JP4673649B2 - 補助ウォームホイールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウォームギヤ機構における補助ウォームホイールの製造方法に関する。
ウォームギヤ機構は、駆動側のウォームにトルク伝達用ウォームホイールを噛合わせることで、ウォームからトルク伝達用ウォームホイールを介して負荷側にトルクを伝達する伝動機構である。このようなウォームギヤ機構において、バックラッシを抑制する技術が開発されてきた(例えば、特許文献1−2参照。)。
特開2001−355700公報 特開2002−37100公報
ところで、このような従来のウォームギヤ機構において、ウォームの歯とトルク伝達用ウォームホイールの歯との間の、バックラッシを除去するためには、補助ウォームホイールを追加することが考えられる。この補助ウォームホイールは、補助ウォームホイールの回転中心線に沿う方向でウォームに噛み合う歯を有した環状のホイール本体と、このホイール本体の歯をウォームの歯底側へ付勢する付勢部材とで、構成すればよい。ホイール本体は樹脂成形品とすればよい。
また、一般に樹脂の成形技術によって成形される成形品は、成形時に樹脂を溶融させるための加熱及びその後に固化させるための冷却という、いわゆる熱履歴を受けている。この熱履歴は、生産性を高めるために高速で行われるため、成形品には熱歪みや残留応力が残存し易い。
特に、ポリアミド樹脂(ナイロン樹脂等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂などの結晶性樹脂、すなわち、結晶部分を多く含む樹脂を用いた成形品にあっては、溶融した樹脂が成形後に急速に冷却されるため、樹脂が十分に結晶化しておらず、また、局部的に結晶化の度合いにばらつきがあるため、物性にばらつきが発生し易い。
このため、成形品に熱歪みや残留応力の影響による寸法の変化が発生するとともに、寸法の変化による応力も発生する。
このようなことから、樹脂成形品からなるホイール本体の耐久性を高めるとともに、ウォームの歯と補助ウォームホイールの歯との間で、円滑な接触状態を維持するには、改良の余地がある。
さらには、ウォームギヤ機構は比較的高温で使用されることが多い。実際の使用温度において、ホイール本体に新たな熱歪みを発生したのでは、ホイール本体及び付勢部材に、新たな発生する熱歪みの影響による寸法の変化が発生するとともに、寸法の変化による応力が発生し易い。従って、補助ウォームホイールを含むウォームギヤ機構全体の耐久性を高めるとともに、ウォームの歯と補助ウォームホイールの歯との間で、円滑な接触状態を維持するには、改良の余地がある。
本発明は、(1)補助ウォームホイールを含むウォームギヤ機構の全体の耐久性を、より高めるとともに、(2)ウォームの歯と補助ウォームホイールの歯との間で、円滑な接触状態を維持できる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、ウォームギヤ機構に、ウォームの歯とトルク伝達用ウォームホイールの歯との間の、バックラッシを除去する補助ウォームホイールを設け、この補助ウォームホイールを、ウォームに噛み合う歯を有した環状のホイール本体と、このホイール本体の歯をウォーム側へ付勢する付勢部材とで構成した、補助ウォームホイールの製造方法であって、
補助ウォームホイールの製造方法は、付勢部材を板ばねにて成形して予め準備する工程と、ホイール本体を樹脂材料にて成形する工程と、次にホイール本体をアニーリング処理する工程と、次にホイール本体に付勢部材を位置決めする工程と、次にホイール本体に付勢部材を固定するべく固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程と、を有していることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、ウォームギヤ機構に、ウォームの歯とトルク伝達用ウォームホイールの歯との間の、バックラッシを除去する補助ウォームホイールを設け、この補助ウォームホイールを、ウォームに噛み合う歯を有した環状のホイール本体と、このホイール本体の歯をウォーム側へ付勢する付勢部材とで構成した、補助ウォームホイールの製造方法であって、
補助ウォームホイールの製造方法は、付勢部材を板ばねにて成形して予め準備する工程と、ホイール本体を樹脂材料にて成形する工程と、次に成形された樹脂成形品を、その樹脂の溶融温度よりも低温で加熱することによって、成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去する熱処理をする工程と、次にホイール本体に付勢部材を位置決めする工程と、次にホイール本体に付勢部材を固定するべく固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程と、を有し、
ホイール本体は樹脂材料にて成形するものであり、このホイール本体を成形するときの成形温度を、補助ウォームホイールの実際の使用温度よりも高温に設定したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、ホイール本体は樹脂材料にて成形するものであり、このホイール本体を成形するときの成形温度を、補助ウォームホイールの実際の使用温度よりも高温に設定したことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、ホイール本体に付勢部材を固定するべく固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程では、固定部分を前記ホイール本体の周方向に等間隔に複数個成形することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、樹脂材料を用いてホイール本体を成形(一次成形)した後に、ホイール本体をアニーリング処理することにより、ホイール本体の成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去することができる。アニーリング処理とは、成形された樹脂成形品を、その樹脂の溶融温度よりも低温で加熱することによって、成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去する熱処理のことである。
