JP4678910B2 - 有機ケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

有機ケイ素化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4678910B2
JP4678910B2 JP2000063344A JP2000063344A JP4678910B2 JP 4678910 B2 JP4678910 B2 JP 4678910B2 JP 2000063344 A JP2000063344 A JP 2000063344A JP 2000063344 A JP2000063344 A JP 2000063344A JP 4678910 B2 JP4678910 B2 JP 4678910B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
reaction
added
styrene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000063344A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001247581A (ja
Inventor
守 立川
香須美 武井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dow Silicones Corp
Original Assignee
Dow Corning Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dow Corning Corp filed Critical Dow Corning Corp
Priority to JP2000063344A priority Critical patent/JP4678910B2/ja
Publication of JP2001247581A publication Critical patent/JP2001247581A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4678910B2 publication Critical patent/JP4678910B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシランカップリング剤として、または各種ケイ素化合物の原料として有用な、あるいは各種添加剤として、または各種有機ケイ素重合体の原料として有用な特定の有機ケイ素化合物を選択的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
白金触媒を用いるヒドロシリル化反応はシリコーン工業、特に有機変性シリコーン及びシランカップリング剤を製造する技術においては、特に重要な技術である。
この技術については、従来、ヒドロシリル化反応の反応速度や生成物の構造の選択性を改善する目的の試みがなされてきた。
【0003】
ヒドロシリル化反応の反応速度の改善に関しては、以下の例が挙げられる。
(1) 米国特許No.5,359,111号: 酸素ガス雰囲気下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
(2) 米国特許No.5,449,802号: アセチレンアルコールまたはその誘導体の存在下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
(3) 米国特許No.5,481,016号: ターシャリー構造を有するアルコールまたはその誘導体の存在下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
(4) 米国特許No.5,486,637号: 不飽和構造と分岐構造(ターシャリーまたはセカンダリー)を有するアルコールまたはその誘導体の存在下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
(5) Chem. Eur. J. 1998, 4.No. 10,p. 2008〜2017: ナフチルケトン 類の存在下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
(6) 特開平11−80167号: 硫黄化合物の存在下でヒドロシリル化反応を行うことを特徴とする。
【0004】
一方、ヒドロシリル化反応における生成物の選択性改善の目的で、ヒドロシリル化反応を白金触媒および各種添加剤の存在下で行う方法が提案されている。例えば、白金触媒の存在下、塩化アリルをヒドロクロロシラン類でヒドロシリル化させる反応においては、以下の例が挙げられる。
(7) 特開平9−157276号及び(8) 特開昭55−145693号: 添加剤としてフォスフィンを使用する。
(9) 特開平9−192494号: 添加剤として置換基がアルキル基または アラルキル基である第3級アミン化合物を使用する。
(10) 特開平10−72474号: 添加剤としてアミノアルコール誘導体を使用する。
【0005】
また、アルキン系炭化水素のヒドロシリル化反応においては、(11)米国特許No.5,563,287号及び(12)米国特許No.5,567,848等がシクロアルカジエン化合物を使用する方法を開示している。
【0006】
これらの先行技術(特に(7) 〜(12))は、特定の系における目的生成物の収率を改善する方法を開示しているけれども、広くヒドロシリル化反応に適用可能であって、生成物中に占める目的生成物の割合を副生物のそれより充分に高くする方法はまだ確立されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、末端に不飽和基を有する不飽和化合物とケイ素原子に直接結合した水素原子を有するケイ素化合物とを白金触媒の存在下で反応させるヒドロシリル化反応において、前記不飽和化合物の反応基である末端不飽和基の末端炭素原子にケイ素原子が結合した構造を有する目的生成物(β−ヒドロシリル化物)を副生物(スチレン等の場合に生じるα−ヒドロシリル化物や塩化アリル等の場合に生じる置換反応物)に比べて、従来より効率的に生成させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記ヒドロシリル化反応において、特定の化合物を共存させることにより前記目的を達成することに成功したものである。本発明における上記特定の化合物は、ヒドロシリル化反応において、助触媒として作用するものであり、具体的には以下に示す化合物(d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである(以下、前記化合物(d)を「助触媒作用物質」ということがある。)。これらは以下に述べるような広範囲の(a)末端に不飽和基を有する不飽和化合物と(b)一般式(I)HSiR0 m3-m (ここで、Wは炭素数1〜6アルコキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基またはハロゲン原子〔F,Cl,BrまたはIから選ばれる〕であり、R0 は、(1)炭素数1〜18のアルキル基、(2)炭素数2〜18のアルケニル基、(3)炭素数6〜18のアリール基、(4)炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基、または(5)炭素数6〜18のハロゲン化アリール基であり、mは0,1または2である)で表わされるシラン化合物との(c)白金触媒存在下でのヒドロシリル化反応において、前記目的生成物を副生物に優先して生成させるものである。また本発明のヒドロシリル化方法が適用された系の種類によっては、選択性改善効果のみならず目的生成物の収率改善及び/又は反応速度の増進効果も顕著となる。
【0009】
以下、本発明製造方法に用いられる(a),(b),(c)及び(d)の各成分について詳述する。
前記(a)末端に不飽和基を有する不飽和化合物は分子の末端に反応性の炭素−炭素2重結合又は炭素−炭素3重結合を有する化合物のことをいう。典型的には次の▲1▼から▲8▼のうちから選ばれるものである。尚、これらは、前記(b)の一般式(I)で表されるシラン化合物との反応性を著しく低下させるもので無い限り、その構造中に炭素原子及び水素原子の他にO,N,F,Cl,Br,SiまたはSから選ばれる原子を含んでいても構わない。
▲1▼ スチレンまたはスチレン誘導体;
▲2▼ ビニルシラン化合物;
▲3▼ ケイ素原子に直接結合したビニル基を有するシロキサン化合物;
▲4▼ エポキシ官能性オレフィン;
▲5▼ ジエン化合物;
▲6▼ CH2 =CHCH2 Xで示されるアリル化合物(ここに、Xはハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、アルコキシ基またはアシロキシ基を表わす。);
▲7▼ 末端にビニル基を有してなるオレフィン化合物;
▲8▼ アセチレン系化合物。
【0010】
