JP4674399B2 - フルオロカーボンポリマー粒子の製造方法 - Google Patents

フルオロカーボンポリマー粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フルオロカーボンポリマー(以下、FCポリマーという。)は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法で製造されるが、乳化重合には、重合槽の容積効率が高い、重合中の除熱や撹拌時のトルクが低い等の利点がある。乳化重合で得られたFCポリマーの乳化分散液は、凝集され、ついで、得られた凝集粒子が水で洗浄され、乾燥される。
【0003】
この際、乾燥を容易にするため、該凝集粒子を水で洗浄後、メタノール等のアルコールと混合し、水分をアルコールで置換する操作が実施されることがある。特に、酸型官能基を有するFCポリマーの場合には、成形加工性及び酸型官能基からアルカリ金属塩型官能基への変換性等を向上するために、水分のアルコール置換及び酸型官能基のエステル化が実施される。ここで、酸型官能基とは、カルボキシ基、スルホ基、リン酸残基等の酸残基又は該酸残基に変換できる官能基をいう。
【0004】
水分をアルコールで置換する操作では、FCポリマーの凝集粒子とアルコールを混合した後に分離するため、濾過、遠心分離、蒸発等の方法が使用される。特に、装置が簡便で、装置のメンテナンスが容易で、かつ大量にFCポリマーが分離できるので、濾過が使用される場合が多い。
【0005】
しかし、FCポリマーの凝集粒子が微細な場合は、FCポリマーの凝集粒子が濾過布を閉塞し、濾過布に堆積して濾過速度を低下させ、アルコールとFCポリマーの凝集粒子の分離が困難になる場合があった。また、酸型官能基を有するFCポリマーは、水洗工程で酸型官能基が加水分解してカルボキシ基やスルホ基等の酸残基に変化し、該FCポリマーの凝集粒子間に静電的反発が生起する結果、該FCポリマーの凝集粒子の粒子径が水洗時には100μm以下に、アルコール置換時には10μm以下に微細化し、取扱いが困難になる場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、酸型官能基を有するFCポリマーの乳化分散液から得られるFCポリマーの凝集粒子の取扱い性を向上し、FCポリマー粒子を容易に製造する方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸型官能基を有するFCポリマーの乳化分散液を凝集して得られる該FCポリマーの凝集粒子を、酸を含有するアルコールと混合し、ついで濾過により該FCポリマーの凝集粒子とアルコールとを分離し、さらに該FCポリマーの凝集粒子を乾燥することを特徴とする該FCポリマー粒子の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、酸型官能基を有するFCポリマーとしては、酸型官能基を有するフルオロカーボンモノマー(以下、酸型官能基を有するFCモノマーという。)を重合して得られるFCポリマーが好ましく、酸型官能基を有するペルフルオロカーボンポリマーがより好ましい。
【0009】
酸型官能基としてカルボキシ基型官能基を有するFCモノマーとしては、式CF2=CF(OCF2CF(CF3))aO(CF2bCOOR1(ただし、式中、aは0〜3の整数、bは1〜5の整数、R1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるビニルエーテル類等が挙げられる。特に、CF2=CFO(CF23COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22COOCH3、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2O(CF22COOCH3が好ましい。
【0010】
酸型官能基としてスルホ基型官能基を有するFCモノマーとしては、式CF2=CF(OCF2CF(CF3))cO(CF2dSO2F(ただし、式中、cは0〜3の整数、dは1〜5の整数を示す。)で示されるビニルエーテル類等が挙げられる。特に、CF2=CFO(CF22SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22SO2F、CF2=CF(OCF2CF(CF3))2O(CF22SO2Fが好ましい。
【0011】
酸型官能基としてリン酸残基型官能基を有するFCモノマーとしては、式CF2=CF(OCF2CF(CF3))eO(CF2fP(=O)(OR22(ただし、式中、eは0〜3の整数、fは1〜5の整数、R2は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるビニルエーテル類等が挙げられる。特に、CF2=CFO(CF22P(=O)(OCH32、CF2=CFO(CF24P(=O)(OCH32、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF22P(=O)(OCH32が好ましい。