このように、熱歪みや残留応力が除去されたホイール本体に、板ばね製の付勢部材を固定するべく、固定する一部分だけを樹脂材料にて再び成形(二次成形)したのであるから、一次成形時のような大きい熱歪みや残留応力が、ホイール本体に残存することはない。
従って、ホイール本体及び付勢部材に、熱歪みや残留応力の影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しない。この結果、補助ウォームホイールを含むウォームギヤ機構全体の耐久性を、より高めることができる。
ところで、ウォームギヤ機構を組立てた時点においては、付勢部材により、ホイール本体の歯をウォームの歯底へ向かって一定の付勢力、いわゆる予圧(「プリロード」とも言う)を付与しておく必要がある。ウォームギヤ機構を最適な作動状態にするためである。このような予圧は、できるだけ変化しないことが好ましい。
これに対して請求項1によれば、ホイール本体及び付勢部材に、熱歪みや残留応力の影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しないので、予圧を調整した後に、その予圧を長期にわたって維持することができる。このため、ウォームの歯に対する補助ウォームホイールの歯の摩擦抵抗を抑制して、円滑な接触状態で維持することができる。
従って、このようなウォームギヤ機構を、電動パワーステアリング装置において、電動モータで発生したトルクをステアリング系に伝達する動力伝達機構として採用した場合には、電動パワーステアリング装置の良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を、長期にわたって維持することができる。
請求項2に係る発明では、樹脂材料にてホイール本体を成形するときの成形温度を、補助ウォームホイールの実際の使用温度よりも高温に設定したので、実際の使用温度でホイール本体に新たな発生する熱歪みを抑制することができる。
従って、ホイール本体及び付勢部材に、新たな発生する熱歪みの影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しない。この結果、補助ウォームホイールを含むウォームギヤ機構全体の耐久性を、より高めることができる。
ところで、ウォームギヤ機構を組立てた時点においては、付勢部材により、ホイール本体の歯をウォームの歯底へ向かって一定の付勢力、いわゆる予圧を付与しておく必要がある。ウォームギヤ機構を最適な作動状態にするためである。このような予圧は、できるだけ変化しないことが好ましい。
これに対して請求項2によれば、ホイール本体及び付勢部材に、新たな発生する熱歪みの影響による寸法の変化が発生しないので、予圧を調整した後に、その予圧を長期にわたって維持することができる。このため、ウォームの歯に対する補助ウォームホイールの歯の摩擦抵抗を抑制して、円滑な接触状態で維持することができる。
従って、このようなウォームギヤ機構を、電動パワーステアリング装置において、電動モータで発生したトルクをステアリング系に伝達する動力伝達機構として採用した場合には、電動パワーステアリング装置の良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を、長期にわたって維持することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。以下、ウォームギヤ機構を電動パワーステアリング装置に搭載した例を説明する。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングハンドル21から車両の操舵車輪(前輪)29,29に至るステアリング系20と、このステアリング系20に補助トルクを加える補助トルク機構40とからなる。
ステアリング系20は、ステアリングハンドル21にステアリングシャフト22及び自在軸継手23,23を介してピニオン軸(入力軸)24を連結し、ピニオン軸24にラックアンドピニオン機構25を介してラック軸26を連結し、ラック軸26の両端に左右のタイロッド27,27及びナックル28,28を介して左右の操舵車輪29,29を連結したものである。
ラックアンドピニオン機構25は、ピニオン軸24に形成したピニオン31と、ラック軸26に形成したラック32とからなる。
ステアリング系20によれば、運転者がステアリングハンドル21を操舵することで、その操舵トルクによりラックアンドピニオン機構25を介して、操舵車輪29,29を操舵することができる。
補助トルク機構40は、ステアリングハンドル21に加えたステアリング系20の操舵トルクを操舵トルクセンサ41で検出し、この検出信号に基づき制御部42で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動モータ43で発生し、補助トルクをウォームギヤ機構44を介してピニオン軸24に伝達し、さらに、補助トルクをピニオン軸24からステアリング系20のラックアンドピニオン機構25に伝達するようにした機構である。
電動パワーステアリング装置10によれば、運転者の操舵トルクに電動モータ43の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸26で操舵車輪29,29を操舵することができる。
図2は本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を破断して表したものである。この図は、電動パワーステアリング装置10のラック軸26を、車幅方向(図2の左右方向)に延びるハウジング51に、軸方向にスライド可能に収容したことを示す。
ラック軸26は、ハウジング51から突出した長手方向両端にボールジョイント52,52を介してタイロッド27,27を連結した軸である。53,53はダストシール用ブーツである。
図3は図2の3−3線断面図であり、電動パワーステアリング装置10の縦断面構造を示す。電動パワーステアリング装置10は、ピニオン軸24、ラックアンドピニオン機構25、操舵トルクセンサ41及びウォームギヤ機構44をハウジング51に収納し、このハウジング51の上部開口を上部カバー部54で塞いだものである。
ウォームギヤ機構44は、駆動側のウォーム47にトルク伝達用ウォームホイール48を噛合わせることで、ウォーム47からトルク伝達用ウォームホイール48を介して負荷側にトルクを伝達することができるようにした構成である。さらにウォームギヤ機構44は、トルク伝達用ウォームホイール48の他に補助ウォームホイール49を備える。補助ウォームホイール49は、ウォーム47とトルク伝達用ウォームホイール48との間の、バックラッシを除去するために設けた補助的な歯車である。