前記▲1▼スチレンまたはスチレン誘導体の例としては、スチレン系炭化水素化合物、例えばスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン等;ハロゲン含有スチレン、例えばp−フルオロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−ヨードスチレン、p−およびm−(クロロメチル)スチレン等;含酸素又は含ケイ素スチレン誘導体、例えばp−メトキシスチレン、p−トリメチルシリルスチレン等;含窒素スチレン誘導体、例えばp−(ジフェニルアミノ)スチレン、p−(ジトリルアミノ)スチレン、p−(ジキシリルアミノ)スチレン、ビス(4−ビニルフェニル)(4−メチルフェニル)アミン等を挙げることができる。
【0011】
前記▲2▼ビニルシラン化合物、および▲3▼ケイ素原子に直接結合したビニル基を有するシロキサン化合物としては、ビニルトリアルキルシラン、例えばビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリプロピルシラン、ビニルジメチルエチルシラン等;ビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等;ビニル官能性シロキサン、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等;及びビニル官能性シラザン(これは一種のビニルシランと見ることができる)、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザン等を例示できる。
【0012】
前記▲4▼エポキシ官能性オレフィンの例としては、アリルグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドを挙げることができる。前記▲5▼ジエン化合物としては1,3−ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、及び1,3−オクタジエンを挙げることができる。前記▲6▼CH2 =CHCH2 Xで示されるアリル化合物としては、塩化アリル、アリルアセテート、アリルメタクリレートを挙げることができる。
【0013】
前記▲7▼末端にビニル基を有してなるオレフィン化合物は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。また、これらは置換基に芳香族炭化水素基を有していても構わない。直鎖の末端不飽和オレフィン化合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1及びオクタデセン−1を挙げることができる。末端不飽和基を有する分岐オレフィン化合物の例としては、イソブチレン、3−メチルブテン−1、3,5−ジメチルヘキセン−1及び4−エチルオクテン−1を挙げることができる。
上記オレフィン化合物がO,N,F,Cl,Br,Si,Sから選ばれる原子を含んでいる場合の例として、含酸素アリル化合物、例えばアリルメタクリレート;ビニル基を有するアミン化合物、例えばN−ビニルカルバゾール;オレフィンのハロゲン化物、例えば4−クロロブテン−1及び6−ブロモヘキセン−1;ケイ素官能性オレフィン化合物、例えばアリロキシトリメチルシランが挙げられる。上記オレフィン化合物が芳香族炭化水素基を有する場合の例としては、アリルベンゼン及び4−フェニルブテン−1を挙げることができる。
【0014】
前記▲8▼アセチレン系化合物は、末端にエチニル基(CH≡C−)を有するものであり、これらは置換基に芳香族炭化水素基を有していても構わない。
末端にエチニル基(CH≡C−)を有するアセチレン系化合物の例としては、アセチレン、プロピン、ブチン−1、ヘキシン−1及びオクチン−1を挙げることができる。芳香族炭化水素基を有するアセチレン系化合物の例としては、フェニルアセチレン、3−フェニルプロピン及び4−フェニルブチン−1を挙げることができる。上記アセチレン系化合物がO,N,F,Cl,Br,Si,Sから選ばれる原子を含んでいる場合の例としては、含酸素アセチレン系化合物、例えば3−メチル−1−ブチン−3−オール及び3−フェニル−1−ブチン−3−オール;含ケイ素アセチレン系化合物、例えば3−メチル−1−ブチン−3−オールのO−トリメチルシリル化物(HC≡C−CH(CH3 )−O−Si(CH3 3 )及び3−フェニル−1−ブチン−3−オールのO−トリメチルシリル化物(HC≡C−CH(C6 5 )−O−Si(CH3 3 );並びに含ハロゲンアセチレン系化合物、例えば塩化プロパルギル及び臭化プロパルギルを挙げることができる。
【0015】
次に、(b)一般式(I)HSiR0 3-mm (ここで、Wは炭素数1〜6アルコキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基またはハロゲン原子〔F,Cl,BrまたはIから選ばれる〕であり、R0、(1)炭素数1〜18のアルキル基、(2)炭素数2〜18のアルケニル基、(3)炭素数6〜18のアリール基、(4)炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基、または(5)炭素数6〜18のハロゲン化アリール基であり、mは1,2または3である)で表わされるシラン化合物について説明する。
【0016】
0 の例としては、
(1)炭素数1〜18のアルキル基として、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ウンデシル基及びヘプタデシル基;
(2)炭素数2〜18のアルケニル基として、例えばプロペニル基及びブテニル基;
(3)炭素数6〜18のアリール基として、例えばフェニル基;
(4)炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基(ハロゲン原子としては、F,ClまたはBrであるのがよい)として、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基;
(5)炭素数6〜18のハロゲン化アリール基(ハロゲン原子としては、F,ClまたはBrであるのがよい)として、例えばp−クロロフェニル基を挙げることができる。
【0017】
Wが炭素数1〜6のアルコキシ基の場合の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−メトキシエトキシ基及び2−エトキシエトキシ基等を挙げることができる。また、Wが炭素数6〜10のアリーロキシ基の場合の例としては、フェノキシ基を挙げることができる。
Wがハロゲン原子の場合、F,Cl,BrまたはIから選ばれるものであり、好適にはClまたはFが使用される。
【0018】
炭素数がここに規定した範囲を超えると、反応性の面で実用性が低くなってくる。
(b)のシラン化合物のうち、反応性の観点からは、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルクロロシラン、メチルジクロロシランまたはトリクロロシラン等が好適に用いられる。
【0019】
本発明における助触媒作用物質とは、ヒドロシリル化反応において前記(c)白金触媒と共存することにより、前記(a)末端に不飽和基を有する不飽和化合物の反応基である末端不飽和基の末端炭素原子にケイ素原子が結合した構造を有する目的生成物(β−ヒドロシリル化物)を副生物に比べて、効率的に生成させる効果を有する化合物(d)である。前記(d)成分である助触媒作用物質は、硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである。
【0022】
前記(d)▲1▼硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルとはスルホン酸、硫酸等の硫黄のオキソ酸から誘導された酸(例えば、アルキルスルホン酸、ハロアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ハロアリールスルホン酸、ハロ硫酸、スルファミン酸、硫酸モノエステル、硫黄原子に直接結合したシロキシ基を有するスルホン酸等)のシリルエステルのことをいう。この条件を満たすものであれば特に限定されるものではないが、好ましくは一般式(II):R1 S(=O)2 OSiR21 3 (ここに、R1 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、R18 2 N−で表される基(ここに、R18は独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は水素原子である。但し、水素原子は1個まで存在しうる。)、炭素数1〜10のハロアルキル基(ハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれる。以下「ハロアルキル」というときのハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれるものである。)、炭素数6〜18のハロアリール基(ハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれる。以下「ハロアリール」というときのハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれるものである。)、ハロゲン原子(F,Cl,Br又はIから選ばれる)、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はR30 3 SiO−で表されるシロキシ基(R30は独立に炭素数1〜6のアルキル基である)のいずれかから選ばれ;R21は、独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、塩素原子、水素原子(但し水素原子は最大2個まで存在しうる)、又はR1 S(=O)2 O−(R1 は上記と同じ意味である)のいずれかから選ばれる基である。)で示される化合物である。
