ところで、特許文献1に開示されたものは、各指掛け凹部が発射レバーに固定的に設けられているため、遊技者が発射レバーを把持した場合に必ずしも指が指掛け凹部に入り込むとは限らず、隣り合う指掛け凹部間の突部に指が掛かる場合もある。このような場合には、指を指掛け凹部のある位置までずらさなければならず、把持に伴う指の位置決めをするために、二段階の動作を行う必要があった。
また、特許文献2に開示されたものは、遊技者が楽な姿勢で発射レバーを把持できるようにするために、一旦摺動環体の外周部を把持した後、摺動溝に沿って指掛片を指に当接する位置まで移動させて係止する作業が必要であり、単に遊技者が任意の位置で発射レバーを把持するという目的のために煩雑な作業を行わねばならなかった。
さらに、これらの従来技術にあっては、発射レバーの外周に設けられた指掛け凹部或いは指掛片によって、その外周形状が凹凸状となっていることにより、遊技球の発射可能な状態において、遊技者が不用意に指掛け凹部或いは指掛片に指を引っ掛けたりすると、発射レバーが簡単に回転してしまい、遊技者の意図しない遊技球の発射が行われてしまうという問題があった。
本発明は、このような実状を改善するためになされたものであって、遊技者が把持したその把持位置に回動力受圧面を生じさせ得る発射ハンドルを備えたパチンコ遊技機を提供することを目的とするものである。
本発明は、遊技機本体の前面に突設されたハンドルベースと、該ハンドルベースの前部に装着されたハンドレストとの間に、非操作状態からの回動角度によって遊技球の発射強度を調節する発射レバーが回動可能に介装されてなる発射ハンドルを備えたパチンコ遊技機において、前記発射レバーが、回動角度により遊技球の発射強度を調節する回動可能な環状基体と、該環状基体の外周に亘って相互に近接して周設された複数の可動指掛け部材とからなり、各可動指掛け部材が、遊技者の把持操作により変位して、隣接する可動指掛け部材の側面を回動力受圧面とする作動位置と、該作動位置への変位作動が可能な定常位置とに夫々変換可能に設けられていることを特徴とするパチンコ遊技機である。
かかる構成にあって、各可動指掛け部材が、遊技者の把持操作により作動位置に変位すると、この作動位置に変位した可動指掛け部材に隣接する定常位置にある可動指掛け部材の側面に形成されている回動力受圧面が露呈して、該回動力受圧面に対する遊技者の指の側部による加圧操作が可能となり、その加圧操作によって環状基体を回動させることができる。また、前記発射ハンドルは、環状基体の回動角度を検出する角度検出手段を備えており、該角度検出手段により検出される環状基体の回動角度に基づいて遊技球の発射強度が調節される。
上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルにあって、環状基体の外周面に径方向の複数の摺動案内孔が周方向に沿って一定間隔で形成される一方、各可動指掛け部材に、前記摺動案内孔に嵌挿されて径方向に摺動案内される摺動連結杆が夫々突成され、各可動指掛け部材が、前記摺動案内孔に嵌挿された摺動連結杆の摺動作用を介して環状基体の径方向に沿って進退可能に設けられ、進出して環状基体の外周面から離隔する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体の外周面に当接または近接する作動位置とに変換可能である構成が提案される。
また、前記各摺動連結杆に外嵌されて、環状基体の外周面と各可動指掛け部材の内底面間に夫々介装された圧縮バネを、作動位置に変換された各可動指掛け部材を定常位置に復帰させる自動復帰手段としてなる構成が提案される。
また、上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルにあって、各可動指掛け部材を作動位置に夫々保持する保持手段を備えている構成が提案される。
ここで、上記保持手段としては、各摺動連結杆の突成端に形成された係合突部と、環状基体内に径方向に沿って形成されて、前記係合突部が選択的に係合可能な複数の係合凹部とで構成されてなる構成が提案される。
また、各可動指掛け部材から後方に延成された把手舌片を、作動位置に変換された各可動指掛け部材を定常位置に復帰させる手動復帰手段としてなる構成が提案される。
