JP2004256439A - 有機ケイ素化合物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機ケイ素化合物およびその製造方法に係り、特に、高屈折率のポリオルガノシロキサンの製造に好適する有機ケイ素化合物とその製造方法に関する。
【従来の技術】
一般に、フェニル基を有するシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の材料としての用途の他に、プラスチックの添加剤としてなど、従来から幅広く使用されている。
【0002】
しかし、このような高屈折率のシリコーンのうちで、フェニル基がシロキサン単位に直接結合したフェニルシリコーンにおいては、酸媒体に対する耐性が低いばかりでなく、原料となるジフェニルジクロロシランの製造が難しくコストが高いという問題があった。
【0003】
また、α−メチルスチレン付加物のようなフェニル誘導体を原料として高屈折率のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)を製造する方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平07−224075号公報(第2−3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シロキサン単位の屈折率が低いため、特許文献1に記載された方法では、フェニル誘導体による置換割合が低いと屈折率が十分に高いものが得られなかった。また、多くのフェニル基を導入した場合、高屈折率(例えば、屈折率が1.48以上)のものが得られるが、シリコーンとしての良好な特性が損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、ポリマーにジフェニルアルキル(ペンチル)基を導入するための材料として好適し、フェニル基を含有する高屈折率のシリコーンの原料として有用な新規な有機ケイ素化合物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の化学式(1)で表されることを特徴とする。
【化3】
(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)
【0008】
また、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、請求項1記載の有機ケイ素化合物の製造方法であり、以下の化学式(2)で表される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、化学式:HSiXnR(3−n)
(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)
で表される水素基含有ケイ素化合物を、白金系触媒の存在下で付加反応させることを特徴とする。
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の第1の実施形態は、以下の化学式(1)で表される有機ケイ素化合物である。
【化5】
【0011】
ここで、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。合成が容易なことからアルキル基が望ましく、その中でも特にメチル基であることが好ましい。
【0012】
また、Xは加水分解性基であり、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;アセトキシなどのアシロキシ基;ジメチルケトキシマト基、メチルエチルケトキシマト基などのケトキシマト基;アセトアミドのようなアミド基;ジメチルアミノ基などのアミノ基が例示される。合成が容易なことからメトキシ基やクロロ基が望ましく、特に加水分解性が高く加水分解反応に有利なことから、クロロ基であることが好ましい。さらに、得られる有機ケイ素化合物の原料として、ポリオルガノシロキサンを製造する場合には、加水分解性基が少なくとも一つ必要であるため、nは1〜3の整数であることが好ましい。
【0013】
この有機ケイ素化合物は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、化学式:HSiXnR(3−n)(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)で表される水素基含有ケイ素化合物とを、触媒である白金系化合物の存在下で付加(ヒドロシリル化)反応させることにより得ることができる。
【0014】
化学式:HSiXnR(3−n)で表される水素基含有ケイ素化合物において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。合成が容易なことからアルキル基が望ましく、その中でも特にメチル基であることが好ましい。
【0015】
また、Xとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;アセトキシなどのアシロキシ基;ジメチルケトキシマト基、メチルエチルケトキシマト基などのケトキシマト基;アセトアミドのようなアミド基;ジメチルアミノ基などのアミノ基が例示される。合成が容易なことからメトキシ基やクロロ基が望ましく、特に加水分解性が高く加水分解反応に有利なことから、クロロ基であることが好ましい。さらに、得られる有機ケイ素化合物の原料として、ポリオルガノシロキサンを製造する場合には、加水分解性基が少なくとも一つ必要であるため、nは1〜3の整数であることが好ましい。
【0016】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、前記した水素基含有ケイ素化合物との反応割合は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1モルに対して水素基含有ケイ素化合物0.5〜2モルを使用することが好ましい。化学量論的には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1モルに対して水素基含有ケイ素化合物1モルを使用すれば良いが、前記割合で混合し、反応後に過剰の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンまたは水素基含有ケイ素化合物を留去すれば良い。
【0017】