【0023】
前記一般式(II)で示される化合物の例としては、アルキルスルホン酸のシリルエステル、例えばメタンスルホン酸トリメチルシリルエステル、アリールスルホン酸のシリルエステル、例えばベンゼンスルホン酸トリメチルシリルエステル、ハロ硫酸のシリルエステル、例えばクロロ硫酸トリメチルシリルエステル[(CH3 3 SiOSO2 Cl]、クロロ硫酸ジメチルシリルエステル[(CH3 2 HSiOSO2 Cl]、クロロ硫酸クロロメチルシリルエステル[Cl(CH3 )HSiOSO2 Cl]、フロロ硫酸トリメチルシリルエステル[(CH3 3 SiOSO2 F]、フロロ硫酸ジメチルシリルエステル[(CH3 2 HSiOSO2 F]、フロロ硫酸フロロメチルシリルエステル[F(CH3 )HSiOSO2 F]等が挙げられる。
好適な例は、アルキルスルホン酸のシリルエステル又はアリールスルホン酸のシリルエステルである。
【0033】
本発明は、ヒドロシリル化反応混合物中に上記(d)成分の硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである助触媒作用物質を存在させるものであり、通常は上記助触媒作用物質を反応基質((a)成分および(b)成分)および(c)成分の白金触媒と共存させて、ヒドロシリル化反応を進めるものである。しかし、上記助触媒作用物質に代えて、ヒドロシリル化反応混合物中において、化学反応によって上記助触媒作用物質を生成する物質(以下、「助触媒作用物質生成物質」という。)を使用することも可能である。具体的には、この助触媒作用物質生成物質を反応基質および白金触媒と共存させて、系中での化学反応によって該助触媒作用物質生成物質から助触媒作用物質を生成させ、ヒドロシリル化反応を進める方法や、助触媒作用物質生成物質を反応基質の一部または全部と共存させて、同じく助触媒作用物質を生成させ、その後にヒドロシリル化反応に必要な他の成分を加えて、同反応を進める方法等がある。本発明はこの様な方法をも包含するものである。上記助触媒作用物質生成物質は、前記ヒドロシリル化反応混合物中において、前記(d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである助触媒作用物質を生成するものであれば格別制限されるものではない。
【0034】
前記助触媒作用物質生成物質のうち、代表的なものとして、ヒドロシリル化反応混合物中において、前記(d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである助触媒作用物質を生じる金属塩化合物を挙げることができる。この様な金属塩化合物は、特に(b)成分がR3-n Cln SiH(Rは炭素数1〜3のアルキル基、nは1〜3の整数)で表わされるクロロシランの場合、該クロロシランと反応して、助触媒作用物質を生成する。この金属塩化合物としては、硫黄のオキソ酸から誘導される酸の金属塩が例示される。これら金属塩の金属としては、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属が用いられる。この例としては、Na,K,Li等がある。
【0035】
例えば、硫黄のオキソ酸から誘導される酸の金属塩の例としては、メタンスルホン酸ナトリウム、1−オクタンスルホン酸ナトリウム[C8 17−S(=O)2 ONa]、シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム[C5 9 −NH−S(=O)2 ONa]、ドデシル硫酸ナトリウム[CH3 (CH2 10CH2 OSO3 Na]、ベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0036】
これらは、前記クロロシランと反応して硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルを生じる。前記クロロシランの例としては、ジメチルクロロシラン[(CH3 2 ClSiH]等が挙げられる。
【0038】
前記助触媒作用物質((d)成分)は系中に反応基質(前記(a)成分及び(b)成分)の合計質量に対して0.01wt%以上20wt%以下の範囲で用いることができる。この量未満では一般に効果が低く、この量を超える場合には、助触媒作用物質のコスト、助触媒作用物質の除去の困難、副反応の惹起等の問題が起き、必ずしも望ましくない結果をもたらす。また、助触媒作用物質の効果が反応速度の低下を伴いつつ、反応選択性を改善する場合には、反応速度を極端に低下させないためにも、添加量を制限する必要がある。一般的には、充分な効果を発現させ、かつ経済性を考慮すると0.05wt%〜10wt%程度の添加が望ましい。
また、反応基質である前記(a)成分と(b)成分との配合比については、本発明を実施する際の、具体的な目的、例えば収率、収量に応じて選択されるものであり、格別に制限されるものではない。
反応触媒である前記(c)成分の使用量については、所望の硬化性が得られる限り、格別に限定されるものではないが、経済性を重視した場合、通常は前記(b)の一般式(I)で表されるシラン化合物1モルに対して白金(金属)10-8モル〜10-3モルの範囲で使用される。
【0039】
本発明においては本質的には溶媒を用いる必要はないが、基質を溶解させる目的で、また反応系の温度の制御及び触媒成分の添加を容易にするために炭化水素系化合物を反応溶媒あるいは触媒成分の溶媒として用いることができる。この目的のために最適な溶媒としては、飽和あるいは不飽和の炭化水素化合物、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン;及びハロゲン化炭化水素化合物、例えばクロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、オルト−ジクロロベンゼンを挙げることが出来る。
【0040】
本発明において、ヒドロシリル化反応の触媒として使用される(c)白金触媒としては、具体的には、0価白金のオレフィン錯体、0価白金のビニルシロキサン錯体、2価白金のオレフィン錯体ハロゲン化物、塩化白金酸、炭素担持白金、シリカ担持白金等を例示することができるが、これら以外の通常工業的に用いられるものならば特に限定されない。
【0041】
本発明におけるヒドロシリル化の反応は10℃以上250℃以下で行なうのが好ましい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の不飽和化合物のヒドロシリル化による有機ケイ素化合物の製造方法は、広い範囲の不飽和化合物とケイ素原子に直接結合した水素原子を有するケイ素化合物とを白金触媒存在下で反応させるヒドロシリル化反応に適用可能なものであり、その効果は、生成物において、不飽和基の末端炭素原子(β位の炭素原子)がヒドロシリル化されてなる生成物(β−ヒドロシリル化物又は末端ヒドロシリル化物)が、副生物より優先的(選択的)に生成される点にある。
ここで副生物とは、不飽和基のα位の炭素原子がヒドロシリル化されてなる生成物(α−ヒドロシリル化物)ないしはヒドロシリル化反応以外の反応(概ね置換反応)により生成する物のことを意味する。
本発明が適用される反応系の種類によっては、このような生成物の選択性以外に、収率を改善させたり反応速度を顕著に増進させることが可能である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す例中の生成物の分析はガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフィー質量分析を用い、標準試料との比較でおこなった。転化率はオレフィン仕込み原料に対する反応率を、収率は、同じくオレフィン仕込み量に対する生成物の生成割合を意味する。本参考例で用いたN−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミドはジメチルクロロシランとN−メチルアセトアミドから合成した。その他の添加物、ヒドリドハロシラン化合物および不飽和化合物は市販のものをそのまま用いた。
【0044】
(実施例1)
(メタンスルホン酸トリメチルシリル存在下での白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応)
ガラス製反応管に356mgのスチレンと562mgのトリエトキシシランを入れ、これに25mgのメタンスルホン酸トリメチルシリル((CH3 3 SiOSO2 CH3 )をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、これを80℃のオイルバスに入れ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は約10%であり、ヒドロシリル化物が9.5%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は53:1であった。
