリウム素子ZrO(YSZセラミック)とから成っている酸素イオン輸送固体電解質との間の絶縁が十分でない場合に殊に漏れ電流が発生し、この電流のためにセンサセルが加熱エレメントと電気的に結合されるおそれがある。この種の電気的な結合は、一方において、活性状態のセラミックにおいて還元効果が発生するので、ヒータの寿命を低減し、かつ他方において測定センサから送出される測定信号は持続的にかつますます歪みを受けるようになる。漏れ電流は持続的に発生すると、測定センサの局所的に黒化を招来する。その際更に、局所的な加熱に基づいて、抵抗加熱エレメントの薄い線路は焼き切れる可能性がある。上述の公知の測定センサでは、パルス化された電圧によって作動される加熱エレメントからノイズ信号がセンサ信号に混入することに基づいて別の不都合な効果が生じ、これによりSN比が低減されることで測定精度が低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の課題は、測定センサの作動時に測定センサの固体電解質部分が加熱エレメントと電気的に結合されることがないようにすることである。更に本発明の測定センサは、漏れ電流検査において黒化がもはや生じないように構成されているようにしたい。更に、本発明の測定センサは、加熱エレメントの寿命が延長されるように構成されているようにしたい。更に、本発明の測定センサは、その寿命の期間にわたって安定した測定信号を供給することができるようにしたい。更に、本発明の測定センサは、加熱エレメントからノイズ信号が測定作動中のセラミック、ひいてはセンサ信号に混入されないように構成されているようにしたい。更に、本発明の測定センサは、測定信号の精度が改善されるように構成されているべきである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題は本発明によれば、ガス中の、例えば内燃機関の排気ガス中のガス濃度を求めるための電気化学式測定センサであって、酸素イオン輸送固体電解質を備え、該固体電解質は相互に間隔をおいて配置されている電極層および少なくとも1つの抵抗加熱エレメントを備えており、該抵抗加熱エレメントは少なくとも1つの電気的な絶縁層によって前記固体電解質から分離されており、ここで少なくとも1つのフィルムバインダ層が前記1つまたは複数の絶縁層と前記電解質との間に設けられている形式のものにおいて、電極側の電気的な絶縁層と、隣接している固体電解質との間に少なくとも1つの電子輸送中間層が設けられていることによって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】
有利な実施形態において、本発明の電気化学式測定センサは、少なくとも抵抗加熱エレメントの上に電子輸送可能な金属層を有している。この金属層は、少なくとも測定センサのホットな領域の上に面状に拡がる白金を含んでいるペーストがプリントされているものであってよいしまたは白金から成る格子構造の形において少なくとも測定センサのホットな領域の上に被着されているものであってもよい。白金から成る格子構造または白金ペーストから成るプリント層は択一的に、全面的にも、即ち抵抗加熱エレメントのホットな領域およびそのリード上にあってもよい。
【0006】
その際白金から成る格子構造は、直角の、即ち測定センサの縁に対して平行に延在している格子棒を有していることができ、または所定の角度で斜めに延在している格子棒を有していることもできる。
【0007】
実施の形態において、電子輸送中間層、例えば白金格子または白金網は電気的な絶縁層の上に直接載せられているようにすることができる。択一的に、電子輸送中間層、即ち殊に白金格子または白金網は、測定センサに存在しているフィルムバインダ層に代わるものであってよいしまたは、このフィルムバインダ層が十分な電子輸送能力を有するようにこれを変形するものであってよい。同時に、熱伝導力は、ヒータの局所的な過熱の生成を妨げるように作用する!