この反応は、溶剤を使用せずに行うことができるが、通常、付加反応は発熱を伴って進行するので、発熱緩和のために、付加反応に悪影響を及ぼさない範囲で任意の溶剤を使用することも可能である。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;2−プロパノールなどのアルコール系溶剤;ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤が挙げられ、原料の溶解性や付加反応後の留去のし易さなどを考慮して任意に選択される。
【0018】
溶剤の使用量は、前記した2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと水素基含有ケイ素化合物の合計量に対して、5〜1000重量%の範囲とすることが好ましい。5重量%未満の場合は十分な発熱緩和の効果が得られず、また1000重量%を超えると、反応終了後の溶剤の留去に時間がかかり、また結果的に歩留りが悪くなる。
【0019】
また反応温度は、25〜150℃とすることが好ましく、50〜120℃がさらに好ましい。25℃未満の場合にはヒドロシリル化反応の進行が遅く、また150℃を超えると、付加反応が発熱を伴って急激に進行するおそれがあり好ましくない。さらに、この付加反応は、常圧、加圧のいずれの状態で行っても良い。
【0020】
付加反応に使用される触媒としては、白金族金属系触媒、例えば白金系化合物、パラジウム系化合物、ロジウム系化合物が挙げられる。反応性が良好なことから白金系化合物が特に好ましい。この白金系化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸をアルコールやケトン類に溶解させたもの、塩化白金酸とオレフィン類との錯化合物、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯化合物、塩化白金酸とジケトンとの錯化合物、白金黒および白金をアルミナ、シリカ等の担体に保持させたものなどが挙げられる。
【0021】
また、これら触媒の使用量は、いわゆる触媒量で良く、例えば前記した2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと水素基含有ケイ素化合物の合計量に対して、白金族金属換算で0.1〜1000ppmの範囲で使用される。好ましくは0.5〜500ppm、さらに好ましくは1〜100ppmである。触媒量が0.1ppm未満の場合にはヒドロシリル化反応の進行が遅く、また1000ppmを超えると、経済的に不利であるばかりでなく、付加反応が発熱を伴って急激に進行するおそれがある。
【0022】
第1の実施形態の有機ケイ素化合物は、ポリマーにジフェニルペンチル基を導入するための化合物として好適する。また、この有機ケイ素化合物を用いて得られたシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の用途のほかに、プラスチックの添加剤として極めて有用である。
【0023】
次に、具体的実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は重量%を示す。
【0024】
実施例1
冷却管、滴下ロート、温度計および撹拌機を備えた3リットルのセパラブルフラスコに、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1400g、トルエン420g、塩化白金酸イソプロパノール溶液(白金含有量1%)8.6gを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱し70℃まで昇温した。次いでこの溶液に、70〜80℃の温度でメチルジクロロシラン750gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、70〜80℃の温度でさらに1時間撹拌を行い、ガスクロマトグラフィーにより2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンのピークがほぼ消失したことを確認し、反応を終了させた。
【0025】
反応終了後減圧蒸留したところ、160〜163℃/2mmHgの留分として、無色透明液状の下記化学式(3)で表される化合物(2,4−ジフェニル−4−メチルペンチルメチルジクロロシラン)1900gが得られた。この化合物の25℃における屈折率は1.5404であり、収率は理論量に対して91.3%であった。
【0026】
【化6】
【0027】
この化合物の構造式は、下記の1H−NMRおよび図1で示すIRスペクトルにより確認された。
1H−NMR
δ0.04(s,―Si―CH 3 ,3H)
δ1.13(s,CH 3―C―,3H)
δ1.23(s,CH 3―C―,3H)
δ1.34(d−d,―CH2―CH―CH 2―Si―,2H)
δ2.09(d−d,―CH 2―CH―CH2―Si―,2H)
δ2.86〜2.74(m,―CH2―CH―CH2―Si―,1H)
δ7.25〜6.98(m,芳香環,10H)
IRスペクトル(図1を参照)
3090〜3030cm−1 不飽和炭化水素(芳香環)
2960〜2880cm−1 飽和炭化水素
1610,1500cm−1 芳香環
1260cm−1 Si―CH3
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の新規な有機ケイ素化合物は、ポリマーにジフェニルペンチル基を導入するための化合物として好適する。そして、この有機ケイ素化合物を用いて得られるシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の用途のほかに、プラスチックの添加剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機ケイ素化合物およびその製造方法に係り、特に、高屈折率のポリオルガノシロキサンの製造に好適する有機ケイ素化合物とその製造方法に関する。
【従来の技術】
一般に、フェニル基を有するシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の材料としての用途の他に、プラスチックの添加剤としてなど、従来から幅広く使用されている。
【0002】
しかし、このような高屈折率のシリコーンのうちで、フェニル基がシロキサン単位に直接結合したフェニルシリコーンにおいては、酸媒体に対する耐性が低いばかりでなく、原料となるジフェニルジクロロシランの製造が難しくコストが高いという問題があった。
【0003】
