JP4435893B2 - Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物類の製造方法 - Google Patents

Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は物性の改良および反応性の付与を目的として不飽和化合物とシラン化合物とを反応させて、Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シラン化合物により有機化合物を化学修飾する方法としては、一般にヒドロシリル化反応が有効に用いられる。この場合、Si−H官能性シランと不飽和結合を有する有機化合物とのヒドロシリル化反応による方法が用いられる。この方法はかなり広範なSi−H化合物及び不飽和結合を有する有機化合物に適用可能である。工業的に用いられるヒドロシリル化反応には一般に白金あるいはロジウム触媒が用いられるが、これらの金属は非常に高価であり、従って、ヒドロシリル化反応は、その触媒効率が非常に高いことが重要である。また、ヒドロシリル化反応にはしばしば、競争的な副反応があり、また、ヒドロシリル化反応自体に複数の異性体を生成する反応経路があり、そのため、ヒドロシリル化反応に於いては常に、生成物の収率、選択性、単一異性体の生成等の触媒に関する問題がある。これらを改良、改善する目的で、触媒に種々の配位子を化学結合し、あるいは、添加し、または、各種異なった担体上に触媒を固定する等の触媒の修飾が行われている。しかし、一般に、このような化学的または物理的な修飾は(1)暫時その効果が失われていく、(2)一般的に選択性の良い触媒ほど活性が低い、という問題点を有しており、これら以外にも、白金触媒が無酸素条件で徐々に失活するため、副反応の惹起、火災の危険性にも拘わらず、ヒドロシリル化反応を酸素存在下でおこなわざるを得ない場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、白金触媒を用いる不飽和基を有する有機化合物とH−Si官能性ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応において、高い触媒活性および安定性を発現し、かつ、ヒドロシリル化反応生成物の位置選択性を高める反応方法を提供することである。また、酸素を添加することなくこれらの効果を達成し、ヒドロシリル化反応における火災、爆発等の危険を低減することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(1)で示されるヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物(d)の存在下、カルボン酸化合物及びヒドロ(アルコキシ)シラン(e)の存在下に、白金触媒(c)の作用により、不飽和基を有する有機化合物又は不飽和基を有する有機ケイ素化合物(以下、「不飽和基を有する有機化合物又は不飽和基を有する有機ケイ素化合物」を「不飽和化合物」と称する。)(a)と、下記式(2)で示されるヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物(b)とを反応させる、Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物類の製造方法である。
HSiR2 (O(C=O)R1 ) (1)
(ここに、Rはそれぞれ独立に有機基、シロキシ基又はシロキサノ基であり、R1 はそれぞれ独立に水素原子又は有機基から選ばれる。)
HSiR2 n 3-n (2)
(ここに、nは0,1,2又は3であり、R2 はそれぞれ独立に炭化水素基であり、Zはそれぞれ独立に、シルアミノ基、シロキシ基、又はシロキサノキシ基である。)
【0005】
前記不飽和化合物(a)の好ましい具体例としては下記▲1▼〜▲8▼を挙げることができる:
▲1▼スチレンまたはスチレンの誘導体、
▲2▼ビニルシラン化合物、
▲3▼ケイ素原子に直接結合したビニル基を有するシロキサン化合物、
▲4▼エポキシ官能性オレフィン、
▲5▼ジエン化合物、
▲6▼CH2 =CHCH2 Xで示されるアリル化合物(ここに、Xはハロゲン原
子、アルコキシ基またはアシルオキシ基を表す。)、
▲7▼ビニル基を有してなるオレフィン化合物、及び
▲8▼アセチレン系化合物;
【0006】
前記不飽和化合物(a)は上記▲1▼から▲8▼のうちから選ばれるのが好ましいが、これらは、その構造中に炭素原子及び水素原子の他にO,N,F,Cl,Br,SiまたはSから選ばれる原子を含んでいても構わない。但し、▲6▼については上の記載に従う。
【0007】
前記スチレンまたはスチレン誘導体の例としては、スチレン系炭化水素化合物、例えばスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−フェニルスチレン、ジビニルベンゼン等;ハロゲン含有スチレン、例えばp−フルオロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−ヨードスチレン、p−およびm−(クロロメチル)スチレン等;含酸素又は含ケイ素スチレン誘導体、例えばp−メトキシスチレン、p−トリメチルシリルスチレン等;含窒素スチレン誘導体、例えばp−(ジフェニルアミノ)スチレン、p−(ジトリルアミノ)スチレン、p−(ジキシリルアミノ)スチレン、ビス(4−ビニルフェニル)(4−メチルフェニル)アミン等を例示できる。
【0008】