抵抗加熱エレメントから入力結合されるノイズ信号を低減または遮蔽するために、電子輸送中間層、例えば白金格子は、測定センサにおいて規定の電位、殊にアース電位に電気的に接続されているようにすることができる。
【0008】
本発明のこの課題および別の課題および特徴を、次に、本発明の電気化学的な測定センサの有利なかつ種々に変形された実施例を示している図面を用いて、添付図面を参照してこれら課題、特徴を読みながら、一層明らかにする。
【0009】
【実施例】
次に本発明を図示の実施例につき図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明の有利な実施例を具体化している電気化学式測定センサの一部が横断面にて略示されている。図1に図示の断面図は、実質的に加熱フィルム1と、電気的な抵抗材料から成っている加熱ミアンダ11と、その周りを取り囲んでいる電気的な絶縁層4(上側)および3(下側)とから成っている加熱領域の周りに位置しているセンサ層が示されているにすぎない。そして確かに、図1に図示の電気化学的な測定センサは、専門用語では「プレーナ型ワイドバンドλセンサ」として内燃機関の排気ガスを触媒を用いて浄化する技術に使用されているようなプレーナ型酸素センサである。加熱ミアンダ11と、上側の電気的な絶縁層4と、下側の電気的な絶縁層3とから成るヒータは、加熱フィルム1を用いて第1の固体電解質上に被着されているが、その詳細は示されていない。
【0011】
ヒータは両側において、ZrOから成るシールフレーム2によってシールされている。ヒータの上にはフィルムバインダ層5およびその上に、参照電極16を有する参照ガス通路12を取り囲んでいる参照通路フィルム9が存在している。参照通路フィルム9および参照通路12の上側に、固体電解質体から成るネルンストフィルム10が存在している。この層は、場合によっては更に(図示されていない)ポンプセルを備えている。ネルンストフィルム10の上には、保護層18によって保護されている測定電極17が存在している。絶縁層3および4はセラミック材料、即ちAl+SiO+BaCOから成る混合物から成っていることを言及しておく。加熱ミアンダ11はPt+Alから、フィルムバインダはZrOから成っている。
【0012】
図1に図示の実施例では、上側の絶縁層4の上であってフィルムバインダ層5の下方に直接、電子輸送中間層13が存在している。この層は、有利には白金格子または白金網の形の金属材料から成っている。加熱フィルム1と下側の絶縁層3との間にもう1つの電子輸送中間層14があってよい。しかし有利には、上側の電子輸送中間層13だけが設けられている。
【0013】
その際白金格子または白金網は、図2のA)ないしD)に示されている構造を有していることができかつ図2のA)およびC)に示されているように、ホットな領域および加熱エレメントに対するリードをカバーしているかまたは図2B)およびD)に示されているように加熱エレメントのホットな領域だけをカバーしている。
【0014】
図1に図示されていない実施例では、電子輸送中間層13,14は、白金ペーストから成るプリント層を形成しておりかつ図2のE)ないしG)に示されている構造を有している。
【0015】
1つまたは複数の電子輸送中間層13,14は図1に図示の実施例とは異なって次にような変形を有していることができる:
1つの中間層しか、有利には上側の電子輸送中間層13しか存在していない;
フィルムバインダ層5は、この種の電子輸送中間層によって置換することができる;
電子輸送中間層は、このコンフィギュレーションのいずれにおいても、イオン輸送中間層と組み合わせることができるので、電子輸送もイオン輸送もこの層で生じる。更に、殊に、ノイズ信号が測定信号に混入するのを回避するために、電子輸送中間層13,14のそれぞれはいずれのコンフィギュレーションにおいても規定の電位、有利には測定センサ内のアース電位に接続されていることができる。
【0016】
次に図2の平面図に基づいて種々の有利でかつ可能な、白金中間層13の構造の変形例について説明する。
【0017】
図2のA)には、直角の白金格子構造13aが真っ直ぐかつ全部がヒータおよびそのリードの上に配置されている実施例が示されている。格子の寸法は、粗いから細かいまで実施例に応じて変化することができ、即ち、近似的に、0.7mmないし0.2mmの格子定数(格子ラインから格子ラインまで)の間で変化することができる。正方形ばかりでなく、垂直の方向における格子定数が水平方向における格子定数とは異なっている長方形の構造も可能である。
【0018】
図2のB)に示されている、白金格子13bの変形例は同様に、直角の、真っ直ぐな格子定数を有している。しかし白金格子13bはセンサエレメントのホットな領域しか被覆していない。格子の寸法は、図2のA)に対して説明したものと同じであってよい。
【0019】
図2のC)には、白金格子構造13cがセンサエレメントに対して所定の角度で配置されておりかつヒータおよびそのリードの上に完全にのっかっている別の構造変形例が示されている。図2のC)に示されている構造変形も直角の格子を形成していることがわかる。しかしこのことは必ずしもそうである必要はない。正方形または長方形の格子経過に代わって、格子ラインは相互に90゜とは異なっている角度をとっていることもできる。従って、正方形、長方形、菱形ばかりでなく、円形および楕円形の格子構造も可能である。
【0020】
図2のD)に示されている構造変形例は、図2のC)に類似しているが、ここでは格子13dは、センサエレメントのホットな領域だけを被覆している。
【0021】
図2のE),F)およびG)に図示の変形例では、電子輸送中間層13e,13fおよび13gは、図2のA)ないしD)のような格子または網構造を形成しておらず、全面ないし比較的幅広の白金路の形において抵抗加熱エレメントの層およびそのリードの上に被着されている。図2のE)において電子輸送中間層13eはヒータおよびリードを全面的に被覆している。図2のF)において電子輸送中間層13fの全体の面はセンサエレメントのホットな領域の上にしか乗せられておらず、更に図2のG)の電子輸送中間層13gはヒータの抵抗加熱層およびそのリードを被覆しているので、ヒータの抵抗層は電子輸送中間層13gによってオーバラップされる。