【0012】
該FCモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における酸型官能基を有するFCポリマーには、酸型官能基を有するFCモノマーに基づく重合単位の他に、その他のモノマーに基づく重合単位を含有することも好ましい。
【0013】
その他のモノマーとしては、酸型官能基を有するFCモノマー以外の、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル等のフルオロオレフィン類、CF2=CFORf1(ただし、Rf1はエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基を示す。)等のフルオロビニルエーテル類、CF2=CF−CF=CF2、CF2=CFORf2OCF=CF2(ただし、Rf2はエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜4のペルフルオロアルキレン基を示す。)等のフルオロジビニル化合物類、エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等の炭化水素系オレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン等の炭化水素系芳香族モノマー類等が挙げられる。
【0014】
その他のモノマーとしては、フルオロオレフィン類又は炭化水素系オレフィン類が好ましい。フルオロオレフィン類としては、TFE、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンがより好ましく、TFEが最も好ましい。また、炭化水素系オレフィン類としては、エチレン、プロピレン及びイソブチレンがより好ましい。その他のモノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
酸型官能基を有するFCポリマーにおいて、酸型官能基を有するFCモノマーに基づく重合単位/その他のモノマーに基づく重合単位の含有モル比は、1〜50/99〜50が好ましく、3〜35/97〜65がより好ましい。酸型官能基を有するFCモノマーに基づく重合単位の含有モル比があまりに大きいとイオン交換膜等の成形物とした場合に成形物の機械的強度が充分でなく、また、含水率が増大してイオン交換性能が低下する傾向を示す。あまりに小さいとイオン交換性能が充分でなくなる傾向を示す。
【0016】
その他のモノマーとしてフルオロオレフィンと炭化水素系オレフィンを含有する場合は、フルオロオレフィンに基づく重合単位/炭化水素系オレフィンに基づく重合単位の含有モル比は、95〜30/5〜70が好ましく、90〜40/10〜60がより好ましい。この範囲にあると酸型官能基を有するFCポリマーの電気的、機械的及び耐塩素性等の特性が優れる。
【0017】
その他のモノマーとしてフルオロビニルエーテル又はジビニルエーテルを含有する場合のフルオロビニルエーテル又はジビニルエーテルに基づく重合単位の含有割合は、酸型官能基を有するFCポリマーの全重合単位中に好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは2〜20モル%である。ジビニルエーテルに基づく重合単位を含有すると、酸型官能基を有するFCポリマーの成形体の機械的特性が向上する。また、フルオロビニルエーテルに基づく重合単位を含有すると、酸型官能基を有するFCポリマーの成形体は、それと異なる酸型官能基を有するFCポリマーの成形体との接着性が向上する。
【0018】
本発明における酸型官能基を有するFCポリマーの具体例としては、酸型官能基を有する、TFE系共重合体、TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、TFE/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、TFE/エチレン系共重合体、TFE/プロピレン系共重合体、TFE/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体等が挙げられる。なかでも、酸型官能基を有する、TFE系共重合体、TFE/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、TFE/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体のペルフルオロカーボンポリマーがより好ましい。