前記ビニルシラン化合物、およびケイ素原子に直接結合したビニル基を有するシロキサン化合物としては、ビニルトリアルキルシラン、例えばビニルトリメチルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルトリプロピルシラン、ビニルジメチルエチルシラン等;ビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン等;ビニル官能性シロキサン、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等;及びビニル官能性シラザン(これは一種のビニルシランと見ることができる)、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラジシラザン等を例示できる。
【0009】
前記エポキシ官能性オレフィンの例としては、アリルグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドを挙げることできる。前記ジエン化合物としては1,3−ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、及び1,3−シクロヘキサジエンを挙げることができる。前記CH2 =CHCH2 Xで示されるアリル化合物としては、塩化アリル、アリルアセテート、アリルメタクリレートを挙げることができる。
【0010】
前記ビニル基を有してなるオレフィン化合物は、直鎖状または分岐状のいずれでも構わない。また、これらは置換基に芳香族炭化水素基を有していても構わない。直鎖の不飽和オレフィン化合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1及びオクタデセン−1を挙げることができる。不飽和基を有する分岐オレフィン化合物の例としては、イソブチレン、3−メチルブテン−1、3,5−ジメチルヘキセン−1及び4−エチルオクテン−1を挙げることができる。
上記オレフィン化合物がO,N,F,Cl,Br,Si,Sから選ばれる原子を含んでいる場合の例として、含酸素アリル化合物、例えばアリルメタクリレート;ビニル基を有するアミン化合物、例えばN−ビニルカルバゾール;オレフィンのハロゲン化物、例えば4−クロロブテン−1及び6−ブロモヘキセン−1;ケイ素官能性オレフィン化合物、例えばアリロキシトリメチルシラン;イオウ含有オレフィン化合物、例えばアリルメルカプタン及びアリルスルフィドが挙げられる。上記オレフィン化合物が芳香族炭化水素基を有する場合の例としては、アリルベンゼン及び4−フェニルブテン−1を挙げることができる。
【0011】
前記アセチレン系化合物は、末端にエチニル基(CH≡C−)を有するものか、または分子内にエチニレン基(−C≡C−)を有するものであり、これらは置換基に芳香族炭化水素基を有していても構わない。
末端にエチニル基(CH≡C−)を有するアセチレン系化合物の例としては、アセチレン、プロピン、ブチン−1、ヘキシン−1及びオクチン−1を挙げることができる。分子内にエチニレン基(−C≡C−)を有するアセチレン系化合物の例としては、ブチン−2、ヘキシン−2、ヘキシン−3及びオクチン−4を挙げることができる。芳香族炭化水素基を有するアセチレン系化合物の例としては、フェニルアセチレン、3−フェニルプロピン及び4−フェニルブチン−1を挙げることができる。上記アセチレン系化合物がO,N,F,Cl,Br,Si,Sから選ばれる原子を含んでいる場合の例としては、含酸素アセチレン系化合物、例えば3−メチル−1−ブチン−3−オール及び3−フェニル−1−ブチン−3−オール;含ケイ素アセチレン系化合物、例えば3−メチル−1−ブチン−3−オールのO−トリメチルシリル化物(HC≡C−CH(CH3 )−O−Si(CH3 3 )及び3−フェニル1−ブチン−3−オールのO−トリメチルシリル化物(HC≡C−CH(C65 )−O−Si(CH3 3 );並びに含ハロゲンアセチレン系化合物、例えば塩化プロパルギル及び臭化プロパルギルを挙げることができる。
【0012】
前記ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物(b)は前記式(2)
HSiR2 n 3-n (2)
(ここに、nは0,1,2又は3であり、R2 はそれぞれ独立に炭化水素基であり、Zはそれぞれ独立に、シルアミノ基、シロキシ基、又はシロキサノキシ基である。)で示されるH−Si官能性ケイ素化合物である。
【0013】
この化合物(b)の具体例を挙げると、HSiR2 3でR2 が炭化水素基のものでは、R2 は、アルキル基、アリール基、アラルキル基から選ぶことができ、従ってこの場合のこの化合物の例としては、トリアルキルシラン類、例えばトリメチルシラン、ジメチルエチルシラン、ジメチルヘキシルシラン、;トリアリールシラン類、例えばトリフェニルシラン;トリアラルキルシラン類、例えばトリベンジルシラン;ジアルキルアリールシラン類、例えばジメチルフェニルシラン;ジアルキルアラルキルシラン類、例えばジメチルベンジルシラン;モノアルキルジアリールシラン類、例えばメチルジフェニルシラン類、等のヒドロシラン類を挙げることができる。
【0014】
HSiR2 2ZでZがシルアミノ基のものでは、ペンタメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを例示でき、Zがシロキシ基のものでは、ペンタメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを例示でき、Zがシロキサノキシ基のものでは、1,1,3,3,5,5,5−ヘプタタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルトリシロキサン、片末端Si−H官能性ポリジメチルシロキサン、両末端Si−H官能性ポリジメチルシロキサン、枝別れを有する末端ジメチルシリルシロキサン例えばメチルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、n−プロピルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シランを例示できる。