さらに、上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルにあって、環状基体の外周面に前後方向に延在する複数の摺動案内孔が周方向に沿って一定間隔で形成される一方、各可動指掛け部材に、前記摺動案内孔に嵌挿されて前後方向に摺動案内される摺動連結杆が夫々突成され、各可動指掛け部材が、前記摺動案内孔に嵌挿された摺動連結杆の摺動作用を介して環状基体の前後方向に沿って進退可能に設けられ、進出して環状基体の前部側に変位する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体の後部側に変位する作動位置とに変換可能である構成が提案される。
本発明は、上述したように、発射レバーが、回動角度により遊技球の発射強度を調節する回動可能な環状基体と、該環状基体の外周に亘って相互に近接して周設された複数の可動指掛け部材とからなり、各可動指掛け部材が、遊技者の把持操作により変位して、隣接する可動指掛け部材の側面を回動力受圧面とする作動位置と、該作動位置への変位作動が可能な定常位置とに夫々変換可能に設けられたパチンコ遊技機であるから、各可動指掛け部材が定常位置に変換されている状態で遊技者が発射ハンドルを把持すると、遊技者の指で押圧される可動指掛け部材がその把持操作により変位して作動位置に変換され、当該可動指掛け部材に隣接する定常位置にある可動指掛け部材の側面が露呈して回動力受圧面となり、該回動力受圧面に対する遊技者の指の側部による加圧操作によって環状基体を回動させることができる。従って、遊技球の発射操作に際して、遊技者が発射ハンドルを任意の把持態様で把持することにより、遊技者毎に異なる把持態様に対応してその把持位置に回動力受圧面が生じるので、指をずらすことなく、発射ハンドルを把持する指の位置決めを簡単に行うことができる。
また、全ての可動指掛け部材が定常位置に変換されている状態にあっては、各可動指掛け部材の側面が露呈せず、相互に隣接する各可動指掛け部材間に回動力受圧面が生じない。これにより、遊技球の発射可能な状態において、遊技者が不用意に可動指掛け部材に接触しても、その接触による圧力を環状基体に対する回動力として受ける回動力受圧面が生じていないため、発射レバーが回転することがなく、遊技者の意図しない遊技球の発射を防止することができる。
上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルにあって、環状基体の外周面に径方向の複数の摺動案内孔が周方向に沿って一定間隔で形成される一方、各可動指掛け部材に、前記摺動案内孔に嵌挿されて径方向に摺動案内される摺動連結杆が夫々突成され、各可動指掛け部材が、前記摺動案内孔に嵌挿された摺動連結杆の摺動作用を介して環状基体の径方向に沿って進退可能に設けられ、進出して環状基体の外周面から離隔する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体の外周面に当接または近接する作動位置とに変換可能である構成にあっては、環状基体の外周面から離隔した定常位置にある各可動指掛け部材が、遊技者の把持操作によって、環状基体の径方向に沿って後退して、該環状基体の外周面に当接または近接する作動位置に変換される。これにより、発射ハンドルの把持操作に伴う指の自然な折り曲げ動作によって、各可動指掛け部材を径方向に押圧して作動位置へ変換することができる。
また、前記各摺動連結杆に外嵌されて、環状基体の外周面と各可動指掛け部材の内底面間に夫々介装された圧縮バネを、作動位置に変換された各可動指掛け部材を定常位置に復帰させる自動復帰手段とした構成にあっては、作動位置に変換された可動指掛け部材から指を離すことにより、圧縮バネの弾発力を介して、当該可動指掛け部材を定常位置へ自動的に復帰させることができる。これにより、可動指掛け部材を作動位置から定常位置に変換する場合に、特別の操作が不要となる。また、発射ハンドルを把持した指の位置を変更する場合にも、単に発射ハンドルを把持し直すだけでよい。
上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルが、各可動指掛け部材を作動位置に夫々保持する保持手段を備えている構成にあっては、作動位置に変換された可動指掛け部材が保持手段によって作動位置に保持されるので、作動位置に変換した可動指掛け部材の作動状態を維持するために、可動指掛け部材に対する押圧操作を継続して行う必要がない。これにより、遊技者の指の疲労を軽減することができる。また、一旦可動指掛け部材が作動位置に保持されると、指を可動指掛け部材から離しても、作動状態が維持されるので、再度可動指掛け部材の押圧操作を行う必要がない。これにより、迅速な遊技再開が可能となる。
