ひとつの光ファイバ増幅器へ多数の波長の光を入射し、光出力一定制御を行うと、光入力が変化したとき光出力と光入力の比で表される光利得が変化する。光ファイバ増幅器の利得の波長依存性は利得が変化すると変わるため、光入力の変化に伴い利得の波長依存性が変わる。光ファイバ増幅器を設ける間隔である伝送路の区間長が同じで、各々の光ファイバ増幅器に一定の光入力なれば問題ないが、現実には様々な区間長があり、光入力レベルが多種にわたる。このため、光入力レベルが変わっても、利得の波長依存性が変わらない光ファイバ増幅器が必要である。例えば、最大利得が30dBで光出力が0dBmとなる受信光ファイバ増幅器でダイナミックレンジは−30dBmから−9dBmに対応する必要があるなどである。また、中継光ファイバ増幅器では利得は40dB程度まで必要であり、シリカ系のエルビウム添加光ファイバ増幅器では1535nmと1542nmの利得偏差が非常に大きく、光入力の最小から最大の間に6dB程度の利得差分の変化を生じる。
波長依存性の課題について図7を用いて説明する。図7に総出力一定制御を行った場合のEDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)の光出力の波長依存性を示す。図中光入力が低い順にA、B、Cである。光入力が増えるにつれ、1530nm近傍では著しく光出力が低下して、1560nm近傍では光出力が増大する。仮にある特定の光入力で光出力の波長依存性が平坦になるように補正用の光フィルタを入れても、光入力が変わると利得の波長依存性特性が変わるため、光出力の波長依存性が現れる。これを多段につなぐと段数だけの偏差が累積される。600km以上の長距離伝送では4から7台の中継光ファイバ増幅器が必要で、1台あたり光ファイバ増幅器の出力波長偏差を1dB以下に抑えることが要求される。
本発明では上記課題の克服法として光ファイバ増幅器の入力端に可変光源衰器を入れ、増幅用光ファイバへの光入力レベルを一定に保とうとするものであるが、光ファイバ増幅器の入力側に可変減衰器を挿入してEDF(エルビウム添加光ファイバ)への光入力レベルを一定に保つ制御を行う場合、帰還制御が早すぎるとデジタル伝送信号の低周波領域(10kHz近傍)で信号の0と1の出力を均す制御となり、伝送信号の周波数特性を劣化させる。光ファイバ増幅器は1R(Reshape)機能の再生器であり、信号帯域を制限すべきでない。このため、増幅用光ファイバ持っている低周波側の帯域を制限しないように制御する必要がある。
さらに、光ファイバ増幅器の入力側に可変光減衰器を挿入してEDFへの入力レベルを一定に保つ制御を行う場合、モニタを可変光減衰器の後ろに設置する。この構成ではEDFへの入力が可変光減衰器により一定値に制御されるため、光ファイバ増幅器への本当の光入力を直接モニタできない。しかし、可変光減衰器により入力光のレベルを制御する状態においても光入力レベルのモニタを行うことが必要である。
さて、波長多重光伝送においては運用状態で使用波長数を随意に変えれることが望まれる。伝送チャネル数が変わっても波長多重光伝送におけるチャネル当たりの光出力が光伝送システムの出力レベルを常に許容範囲に収めることが必要である。
上述した従来の技術では、波長多重光ファイバ増幅器に全ての波長がそろっているときに波長毎の光出力が同じになるように制御されていた。しかし、実際の運用においては必ずしも全ての波長数があるとは限らず、最初は少ない波長数で使い、必要に応じて波長数を増やすような場合もある。光入力が変わると共に、総合的な光出力を変えて最小となる光出力を確保することが望まれる。
波長多重システムに限らず、光ファイバ増幅器では光入力が低い状態からμs程度の短い時間に急激に高いレベル光入力が上がると光出力側で光サージを発生する。これは光ファイバ増幅器特有の現象で、光利得を一定に保つ性質に起因している。光サージの高い光出力が高価で重要な受光器を破損したりする。このため、光サージを抑えることが必要である。光出力を規定の値に保つ制御を行う場合には、光入力が小さいと光ファイバ増幅器の潜在利得が高くなり、そのときに急激に高い光入力が入ると光ファイバ増幅器特有の光サージを発生する。光サージを抑えるには潜在利得の上昇を抑えることが必要であり、この潜在利得の原因となる光励起を抑制して低く抑える必要がある。これまでに、特開平5−130043号公報に記載されるように光入力の絶対値で特定の光入力以下に下がると、光励起を完全に打ち切る方法が取られた例がある。
しかし、広い光入力幅で動作させるような光ファイバ増幅器では、励起を抑制すると判定する特定の光入力値は、低い値に設定される。このとき、前記特定の光入力の直上の光入力(すなわち、動作範囲内で最も低い光入力)があるときには、高い励起状態になり、この状態で光入力が高い光入力に復帰すると、光サージ的な光出力を生じてしまう。このため、光サージ的な光出力をさらに抑えることが望まれている。
複数段の光増幅部からなる光ファイバ増幅器の中間に光部品を挿入する場合には別の光サージの発生要因がある。光ファイバ増幅器の中間に光部品を挿入するとき、その光部品の挿抜去時から再挿入時に光サージを発生させる危険がある。例えば、従来例で述べた“Dispersion−Compensator−Incorporated Er−Doped Fiber Amplifier”において、一台の励起光源で前段と後段との増幅用光ファイバを励起する場合を用いて説明する。光増幅器としての光入力は所定の値があっても、中間の挿入光部品の抜去時には光学的に断線した状態になる。後段の増幅用ファイバへの光入力がないため励起状態が高くなる。この状態で光部品を再挿入すると前段で増幅された信号光が高励起状態の後段の増幅用光ファイバに入射するため、光出力側で光サージを発生する。このような中間への光部品の抜挿時における光サージを抑える必要がある。
また、光ファイバ増幅器の中央に光機能部品を挿抜可能な構造とするとき、後段の増幅用光ファイバの光出力の低下に関して故障によるものかそれとも光部品の抜けによるものか区別できない。光機能部品の取り外しによる光出力の低下かそれ以外の原因の光ファイバ増幅器の故障か、この2つ状態を区別するための方法が必要である。
さらに、光学系を収納する光学系の箱の構成は光ファイバのむき出しをなくし、ハンドリング不良による光ファイバ断線の事故をなくす上で必要である。ところが、光ファイバの収納には信頼性から必要な光ファイバの曲げ径を確保する必要があり、このためスペースが必要で複数の光部品を収納するときに空きスペースが発生し、装置の大型化の原因になっていたが。できる限り空きスペースを小さくする手法が光ファイバ増幅器の小型化に必要である。
