JP4670190B2 - 開閉体の挟み込み検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の可動屋根、昇降窓やスライドドア等の開閉体の挟み込み検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の挟み込み検知装置としては、特開平8−199905号公報に示されるものが知られている。これは、ドア(固定構造体)の窓ガラス(開閉体)を可動すべく窓ガラスを駆動するモータ(回転駆動手段)と、モータの所定回転毎にパルスを出力するパルス発生器(パルス発生手段)と、パルス発生器が出力するパルスの周期に基づいて窓ガラスの可動中にドアと窓との間に異物(物体)が挟み込まれたことを検知する制御手段とを有するものである。
【0003】
この従来装置の制御手段は、パルス発生器が出力するパルスを入力し、最新のパルスを入力してからの経過時間が一定の基準時間に達したか否かを判定し、この判定結果を基に異物の挟み込みの有無を検知する経過時間判定手段を備えている。そして、経過時間判定手段によって異物の挟み込みが検知されると、制御手段は、モータの駆動を停止及び反転させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来装置であると、経過時間判定手段によって一定の基準時間を経過しないと挟み込みを検知することができないので、実際に異物を挟み込んだ瞬間から一定の基準時間が経過するまでは、挟み込まれた異物にモータからのトルクが作用し続けることになる。
【0005】
故に、本発明は、物体を挟み込んだ瞬間からより短い時間で挟み込みを検知できるようにすることを、その技術的課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、制御手段を、パルス発生手段が出力するパルスの周期に基づいて回転駆動手段の回転数を算出するとともに算出した該回転数とあらかじめ定められた許容回転数とを比較して算出した前記回転数が前記許容回転数より小さくなった場合に前記物体の挟み込みを検知し、前記パルス発生手段がパルスを出力していない時、前記パルス発生手段が最後に出力したパルスから所定時間後における前記回転駆動手段の想定回転数を前記制御手段の動作ルーチン毎に算出するとともに算出した前記想定回転数と前記許容回転数とを比較して前記想定回転数が前記許容回転数より小さくなった場合に物体の挟み込みを検知するよう構成した、ことである。
【0007】
この技術的手段によれば、制御手段の動作ルーチン毎でリアルタイムに物体の挟み込みを検知し得る。よって、従来に比べて、物体を挟み込んだ瞬間からより短い時間で挟み込みを検知できるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本実施の形態においては、挟み込み検知装置を車両のサンルーフ装置に適用した場合で説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、ウインドガラスを昇降させる車両のウインドレギュレータ装置、ドアをスライド動作させる車両のドア開閉装置、車両のルーフ全体を可動させるルーフ開閉装置等にも適用できる。
【0009】
図1に示されるように、車両1のルーフパネル11には、開口12が形成されておおり、さらに、開口12を閉鎖及び開放する可動パネル2が可動自在に支持されている。この可動パネル2は、公知のスライド機構(図示せず)により車両1の前後方向にスライド動作し、公知のチルト機構(図示せず)により車両の上下方向にチルト動作する。又、可動パネル2を可動させる駆動機構3は、開口12より前方でルーフパネル11に取り付けられている。この駆動機構3は、正逆回転可能な電動モータ31と減速ギヤユニット32とが一体とされた構造となっており、減速ギヤユニット32の出力軸(図示せず)をスライド機構及びチルト機構とギヤドケーブル(図示せず)等を介して連係させている。そして、電動モータ31を後述するコントローラ4により駆動制御することで、可動パネル2がスライド動作又はチルト動作(以下、単に可動パネル2の可動という)して開口12を開閉する。尚、可動パネル2のチルト動作は、可動パネル2の閉方向のスライド動作に連続して開方向にチルト動作し、可動パネル2の開方向のスライド動作に連続して閉方向にチルト動作する。
【0010】