また、上記保持手段を、各摺動連結杆の突成端に形成された係合突部と、環状基体内に径方向に沿って形成されて、前記係合突部が選択的に係合可能な複数の係合凹部とで構成してなるものにあっては、発射ハンドルの把持操作による可動指掛け部材の後退変位に伴って、当該摺動連結杆の突成端に形成された係合突部が、環状基体内に径方向に沿って形成された複数の係合凹部に順次係合される。これにより、各可動指掛け部材をその変位量に応じた作動位置に保持することができる。
さらに、各可動指掛け部材から後方に延成された把手舌片を、作動位置に変換された各可動指掛け部材を定常位置に復帰させる手動復帰手段とした構成にあっては、作動位置から定常位置への可動指掛け部材の進出変位を、把手舌片を摘むことによって、容易に行うことができる。
また、上述のパチンコ遊技機の発射ハンドルにあって、環状基体の外周面に前後方向に延在する複数の摺動案内孔が周方向に沿って一定間隔で形成される一方、各可動指掛け部材に、前記摺動案内孔に嵌挿されて前後方向に摺動案内される摺動連結杆が夫々突成され、各可動指掛け部材が、前記摺動案内孔に嵌挿された摺動連結杆の摺動作用を介して環状基体の前後方向に沿って進退可能に設けられ、進出して環状基体の前部側に変位する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体の後部側に変位する作動位置とに変換可能である構成にあっては、環状基体の前部側に変位した定常位置にある各可動指掛け部材が、遊技者の把持操作に伴う指の押圧操作によって、環状基体の前後方向に沿って後退して、該環状基体の後部側に変位する作動位置に変換される。これにより、発射ハンドルの把持操作によって各可動指掛け部材を後方向に押圧して作動位置へ変換することができる。
以下に、本発明の第一実施例を、図1〜図6に基づいて説明する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、該外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。
遊技機本体3は、前記外枠2に開閉可能に軸支された前枠4と、該前枠4に装着された各種遊技部材とにより構成されている。即ち、前枠4には、遊技盤面(図示省略)を覆うガラス扉6と、上受皿7を備えた前面板8とが夫々開閉可能に軸支されている。また、前枠4の下部には、上受皿7の下方に位置させて下受皿9が一体形成されており、該下受皿9の右側方に本発明の要部にかかる発射ハンドル10Aが配設されている。該発射ハンドル10Aの背面側には、前記上受皿7から供給される遊技球を一個ずつ遊技盤面に打ち出す発射槌を備えた球発射装置(図示省略)が配設されている。ここで、発射ハンドル10Aは、非操作状態からの回動角度によって遊技球の発射強度を調節する回動可能な発射レバー11を備えており、遊技者が該発射レバー11を操作して、その回動量を変化させることにより、遊技球の発射強度を調節し得るようになっている。
前記発射ハンドル10Aは、図2,図3に示すように、遊技機本体3の前面に突出した状態で取り付けられる円筒状のハンドルベース12(図1参照)と、該ハンドルベース12の前部に装着された半球状のハンドレスト13と、該ハンドレスト13と前記ハンドルベース12との間に回動可能に介装された前記発射レバー11とを備えている。ハンドレスト13には、その後壁面中心部から後方に向けて支軸部14が突設されており、該支軸部14に発射レバー11を構成する環状基体15が回動可能に軸支されている。また、該支軸部14は、その外周の一部を前後方向に沿って略円弧状に切欠したような異形断面に形成されており、前記ハンドルベース12には、該支軸部14の異形断面形状に一致する取付孔部16を前部側に備え、後部側が段部17(図4参照)を介して拡径する挿通孔18が前後方向に貫設されている。そして、環状基体15を軸支した状態で、ハンドレスト13の支軸部14をハンドルベース12の取付孔部16に挿通して、該支軸部14の端部に抜け止め板19をボルト20で固定することにより、段部17に後方から当接する抜け止め板19による抜け止め作用を介してハンドレスト13がハンドルベース12に対して抜け出し不能に装着されている。また、異形断面の支軸部14と取付孔部16との嵌合により、ハンドレスト13が回転不能となっている。ここで、半球状のハンドレスト13の後壁面と、ハンドルベース12の前壁面との間隔は、図4に示すように、後述する環状基体15のハブ部23の前後方向の長さ寸法より若干広くなるように設定されており、これによって、支軸部14に軸支された環状基体15を容易に回動し得るようにしている。
