JP4675227B2 - 凸部の頂面に被覆膜を形成する方法 - Google Patents
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なお、本明細書では、マスクも基板の一部と評価し、「凹凸構造を表面に有する基板」という表現には、凹凸構造を有するマスクが基板の表面に形成されている場合や、基板の表面に直接的に凹凸構造が作り込まれている場合のいずれの場合も含む。
即ち、凸部の頂面に被覆膜を形成することは、広義に解釈すると、凹凸構造の情報に被覆膜の有無の情報を加えることと観念することができる。凹凸構造の情報に被覆膜の有無の情報も加えることができれば、後の工程を簡便化させることができるので、凹凸構造の有用性を格段に向上させることができる。
本発明は、凹凸構造を表面に有する基板の凸部の頂面に被覆膜を形成する方法を提供することを目的としている。
「凹凸構造」には、その凸部の側面が鉛直方向に伸びるもの、テーパ状に伸びるもの、あるいはそれ以外の形状を有するものを含む。
第1工程では、被覆膜が、凸部の頂面に接するとともに凹部の上方を伸びた状態で形成される。被覆膜と凹部の底膜の間には、凹部の窪みに応じた空隙が形成されている。次に、第2工程では、基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向ける。この段階で、被覆膜は流動性を有している。このため、基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向けると、被覆膜のうちの凸部とそれに隣合う凸部の間の部分は分断され、被覆膜が凸部の頂面のみを被覆した形態が得られる。
本発明の製造方法によると、凹凸構造の凸部の頂面のみに被覆膜が形成された形態を得ることができる。
被覆膜に熱可塑性樹脂を用いると、第2工程において、加熱処理を実施することによって、被覆膜に対して積極的に流動性を与えることができる。
犠牲膜を利用すると、略扁平状の被覆膜を容易に形成することができる。さらに、犠牲膜を除去することによって、凸部の頂面を架橋する被覆膜を容易に形成することができる。
被覆膜が多孔質であると、その被覆膜の中空空間を介して犠牲膜を容易に除去することができる。
上記の方法によると、被覆膜を多孔質に形成する工程と、犠牲膜を除去する工程を同時に実施することができる。上記の方法によると、製造工程数の増加を抑制することができる。
まず、図1に示すように、半導体層10と、その半導体層10上に形成されている高分子膜20を有する基板30を準備する。基板30は、図示しないステージに載置又は固定されている。高分子膜20には、インプリント法の手法に応じて、紫外線硬化性の高分子材料、熱硬化性の高分子材料又は熱可塑性の高分子材料等が用いられる。
基板30の上方には、鋳型(スタンパ)40が配置されている。鋳型40は、基板30に対向する側の表面に凹凸パターンが形成されている。鋳型40には、インプリント法の手法に応じて、ガラス又は金属等が用いられる。
なお、犠牲層600は、固体のものを用いてもよい。しかしながら、液体の犠牲層600は、応力が生じにくいことや、後の工程で簡便に除去できるので、犠牲膜600には液体のものを用いることが好ましい。また、グリセリンは、室温での蒸発速度が小さいこと、粘度が大きく液膜の変形が生じにくいこと、小分子で比較的除去しやすいことから好ましい。
まず、空気中60℃で10分間加熱処理し、被覆膜500中に残存しているトルエンを除去した。次に、基板300と犠牲膜600と被覆膜500の積層体をエタノール中に浸漬した。浸漬する時間は、30分間、10分間、10分間の計3回実施した。犠牲膜600と被覆膜500のPEG-PPG-PEGブロック共重合体(第2領域)は、エタノールに溶解することができる。被覆膜500のポリスチレン(第1領域)は、エタノールに溶解することができない。したがって、被覆膜50のうちPEG-PPG-PEGブロック共重合体のみをエタノールに溶解させることができる。被覆膜500のPEG-PPG-PEGブロック共重合体(第2領域)がエタノールに溶解すると、被覆膜500には多数の孔が形成され、被覆膜500は多孔質な形状に変化する。これにより、被覆膜500には中空空間が形成される。エタノールに溶解した犠牲膜600は、この中空空間を介して外部に容易に排出される。被覆膜500を多孔質化することによって、犠牲膜600を容易に排出することができる。特に、凸部230が格子状に形成されている平面パターンの場合、凹部250は凸部230によって外部から島状に隔離されているので、エタノールに溶解した犠牲膜600が排出されるための中空空間を被覆膜500に形成することは重要である。また、犠牲膜600の材料と被覆膜500の第2領域の材料が、共通した溶媒に可溶なものを採用すると、被覆膜500を多孔質な形状に形成する工程と、犠牲膜600を除去する工程を同時に実施することができる。
最後に、基板300と被覆膜500の積層を空気中で自然乾燥した。これらの工程を経て、図9に示す形態を得ることができる。被覆膜500の平均の厚さは0.60μmであった。なお、場所による厚さの変動が見られ、厚さの標準偏差は0.09μmであった。
この後に、例えば、凹部250内に半導体層100とは別種の材料を充填することによって、異なる材料が半導体層100の表面に対して水平方向に繰返された層を形成することができる。この場合、真空蒸着法等を利用して、凹部250内に半導体層100とは別種の材料を充填する。具体的には、真空蒸着法を利用して、半導体層100とは別種の材料を基板300上に堆積させる。その後に、リフトオフ加工を利用して、被覆膜500とその上に堆積した前記材料を除去することによって、凹部250内のみに半導体層100とは別種の材料を充填することができる。あるいは、別種材料のコロイド溶液をコーティングすることによって、凹部250内のみに半導体層100とは別種の材料を充填することもできる。この方法は、別種材料のコロイド溶液が被覆膜500に対してぬれ性が悪い場合に有効である。
図11は、図9に示す状態の試料のSEM像である。図11(a)及び(b)は、被覆膜500の斜め45℃からのSEM像である。図11(c)及び(d)は、半導体層100と酸化シリコン膜220と被覆膜500の積層の要部断面のSEM像である。
図11(a)に示すように、基板300の表面が被覆膜500で被覆されていることが分かる。図11(b)に示すように、被覆膜500には直径1μm以下の多数の孔が形成されており、被覆膜500が多孔質に変化したことが分かる。また、光学顕微鏡観察によると、エタノール浸漬処理を実施する前の被覆膜500は、なめらかな表面を有しており、光学的に透明であった。しかし、エタノール浸漬処理を実施した後の被覆膜500には、ミクロンオーダーのはっきりした組織が形成され、光学的に不透明になった。これらの結果は、PEG-PPG-PEGブロック共重合体(第2領域)がエタノールに溶出したことによって、被覆膜500に多数の孔が形成されたことを示している。また、図11(c)、(d)に示すように、被覆膜500が凸部230の頂面224に接するとともに凹部の上方を伸びていることが分かる。
ここで、図12(c)及び図14(c)に示すように、凸部230の表面を被覆した被覆膜500の厚みは、中央部が最も厚くなっている。この形態は、以下の理由によるものと考えられる。図10に示すように、基板300の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向けると、被覆膜500の形態は、被覆膜500と酸化シリコン膜220の間の界面張力、被覆膜500の表面張力、被覆膜500に作用する重力との間の釣り合いよって決まると考えられる。このような釣り合いに基づいて、被覆膜500の厚みは、凸部250の中央部において最も厚くなる形態が得られたものと考えられる。
(1)本実施例では、グリセリンを犠牲膜600に用いている。グリセリンは、表面張力が大きい特性を有している。一般的に、表面張力の小さい液体は、拡張係数(S=γA−γB−γAB、S=γA:基板となる液体Aの表面張力、γB:塗布液Bの表面張力、γAB:AとBの界面張力)が負になる傾向が強い。このため、仮に、表面張力の小さい液体を犠牲膜に用いると、回転塗布法によって犠牲膜の表面に被覆膜を形成したときに、脱ぬれ現象が生じやすいという問題がある。脱ぬれ現象が生じると、被覆膜を基板の表面全体に均一に被覆することが困難である。
一方、グリセリンは、表面張力が大きい特性を有している。このため、脱ぬれ現象が抑制され、犠牲膜600の表面には、基板300の表面全体には、略扁平状な被覆膜500を形成することができる。
(2)被覆膜500の多孔質化は、エタノール浸漬処理後の乾燥過程において、エタノールの表面張力によって被覆膜500が変形し、凹部250の底の半導体層100に付着することを防止する効果があると考えられる。液体と固体が界面を形成し、その接触角が90°以下の場合では、液体は固体のよりサイズの小さな孔に入り込みやすい。したがって、乾燥過程において被覆膜500は、常にエタノールによって被覆されており、凹部250の表面から乾燥していくことが予想される。即ち、被覆膜500と凹部250との間にはメニスカスが形成されにくく、被覆膜500と凹部250の間の隙間を狭めるような力は作用しにくいと考えられる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
20:高分子膜
23、230:凸部
25、250:凹部
30、300:基板
40:鋳型
50、500:被覆膜
210:突起部
220:酸化シリコン膜
600:犠牲膜
Claims (8)
- 凹凸構造を表面に有する基板の凸部の頂面に被覆膜を形成する方法であり、
凸部の頂面を架橋して略扁平状の被覆膜を形成する第1工程と、
基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向け、凸部とそれに隣合う凸部の間の被覆膜を分断する第2工程を備えている方法。 - 被覆膜には熱可塑性樹脂を用いており、
第2工程では、基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向けた状態で、加熱処理を実施することを特徴とする請求項1の方法。 - 第1工程に先立って、凹凸構造を覆って基板の表面に犠牲膜を被覆し、その犠牲膜の表面を凸部の頂面に対して略平行に形成する工程をさらに備えており、
第1工程では、その犠牲膜の表面に被覆膜を形成した後に、その犠牲膜を除去することによって凸部の頂面を架橋する被覆膜を形成することを特徴とする請求項1又は2の方法。 - 第1工程では、被覆膜が多孔質であることを特徴とする請求項3の方法。
- 第1工程では、被覆膜が溶媒に不溶な第1材料と溶媒に可溶な第2材料を備えており、
犠牲膜及び被覆膜の第2材料を溶媒に溶解することによって、多孔質な第1材料の被覆膜が凸部の頂面を架橋することを特徴とする請求項4の方法。 - 犠牲膜は、グリセリンを含んでおり、
被覆膜の第1材料は、ポリスチレンであり、
被覆膜の第2材料は、ポリエチレングリコールと、ポリプロピレングリコールと、ポリエチレングリコールのブロック共重合体であり、
第1工程では、犠牲膜及び被覆膜の第2材料をエタノールに溶解することによって、多孔質な第1材料の被覆膜が凸部の頂面を架橋することを特徴とする請求項5の方法。 - インプリント法であり、
凹凸パターンを有する鋳型を基板の表面にプレスして凹凸構造を形成する工程と、
その凹凸構造の頂面を架橋して略扁平状の被覆膜を形成する工程と、
基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向け、凸部とそれに隣合う凸部の間の被覆膜を分断する工程を備えている方法。 - 半導体素子を製造する方法であり、
凹凸構造を表面に有する半導体基板の凸部の頂面を架橋して略扁平状の被覆膜を形成する工程と、
半導体基板の凹凸構造を有する面を略鉛直下方向に向け、凸部とそれに隣合う凸部の間の被覆膜を分断する工程を備えている製造方法。
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