図2に示されるように、コントローラ4は、内部に電動モータ31を駆動制御するためのプログラムを記憶したリードオンリーメモリ(ROM)、プログラム処理に必要な数値を記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、後述するホール素子5が出力するパルスの周期を計時するタイマ及び駆動電源としての車載バッテリBATから入力される駆動電源電圧としてのバッテリ電圧等のアナログ値をデジタル値に変換するA/D変換器等を備えたセントラルプロセッシングユニット(CPU)41と、入力信号に対してCPU41との電気的整合性をとる入力インターフェース(入力I/F)42と、電動モータ31の回転方向を正回転(可動ルーフ2を開方向にスライド動作させる)または逆回転(可動ルーフ2を閉方向にスライド動作させる)させるリレー43と、車載バッテリBATから電源(通常、12V)が供給され、安定した一定電圧(例えば、5V)が作られる電源回路44とから構成される。そして、電源回路44により作られた一定電圧は、CPU41に供給され、また、入力I/F42には、バッテリ電圧が供給される。
【0011】
CPU41には、可動パネル2の位置を検出する位置検出スイッチ6が出力する信号(以下、単に位置検出スイッチ6からの信号という)及び可動パネル2の可動を指示する手動の操作スイッチ7が出力する信号(以下、単に操作スイッチ7からの信号という)を入力I/F42を介して入力している。CPU41は、操作スイッチ7及び位置検出スイッチ6からの信号に基づいて、リレー43に対して電動モータ31を駆動する信号を出力し、リレー43の通電状態及び通電方向を切り替えることにより、電動モータ31を正回転、逆回転及び停止させる。
【0012】
CPU41には、ホール素子5が出力するパルスが入力I/F42を介して入力されている。ホール素子5は、電動モータ31の回転軸に設けられた磁石(図示せず)が1回転するにつき1パルスを出力しており、これにより、ホール素子5は、電動モータ31の回転に同期してオン/オフが交互に繰り返されるパルス信号を出力することになる。CPU41は、ホール素子5が出力するパルス信号の各パルスエッジ(以下、単にエッジという)を検出し、タイマによって複数のエッジ間の時間的間隔を計時することで、このパルス信号の周期を取得して、これにより、電動モータ31の回転数を算出している。そして、CPU41は、算出した電動モータ31の回転数の変動に基づいて開口12を閉鎖するために閉方向に可動している可動パネル2とルーフパネル11との間に物体が挟み込んだか否かを判定している。つまり、CPU41は、可動パネル2とルーフパネル11との間に物体(例えば手や物)が挟み込まれた場合、電動モータ31の回転が抑制され、その回転数が減少することを利用して、挟み込み判定を行なっている。
【0013】
次にCPU41が行なう挟み込み判定について、図3ないし図5を参照して説明する。
【0014】
図3ないし図5では、一例として、3種類の挟み込み判定を示している。図3は、ホール素子5が出力するパルス信号を示している。ホール素子5が出力するパルス信号は、高電位(Hi)、低電位(Lo)を交互に発生させているため、CPU41は、タイマが計時する前々回の2エッジ前と今回のエッジ(最新のエッジ)が発生するまでの間の時間から、このパルス信号の周期(最新周期)Tnを取得できる。そして、CPU41は、この周期Tnの値から電動モータ31の回転数Rnを算出し、挟み込み判定を行なう際において、基準となる回転数(基準回転数)Rb及び基準回転数Rbに対して許容される変動の回転数(許容回転数)Rthを決定している。
【0015】
図6に示されるように、通常、電動モータ31は、その発生トルクと回転数の関係において、電動モータ31を駆動する電圧が一定である場合には、負の相関(例えば、電動モータ31の回転数が大きくなると、電動モータ31の発生トルクは小さくなり、逆に、回転数が小さくなると、発生トルクが大きくなるという特性)を示す。よって、電動モータ31の現在の回転数Rnが許容回転数Rth以下に変動することで、電動モータ31の現在の発生トルクFnが許容回転数Rthでの発生トルク(基準発生トルク)Fth以上に変動したことになる。電動モータ41の発生トルクの変動は、ルーフパネル11と可動パネル2との間に物体が挟み込まされた際の挟み込み荷重となるので、結果、CPU41は、許容回転数Rthと現在の回転数Rnとを比較判定することで、一定の挟み込み荷重以下での挟み込み判定が可能となる。つまり、CPU41は、挟み込み判定を行なう際のパラメータとなる挟み込み荷重ΔFthを電動モータ41の回転数で代用して、挟み込み判定を行なう。
【0016】
より詳しく説明する。電動モータ31の現在の発生トルクFnと基準発生トルクFbとの差をΔFとし、現在の回転数をRn、基準回転数Rbとの差をΔRとした場合、回転速度と発生トルクは負の相関を持っており且つ回転速度と回転数は正の相関を持っているので、
{Fn−Fb}/{Rb−Rn}=kr(一定)と表現できる。
【0017】
そこで、ΔF={Fn−Fb}と置くと、
Rn=Rb−ΔF/Krという関係式(式1)が得られる。
【0018】
ここで、ΔFを挟み込み荷重ΔFthとし、さらに、挟み込み荷重ΔFthのときの電動モータ41の回転数(許容回転数)をRthとすると、
Rth=Rb−ΔFth/krという関係式(式2)となる。
【0019】
この式2から、
ΔF≦ΔFth⇔Rn≧Rth
ΔF>ΔFth⇔Rn<Rth
という関係式(式3)が得られる。
【0020】
つまり、電動モータ31に挟み込み荷重ΔFth以上の発生トルクFnが生じた場合、電動モータ31の回転数Rnは、挟み込み荷重Δth時の電動モータ31の回転数(許容回転数)Rthよりも小さくなる。従って、現在の電動モータ31の回転数Rnと許容回転数Rthとを比較判定することで前述したように、CPU41の挟み込み判定が行なわれることになる。
【0021】
図4及び図5は、ホール素子5が出力するパルス信号を示している。ホール素子5が出力するパルス信号は、高電位(Hi)、低電位(Lo)を交互に発生させるが、電動モータ31の回転数が急激に変化してLoのままとなっている。CPU41は、タイマが計時する前々回の2エッジ前から現在までの時間Tpから電動モータ31の回転数Rpを想定している。電動モータ31の回転数は、時間に対して反比例の関係にある。つまり、電動モータ31の回転数は、電動モータ31の回転数と経過時間との所定の曲線(以下、単にRp曲線という)に従って単調減少する。従って、CPU41は、このRp曲線に基づいて時間Tpに対する想定回転数Rpを算出することになる。そして、CPU41は、許容回転数thと想定回転数Rpとを比較判定することで、一定の挟み込み荷重以下での挟み込み判定を行なっている。
【0022】
図5は、さらに、タイマが計時する直前のエッジから現在までの時間TeからRe曲線に基づいて電動モータ31の回転数Reを想定している。従って、CPU41は、時間Tp、Teに対する想定回転数Rp、Reを算出することになる。そして、CPU41は、許容回転数Rthと想定回転数Reとを比較判定することで、一定の挟み込み荷重以下での挟み込み判定を行なっている。
【0023】
次に、図7ないし図9に示されるフローチャートを参照して、本実施の形態におけるコントローラ4のCPU41が行う挟み込み判定の処理を説明する。
【0024】
CPU41に電源が供給されると、CPU41は、内部のROMの中に記憶されるプログラムを実行する。まず、最初に、ステップS1にて、CPU41の初期化を行う。初期化では、CPU41の状態の設定、メモリ(ROM、RAM)のチェック、入出力ポートの設定、タイマの設定等を行い、ステップ2〜27までの処理をメインルーチンと称し、所定周期で実行される。この場合、メインルーチンの周期は、ホール素子5が出力するパルス信号のエッジ間の間隔(エッジ幅)に対して、十分に短い時間としている。
【0025】
ステップS2では、CPU41に入力される位置検出スイッチ6及び操作スイッチ7の入力処理を行う。ここでは、CPU41に入力される信号(位置検出スイッチ6及び操作スイッチ7からの信号、ホール素子5及び電源回路43からの電圧信号)を入力し、必要なメモリに記憶する。次のステップS3では、現在の可動パネル2の可動状態が挟み込み判定を行う可動状態であるか判定を行う。つまり、電動モータ31を正回転させて可動ルーフ2が開方向へ可動中の場合には挟み込み判定を行わず、ステップS26に移る。一方、電動モータ31を逆回転させて可動ルーフ2が閉方向に可動中の場合は、ステップS4以降の挟み込み判定の処理を行う。
【0026】
次のステップS4では、現在、電動モータ31が安定に回転しているか否かの判定を行う。ここでは、電動モータ31の回転が電動モータ31への通電開始から所定時間経過するまでの安定しない状態を過渡期としている。そこで、過渡期における電動モータ2の回転数の変化を誤って挟み込み判定としないようにするため、過渡期では、挟み込み判定の処理を行わず、電動モータ31の回転が安定してから挟み込み判定を行うようにしている。したがって、ステップS4にて電動モータ31の回転が過渡期の状態であると判断した場合(起動マスク中の場合)には、ステップS26に移り、電動モータ31の回転が過渡期を過ぎて安定している場合は、ステップS5に移って、挟み込み判定の処理を行う。
【0027】
ステップS5では、ホール素子5が出力するパルス信号のエッジが有るか否かの判定を行う。このエッジの有無に基づいて、挟み込み判定の処理の状態をわけることにより、メインルーチンを実行する時間が低減できる。ステップS5において、CPU41がホール素子5からのパルス信号のエッジを検出した場合には、ステップS6に移るが、エッジを検出していない場合には、ステップS17に移る。
【0028】
ステップS6では、CPU41は、エッジを検出する毎にホール素子5からのパルス信号の周期Tnを取得し、メモリに保存する。この周期Tnは、CPU41がパルス信号のエッジがいわゆる立ち上がりエッジの時にエッジの検出を行う場合には、連続する2つの立ち上がりエッジ間の時間とする。
【0029】
ステップS7では、CPU41は、パルス信号のエッジを検出する毎に、収得した周期Tnから電動モータ31の現在の回転数Rnを算出し、一定期間(例えば、6エッジ間)の回転数データをメモリに保存する。具体的には、6エッジ間の回転数データを保存するメモリ領域及びメモリ上のデータ格納位置を示すポインタからなるリングバッファ構造を用いて、電動モータ31の現在の回転数Rnの算出時に、ポインタの示す6エッジ前の電動モータ31の回転数Rn−6の回転数データを取得し、別のメモリ領域上に保存する。そして、ポインタの示すメモリ領域に算出した電動モータ31の現在の回転数Rnを保存し、ポインタの値を次の回転数データを示すように更新する。この処理により、メモリ上のデータの移動を行う必要がなく,演算処理時のCPU41の負荷を少なくできる。
【0030】
ステップS8では、電動モータ31の現在の回転数Rnの変動状態のチエックを行う。前述したように、挟み込みが発生している時には、現在の回転数Rnが過去の回転数より減少しているので、挟み込み判定の処理は、回転数が減少している場合のみ実施すればよいことになる。本実施の形態では、電動モータ31の現在の回転数Rnが過去の回転数より増加している際には、挟み込み判定の基準となる基準回転数Rbを算出している。このように、電動モータ31の回転数Rnの変動状態を基にして挟み込み判定の処理を分けるこにより、メインルーチンを実行する時間が低減できる。本実施の形態では、電動モータ31の現在の回転数Rnの過去の回転数に対する変動を、6エッジ前の回転数Rn−6と現在の回転数Rnとの大小関係を比較して判定し、現在の回転数Rnが6エッジ前の回転数Rn−6より大きい場合には、ステップS9に移り、小さい場合には、ステップS11に移る。
【0031】
ステップS9では、CPU41は、電動モータ31の現在の回転数Rnを基準回転数Rbとして設定し、メモリ上に保存する。そして、CPU41は、ステップS10にて、基準回転数Rbから許容回転数Rthを算出した後、ステップS26に移る。尚、許容回転数Rthは、Rth=Rb−ΔFth/krで表され、ΔFthは、一定の値の挟み込み荷重であり、Krも一定の値である。よって、許容回転数Rthは、減算のみで算出が可能であり、CPU41の演算処理時のCPU41の負荷を少なくできる。
【0032】
ステップS11では、CPU41に供給される電源電圧が変動した場合や悪路を走行している場合などにより、電動モータ31の現在の回転数Rnが変動して、誤って挟み込み判定しないように、挟み込み荷重値ΔFthつまり許容回転数Rthを補正している。この後、ステップS12に移る。尚、補正方法は、許容回転数Rthに所定の補正量を減算することにより、実施している。
【0033】
ステップS12では、CPU41は、補正された許容回転数Rthと現在の回転数Rnに基づいて挟み込み判定を行う。現在の回転数Rnが許容回転数Rthよりも小さい場合には、挟み込みが発生した(挟み込みを検知した)として、ステップS14に移り、現在の回転数Rnが許容回転数Rthよりも大きい場合には、挟み込みが発生していない(挟み込みが検知されていない)として、ステップS13に移る。
【0034】
ステップS13では、CPU41は、挟み込みを検知した回数をカウントするカウンタの値を零クリアして、ステップS126に移る。ステップS14では、CPU41は、カウンタの値を加算して、その後、ステップS15にて、カウンタの値が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であれば、ステップS16に移って挟み込みの検知を確定して、ステップS26に移り、所定値以下であれば、挟み込み検知を確定せずに、ステップS26に移る。このように、挟み込みを検知した回数をカクントしつつ挟み込みを検知した回数が所定回数以上になるまで間で一回でも挟み込みが検知されない場合は、零クリアしているので、挟み込みの検知の確定は、所定回数以上の挟み込みが連続して検知された時となる。尚、挟み込みの検知の確定において、CPU41は、リレー43を非通電状態とするオフ信号をリレー43に対して出力して、可動ルーフ2を閉方向に可動させるために逆回転している電動モータ31の駆動を停止させるとともに、挟み込みの検知を確定したことを示すフラグをセットする。ステップS26では、CPU41は、このフラグを参照して、可動ルーフ2を開方向に可動させるために駆動モータ31を逆回転させるべくリレー43へ出力する信号をメモリ上に記憶する。そして、ステップS27にて、メモリ上に記憶された信号をリレー43に対して出力して、駆動モータ31を逆回転させるべくリレー43を通電状態とする。
【0035】
ステップS5にてホール素子5が出力するパルス信号のエッジを検出せず、ステップS17に移った場合、ステップS17では、CPU41は、ステップS11と同様に許容回転数Rthを補正して、ステップS18に移る。
【0036】
ステップS18では、CPU41は、最後に検出したエッジから現在までの時間Teを取得して、ステップS19に移る。時間Teは、ステップS5にてエッジが検出する毎にCPU41のタイマをスタートさせて計時され、随時メモリに保存されている。
【0037】
ステップS19では、時間Teから電動モータ31の現在の想定回転数Reを算出して、ステップS20に移る。
【0038】
ステップS20では、CPU41は、補正された許容回転数Rthと現在の想定回転数Reに基づいて挟み込み判定を行う。現在の想定回転数Reが許容回転数Rthよりも小さい場合には、挟み込みが発生した(挟み込みを検知した)として、ステップS25に移り、現在の想定回転数Reが許容回転数Rthよりも大きい場合には、挟み込みが発生していない(挟み込みが検知されていない)として、ステップS21に移る。
【0039】
ステップS21では、CPU41は、最後から2番目に検出したエッジから現在までの時間Tpを取得して、ステップS22に移る。時間Tpは、ステップS5にてエッジが検出する毎にCPU41のタイマをスタートさせて計時され随時メモリに保存されている。
【0040】
ステップS22では、時間Tpから電動モータ31の現在の想定回転数Rpを算出して、ステップS23に移る。
【0041】
ステップS23では、CPU41は、補正された許容回転数Rthと現在の想定回転数Rpに基づいて挟み込み判定を行う。現在の想定回転数Rpが許容回転数Rthよりも小さい場合には、挟み込みが発生した(挟み込みを検知した)として、ステップS25に移り、現在の想定回転数Rpが許容回転数Rthよりも大きい場合には、挟み込みが発生していない(挟み込みが検知されていない)として、ステップS24に移る。
【0042】
ステップS24では、CPU41は、挟み込みの検知が既に所定回数より1回少ない回数n−1まで行われたか否かをカウンタの値から判定し、回数n−1まで挟み込みを検知されている場合には、ステップS25に移り、検知されていない場合には、ステップS26に移る。
【0043】
ステップS25では、ステップS16と同様に、CPU41は、挟み込みの検知を確定してリレー43を非通電状態とするオフ信号をリレー43に対して出力して、可動ルーフ2を閉方向に可動させるために逆回転している電動モータ31の駆動を停止させるとともに、挟み込みの検知を確定したことを示すフラグをセットする。そして、この後、ステップS16と同様に、ステップS26に移る。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態においては、ホール素子5が出力するパルス信号のエッジがCPU41にて検出されない場合においても、CPU41は、最後に検出したエッジからの経過時間Teをタイマにて計時し、メインルーチン毎に、この時間に基づいて電動モータ31の回転数Reを想定して挟み込み判定を行う。これにより、物体を挟み込んだ瞬間からより短い時間で挟み込みを検知できるようになり、急激な挟み込み荷重の増加を抑えることができる。又、CPU41は、最後に検出したエッジからの経過時間Teに加えて最後から2盤面に検出したエッジからの経過時間Tpに基づいても回転数Rpを想定して挟み込み判定を行う。これにより、物体を挟み込んだ瞬間からより短い時間で挟み込みを検知しつつ誤った挟み込み判定を防止することができる。
【0045】
本実施の形態においては、請求項1に記載されたパルス発生手段として、電動モータの回転に同期したパルスを出力するホール素子5を用いているが、これに限らず、モータの回転のリップル成分に基づいてパルスを出力する回路等、電動モータ31の回転に同期したパルスを出力するものであればどのような形態のものであっても良い。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、パルス発生手段がパルスを出力していないときにおいても、制御手段によって最後に出力したパルスから所定時間後における回転駆動手段の想定回転数を動作ルーチン毎に算出するので、制御手段の動作ルーチン毎でリアルタイムに物体の挟み込みを検知することができる。これにり、従来に比べて、物体を挟み込んだ瞬間からより短い時間で且つ安定した挟み込み荷重で挟み込みを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置が搭載されるサンルーフ装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置を示す回路図である。
【図3】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置により挟み込み判定を行う説明図である。
【図4】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置により挟み込み判定を行う説明図である。
【図5】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置により挟み込み判定を行う説明図である。
【図6】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置により挟み込み判定を行う回転駆動手段の回転速度と発生トルクの関係を示す表である。
【図7】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置の作動を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置の作動を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る開閉体の挟み込み検知装置の作動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 可動パネル(開閉体)
4 コントローラ(制御手段)
5 ホール素子(パルス発生手段)
11 ルーフパネル(固定構造体)
31 電動モータ(回転駆動手段)

Claims (1)

  1. 固定構造体に形成された開口を閉鎖及び開放可能な開閉体を可動すべく該開閉体を駆動する回転駆動手段と、該回転駆動手段の所定回転毎にパルスを出力するパルス発生手段と、該パルス発生手段が出力するパルスの周期に基づいて前記開閉体の可動中に前記固定構造体と前記開閉体との間に物体が挟み込まれたことを検知する制御手段とを有する開閉体の挟み込み検知装置において、
    前記制御手段は、
    前記パルス発生手段が出力するパルスの周期に基づいて前記回転駆動手段の回転数を算出するとともに算出した該回転数とあらかじめ定められた許容回転数とを比較して、算出した前記回転数が前記許容回転数より小さくなった場合に前記物体の挟み込みを検知し、
    前記パルス発生手段がパルスを出力していない時、前記パルス発生手段が最後に出力したパルスから所定時間後における前記回転駆動手段の想定回転数を前記制御手段の動作ルーチン毎に算出するとともに算出した前記想定回転数と前記許容回転数とを比較して、前記想定回転数が前記許容回転数より小さくなった場合に前記物体の挟み込みを検知するよう構成した、
    開閉体の挟み込み検出装置。
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