【0019】
本発明における酸型官能基を有するFCポリマーとしては、イオン交換容量が0.5〜2.2ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量があまりに大きいと機械的性質や耐久性が低下し、あまりに小さいとイオン交換性能が充分でなくなる。イオン交換容量は、好ましくは0.7〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂、より好ましくは0.8〜1.9ミリ当量/g乾燥樹脂である。
【0020】
また、酸型官能基を有するFCポリマーの分子量は、TQ値で150〜360℃が好ましく、170〜340℃がより好ましく、180〜300℃が最も好ましい。この範囲のTQ値の酸型官能基を有するFCポリマーを用いることによりイオン交換膜としての製膜性及び機械的特性に優れる。ここで、TQ値とは、該FCポリマーの容量流速が100mm3/秒を示す温度(℃)として定義され、該FCポリマーの分子量を表す値である。容量流速及びイオン交換容量は、実施例に記載した方法で測定される値である。
【0021】
本発明において、酸型官能基を有するFCポリマーの乳化分散液は、水性媒体、乳化剤、開始剤を使用する乳化重合で製造されることが好ましい。
水性媒体としては、水又は水とアルコール類等の水性媒体の混合物が使用できるが、水を使用することが取扱いのうえで好ましい。
【0022】
水性媒体の使用量は、水性媒体/FCモノマーの質量比で60〜95/40〜5が好ましく、70〜95/30〜5がより好ましい。水性媒体の使用量があまりに多いと、重合速度が著しく低下したり、酸型官能基を有するFCポリマーの分子量が低下する傾向を示す。さらに、大型の反応装置が必要になる、酸型官能基を有するFCポリマーの分離回収が困難になる等の不利がある。また、水性媒体の使用量があまりに少ないと該FCポリマー濃度が高くなりすぎて乳化分散液が不安定となる。
【0023】
乳化剤としては、炭素数6〜12のペルフルオロアルカンカルボン酸及びその塩、炭素数6〜12のペルフルオロアルカンスルホン酸及びその塩、炭素数6〜12のペルフルオロ(アルコキシアルカン)カルボン酸及びその塩、炭素数6〜12のペルフルオロ(アルキル)硫酸エステル及びその塩、炭素数6〜12のペルフルオロ(アルキル)リン酸エステル及びその塩等が挙げられる。ただし、塩としては、アンモニウム塩及びアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)が好ましい。
【0024】
本発明において、乳化重合の開始源としては、重合温度において高い活性を示すものを選定することが好ましく、過酸化物系開始剤やアゾ系開始剤等の開始剤の採用がより好ましい。開始剤としては、以下のものが例示できる。
【0025】
ジコハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ペルフルオロプロピオニルペルオキシド等のジアシルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシピバレート等のペルオキシエステル類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、レドックス開始剤系等。
【0026】
開始剤濃度は、水性媒体に対して0.0001〜3%(質量百分率である。本明細書において同じ。)が好ましく、0.001〜2%がより好ましい。開始剤濃度があまりに高いと、酸型官能基を有するFCポリマーの分子量が低下する傾向となり、高イオン交換容量で高分子量の酸型官能基を有するFCポリマーを得ることが困難になる。開始剤濃度が、あまりに低いと酸型官能基を有するFCポリマーの分子量があまりに高くなる。
本発明において、乳化重合には、上記の他に、水性媒体中での重合で通常用いられる緩衝剤、分子量調整剤等を添加することも好ましい。
【0027】
本発明において、乳化重合の重合圧力は、好ましくは0.1〜5MPa、より好ましくは0.3〜3MPaである。重合圧力があまりに低いと重合速度を低下し、高分子量の酸型官能基を有するFCポリマーが得られない。また、重合圧力があまりに低いと生成FCポリマーのイオン交換容量が極端に高くなり、イオン交換膜とした場合にその含水量の増大等による機械的強度の低下、イオン交換性能が低下する傾向となる。重合圧力があまりに高い重合速度の制御が容易でなくなり、また、過剰な耐圧装置が必要になる。
乳化重合の重合温度は、好ましくは10〜90℃、より好ましくは20〜80℃である。あまりに高い温度やあまりに低い温度は工業的実施に不利となる。
【0028】