このように、ウォームギヤ機構44は、ウォーム47と、このウォーム47に噛み合ったトルク伝達用ウォームホイール48と、このトルク伝達用ウォームホイール48の近傍に配置した補助ウォームホイール49とからなる。つまり、トルク伝達用ウォームホイール48の回転中心線CL(回転中心CL)上に、補助ウォームホイール49を配置した。
ハウジング51は、上下に延びるピニオン軸24を軸受55〜57を介して回転可能に支持するとともに、ラックガイド70を備える。図中、58はハウジング51に対して軸受56の位置決めをするロックナット、59はピニオン軸24をシールするオイルシールである。
ところで、操舵トルクセンサ41は、ピニオン軸24に設けた一対の残留歪み部61,62と、残留歪み部61,62の周囲に設けた検出部63と、からなる磁歪式トルクセンサである。残留歪み部61,62は、ピニオン軸24の軸長手方向に互いに逆方向の残留歪みが付与された磁歪膜からなる。検出部63は、残留歪み部61,62に生じた磁歪効果を電気的に検出し、その検出信号をトルク検出信号として出力するものである。この検出部63は、ピニオン軸24を通したコイルボビン64,65と、コイルボビン64,65に巻いたコイル66,67と、コイル66,67の周囲を囲う磁気シールド用バックヨーク68と、からなる。
ラックガイド70は、ラック32の反対側からラック軸26に当てるガイド部71と、ガイド部71を圧縮ばね72を介して押す調整ボルト73と、ラック軸26の背面を滑らせる当て部材74と、調整ボルト73の位置決めをするロックナット75とからなる。
図4は図2の4−4線断面図であり、ピニオン軸24と電動モータ43とウォームギヤ機構44との関係を示す。
電動モータ43は、横向きのモータ軸43aを備えるとともに、ハウジング51に取付けたものである。モータ軸43aはハウジング51内に延びる。
図3及び図4に示すように、ウォームギヤ機構44は、電動モータ43で発生した補助トルクをピニオン軸24に伝達する補助トルク伝達機構、すなわち倍力機構である。モータ軸43aは、カップリング45を介してウォームギヤ機構44のウォーム軸46を連結した部材である。ウォーム軸46は、一体に形成したウォーム47を備える。
ハウジング51は、水平に延びるウォーム軸46の両端部を、軸受81,82を介して回転可能に支承することになる。
図5は本発明に係るウォームギヤ機構の断面図であり、図3に対応させて左半分のみを示した。図6は本発明に係るウォームギヤ機構の分解図である。図5及び図6に示すように、トルク伝達用ウォームホイール48は、ピニオン軸24に嵌合する円筒状のボス部101と、ボス部101の外周に一体に形成した円盤状のホイール本体102と、ホイール本体102の外周面に形成した複数の歯103・・・とからなる、一体成形品の歯車である。
ピニオン軸24は、トルク伝達用ウォームホイール48を、軸方向移動を規制するとともに、スプライン又はセレーションにて相対回転を規制して結合することになる。
ボス部101は、ホイール本体102における一方の面102aの中心に形成した平坦な座面部102bと、座面部102bから上方(すなわち、ピニオン軸24の軸方向)へ延びる延長部105と、この延長部105の外周面に形成した雄ねじ106と、延長部105の外周面に形成した互いに平行な2つの平坦面109,109(二面取り部分)と、を有する。
図5及び図6に示すように、補助ウォームホイール49は、ホイール本体102の一方の面102aに重ね合わせ、トルク伝達用ウォームホイール48に対して相対的に回転不能に配置したものである。補助ウォームホイール49の中心は、トルク伝達用ウォームホイール48の回転中心CLと同一である。
以下、補助ウォームホイール49を詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、補助ウォームホイール49は、円盤状の付勢部材111と、この付勢部材111を径内方に組込んだ環状のホイール本体112とからなる。言い換えると、補助ウォームホイール49は、ウォーム47に噛み合う複数の歯113・・・を有している環状のホイール本体112と、このホイール本体112から径内方へ延びてトルク伝達用ウォームホイール48に取付ける付勢部材111とからなる。
ホイール本体112は、外周部分に複数の歯113・・・を一体に形成した樹脂成形品であり、別部材からなる付勢部材111をインサート成型等によって一体に組込んだことを特徴とする。
従って、付勢部材111とホイール本体112とを容易に一体化することができる。さらには、組立誤差、特に付勢部材111とホイール本体112との芯ずれを防止することができる。この結果、芯ずれによる、ウォーム47と補助ウォームホイール49との噛み合い不良を防止することができる。
このような補助ウォームホイール49は、複数の歯113・・・をトルク伝達用ウォームホイール48側へ向かって延ばした、いわゆる冠状(キャップ状とも言う。)の歯車である。複数の歯113・・・は、回転中心線CLに対して平行に延びる。
つまり、冠状を呈する補助ウォームホイール49は、歯113・・・がトルク伝達用ウォームホイール48の外周面104(図5参照)を囲うようにして、トルク伝達用ウォームホイール48に重ねることで、ウォーム47に噛合わせるようにしたものである。
従って、トルク伝達用ウォームホイール48に補助ウォームホイール49を付加した構成であるにもかかわらず、トルク伝達用ウォームホイール48に補助ウォームホイール49が干渉することはない。
一方、付勢部材111は、図5及び図6に示すように、補助ウォームホイール49をトルク伝達用ウォームホイール48側に付勢する弾発部材である。言い換えると、図5に示すように付勢部材111は、ホイール本体112の複数の歯113・・・を、補助ウォームホイール49の回転中心線CLに沿う方向で、且つ、ウォーム47の歯先132側から歯底133側(矢印Sp方向)へ付勢するように構成した部材である。
従って、補助ウォームホイール49は、ウォーム47に対してバックラッシを有することなく噛み合うことになる。
図7は本発明に係る補助ウォームホイールの要部を拡大した斜視図であり、図6に対応する。図8は図7の8−8線断面図であり、図5に対応する。