前記発射レバー11は、回動角度により遊技球の発射強度を調節する環状基体15と、該環状基体15の外周に亘って相互に近接して周設された複数の可動指掛け部材21とからなり、各可動指掛け部材21が、遊技者の把持操作により変位して、隣接する可動指掛け部材21の側面を回動力受圧面22(図6参照)とする作動位置と、該作動位置への変位作動が可能な定常位置とに夫々変換可能に設けられている。
前記環状基体15は、図5に示すように、前記ハンドレスト13の支軸部14に遊嵌されるハブ部23と、該ハブ部23の前端部から径方向の外側に向けて延成された円板状の前壁部24と、該前壁部24の外端縁部に連成された環状の外周面部25とにより構成されており、この外周面部25には、図3に示すように、径方向の複数の摺動案内孔26が周方向に沿って一定間隔で形成されている。ここで、各摺動案内孔26は角孔状に形成されており、該摺動案内孔26に嵌挿される後述する摺動連結杆27の回り止め作用が得られるようにしている。
一方、前記各可動指掛け部材21は、下面及び後面が開口した矩形箱状に形成されており、各可動指掛け部材21の内底面の略中央部から所定長さの摺動連結杆27が下面側に向けて夫々突成されている。該摺動連結杆27は、前記摺動案内孔26に嵌挿されて径方向に摺動案内されるものであって、図5に示すように、適宜の弾性を有する略平行な前後一対の分割弾性杆27a,27bによって構成されており、その突成端には上方に至るに従って広幅となり、かつ上面に水平状係止面28’,28’を備えた略楔状の係止端部28a,28bが前後方向に突出する状態で形成されている。ここで、略平行な前後一対の分割弾性杆27a,27bからなる摺動連結杆27は、前記環状基体15の外周面部25に形成されている角孔状の摺動案内孔26に嵌挿し得る断面角形に形成されており、また、前記係止端部28a,28bは、両分割弾性杆27a,27bが相互に近接する方向に弾性変形した場合に、角孔状の摺動案内孔26を通過し得る大きさに形成されている。従って、摺動連結杆27を摺動案内孔26にその先端から嵌合すると、その突成端に形成された略楔状の係止端部28a,28bによって分割弾性杆27a,27bが相互に近接する方向に弾性変形して摺動案内孔26に挿通され、係止端部28a,28bが該摺動案内孔26を通過するとその弾性を介して分割弾性杆27a,27bが平行状態に復帰して係止端部28a,28bの上面の水平状係止面28’,28’が摺動案内孔26の孔縁下面に係合可能な状態となり、その抜け止め作用が生じることとなる。これにより、環状基体15への各可動指掛け部材21の取り付けを容易に行い得るようになっている。
そして、前記各可動指掛け部材21は、前記摺動案内孔26に嵌挿された摺動連結杆27の摺動作用を介して環状基体15の径方向に沿って進退可能に設けられており、進出して環状基体15の外周面から離隔する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体15の外周面に当接または近接する作動位置とに変換可能になっている。
また、各可動指掛け部材21の摺動連結杆27には、図4に示すように、圧縮バネ29が外嵌されており、該圧縮バネ29が環状基体15の外周面と各可動指掛け部材21の内底面間に夫々介装されている。そして、該圧縮バネ29が、作動位置に変換された各可動指掛け部材21を定常位置に復帰させる自動復帰手段となっている。ここで、圧縮バネ29は、可動指掛け部材21の定常位置において若干の圧縮状態で介装されており、その弾発力によって可動指掛け部材21を定常位置に保持し得るようにしている。
尚、図示省略されているが、発射ハンドル10Aは、発射レバー11が遊技者により回動操作されていない状態、即ち非操作状態からの環状基体15の回動角度を検出する角度検出手段と、回動操作された発射レバー11の環状基体15を非操作状態に復帰させる付勢手段とを備えており、該角度検出手段により検出される環状基体15の回動角度に基づいて遊技球の発射強度が調節される。また、回動操作された発射レバー11は、遊技者が該発射レバー11から手を離すと、付勢手段によって回動して非操作位置に自動的に復帰するようになっている。