本発明において、乳化重合で生成した酸型官能基を有するFCポリマーの乳化分散液中の該FCポリマーの濃度は、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜30%である。濃度があまりに高いと撹拌や除熱が困難になり、該FCポリマーの分子量分布が広くなったり、組成が不均一になる傾向となる。濃度があまりに低いと収量が減少し、イオン交換容量が高すぎる該FCポリマーが生成する傾向となる。
【0029】
本発明において、乳化重合終了後に、TFE等の未反応のガス状モノマーは、気相よりパージして回収できる。一方、酸型官能基を有するFCモノマー等の未反応の液状モノマーは、特開平7−118332号公報等に記載の方法等に従って、フッ素系溶剤等を用いて乳化分散液より抽出し回収することが好ましい。
【0030】
本発明においては、乳化分散液より酸型官能基を有するFCポリマーが凝集され、該FCポリマーの凝集粒子が得られる。凝集方法としては、酸の添加、塩析、凍結、機械撹拌等の方法が挙げられるが、酸を添加する方法がより好ましい。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。また、該FCポリマーの凝集粒子の粒子径を制御するために、CClF2CF2CHClF等の凝集助剤を添加してもよい。
【0031】
該FCポリマーの凝集粒子の粒子径は0.1〜3mmに制御することが好ましい。粒子径がこの範囲にあると、該FCポリマーの凝集粒子の濾過が容易に進行する。また、該FCポリマーの凝集粒子は、充分に水で洗浄することが好ましい。この操作により、該FCポリマーの凝集粒子に含有されている乳化剤、開始剤、酸等が、該FCポリマーの凝集粒子から分離される。
【0032】
本発明において、該FCポリマーの凝集粒子は酸を含有するアルコールと混合する。アルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の炭素数1〜4のアルコールが挙げられ、メタノールがより好ましい。酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸が好ましい。アルコールに含有される酸の濃度は、好ましくは0.1〜10%、より好ましくは1〜3%である。凝集粒子と酸を含有するアルコールの混合は、酸素のない雰囲気下に実施することが好ましく、アルコールが沸騰する温度で実施することがより好ましい。
【0033】
該FCポリマーの凝集粒子は、水で洗浄する際には水で膨潤しているが、アルコール置換により粒径が微細化する。しかし、酸を含有するアルコールで置換することにより該FCポリマーの凝集粒子の粒子径は10〜1000μmの範囲に制御され、濾過時に濾紙又は濾布の濾面を閉塞することがない。該FCポリマーの凝集粒子と酸を含有するアルコールの混合及び濾過は、1〜6回実施することが好ましい。あまりに回数が少ないと水分残存量が多くなり、あまりに多いと操作時間が長くなるうえ、アルコールの原単位が上昇する。
【0034】
酸を含有するアルコールの作用機構は明確でないが、次のように考えられる。すなわち、酸型官能基を有するFCポリマーに含有される酸型官能基の一部は、乳化重合、凝集及び凝集粒子の水での洗浄等の工程で加水分解する。凝集粒子の表面の酸型官能基が加水分解されると凝集粒子は水で膨潤する。凝集粒子に含有される水をアルコ―ル置換すると凝集粒子同士の静電的反発力が増大し、凝集粒子が微細化し、濾過時に濾紙面又は濾布面を閉塞する。一方、酸を含有するアルコールを用いてアルコ―ル置換するとFCポリマー中の酸型官能基の加水分解が防止されるとともに、酸により凝集粒子の表面の酸残基とアルコールのエステル化反応も進行し、酸残基の静電的反発力が減少する結果、凝集粒子の微細化が防止される。また、微細な粒子が生成しないので均一な粒子径の粒子が得られる。
【0035】
本発明において、酸型官能基を有するFCポリマーの凝集粒子は、濾過により容易にアルコールから分離され乾燥できる。乾燥は空気や窒素等の気流中で実施され酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子が得られる。
【0036】
本発明においては、酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子中に残存する酸残基をアルコールとエステル化反応させることも好ましい。エステル化反応に使用するアルコールの量は、酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子の100gに対して100cm3が好ましく、400〜600cm3がより好ましい。
【0037】
このエステル化反応では、アルコール中に無機酸を含有しても、含有しなくてもよいが、無機酸を含有する場合は、硫酸が好ましい。硫酸を含有する場合は、硫酸を0.1〜5%含有するアルコールを使用することがより好ましい。エステル化反応温度は20〜100℃が好ましく、エステル化反応時間は1〜50時間が好ましい。エステル化反応は常圧下に実施されるが、加圧下に実施することも好ましい。
【0038】
エステル化反応後、アルコールと分離し乾燥する。エステル化反応に酸を含有するアルコールを用いた場合には、酸の残存を防ぐためにアルコールで酸型官能基を有するFCポリマーの粒子を再度洗浄した後、減圧下に40〜80℃で乾燥させて酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子を得ることが好ましい。酸型官能基を有するFCポリマー中の酸残基の全てをエステルに変換することによって、酸型官能基のナトリウム型、カリウム型等への変換が容易となる。
【0039】
酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子の粒子径は、好ましくは1μm〜5mm、より好ましくは10μm〜1mmである。酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子は、押出機で1〜10mmにペレット化された後、フィルム、シート状等に容易に成形できる。
【0040】
本発明により製造された酸型官能基を有するFCポリマーの粒子は、適宜手段でイオン交換膜に製膜できる。イオン交換膜は、必要により官能基を加水分解してカルボキシ基やスルホ基等に転換するが、加水分解処理は製膜前でも製膜後でもよく、製膜後に加水分解処理することがより好ましい。製膜手段には種々のものが採用できるが、例えば加熱溶融成形、ラテックス成形、適当な溶液に溶解させての注型成形等公知の方法を適宜採用できる。
【0041】
本発明で製造された酸型官能基を有するFCポリマー粒子を成形して得られるイオン交換膜は、種々の優れた性能を有し、各種の分野、目的、用途等に広範囲に使用される。例えば、拡散透析、燃料電池の隔膜等として耐食性が必要な分野で使用できる。特に、アルカリ電解用の陽イオン交換膜として使う場合には、従来のイオン交換膜では実現できなかった高いイオン交換性能を発揮できる。
【0042】
例えば、陽イオン交換膜で、陽極と陰極とを区画して陽極室と陰極室とを構成し、陽極室に塩化ナトリウム水溶液を供給して電解し陰極室から水酸化ナトリウム水溶液を得る場合、2mol/L以上の濃度の塩化ナトリウム水溶液を原料として0.5〜20kA/m2の電流密度で電解することにより、20〜40%の水酸化ナトリウム水溶液が90%以上の電流効率で長期間安定に製造できる。さらに、3.5V以下の低い槽電圧での運転ができる。
【0043】
【実施例】
容量流速、イオン交換容量及び粒子径の測定は、以下の方法に従った。
[容量流速(単位:mm3/秒)]
高化式フローテスタを用いて、酸型官能基を有するFCポリマーを30kgの荷重下、径1mm、長さ2mmのオリフィスから溶融流出させ、酸型官能基を有するFCポリマーの流出速度を、mm3/秒の単位で表示した。
【0044】
[イオン交換容量(単位:meq/g乾燥樹脂]
酸型官能基を有するFCポリマーから作成した酸型の陽イオン交換膜を、1mol/LのHCl水溶液中で60℃、5時間放置し、完全に酸型に転換し、陽イオン交換膜中にHClが残存しないように陽イオン交換膜を水で充分洗浄する。乾燥後、得られた酸型の乾燥陽イオン交換膜の0.5gを0.1mol/LのNaOH水溶液の25cm3中に室温で2日間浸漬する。次いで陽イオン交換膜を取り出して、溶液中のNaOHの量を0.1mol/LのHCl水溶液で逆滴定して得た酸型官能基の当量数(meq)を乾燥陽イオン交換膜の質量数(g)で除して、イオン交換容量を計算した。
【0045】
[粒子径の測定]
凝集時又はアルコール置換時の酸型官能基を有するFCポリマーの凝集粒子の粒子径は、静的光散乱法測定装置(マイクロトラックHRAX100、日機装社製)を用いて、水又はアルコール中で測定した。また、酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子の粒子径は、光学顕微鏡を用いて測定した。
【0046】
[例1]
内容積2Lのステンレス鋼製オートクレーブに、イオン交換水の1318g、n−C817COONH4の6.6g、Na2HPO4・12H2Oの6.5g、NaH2PO4・2H2Oの3.8g、(NH4228の3.2g、n−ヘキサンの0.08g及びCF2=CFO(CF23COOCH3(以下、MOHAという。)の198gを仕込み、充分脱気した。その後、50℃に昇温して、TFEを系内に導入し圧力を1.3MPaに保持した。330rpmで8時間撹拌後、未反応TFEをパージし、重合を終了させ、FCポリマーの乳化分散液の1745gを得た。FCポリマーの組成は、モル比でTFEに基づく重合単位/MOHAに基づく重合単位=89.0/11.0であった。