【0015】
HSiRZ2 でZがシルアミノ基のものでは、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシラザンを例示でき、Zがシロキシ基のものでは、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンおよび1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサンを例示でき、Zがシロキサノキシ基のものでは、1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9−ウンデカメチルペンタシロキサン、両末端トリメチルシリル官能性ポリメチルハイドロジェンシロキサン、両末端トリメチルシリル官能性メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー及び両末端Si−H官能性ポリメチルハイドロジェンシロキサンを例示できる。
【0016】
HSiZ3 でZがシロキシ基のものでは、具体的にはトリス(トリメチルシロキシシラン、オクタキス(ハイドロジェンシルセスキオキサン)を例示でき、Zがシロキサノキシ基のものではトリス(トリメチルシリルジメチルシロキサノキシ)シランを例示できる。
【0017】
本発明で用いられるヒドロアシルオキシ基含有ケイ素化合物(d)は、前記式(1)で示されるが、
HSiR2 (O(C=O)R1 ) (1)
この式において、Rは、好ましくは、炭素数1以上6以下の炭化水素基及び炭素数1以上6以下のアルコキシ基から選ばれ、R1 は、好ましくは、水素原子、炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、ケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものである。
【0018】
前記Rの例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基を挙げることができる。R1 の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、フェニル基を挙げることができる。
【0019】
またRがシロキシ基、またはシロキサノキシ基の場合の例は以下の通りである。
Rがシロキシ基の場合の例としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ジフェニルメチルシロキシ基及び(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルシロキシ基を挙げることができる。
Rがシロキサノキシ基の場合の例としては、主鎖がポリジメチルシロキサンの構造をとり末端が、シロキシ基構造(例えばトリメチルシロキシ基)をとるものや、末端が−SiH(CH3 )(OC(=O)CH3 )で封鎖されたものが挙げられる。尚、実用的な反応速度を考慮すると、シロキサノキシ基のシロキサン単位の重合度(数平均重合度)は1,000以下、より好ましくは500以下が望ましい。
【0020】
本発明で用いられるヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物の例としては、ヒドロホルミルオキシシラン、ヒドロアセトキシシラン、ヒドロプロピオニルオキシシラン、ヒドロブチリルオキシシラン、ヒドロラウロイロキシシラン、ヒドロステアロイロキシシラン、ヒドロベンゾイロキシシラン、ヒドロクロロアセトキシシラン、ヒドロジクロロアセトキシシラン、ヒドロトリフルオロアセトキシシラン、ヒドロベンゾイルオキシシランを挙げることができる。
【0021】
更に具体的には、ヒドロホルミルオキシシランとしてはジメチルホルミルオキシシラン、ジエチルホルミルオキシシラン、メチルフェニルホルミルオキシシラン、メチルメトキシホルミルオキシシラン、メチルエトキシホルミルオキシシラン、メチルイソプロポキシホルミルオキシシラン、ジフェニルホルミルオキシシランを例示でき、ヒドロアセトキシシランとしてはジメチルアセトキシシラン、ジエチルアセトキシシラン、メチルフェニルアセトキシシラン、メチルメトキシアセトキシシラン、メチルエトキシアセトキシシラン、メチルイソプロポキシアセトキシシラン、ジフェニルアセトキシシランを例示でき、ヒドロプロピオニルオキシシランとしてはジメチルプロピオニルオキシシラン、ジエチルプロピオニルオキシシラン、メチルフェニルプロピオニルオキシシラン、メチルメトキシプロピオニルオキシシラン、メチルエトキシプロピオニルオキシシラン、メチルイソプロポキシプロピオニルオキシシラン、ジフェニルプロピオニルオキシシランを例示でき、ヒドロブチリルオキシシランとしてはジメチルブチリルオキシシラン、ジエチルブチリルオキシシラン、メチルフェニルブチリルオキシシラン、メチルメトキシブチリルオキシシラン、メチルエトキシブチリルオキシシラン、メチルイソプロポキシブチリルオキシシラン、ジフェニルブチリルオキシシランを例示できる。