【0022】
電子輸送中間層13aないし13gの図2のA)ないしG)に図示のすべての実施例は、これらが、センサセルの、ヒータに対する電気的な結合およびこれによる漏れ電流を回避している点で共通している。漏れ電流検査の際、黒化は回避される。ヒータ、従って本発明の電気化学式測定センサの寿命は延ばされる(少なくとも係数5〜10だけ長く)。寿命の延長は、縁がカットされていない測定センサにおいても生じる。測定活性状態のセラミック体における還元効果およびこれによる測定特性の変化も回避されている。白金は更に、触媒として作用しかつ絶縁部において発生する電子流をZrO体におけるイオン流に変換しかつこれによりZrOの還元を低減する。電子輸送中間層は更に、ノイズ信号が測定信号に混入するのを回避しかつこれによりそのSN比を高める。電子輸送中間層の格子網形式の構造を有する図2A)ないしD)の実施例では更に、材料が節約されており、即ち詰まっている白金中間層の製造の場合に比べて格子または網形式の電子輸送中間層の製造の場合には原材料のコストが低減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気化学式測定センサの有利な本発明の実施例の層構成の断面略図である。
【図2】本発明の金属性の電子輸送中間層の種々の変形例の平面略図である。
【符号の説明】
1 加熱フィルム、 2 シールフレーム、 3,4 電気的な絶縁層、 5フィルムバインダ層、 9 参照通路フィルム、 10 参照電極、 11 加熱ミアンダないし抵抗加熱エレメント、 12 参照ガス通路、 13a〜13g 電子輸送中間層、 16 参照電極、 17 測定電極、 18 保護層

Claims (12)

  1. 酸素イオン輸送固体電解質を備えた、ガス中のガス濃度を求めるための電気化学式測定センサであって、
    該センサは、相互に間隔をおいて配置されている電極層および少なくとも1つの抵抗加熱エレメント(11)を備えており、
    該抵抗加熱エレメントは少なくとも1つの電気的な絶縁層(4,3)によって前記固体電解から分離されてる形式のものにおいて、
    子輸送中間層(13,14)が前記電極側の電気的な絶縁層と、隣接している固体電解との間に設けられており、
    抵抗加熱エレメント(11)は、2つの前記固体電解質の間に配置されており、
    抵抗加熱エレメント(11)と各固体電解質との間に、それぞれ少なくとも1つの電気的な絶縁層(3,4)が設けられており、
    固体電解質と、該固体電解質にそれぞれ対応する前記電気的な絶縁層(3,4)との間に、それぞれ1つの前記電子輸送中間層(13,14)が設けられている、
    ことを特徴とする電気化学式測定センサ。
  2. 前記電子輸送中間層(13)は前記抵抗加熱エレメント(11)の上に設けられている
    請求項1記載の電気化学式測定センサ。
  3. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は金属性の材料から成っている
    請求項1または2記載の電気化学式測定センサ。
  4. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は白金を含んでいる
    請求項1から3までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
  5. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は白金ペーストから成るプリント層である(図2のE)ないしF))
    請求項1から4までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
  6. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は白金から成る格子構造を形成している(図2のA)ないしD))
    請求項1から4までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
  7. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は前記加熱エレメント(11)およびそのリードを被覆している(図2のA),C),E))
    請求項5または6記載の電気化学式測定センサ。
  8. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は前記加熱エレメント(11)のみを被覆しており、該加熱エレメントのリードは被覆していない(図2のB),D),F))
    請求項5または6記載の電気化学式測定センサ。
  9. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は前記電極側の電気的な絶縁層(4)の上に直接存在している
    請求項1から8までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
  10. 前記1つまたは複数の絶縁層(3,4)と前記固体電解質との間に、少なくとも1つのフィルムバインダ層(5)が設けられている
    請求項1から9までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
  11. 前記フィルムバインダ層(5)は、前記1つまたは複数の中間層(13,14)によって置換されるか、または、前記フィルムバインダ層は、充分な電子輸送能力を有するように変形される
    請求項10記載の電気化学式測定センサ。
  12. 前記1つまたは複数の中間層(13,14)は測定センサにおいてアース電位に接続されている
    請求項1から11までのいずれか1項記載の電気化学式測定センサ。
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