JP2004182669A - 改良されたエポキシシラン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
HSiR’n(OR)3−n (1)
【化1】
ROH (3)
(式中、R,R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)、(2)、(3)におけるRは互いに同一である。また、nは0〜2の整数である。)
【効果】本発明によれば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを高収率で製造することができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シランカップリング剤、変性シリコーンの原料及びプラスチックの改質剤等として産業上有用なエポキシシクロヘキシル基を含有する2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシラン、特に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルモノアルキルジアルコキシシランは、一般にシランカップリング剤として公知の有機ケイ素化合物であり、ガラス・金属・珪石といった無機質材料と汎用の各種合成樹脂等の有機質材料とを化学的に強固に結合できる接着剤として様々な分野で使用されている。適用できる汎用の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂といった熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂といった熱硬化性樹脂、及びウレタンラバー、ポリサルファイド等といったエラストマーやゴム等、非常に広範囲にわたる。
【0003】
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランは、一般的には原料オレフィンである1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのビニル基と下記一般式(1)のヒドロアルコキシシランのH−Si基とを白金もしくはロジウム、イリジウム、ルテニウムといった貴金属類、又はその化合物からなる付加反応触媒の存在下において付加反応させることにより製造される。
【0004】
HSiR’n(OR)3−n (1)
(式中、R,R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nは0〜2の整数である。)
【0005】
しかし、この付加反応には、収率面に関する大きな問題が従来から知られていた。それは、付加反応の過程において、下記式に示されるように、原料オレフィンである1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのビニル基(二重結合)が内部位に転移した異性体が多量に副生してしまうことである。
【0006】
【化2】
【0007】
上記の1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は、付加反応触媒の共存下においても、ヒドロアルコキシシランのH−Si基と殆ど付加反応しないという性質があり、このため1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランへの転化率は上記副生物の発生によって著しく低下し、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの反応収率は1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでせいぜい60〜70%程度、ヒドロアルコキシシランベースでせいぜい80%程度の低レベルに過ぎず、上記製造方法においては従来から解決困難な大きな問題であった。
【0008】
1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンとヒドロアルコキシシランとを、付加反応触媒の存在下で付加反応させて、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを製造する方法については、従来いくつかのものが知られている。しかし、上記の付加反応時に発生する1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生を防止し、目的物の反応収率を大きく向上させるための技術についてはこれまでに知られておらず、早急な対策が望まれていた。以下にこれまでに知られている特許文献の概要を示す。
【0009】
(1)特公平7−88394号公報、米国特許第4966981号明細書、欧州特許第288286号明細書
付加反応時に多量のアルコール類(ヒドロアルコキシシランの1モルに対して、0.1〜10モル)を共存させる方法である。目的は原料オレフィンの二重結合へのヒドロアルコキシシランのH−Si基の付加が、所望の原料オレフィンの二重結合の末端炭素上で起こらずに、その隣のより内部位の炭素上で起こってしまうことから発生する目的物の付加異性体(内部シリル化合物)の副生を抑制させることである。つまり、以下の反応式のように、付加反応時に発生する内部シリル化合物の副生を抑制するということである。
【0010】
【化3】
【0011】
しかし、上記方法によれば、原料オレフィンがアリルグリシジルエーテル(AGE)である場合、即ち、AGEのアリル基にヒドロアルコキシシランのH−Si基が付加反応するような場合に、発生する目的物の構造異性体である内部シリル化合物の副生を低減できるのかも知れないが、原料オレフィンが1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンである場合に発生する前記の1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生については何ら抑制することはできなかった。
【0012】
なお、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンとヒドロアルコキシシランとの付加反応においては、多量のアルコール類の添加がなくても、通常内部シリル化合物は殆ど発生しないことが知られている。つまり、以下の反応式のような内部シリル化合物は殆ど発生しないことが知られている。従って、同反応においては、多量のアルコールの添加は実質的なメリットを何らもたらしていなかった。
【0013】
【化4】
【0014】
また、多量のアルコール類の添加によっては、アルコール類とヒドロアルコキシシランが次式
ROH + HSi → SiOR + H2 ↑
で表される脱水素反応を起こしてしまうため、付加反応中にヒドロアルコキシシランのH−Si結合が消費されて反応収率が損なわれるだけでなく、危険な水素ガスが大量に発生してしまうという問題が生じてしまう。更に、ヒドロアルコキシシランのアルコキシ基の炭素数と異なる炭素数のアルコール類の添加によっては、アルコキシ基と添加したアルコールとのエステル交換により目的物が別種の化学種に転化してしまい、純度が低下し、目的物収率が下がるという問題もある。
【0015】
(2)特開2000−103859号公報