【0045】
(実施例2)
(ベンゼンスルホン酸トリメチルシリル存在下での白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応)
ガラス製反応管に356mgのスチレンと562mgのトリエトキシシランを入れ、これに10mgのベンゼンスルホン酸トリメチルシリル((CH3 3 SiOSO2 6 5 )をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、これを80℃のオイルバスに入れ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は約8.5%であり、ヒドロシリル化物が8.4%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は19.2:1であった。
【0046】
参考例3)
(2−ヒドロキシピリジン存在下での白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応)ガラス製反応管に353mgのスチレンと557mgのトリエトキシシランを入れ、これに11.3mgの2−ヒドロキシピリジンを加えた。これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、これを80℃のオイルバスに入れ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとヒドロシリル化物が11.5%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は15:1であった。
【0047】
参考例4)
(N−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミド存在下での白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応)ガラス製反応管に473mgのスチレンと721mgのトリエトキシシランを入れ、これに10mgのN−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミドをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。テフロンテープとラバーセプタムでシールした後、ガラス管を80℃で1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は68%であり、ヒドロシリル化物が63%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は43:1であった。
【0048】
参考例5)
(リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)((C49 CH(C25 )CH2 O)2 P(=O)OH)存在下での白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応)ガラス製反応管に0.334gのスチレンと0.540gのトリエトキシシランをとり、これに3mgのリン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.8mg加えた。反応管をテフロンテープとセプタムでシールし、これを100℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は29%であり、フェネチルトリエトキシシランが16%の収率で生成していた。またフェネチルトリエトキシシランと(α−メチルベンジル)トリエトキシシランの比は、5.8:1であった。
【0049】
(比較例1)
(白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応(助触媒作用物質がない場合))
ガラス製反応管に356mgのスチレンと562mgのトリエトキシシランを入れ、これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、これを80℃のオイルバスに入れ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は0.5%以下であり、ヒドロシリル化物が0.3%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は2.3:1であった。
【0050】
(比較例2)
(白金触媒によるスチレンとトリエトキシシランの反応(助触媒作用物質がない場合))
ガラス製反応管に353mgのスチレンと557mgのトリエトキシシランを入れ、これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、これを80℃のオイルバスに入れ2時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとヒドロシリル化物が11.3%の収率で生成していた。末端ヒドロシリル化物(フェネチルトリエトキシシラン)と内部ヒドロシリル化物(α−(トリエトキシシリル)エチルベンゼン)の比は1.9:1であった。
【0051】
(実施例6)
(メタンスルフォン酸のトリメチルシリルエステル存在下での白金触媒によるオクテン−1とトリエトキシシランの反応)
アルゴンガスで満たしたガラス製反応管に325mgのオクテン−1と475mgのトリエトキシシランを入れ、これにメタンスルフォン酸のトリメチルシリルエステルの20mgとジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)の0.002ml(1.7mg)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、脱気した後再びアルゴンガスで満たした。これを75℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとオクチルトリエトキシシランが88%の収率で生成していた。
【0052】
(比較例3)
(白金触媒によるオクテン−1とトリエトキシシランの反応(助触媒作用物質がない場合))
アルゴンガスで満たしたガラス製反応管に325mgのオクテン−1と475mgのトリエトキシシランを入れ、これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.002ml(1.7mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、脱気した後再びアルゴンガスで満たした。これを75℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとオクチルトリエトキシシランはまったく生成しておらず、原料は未反応のままであった。
【0053】
参考例7)
(N−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミド存在下での白金触媒によるアリルグリシジルエーテルとトリエトキシシランの反応)アルゴンガスで満たしたガラス製反応管に548mgのアリルグリシジルエーテルと408mgのトリエトキシシランを入れ、これに10mgのN−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミドをジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、脱気した後再びアルゴンガスで満たした。これを100℃のオイルバスに入れ、0.5時間加熱した。冷却後、内容物ガスクロマトグラフを用いて分析するとトリエトキシシランの転化率は39%で、消費されたトリエトキシシランに対し、グリシドキシプロピルトリエトキシシランが87モル%の収率で生成しており、この内、3−(グリシドキシ)プロピルトリエトキシシランと2−(グリシドキシ)−1−(メチル)エチルトリエトキシシランの比は1960:1であった。
【0054】
(比較例4)
(白金触媒によるアリルグリシジルエーテルとトリエトキシシランの反応(助触媒作用物質がない場合))
アルゴンガスで満たしたガラス製反応管に548mgのアリルグリシジルエーテルと408mgのトリエトキシシランを入れ、これにジビニルテトラメチルジシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%)を0.005ml(4.3mg)加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、脱気した後再びアルゴンガスで満たした。これを100℃のオイルバスに入れ0.5時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとトリエトキシシランの転化率は98%で、消費されたトリエトキシシランに対し、グルシドキシプロピルトリエトキシシランが87モル%の収率で生成しており、このうち、3−(グルシドキシ)プロピルトリエトキシシランと2−(グルシドキシ)−1−(メチル)エチルトリエトキシシランの比は90:1であった。
【0055】
参考例8)