一方、半導体レーザモジュールは製造元によりピンの機能配置が異なる。用途や価格により、多種の性能で多種の製造元の半導体レーザ励起モジュールを同一の基板で使い分けることが、コスト削減に必要である。多種のピン配置に対応する基板のパタンは基板品種の在庫量を抑制し、コストの無駄をなくす上で効果的である。
光伝送システムにおいて、随意の波長多重度で常に必要な波長毎の光出力レベルを保ち、光サージ等の破壊要素のない廉価で小型な光ファイバ増幅伝送系は信頼性および普及性、伝送品質の観点から望まれる。
光ファイバ増幅器の光入力部に可変光減衰器を挿入して、増幅用光ファイバへの光入力レベルが一定になるようにを調節するものである。光の減衰量の調節には光減衰の直後の光のレベルをモニタしてそのモニタ値が常に一定になるように可変光減衰器にフィードバック制御を行う。
原理について説明する。光ファイバ増幅器の利得波長依存性は光ファイバ増幅器の利得に強く依存する。これを改めて図7で説明する。図7は波長多重光入力を一括した増幅で一括光出力が一定になるように制御した場合の利得の波長依存性を示している。A、B、Cの順番で各波長の光入力を加えた総合的な光入力が大きくなる。光利得は光出力と光入力の比で表され、光出力一定制御では光入力が小さい順からA、B、Cの順に利得が10dBずつ、小さくなる。光入力が小さく光利得が大きいと、1530nm近傍の光利得は他の波長に比べ著しく利得が高く盛り上がる。光入力が高く、光利得が小さいとCのように短い波長域の利得は抑えられる、長波長側で利得減少が少なくなる。
さて、光伝送システムにおいて光ファイバ増幅器は運用上、光出力を特定の狭い幅、例えば±1dB程度に規定する。実際の伝送路の区間損失は必ずしも一定でないため、光入力は設置される区間損失により20dB程度変わる。1530nmから1560nmの波長域を波長光多重光伝送で使用して、その波長域の光を一括して均一に増幅する場合に、光入力レベルが変わると光利得が変わるため、光利得の波長依存性が変わる。
本発明では増幅用の光ファイバへの光入力が一定になるように、光ファイバ増幅器の光入力に対応して光減衰器の減衰量を調整する。増幅用光ファイバでの光増幅量が一定に保たれるので、利得の波長依存性は変化しなくなる。図7において利得の一番大きな(光入力の一番小さい)Aに常に合うように入力部の光減衰器を調節するのである。利得の波長特性は、1535nmの利得ピークや1550nm周辺の利得が1540nmの利得に一致するようにして波長依存性が平坦になるように光フィルタ等で利得を補正する。光入力の幅広いダイナミックレンジに対応した利得波長依存性が平坦な波長多重用光ファイバ増幅器を構成できる。
本方式では入力側の損失を増やすことで増幅用光ファイバへの光入力の調節を行う。増幅用光ファイバへの光入力の設定は常に最小の光入力に設定することになる。この制御では光信号入力が大きいときには入力側の減衰で雑音特性を悪くする。本欠点を改善する方法について述べる。実際の増幅用光ファイバの利得の波長依存性の光入力への依存度は極端に大きくはない。調整の基準となる光入力を最小光入力より例えば5dB高い点に設定する。最小光入力から5dB高い光入力と最小の光入力の間では光減衰器の減衰量を最小にすることでこの点を改善できる。その5dBの間は増幅用光ファイバへの光入力が変わり、1dB程度の小さい波長依存性を生じる。
波長多重時に波長数に応じて光出力を制御する方法について説明する。監視信号により送信側のチャネル数情報を光ファイバ増幅器に送る。光ファイバ増幅器ではチャネル数情報をうけ、波長数情報に対応した光入出力を制御する信号電圧を設定して増幅用光ファイバへの光入力と光出力を制御するものである。
各波長あたりの最低光出力を確保するためには波長数に応じて総合的な光出力を調整する。伝送区間損により光入力レベルが変わるだけでなく、波長数に応じて前の中継器送信出力が変わると総合的な光入力が変わる。利得の波長依存性は増幅用光ファイバの利得に依存するため、利得が一定になるように波長数情報に合わせて光入力の減衰量を調節することも必要である。例えば、1波長で10dBm(10mW)のときに2波長の情報がくると3dB(2倍)上げて13dBm(20mW)とする。光入力も1波長での光入力が−20dBm(10μW)の時には3dB(2倍)上げて−17dBm(20μW)にする。このようにすることで波長数の変化に対して波長当たりの光出力を同じにすると同時に増幅用光ファイバの利得の変化をなくし、波長平坦性を確保する。
次に、光サージを防止する手段について説明する。光ファイバ増幅器を使用するシステムの光信号変動時間は1ms以下であり(必要な帯域>1kHz)、その変動量も1MHzの周波数域まででは3dB以下である。光信号伝送に必要な時間より2桁程長い時間での光入力を平均化すると光ファイバ増幅が設置されたシステムでの平均的な光入力レベルで安定状態では一定とみなすことができる。この平均化した光入力よりも1ms以下で急激(とはいっても>1μs)に例えば6dB低い値(相対値)に下がるとこれは異常な入力低下と考えられる。光ファイバ増幅器で光出力一定制御を行う場合には、光入力の低下時には光出力を維持するために励起を高める。高励起状態で100μs以下の急激な光入力の回復があると出力側で光サージを発生する。この光サージの発生を避けるために、異常な光入力の相対値への低下時に光サージが発生しないレベルに励起を抑制する。
本発明では光入力の平均化処理を、アナログ回路では非常に低速の数Hzのフィルタを介してモニタすることにより、デジタル制御ではmsオーダーのサンプル値を1s程度メモリして行い、その値の平均化処理を行うことで実現する。データはサンプリング毎に1s前のデータを新しいデータに置き換える。
システムの最小光入力値よりも異常に入力が低い場合も高励起状態となる。通常使用状態として考えられない高励起状態は避ける必要がある。緩やかの光入力の減少の場合に上記相対値による光入力の異常低下は検出できない。そのため、光入力の絶対値でLOSS OF SIGNAL(LOS)を検出し、光励起を停止する。LOSの検出は可変光減衰器がないときには直接入力モニタできるが、可変光減衰器があるときには可変光減衰器の制御信号と光モニタの両者により検出する。相対LOSと絶対LOS検出値のOR論値により励起低減制御を行うことにより光サージの発生の抑圧を実行する。
光入力の判定に使用する光入力モニタについて、可変光減衰器を入力側に挿入した場合には光入力モニタ値はモニタできない。対策として、可変光減衰器の前に光入力モニタ用光分岐を設置して直接モニタする方法が考えられるが、光入力モニタの分岐挿入による光信号入力の劣化という問題がある。この問題を避けて光入力をモニタする別の方法として、可変光減衰器の制御信号から得られる減衰量と可変光減衰器直後の光モニタ値を加えることにより、実際の光入力を得る方法がある。