付加反応時にシアノ基含有化合物(実施例ではベンゾニトリル)を共存させる方法であるが、目的は反応中におけるエポキシ基の開環重合による増粘・ゲル化防止である。この方法では、反応中の増粘・ゲル化を防止することはできるかも知れないが、収率はベンゾニトリルを添加する実施例によれば1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースで60%程度、ヒドロアルコキシシランベースで80%程度に過ぎず、前記大量に起こる1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生については何ら抑制することはできなかった。
【0016】
(3)特許第2727479号公報
特開昭56−90092号公報で知られているような付加反応触媒に塩化白金酸を使用する方法に対して、付加反応触媒に白金−ビニルシロキサン錯体を使用する方法である。目的は付加反応中におけるエポキシ基の開環重合防止である。この方法では、エポキシ基の開環重合を防止することはできるかも知れないが、収率は実施例によれば1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースで66%程度、ヒドロアルコキシシランベースで80%程度に過ぎず、前記大量に起こる1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生については何ら抑制することはできなかった。
【0017】
【特許文献1】
特公平7−88394号公報
【特許文献2】
米国特許第4966981号明細書
【特許文献3】
欧州特許第288286号明細書
【特許文献4】
特開2000−103859号公報
【特許文献5】
特許第2727479号公報
【特許文献6】
特開昭56−90092号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来何ら解決策のなかった付加反応時に発生する1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生を極力防止し、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランへの転化率を向上させ、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを高収率に製造する方法を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、アセトニトリルと共に下記式(3)のアルコールを本付加反応時に共存させると、驚くべきことに1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生が劇的に低減され、その結果2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの反応収率が飛躍的に向上することを見出した。即ち、アルコールは、本付加反応時に単独に添加しても(あるいは触媒成分の溶媒として用いられても)、それだけでは1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体副生の低減が全く起こらないが、アセトニトリルと共に本付加反応時に共存させることにより、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体副生の低減が満足の行くレベルで起こり、その結果、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを高収率に製造することを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0020】
従って、本発明は、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンと下記一般式(1)で示されるヒドロアルコキシシランとを、付加反応触媒の存在下で付加反応させて、下記一般式(2)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを製造する方法において、アセトニトリル及び下記一般式(3)で示されるアルコールの共存下で付加反応させることを特徴とする下記一般式(2)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法を提供する。
【0021】
HSiR’n(OR)3−n (1)
【化5】
ROH (3)
(式中、R,R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)、(2)、(3)におけるRは互いに同一である。また、nは0〜2の整数である。)
【0022】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の製造方法において、一方の出発原料である1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンは、工業的に安価に入手できる汎用のオレフィンである。
【0023】
また、他方の出発原料であるヒドロアルコキシシランは、下記一般式(1)で示されるものである。
HSiR’n(OR)3−n (1)
式中、R,R’はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、nは0〜2の整数である。なお、原料入手のし易さやコストの安さ等から、Rはメチル基、R’はメチル基もしくはエチル基が好ましい。
【0024】
上記式(1)で示されるヒドロアルコキシシランとして、具体的には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジn−プロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルn−プロポキシシラン、ジメチルイソプロポキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン等が例示される。
【0025】
なお、ヒドロアルコキシシランをシランカップリング剤として用いる場合は、トリアルコキシシランタイプ、ジアルコキシシランタイプが性能的に好ましい。
【0026】
1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンと上記ヒドロアルコキシシランの配合比は任意であり、特に限定するものではないが、一般的には、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モルに対して、ヒドロアルコキシシランが0.8〜1.2モル、特に0.9〜1.1が好ましい。この範囲を外れると一方の原料が反応に使われず未反応で残るため、経済的に不利になる場合がある。
【0027】
付加反応触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウムといった貴金属類又はその化合物からなるものが選ばれる。
【0028】
白金触媒としては、白金又はその化合物が該当し、0,2,4又はその他の原子価のものが使用でき、具体的には、塩化白金酸、白金の各種錯体、塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体、Karsted触媒、白金化合物の各種溶液(アルコール、ケトン、エーテル、エステル、芳香族炭化水素等に溶解もしくは分散したもの)、Speier触媒、各種固体(シリカゲル、活性炭等)に担持した触媒等が例示され、特にその種類や形態に制限はない。白金触媒量は、特に限定されないが、ヒドロアルコキシシラン1モルに対して白金原子が1×10−2〜10−8倍モル、特に1×10−3〜10−6倍モルが好ましい。白金原子が1×10−8倍モル未満だと反応速度がかなり遅くなり、10−2倍モルを超えると反応速度は速くなるものの経済的に不利となる場合があり、エポキシ基の開環重合が生じるおそれがある。