(トリメチルシリル−N,N−ジメチルカルバメート存在下での白金触媒によるスチレンとジメチルクロロシランの反応)ガラス製反応管に526mgのスチレンと480mgのジメチルクロロシランをとり、これに41mgのトリメチルシリル−N,N−ジメチルカルバメートをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.65mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを100℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は38%であり、フェネチルジメチルクロロシランが8.4%の収率で生成していた。またフェネチルジメチルクロロシランと(α−メチルベンゼン)ジメチルクロロシランの比は、44:1であった。
【0056】
参考例9)
(N−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミド存在下での白金触媒によるスチレンとジメチルクロロシランの反応)ガラス製反応管に526mgのスチレンと480mgのジメチルクロロシランをとり、これに1mgのN−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミドをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は4.8%であり、フェネチルジメチルクロロシランが4.4%の収率で生成していた。またフェネチルジメチルクロロシランと(α−メチルベンジル)ジメチルクロロシランの比は、15:1であった。
【0057】
(比較例5)
(白金触媒によるスチレンとジメチルクロロシランの反応(助触媒作用物質のない場合))
ガラス製反応管に526mgのスチレンと480mgのジメチルクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は98%であり、フェネチルジメチルクロロシランが84%の収率で生成していた。またフェネチルジメチルクロロシランと(α−メチルベンジル)ジメチルクロロシランの比は、4.7:1であった。
【0058】
(実施例10)
(メタンスルホン酸のトリメチルシリルエステル存在下での白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に624mgのスチレンと732mgのメチルジクロロシランをとり、これに51mgのメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.9mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は95%であり、フェネチルメチルジクロロシランが71%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、4.6:1であった。
【0059】
(実施例11)
(ベンゼンスルホン酸トリメチルシリルエステル存在下での白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に624mgのスチレンと732mgのメチルジクロロシランをとり、これに54mgのベンゼンスルホン酸トリメチルシリルエステルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.9mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は27%であり、フェネチルメチルジクロロシランが19%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、4.2:1であった。
【0060】
(実施例12)
(1−オクタンスルホン酸ナトリウム存在下での白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に624mgのスチレンと732mgのメチルジクロロシランをとり、これに40mgの1−オクタンスルホン酸ナトリウムを加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.9mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを100℃のオイルバスに入れ20分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は71%であり、フェネチルメチルジクロロシランが46%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、18:1であった。
【0061】
参考例13)
(N,N′−ビス(トリメチルシリル)尿素存在下での白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.481gのスチレンと0.549gのトリエトキシシランをとり、これにマイクロシリンジにて0.124mgのN,N′−ビス(トリメチルシリル)尿素を含有するエタノール溶液(6.2wt%)を加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を1.0mg加えた。反応管をテフロンテープとセプタムでシールし、これを100℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は89%であり、フェネチルメチルジクロロシランが84%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、21:1であった。
【0062】
参考例14)
(尿素存在下での白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.384gのスチレンと0.435gのトリエトキシシランをとり、これにマイクロシリンジにて0.255mgの尿素のエタノール溶液(5.1wt%)を加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を1.0mg加えた。反応管をテフロンテープとセプタムでシールし、これを100℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は64%であり、フェネチルメチルジクロロシランが61%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、102:1であった。
【0063】
(比較例6)
(白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応(助触媒作用物質のない場合))
ガラス製反応管に624mgのスチレンと732mgのメチルジクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.9mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は75%であり、フェネチルメチルジクロロシランが22%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、1.2:1であった。
【0064】
(実施例15)
(メタンスルホン酸のトリメチルシリルエステル存在下での白金触媒によるスチレンとトリクロロシランの反応)
ガラス製反応管に518mgのスチレンと694mgのトリクロロシランをとり、これに42mgのメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は11%であり、フェネチルクロロシランが8.7%の収率で生成していた。またフェネチルクロロシランと(α−メチルベンジル)トリクロロシランの比は、390:1であった。
【0065】
(比較例7)
(白金触媒によるスチレンとトリクロロシランの反応(助触媒作用物質のない場合))
ガラス製反応管に518mgのスチレンと694mgのトリクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ30分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は93%であり、フェネチルクロロシランが39%の収率で生成していた。またフェネチルクロロシランと(α−メチルベンジル)トリクロロシランの比は、5.5:1であった。
【0066】
参考例16)
(N−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミド存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.405gの塩化アリルと0.912gのメチルジクロロシランをとり、これに11.5mgのN−ジメチルシリル−N−メチルアセトアミドをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量4.0wt%)を0.7mg加えた。反応管を封管し、これを50℃のオイルバスに入れ20分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は92%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは75%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、4.57:1であった。
【0067】
(実施例17)