複数段の光増幅部からなる光ファイバ増幅器の中間に光機能部品を入れる場合の部品挿抜による光サージの発生を抑える方法について述べる。後段の光増幅部の入力側に光モニタを挿入する。光モニタが所定の値よりも低い値を検出すると光部品が接続されていないと判断して励起強度低下させる。これにより、異常な後段増幅部の高励起状態を抑え、光部品の接続時の光サージの発生を抑える。前段と後段の励起制御が独立しているときには光部品が接続されていないとき、後段の励起光源の光出力の低下制御をかける。
複数段の光増幅部からなる光ファイバ増幅器の構成において前方の光増幅部の励起の残留励起光を後段の光増幅部に用いる1励起2段増幅の構成がある。このときには、前段の光増幅部の光出力のモニタとともに後段の光増幅部の光出力のモニタを行い、後段の光入力がある時には後段の光モニタが一定になるように励起制御し、後段の光入力がないときには光部品接続時に光サージを生じない低い励起で前段の光出力モニタが一定になるよう制御を切り替える。光部品接続時に前段の光増幅部で増幅された弱い光を用いて、光部品接続時の後段光増幅部への入力を検出し、自動的に後段の光入力が光を検出して後段の光出力一定制御を行う。
光部品の挿入、未挿入の検出、情報発信、処理について説明する。前記モニタ系において、前段の光出力モニタが所定の値を示し、後段の光入力モニタが光入力を検出しなければ中央の光部品が挿入されていないことになる。このとき未挿入の情報を発信する。この信号が出されたときには光増幅器の光出力低下異常の情報が出されていても光増幅器の故障による光出力の低下ではないので出力異常をマスクする。
制御周波数特性について説明する。光入力の制御を行う場合に例えば1996年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会予稿C−128に記述のような磁気光学型可変光減衰器を用いればよいのであるが応答速度は300μs程度である。この応答速度を最大限に利用すると3kHz程度の帯域を持つ。あるいは、電気吸収型変調器を用いるとサブns、音響光学変調器を使用するとμs以下の時間で制御できる。可変光減衰器の出力一定制御帯域の低周波側を光ファイバ増幅器の本来持っている変調帯域より遅い制御にすることで可変光減衰器を用いた場合の帯域劣化を抑えることができる。光ファイバ増幅器の帯域は通常数kHz以下で、遅いものではサブkHzであり、磁気光学可変光減衰器を用いても電気制御による帯域制御が必要になる。光入力の調整を可変光減衰器で行うにあたり、増幅用光ファイバが持っている帯域を崩さないように遅い速度で光入力レベルを制御する。
次に実装について説明する。光ファイバ増幅器は増幅用光ファイバ、励起光と信号光の合波器、光アイソレータ、光モニタなどの複数のファイバ型の光部品から構成される。本発明は実装密度を高めるために、光部品を納める箱の中の光学部品の配置を斜めにすることにある。光ファイバは、曲げに対する信頼性を確保するため、曲げ半径R>30mmが要求される。つまり、光ファイバを配置するには最低60mmの曲げスペースが必要である。細長い光部品を光ファイバの流れに沿って配置するとき、光部品の長さに光ファイバの曲げスペースを加える必要がある。例えばファイバ結合方向の長さ70mm光部品では本体の長さに両側のファイバの曲げR=30mmを加え、最低130mmの長さが必要になる。斜めに配置すると部品長は長方形の一辺からみると短く見える。例えば、30゜に傾けると70*cos(30゜)=60.6mmとなり、ファイバの曲げスペース60mmを加えて120.6mmと必要な長さは9.4mm短くなる。45゜傾けると109.5mmになり、20.5mm短くなる。さらに、光ファイバの曲げスペースの実装を行うことにより一層、現実的な空間への高密度実装が可能となる。
多種の励起レーザのピン配置に対応した配線について説明する。まず、入手できる励起用半導体レーザモジュールのピン配置に対応した配線を基板パターンに入れておく。共通で接続するピンへは、配線をピンを差し込むパッド穴接続する。多種の励起レーザ間で異なったピン配置となるピンへは、パッドへの0オームのチップ抵抗や短絡ジャンパで接続することで接続が選択できるように配線をオープンなパッドで終端する。対抗するピンのパッドからはそのオープンパッドに対抗する位置にオープンパッドでやはり終端する。
このようにあらかじめ励起レーザの違いにより異なる機能となり得るピンに可能性のある配線をオープンパッドですべて盛り込む。実際に使用するときには、使用する励起レーザにより機能に対応したオープンパッド間を0オームのチップ抵抗やジャンパ配線で接続する。あるいはオープンパッドでなく、多種の可能性のある機能に対応した配線を穴パッドに接続して、半導体レーザモジュールのピンの曲げまでの長さ調節して、適合するパターンのパッドにピン入るようにすることで異なるピン配置に対応する。
このように基板パターンを共通にして製造時に対応がとれるようにすることにより、低価格で使い勝手のよいレーザモジュールに切り替えられる。
以上に述べたような光ファイバ増幅器を波長多重光伝送システムに使用することで、波長数が変わっても波長チャネル当たりの最低光出力を保ち、光機能部品を中間に挿入でき、光サージを抑え、廉価で小型のシステムを構築でき、伝送品質を保つとともに波長分散の補償機能、伝送システムの信頼性を高める。
本発明によれば、伝送区間損失や波長数に依存しない、利得の波長依存性の少ない汎用的な波長多重光伝送用ファイバ増幅器できる。光伝送システム運用時に波長数増減が可能となり、システムに柔軟性をもたらす。光サージを抑え、光ファイバ増幅器を使用する光伝送システムの信頼性を高める。光部品の挿入の有無を知らせて使い勝手をよくする。光部品の高密度実装により、小型化が図れる。多種のレーザが一つの基板パタンで使い分けられ、コストの低減ができる。
以下本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
[実施例1]
本発明の第1の実施の形態である光ファイバ増幅器の実施例1を、図1ないし図3、図7および図10を用いて説明する。
図1は光部品50を中間に含む前段光増幅部3及び後段光増幅部4の2段の光増幅部からなる波長多重用光ファイバ増幅器5の構成である。入力端光コネクタに入射する信号光1は可変光減衰器10により光レベルが調節される。次の光分岐カプラ20により一部の光が分離され入力光のモニタに使われる。励起光と信号光の合波器30により信号光に励起光が重畳される。増幅用光ファイバ40では励起光により励起された光ファイバ内を信号光が通過するときに増幅される。被増幅光が光分岐カプラ21により一部の光が分離され光出力モニタに使われる。前段光増幅部制御回路100では入射した入力の光分岐20で分岐された光レベルが一定になるように可変光減衰器10に負帰還をかけ、さらに出力側の光カプラ21で分岐されて光のレベルが一定になるように励起光と信号光の合波器30により増幅用光ファイバ40に入射する励起光に負帰還をかける。