【0029】
塩素を排した白金とビニルシロキサンの錯体で使用されるビニルシロキサンの例としては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、ポリビニルメチルシロキサン等が挙げられる。なお、塩素を排した触媒は、上記触媒の各種溶液を炭酸ナトリウムや重炭酸ナトリウム、その他のアルカリ化合物やイオン交換樹脂等で処理することにより調整される。
【0030】
本発明の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法においては、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン及び付加反応触媒の混合液に、更にアセトニトリル及びアルコールを添加し、その混合物にヒドロアルコキシシランを滴下してもよいし、又はヒドロアルコキシシラン及び付加反応触媒の混合液に更にアセトニトリル及びアルコールを添加し、その混合物に1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンを滴下してもよい。その他、反応溶媒に付加反応触媒及びアセトニトリル及びアルコールを添加した混合液中に1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンとヒドロアルコキシシランの混合液を添加する等の方法も可能である。即ち、付加反応を行う前に、アセトニトリル及びアルコールを付加反応触媒及び/又は反応原料と混合し、次いで付加反応を行う手順によれば、その方式には特に制限はない。
【0031】
また、アセトニトリルの添加量は、一般式(1)のヒドロアルコキシシランの1モルに対して、0.01モル以上1.0モル以下、特に0.02モル以上0.20モル以下であることが好ましい。アセトニトリルの添加量が0.01モル未満だと目的の効果が得られにくく、1.0モルを超えるとそれに見合っただけの増幅された効果は得られず、経済的にも不利になる場合がある。
【0032】
本発明で使用するアルコールは、一般式ROHで示されるものである。この場合、Rはアルキル基であって、使用する一般式(1)のヒドロアルコキシシランのアルキル基Rと同一であり、具体的には、使用する一般式(1)のヒドロアルコキシシランがメトキシシランであればメタノール、エトキシシランであればエタノール、イソプロポキシシランであればイソプロパノールといったように、ヒドロアルコキシシランのアルコキシ基に対応した種類のアルコールを使用する。
【0033】
上記アルコールの添加量は、一般式(1)のヒドロアルコキシシランの1モルに対して0.01モル以上0.10モル未満、特に0.03モル以上0.09モル以下であることが好ましい。アルコールの添加量が0.01モル未満では目的の効果が得にくく、0.10モル以上ではそれに見合っただけの増幅された効果は得られず、経済的にも不利になる場合がある。また、アルコールとヒドロアルコキシシランとの脱水素反応よってヒドロアルコキシシランがロスする問題も生じてくる。
【0034】
本発明においては、溶媒は、本質的に用いなくても構わないが、必要に応じて反応溶媒として、もしくは触媒溶液の媒体として用いても特に問題はない。その目的が、原料を溶解・希釈させるため、反応系の温度を制御するため、撹拌に必要な容積を確保するため、触媒の添加をしやすくするため等の必要性に応じるもので有れば、ペンタン、ヘキサン、イソオクタン、デカン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、デカリン、テトラリン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、THF等のエーテル類、エステル類又はポリジメチルシロキサン類等の各種シリコーン類等の中から任意に選んで、任意の量で使用しても構わない。なお、特に一種に限定されるものではなく、混合して使用しても構わない。
【0035】
本発明においては、反応の手順は、窒素ガスのような乾燥した不活性なガスで十分に置換を行った反応器に、一般的には1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、付加反応触媒、アセトニトリル及びアルコールを仕込む。この際、必要に応じて溶媒類を仕込んでもよい。次いで、撹拌しながら、所定温度に昇温後、ヒドロアルコキシシランを上記混合物中に滴下して付加反応させ、滴下終了後は反応が完了するまで熟成を行い、その後蒸留精製により目的物を回収するというプロセスをとる。なお、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの代わりにヒドロアルコキシシランを仕込み、ヒドロアルコキシシランの代わりに1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンを滴下する方法でも特に構わない。また、付加反応触媒及びアセトニトリル及びアルコールの混合液(必要ならば適当な溶媒を使用してもよい)に、ヒドロアルコキシシラン及び1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの混合液を滴下する方法や全ての原料を一括で仕込んだ後に昇温する方法でも構わない。また、本発明の製造方法は回分式、連続式、半連続式のいずれの反応方法においても適用可能である。
【0036】
反応温度は、20〜200℃の範囲、特に40〜90℃が好ましい。20℃未満では反応速度が遅くなり、実用的な工程時間内で反応が完結しない場合がある。また、200℃を超えると、反応速度は速くなるものの、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生量が増加したり、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン及び目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランのエポキシ基の開環重合が生じる場合がある。
【0037】
圧力条件は、一般的には大気圧下条件で十分であり、操作性・経済性の点からも好ましい。但し、その必要性に応じて、加圧下で実施しても構わない。
【0038】
反応器内の雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス中が好ましい。水分(もしくは水分を含んだ空気)の混入は反応への悪影響を及ぼすだけでなく、アルコキシシラン類が加水分解して収率が低下するおそれがある。
【0039】
なお、付加反応の触媒活性を高める目的で、反応雰囲気中へ乾燥空気もしくは酸素含有の不活性ガス等を導入するという公知技術を実施しても特に差し支えはない。
【0040】
反応時間に関しては、反応温度・圧力条件もしくは触媒濃度や原料の反応系中濃度の如何によって、0.1〜100時間の範囲で任意に変えることができる。
【0041】
本発明の製造方法により得られる2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランについては、より具体的には2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリn−プロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジn−プロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジイソプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルn−プロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルイソプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシラン等が例示される。