図6〜図8に示すように、補助ウォームホイール49の付勢部材111は、ホイール本体112に組込んだ中空円板状の外円部121と、この外円部121の内径よりも小径であってトルク伝達用ウォームホイール48(図5参照)に取付けた円板状(より具体的には中空円板状)の内円部122と、この内円部122から外円部121へ向かって放射状に延びて内円部122に繋いだ平板状の複数の弾性アーム123・・・とからなる。
この付勢部材111は、ばね鋼鋼材などの金属製の板からなる一体成形品、例えばプレス加工品である。
外円部121、内円部122及び弾性アーム123・・・の板厚は同一である。外円部121及び内円部122は補助ウォームホイール49の中心、すなわちトルク伝達用ウォームホイール48の回転中心CLと同一である。外円部121の位置は、内円部122の位置に対し、補助ウォームホイールの回転中心線CLに沿って一定距離Hc(図8参照)だけ偏っている。すなわち、一定距離Hcだけオフセットしている。この一定距離Hcのことをオフセット量Hcと言うことにする。外円部121の板面121aは、内円部122の板面122aに対して略平行である。つまり、これらの板面121a,122aは、回転中心線CLに対して直角な面である。
付勢部材111に有している複数の弾性アーム123・・・は、トルク伝達用ウォームホイール48(図6参照)に取付ける基端124からホイール本体112側の先端125まで延びる。弾性アーム123の基端124は、内円部122の外周縁に繋がる固定端のことである。弾性アーム123の先端125は、外円部121の内周縁に繋がる自由端のことである。
これらの弾性アーム123・・・の板面123aは、外円部121の板面121aから内円部122の板面122aへ向かって傾斜した平坦な面である。
このような構成とすることにより、付勢部材111は、ホイール本体112から中央部分へ向かって傾斜する、頭切り円錐形状を呈した、いわゆる「皿ばね」状の弾性部材であることを特徴とする。円錐形の底は、水平な平坦面からなる内円部122である。この内円部122は嵌合孔126を有する。
図5に示すように、概ね皿ばね状の付勢部材111は、トルク伝達用ウォームホイール48のホイール本体102における一方の面102aに向かって低くなるように配置することになる。
皿ばね状の付勢部材111であるから、オフセット量Hc(図8参照)が大きいほど、付勢力は大きくなる。従って、オフセット量Hcを適宜設定することにより、図5に示すように、ホイール本体112の歯113をウォーム47の歯底133へ向かって付勢する(図5の矢印Sp方向へ付勢する)付勢力を、より一層最適な値に設定することができる。
また、図6〜図8に示すように、複数の弾性アーム123・・・は、基端124から先端125にかけて先細り状に形成、例えば、付勢部材111を回転中心線CLに沿う方向(図7及び図8の矢印Vi方向)から見て、先細りテーパ状となるように形成した、いわゆる「台形ばね」の構成としたことを特徴とする。図7に示すように、先端125の板幅Wd1は基端124の板幅Wd2よりも小さい。
このように、弾性アーム123・・・を、トルク伝達用ウォームホイール48に取付ける基端124(固定端124)からホイール本体112側の先端125(自由端125)にかけて、先細り状となるように形成することによって、弾性アーム123・・・を概ね「平等強さの梁」の構成、すなわち、どの断面にも一様の応力が生じる梁の構成にすることができる。このようにすることで、弾性アーム123・・・に生じる応力を概ね平等にすることができる。
例えば、補助ウォームホイール49に過大な負荷が作用した場合であっても、弾性アーム123の一部に応力が集中することはない。
また、上述のように補助ウォームホイール49は、ホイール本体112を樹脂成形品にするとともに、この樹脂成形品に付勢部材111をインサート成形した構成であるが、樹脂成形するときの熱応力の影響や、成形後に樹脂が収縮するときの応力の影響を、弾性アーム123・・・が受ける。
この場合であっても、弾性アーム123の一部に応力が集中することはない。しかも、応力が集中しないので、補助ウォームホイール49全体の熱歪みを抑制することができる。このように、応力の集中を防止することによって、付勢部材111の耐久性を一層高めることができる。
一方、図6〜図8に示すように、ホイール本体112は環状の載置部114と、この載置部114に対向する複数の固定部115・・・とを、一体に形成したことを特徴とする。
載置部114は、ホイール本体112において歯113の歯先とは反対側の面112aに、一定の段差116を有して形成した平坦な部材であって、付勢部材111の外円部121を歯113とは反対側から載せてセットするものである。段差116の部分に外円部121を嵌合するとともに、載置部114に外円部121の板面を重ね合わせることで、ホイール本体112に対して付勢部材111を位置決めすることができる。
複数の固定部115・・・は、載置部114に載せた外円部121を、載置部114とは反対側から包み込むことで、ホイール本体112に付勢部材111を固定する部材である。これらの固定部115・・・は、弾性アーム123・・・の位置に対応する部分だけに等ピッチで配列した、小さい平板状の部材である。
なお、補助ウォームホイール49の製造方法については、後述する図13にて示す。
図6〜図8に示すように、補助ウォームホイール49は、ホイール本体112及び外円部121を貫通した、複数の治具挿入孔127・・・を有する。つまり、治具挿入孔127・・・は、載置部114、外円部121及び固定部115・・・を貫通したものである。これらの治具挿入孔127・・・は、回転中心線CLを基準として等ピッチに配列するとともに、回転中心線CLに平行な孔である。
以上の構成からなる補助ウォームホイール49は、図5及び図6に示すように、内円部122の板面を座面部102bに重ねることにより、ホイール本体102の一方の面102aに重ね合わせたものである。
このような構成であるから、図5及び図6に示すように、延長部105に付勢部材111の嵌合孔126を嵌合し、その上から平ワッシャ141を嵌合し、更にその上からナット145を雄ねじ106にねじ込んで、座面部102bとナット145とによって、内円部122を堅く締め付けることができる。この結果、トルク伝達用ウォームホイール48に対し、補助ウォームホイール49の中心部分を、締付け摩擦力により回転を規制して取付けることができる。
ところで、平ワッシャ141の嵌合孔142は、延長部105の断面形状に合わせた平行な2つの平坦面143,143を有する。延長部105に嵌合した平ワッシャ141は、延長部105の平坦面109,109に平坦面143,143を嵌合することで、トルク伝達用ウォームホイール48に対して相対回転が規制されることになる。