前段の光増幅部3から出た光が光コネクタを介して、光部品50、例えば分散補償光ファイバに結合される。その後、後段の光増幅部4に光コネクタを介して入射する。光部品50の損失と固定減衰器11の合計損失が例えば5dBのずれ以内に収まるように固定減衰器11を挿入する。固定光減衰器11により、光部品の損失によらず後段の光増幅部増幅用光ファイバへの光入力が固定的に調節できる。後段光増幅部4では光分岐カプラ22により一部の光が分岐されモニタされる。主な信号光は増幅用光ファイバ41に入射する。例えば分岐比率は95対5である。増幅用光ファイバ41には後方から、励起光/信号光結合器31を介して励起光が重畳され後方から増幅用光ファイバ41を励起する。励起された増幅用光ファイバを通過するときに信号光が増幅される。増幅された信号光が光分岐カプラ23で一部の光分離されて光出力としてモニタされる。後段光増幅部制御回路150ではモニタされた光信号が一定になるように励起光の負帰還制御する。主な信号光は出射する。
また、波長数情報や外部管理制御信号は監視制御回路200に入出力201、202され、後段光増幅部制御150、前段光増幅部制御回路100に信号の送受を行う。
次に、図6を用いて前段光増幅部3の入力側に可変光減衰器10で光のレベル調節を行う制御を述べる。図6は、伝送区間損失が異なる場合の光レベルダイヤグラムを示す図である。図6には本実施例の光ファイバ増幅器の前の光出力から、伝送路光ファイバの区間長が異なる3つの場合の総合的な光レベルを示す。A、B、Cの順番に区間長が長い。Aは120kmの光ファイバ伝送路301を、Bは83.5kmの光ファイバ伝送路、Cは47kmの光ファイバ伝送路を通した場合の光レベルである。伝送路への送信出力が波長あたり5dBmと一定であっても区間損失が異なるために光ファイバ増幅器での光入力レベルがAでは−28dBm、Bでは−18dBm、Cでは−8dBmになる。本実施例では光入力レベルが可変光減衰器10直後の光モニタのレベルが一定になるように制御する。このため増幅用光ファイバ40の入り口では区間損失に依らず、常に一定の光レベルになる。
さて、この実施例の光入力が一定となる制御適用せずに直接増幅用光ファイバ40に入力する場合の波長多重に対応した増幅用光ファイバ40の出力一定制御時の光出力波長依存性を、再度図7で説明しよう。シリカ系エルビウム添加増幅用光ファイバ40の利得の波長依存性は利得(光入力と光出力の比)の大きさに依存する。このため、仮に可変光減衰器10による入力光のレベルを調節しない場合には、図7のA、B、Cのように区間損失の大きさに対応した光入力レベルによる利得が変わるため波長依存性を有する。例えば、1533nm近傍では光入力の変化に対する出力の変化は3dB(出力変化)/10dB(入力変化)となる。区間損失の範囲から、光入力のダイナミックレンジは20dB程度になる。このため、光入力がそのままエルビウム添加増幅用光ファイバ40に入射すると1533nmの波長の信号光に対して、6dBの出力変化を生じることになる。
本実施例では1533nmと1541nmの波長に対して利得の波長偏差の光入力レベルの依存性を光入力側の光減衰器の減衰量を調節することにより一定になるようにするものである。
例えば、区間損失が10dBあるいは20dB低いC、Bの場合には入力側の光減衰器を調節して常に区間損失が伝送路設計上最も大きい22dBのAと同等の損失時の光入力になるように光減衰器で損失を調節するものである。この調節は可変光減衰器10直後の光モニタからの帰還制御により、自動的に行う。これにより、例えばC、B区間損失の場合には可変光減衰器10の減衰量を13dB、3dBに調整することになる。トータルで23dBの損失になるのは可変光減衰器10の最低減衰量が1dBであるためである。増幅用光ファイバ40への光入力レベルを一定に保つことにより、区間損や光コネクタの接続損失等による伝送路区間損失の変化に対してEDFへの光入力の変化がなくなり、光増幅器入力部での光レベル1の違いによる利得の波長偏差を生じない制御を行うことができる。1533nmと1541nm波長は特に低い入力Aでの利得の波長依存性が大きいため、波長依存性を平坦にするための光学的なフィルタとして前段光増幅部3に利得平坦化フィルタ32を挿入する。
次に、図2を用いて可変光減衰器10の制御、可変光減衰器10を用いた場合の光入力モニタ、光サージ対策用光入力変動検出ならびに光入力信号断検出および光サージ対策用の制御を行う機能について説明する。図2は、前段増幅部可変光減衰器周辺の制御構成を示す図である。
まず、可変光減衰器10の制御を説明する。光入力が可変光減衰器10通過後、分岐比が95対5のモニタ用光分岐カプラ20に入り、一部の光がもモニタ用に分岐される。主な信号光は励起光/信号光合波結合器30へ進む。励起光/信号光合波結合器30は励起レーザダイオード(LD)130からの制御された励起光が重畳されて増幅用光ファイバ40へ進む。例えば0.98μm波長の励起光と1.55μmの信号光の合波器である。光入力レベルの制御はモニタフォトダイオード(PD)120で受光した光レベルが電気信号変換された信号が低速フィルタ116を介して光減衰器駆動回路110に伝達される。ファイバ増幅の光学的な増幅特性の低速側の帯域は3kHz程度である。可変光減衰器10の調節速度が速いと低速側の帯域を狭くし、伝送波形のレベルを変動させる危険性がある。そこで、光ファイバ増幅器本来の低速側の帯域を狭くしないように1kHz以下の低速なフィルタに設定してある。これにより、増幅用光ファイバ40が本来有する低速側の帯域である3kHzを制御で損なうことはない。駆動回路110では所定の光入力モニタの値111と比較してその差分を増幅して可変光減衰器10に帰還する。負帰還ルート3−1に沿って制御を行うことにより光入力が一定になる。可変光減衰器10、光分岐カプラ20は、必要な波長域での損失の波長依存性はほとんどなく、例えばトータルで0.5dB以下の部品を使用する。
次に可変光減衰器10を用いた場合の光入力モニタについて説明する。光信号入力1は可変光減衰器10により調整されるため、モニタPD20では正しい値をモニタできない。しかし、光入力モニタを可変光減衰器10の前に入れると光損失が増加して望ましくない。本実施例では可変光減衰器10の光減衰量をルート3−2に沿って駆動電流から換算して求めるものである。