【0042】
本発明の製造方法により得られた2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランは、一般的な蒸留方法により高純度に精製することができる。具体的には、減圧条件下に加熱し、蒸気分を蒸留塔に通して、まず低沸点留分を留去後、各化合物固有の沸点領域における留分を分取することにより、高純度の目的物を得ることができる。また、蒸留時には蒸留の前に反応液と共に、アミン類や硫黄含有化合物類等を少量添加して、蒸留中の目的物のエポキシ基の開環重合を抑制する公知の手段を実施しても特に構わない。なお、添加したアセトニトリル及びアルコールは蒸留時に低沸分として初期に留去してしまうので、目的物の純度には何ら影響を与えない。
【0043】
また、反応容器には、特に制限はないが、撹拌装置、温度計、還流冷却器、滴下装置等の装置を具備していることが好ましい。
【0044】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた300mLの四口丸底フラスコ反応器を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン132g(1.06モル)、白金原子を2重量%含有するSpeier触媒0.06g(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モル当たり6×10−6倍モルの白金原子を含む)、アセトニトリル2.6g(0.06モル)及びメタノール2.6g(0.08モル)を添加した。ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。
【0046】
次いで、上記内容物にトリメトキシシラン122.2g(1.00モル)を7.3時間で滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に2.0時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は2.4%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは90.2%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)は0.027であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは90%、トリメトキシシランベースでは95%であった。
【0047】
[実施例2]
アセトニトリル2.6g(0.06モル)の代わりに、アセトニトリル1.3g(0.03モル)とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは5.6時間で滴下した。滴下終了後、更に11.1時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は3.1%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは90.1%であった。両者の比率は0.034であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは88%、トリメトキシシランベースでは93%であった。
【0048】
[実施例3]
アセトニトリル2.6g(0.06モル)の代わりに、アセトニトリル6.5g(0.15モル)とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは6.5時間で滴下した。滴下終了後、更に2.0時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は2.0%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは89.3%であった。両者の比率は0.023であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは90%、トリメトキシシランベースでは95%であった。
【0049】
[比較例1]
アセトニトリル及びメタノールを添加しない以外は実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは8.3時間で滴下した。滴下終了後、更に1.3時間撹拌したところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体が大量に副生して、反応がそれ以上進まなくなったため、反応を終了とした。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は9.7%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは78.5%であった。両者の比率は0.123であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。
【0050】
なお、この反応液は、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランよりもかなり粘度が上昇しており、そのまま数日放置しておいたところ、固化してしまった。
【0051】
[比較例2]
アセトニトリルを添加しない以外は実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは6.0時間で滴下した。滴下終了後、更に3.2時間撹拌したところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体が大量に副生して、反応がそれ以上進まなくなったため、反応を終了とした。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は8.3%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは81.2%であった。両者の比率は0.102であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは75%、トリメトキシシランベースでは80%であった。
【0052】
[比較例3]
アセトニトリルを添加せず、メタノール2.6g(0.08モル)の代わりにメタノール5.2g(0.16モル)とする以外は、実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは7.6時間で滴下した。滴下終了後、更に1.2時間撹拌したところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体が大量に副生して、反応がそれ以上進まなくなったため、反応を終了とした。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は10.1%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは78.5%であった。両者の比率は0.128であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは72%、トリメトキシシランベースでは77%であった。