図9は本発明に係るウォームギヤ機構の平面図であり、補助ウォームホイール49の一部を破断して表した。
図9に示すように、補助ウォームホイール49のピッチ円直径D2は、トルク伝達用ウォームホイール48のピッチ円直径D1よりも大きい。
ウォーム47は金属製品、例えば機械構造用炭素鋼鋼材(JIS−G−4051)等の鉄鋼製品である。トルク伝達用ウォームホイール48及び補助ウォームホイール49のホイール本体112は、ナイロン樹脂等の樹脂製品である。金属製品のウォーム47に樹脂製品のトルク伝達用ウォームホイール48及び補助ウォームホイール49を噛合わせるようにしたので、噛合いを比較的円滑にすることができるとともに、騒音をより低減させることができる。
ウォーム47の歯131の歯形は、軸直角断面においてほぼ台形の歯形であり、トルク伝達用ウォームホイール48の歯103の歯形は、軸直角断面においてインボリュートの歯形である。ウォーム47のねじ山は1条であり、このねじ山のピッチはPiである。
図10(a)〜(d)は本発明に係るウォームギヤ機構におけるウォームと補助ウォームホイールとの噛み合い状態を示す構成図兼作用図である。(a)はウォームギヤ機構44の断面構成を示し、上記図5に対応させて表した図である。(b)は(a)のb矢視図であり、補助ウォームホイール49の回転中心側から見た断面構成を表した。(c)は(b)の要部を拡大して表した図である。(d)はウォームギヤ機構44の作用を(c)に対応させて表した図である。
上述したことであるが、図10(a)に示すように、補助ウォームホイール49のピッチ円直径D2を、トルク伝達用ウォームホイール48のピッチ円直径D1よりも大きく設定したので、ウォーム47に、トルク伝達用ウォームホイール48とは異なる噛合い位相で補助ウォームホイール49を噛合わせることができる。このため、トルク伝達用ウォームホイール48の歯幅を十分な大きさ(例えば、ウォーム47の外径と略同じ大きさ)に設定することができる。この結果、ウォーム47の歯131に対するトルク伝達用ウォームホイール48の歯103の接触面積を十分に確保することができる。従って、ウォームギヤ機構44の耐久性を、より高めることができる。
ウォーム47の中心CWから補助ウォームホイール49のピッチ円までの距離はrである。この距離rは任意であるが、ウォーム47を可逆的に回転させる(すなわち、正・逆転させる)場合には、零の方が好ましい。より具体的には、ピッチ円直径D2の大きさは、トルク伝達用ウォームホイール48に補助ウォームホイール49の歯113・・・が干渉することがなく、しかも、ウォーム47に補助ウォームホイール49が噛合うことができる大きさであればよい。
ウォーム47に補助ウォームホイール49を噛合わせたときのウォーム47のピッチ円直径d2は、ウォーム47にトルク伝達用ウォームホイール48を噛合わせたときのウォーム47のピッチ円直径d1よりも小さい。
図10(a)に示すように、付勢部材111は中心部分がトルク伝達用ウォームホイール48に取り付けられることで、ホイール本体112をウォーム47に噛み合う方向(矢印Sp方向)に付勢している。
ホイール本体112は付勢部材111の付勢力に抗して、矢印R3のようにウォーム47から離れる方向、すなわち、ウォームの径外方へ変位することが可能である。
図10(a)〜(c)に示すように、ウォーム47が停止状態にあるとき、ウォーム47のピッチ円直径d2の位置P1で、ウォーム47に補助ウォームホイール49がバックラッシを有することなく噛み合っている。
ウォーム47が正回転すると、その歯131は矢印R1方向(図10の右方向)に変位する。この結果、図10(c)に示すように、ウォーム47の歯131の右の歯面131bは、補助ウォームホイール49の歯113の左の歯面113aを押す。その押す力をf1としたときに、左の歯面113aには水平分力f2と垂直分力f3とが働く。
すなわち、ウォーム47の歯131の圧力角をαとしたときに、圧力角αに応じて、左の歯面113aには、補助ウォームホイール49を回転させる回転力(水平分力)f2と、補助ウォームホイール49をウォーム47から離す方向、すなわち、補助ウォームホイール49の歯先113cがウォーム47の径外方へ変位する方向(矢印R3方向)へ変位させる変位力(垂直分力)f3とが働く。
変位力f3によって、補助ウォームホイール49が矢印R3方向へ変位した結果、図10(d)に示すように、補助ウォームホイール49の歯113はウォーム47の歯131における歯先側の点P2で噛み合う。
すなわち、ウォーム47の歯131は付勢部材111の付勢力に抗して、矢印R1方向へ変位量Y1だけ変位する。この結果、噛み合い位置は点P1から点P2へ変化する。付勢部材111の付勢力は、補助ウォームホイール49を元に戻す方向に作用する、回転抵抗である。
図11(a)〜(d)は本発明に係るウォームギヤ機構におけるウォームとトルク伝達用ウォームホイールと補助ウォームホイールとの噛み合い状態を示す構成図兼作用図である。(a)は中立状態におけるウォームギヤ機構44の模式図であり、上記図9と同様に模式的に表した図である。(b)は(a)のb矢視図であり、ウォーム47及び補助ウォームホイール49だけを回転中心側から見た断面構成を表した。(c)はウォーム47の歯131がトルク伝達用ウォームホイール48の歯103に当たった状態における、ウォームギヤ機構44の模式図である。(d)は(c)のd矢視図であり、ウォーム47及び補助ウォームホイール49だけを回転中心側から見た断面構成を表した。
図11(a)及び図11(b)は中立状態において、ウォーム47の歯131に対し、トルク伝達用ウォームホイール48の左右の歯103,103が、ほぼ同じ大きさのバックラッシB2,B2を有して噛合っていることを示す。この噛合い状態は、ウォーム47に対して補助ウォームホイール49をバックラッシB1を有することなく噛合わせることによって、維持されている。
ウォーム47の歯131と補助ウォームホイール49の歯113との間のバックラッシB1の大きさX1は0(零)である。ウォーム47の歯131とトルク伝達用ウォームホイール48の歯103との間のバックラッシB2の大きさはX2である。このようにウォームギヤ機構44は、補助ウォームホイール49側のバックラッシB1を、トルク伝達用ウォームホイール48側のバックラッシB2よりも小さく設定したことを特徴とする。すなわち、「X1<(X2×2)」の関係である。なお、補助ウォームホイール49側のバックラッシB1の大きさX1は、0よりも若干大きい値であっても実質的に差し支えない。