可変光減衰器10の駆動信号は、駆動値モニタ111で検出されA/D変換器112でデジタル信号に変換される。デジタル信号は減衰量演算回路113で駆動値と可変光減衰器10の実際の光減衰量の補正データメモリ114からの換算数値を処理して再度D/A変換器115でアナログ信号に戻す。実際のモニタ値と可変光減衰器10の減衰量を加算器122で加算して光信号入力を求めるものである。例えば、磁気光学的な手法による可変減衰器10では減衰量は駆動電流に線形でないが、あらかじめ減衰量と電流の関係を求めそのデータを換算数値として補正データメモリ114に入れるものである。このとき磁気光学効果型は温度依存性があるため、温度モニタと補正を使用することもありえる。ここでは一旦デジタル変換して可変光減衰器10の減衰量を求める方法を示したが、ポイントは可変光減衰器10の減衰量を加算演算する処理により、光信号入力1を入力のモニタを分岐数を増やすことなく求めることができる。
次に光入力モニタを使った、光サージ対策用光入力変動検出及び光入力信号断検出について説明する。まず、定常光入力に対する相対的光入力無しの検出動作ルート3−3について説明する。光信号入力のモニタ値は光入力平均化回路123に伝わる。光入力平均化回路123では100ms以上の時間、例えば1秒、にわたる光信号入力を平均化処理を行う。アナログ的手法ではRCの低速のフィルタ回路の挿入を行い低速分の光/電気変換後の信号を検出することで構成できる。デジタル的手法では特定時間のサンプリング信号例えば1msを蓄積し、平均化処理を行う、時間経過と共に古いデータを新しいデータに入れ変えていくことで構成できる。このとき、1msのサンプリングは1ms内の平均化された信号平均化された光信号入力を使用する。
定常的な光入力に対し、光入力が特定のレベル減少したときに光サージ対策用の制御を行う機能について説明する。光サージ対策用の制御は急激な光入力の回復時に光サージを生じないようにするため、増幅用光ファイバの潜在利得が高い状態を発生させないように、光入力の低下時に光励起を抑えることが必要である。異常な光入力の低下を入力判定値とするために入力判定相対閾値を定常入力から、例えば6dB減算して光信号入力無しの判定基準値とする機能を持たせる。実際の定常的な光信号ではランダムな信号形態に対応し、10μsのオーダでも3dB程度は光レベルが変動することがある。定常的な信号伝送時に光サージ対策用制御が動作すると伝送トラフィックに多大な影響を頻繁に及ぼすので6dBあるいは9dBのマージンがを設定する。9dB程度の変動では致命的な破壊を起こす光サージは発生しない。相対入力判定回路126で、実際の光信号入力を比較し、光信号入力が低い場合には励起抑制信号132を発信する。この判定は10μs以内に行う。先に述べた光入力モニタを使用することで相対的な光入力の異常な低下を検出することができる。光ファイバ増幅器は必ずしも一定の区間損失を有する伝送路に使われるわけではない。光信号入力無しを絶対値のみで検出すると区間損失が小さい場合には定常的な光入力が高く、光コネクタの脱着時等でもレベル差変動に励起が追従して低い光入力から高い光入力への回復時に光サージを発生する危険性がある。さらに、中継器のように光ファイバ増幅器を複数段接続した場合には、光サージ光出力は伝搬する。光ファイバ増幅器の制御の方法によっては光サージ光出力が成長することがあり、中継先で光部品の破壊を起こす危険性がある。これに対して本検出方法をとると使用状況に合わせて異常光低下を検出し、励起を抑えるので光サージの発生を抑制できる。
光サージの抑圧を目的とした相対的な光入力の異常低下検出について説明したが、本実施例で採用した光信号入力の平均化処理は、平均化時間程度の緩やかにレベルの変化に対する異常な低下は検出できない。このため、光入力異常低下について、場合によっては、伝送路としてあり得ないような光信号レベルの低下対して検出できないことが懸念される。
そこで、ルート3−4の回路で光信号入力の絶対レベルの低下を検出する。光信号入力のモニタ値が絶対的な入力判定値127に対して高いか低いかを絶対入力値判定回路128で判定する。これによって、絶対値があり得ない程低い値である場合には、信号を発生する。ルート3−3からの信号もルート3−4からの信号も共に光サージの発生に危険であるのでOR論理129により、励起抑制信号132として励起LD130の駆動回路131に入力する。
光入力のモニタ値について、上記構成では可変光減衰器からの減衰情報を基に処理する方法を述べたが、光入力部の直後に光分岐を設けてその信号を光入力モニタとする構成でも適用できる。
次に、波長多重時の光出力制御および光入力減衰調整制御について説明する。
光出力制御について図3を用いて説明する。図3は伝送される波長数情報により、利得一定制御と光出力一定制御を複合的に組み合わせた制御する方法の一実施例として特に2段増幅の後段増幅部4の制御を示した図である。
後段の増幅用光ファイバ41からの光信号は励起光/信号光合波結合器31を通過して例えば99対1の分岐比の光分岐カプラ23の一部の光が分岐モニタPD170へ行き、主な光信号は光信号出力2として出射される。
まず、利得一定制御であるループ4−1について説明する。光出力2は分岐光をモニタPD170で電気信号に変換し、利得演算回路174にに伝える。利得演算回路174では前段光増幅部3の光信号入力1の電気信号値121と光信号出力の電気信号値の除算演算にを行う。これにより光ファイバ増幅器全体5での利得を求める。利得一定制御部173では利得の基準信号値と差分をもとめ、励起LD180の駆動回路181に帰還信号として入力する。これにより、所定の利得が得られるように制御ループ4−1を構成する。このとき、利得一定制御では増幅用光ファイバ41の信号通過帯域を限定する要素はないので通常のμsのオーダの早い帰還制御を行っても問題ない。また、前段や後段の抑制信号132により駆動回路181は遮断動作を行う。
後段光増幅部4の波長数情報に応じた光出力一定制御4−2について説明する。モニタPD170で電気信号に変換された光信号出力のモニタ信号は出力一定差分を求める回路171に伝わる。さて、別に入力された波長数情報210はメモリー212に入れられたそ前の波長数情報と波長数情報の比較211を行い、同じ場合はそのまま、異なる場合メモリー数値212を入れ替えると共に新たな波長数に対応した光出力の設定値213を別のメモリー214から数値を読み出す。これをD/A変換215して規定された波長数に対応した光出力175として設定する。この設定値175と出力一定差分を比較して差分がなくなるように制御帰還4−2で利得制御をする。制御帰還4−2では光出力一定制御が増幅用光ファイバ41の帯域を制限しないように低周波電気フィルタ172を入れることで1kHz程度以下の制御とする。このようなループ4−1とループ4−2の制御を組み合わせることで1ms以下のチャネル数の急激な変化に対しては利得一定制御が働き、チャネル当たりの最低の光レベルの減少を抑える。