【0053】
比較例2、3により、メタノールの添加のみでは、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生を低減することはできず、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を改善することは困難である。
【0054】
[比較例4]
メタノールを添加しない以外は、実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは5.9時間で滴下した。滴下終了後、更に10.2時間撹拌して反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は6.1%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは84.6%であった。両者の比率は0.072であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは79%、トリメトキシシランベースでは84%であった。
【0055】
このことより、アセトニトリルのみ(メタノールなし)の添加によって、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生が低減傾向にあり、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率が増加傾向にあることが認められるが、満足の行くレベルではなかった。
【0056】
[比較例5]
メタノールを添加せず、アセトニトリル2.6g(0.06モル)の代わりにベンゾニトリル6.2g(0.06モル)を添加する以外は、実施例1と同様にして反応を行った。トリメトキシシランは6.0時間で滴下した。滴下終了後、更に6.3時間撹拌して反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は8.5%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは80.9%であった。両者の比率は0.105であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの内部シリル化合物の副生はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは75%、トリメトキシシランベースでは80%であった。
【0057】
シアノ基含有化合物ではあっても、ベンゾニトリルのみ(メタノールなし)の添加によっては、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体の副生の低減を図ることはできず、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの収率の改善は困難であった。
【0058】
[実施例4]
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた2000mLの四口丸底フラスコ反応器を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン810g(6.52モル)、白金原子を2重量%含有するSpeier触媒0.20g(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モル当たり20×10−6倍モルの白金原子を含む)、アセトニトリル16.2g(0.39モル)及びメタノール16.2g(0.51モル)を仕込んだ。
【0059】
ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、上記内容物にトリメトキシシラン750g(6.14モル)を6.6時間で滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に2時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は2.3%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは92.8%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)は0.025であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの付加異性体はゼロであった。
【0060】
上記の反応液より蒸留操作にて、沸点が111〜120℃(0.13kPa)の留分1439.7gを分取した。これは、純度99.9%の目的物2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは90%、トリメトキシシランベースの収率は95%であった。
【0061】
[比較例6]
アセトニトリルを添加しない以外は、実施例4と同様にして反応を実施した。トリメトキシシランは6.6時間で滴下した。滴下終了後、更に2時間撹拌して、反応を終了とした。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は8.3%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは81.2%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)は0.102であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランの付加異性体はゼロであった。
【0062】
上記の反応液より蒸留操作にて沸点が111〜120℃(0.13kPa)の留分1224.9gを分取した。これは、純度99.8%の目的物2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであり、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは76%、トリメトキシシランベースの収率は81%であった。
【0063】
[実施例5]
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた300mLの四口丸底フラスコ反応器を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン132g(1.06モル)、白金原子を2重量%含有するSpeier触媒0.06g(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モル当たり6×10−6倍モルの白金原子を含む)、アセトニトリル2.6g(0.06モル)及びメタノール2.6g(0.08モル)を仕込んだ。
【0064】
ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、上記内容物にメチルジメトキシシラン106.2g(1.00モル)を7時間で滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に4時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は2.0%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランは90.0%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン)は0.022であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランの付加異性体はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは89%、メチルジメトキシシランベースでは94%であった。