従って、中立状態においては、ウォーム47の歯131に対して、トルク伝達用ウォームホイール48の左右の歯103,103は接触していない。このため、ウォーム47を回転し始めた時点で、歯131,103間に摩擦トルクは発生しない。
この状態において、ウォーム47が正回転すると、その歯131は矢印R1方向(図11の右方向)に変位する。この結果、図11(b)に示すように、ウォーム47の歯131の右の歯面131bは補助ウォームホイール49の歯113の左の歯面113aに当たって押す。図11(b)に示すように、補助ウォームホイール49はウォーム47から離れる方向、すなわち、ウォーム47の径外方(矢印R3方向)へ変位する。
この結果、図11(d)に示すように、補助ウォームホイール49の歯113はウォーム47の歯131における歯先側の位置で噛み合う。つまり、両者131b,113aの噛み合い位置が変化した結果、ウォーム47の歯131は矢印R1方向へ変位する。
このように、図11(a),(b)に示す状態において、歯131がトルク伝達用ウォームホイール48側のバックラッシB2分だけ矢印R1方向へ変位した結果、図11(c)に示すように、ウォーム47の歯131の右の歯面131bはトルク伝達用ウォームホイール48の歯113の左の歯面103aに当たって押す。押されたトルク伝達用ウォームホイール48は矢印R2方向へ回転する。
以上の説明から明らかなように、付勢部材111による回転抵抗に抗して、ウォーム47で補助ウォームホイール49の歯113を、ウォーム47の径外方へ変位させ、更に若干遅れてウォーム47でトルク伝達用ウォームホイール48を回し始めることができる。その後、補助ウォームホイール49は、トルク伝達用ウォームホイール48と共に連れ回る。
このようにして、ウォーム47の歯131をトルク伝達用ウォームホイール48の歯103に緩やかに当てることができる。このため、ウォームギヤ機構44の耐久性を、より一層高めることができる。しかも、バックラッシB2を除去することができるので、ウォーム47とトルク伝達用ウォームホイール48との間の、歯103,131同士の打音の発生を、より抑制することができる。
その後、図11(c),(d)の状態において、電動モータ43(図3参照)でウォーム47を逆回転させると、その歯131は矢印R1とは反対方向(図左方向)に変位する。歯131の右の歯面131bが矢印R1とは反対方向へ変位するに連れて、補助ウォームホイール49の歯113は、付勢部材111(図5参照)の付勢力で押し下げられて、図11(a),(b)に示す状態に自動的に戻る。
このように、ウォーム47とトルク伝達用ウォームホイール48との間の、歯103,131同士の打音の発生を、より抑制することができる。
以上の説明をまとめると図5に示すように、ウォームギヤ機構44は、トルク伝達用ウォームホイール48に対して補助ウォームホイール49の中心部分を回転を規制して取付けたので、ウォーム47の回転力が補助ウォームホイール49に伝わるときに、次のような分力が働く。すなわち、図10に示すように、ウォーム47の歯131の圧力角αに応じて、補助ウォームホイール49の歯113には、歯先がウォーム47の径外方へ変位する方向の分力が働く。この分力により、補助ウォームホイール49は付勢部材111の付勢力に抗して、トルク伝達用ウォームホイール48から離れる方向に変位する。上記分力に対して、付勢部材111の付勢力は抵抗力となる。
従って、図11に示すように抵抗力に抗して、先にウォーム47で補助ウォームホイール49が離れる方向に変位させながら、遅れてウォーム47でトルク伝達用ウォームホイール48を回し始めることができる。この結果、ウォーム47の歯131をトルク伝達用ウォームホイール48の歯103に緩やかに当てることができる。このため、ウォームギヤ機構44の耐久性を、より一層高めることができる。しかも、バックラッシB2を除去することができるので、ウォーム47とトルク伝達用ウォームホイール48との間の、歯131,103同士の打音の発生を、より抑制することができる。
このように、ウォーム47の歯131と補助ウォームホイール49の歯113との間のバックラッシB1を、ウォーム47の歯131とトルク伝達用ウォームホイール48の歯103との間のバックラッシB2,B2よりも小さく設定し、トルク伝達用ウォームホイール48に補助ウォームホイール49を重ね合わせるとともに、トルク伝達用ウォームホイール48側に補助ウォームホイール49を付勢部材111にて付勢するだけの簡単な構成によって、ウォームギヤ機構44の耐久性を高めることができる。
しかも、バックラッシB2,B2を除去して、ウォーム47とトルク伝達用ウォームホイール48との間の、歯131,103同士の打音の発生を抑制することができる。
ところで、ウォームギヤ機構44を組立てた時点においては、図10(a),(b)に示すように弾性アーム123・・・により、ホイール本体112の歯113をウォーム47の歯底133へ向かって、すなわち矢印Sp方向へ一定の付勢力で付勢しておく、いわゆる予圧(「プリロード」とも言う)を付与しておく必要がある。ウォームギヤ機構44を最適な作動状態にするためである。次に、ウォーム47に対して補助ウォームホイール49に予圧を付与する手順について、図5及び図12に基づき説明する。
図12(a),(b)は本発明に係るウォームギヤ機構の予圧調整手順を説明する説明図である。(a)はウォームギヤ機構44の要部を断面した斜視図である。(b)は(a)のb−b線断面図である。
先ず、図5に示すように、ウォームギヤ機構44を組み立てた後に、ナット145を緩めておく。
次に、図12に示すように、補助ウォームホイール49の治具挿入孔127に治具151を挿入し、この治具151を矢印R1方向へ若干回す。この結果、補助ウォームホイール49を矢印R1方向へ若干回すことができる。
このようにして、ウォーム47の歯131に対する補助ウォームホイール49の歯113の当たり具合いを調整(すなわち、位置決め)することができる。さらには、ウォーム47に対して補助ウォームホイール49に予圧を付与することができる。
次に、図5に示すナット145を締め込むことで、トルク伝達用ウォームホイール48に補助ウォームホイール49を固定して、予圧調整作業を完了する。この結果、ウォーム47並びにトルク伝達用ウォームホイール48に対して、補助ウォームホイール49の歯113・・・の位置を合わせることができる。