(メタンスルホン酸のトリメチルシリルエステル存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に0.405gの塩化アリルと0.912gのメチルジクロロシランをとり、これに15mgのメタンスルホン酸トリメチルシリルエステルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量4.0wt%)を0.7mg加えた。反応管を封管し、これを50℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は97%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは83%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、5.69:1であった。
【0068】
(比較例8)
(メタンスルホン酸存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に0.405gの塩化アリルと0.912gのメチルジクロロシランをとり、これに8mgのメタンスルホン酸をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量4.0wt%)を0.7mg加えた。反応管を封管し、これを50℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は98%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは68%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、2.26:1であった。
【0069】
参考例18)
(リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.327gの塩化アリルと0.751gのメチルジクロロシランをとり、これに3.5mgのリン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.2mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ15分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は97%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは83%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、6.35:1であった。
【0070】
参考例19)
(N−ヒドロキシサクシニミド存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.361gの塩化アリルと0.829gのメチルジクロロシランをとり、これにマイクロシリンジにて10mgのN−ヒドロキシスクシニミドの40wt%エタノール溶液を加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.3mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ72時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は95%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは73%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、3.07:1であった。
【0071】
参考例20)
(リン酸トリメチル存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.370gの塩化アリルと0.841gのメチルジクロロシランをとり、これに7mgのリン酸トリメチルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は64%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは65%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、6.44:1であった。
【0072】
参考例21)
(リン酸トリエチル存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.370gの塩化アリルと0.841gのメチルジクロロシランをとり、これに8.5mgのリン酸トリエチルをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は84%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは75%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、7.02:1であった。
【0073】
参考例22)
(8−ヒドロキシキノリン存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.376gの塩化アリルと0.850gのメチルジクロロシランをとり、これに8mgの8−ヒドロキシキノリンをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは79%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、3.83:1であった。
【0074】
参考例23)
(3−トリメチルシリル−2−オキサゾリジノン(3−trimethylsilyl−2−oxazolidinone)存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.368gの塩化アリルと0.831gのメチルジクロロシランをとり、これに39mgの3−トリメチルシリル−2−オキサゾリジノン(3−trimethylsilyl−2−oxazolidinone)をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は88%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは72%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、5.04:1であった。
【0075】
参考例24)
(2−ヒドロキシピリジン存在下での白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.361gの塩化アリルと0.831gのメチルジクロロシランをとり、これにマイクロシリンジにて80mgの2−ヒドロキシピリジンの1wt%トルエン溶液を加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.5mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ72時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは79%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、4.0:1であった。
【0076】
(実施例25)
(1−オクタンスルホン酸ナトリウム投与による白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に624mgのスチレンと732mgのメチルジクロロシランをとり、これに40mgの1−オクタンスルホン酸ナトリウムを加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を0.9mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを100℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は71%であり、フェネチルメチルジクロロシランが46%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、18:1であった。
【0077】
(実施例26)
(シクロヘキシルスルファミン酸ナトリウム投与による白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に427mgのスチレンと498mgのメチルジクロロシランをとり、これに38mgのシクロヘキシルスルファミン酸ナトリウムを加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を1mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを50℃のオイルバスに入れ72時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は85%であり、フェネチルメチルジクロロシランが70%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、8.7:1であった。