波長数対応光出力レベルについて説明する。例えば波長数が1から16に増えたときに波長チャネル当たりの光出力を一定に保つには16波長全てを含む光ファイバ増幅器の出力は典型的には12dBの光出力増大しなければならない。このように波長数に応じた必要光出力をメモリーに入れておき最適な光出力の調整をおこなう。簡単な例として、16に波長数が増えたときには全光出力を12dB高める。
光入力についても入力される波長数の増大に伴い全光入力が大きくなるので可変光減衰器による光レベルの調節値を波長数情報に応じて高める。簡単な例として16に波長数が増える場合には1波長時の光レベル設定値に対して12dB高める。これにより、前段と後段の総合的な利得が常に一定になり、利得の波長平坦性が保たれる。
波長数情報の入手については、監視系を利用する。中継光ファイバ増幅器を用いる場合には光ファイバ増幅器の動作状態を主信号光と別の光信号で連絡し合う。この監視信号に伝送する波長数情報を載せてそれに基づき上記の光出力制御を行う。
監視系について、実施例6の説明図である図10を流用し簡単に説明しよう。
図10は本発明の波長多重光増幅器を用いた波長多重光伝送システムの一構成図である。波長の異なる16の光信号送信器701−716を波長合波器WDM(Wavelength Division Multiplexer)719で一本の光ファイバに合波する。その後、必要な光パワーを得るために送信用光パワー増幅器720に入射し、一括増幅する。伝送路723を介して中継用光ファイバ増幅器724、726等で伝送路の損失を補償する。受信側では受信用光増幅器729で一括増幅した後、WDDM(Wavelength Division Demultiplexer)731で分離し各波長に対応した受信器751−766に入射、各波長の信号を検出する。各波長多重用光増幅器724、726、729では伝送路の分散が大きい場合には分散補償用のファイバ725、727、730を挿入する。これらは、図1の光部品50に対応する。波長数情報の転送について、例えば、図10のシステムの構成図において監視光信号送信器721の送信光に波長数の情報を載せ、送信用光パワー増幅器720の後ろに監視信号用の波長合波器WDM722を介し絵して伝送路に監視光信号を載せる。各中継光増幅器724、726および受信光増幅器729では監視光信号から波長数情報を受信する。あるいは別の操作系ネットワーク771−774を介して波長情報を送る。
波長数情報と実際の波長数変更のタイミングが合わないと波長数が変る時にチャネル当たりの光出力が確保できない可能性がある。再度図3に戻り、本実施例では、利得一定制御のループ4−1に対して、出力一定制御のループ4−2の制御速度を1ms以上の緩やかな変化として、瞬時的な出力低下を防ぐ。さらに光出力ループ4−2の制御と光入力制御の可変光減衰器10の調整値を連動させて光増幅器全体の総合的な利得が一定になるように制御する。
その他の波長数情報を送る方法として送られる主信号光に主信号光の伝送信号に影響を与えい程度の変調信号を励起レーザで変調して重畳させ、次の光増幅器で変調信号を検出する手段も考えられる。
[実施例2]
本発明の第1の実施の形態である光ファイバ増幅器の実施例2の2段構成の光ファイバ増幅器の中間に光部品を入れる構成を図4を用いて説明する。
図4は2段構成光ファイバ増幅器5の前段の出力モニタ用分岐21以降、後段の励起光/信号光合波結合器22までの構成を示している。前段光増幅部3からの光出力レベルはモニタPD420でモニタ光が受光され電気信号変換された後、レベル判定回路421で規定範囲の光出力であるか否かをレベル判定する。その判定情報は光部品抜去判定回路422へ送られる。また、後段の光増幅部への光入力はモニタ用光分岐カプラ22で一部の光を分離して、モニタPD423に入射する。レベル判定回路424ではこのモニタ値をうけ、本来あるべき光入力値に光レベルが達しているか否かを判定する。例えば、前段の光出力レベルが0dBmであり、光部品の損失が10dBであるときには後段の光増幅部光入力は−10dBmになる。このとき後段の光増幅部の光入力の判定値として−15dBmを設定しておくと、−10dBmの光入力では後段のレベル判定は入力ありとして光部品抜去判定422に信号を渡す。ところが、光部品50からの光レベルが光コネクタの接続不良で−15dBm以下の光入力になると光入力無しの信号を光部品抜去判定422に送る。前段の光出力判定421では例えば−5dBm以下の光出力の時には光出力以上の信号を光部品抜去判定回路422に渡す。
光部品抜去回路422では前段の光増幅部の出力が規定以下で(−5dBm)ある場合には後段の光入力がないのが−15dBm以下であるのが当然であるので特に抜去信号は発信しない。前段の光出力が規定値(−5dBm)以上で定常と判断して後段の光入力が規定値(−15dBm)以下であると判定されたときのみ、光部品が抜去されていると判断され、光部品抜去情報246を挙げる。
さらに、後段の光信号入力モニタが所定のレベル以下で光入力がないと判定したときには光サージの危険を回避するため後段の励起を抑制する信号425を出す。後段の励起制御はこの信号と前段の光入力判定からの励起抑制信号132をOR論理427でとり、後段増幅部の励起駆動回路181に入力する。励起LD180の励起出力は光サージを発しないレベルに抑えられる。また、光部品の抜去情報246は後段の光出力低下信号に対して、AHD論理回路247で抜去情報があれば光出力信号低下をマスクし、光増幅器本来の故障である出力異常低下信号248とする。本実施例は光部品50として10dB程度までの損失を有する分散補償ファイバを内蔵した中継または受信側前置光ファイバ増幅器である。
ここで用いられる光部品50の例としては、分散補償ファイバ、ファイバグレーチング、フィルタ等の光ロスを生じる光部品が挙げられる。
[実施例3]
本発明の第1の実施の形態である光ファイバ増幅器の実施例3の2段の増幅部に対して1台の励起を用いる場合の構成について図5を用いて説明する。図5において励起光源は前段の制御部100のみにある。前段の増幅用光ファイバ40を励起した後、励起光/信号光分離器33で残留励起光35を信号光と分ける。信号光は信号光分岐21に行くが、残留励起光は後段の励起光/信号光結合器34に行く。再度信号光と結合され後段の増幅用光ファイバ41に入射する。この構成で励起光源1つで中間の光部品50が挿入されても、損失を効率よく補える。この基本構成は、従来例で述べた“Dispersion−Compensator−Incorporated Er−Doped Fiber Amplifier”に示されている。この構成において、光部品50挿抜時の光サージを抑える方法を説明する。光部品50が結合されないとき後段のモニタ分岐22からの光がなく、後段の光入力断を検出する。例えば光部品50の損失が5dBで固定光減衰器の損失が5dB、前段の光出力が0dBmの時光入力断のレベルを−25dBmに設定する。このレベル以下のとき、後段制御系150から前段制御系へ励起レーザの抑制信号を送る。このとき前段の制御系100では励起レーザの制御を残留励起光35が後段の増幅用光ファイバから光部品50結合時に光サージを生じない程度に抑制した励起に制御し、光部品50結合時に後段の入力モニタ分岐22光が結合を判定できる程度の光がでるように制御する。制御は前段の出力光モニタ分岐21のレベルが一定になるように制御する。例えば前段の光出力を−10dBm、通常の1/10の出力となるよう制御する。光部品50が適切に結合された時には例では光レベルが−20dBmとなるので後段の光入力断検出−25dBm以上となり、結合の判定をする。このときには後段の光出力モニタ分岐22の光出力が一定となるように励起制御を切り替える。