かかる構成にあって、遊技者が発射ハンドル10Aを把持していない状態にあっては、図2に示すように、各可動指掛け部材21が圧縮バネ29(図4参照)の弾発力を介して定常位置に保持されている。このように、各可動指掛け部材21が定常位置に保持されている状態において、遊技者が指を伸ばし、掌がハンドレスト13に当接する近傍位置で、伸ばした指を折り曲げるようにして発射ハンドル10Aを把持すると、遊技者の指で押圧される可動指掛け部材21が、圧縮バネ29の弾発力に抗して、環状基体15の径方向に沿って後退して作動位置に変換される。これにより、発射ハンドル10Aの把持操作に伴う指の自然な折り曲げ動作によって、各可動指掛け部材21を径方向に押圧して作動位置に変換することができる。ここで、図4の上部に位置する可動指掛け部材21及び図6の中央上部に位置する可動指掛け部材21が作動位置に変換された状態である。そして、このように可動指掛け部材21が作動位置に変換されると、当該可動指掛け部材21に隣接する定常位置にある可動指掛け部材21の側面が露呈して回動力受圧面22(図6参照)となり、該回動力受圧面22に対する遊技者の指の側部による加圧操作によって環状基体15を回動させることができる。従って、遊技球の発射操作に際して、遊技者が発射ハンドル10Aを任意の把持態様で把持することにより、遊技者毎に異なる把持態様に対応してその把持位置に回動力受圧面22が生じるので、指をずらすことなく、発射ハンドル10Aを把持する指の位置決めを簡単に行うことができる。
また、全ての可動指掛け部材21が定常位置に変換されている状態にあっては、各可動指掛け部材21の側面が露呈せず、相互に隣接する各可動指掛け部材21間に回動力受圧面22が生じない。これにより、遊技球の発射可能な状態において、遊技者が不用意に可動指掛け部材21に接触しても、その接触による圧力を環状基体15に対する回動力として受ける回動力受圧面22が生じていないため、発射レバー11が回転することがなく、遊技者の意図しない遊技球の発射を防止することができる。
また、作動位置に変換された各可動指掛け部材21を定常位置に復帰させる自動復帰手段としての圧縮バネ29を備えていることにより、作動位置に変換された可動指掛け部材21から指を離すと、圧縮バネ29の弾発力を介して、当該可動指掛け部材21を定常位置へ自動的に復帰させることができる。これにより、可動指掛け部材21を作動位置から定常位置に変換する場合に、特別の操作が不要となる。また、発射ハンドル10Aを把持した指の位置を変更する場合にも、単に発射ハンドル10Aを把持し直すだけでよい。
図7〜図9は、本発明の第二実施例を示し、この第二実施例は、発射ハンドル10Bに、各可動指掛け部材21を作動位置に夫々保持する保持手段を設けたものであって、該保持手段が、摺動連結杆27の突成端に形成された係合突部28cと、環状基体15内に径方向に沿って形成されて、前記係合突部28cが選択的に係合可能な複数の係合凹部30とで構成されている。即ち、摺動連結杆27を構成する前後一対の分割弾性杆27a,27bのうち、前部側に位置する分割弾性杆27aの突成端には、前方に略山形状に突出する係合突部28cが形成されている。一方、環状基体15の前壁部24の後面に、前記係合突部28cが係合可能な複数の係合凹部30が径方向に沿って連続状に形成されている。また、各可動指掛け部材21の天板部から把手舌片31が後方に延成されており、該把手舌片31を、作動位置に変換された各可動指掛け部材21を定常位置に復帰させる手動復帰手段としている。そして、この手動復帰手段と前記保持手段の付設に伴って、第一実施例における自動復帰手段としての圧縮バネ29が除去されている。
その他、第一実施例と同じ構成部分には、第一実施例と同じ符号を付して重複する説明を省略する。
かかる構成にあって、各可動指掛け部材21が定常位置に変換されている状態において、遊技者が指を伸ばし、掌がハンドレスト13に当接する近傍位置で、伸ばした指を折り曲げるようにして発射ハンドル10Bを把持すると、遊技者の指で押圧される可動指掛け部材21が、環状基体15の径方向に沿って後退して作動位置に変換され、当該可動指掛け部材21に隣接する定常位置にある可動指掛け部材21の側面が露呈して回動力受圧面22(図9参照)となり、該回動力受圧面22に対する遊技者の指の側部による加圧操作によって環状基体15を回動させることができる。
また、全ての可動指掛け部材21が定常位置に変換されている状態にあっては、各可動指掛け部材21の側面が露呈せず、相互に隣接する各可動指掛け部材21間に回動力受圧面22が生じない。これにより、遊技球の発射可能な状態において、遊技者が不用意に可動指掛け部材21に接触しても、その接触による圧力を環状基体15に対する回動力として受ける回動力受圧面22が生じていないため、発射レバー11が回転することがなく、遊技者の意図しない遊技球の発射を防止することができる。
そして、この第二実施例にあっては、各可動指掛け部材21を作動位置に夫々保持する保持手段を備えていることにより、作動位置に変換した可動指掛け部材21の作動状態を維持するために、該可動指掛け部材21に対する押圧操作を継続して行う必要がない。これにより、遊技者の指の疲労を軽減することができる。また、一旦可動指掛け部材21が作動位置に保持されると、指を可動指掛け部材21から離しても、作動状態が維持されるので、再度該可動指掛け部材21に対する押圧操作を行う必要がない。これにより、迅速な遊技再開が可能となる。
また、上記保持手段が、各摺動連結杆27の突成端に形成された係合突部28cと、環状基体15内に径方向に沿って形成されて、前記係合突部28cが選択的に係合可能な複数の係合凹部30とで構成されていることにより、発射ハンドル10Bの把持操作による可動指掛け部材21の後退変位に伴って、当該可動指掛け部材21の摺動連結杆27の突成端に形成された係合突部28cが、環状基体15内に径方向に沿って形成された複数の係合凹部30に順次係合されることにより、各可動指掛け部材21をその変位量に応じた作動位置に保持することができる。
さらに、作動位置に変換された各可動指掛け部材21を定常位置に復帰させる手動復帰手段として、各可動指掛け部材21から後方に延成された把手舌片31を備えているので、該把手舌片31を指で摘んで、作動位置にある可動指掛け部材21を定常位置に変位させることにより、作動位置から定常位置へ可動指掛け部材21を手動で容易に復帰させることができる。
尚、この第二実施例では、各可動指掛け部材21を作動位置に夫々保持する保持手段を、各摺動連結杆27の突成端に形成された係合突部28cと、環状基体15内に径方向に沿って形成されて、前記係合突部28cが選択的に係合可能な複数の係合凹部30とで構成したが、これに代えて、最初の押圧で定常位置から作動位置へ変位してその作動状態を維持し、次の押圧で作動状態が解除されて作動位置から定常位置へ変位してその定常状態を維持する動作を押圧操作毎に繰り返す、例えば、ノック式ボールペンやスイッチ類等に用いられる公知技術を適用することも可能である。
図10〜図14は、本発明の第三実施例を示し、この第三実施例は、発射ハンドル10Cを構成する各可動指掛け部材21を、環状基体15の前後方向に沿って進退可能に設け、進出して環状基体15の前部側に変位する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体15の後部側に変位する作動位置とに変換し得るようにしたものである。
環状基体15は、図12,図13に示すように、ハンドレスト13の支軸部14に遊嵌されるハブ部23と、該ハブ部23の前端部から径方向の外側に向けて延成された円板状の前壁部24と、該前壁部24の外端縁部に連成された環状の外周面部25とにより構成されている。ここで、該外周面部25は、上述した第一実施例のものに比して前後方向に長く形成されており、その長さは、後述する各可動指掛け部材21の略二倍程度に設定されている。また、環状基体15の外周面部25には、図11に示すように、前後方向に延在する複数の摺動案内孔26が周方向に沿って一定間隔で形成されている。各摺動案内孔26の長さは、可動指掛け部材21の前後方向の長さに略相当する距離で、可動指掛け部材21を進退させ得る長さに設定されている。