【0078】
(実施例27)
(ドデシル硫酸ナトリウム投与による白金触媒によるスチレンとメチルジクロロシランの反応)
ガラス製反応管に427mgのスチレンと498mgのメチルジクロロシランをとり、これに55mgのドデシル硫酸ナトリウムを加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を1.0mg加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールした後、これを100℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析するとスチレンの転化率は45%であり、フェネチルメチルジクロロシランが20%の収率で生成していた。またフェネチルメチルジクロロシランと(α−メチルベンジル)メチルジクロロシランの比は、34:1であった。
【0079】
(比較例9)
(白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応(助触媒作用物質のない場合))
ガラス製反応管に0.405gの塩化アリルと0.912gのメチルジクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量4.0wt%)を0.7mg加えた。反応管を封管し、これを50℃のオイルバスに入れ20時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは62%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、1.66:1であった。
【0080】
(比較例10)
(白金触媒による塩化アリルとメチルジクロロシランの反応(助触媒作用物質のない場合))
ガラス製反応管に0.327gの塩化アリルと0.751gのメチルジクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%)を2.2mg加えた。反応管を封管し、これを80℃のオイルバスに入れ15分間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルメチルジクロロシランは72%の収率で生成していた。またクロロプロピルメチルジクロロシランとプロピルメチルジクロロシランの比は、2.69:1であった。
【0081】
参考例28)
(りん酸トリス(ブトキシエチル)存在下での白金触媒による塩化アリルとトリクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.367gの塩化アリルと0.976gのトリクロロシランをとり、これに2mgのりん酸トリス(ブトキシエチル)をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.2wt%)を5mg加えた。反応管を封管し、これを100℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は66%であり、クロロプロピルトリクロロシランは46%の収率で生成していた。またクロロプロピルトリクロロシランとプロピルトリクロロシランの比は、7.47:1であった。
【0082】
参考例29)
(りん酸水素ビス(2−エチルヘキシル)存在下での白金触媒による塩化アリルとトリクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.327gの塩化アリルと0.870gのトリクロロシランをとり、これに0.7mgのりん酸水素ビス(2−エチルヘキシル)をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.2wt%)を4.5mg加えた。反応管を封管し、これを100℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は72%であり、クロロプロピルトリクロロシランは46%の収率で生成していた。またクロロプロピルトリクロロシランとプロピルトリクロロシランの比は、6.65:1であった。
【0083】
参考例30)
(りん酸トリス(4−t−ブチルフェニル)存在下での白金触媒による塩化アリルとトリクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.327gの塩化アリルと0.873gのトリクロロシランをとり、これに35mgのりん酸トリス(4−t−ブチルフェニル)の28wt%トルエン溶液をマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.2wt%)を4.5mg加えた。反応管を封管し、これを100℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルトリクロロシランは75%の収率で生成していた。またクロロプロピルトリクロロシランとプロピルトリクロロシランの比は、3.20:1であった。
【0084】
参考例31)
(ジメチルシリルアセトアミドHMe2 SiNMeCOMe存在下での白金触媒による塩化アリルとトリクロロシランの反応)ガラス製反応管に0.504gの塩化アリルと1.148gのトリクロロシランをとり、これに4.5mgのジメチルシリルアセトアミドHMe2 SiONMeCMeをマイクロシリンジで加えた。これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.2wt%)を7mg加えた。反応管を封管し、これを100℃のオイルバスに入れ72時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は99%であり、クロロプロピルトリクロロシランは74%の収率で生成していた。またクロロプロピルトリクロロシランとプロピルトリクロロシランの比は、3.10:1であった。
【0085】
(比較例11)
(白金触媒による塩化アリルとトリクロロシランの反応(助触媒作用物質の無い場合))
ガラス製反応管に0.327gの塩化アリルと0.873gのトリクロロシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.2wt%)を4.5mg加えた。反応管を封管し、これを100℃のオイルバスに入れ1時間加熱した。冷却後、内容物をガスクロマトグラフを用いて分析すると塩化アリルの転化率は96%であり、クロロプロピルトリクロロシランは42%の収率で生成していた。またクロロプロピルトリクロロシランとプロピルトリクロロシランの比は、1.62:1であった。

Claims (2)

  1. (a)末端に不飽和基を有する不飽和化合物と(b)一般式(I)HSiR0 m3-m(ここで、Wは炭素数1〜6アルコキシ基、炭素数6〜10のアリーロキシ基またはハロゲン原子〔F,Cl,BrまたはIから選ばれる〕であり、R0は、(1)炭素数1〜18のアルキル基、(2)炭素数2〜18のアルケニル基、(3)炭素数6〜18のアリール基、(4)炭素数1〜18のハロゲン化アルキル基、または(5)炭素数6〜18のハロゲン化アリール基であり、mは0,1または2である)で表わされるシラン化合物とを(c)白金触媒及び(d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである助触媒作用物質の存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする有機ケイ素化合物の製造方法。
  2. 前記(d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステルである助触媒作用物質が次の一般式で表されるものである請求項1に記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
    (d)硫黄のオキソ酸から誘導される酸のシリルエステル:一般式(II):R1S(=O)2OSiR21 3(ここに、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、R18 2N−で表される基(ここに、R18は独立に炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は水素原子である。但し、水素原子は1個まで存在しうる。)、炭素数1〜10のハロアルキル基(ハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれる。以下「ハロアルキル」というときのハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれるものである。)、炭素数6〜18のハロアリール基(ハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれる。以下「ハロアリール」というときのハロゲン原子はF,Cl,Br又はIから選ばれるものである。)、ハロゲン原子(F,Cl,BrまたはIから選ばれる)、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はR30 3SiO−で表されるシロキシ基(R30は独立に炭素数1〜6のアルキル基である)のいずれかから選ばれ;R21は、独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基、塩素原子、水素原子(但し水素原子は最大2個まで存在しうる)、又はR1S(=O)2O−(R1は上記と同じ意味である)のいずれかから選ばれる基である。)