ここで用いられる光部品50の例としては、分散補償ファイバ、ファイバグレーチング、フィルタ等の光ロスを生じる光部品が挙げられる。
[実施例4]
本発明の第1の実施の形態である光ファイバ増幅器の実施例4を、図8を用いて説明する。図8は光モジュールの実装構成である。寸法が120mm×165mmのケース500に光学部品を実装する例を示す。本実施例は図1の2段増幅部構成の実装実施例である。光部品としては、前段光増幅部用として、光レベル調整用入力部可変光減衰器10、光分岐カプラ+モニタPD+励起光/信号光合波+光アイソレータの複合部品2030、エルビウム添加増幅用光ファイバ40、41、(光アイソレータ+光分岐カプラ+利得平坦化フィルタ+光分岐カプラ)の複合部品2132、後段光増幅部用として、(光分岐カプラ+モニタPD+光アイソレータ)の複合部品1122、エルビウム添加増幅用光ファイバ41、(励起光/信号光合波器+光アイソレータ+光分岐カプラ+利得平坦化フィルタ+モニタPD)の複合部品2331、等のファイバ型光部品を収める。このとき各光部品をケース500の辺に対して20゜から45゜程度まで傾けることにより、長さが70mmの光学複合部品の辺に対する射影を短くしている。本実施例では長さが70mmで幅が25mmの光部品を1つと長さが70mmで幅が16mmの光部品4個および外形がφ70mmの増幅用光ファイバを巻いたボビンを上記箱の中に収める。部品間隔を2mm、ファイバルートとして端のスペースを5mmとすると長さ方向は{5+70(EDFボビン)+(8+2+16+2+8)/sin(45゜)+35(部品半分の長さ)*sin(45(゜))+(1−sin(45゜)*30(ファイバ曲げスペース)+5}=164mm、幅方向は{5+(1−cos(30゜))*30(ファイバ曲げスペース)+sin(30゜)*70(光部品長)+10(ファイバ用スペース)+ sin(45゜)*70(光部品長)+(1−sin(45゜))*30(ファイバ曲げスペース)+5}=117mmとなる。
さて、比較のため平行に部品を収めるときを示す。長さ方向が{5+70(EDFボビン)+2+16+2+16+2+16+2+16+2+25+5}=179mm、幅方向が{5+30(ファイバ曲げスペース)+70(部品長)+30(ファイバ曲げスペース)+5}=140mmとなり、部品を傾けたときより、長さで15mm、幅で23mm広いスペースが必要である。
[実施例5]
本発明の第1の実施の形態である光ファイバ増幅器の実施例5を、表1と図9を用いて説明する。表1は市販されている14ピン励起レーザモジュールのピンの配置である。A、B、C、D型と4種類に大別される。励起レーザのピンはTEC(ペルチェ素子)の正と負の極(TEC+、TEC−)、レーザダイオードの駆動のアノードとカソード(LD_A、LD_C)、モニタ用フォトダイオードのアノードとカソード(PA、PC)、温度モニタ用サーミスタ(TR、TR)からなる。図9は基板640の配線パタンの励起レーザモジュール部と励起レーザ600のAのピン配置の関係を示した図である。 基板パタンでは、TEC+制御端611、TEC−制御端612、PDカソード制御端615、レーザダイオードアノード制御端616、サーミスタ制御端617、接地端618、PDカソード制御端619、PDアノード端620、TEC−回路端621、レーザダイオード制御端622、サーミスタ制御端623、サーミスタ接続端625、接地627、レーザダイオードカソード制御端628、PDアノード端629を図9のように配置する。0オームチップ抵抗の利用により、4種類の励起レーザのピン接続に対応できる。内側に示した表記は励起レーザ600のAのピン配置である。サーミスタ回路入力(TR)613とレーザモジュールの2番ピン602、モニタPDのアノード回路入力(PD_A)614とレーザモジュールの3番ピン603、レーザダイオードのアノード制御回路入力(LD_A)626とレーザモジュールの10番ピン609、レーザダイオードのカソード制御回路入力(LD_C)624とレーザモジュールの11番ピン608のパッド間、総計4個の0オームのチップ抵抗を入れることでA型のレーザモジュールに対応した接続が行える。本実施例では、LD_AとPD_Cとサーミスタの片方(TR(G))は常にグランドに接続する回路を想定している。他の型のレーザモジュールに対しても5個以内の0オームのチップ抵抗の接続で対応できる。
本実施例では0オームのチップ抵抗を使用する例を挙げた。これはバッドの変わりにピンを立て、ジャンパ線におきかえてもよい。
さらに、チップ抵抗用のパッドをレーザモジュールのピンが立つ穴パッドにしてそのピンのさし込みをピン配置に対応した機能の穴に選択して挿すようにすることでも可能である。
[実施例6]
本発明の第2の実施の形態である光伝送システムの実施例6を、図10を用いて説明する。
図10は、16波長多重まで可能な光中継ファイバ増幅器を用いた光伝送システムの構成である。
送信側のnまでの波長と16番目の波長チャネルで多重化した場合について説明する。送信器(Tx)701−716が設定されると、監視系(SV)718に送信器設定の情報717があがる。例えば、n番目の送信器70nがセットされるとそれまでのn−1までの送信チャネルと16番目のチャネル716のトータルn波長数の情報がn+1にあらためられる。この情報は直ちに光学的な監視信号系(L−SV)721に伝えられる。信号光は光ファイバ伝送路723の波長多重信号光合波系結合器719により信号波長多重化され、送信用光増幅器720で一括増幅される。
監視信号は別の波長の監視信号光として監視光/信号光結合器722により重畳される。重畳された波長数情報は各中継ファイバ増幅器(LA)724、726および受信光ファイバ増幅器(RA)729で検出される。多重化主信号光は各光ファイバ増幅器724、726、729で分散量を補償しながら増幅される、受信部では波長分離器731で各波長に信号が分離された後、各波長の信号は光信号受信器751−766で電気信号に変換される。監視信号により波長数情報が伝達された後に各光ファイバ増幅器がチャネル数変化に応じた光出力ならびに内部の設定を数msから数百msの特定の時間で緩やかに設定を変えていく。これにより、光伝送システムの波長多重数の変化に伴う、各チャネル信号の状態の変化を抑え、システム全体の伝送品質を保つ。
また、波長数情報については、光学的な監視信号系のみによらず、別の監視信号伝達系771−774を利用することもできる。
光ファイバ増幅器の早い応答を利得一定制御することで、仮に波長数変動が急激に生じても、チャネル毎の出力変動は少なく、またリップルを持つような変動がないため、伝送時の障害を発生しないシステムが構成できる。
異常な光入力の低下からの回復、あるいは分散補償光ファイバ(DCF)のような分散補償器725、727、730の挿抜時などに発生する光の異常ピーク出力を抑える機能を有する光ファイバ増幅器を光伝送システムに使用することで光サージが抑制されるため、信号の上流で発生する光サージの伝達に伴う、下流の光中継器や受信装置の光学部品751−766等の破壊を防ぐ。
さらに波長平坦化のための光ファイバ増幅器に挿入した光減衰器周波数帯域を1kHz以下に抑えることにより、600Mbit/sの伝送速度における信号においても、低域の波形歪みの発生がなく、光伝送システムの品質を保つことができる。特に、中継器を光ファイバ増幅器で構成する場合には、光ファイバ増幅器が1R(Reshape)中継であるため、周波数特性は累積される、ここで周波数域が広いことは、中継数の増加に対しても波形劣化が低い光伝送システムが構成できる。
また、各光ファイバ増幅器720、724、726、729には、他の実施例で記載したいずれの光ファイバ増幅器であっても良い。
1…光信号入力、2…光信号出力、3…前段光増幅部、4…後段光増幅部、5…2段光ファイバ増幅器、10…前段入力部可変光減衰器、11…後段入力部光減衰器、20…前段入力モニタ用光分岐カプラ、21…前段光出力モニタ用光分岐カプラ、22…後段光入力モニタ用光分岐カプラ、23…後段光出力モニタ用光分岐カプラ、30…前段前方励起用励起光/信号光結合器、31…後段後方励起用励起光/信号光結合器、33…0.98μm励起光/信号光分離器、34…0.98μm励起光/信号光合波結合器、35…前段の0.98μm残留励起光、40…前段増幅用光ファイバ、41…後段増幅用光ファイバ、50…中間挿入光部品、100…前段光増幅部制御回路、150…後段光増幅部制御回路、200…監視制御回路、201…波長数情報を含む監視情報、202…2段光ファイバ増幅器の監視情報、110…可変減衰器駆動回路、111…可変減衰器駆動値モニタ、112…A/D変換器、113…減衰量演算器、114…減衰量補正データ、115… D/A変換器、116…低速フィルタ、120…入力モニタPD、121…演算導出光入力モニタ値、122…加算器、123…平均化回路、124…相対判定基準値、125…減算器、126…相対値入力判定、127…絶対値入力判定値、128…絶対値入力判定、129…OR論理回路、130…前段励起用励起LD、131…励起LD駆動回路、132…励起抑制信号、133…前段光出力制御回路からの制御信号、170…後段光出力モニタ、171…基準値/モニタ値差分、172…低周波フィルタ、173…利得一定制御、174…利得演算回路、175…出力基準値、176…出力異常検出閾値、177…出力異常判定、178…出力異常信号、180…後段励起LD、181…励起LD駆動回路、210…波長数情報、211…波長数情報比較、212…前波長数情報、213…波長数対応出力、214…波長数対応出力データ、215…D/A変換器、216…波長数対応入力データ、217…後段光増幅部波長数対応光入力基準値、218…波長数対応光入力基準値、300…前段の光ファイバ増幅器、301…120kmの光ファイバ伝送、302…82kmの光ファイバ伝送路、303…47kmの光ファイバ伝送路、420…前段光増幅部光出力モニタPD、421…レベル判定、422…光部品抜去判定、423…後段光増幅部光入力モニタPD、424…レベル判定、425…励起抑制信号、426…光部品抜去情報、427…AND論理、428…出力異常低下信号、429…OR論理、500…光学系収納箱、2030…(光分岐+励起光/信号光合波結合+光アイソレータ+モニタPD)複合光モジュール、2132…(光分岐+利得平坦化フィルタ+光アイソレータ+モニタPD)複合光モジュール、1122…(光分岐+光アイソレータ+モニタPD)複合光モジュール、2331…(励起光/信号光結合+光アイソレータ+光分岐+モニタPD)複合光モジュール、600…励起レーザモジュール、601…レーザペルチェ正極ピン、602…サーミスタピン、603…PDアノードピン、604…PDカソードピン、605…サーミスタピン、606…レーザペルチェ負極ピン、607…接地ピン、608…LDカソードピン、609…レーザアノードピン、611…レーザペルチェ駆動正極出力端、612…レーザペルチェ駆動負極出力端、613…サーミスタ接続端、614…PDアノード制御端、615…PDカソード制御端、616…LDアノード制御端、617…サーミスタ接地側接続端、618…PDカソード制御端、620…PDアノード制御端、621…レーザペルチェ駆動負極出力端、622…LDアノード制御端、623…サーミスタ接地側接続端、624…レーザカソード制御端、625…サーミスタ接続端、626…レーザアノード制御端、627…サーミスタ接地側接続端、628…レーザカソード制御端、PDアノード制御端、701…光信号送信器1(波長1)、702…光信号送信器2(波長2)、70n…光信号送信器n(波長n)、716…光信号送信器16(波長16)、717…送信器動作情報、718…監視信号系、719…波長多重合波結合器、720…一括増幅送信用光ファイバ増幅器、721…監視信号送信器、722…監視信号光/多重信号光合波結合器、723…光ファイバ伝送路、724…光中継増幅器、725…分散報償器、726…光中継増幅器、727…分散補償器、729…一括増幅受信用光ファイバ増幅器、730…分散補償器、731…多重波長信号分離器、751…光信号受信器1(波長1)、752…光信号受信器2(波長2)、75n…光波長受信器n(波長n)、766…光信号受信器16(波長16)、771−774…管理信号系、A…120kmの光ファイバ伝送路301伝送後の光入力レベル、B…82kmの光ファイバ伝送路302伝送後の光入力レベル、C…47kmの光ファイバ伝送路303伝送後の光入力レベル、3−1…可変光減衰器制御経路、3−2…光減衰量情報経路、3−3…相対的光レベル低下判定経路、3−4…絶対光レベル低下判定経路、4−1…利得一定制御経路、4−2…光出力一定制御経路