ところで、図12に示すように、補助ウォームホイール49を矢印R1方向へ回すと、補助ウォームホイール49の歯113における右の歯面113bは、ウォーム47の歯131における左の歯面131aを押す。その押す力をw0としたときに、補助ウォームホイール49の右の歯面113bには反力w1が作用する。この反力w1に応じて、右の歯面113bには水平分力w2及び垂直分力w3が作用する。
すなわち、ウォーム47の歯131の圧力角αに応じて、右の歯面113bには、補助ウォームホイール49の回転を戻そうとする戻し力w2と、補助ウォームホイール49の歯先113cをウォーム47の径外方(矢印R3方向)へ変位させようとする変位力w3とが働く。
この変位力w3により、補助ウォームホイール49は付勢部材111の付勢力に抗して、矢印R3方向へ変位する。このときの変位力w3が、補助ウォームホイール49に付与される予圧となる。
このように、補助ウォームホイール49に最適な予圧を付与することによって、ウォームギヤ機構44の各部の寸法誤差(加工誤差、組立誤差など)を十分に吸収することができる。ウォーム47の歯131と補助ウォームホイール49の歯113との間にバックラッシが発生せず、このバックラッシによる余分な遊びがなくなる。この結果、ウォーム47の歯131及びトルク伝達用ウォームホイール48に対し、付勢部材111を介して補助ウォームホイール49をスムースに安定して付勢することができる。電動パワーステアリング装置10(図1参照)においては、操舵フィーリングが高まる。
ところで、上述のように弾性アーム123・・・は、基端124から先端125にかけて先細り状であるから、「基端124から先端125まで同一形状である場合」(比較例)に比べて、大きく撓み易い。つまり、弾性アーム123・・・の先端125に作用する荷重(予圧を調整する力)の変化に対して、先端125の変位量は大きい。このように、荷重当たりの変位量が大きいので、容易に予圧を調整することができる。従って、予圧の調整作業が容易になる。
さらには、図7に示すように、内円部122の板面122aに対し外円部121の板面121aを略平行にした構成である。しかも、ホイール本体112に対する外円部121の組込み精度は、十分に確保されている。このため、概ね皿ばね状の付勢部材111を採用したにもかかわらず、内円部122の板面122aに対するホイール本体112の歯113(補助ウォームホイール49の歯113)の、位置や角度の精度を十分に確保することができる。
従って、図10に示すように、ウォーム47の歯131に対して補助ウォームホイール49の歯113が離れる方向(矢印R3方向)へ変位した場合であっても、歯131,113同士の良好な噛み合わせ状態を、十分に維持することができる。つまり、歯131,113同士の歯当たりが大幅に変化することはない。
次に、上記構成の補助ウォームホイール49の製造方法について、図13に基づき説明する。図13(a)〜(e)は本発明に係る補助ウォームホイールの製造方法の説明図である。図13に示すように、補助ウォームホイール49の製造方法は、次の第1工程から第5工程までを有している。
先ず、(a)に示すように、付勢部材111を板ばねにて成形して予め準備する(第1工程)。
上記第1工程の次に、(b)に示すように、ホイール本体112を樹脂材料にて成形する(第2工程)。この第2工程は、一次成形をする工程である。
上記第2工程の次に、(c)に示すように、ホイール本体112をアニーリング処理する(第3工程)。アニーリング処理とは、成形された樹脂成形品を、その樹脂の溶融温度よりも低温で加熱することによって、成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去する熱処理のことである。
上記第3工程の次に、(d)に示すように、ホイール本体112に付勢部材111を位置決めする(第4工程)。この第4工程においては、載置部114に外円部121の板面を重ね合わせることで、ホイール本体112に対して付勢部材111を位置決めすることができる。
上記第4工程の次に、(e)に示すように、ホイール本体112に付勢部材111を固定するべく固定部分、つまり、固定部115・・・を樹脂材料にて再び成形して(第5工程)、補助ウォームホイール49の製造を完了する。この第5工程は、二次成形をする工程である。第5工程においては、付勢部材111をセットした状態のホイール本体112を成型用金型に入れた後に、部分的に二次成形をすることによって、ホイール本体112に付勢部材111を一体的に固定することができる。
なお、上記第1工程は、上記第3工程の直前までに実施すればよい。
さらには、ホイール本体112を成形するとき、及び、固定部115・・・を成形するときの成形温度Tmは、補助ウォームホイール49の実際の使用温度Tuよりも高温に設定したことを特徴とする。
例えば、図1に示すウォームギヤ機構44を、車両の電動パワーステアリング装置10に採用した場合には、車両のエンジンルーム内の温度、つまり、実際の使用温度Tuは70℃にも上昇し得る。実際の使用温度Tuが70℃程度であるときには、成形温度Tmを80℃以上に設定すればよい。このような条件の場合には、樹脂材料として、溶融温度が100℃以上であるナイロン樹脂を採用するとともに、成形温度Tmをナイロン樹脂の溶融温度以上に設定すればよい。
以上の補助ウォームホイール49の製造についてまとめると、次の通りである。
すなわち、樹脂材料を用いてホイール本体112を成形(一次成形)した後に、ホイール本体112をアニーリング処理することにより、ホイール本体112の成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去することができる。
このように、熱歪みや残留応力が除去されたホイール本体112に、板ばね製の付勢部材111を固定するべく固定する一部分、すなわち固定部115・・・だけを樹脂材料にて再び成形(二次成形)したのであるから、一次成形時のような大きい熱歪みや残留応力が、ホイール本体112に残存することはない。
従って、ホイール本体112及び付勢部材111に、熱歪みや残留応力の影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しない。この結果、補助ウォームホイール49を含むウォームギヤ機構44(図1参照)全体の耐久性を、より高めることができる。