また、α−メチルスチレン付加物のようなフェニル誘導体を原料として高屈折率のシリコーン(ポリオルガノシロキサン)を製造する方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平07−224075号公報(第2−3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シロキサン単位の屈折率が低いため、特許文献1に記載された方法では、フェニル誘導体による置換割合が低いと屈折率が十分に高いものが得られなかった。また、多くのフェニル基を導入した場合、高屈折率(例えば、屈折率が1.48以上)のものが得られるが、シリコーンとしての良好な特性が損なわれるという問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、ポリマーにジフェニルアルキル(ペンチル)基を導入するための材料として好適し、フェニル基を含有する高屈折率のシリコーンの原料として有用な新規な有機ケイ素化合物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機ケイ素化合物は、以下の化学式(1)で表されることを特徴とする。
【化3】
(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)
【0008】
また、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法は、請求項1記載の有機ケイ素化合物の製造方法であり、以下の化学式(2)で表される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、化学式:HSiXnR(3−n)
(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)
で表される水素基含有ケイ素化合物を、白金系触媒の存在下で付加反応させることを特徴とする。
【化4】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の第1の実施形態は、以下の化学式(1)で表される有機ケイ素化合物である。
【化5】
【0011】
ここで、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。合成が容易なことからアルキル基が望ましく、その中でも特にメチル基であることが好ましい。
【0012】
また、Xは加水分解性基であり、具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;アセトキシなどのアシロキシ基;ジメチルケトキシマト基、メチルエチルケトキシマト基などのケトキシマト基;アセトアミドのようなアミド基;ジメチルアミノ基などのアミノ基が例示される。合成が容易なことからメトキシ基やクロロ基が望ましく、特に加水分解性が高く加水分解反応に有利なことから、クロロ基であることが好ましい。さらに、得られる有機ケイ素化合物の原料として、ポリオルガノシロキサンを製造する場合には、加水分解性基が少なくとも一つ必要であるため、nは1〜3の整数であることが好ましい。
【0013】
この有機ケイ素化合物は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、化学式:HSiXnR(3−n)(式中、Xは加水分解性基、Rは互いに同一あるいは異なる置換または非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。)で表される水素基含有ケイ素化合物とを、触媒である白金系化合物の存在下で付加(ヒドロシリル化)反応させることにより得ることができる。
【0014】
化学式:HSiXnR(3−n)で表される水素基含有ケイ素化合物において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基が挙げられる。合成が容易なことからアルキル基が望ましく、その中でも特にメチル基であることが好ましい。
【0015】
また、Xとしては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;アセトキシなどのアシロキシ基;ジメチルケトキシマト基、メチルエチルケトキシマト基などのケトキシマト基;アセトアミドのようなアミド基;ジメチルアミノ基などのアミノ基が例示される。合成が容易なことからメトキシ基やクロロ基が望ましく、特に加水分解性が高く加水分解反応に有利なことから、クロロ基であることが好ましい。さらに、得られる有機ケイ素化合物の原料として、ポリオルガノシロキサンを製造する場合には、加水分解性基が少なくとも一つ必要であるため、nは1〜3の整数であることが好ましい。
【0016】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと、前記した水素基含有ケイ素化合物との反応割合は、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1モルに対して水素基含有ケイ素化合物0.5〜2モルを使用することが好ましい。化学量論的には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1モルに対して水素基含有ケイ素化合物1モルを使用すれば良いが、前記割合で混合し、反応後に過剰の2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンまたは水素基含有ケイ素化合物を留去すれば良い。
【0017】
この反応は、溶剤を使用せずに行うことができるが、通常、付加反応は発熱を伴って進行するので、発熱緩和のために、付加反応に悪影響を及ぼさない範囲で任意の溶剤を使用することも可能である。溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;2−プロパノールなどのアルコール系溶剤;ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤が挙げられ、原料の溶解性や付加反応後の留去のし易さなどを考慮して任意に選択される。
【0018】
溶剤の使用量は、前記した2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと水素基含有ケイ素化合物の合計量に対して、5〜1000重量%の範囲とすることが好ましい。5重量%未満の場合は十分な発熱緩和の効果が得られず、また1000重量%を超えると、反応終了後の溶剤の留去に時間がかかり、また結果的に歩留りが悪くなる。