【0065】
[実施例6]
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた300mLの四口丸底フラスコ反応器を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン132g(1.06モル)、白金原子を2重量%含有するSpeier触媒0.06g(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モル当たり6×10−6倍モルの白金原子を含む)、アセトニトリル2.6g(0.06モル)及びエタノール3.7g(0.08モル)を仕込んだ。
【0066】
ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、上記内容物にトリエトキシシラン164.3g(1.00モル)を7時間で滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に4時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は2.7%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランは90.5%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン)は0.030であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの付加異性体はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは88%、トリエトキシシランベースでは93%であった。
【0067】
[実施例7]
撹拌機、温度計、ジムロート冷却器及び滴下ロートを取り付けた300mLの四口丸底フラスコ反応器を十分窒素ガスにより置換した。この反応器に、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン132g(1.06モル)、白金原子を2重量%含有するSpeier触媒0.06g(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン1モル当たり6×10−6倍モルの白金原子を含む)、アセトニトリル2.6g(0.06モル)及びメタノール2.6g(0.08モル)を仕込んだ。
【0068】
ジムロート冷却器先端を窒素ガスによりシールして、上記内容物を撹拌しつつ、60℃に昇温し、その温度を保持した。次いで、上記内容物にメチルジエトキシシラン134.3g(1.00モル)を7時間で滴下した。その間、反応温度を60〜70℃で制御した。滴下終了後、更に4時間撹拌して、反応を完結させた。この反応液の組成をガスクロマトグラフィーで調べたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体は1.8%、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランは91.4%であった。両者の比率(1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンの異性体/2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン)は0.020であった。なお、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランの付加異性体はゼロであった。テトラリンを内部標準物質として、ガスクロ内部標準法により、目的物の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランの収率を求めたところ、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンベースでは90%、メチルジエトキシシランベースでは95%であった。
【発明の効果】
本発明によれば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを高収率で製造することができる。
Claims (5)
- 1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンと下記一般式(1)で示されるヒドロアルコキシシランとを、付加反応触媒の存在下で付加反応させて、下記一般式(2)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランを製造する方法において、アセトニトリル及び下記一般式(3)で示されるアルコールの共存下で付加反応させることを特徴とする下記一般式(2)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法。
HSiR’n(OR)3−n (1)
(式中、R,R’は炭素数1〜3のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよいが、一般式(1)、(2)、(3)におけるRは互いに同一である。また、nは0〜2の整数である。) - 一般式(3)のアルコール添加量が、一般式(1)のヒドロアルコキシシランの1モルに対して、0.01モル以上0.10モル未満であることを特徴とする請求項1記載の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法。
- アセトニトリルの添加量が、一般式(1)のヒドロアルコキシシランの1モルに対して、0.01モル以上1.0モル以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法。
- 上記式(1)〜(3)中、Rがメチル基又はエチル基であり、R’がメチル基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法。
- 上記式(1)、(2)中、nが0であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルアルコキシシランの製造方法。
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JP2012153638A (ja) * | 2011-01-26 | 2012-08-16 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | ビス(オルガノキシシリル)アルカン化合物の製造方法 |
JP2014218679A (ja) * | 2014-08-25 | 2014-11-20 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | シリコーン組成物、硬化性組成物及びそれを用いた発光部品 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353243A patent/JP4154577B2/ja not_active Expired - Lifetime
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