この他、ヒドロラウロイロキシシランとしてはジメチルラウロイロキシシラン、メチルフェニルラウロイロキシシラン、ジフェニルラウロイロキシシラン、メチルメトキシラウロイロキシシラン、メチルエトキシラウロイロキシシランを例示でき、ヒドロステアロイロキシシランとしてはジメチルステアロイロキシシラン、メチルフェニルステアロイロキシシラン、ジフェニルステアロイロキシシラン、メチルメトキシステアロイロキシシラン、メチルエトキシステアロイロキシシランを例示でき、ヒドロベンゾイルオキシシランとしてはジメチルベンゾイルオキシシラン、メチルフェニルベンゾイルオキシシラン、ジフェニルベンゾイルオキシシラン、メチルメトキシベンゾイルオキシシラン、メチルエトキシベンゾイルオキシシランを例示でき、ヒドロクロロアセトキシシランとしてはジメチルクロロアセトキシシラン、メチルフェニルクロロアセトキシシラン、ジフェニルクロロアセトキシシラン、メチルメトキシクロロアセトキシシラン、メチルエトキシクロロアセトキシシランを例示でき、ヒドロジクロロアセトキシシランとしてはジメチルジクロロアセトキシシラン、メチルフェニルジクロロアセトキシシラン、ジフェニルジクロロアセトキシシラン、メチルメトキシジクロロアセトキシシラン、メチルエトキシジクロロアセトキシシラン、メチルフェニルトリクロロアセトキシシラン、ジフェニルトリクロロアセトキシシラン、メチルメトキシトリクロロアセトキシシラン、メチルエトキシトリクロロアセトキシシランを例示でき、ヒドロトリフルオロアセトキシシランとしてはジメチルトリフルオロアセトキシシラン、メチルフェニルトリフルオロアセトキシシラン、ジフェニルトリフルオロアセトキシシラン、メチルメトキシトリフルオロアセトキシシラン、メチルエトキシトリフルオロアセトキシシランを例示でき、ヒドロベンゾイルオキシシランとしてはジメチルベンゾイルオキシシラン、メチルフェニルベンゾイルオキシシラン、ジフェニルベンゾイルオキシシラン、メチルメトキシベンゾイルオキシシラン、メチルエトキシベンゾイルオキシシランを例示できる。
【0022】
前記(e)成分はカルボン酸化合物(e1)とヒドロ(アルコキシ)シラン(e2)からなる。
【0023】
前記カルボン酸化合物(e1)は、好ましくは下記式(3)で表されるカルボン酸、下記式(4)で表されるカルボン酸無水物、及び下記式(5)で示されるカルボン酸のシリルエステル化合物から選ばれる:
4 COOH (3)
(R4 CO)2 O (4)
(R4 COO)m SiR5 4-m (5)
(ここに、R4 は水素原子、炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基であり;R5 は独立に炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基であり;mは1、2、3、4のいずれかの数である。)
【0024】
前記カルボン酸、カルボン酸無水物、及びカルボン酸のシリルエステル化合物から選ばれるカルボン酸化合物(e1)を例示すると、カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、トリメチル酢酸、シクロヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸、トルイル酸、p−クロロ安息香酸、テレフタル酸、及びメジシン酸を例示でき、
カルボン酸無水物としては、無水ギ酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水ラウリン酸、無水ステアリン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、及び無水安息香酸を例示でき、
カルボン酸のシリルエステル化合物としては、ギ酸のエステルとしては、トリメチルホルミルオキシシラン、ジメチルジホルミルオキシシラン、メチルトリホルミルオキシシラン、エチルトリホルミルオキシシラン、フェニルトリホルミルオキシシラン、及びテトラホルミルオキシシランを、酢酸のエステルとしては、トリメチルアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、及びテトラアセトキシシランを、プロピオン酸のエステルとしては、トリメチルプロピオニルオキシシラン、ジメチルジプロピオニルオキシシラン、メチルトリプロピオニルオキシシラン、メチルジプロピオニルオキシシラン、トリプロピオニルオキシシラン、エチルトリプロピオニルオキシシラン、フェニルトリプロピオニルオキシシラン、及びテトラプロピオニルオキシシランを例示できる。尚、カルボン酸の基本構造はジカルボン酸であってもトリカルボン酸であってもかまわない。
【0025】
前記ヒドロ(アルコキシ)シラン(e2)は、好ましくは下記式(6)で示されるものである、
HSiR6 3-k(OR7 k (6)
(ここに、R6 は独立に炭素数1以上6以下の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、R7 は独立に炭素数1以上10以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基である。)
【0026】
前記ヒドロ(アルコキシ)シラン(e2)としては、ヒドロモノアルコキシシラン類、ヒドロジアルコキシシラン類、及びヒドロトリアルコキシシラン類がある。ヒドロモノアルコキシシラン類としては、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルイソプロポキシシラン、ジメチルn−ブトキシシラン、ジメチルn−ヘキシルオキシシラン、ジメチルn−オクチルオキシシラン、ジメチル(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチル(2,2,2−トリフルオロエトキシ)シランを例示できる。