【0019】
また反応温度は、25〜150℃とすることが好ましく、50〜120℃がさらに好ましい。25℃未満の場合にはヒドロシリル化反応の進行が遅く、また150℃を超えると、付加反応が発熱を伴って急激に進行するおそれがあり好ましくない。さらに、この付加反応は、常圧、加圧のいずれの状態で行っても良い。
【0020】
付加反応に使用される触媒としては、白金族金属系触媒、例えば白金系化合物、パラジウム系化合物、ロジウム系化合物が挙げられる。反応性が良好なことから白金系化合物が特に好ましい。この白金系化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸をアルコールやケトン類に溶解させたもの、塩化白金酸とオレフィン類との錯化合物、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯化合物、塩化白金酸とジケトンとの錯化合物、白金黒および白金をアルミナ、シリカ等の担体に保持させたものなどが挙げられる。
【0021】
また、これら触媒の使用量は、いわゆる触媒量で良く、例えば前記した2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンと水素基含有ケイ素化合物の合計量に対して、白金族金属換算で0.1〜1000ppmの範囲で使用される。好ましくは0.5〜500ppm、さらに好ましくは1〜100ppmである。触媒量が0.1ppm未満の場合にはヒドロシリル化反応の進行が遅く、また1000ppmを超えると、経済的に不利であるばかりでなく、付加反応が発熱を伴って急激に進行するおそれがある。
【0022】
第1の実施形態の有機ケイ素化合物は、ポリマーにジフェニルペンチル基を導入するための化合物として好適する。また、この有機ケイ素化合物を用いて得られたシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の用途のほかに、プラスチックの添加剤として極めて有用である。
【0023】
次に、具体的実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、%は重量%を示す。
【0024】
実施例1
冷却管、滴下ロート、温度計および撹拌機を備えた3リットルのセパラブルフラスコに、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1400g、トルエン420g、塩化白金酸イソプロパノール溶液(白金含有量1%)8.6gを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱し70℃まで昇温した。次いでこの溶液に、70〜80℃の温度でメチルジクロロシラン750gを2時間かけて滴下した。滴下終了後、70〜80℃の温度でさらに1時間撹拌を行い、ガスクロマトグラフィーにより2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンのピークがほぼ消失したことを確認し、反応を終了させた。
【0025】
反応終了後減圧蒸留したところ、160〜163℃/2mmHgの留分として、無色透明液状の下記化学式(3)で表される化合物(2,4−ジフェニル−4−メチルペンチルメチルジクロロシラン)1900gが得られた。この化合物の25℃における屈折率は1.5404であり、収率は理論量に対して91.3%であった。
【0026】
【化6】
【0027】
この化合物の構造式は、下記の1H−NMRおよび図1で示すIRスペクトルにより確認された。
1H−NMR
δ0.04(s,―Si―CH 3 ,3H)
δ1.13(s,CH 3―C―,3H)
δ1.23(s,CH 3―C―,3H)
δ1.34(d−d,―CH2―CH―CH 2―Si―,2H)
δ2.09(d−d,―CH 2―CH―CH2―Si―,2H)
δ2.86〜2.74(m,―CH2―CH―CH2―Si―,1H)
δ7.25〜6.98(m,芳香環,10H)
IRスペクトル(図1を参照)
3090〜3030cm−1 不飽和炭化水素(芳香環)
2960〜2880cm−1 飽和炭化水素
1610,1500cm−1 芳香環
1260cm−1 Si―CH3
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の新規な有機ケイ素化合物は、ポリマーにジフェニルペンチル基を導入するための化合物として好適する。そして、この有機ケイ素化合物を用いて得られるシリコーン(ポリオルガノシロキサン)は、屈折率が高く光沢の良好な被膜を形成することができるので、光学機器や化粧品の用途のほかに、プラスチックの添加剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた有機ケイ素化合物のIRスペクトル。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003048681A JP2004256439A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 有機ケイ素化合物およびその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2004256661A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Ge Toshiba Silicones Co Ltd | ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンおよびその製造方法および皮膚化粧料 |
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2003
- 2003-02-26 JP JP2003048681A patent/JP2004256439A/ja active Pending
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JP2004256661A (ja) * | 2003-02-26 | 2004-09-16 | Ge Toshiba Silicones Co Ltd | ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンおよびその製造方法および皮膚化粧料 |
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