JP2000063344A 2000-03-03 2000-03-03 有機ケイ素化合物の製造方法 Expired - Fee Related JP4678910B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000063344A JP4678910B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 有機ケイ素化合物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000063344A JP4678910B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 有機ケイ素化合物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001247581A JP2001247581A (ja) 2001-09-11
JP4678910B2 true JP4678910B2 (ja) 2011-04-27

Family

ID=18583225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000063344A Expired - Fee Related JP4678910B2 (ja) 2000-03-03 2000-03-03 有機ケイ素化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4678910B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010285363A (ja) * 2009-06-10 2010-12-24 Shin-Etsu Chemical Co Ltd クロロシリル基含有エチルノルボルネン化合物の製造方法
DE102009027215A1 (de) * 2009-06-25 2010-12-30 Wacker Chemie Ag Verfahren zur Hydrosilylierung
JP5740953B2 (ja) * 2010-12-09 2015-07-01 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物の製造方法
EP2799439B1 (en) 2010-12-09 2017-05-10 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Hydrosilylation method, method for producing organosilicon compound, and organosilicon compound
JP5652360B2 (ja) * 2011-09-12 2015-01-14 信越化学工業株式会社 オルガノキシシラン化合物の製造方法
WO2023171352A1 (ja) * 2022-03-08 2023-09-14 信越化学工業株式会社 熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物及びそのシリコーン硬化物
WO2023171353A1 (ja) * 2022-03-08 2023-09-14 信越化学工業株式会社 2液型熱伝導性付加硬化型シリコーン組成物及びそのシリコーン硬化物

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001002681A (ja) * 1999-06-21 2001-01-09 Dow Corning Asia Ltd Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0633288B2 (ja) * 1986-10-06 1994-05-02 東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社 付加反応方法
JPH04117389A (ja) * 1990-09-05 1992-04-17 Tonen Corp γ―メタクリロキシプロピルシラン化合物の製造方法
JP3754479B2 (ja) * 1996-01-23 2006-03-15 信越化学工業株式会社 3−クロロプロピルトリクロロシラン合成用触媒および3−クロロプロピルトリクロロシランの製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001002681A (ja) * 1999-06-21 2001-01-09 Dow Corning Asia Ltd Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001247581A (ja) 2001-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6175031B1 (en) Method for synthesizing silicon compounds that contain a substituent bonded to silicon through a silicon-carbon linkage
EP0263673B1 (en) Addition reaction of hydrosilanes with unsaturated hydrocarbons
US6326506B1 (en) Method of preparing an organosilicon compound
JP4678910B2 (ja) 有機ケイ素化合物の製造方法
EP1266903B1 (en) Method of preparing an organosilicon compound
JP5664192B2 (ja) 有機ケイ素化合物の製造方法
JPH0353317B2 (ja)
JPS61172887A (ja) ビニル‐トリ‐(三級置換)アルコキシシランを製造する方法
JP4222662B2 (ja) Si−C結合を介してケイ素原子に結合した官能基を有するアシロキシシラン化合物の製造方法
US6111126A (en) Method for synthesizing organosilicon compounds that contain a functional group bonded to silicon across the Si-C bond
JP4748865B2 (ja) ヒドロシリル化方法
US8461368B2 (en) Process for preparing organic silane compounds having beta-cyano ester group
CN1058719C (zh) 含支链烷基链的硅烷(类)化合物
JP2022531804A (ja) カチオン性ゲルマニウム(ii)化合物の存在下でのシロキサンの調製
JP4144926B2 (ja) 特定のγ−アミノプロピルシリル基を有する有機ケイ素化合物の製造方法
JP3839498B2 (ja) 白金−オルガノシロキサン錯体の調製方法
JP4435893B2 (ja) Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物類の製造方法
JP2585295B2 (ja) ビニルシラン類の製造方法
US6713644B1 (en) Hydrosilation with platinum free neat copper containing catalyst
JP4603636B2 (ja) モノハロシランからオルガノシロキサンを製造する方法
EP1797103B1 (en) Preparation of an aminoaryl-containing organosilicon compound and intermediate used in its preparation
JP2006117532A (ja) ハロシリル化鎖状炭化水素の製造方法およびヒドロシリル化反応方法
EP1046643A1 (en) Silacyclobutane compounds
US20030060636A1 (en) Sulfolane functional silanes, compositions, and methods of use of the same
JP2004182669A (ja) 改良されたエポキシシラン化合物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050331

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100426

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100727

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101126

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees