本発明は、光受信器、光受信方法および光伝送装置に関する。
光受信器は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)装置から入力される入力光として、信号光が入力され、または、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光のみが入力される。なお、ASE光とは、光受信器にて識別・再生する処理を行ってもデータが識別・再生されない光であり、WDM装置にて光増幅が行われる際に発生する雑音光である。また、信号光とは、光受信器にて識別・再生する処理を行うことにより、データが識別・再生される光である。信号光が入力される場合には、信号光のみが入力される場合だけでなく、信号光とASE光とが併せて入力される場合も含まれる。
ここで、従来より、光受信器は、入力光を受信すると、入力光からデータを識別・再生する処理を行い、入力光からデータが識別・再生された場合に、入力光に信号光が含まれると判定していた。すなわち、光受信器は、データを識別・再生する処理を入力光に対して行い、入力光にASE光のみが含まれる場合にはデータを識別・再生できないことを利用して、入力光に信号光が含まれるかを判定していた。なお、波長分散によって波形が劣化した信号光に対して分散補償をおこなう手法が知られている。
特開2008−098975号公報(第1〜4頁、第1図)
ところで、上記した従来の技術は、入力光に信号光が含まれるかを適切に判定することができないという課題があった。すなわち、上記した従来の技術では、光受信器は、データを識別・再生する処理を入力光に対して行わなければ、入力光に信号光が含まれるかを判定できなかった。
そこで、本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、入力光に信号光が含まれるかを適切に判定することが可能である光受信器、光受信方法および光伝送装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、光受信器は、所定のパワーを示す入力光を受け付け、フィルタ特性を用いてフィルタリングし、出力光を出力するフィルタリング手段を備える。また、前記フィルタリング手段によって出力された前記出力光のパワーに関する値と閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定する判定手段を備える。
入力光に信号光が含まれるかを適切に判定することが可能である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る光受信器、光受信方法および光伝送装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、光信号を受け付ける光受信器と、受け付けた光信号を送る光送信器とを併せて備える光送受信器を用いて説明する。
以下では、実施例1に係る光送受信器の概要、実施例1に係る光送受信器とWDM装置との関係、実施例1に係る光送受信器の構成および処理の流れ、実施例1に係る光送受信器の効果を順に説明し、その後、その他の実施例について説明する。なお、光伝送装置とは、光送受信器とWDM装置とを含む装置である。
[光送受信器の概要]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る光送受信器(トランスポンダとも称する)の概要を説明する。図1は、実施例1に係る光送受信器の概要を説明するための図である。
図1の(1)に示すように、実施例1に係る光送受信器では、分散補償器が、所定のパワーを示す入力光を受信する。具体的には、分散補償器は、信号光とASE光とを含む光かASE光のみを含む光かを入力光として受信し、また、光送受信器内にある光アンプが当該入力光を所定のパワーに増幅した後に受信する。
そして、図1の(2)に示すように、分散補償器は、信号光を含む入力光のパワーを減衰する割合が信号光を含まない入力光のパワーを減衰する割合よりも低くなるフィルタ特性を用いて受信した入力光をフィルタリングし、出力光を出力する。
すなわち、分散補償器は、入力光に含まれる信号光のパワーを減衰する割合と比較して高い割合にて入力光に含まれるASE光のパワーを減衰するフィルタ特性を有する。この結果、分散補償器は、ASE光のみを含む入力光を受信した場合と比較して、信号光とASE光とが含まれる入力光を受信した場合に、大きなパワーを示す出力光を出力する。
そして、図1の(3)に示すように、実施例1に係る光送受信器では、判定処理制御部が、分散補償器から出力された出力光のパワーと閾値とを比較し、当該閾値よりも出力光のパワーが大きい場合には入力光に信号光が含まれると判定し、当該閾値よりも出力光のパワーが小さい場合には、入力光に信号光が含まれないと判定する。
このようなことから、実施例1に係る光送受信器は、入力光に信号光が含まれるかを適切に判定することが可能である。具体的には、入力光から信号を再生する再生処理を行うことなく、入力光に信号光が含まれるかを判定することが可能である。
[光送受信器とWDM装置との関係]
次に、図2〜図5を用いて、光送受信器200とWDM装置100との関係について簡単に説明する。なお、光送受信器200に関する詳細を説明については、後述するため説明を省略する。
図2に示す「A局」〜「G局」各々は、光伝送装置であり、ネットワークにおいて光信号を送受信する。なお、図2は、ネットワーク内における光伝送装置を説明するための図である。
ここで、光伝送装置は、光信号を中継する再生中継器として用いられ、また、ネットワーク側とクライアント側とのインタフェースを備えて光信号を送受信する装置として用いられる。なお、再生中継器としての光伝送装置は、図2のREG(Regenerator)に示す装置が該当し、例えば、「A局」や「E局」が該当する。また、ネットワーク側とクライアント側とのインタフェースを備えて光信号を送受信する装置として用いられる光伝送装置は、図2のTXとRXとを併せて備える装置が該当し、例えば、「B局」や「F局」が該当する。
なお、図2に示す矢印は、ネットワーク側へと送信される光信号の向きを示す。ここで、図2に示す例では、送信、受信は同じ局となっているが、用途により別の局とも接続してもよい。
ここで、図3を用いて、TX(Transmitter、送信器)とRX(Receiver、受信器)とを併せて備える光伝送装置の構成の一例を示す。図3に示すように、光伝送装置は、WDM装置100と光送受信器200とを備え、WDM装置100と光送受信器200とは接続される。また、WDM装置100の受信部は、光信号を伝送路から受信し、複数ある光送受信器200各々に各チャンネルに分波した信号光を送る。なお、図3は、TXとRXとを併せて備える光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
信号光とは、光送受信器200にて識別・再生する処理を行うことにより、データが識別・再生される光である。チャンネルとは、多重化された信号光各々が含まれる波長(あるいは、周波数)各々を示す。すなわち、WDM装置100の受信部が受信する光信号は、全チャンネルを用いて多重化されていた場合には、当該チャンネル各々に信号光を含むことになる。なお、図3では、各チャンネルに対応づけられた光送受信器200各々をまとめて、光送受信器部250と記載した。
具体的には、WDM装置100の受信部は、WDMPreAmp101とDe−Multiplexer102とを備える。WDM装置100の受信部では、WDMPreAmp101が、受信した光信号を一括増幅する。すなわち、多重化された光信号を分波することなく増幅する。そして、De−Multiplexer102は、一括増幅された光信号を各チャンネルに分波し、光送受信器200各々に送る。なお、光送受信器200各々は、チャンネルに対応づけられており、特定の波長域の光信号を受信する。その後、光送受信器200各々は、受信した光信号を電気信号に変換し、光伝送装置に接続された他の装置に電気信号を送る。なお、他の装置とは、光伝送装置を用いて情報を送受信する装置であり、例えば、光伝送装置のクライアントとなる装置である。
ここで、WDM装置100の受信部は、受信した光信号に信号光がどのチャンネルにも含まれていない場合には、WDMPreAmp101が光信号をシャットダウンする。つまり、WDMPreAmp101は、光信号をDe−Multiplexer102に送らない。一方、WDM装置100の受信部は、受信した光信号に信号光が一つでもある場合には、光増幅を行うため、WDM装置100の受信部は、光信号を含まないチャンネルに対応する光送受信器200に対しては、ASE光を送り、また、光信号を含むチャンネルに対応する光送受信器200に対しては、ASE光と信号光とを送る。
なお、WDMPreAmp101が信号光の有無を判断する点について補足する。図には示していないが、WDMPreAmp101は、受信した光信号をモニタするPD(Photo Diode)を備え、PDにて検出された光信号のレベルを用いて、受信した光信号に信号光が含まれるか否かを検出する。すなわち、WDMPreAmp101は、PDにて検出されたレベルが、1チャンネルにのみ信号光が含まれる場合に検出されるレベルよりも低い場合に、信号光が含まれないと判断する。また、他の光伝送装置との間にて送受信される監視制御信号光により通知された運用中となるチャンネル数が「0」である場合に、信号光が無しと判断する。
なお、ASE光とは、光送受信器200にて識別・再生する処理を行ってもデータが識別・再生されない光であり、例えば、WDMPreAmp101にて光増幅が行われる際に発生する雑音光である。また、光送受信器200各々に送られる光信号のパワーを一定にすることを目的として、例えば、可変減衰器(可変アッテネータ、VOA、Variable Optical Attenuator)や、個々のチャンネルの運用状態を監視するスペクトルアナライザを用いてもよい。
また、WDM装置100の送信部は、光送受信器200から受信した光信号を伝送路に送信する。例えば、光送受信器200は、光伝送装置に接続された他の装置から電気信号を受け付け、受け付けた電気信号を光信号に変換し、WDM装置100の送信部が、光送受信器200からから光信号を受け付ける。
具体的には、WDM装置100の送信部は、Multiplexer103とWDMPostAmp104とを備え、Multiplexer103が、光送受信器200各々から受信した光信号を合波する。そして、WDMPostAmp104は、合波された光信号を一括増幅して伝送路に送信する。
また、図4を用いて、図2に示したREGとして用いられる光伝送装置について説明する。なお、図2に示したREGについて説明する上では、図3を用いて説明した内容と重複する内容については、説明を省略する。図4は、REGとして用いられる光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
図4に示す例では、光伝送装置は光信号を中継する中継器であり、受信した光信号を一度電気波形に再生後、再度、光信号として送信する。ここで、光伝送装置は、WDM装置100の受信部が受信した光信号を送信した装置とは異なる装置に、光信号を送信する。
[光送受信器の構成]
次に、図5を用いて、図1に示した光送受信器200の構成を説明する。図5は、実施例1に係る光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。なお、以下では、特に言及しない限り、所定のチャンネルについての光信号を処理する光送受信器200について説明する。
図5に示すように、光送受信器200は、PreAmp「1」201と分散補償器202とPreAmp「2」203とNB−MOD(Narrow band Module)204とを備え、さらに、判定処理制御部205を備える。また、判定処理制御部205は、図5の色塗り部分の構成が該当し、具体的には、PD206とユニットコントロール207とを備える。なお、以下では、PreAmp「1」201と分散補償器202とPreAmp「2」203とNB−MOD204との説明においては、判定処理制御部205との関係については特に言及せず、判定処理制御部205についての説明にて言及する。
PreAmp「1」201は、分散補償器202と接続され、また、WDM装置100のDe−Multiplexer102と接続される。また、PreAmp「1」201は、De−Multiplexer102から所定のチャンネルについての光信号を受信し、当該光信号を所定のパワーに増幅して分散補償器202に送信する。
PreAmp「1」201がDe−Multiplexer102から受信する光信号について説明する。まず、図6の(1)に示す位置においては、光信号は分波されておらず、De−Multiplexer102が、チャンネルごとに分波されていない光信号を受信し、例えば、図7に示すように、信号光が多重化された光信号を受信する。なお、図7の横軸は周波数を示し、縦軸は、光の波長(λ)を示す。
なお、図6は、実施例1における光信号の状態を説明するために用いる光送受信器とWDM装置の各部の関係を説明するためのブロック図である。また、図7は、実施例1におけるDe−Multiplexerが受信する光信号を説明するための図である。
また、図6の(2)に示す位置においては、光信号はDe−Multiplexer102によって分波されており、PreAmp「1」201が、図8や図9に示すように、De−Multiplexer102によってチャンネルごとに分波された光信号を受信する。なお、図8や図9においては、横軸は波長を示し、縦軸が、パワーを示す。
なお、図8に示す「0.7nm」は、100Gグリットの合分波器の透過帯域例を示し、例えば、チャンネル各々について、「0.7nm」の帯域の光信号が通過することを示す。
ここで、PreAmp「1」201は、チャンネルごとに分波された光信号として、図8に示すように、ASE光のみを含む光信号を受信し、または、図9に示すように、信号光とASE光とを含む光信号を受信する。なお、実施例1では特に言及しないが、PreAmp「1」201は、信号光のみを含む光信号を受信してもよい。
なお、図8は、実施例1におけるPreAmpによって受信される光信号(ASE光のみ)を説明するための図である。図9は、実施例1におけるPreAmpによって受信される光信号(信号光含む)を説明するための図である。なお、光送受信器200各々は、チャンネルに対応づけられており、PreAmp「1」201は、特定の波長域の光信号を受信する。
PreAmp「1」201について、受信した光信号を所定のパワーに増幅して分散補償器202に送信する点について説明する。PreAmp「1」201は、De−Multiplexer102から受信した光信号に、信号光が含まれている場合であっても、信号光が含まれておらずASE光のみが含まれている場合であっても、受信した光信号を一定のパワーに増幅して分散補償器202に送る。すなわち、図6の(3)に示す位置において、光信号は、一定のパワーを示すことになる。
例えば、PreAmp「1」201は、図10に示す波長特性のようなASE光のみを含む場合と、図11は示す信号光が増幅された場合の波長特性だが、どちらの場合も全体のパワーが同一の値となるように、動作を行う。なお、図10は、実施例1におけるPreAmpによって出力される光信号(ASE光のみ)を説明するための図である。図11は、実施例1におけるPreAmpによって出力される光信号(信号光含む)を説明するための図である。なお、図10や図11においては、横軸は波長を示し、縦軸が、パワーを示す。
ここで、ASE光のみを含む場合にPreAmp「1」201が出力する光信号と、信号光とASE光とを含む場合にPreAmp「1」201が出力する光信号との違いについて言及する。PreAmp「1」201は、所定のパワーを示す光信号を送信する。この結果、図11に含まれる信号光のパワーとASE光のパワーとの合計が、図10に示すASE光のパワーと同じ値となり、図10に示すASE光のパワーは、図11に示すASE光のパワーと比較して大きなパワーとなる。すなわち、図10に示すASE光のパワーは、図11に示す信号光のパワーの分、図11に示すASE光のパワーと比較して大きなパワーとなる。
なお、PreAmp「1」201は、例えば、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA、Erbium Doped Fiber Amplifier)などが該当する。
分散補償器(TDC(Tunable Dispersion Compensators)202は、PreAmp「1」201とPreAmp「2」203と接続され、例えば、VIPA(Virtually Imaged Phased Array)型が該当する。ほかにも、分散補償器202としては、AWG(Arrayed Waveguide Grating)型、エタロン型、FBG(Fiber Bragg Grating)型、MZI(Mach Zehnder Interferometer)型などが該当する。
なお、VIPAとは、集光用レンズとVIPAガラスプレート(VIPA板)と3次元自由曲面ミラーとを備え、3次元自由曲面ミラーを動かすことにより分散値を変化させる。ここで、3次元自由曲面ミラーを動かす際には、ステッピングモータにより機械的に動かす。また、3次元自由曲面ミラーの移動距離には制限があり、例えば、2km程度が上限となっている。また、分散補償器202は、後述するように、判定処理制御部205によって分散値が制御される。
また、分散補償器202は、信号光を含む光信号のパワーを減衰する割合が信号光を含まない光信号のパワーを減衰する割合よりも低くなるフィルタ特性を備え、例えば、図12に示すようなフィルタ特性を備える。すなわち、分散補償器202は、光信号に含まれる信号光のパワーを減衰する割合と比較して高い割合にて光信号に含まれるASE光のパワーを減衰するフィルタ特性を有する。なお、図12は、実施例1における分散補償器が備えるフィルタ特性を説明するための図である。なお、分散補償器202が受信する光信号を入力光とも称し、また、分散補償器202から出力される光信号を出力光とも称する。なお、図12に示す「0dB」より下である場合には、マイナスとなり、損失量が大きいことを示す。
図12に示すフィルタ特性の例では、横軸が周波数を示し、また、縦軸が挿入損失を示す。なお、挿入損失とは、分散補償器202が受信した光信号に対する減衰を示す。図12に示すように、分散補償器202は、フィルタ特性として、所定の周波数においては、挿入損失が少なく、また、当該所定の周波数からずれた周波数において、挿入損失が大きくなるフィルタ特性を備える。ここで、所定の周波数とは、例えば、信号光の周波数に対応し、図12に示す例では、例えば、「100GHz〜200GHz」で所定の周波数があるものとして説明する。なお、図12に示すフィルタ特性では、所定の周波数が複数あるものとして説明する。
また、分散補償器202は、所定のパワーを示す光信号をPreAmp「1」201から受信する。すなわち、図6の(3)に示す位置においては、PreAmp「1」201によって送信された光信号となり、分散補償器202が、図10や図11に示すように、PreAmp「1」201によって所定のパワーに増幅された光信号を受信する。
また、図13や図14に示すように、分散補償器202は、受信した光信号をフィルタリングし、出力光をPreAmp「2」203に出力する。なお、図13は、実施例1における分散補償器によるASE光のみを含む光信号をフィルタリングする処理を説明するための図である。また、図14は、実施例1における分散補償器による信号光を含む光信号をフィルタリングする処理を説明するための図である。
図13の(1)や図14の(1)に、分散補償器202が備えるフィルタ特性と、PreAmp「1」201から受信した光信号とを重ねて示した。分散補償器202は、フィルタ特性によって周波数ごとに決定される挿入損失にて、ASE光のパワーを減衰し、図13の(2)や図14の(2)に示すような光信号をPreAmp「2」203に出力する。なお、参考までに、図13の(2)や図14の(2)における点線に示すように、図13の(1)や図14の(1)に示すASE光の波形を示した。
図14に示すように、分散補償器202は、フィルタ特性において挿入損失が低い所定の周波数が信号光の周波数に対応するため、低い割合にて減衰して出力する。また、図13や図14に示すように、分散補償器202は、ASE光については、フィルタ特性によって決定される挿入損失にて減衰して出力する。ここで、分散補償器202は、信号光とASE光が含まれる光信号であっても、ASE光のみが含まれる光信号であっても、フィルタ特性によって決定される挿入損失にて、ASE光を同じように減衰する。言い換えると、分散補償器202は、同じ周波数のASE光であれば、信号光が含まれる場合であっても、ASE光のみが含まれる場合であっても、同じ挿入損失にて減衰する。
ここで、分散補償器202は、信号光とASE光とが含まれる光信号を受信した場合に、ASE光のみを含む光信号を受信した場合に出力される出力光全体のパワーよりも大きい出力光全体のパワーにて、出力光を出力する。
図15を用いて、出力光全体のパワーについて説明する。なお、図15は、実施例1における分散補償器から出力される出力光全体のパワーを説明するための図である。図15の(1)に、分散補償器202にてフィルタリングされ、光信号のパワーが減衰された段階における光信号を示した。なお、図15では、説明の便宜上、図12に示した分散補償器202が備えるフィルタ特性は、αnmの波長間隔ごとにβnmの波長帯があり、βnmの波長帯においては全くパワーを減衰せず、当該βnmの波長帯以外の波長帯においては100%パワーを減衰するものとして説明する。図15の(2)に示すように、出力光全体のパワーは、光信号のパワーの積分値となり、例えば、フィルタリング前の出力光全体のパワーに対して、β/α分のパワーを示す。
具体的な例をあげて説明する。例えば、分散補償器202がPreAmp「1」201から受信した光信号に、20%の信号光が含まれるとして説明する。また、分散補償器202は、光を10%〜80%の幅で減衰し、例えば、信号光に対応する周波数にて10%のパワーを減衰し、ASE光全体では40%のパワーを減衰するものとして説明する。
例えば、分散補償器202は、PreAmp「1」201から受信した光信号にASE光のみが含まれる場合には、フィルタリングにより光信号全体の40%のパワーを減衰し、受信した時点のパワーに対して60%のパワーを示す出力光を出力する。また、分散補償器202は、PreAmp「1」201から受信した光信号に信号光が含まれる場合には、20%の信号光について10%のパワーを減衰し、また、80%のASE光について40%のパワーを減衰する。そして、分散補償器202は、受信した時点のパワーに対して66(0.2×90%+0.8×60%)%のパワーを示す出力光を出力する。
ここで、図16を用いて、PreAmp「1」201が受信する光信号のパワーと、PreAmp「1」201が出力する光信号のパワーと、PreAmp「2」203が受信する信号光のパワーとの関係について説明する。なお、図16では、それぞれ、「PreAmp「1」入力」と「PreAmp「1」出力」と「PreAmp「2」入力」と記載した。なお、PreAmp「2」203が受信する信号光のパワーとは、分散補償器202が出力する光信号のパワーを示す。図16は、実施例1における光信号のパワーの違いを説明するための図である。
図16に示すように、PreAmp「1」201が光信号を受信する段階では、信号光を含む光信号のパワーとASE光のみを含む光信号のパワーとが、違うパワーともなり、また、同じパワーともなりうる。また、PreAmp「1」201が光信号を出力する段階では、信号光を含む光信号のパワーとASE光のみを含む光信号のパワーとが、同じパワーを示す。また、PreAmp「2」203が光信号を受信する段階では、ASE光のみを含む光信号のパワーに対して、信号光を含む光信号のパワーが大きいパワーを示す。
なお、分散補償器202は、NB−MOD204から判定処理制御部205を介して分散値に関する設定を受け付けると、当該分散値に関する設定を用いて光信号を減衰し、PreAmp「2」203に送る。
図5の説明に戻ると、PreAmp「2」203は、分散補償器202とNB−MOD204と接続され、分散補償器202により減衰された損失分を補填する。具体的には、PreAmp「2」203は、分散補償器202から光信号を受信する。すなわち、図6の(4)に示す位置においては、分散補償器202によって送信された光信号となり、PreAmp「2」203が、図13の(2)や図14の(2)に示すように減衰された光信号を受信する。また、PreAmp「2」203は、受信した光信号を増幅して分散補償器202によって減衰された損失分を補填し、NB−MOD204に送る。
NB−MOD204は、PreAmp「2」203と接続され、また、WDM装置100のWDMPreAmp101と接続する。また、NB−MOD204は、光信号を受信すると、データを識別再生できるかを判定する。ここで、データを識別再生でき、光伝送装置がTXとRXとを併せて備える場合には、NB−MOD204は、光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号をクライアントとなる他の装置へと送信する。また、データを識別再生でき、光伝送装置が再生中継局として用いられる場合には、NB−MOD204は、光信号を電気信号に変換し、再度光信号に変換してWDMPostAmp104に送る。
なお、実施例1では、以下に説明するように、判定処理制御部205によって、光信号に信号光が含まれるかが判定されることになる。このため、NB−MOD204は、受信した光信号について、信号光が含まれる光信号である場合にのみ、実際にデータを識別する処理を行う。
例えば、NB−MOD204は、データを識別再生できるかを判定する処理として、ここで、分散値に関する設定を判定処理制御部205から分散補償器202に送り、分散補償器202にて分散値が振られた結果得られる光信号各々をPreAmp「2」203を介して受信する。
また、例えば、判定処理制御部205は、NB−MOD204が受信した光信号各々に対してPLL回路などにてクロック信号の同期が行うことができるかを監視し、同期できる場合に信号有りと判定する。そして、データを識別再生できると判定すると、電気信号に変換する。
次に、判定処理制御部205について説明する。図5に示すように、判定処理制御部205は、PD206とユニットコントロール207とを備え、光信号に信号光が含まれるかを判定する判定処理を制御する。
PD206は、PreAmp「2」203とユニットコントロール207と接続され、PreAmp「2」203内にある光入力モニタ用PDなどが該当する。また、PD206は、分散補償器202から出力された光信号のパワーを検出し、ユニットコントロール207に送る。
ユニットコントロール207は、PreAmp「2」203とNB−MOD204とPD206と分散補償器202と接続され、Ref208とComp209とControl210とを備える。
Ref208は、Comp209と接続され、分散補償器202によって出力された出力光のパワーと比較する際にComp209によって用いられる閾値を記憶する。ここで、例えば、Ref208は、閾値として、ASE光のみを含む光信号が分散補償器202に入力された場合に分散補償器202から出力される光信号のパワーを記憶する。例えば、当該閾値は、信号光が入力されていない場合に、PreAmp「1」201を強制発光させ、ASE光のみを含む光信号を分散補償器202に入力することにより得ることが可能である。
Comp209は、PD206とRef208とControl210と接続され、分散補償器202によって出力された出力光のパワーと閾値とを比較する。具体的には、Comp209は、PD206によって送られた分散補償器202から出力された光信号のパワーと、Ref208によって記憶されている閾値とを比較する。
また、図17に示すように、Comp209は、比較した結果、閾値よりも出力光のパワーが大きい場合には「1」と判定し、当該閾値よりも出力光のパワーが大きくならない場合には「0」と判定する。なお、図17は、実施例1におけるComp209により出力される「1」「0」信号を説明するための図である。
図17に示す例では、Comp209は、分散補償器202から出力された光信号を示す「Vmon」よりも閾値を示す「Vref」が大きい場合には、つまり、ASE光のみが含まれている場合には、「0」をControl210に送る。また、例えば、Comp209は、「Vmon」よりも「Vref」が大きくない場合には、つまり、信号光が含まれている場合には、「1」をControl210に送る。
Control210は、Comp209と分散補償器202とPreAmp「2」203とNB−MOD204と接続され、Comp209による比較結果に基づいて、分散補償器202やPreAmp「2」203やNB−MOD204を制御する。
具体的には、光信号に信号光が含まれる場合には、例えば、Comp209から「1」を受信した場合には、Control210は、分散値に関する設定をNB−MOD204から受信する。そして、図5の「Dispersion Cont」に示すように、Control210は、分散値に関する設定を分散補償器202に送る。つまり、光受信器200では、PreAmp「1」201や分散補償器202やPreAmp「2」203やNB−MOD204が、受信した光信号に含まれる信号光からデータを識別する。
また、具体的には、受信した光がASE光のみの場合には、例えば、Comp209から「0」を受信した場合には、Control210は、PreAmp「2」203や分散補償器202を停止させる。
[光信号のパワー差]
次に、図6と、図18〜図20とを用いて、判定処理制御部205にて検知する光信号のパワーの差についてさらに説明する。すなわち、分散補償器202から出力された段階において、ASE光のみを含む光信号と、ASE光と信号光とを含む光信号とでは、パワーの差が生じる点についてさらに説明する。
ここで、図18に示すような条件を用いて具体的に説明する。図18は、光信号のパワー差を説明するために用いる各部の仕様について説明するための図である。具体的には、PreAmp「1」201と、De−Multiplexer102(図18中では、「DMUX」と記載)と、分散補償器202(図18中では、「VIPA」と記載した)それぞれに関する仕様を示した。
例えば、PreAmp「1」201については、信号光のパワーと当該信号光の周波数に対応するASE光のパワーとの差を示す「OSNR(Optical Signal To Noise Ratio)」が、「20dB」であることを示す。また、PreAmp「1」201については、PreAmp「1」201が受信する光信号(Pin)とPreAmp「1」201が出力する光信号(Pout)との関係を示す「利得(G)」が、(Pin)×「17.5」=(Pout)となることを示す。
また、例えば、De−Multiplexer102については、チャンネルごとの帯域が「0.7nm」であり、他のチャンネルから漏れ込む光のパワーと現チャンネルの光信号のパワーの差を示す「クロストーク」が「25dB」であることを示す。なお、クロストークについて補足すると、クロストーク「25dB」は、現チャンネルの光信号のパワーに比較して、他のチャンネルから漏れ込む光のパワーが「25dB」抑圧されることを示す。
また、例えば、分散補償器202については、帯域が「0.325nm」であり、所定の周波数と周波数との間を示すフィルタ間隔が「0.8nm」であることを示す。
ここで、図19に示すように、PreAmp「1」201が、信号光とASE光とを含む光信号やASE光のみを含む光信号を出力したとして説明する。なお、図19は、光信号のパワー差を説明するために用いるPreAmp「1」から出力される光信号を説明するための図である。図19に示すように、信号光が含まれる場合であっても、ASE光のみを含む場合であっても、PreAmp「1」201は、所定のパワーを示す光信号を出力する。例えば、図19に示す例では、PreAmp「1」201は、「6.4dB」のパワーを示す光信号を出力する。
ここで、分散補償器202が備えるフィルタ特性を簡易的なフィルタ(図15参照)とし、分散補償器202が出力する光信号のパワーを算出する。ここで、分散補償器202から出力される出力光全体のパワーを「P」とし、フィルタ間隔を「αnm」、透過帯域を「βnm」とすると、
(P)=β/α
となる。なお、ここでは、パワーの差を算出することを目的とするため、フィルタにおける挿入損失は無視する。
ここで、図20に示すように、分散補償器202は、ASE光のみを含む光信号を受信した場合には、「2.83dBm」のパワーを示す出力光を出力する。また、分散補償器202は、信号光を含む光信号を受信した場合には、「5.51dBm」のパワーを示す出力光を出力する。すなわち、ASE光のみを含む光信号を受信する場合と、信号光を含む光信号を受信する場合とにおいて、パワーの差がΔ2.7dB発生することがわかる。なお、図20は、光信号のパワー差を説明するために用いる分散補償器から出力される光信号を説明するための図である。
[光送受信器による処理]
次に、図21を用いて、光送受信器200による処理を説明する。図21は、実施例1に係る光送受信器による処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図21に示すように、光送受信器200は、入力光があると(ステップS101肯定)、つまり、光信号を受信すると、PreAmp「1」201が、所定のパワーを示す光信号を出力する(ステップS102)。つまり、PreAmp「1」201は、光送受信器200が受信した光信号のパワーを所定のパワーに増幅し、分散補償器202に送る。
そして、分散補償器202は、PreAmp「1」201によって出力された所定のパワーを示す光信号をフィルタリングする(ステップS103)。つまり、分散補償器202は、信号光を含む光信号のパワーを減衰する割合が信号光を含まない光信号のパワーを減衰する割合よりも低くなるフィルタ特性を用いて、受信した光信号をフィルタリングし、出力光を出力する。
そして、判定処理制御部205では、Comp209が、分散補償器202によって出力された出力光のパワーと閾値とを比較する(ステップS104)。ここで、Comp209は、閾値より大きいと判定する場合には(ステップS104肯定)、信号光を含むと判定する(ステップS105)。そして、Control210は、データを識別する処理を行うよう制御する(ステップS106)。つまり、Control210は、分散値に関する設定を分散補償器202に送り、分散補償器202やNB−MOD204が、受信した光信号からデータを識別する。
一方、判定処理制御部205では、Comp209は、閾値より小さいと判定する場合には(ステップS104否定)、ASE光のみを含むと判定する(ステップS107)。そして、Control210は、停止処理を行う(ステップS108)。つまり、Control210は、PreAmp「2」203とNB−MOD204とを停止する処理を行う。
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、光送受信器200では、分散補償器202が、所定のパワーを示す光信号を受信してフィルタリングし、出力光を出力する。そして、判定処理制御部205は、分散補償器202によって出力された出力光のパワーと閾値とを比較する。ここで、判定処理制御部205は、当該閾値よりも出力光のパワーが大きい場合には光信号に信号光が含まれると判定し、当該閾値よりも出力光のパワーが大きくない場合には、光信号に信号光が含まれないと判定する。この結果、光送受信器200は、光信号に信号光が含まれるかを適切に判定することが可能である。
具体的には、光信号からデータを再生する再生処理やデータを識別する識別処理を行い、信号が再生識別できた場合に信号光が含まれると判定する処理を実行することなく、光送受信器200は、信号光の有無を適切に判定することが可能である。
その結果、光送受信器200では、例えば、(1)分散補償器に稼動部品がある場合は、寿命を延ばすことが可能であり、(2)消費電力を抑えることが可能であり、さらに、(3)サージを防止することが可能である。
(1)分散補償器の寿命を延ばす点について説明すると、例えば、分散補償器202がVIPAである場合には、VIPA内にある3次元自由曲面ミラーの移動距離には上限がある。すなわち、光送受信器200では、3次元自由曲面ミラーを常に動作させてデータ識別再生処理を行う手法とは異なり、出力光のパワーの差にて信号光が含まれているかを判定することが可能である。この結果、光送受信器200は、VIPA内の3次元自由曲面ミラーの動作距離を抑えることができ、VIPAの寿命を延ばすことが可能である。
また、(2)消費電力を抑える点について説明すると、例えば、データ識別再生処理を常に行う手法とは異なり、光送受信器200は、分散補償器202から出力される出力光全体のパワーの差を用いて判定することができる。この結果、信号光が含まれていない場合には、分散補償器のヒータやPreAmp「2」203の励起やNB−MOD204を停止することができ、消費電力を抑えることが可能である。
また、(3)サージを防止する点について説明すると、例えば、PreAmp「2」203は、光信号の有無を監視しており、光入力が無い場合には、サージ防止や部品保護、消費電流の低減を目的として、内蔵している励起LD(Pump LD)の出力を遮断する、また、PreAmp「2」203は、光入力が復帰した場合には、励起LDを動作させ、所定の光出力レベルまで光増幅を行う。
ここで、従来のPreAmp「2」は、ASE光と信号光との区別ができないため、励起LDのOFF制御ができず、ASE光のみを含む光信号である場合にも、光増幅を行っていた。ここで、ASE光のみを含む光信号から、信号光を含む光信号へと変化し、PreAmp「2」が受信する光信号のパワーが大きく変動すると、PreAmp「2」からサージが出力される場合がある。この結果、サージのレベルによっては、NB−MODを破損することがあった。
しかし、実施例1における光送受信器200によれば、ASE光のみを含む光信号であると判定すると、PreAmp「2」203やNB−MOD204を停止することが可能であり、信号光が含まれる光信号になった場合に起こりうるサージを回避することが可能である。
さて、これまで、実施例1として、図5に示すように、光送受信器200が、PreAmp「2」203を備え、PD206がPreAmp「2」203内部にあるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。このため、実施例2では、図22〜図24を用いて、光送受信器200について、図5とは異なる構成例を説明する。なお、以下では、実施例1に係る光送受信器200と同様の点については説明を省略する。
図22に示すように、実施例1に係る光送受信器200では、PreAmp「2」203内にある光入力モニタ用PDを用いて、分散補償器202から出力された出力光のパワーを検出していたが、PreAmp「2」203を備えない光送受信器200では、例えば、Tap−PD301を用いてもよい。なお、図22は、Tap−PDを用いる場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
具体的には、Tap−PD301とは、分散補償器202とNB−MOD204とに接続され、分散補償器202によって出力された出力光を受信し、受信した光信号をNB−MOD204に送る。また、Tap−PD301は、分散補償器202が出力した光信号を受信した際に、光信号全体のパワーを検出し、ユニットコントロール207に送る。この結果、光送受信器は、PreAmp「2」203内部にあるPD206を用いることなく、分散補償器202によって出力された出力光のパワーを検出することが可能である。
また、図23に示すように、実施例1に係る光送受信器200では、PreAmp「2」203内にある光入力モニタ用PDを用いて、分散補償器202から出力された光信号のパワーを検出していたが、PreAmp「2」203を備えない光送受信器200では、例えば、NB−MOD204内にあるモニタ用のPDを用いてもよい。なお、図23は、NB−MOD204内にあるモニタ用のPDを用いる場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
すなわち、図23に示す例では、NB−MOD204は、分散補償器202から出力された光信号を受信すると、NB−MOD204内にあるモニタ用のPDが光信号のパワーを検出し、ユニットコントロール207に送る。この結果、光送受信器200は、PreAmp「2」203内部にあるPD206を用いることなく、また、新たにPD部を搭載することなく、分散補償器202から出力された光信号のパワーを検出することが可能である。
また、図24に示すように、実施例1に係る光送受信器200では、光信号にASE光のみが含まれると判定された場合に、Control210が、PreAmp「2」203そのものを停止させる場合について説明した。ここで、Control210は、PreAmp「2」203内部にある励起LD308を止めるように制御してもよい。なお、図24は、励起LD308を止める場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
すなわち、図24に示すように、Control210は、PreAmp「2」203内部にある励起LD308と接続される。また、Control210は、光信号にASE光のみが含まれると判定された場合に、PreAmp「2」203内部にある励起LD308を止めるように制御する。この結果、光送受信器200は、消費電流を削減し、信号光が含まれる光信号を受信した際にサージが起こることを防止することが可能である。また、光送受信器200は、励起LD308とNB−MOD204とを停止し、PreAmp「2」203自体には電源を供給することで、例えば、PreAmp「2」203内部にあるPD等を用いて出力光のパワーを検知することが可能である。
さて、これまで、実施例1として、判定処理制御部205が、分散補償器202が用いるフィルタ特性を制御することなく、分散補償器202から出力される出力光のパワーと閾値とを用いる手法について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、分散補償器202が用いるフィルタ特性を制御することで生じる出力光のパワーの差を用いて、信号光の有無を判定してもよい。
すなわち、分散補償器202は、所定の周波数における光信号のパワーを減衰する割合が他の周波数における光信号のパワーを減衰する割合と比較して低くなるフィルタ特性を用いてフィルタリングする。通常であれば、所定の周波数とは、信号光に対応する信号光周波数となっており、フィルタ特性は、所定の周波数における光信号のパワーを減衰する割合が他の周波数における光信号のパワーを減衰する割合と比較して低い割合を示す。
ここで、フィルタ特性を制御し、所定の周波数が、当該信号光周波数とは異なる周波数となるように変化させると、信号光が含まれる光信号である場合には、信号光を減衰する割合が変化させる前と比較して高くなり、出力光のパワーは小さな値へと大きく変化する。一方、ASE光のみを含む場合には、出力光のパワーはあまり変化しない。
そこで、以下では、図25〜図29を用いて、実施例3として、分散補償器202が用いるフィルタ特性を制御することで生じる出力光のパワーの差を用いる手法について説明する。なお、以下では、実施例1に係る光送受信器と同様の点については、説明を省略する。
図25に示すように、実施例3に係る光送受信器200は、実施例1に係る光送受信器200とほぼ同様の構成を備える。なお、図25は、実施例3に係る光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。なお、Control210は、実施例1に記載したComp209とRef208とを備えるものとして説明する。
ここで、分散補償器202は、Control210と接続され、Control210によってフィルタ特性が制御される。ここで、分散補償器202がVIPAである場合を例に説明する。通常、VIPAは、導波路をヒータやペルチェを用いて一定の温度になるような温度制御が働いている。また、VIPAでは、VIPA板(ガラス)の温度制御により中心波長を合わせており、VIPA板の温度を意図的に変化させることで、所定の周波数を変化させることが可能となる。すなわち、図25の「Temp Cont」に示すように、Control210は、分散補償器202に温度を制御する情報を送ることで温度を制御し、分散補償器202が用いるフィルタ特性の所定の周波数を変化させる。なお、以下では、所定の周波数のことを、中心波長(透過波長)と記載する。
ここで、図26と図27とを用いて、中心波長が変化した場合における出力光のパワーの違いについて説明する。なお、図26は、中心波長が変化した場合におけるASE光のみを含む出力光のパワーを説明するための図である。図27は、中心波長が変化した場合における信号光を含む出力光のパワーを説明するための図である。
図26の(1)に示すように、ASE光のみが含まれる場合には、信号光がなく、広帯域にて同等のパワーを示す波長特性となる。この結果、図26の(2)に示すように、分散補償器202は、中心波長をずらしたとしても、中心波長をずらす前に出力される光信号のパワーと比較してあまりパワーが変化しない光信号を出力する。
これに対して、信号光が含まれる場合には、光信号に占める信号光の割合が大きく、分散補償器202から出力される出力光に占める信号光の割合もまた大きくなる。ここで、図27の(1)に示すように、中心波長をずらすことにより、中心波長と信号光とがずれると、信号光に対応するパワーが大きく減衰することになる。この結果、図27の(2)に示すように、分散補償器202は、中心波長をずらす前に出力される光信号パワーと比較して大きく変化した光信号を出力し、具体的には、光信号のパワーが小さな値へと大きく変化する。なお、大きく変化するとは、具体的には、ASE光のみを含む光信号である場合に変化する光信号のパワーの量と比較して、大きな変化であることを示す。
具体的な例をあげて説明する。例えば、PreAmp「1」201から受信した光信号に、20%の信号光が含まれるとして説明する。また、分散補償器202は、光を10%〜80%の幅で減衰し、例えば、信号光に対応する周波数にて10%のパワーを減衰し、ASE光全体では40%のパワーを減衰するものとして説明する。また、Control210が、中心波長をずらすことにより、信号光に対応する周波数にて80%のパワーが減衰されるようになったとして説明する。すなわち、図27の(1)に示すように、信号光に対応する周波数にて、分散補償器202がもっとも大きな割合でパワーを減衰するように、Control210が中心波長をずらしたものとして説明する。
例えば、分散補償器202は、PreAmp「1」201から受信した光信号にASE光のみが含まれる場合には、フィルタリングにより光信号全体の40%のパワーを減衰し、受信した時点のパワーに対して60%のパワーを示す出力光を出力する。一方、分散補償器202は、PreAmp「1」201から受信した光信号に信号光が含まれる場合には、20%の信号光について80%のパワーを減衰し、また、80%のASE光について40%のパワーを減衰する。そして、分散補償器202は、受信した時点のパワーに対して52%(0.2×80%+0.8×60%)のパワーを示す出力光を出力する。
ここで、図25の説明に戻ると、PD206は、分散補償器202から出力光が出力されると、出力光のパワーをControl210に送る。
Control210は、中心波長が信号光に対応する信号光周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた第一の出力光が分散補償器202から出力されるように、フィルタ特性を制御する。また、Control210は、中心波長が当該信号光周波数とは異なる周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた第二の出力光が分散補償器202から出力されるように、フィルタ特性を制御する。ここで、Control210は、第一の出力光と第二の出力光とが交互に出力されるように、分散補償器202のフィルタ特性を制御する。
例えば、Control210は、PD206から第一の出力光のパワーを受信すると、分散補償器202が備えるVIPA板の温度を制御することで中心波長を変化させ、変化させた後にPD206から受信した出力光のパワーを第二の出力光のパワーとする。
また、Control210は、分散補償器202によって交互に出力された第一の出力光のパワーと第二の出力光のパワーとの差を算出し、算出した差と閾値とを比較する。ここで、Control210は、当該閾値よりも出力光のパワーの差が大きい場合には光信号に信号光が含まれると判定し、当該閾値よりも出力光のパワーの差が大きくない場合には光信号に信号光が含まれないと判定する。なお、実施例3における閾値とは、例えば、ASE光のみを含む光信号について、第一の出力光のパワーと第二の出力光のパワーとのパワー差を算出し、当該パワー差を用いる。
すなわち、図28に示すように、Control210は、中心波長が信号光に対応する場合のパワー(図28の「変化なし」に対応)を基準として、中心波長を変化させた場合(図28の「変化あり」に対応)のパワーを比較する。ここで、Control210は、パワーが同レベルであれば、ASE光のみを含む光信号であると判定する。また、Control210は、光信号のパワーが小さなパワーへと大きく変化するのであれば、信号光を含む光信号であると判定する。なお、図28は、中心波長の変化の有無と出力光のパワーの違いを説明するための図である。
[実施例3に係る光送受信器による処理]
次に、図29を用いて、実施例3に係る光送受信器200による処理を説明する。図29は、実施例3に係る光送受信器による処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
図29に示すように、実施例3に係る光送受信器では、入力光があり(ステップS201肯定)、所定のパワーを示す光信号が出力されると(ステップS202)、分散補償器202がフィルタリングする(ステップS203)。ここで、Control210は、第一の出力光のパワーをPD206から受信する(ステップS204)。
そして、Control210は、中心波長をずらす(ステップS205)。つまり、Control210は、中心波長が信号光に対応する周波数とは異なる周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた第二の出力光とが分散補償器202によって出力されるように、分散補償器202のフィルタ特性を制御する。
その後、分散補償器202によってフィルタリングが行われ(ステップS206)、Control210は、第二の出力光のパワーをPD206から受信する(ステップS207)。
そして、Control210は、パワーの差を算出する(ステップS208)。つまり、Control210は、第一の出力光のパワーと第二の出力光のパワーとの差を算出する。そして、Control210は、差が大きいかを判定し(ステップS209)パワーの差が閾値よりも大きい場合には(ステップS209肯定)、信号光が含まれると判定して処理を行う(ステップS210、S211)。また、Control210は、パワーの差が閾値よりも大きくない場合には(ステップS209否定)、信号光が含まれないと判定して処理を行う(ステップS212、S213)。
なお、図29のステップ201は、図21のステップS101に対応する。図29のステップS202は、図21のステップS102に対応する。図29のステップS203とS206とは、図21のステップS103に対応する。図29のステップS210とS211とは、図21のステップS105とS106とに対応する。図29のステップS212とS213とは、図21のステップS107とS108とに対応する。
[実施例3の効果]
上記したように、実施例3によれば、光送受信器200は、中心波長をずらすことにより、光信号に信号光が含まれるかを適切に判定することが可能である。具体的には、光信号からデータを再生する再生処理や、データを識別する識別処理を行うことなく、光送受信器200は、信号光の有無を判定することが可能である。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、その他の実施例にて実施してもよい。そこで、以下では、その他の実施例について説明する。
[運用チャンネルモニタ]
例えば、図30に示すように、光送受信器200は、運用チャンネルモニタとして用いてもよい。なお、図30は、運用チャンネルモニタとして用いる光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。なお、運用チャンネルとは、信号光が含まれるチャンネルを示す。運用チャンネルモニタとは、運用チャンネルに関する情報を出力する装置を示す。
図30に示すように、光送受信器200は、ChannelMonitor302をさらに備える。ここで、Control210は、ChannelMonitor302と接続され、運用チャンネルに関する情報をComp209から受信すると、受信した情報をChannelMonitor302に送る。すなわち、Control210は、光信号にASE光のみが含まれるか、信号光が含まれるかをChannelMonitor302に送る。
ここで、従来の手法では、例えば、図31に示すように、De−Multiplexer102から光信号が出力されるチャンネルごとにモニタを設置し、また、スペクトルアナライザを新たに設けていた(図31では「TPD1」〜「TPDn」と記載)。そして、スペクトルアナライザがモニタ各々を用いて運用中か否かを判別し、運用チャンネルに関する情報を図31に示すContに出力し、例えば、Contが送信側の光伝送装置に当該情報を送っていた。なお、図31は、運用チャンネルモニタとして用いる従来の光伝送装置を説明するための図である。
これに対して図30に示す光送受信器200は、ASE光のみを含むと判定される場合には、光送受信器200に信号光が入力されておらず、運用中ではないと判定する。また、光送受信器200は、信号光を含む光であると判定される場合には、光送受信器200に信号光が入力されており、運用中と判定する。すなわち、ChannelMonitor302が、Control210から受信した情報を送信側となる光伝送装置に送る。この結果、光送受信器200は、運用チャンネルに関する情報を出力する上で、チャンネルごとにモニタを設け、また、スペクトルアナライザを設けることを不要にすることが可能である。
また、ChannelMonitor302は、信号光が含まれ、運用中であると判定する場合には、運用チャンネルに関する情報として、さらに、当該チャンネルに関する波長情報を表示してもよい。すなわち、チャンネル各々には、入力する光信号の波長が設定されており、当該波長を表示してもよい。
また、ChannelMonitor302は、チャンネル数の異常を検知してもよい。具体的には、ChannelMonitor302は、他の光伝送装置との間にて送受信される監視制御信号光により通知された運用中となるチャンネル数と、自装置において実際に運用している運用チャンネルの数とを比較し、一致していない場合には、波長数異常として検知してもよい。
[SN劣化防止]
また、例えば、スペクトルホールバーニングの発生を抑える際に、光送受信器200のControl210が、波長(あるいは周波数)の偏りが発生したことを検出し、光送受信器200が備える光アンプや利得等価器を制御することで、当該偏りを補正してもよい。つまり、波長特性を平坦にしてもよい。
すなわち、信号光が含まれると判定された場合に、当該信号光について、所定の波長からの偏りを検知し、検知した偏りを修正してもよい。
WDM装置内にある光アンプを使用した場合に、多重化された光信号の内一部の波長が短波長側又は長波長側に偏ることがあり、この結果、物理現象であるスペクトルホールバーニング(SHB、Spectral-hole Burning)が発生する。ここで、スペクトルホールバーニングが発生すると、波長特性にチルトが発生し、SN比が劣化する。また、発生したチルトは、WDM装置間で光伝送が行われるごとに累積する。すなわち、スペクトルホールバーニングによる利得偏差が発生しないように対策を行うことが重要となる。ここで、従来の手法では、スペクトルアナライザやチャンネルごとにモニタを設け、信号光の偏りを検出し、波長特性を平坦にしていた。
このような従来の手法に対して、図32に示す例では、Control210は、ChannelMonitor302を介してWDMPreAmp101と接続される。なお、図32は、WDMPreAmpを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
Control210は、Comp209によって信号光が含まれていると判定されると、信号光の波長が所定の周波数から偏っているかを検知する。ここで、Control210は、偏っていると検知すると、偏っている周波数に関する情報をChannelMonitor302に送る。
そして、ChannelMonitor302は、各チャンネルに対応するControl210各々から、偏っている周波数に関する情報を受信し、当該情報をWDMPreAmp101に送る。そして、WDMPreAmp101は、偏っている周波数に関する情報を用いて波長特性を平坦にする。
また、図33に示す例では、De−Multiplexer102と光送受信器200との間にVOA303を備え、また、ChannelMonitor302は、各チャンネルに対応する光送受信器200と各VOA303と接続する。なお、図33は、VOAを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
ChannelMonitor302は、Control210から、偏っている周波数に関する情報を受信し、波長特性を平坦にすべきチャンネルに対応するVOA303に対して、偏っている周波数に関する情報を送る。そして、VOA303は、偏っている周波数に関する情報を用いて波長特性を平坦にする。
また、図34に示す例では、WDMPreAmp101とDe−Multiplexerとの間にVGEQ(Variable Gain Equalizer)304をさらに備え、ChannelMonitor302は、各チャンネルに対応する光送受信器200とVGEQ304と接続する。なお、図34は、VGEQを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
ここで、ChannelMonitor302は、Control210から、偏っている周波数に関する情報を受信し、当該情報をVGEQ304に送る。そして、VGEQ304は、偏っている周波数に関する情報を用いて波長特性を平坦にする。すなわち、ChannelMonitor302は、VGEQ304がチルトを抑圧する方向に動作するよう制御する。
なお、図34では、VGEQ304は、WDMPreAmp101とDe−Multiplexer102との間に接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、WDMPreAmp101の入力側に接続してもよい。
また、図35に示すように、WDM装置100は、ChannelMonitor302と接続されるRamanPump305をさらに備える。なお、図35は、ラマン励起光を用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
ここで、ChannelMonitor302は、偏っている周波数に関する情報をRamanPump305に送り、RamanPump305は、WDMPreAmp101に入力される前の段階において(図35では、「WDM」と記載)光信号にラマンによる励起光を照射することで、波長特性を平坦にする。
RamanPump305が照射する励起光による効果は、長波長側に少数波長の信号が偏った場合はラマン効果を受けにくくなることを利用し、利得を補償して波長特性を平坦にすることが可能である。すなわち、ChannelMonitor302は、RamanPump305からの励起光のパワーを可変するよう制御することで、RamanPump305がチルトを抑圧する方向に動作するよう制御する。
なお、ChannelMonitor302は、偏っている周波数に関する情報を送信側の光伝送装置に送り、送信側にて補償を行ってもよい。
[WDM装置と光送受信器との間の接続異常検出]
また、例えば、図36に示すように、WDM装置と光送受信器間の接続異常を検出してもよい。図36に示す例では、WDM装置100は、De−Multiplexer102からチャンネルごとに出力される光信号各々をモニタするChannelMonitor306をさらに備える。なお、図36は、WDM装置と光送受信器との間の接続異常を検出する光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
図36に示す例では、ChannelMonitor306は、De−Multiplexer102と光送受信器200との間に設けられたTap−PD301各々と接続され、また、ALMCONT307と接続される。ここで、ChannelMonitor306は、運用中となるチャンネルについての情報を各チャンネルに対応するTap−PD301各々から受信し、ALMCONT307に送る。
また、ChannelMonitor302は、運用中となるチャンネルについての情報を各チャンネルに対応するControl210各々から受信し、ALMCONT307に送る。
ここで、ALMCONT307は、ChannelMonitor302とChannelMonitor306と接続し、ChannelMonitor302とChannelMonitor306とから受信した情報が異なるかを判定する。すなわち、ALMCONT307は、WDM装置100から出力される段階において運用中となるチャンネルの数と、光送受信器200にて運用中となるチャンネルの数とが異なるかを判定する。ここで、ALMCONT307は、異なると判定した場合には、例えば、WDM装置100と光送受信器200との接続に異常があることになり、利用者に警報を発出することで、利用者に異常を報知する。
[S/ASE比モニタ]
また、例えば、S/ASE比を算出し、S/ASE比を用いて装置の状態を監視してもよい。
まず、Control210は、中心波長を制御することで、信号光に対応するパワーに対するASE光に対応するパワーの比(S/ASE比)を算出することが可能である。
具体的には、Control210は、信号光が含まれる光信号が光送受信器200に入力される場合に、中心波長が信号光に対応する光信号が分散補償器202に入力された際に出力される光信号のパワー<Pout>を算出する。また、Control210は、分散補償器202の中心波長をずらすことにより信号光が減衰されて出力されないように設定し、分散補償器202からASE光のみが出力された際の光信号のパワー<Pase>を算出する。
ここで、光信号には信号光とASE光とが含まれており、光信号のパワーには、信号光に対応するパワー<Psig>とASE光に対応するパワー<Pase>とが含まれる。そして、信号光に対応するパワーは、光信号のパワーからASE光に対応するパワーを除いた値となる。この結果、S/ASE比は、光信号のパワーからASE光に対応するパワーを除いた値を、ASE光に対応するパワーで除算した値となる。すなわち、以下の式で表される。
<Psig>+<Pase>=<Pout> ⇒ <Psig>=<Pout>−<Pase>
S/ASE比=<Pout>−<Psig> / <Pase>
ここで、例えば、Control210は、S/ASE比を常に算出して値の変動を監視することで、当該値に大きな変動があった場合には、分散補償器202やPreAmp「1」201に異常がある可能性がある旨を利用者に報知することが可能である。
また、S/ASE比を常に算出して値の変動を監視することで、S/ASE比が小さい値になった場合に(劣化した場合に)、値が大きくなるように制御してもよい。すなわち、Control210は、信号光/ASE比を定期的に出力し、定期的に出力する信号光/ASE比が小さい値へと変化するかを監視する。ここで、Control210によって小さい値へと変化するとの監視結果を得ると、PreAmp「1」201が、利得を制御することで、当該信号光/ASE比を大きくするよう処理をおこなってもよい。また、例えば、WDM装置100が個々のチャンネルのパワーを可変にできる構成を備える場合には、Control210が、監視結果をWDM装置100に伝えることで、WDM装置100にて、信号光/ASE比を大きくしてもよい。なお、WDM装置100が個々のチャンネルのパワーを可変にできる構成とは、例えば、De−Multiplexer102とPreAmp「1」201との間にVOA303を備える構成が該当する。この結果、例えば、S/ASE比を良好な値に維持することが可能である。
[分散補償器挿入損失モニタ]
また、例えば、S/ASE比としてではなく、分散補償器202によるパワーの損失をモニタしてもよい。すなわち、分散補償器202による挿入損失<TDC_loss>は、分散補償器によりフィルタリングされた光信号となる。ここで、PreAmp「1」201から出力される光信号のパワーを<Pao>とすると、<Pao>と<Pout>とにより、分散補償器202による挿入損失<TDC_loss>を算出することが可能である。
つまり、PreAmp「1」201から出力される光信号のパワーは、分散補償器202による挿入損失と、分散補償器202から出力された出力光のパワーとを合計したパワーとなる。この結果、分散補償器202による挿入損失は、PreAmp「1」201から出力される光信号のパワーから、分散補償器202から出力された出力光のパワーを減算したパワーとなる。
<Pao>=<Pout>+<TDC_loss> ⇒ <TDC_loss>=<Pao>−<Pout>
例えば、図37に示すように、PreAmp「1」201の内部とPreAmp「2」203の内部とに光信号のパワーをモニタするPD部206を新たに設け、当該PD部206とControl210とを接続する。なお、図37は、分散補償器挿入損失をモニタする光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
ここで、Control210は、PreAmp「1」201の内部とPreAmp「2」203の内部とに設けられたPD部206各々から光信号のパワーを受信することで、分散補償器202による挿入損失を算出することが可能である。
[PD]
また、例えば、実施例1では、PD206は、PreAmp「2」203内にある光入力モニタ用PDとして説明し、また、実施例2では、Tap−PD301として用いる場合などについて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、分散補償器202からPreAmp「2」203へと送られる光回線をカプラにより分岐し、分岐先にPIN―PDを新たに設けることで、PD206を実現してもよい。
[信号断送信]
また、例えば、入力光に信号光が含まれないと判定されると、光伝送装置は、出力光の出力先となる他の光伝送装置へと、信号光が含まれないと判定された旨の情報を送信してもよい。すなわち、光伝送装置は、異常を検知した光信号の送信先となる下流に位置する光伝送装置に対して、異常を検知した旨の情報を送っても良い。
例えば、光伝送装置は、光伝送装置間において用いられている監視制御信号光を用いて、信号光が含まれないと判定された旨の情報を他の光伝送装置に送信してもよい。具体的な一例をあげて説明すると、光伝送装置は、運用中となるチャンネル数と、信号光が含まれないと判定された光信号のチャンネルを識別する情報とを併せて、監視制御信号光を用いて他の光伝送装置に送信してもよい。
この結果、光伝送装置にて異常が検知されたかを認識することができ、利用者が早急に障害の復旧を行うことが可能である。
[システム構成]
また、上記した実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。例えば、出力光のパワーと閾値とを比較する処理を手動で行ってもよい。
また、この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる(例えば、図1〜図37)。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図5に示す例では、WDM装置100と光送受信器200とを統合して一つの装置としてもよい。
以上の実施例1〜4を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)所定のパワーを示す入力光を受け付け、所定の周波数における光信号のパワーを減衰する割合が他の周波数における光信号のパワーを減衰する割合と比較して低くなるフィルタ特性を用いてフィルタリングし、出力光を出力するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によって出力された前記出力光のパワーに関する値と閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする光受信器。
(付記2)前記フィルタリング手段は、所定のパワーを示す入力光を受け付け、信号光を含む入力光のパワーを減衰する割合が信号光を含まない入力光のパワーを減衰する割合よりも低くなるフィルタ特性を用いて受け付けた入力光をフィルタリングし、出力光を出力し、
前記判定手段は、前記フィルタリング手段によって出力された前記出力光のパワーと閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定することを特徴とする付記1に記載の光受信器。
(付記3)前記所定の周波数が信号光に対応する信号光周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた第一の出力光と、前記所定の周波数が当該信号光周波数とは異なる周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた第二の出力光とがフィルタリング手段によって交互に出力されるように、当該フィルタリング手段のフィルタ特性を制御する制御手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記制御手段によって制御されることで前記フィルタリング手段によって交互に出力された前記第一の出力光のパワーと前記第二の出力光のパワーとのパワー差と閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定することを特徴とする付記1に記載の光受信器。
(付記4)前記入力光とは、信号光とASE光とを含み、または、ASE光のみを含むものであって、
前記判定手段によって信号光が含まれていると判定されると、前記所定の周波数が信号光に対応する信号光周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされた信号光を含む出力光と、前記所定の周波数が当該信号光周波数とは異なる周波数となるフィルタ特性を用いてフィルタリングされたASE光のみを含む出力光とがフィルタリング手段によって交互に出力されるように、当該フィルタリング手段のフィルタ特性を制御する入力光有時制御手段と、
前記入力光有時制御手段によって制御されることで前記フィルタリング手段によって交互に出力された信号光を含む出力光のパワーをASE光のみを含む出力光のパワーで除算して得られる信号光/ASE比を出力する出力手段と
をさらに備えることを特徴とする付記3に記載の光受信器。
(付記5)前記出力手段は、前記信号光/ASE比を定期的に出力し、
前記出力手段によって定期的に出力される信号光/ASE比が小さい値へと変化するかを監視する信号光/ASE比監視手段と、
信号光/ASE比監視手段によって小さい値へと変化するとの監視結果が得られると、当該信号光/ASE比を大きくする信号光/ASE比制御手段をさらに備えることを特徴とする付記4に記載の光受信器。
(付記6)前記閾値として、前記入力光にASE光のみが含まれる場合に前記フィルタリング手段によって出力される出力光のパワーを示す値を用いることを特徴とする付記2に記載の光受信器。
(付記7)前記判定手段によって入力光に信号光が含まれないと判定されると、前記フィルタリング手段より後段にある装置を停止する停止手段をさらに備えることを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の光受信器。
(付記8)前記フィルタリング手段が受け付ける入力光のパワーを前記フィルタリング手段によって出力される出力光のパワーにて除算した値を出力する出力手段をさらにそなえることを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の光受信器。
(付記9)前記判定手段によって信号光が含まれると判定された場合に、当該信号光について、所定の波長からの偏りを検知する偏り検知手段と、
前記偏り検知手段によって検知された偏りを修正する修正手段と、
をさらに備えることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の光受信器。
(付記10)前記判定手段によって入力光に信号光が含まれないと判定されると、前記出力光の出力先となる光伝送装置へと前記判定手段によって信号光が含まれないと判定された旨の情報を送信する信号光情報送信手段をさらに備えることを特徴とする付記1〜9のいずれか一つに記載の光受信器。
(付記11)所定のパワーを示す入力光を受け付け、所定の周波数における光信号のパワーを減衰する割合が他の周波数における光信号のパワーを減衰する割合と比較して低くなるフィルタ特性を用いてフィルタリングし、出力光を出力するフィルタリングステップと、
前記フィルタリングステップによって出力された前記出力光のパワーに関する値と閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定する判定ステップと、
を含んだことを特徴とする光受信方法。
(付記12)所定のパワーを示す入力光を受け付け、所定の周波数における光信号のパワーを減衰する割合が他の周波数における光信号のパワーを減衰する割合と比較して低くなるフィルタ特性を用いてフィルタリングし、出力光を出力するフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段によって出力された前記出力光のパワーに関する値と閾値とを比較し、入力光に信号光が含まれるかを判定する判定手段と、
を備える光受信器を有することを特徴とする光伝送装置。
実施例1に係る光送受信器の概要を説明するための図である。
ネットワーク内における光伝送装置を説明するための図である。
TXとRXとを併せて備える光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
REGとして用いられる光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
実施例1に係る光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
実施例1における光信号の状態を説明するために用いる光送受信器とWDM装置の各部の関係を説明するためのブロック図である。
実施例1におけるDe−Multiplexerが受信する光信号を説明するための図である。
実施例1におけるPreAmpによって受信される光信号(ASE光のみ)を説明するための図である。
実施例1におけるPreAmpによって受信される光信号(信号光含む)を説明するための図である。
実施例1におけるPreAmpによって出力される光信号(ASE光のみ)を説明するための図である。
実施例1におけるPreAmpによって出力される光信号(信号光含む)を説明するための図である。
実施例1における分散補償器が備えるフィルタ特性を説明するための図である。
実施例1における分散補償器によるASE光のみを含む光信号をフィルタリングする処理を説明するための図である。
実施例1における分散補償器による信号光を含む光信号をフィルタリングする処理を説明するための図である。
実施例1における分散補償器から出力される出力光全体のパワーを説明するための図である。
実施例1における光信号のパワーの違いを説明するための図である。
実施例1におけるCompにより出力される「1」「0」信号を説明するための図である。
光信号のパワー差を説明するために用いる各部の仕様について説明するための図である。
光信号のパワー差を説明するために用いるPreAmp「1」から出力される光信号を説明するための図である。
光信号のパワー差を説明するために用いる分散補償器から出力される光信号を説明するための図である。
実施例1に係る光送受信器による処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
Tap−PDを用いる場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
NB−MOD204内にあるモニタ用のPDを用いる場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
励起LDを止める場合における光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
実施例3に係る光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
中心波長が変化した場合におけるASE光のみを含む出力光のパワーを説明するための図である。
中心波長が変化した場合における信号光を含む出力光のパワーを説明するための図である。
中心波長の変化の有無と出力光のパワーの違いを説明するための図である。
実施例3に係る光送受信器による処理の流れの一例を説明するためのフローチャートである。
運用チャンネルモニタとして用いる光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
運用チャンネルモニタとして用いる従来の光伝送装置を説明するための図である。
WDMPreAmpを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
VOAを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
VGEQを用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
ラマン励起光を用いてSN劣化防止処理を行う光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
WDM装置と光送受信器との間の接続異常を検出する光伝送装置の構成の一例を示すためのブロック図である。
分散補償器挿入損失をモニタする光送受信器の構成の一例を示すためのブロック図である。
符号の説明
100 WDM装置
101 WDMPreAmp
102 De−Multiplexer
103 Multiplexer
104 WDMPostAmp
200 光送受信器
201 PreAmp「1」
202 分散補償器
203 PreAmp「2」
204 NB−MOD
205 判定処理制御部
206 PD
207 ユニットコントロール
208 Ref
209 Comp
210 Control
250 光送受信器部
301 Tap−PD
302 ChannelMonitor
303 VOA
304 VGEQ
305 RamanPump
306 ChannelMonitor
307 ALMCONT
308 励起LD