ヒドロジアルコキシシラン類としては、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジプロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、及びフェニルジエトキシシランを例示できる。
ヒドロトリアルコキシシラン類としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、及びトリブトキシシランを例示できる。
【0027】
次に前記(d)成分及び(e)成分の推奨される配合比の範囲について述べる。
[(d)ヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物]:[(b)ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物]=1:100〜100:100(重量比)である。
(d)ヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物の配合比が1:100を下回る場合、生成物の選択率または収率に関する効果が不十分になる。100:100を上回っても本発明の効果は達成できるが、原料のロスにもなるので通常はこの程度の割合で投入される。
【0028】
また、[(e)カルボン酸化合物+ヒドロ(アルコキシ)シラン]:[(b)ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物]=1:100〜100:100(重量比)が推奨される。
(e)成分の配合比が1:100を下回る場合、生成物の選択率または収率に関する効果が不十分になる。100:100を上回っても本発明の効果は達成できるが、原料のロスにもなるので通常はこの程度の割合で投入される。
【0029】
また、(e)成分におけるカルボン酸化合物(e1)とヒドロ(アルコキシ)シラン(e2)の配合比は通常は次の範囲で使用される。
0.1:100〜100:100(モル比)
カルボン酸化合物の使用量がこの範囲を下回る場合、生成物の選択率または収率に関する効果が不十分になる。また、使用量がこの範囲を上回っても同じく本発明の効果は不十分になる。
【0030】
本発明において、ヒドロシリル化の触媒としては、具体的には、0価白金のオレフィン錯体、0価白金のビニルシロキサン錯体、2価白金のオレフィン錯体ハロゲン化物、塩化白金酸、炭素担持白金、シリカ担持白金等を例示することができるが、これら以外の通常工業的に用いられるものならば特に限定されない。
【0031】
反応温度は10℃以上250℃以下でよいが、適当な反応速度を達成出来ること、および反応に関与する基質および生成物が安定に存在しうるという点からは20℃から200℃が最適である。
【0032】
本発明においては本質的には溶媒を用いる必要はないが、基質を溶解させる目的で、また反応系の温度の制御ならびに触媒成分の添加を容易にするため炭化水素系化合物を反応溶媒あるいは触媒成分の溶媒として用いることができる。この目的のために最適な溶媒としては、飽和又は不飽和の炭化水素化合物、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデシルベンゼン;及びハロゲン化炭化水素化合物、例えばクロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、オルトージクロロベンゼンを挙げることが出来る。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下に示す例中の生成物の特性化の記述においてGCはガスクロマトグラフを、GC−MSはガスクロマトグラフー質量分析を表す。また、Meはメチル基を、OAcはアセトキシ基を表わす。
これら例で用いたアシルオキシシラン化合物、アルキルシラン化合物及びシロキサン化合物は市販のものあるいは公知の方法によって合成したものである。不飽和化合物は市販のものをそのまま用いた。
【0034】
(参考例1)
(ジメチルアセトキシシランの合成)
50ミリリットルの丸底フラスコに6.5gの酢酸リチウムとマグネチックスターバーを入れ、これに9.2gのジメチルクロロシランをゆっくりと添加し、室温で一晩撹拌した。さらに1gの酢酸リチウムを添加し1時間撹拌した後、真空下、揮発成分をドライアイストラップで捕収した。この粗生成物を常圧下蒸留し、沸点91〜92℃の成分を得た。GC−MS分析で確認した。HMe2 SiOAc:m/z(相対強度):117(6.2),103(51.9),75(56.2),61(100),59(23.1),47(8.6),45(30.3)。
【0035】
(実施例1)
(ジメチルアセトキシシラン存在下での白金触媒によるスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に252mgのスチレン、91mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び64mgのトルエンをとり、これに9mgのジメチルアセトキシシランとジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%,0.002ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、60℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が93%収率で生成しておりα,α−体:α,β−体:β,β−体の比は1:16:95であった。
【0036】
(実施例2)
(ジメチルアセトキシシラン存在下での白金触媒によるビニルトリメトキシシランと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に280mgのビニルトリメトキシシラン、381mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンをとり、これに28mgのジメチルアセトキシシランとジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.005ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで1時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、ビニルトリメトキシシランは消費されており、ビニルトリメトキシシランと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの1:1付加物が71%収率で生成しておりα−体:β−体の比は1:5.7であった。
【0037】
(実施例3)
(ジメチルアセトキシシラン存在下での白金触媒によるビニルトリメトキシシランとトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランの反応)
窒素置換したガラス製反応管に362mgのビニルトリメトキシシラン、及び362mgのトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランをとり、これに27mgのジメチルアセトキシシランとジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.005ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで1時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、原料はすべて消費されており、ビニルトリメトキシシランとトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランの1:1付加物、2:1付加物、そして3:1付加物がGC(FID)面積比1:6:1で生成しておりこれらの生成物中のα−ヒドロシリル化:β−ヒドロシリル化の比は1:7.1であった。
【0038】
生成物のGC−MS分析結果:(EIモード、z/m(相対強度))1:1付加物(MW=444、α−付加体):59(37),73(49),179(26),193(35),207(28),251(12),295(28),311(38),339(100),353(11),401(23),429(22)。(EIモード、z/m(相対強度))1:1付加物(MW=444、β−付加体):59(57),73(95),89(22),91(18),101(31),121(21),179(64),193(86),207(80),221(25),235(24),251(15),279(15),295(100),311(39),323(16),339(24),353(8.3),401(2.9),429(7.8)。(EIモード、z/m(相対強度))2:1付加物(MW=592、混合物):59(14),73(15),75(11),89(15),91(12),105(5.1),121(15),207(100),251(22),279(20),323(23),353(55),443(17),469(1.9),503(2.5),531(1.3)。(EIモード、z/m(相対強度))3:1付加物(MW=740、β,β,β−付加体):59(8.2),73(6.0),75(9.1),89(11),91(7.9),121(11),207(90),279(7.4),281(11),353(100),399(2.6),425(3.2),471(2.6),499(9.6),545(4.6)。3:1付加物(MW=740、α,β,β−付加体):59(12),73(7.3),75(12),89(15),91(11),121(13),207(100),279(7.8),281(11),353(98),399(11),425(2.2),471(1.6),487(1.8),499(5.2)。3:1付加物(MW=740、α,α,β−付加体):59(14),73(61),75(17),89(17),91(9.5),105(7.6),121(10),147(19),207(100),221(16),223(13),281(22),353(93),355(36),399(16),429(20),487(10),499(16),545(30)。
【0039】
(実施例4)
(トリエトキシシランおよび酢酸存在下での白金触媒によるスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に928mgのスチレン、426mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び348mgのトリエトキシシランをとり、これに10mgの酢酸とジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.009ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、トリエトキシシランおよび1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンはほぼ完全に(>98%)消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が96%収率で、スチレンとトリエトキシシランの1:1付加物が97%収率で生成しており前者のα,β−体:β,β−体の比は1:19であり、後者のα−体:β−体の比は1:185であった。
【0040】
(比較例1)
(白金触媒による(d)成分及び(e)成分不存在下でのスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に252mgのスチレン、91mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び64mgのトルエンをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%,0.002ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、60℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が92%収率で生成しており、α,α−体:α,β−体:β,β−体の比は1:4.2:5.8であった。
【0041】
(比較例2)
(トリメチルアセトキシシラン存在下、ヒドロ(アルコキシ)シラン不存在下での白金触媒によるスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に252mgのスチレン、91mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び64mgのトルエンをとり、これに0.01mlのトリメチルアセトキシシランとジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%,0.002ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、60℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が93%収率で生成しており、α,α−体:α,β−体:β,β−体の比は1:4.2:5.7であった。
【0042】
(比較例3)
(エチルトリアセトキシシラン存在下、ヒドロ(アルコキシ)シラン不存在下での白金触媒によるスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に252mgのスチレン、91mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び64mgのトルエンをとり、これに0.005mlのエチルトリアセトキシシランとジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.4wt%,0.002ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、60℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンは消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が93%収率で生成しておりα,α−体:α,β−体:β,β−体の比は1:4.3:6.3であった。
【0043】
(比較例4)
(白金触媒による(d)成分及び(e)成分不存在下でのビニルトリメトキシシランと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に280mgのビニルトリメトキシシラン、381mgの1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサンをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.005ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで1時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、ビニルトリメトキシシランは消費されており、ビニルトリメトキシシランと1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサンの1:1付加物が72%収率で生成しており、α−体:β−体の比は1:2.0であった。
【0044】
(比較例5)
(白金触媒による(d)成分及び(e)成分不存在下でのビニルトリメトキシシランとトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランの反応)
窒素置換したガラス製反応管に362mgのビニルトリメトキシシラン、362mgのトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.005ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで1時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、原料はすべて消費されており、ビニルトリメトキシシランとトリス(ジメチルシロキシ)n−プロピルシランの1:1付加物、2:1付加物、そして3:1付加物がGC(FID)面積比1:4.9:3.4で生成しており、これらの生成物中のα−ヒドロシリル化:β−ヒドロシリル化の比は1:2.4であった。
【0045】
(比較例6)
(トリエトキシシラン存在下、カルボン酸化合物不存在下での白金触媒によるスチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの反応)