【0047】
乳化分散液には未反応のMOHAが含まれているが、FCポリマーの粒子に含浸して均一相になっている。該乳化分散液の100gに対して沸点72℃のF(CF26Hの30gを加え、1L撹拌槽中で320rpmで30分撹拌した。30分間の静置により2相に分離したので、下層のF(CF26H相を分離した。F(CF)6H相にはMOHAが含まれ、乳化分散液からMOHAが抽出されたことが分かった。分離された上層に再びF(CF26Hの30gを加え、上記と同様にMOHAの抽出操作を繰り返した。抽出操作を6回行ったところ、ガスクロマトグラフィー分析で分離されたF(CF26H相にMOHAが検出されなくなり、MOHAが全量抽出されたことが確認された。また、このとき、乳化分散液中にはF(CF26Hが1%含有されていた。
【0048】
次に、撹拌槽中の乳化分散液に凝集助剤としてCClF2CF2CHClFの255gを添加し、22%の硫酸を含有する水1300gを加え凝集したところ、均一な凝集粒子が得られた。得られた凝集粒子を水で7回洗浄した。次に、水で膨潤した凝集粒子を1.5%の硫酸を含有する900gのメタノールと混合した後、濾過する操作を4回繰り返した。濾過には、内径90mm、濾過速度13mL/cm2/secの濾布を使用し、1回の濾過に要した時間は0.3時間であった。メタノール置換時の凝集粒子の粒子径は10〜300μmであった。
【0049】
次に、メタノール置換後、空気気流中で乾燥して得られた乾燥粒子の400gと1.5%の硫酸を含有するメタノールの1500gとを混合し、64℃で24時間エステル化反応を行った。エステル化反応後、メタノールで湿潤した粒子をメタノールと混合し、傾斜法で分離する操作をを4回繰り返した。次に、得られた粒子を80℃で真空乾燥し、乾燥粒子の300gを得た。乾燥後の乾燥粒子の粒子径は約20μmであった。
【0050】
[例2(比較例)]
例1と同様にして均一な凝集粒子を得た後、硫酸を含有しないメタノールを用いて、メタノール置換を実施した。メタノール置換時の凝集粒子の粒子径は1〜100μmであった。また、1回の濾過に要した時間は1.8時間であった。例1と同様にエステル化及び乾燥を実施し、乾燥粒子の250gを得た。乾燥後の乾燥粒子の粒子径は約20μmであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、酸型官能基を有するFCポリマーの凝集粒子を酸を含有するアルコールと混合することにより、凝集粒子とアルコールの濾過分離が容易に進行する。また、成形性に優れる、酸型官能基を有するFCポリマーの乾燥粒子を容易に製造できる。

Claims (6)

  1. 酸型官能基を有するフルオロカーボンポリマーの乳化分散液を凝集して得られる該フルオロカーボンポリマーの凝集粒子を、酸を含有するアルコールと混合し、ついで濾過により該フルオロカーボンポリマーの凝集粒子とアルコールとを分離し、さらに該フルオロカーボンポリマーの凝集粒子を乾燥することを特徴とするフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
  2. 酸を含有するアルコール中の酸の濃度が0.1〜10%である請求項1に記載のフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
  3. 上記フルオロカーボンポリマーが、式CF 2 =CF(OCF 2 CF(CF 3 )) a O(CF 2 b COOR 1 (ただし、式中、aは0〜3の整数、bは1〜5の整数、R 1 は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるビニルエーテル類を重合して得られるポリマーである請求項1または2に記載のフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
  4. 上記アルコールが炭素数1〜4のアルコールである請求項1、2または3に記載のフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
  5. 上記酸が硫酸、塩酸または硝酸である請求項1〜4のいずれかに記載のフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
  6. 酸を含有するアルコールと混合した後のフルオロカーボンポリマーの凝集粒子の粒子径が10〜1000μmである請求項1〜5のいずれかに記載のフルオロカーボンポリマー粒子の製造方法。
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