しかも、ホイール本体112及び付勢部材111に、熱歪みや残留応力の影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しないので、予圧を調整した後に、その予圧を長期にわたって維持することができる。このため、図9に示すウォーム47の歯131に対する補助ウォームホイール49の歯113の摩擦抵抗を抑制して、円滑な接触状態で維持することができる。
さらには、樹脂材料にてホイール本体112を成形するときの成形温度Tmを、補助ウォームホイール49の実際の使用温度Tuよりも高温に設定したので、実際の使用温度Tuでホイール本体112に新たな発生する熱歪みを抑制することができる。
従って、ホイール本体112及び付勢部材111に、新たな発生する熱歪みの影響による寸法の変化が発生せず、寸法の変化による応力も発生しない。この結果、補助ウォームホイール49を含むウォームギヤ機構44全体の耐久性を、より高めることができる。
しかも、ホイール本体112及び付勢部材111に、新たな発生する熱歪みの影響による寸法の変化が発生しないので、予圧を調整した後に、その予圧を長期にわたって維持することができる。このため、ウォーム47の歯131に対する補助ウォームホイール49の歯113の摩擦抵抗を抑制して、円滑な接触状態で維持することができる。
このようなウォームギヤ機構44を、電動パワーステアリング装置10において、電動モータ43で発生したトルクをステアリング系20(図1参照)に伝達する動力伝達機構として採用したので、電動パワーステアリング装置10の良好な操舵感覚(操舵フィーリング)を、長期にわたって維持することができる。
本発明の製造方法にて製造された補助ウォームホイールを有したウォームギヤ機構は、ステアリングハンドルで発生した操舵トルクを操舵トルクセンサにて検出し、この操舵トルクセンサの検出信号に応じて電動モータが補助トルクを発生し、この補助トルクを前記ウォームギヤ機構を介してステアリング系に伝える車両用電動パワーステアリング装置に好適である。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。 本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 図2の3−3線断面図である。 図2の4−4線断面図である。 本発明に係るウォームギヤ機構の断面図である。 本発明に係るウォームギヤ機構の分解図である。 本発明に係る補助ウォームホイールの要部を拡大した斜視図である。 図7の8−8線断面図である。 本発明に係るウォームギヤ機構の平面図である。 本発明に係るウォームギヤ機構におけるウォームと補助ウォームホイールとの噛み合い状態を示す構成図兼作用図である。 本発明に係るウォームギヤ機構におけるウォームとトルク伝達用ウォームホイールと補助ウォームホイールとの噛み合い状態を示す構成図兼作用図である。 本発明に係るウォームギヤ機構の予圧調整手順を説明する説明図である。 本発明に係る補助ウォームホイールの製造方法の説明図である。
符号の説明
44…ウォームギヤ機構、47…ウォーム、48…トルク伝達用ウォームホイール、49…補助ウォームホイール、103…トルク伝達用ウォームホイールの歯、111…付勢部材、113…補助ウォームホイールの歯(ホイール本体の歯)、114…載置部、115…固定部分(固定部)、121…外円部、121a…外円部の板面、122…内円部、122a…内円部の板面、123…弾性アーム、124…弾性アームの基端、125…弾性アームの先端、131…ウォームの歯、132…ウォームの歯先、133…ウォームの歯底、B2…バックラッシ。

Claims (4)

  1. ウォームギヤ機構に、ウォームの歯とトルク伝達用ウォームホイールの歯との間の、バックラッシを除去する補助ウォームホイールを設け、この補助ウォームホイールを、前記ウォームに噛み合う歯を有した環状のホイール本体と、このホイール本体の歯をウォーム側へ付勢する付勢部材とで構成した、補助ウォームホイールの製造方法であって、
    前記補助ウォームホイールの製造方法は、前記付勢部材を板ばねにて成形して予め準備する工程と、前記ホイール本体を樹脂材料にて成形する工程と、次に前記ホイール本体をアニーリング処理する工程と、次に前記ホイール本体に前記付勢部材を位置決めする工程と、次に前記ホイール本体に前記付勢部材を固定するべく固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程と、を有していることを特徴とした補助ウォームホイールの製造方法。
  2. ウォームギヤ機構に、ウォームの歯とトルク伝達用ウォームホイールの歯との間の、バックラッシを除去する補助ウォームホイールを設け、この補助ウォームホイールを、前記ウォームに噛み合う歯を有した環状のホイール本体と、このホイール本体の歯をウォーム側へ付勢する付勢部材とで構成した、補助ウォームホイールの製造方法であって、
    前記補助ウォームホイールの製造方法は、前記付勢部材を板ばねにて成形して予め準備する工程と、前記ホイール本体を樹脂材料にて成形する工程と、次に成形された樹脂成形品を、その樹脂の溶融温度よりも低温で加熱することによって、成形後に残存していた熱歪みや残留応力を除去する熱処理をする工程と、次に前記ホイール本体に前記付勢部材を位置決めする工程と、次に前記ホイール本体に前記付勢部材を固定するべく固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程と、を有し、
    前記ホイール本体は樹脂材料にて成形するものであり、このホイール本体を成形するときの成形温度を、前記補助ウォームホイールの実際の使用温度よりも高温に設定したことを特徴とする補助ウォームホイールの製造方法。
  3. 前記ホイール本体は樹脂材料にて成形するものであり、このホイール本体を成形するときの成形温度を、前記補助ウォームホイールの実際の使用温度よりも高温に設定したことを特徴とする請求項1記載の補助ウォームホイールの製造方法。
  4. 前記ホイール本体に前記付勢部材を固定するべく前記固定部分を樹脂材料にて再び成形する工程では、前記固定部分を前記ホイール本体の周方向に等間隔に複数個成形することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の補助ウォームホイールの製造方法。
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