窒素置換したガラス製反応管に928mgのスチレン、426mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び348mgのトリエトキシシランをとり、これにジビニルシロキサンの0価白金錯体のトルエン溶液(白金含量0.04wt%,0.009ml)を加えた。反応管をテフロンテープとラバーセプタムでシールし、80℃のオイルバスで2時間加熱した。冷却後、生成物をGC分析すると、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの84%、トリエトキシシランの31%が消費されており、スチレンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの2:1付加物が51%収率で、スチレンとトリエトキシシランの1:1付加物が28%収率で生成しており前者のα,α−体:α,β−体:β,β−体の比は1:6.5:13.9であり、後者のα−体:β−体の比は1:6であった。
【0046】
次に本発明の好ましい態様を示す。
(態様1)
前記ヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物(d)が、前記式(1)で表され、
HSiR2 (O(C=O)R1 ) (1)
ここに、前記Rが炭素数1以上6以下の炭化水素基及び炭素数1以上6以下のアルコキシ基から選ばれる置換基であり、R1 が水素原子、炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、ケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基であり;
前記カルボン酸化合物が下記式(3)で表されるカルボン酸、下記式(4)で表されるカルボン酸無水物、及び下記式(5)で示されるカルボン酸のシリルエステル化合物から選ばれ;
4 COOH (3)
(R4 CO)2 O (4)
(R4 COO)m SiR5 4-m (5)
(ここに、R4 は水素原子、炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基であり、R5 は独立に炭素数1以上20以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基であり;mは1、2、3、4のいずれかの数である。)
前記ヒドロ(アルコキシ)シランが、下記式(6)で示されるものである、
HSiR6 3-k(OR7 k (6)
(ここに、R6 は独立に炭素数1以上6以下の飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、R7 は独立に炭素数1以上10以下の飽和又は不飽和の炭化水素基で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、及びケイ素から選ばれる原子を含んでもよいものから選ばれる置換基である。)
請求項1又は2に記載の製造方法。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で示されるヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物(d)の存在下、又はカルボン酸化合物及びヒドロ(アルコキシ)シラン(e)の存在下に、白金触媒(c)の作用により、不飽和基を有する有機化合物又は不飽和基を有する有機ケイ素化合物(a)と、下記式(2)で示されるヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物(b)とを反応させる、Si−C結合を介してケイ素原子に結合した置換基を有するケイ素化合物類の製造方法。
    HSiR2(O(C=O)R1) (1)
    (ここに、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上6以下の炭化水素基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、シロキシ基、又はシロキサノキシ基であり、R1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上20以下の炭化水素基、又は炭素数1以上20以下で少なくとも1個の酸素、ハロゲン、硫黄、ケイ素から選ばれる原子を含む炭化水素基から選ばれる。)
    HSiR2 n3-n (2)
    (ここに、nは0,1,2又は3であり、R2はそれぞれ独立に炭化水素基であり、Zはそれぞれ独立に、シルアミノ基、シロキシ基、又はシロキサノキシ基である。)
  2. 前記不飽和基を有する有機化合物又は有機ケイ素化合物(a)が次の(i)から(viii)の群から選ばれる、請求項1に記載の製造方法:
    (i)スチレン又はスチレンの誘導体
    (ii)ビニルシラン化合物
    (iii)ケイ素原子に直接結合したビニル基を有するシロキサン化合物
    (iv)エポキシ官能性オレフィン
    (v)ジエン化合物
    (vi)CH2=CHCH2Xで示されるアリル化合物(ここに、Xはハロゲン原子、アルコキシ基又はアシルオキシ基を表す。)
    (vii)ビニル基を有してなるオレフィン化合物
    (viii)アセチレン化合物
  3. 前記(d)成分又は(e)成分の配合比が、[(d)ヒドロ(アシルオキシ)基含有ケイ素化合物]:[(b)ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物]=1:100〜100:100(重量比)であるか、[(e)カルボン酸化合物+ヒドロ(アルコキシ)シラン]:[(b)ヒドロシリル基を有する有機ケイ素化合物]=1:100〜100:100(重量比)である、請求項1又は2のいずれかに記載の製造方法。
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