一方、各可動指掛け部材21は、下面及び後面が開口した矩形箱状に形成されており、各可動指掛け部材21の内底面の略中央部から所定長さの摺動連結杆27が下面側に向けて夫々突成されている。該摺動連結杆27は、前記摺動案内孔26に嵌挿されて前後方向に摺動案内されるものであって、図14に示すように、適宜の弾性を有する略平行な左右一対の分割弾性杆27a,27bによって構成されており、その突成端には上方に至るに従って広幅となり、かつ上面に水平状係止面28’,28’を備えた略楔状の係止端部28a,28bが左右方向に突出する状態で形成されている。ここで、略平行な左右一対の分割弾性杆27a,27bからなる摺動連結杆27は、前記環状基体15の外周面部25に形成されている長角孔状の摺動案内孔26に嵌挿し得る断面角形に形成されており、また、前記係止端部28a,28bは、両分割弾性杆27a,27bが相互に近接する方向に弾性変形した場合に、長角孔状の摺動案内孔26の横幅間を通過し得る大きさに形成されている。従って、摺動連結杆27を摺動案内孔26にその先端から嵌合すると、その突成端に形成された略楔状の係止端部28a,28bによって分割弾性杆27a,27bが相互に近接する方向に弾性変形して摺動案内孔26に挿通され、係止端部28a,28bが該摺動案内孔26を通過するとその弾性を介して分割弾性杆27a,27bが平行状態に復帰して係止端部28a,28bの上面の水平状係止面28’,28’が摺動案内孔26の左右孔縁下面に係合される状態となり、その抜け止め作用が生じることとなる。これにより、環状基体15への各可動指掛け部材21の取り付けを容易に行い得るようになっている。また、係止端部28a,28bを摺動案内孔26の左右孔縁下面に係合することにより、摺動連結杆27による前後方向の摺動作用が得られるようになっている。
そして、前記各可動指掛け部材21は、前記摺動案内孔26に嵌挿された摺動連結杆27の摺動作用を介して環状基体15の前後方向に沿って進退可能に設けられており、進出して環状基体15の前部側に変位する定常位置と、該定常位置から後退して環状基体15の後部側に変位する作動位置とに変換可能になっている。
尚、各可動指掛け部材21の前壁面には、遊技者の指先形状に略一致する球面状の凹部32が夫々形成されており、各可動指掛け部材21に対する指先での押圧操作時において、該凹部32に遊技者の指先を面接触させることによって、その押圧操作をし易くするようになっている。
また、ハンドレスト13は、第一実施例のものに比して、その前後方向の長さが若干長くなるように形成されている。このハンドレスト13の長さは、各可動指掛け部材21が定常位置から後退して環状基体15の後部側に変位する作動位置に変換された状態で、遊技者の掌が当接し得る長さに設定されており、これによって各可動指掛け部材21の押圧操作を円滑に行わせるとともに、遊技者の手及び腕の荷重をハンドレスト13で充分に支承し得るようになっている。
その他、第一実施例と同じ構成部分には、第一実施例と同じ符号を付して重複する説明を省略する。
かかる構成にあって、各可動指掛け部材21が定常位置に変換されている状態において、遊技者が手を適宜に開き、その開いた手の指をハンドレスト13の外面に沿って前進させて指先を可動指掛け部材21の前壁面に当接させ、さらに掌がハンドレスト13に当接する位置まで前進させて、発射ハンドル10Cを把持することにより、遊技者の指先で押圧される可動指掛け部材21が、環状基体15の前後方向に沿って後退して作動位置に変換され、当該可動指掛け部材21に隣接する定常位置にある可動指掛け部材21の側面が露呈して回動力受圧面22(図10参照)となり、該回動力受圧面22に対する遊技者の指の側部による加圧操作によって環状基体15を回動させることができる。これにより、遊技球の発射操作に際して、遊技者が発射ハンドル10Cを任意の把持態様で把持することにより、遊技者毎に異なる把持態様に対応してその把持位置に回動力受圧面22が生じるので、指をずらすことなく、発射ハンドル10Cを把持する指の位置決めを簡単に行うことができる。
また、全ての可動指掛け部材21が定常位置に変換されている状態にあっては、各可動指掛け部材21の側面が露呈せず、相互に隣接する各可動指掛け部材21間に回動力受圧面22が生じない。これにより、遊技球の発射可能な状態において、遊技者が不用意に可動指掛け部材21に接触しても、その接触による圧力を環状基体15に対する回動力として受ける回動力受圧面22が生じていないため、発射レバー11が回転することがなく、遊技者の意図しない遊技球の発射を防止することができる。
そして、この第三実施例にあっては、把持操作時に指を前進させるという簡単な動作で、環状基体15の前部側に変位した定常位置にある各可動指掛け部材21を、環状基体15の後部側に変位する作動位置に変換させることができ、隣接する可動指掛け部材21の側面に回動力受圧面22を容易に生じさせることができる。