JP2004232280A - 開閉体の挟み込み検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても、挟み込み検知を正しく行う。
【解決手段】サンルーフ22に対して、開閉駆動を行うモータ2の回転速度をモータ回転数センサ7より検出し、回転速度の低下に基づいてサンルーフ22の開閉動作時の挟み込みを検知する装置において、サンルーフ22の開閉位置に対応した回転速度の微分値を予め記憶する(S7)。そして、モータ2の実回転速度Nraの微分値を積分して回転速度を補正し、補正した回転速度Nfd(n)を求める(S5)。そして、モータ2の補正された回転速度Nfd(n)が基準回転速度Nbから低下した低下量が挟み込み判定を行うしきい値を越えた場合に、挟み込みを検知する(S6)。
【選択図】 図3
【解決手段】サンルーフ22に対して、開閉駆動を行うモータ2の回転速度をモータ回転数センサ7より検出し、回転速度の低下に基づいてサンルーフ22の開閉動作時の挟み込みを検知する装置において、サンルーフ22の開閉位置に対応した回転速度の微分値を予め記憶する(S7)。そして、モータ2の実回転速度Nraの微分値を積分して回転速度を補正し、補正した回転速度Nfd(n)を求める(S5)。そして、モータ2の補正された回転速度Nfd(n)が基準回転速度Nbから低下した低下量が挟み込み判定を行うしきい値を越えた場合に、挟み込みを検知する(S6)。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口に取り付けられた開閉体装置の開閉体が開閉駆動する際の挟み込みを検知する挟み込み検知装置に関するものであり、特に、挟み込み検知装置の制御に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来、挟み込み検知装置は、例えば車両においてはサンルーフ装置やウィンドレギュレータ装置といった装置を駆動する際、開閉体(サンルーフ、窓ガラス等)駆動時における安全性を向上させるために付加される。この挟み込み検知装置は、開閉体をモータにより動作させる場合に、開閉体が開閉動作を行う範囲内で異物等を挟み込んだ状態をモータの回転速度から検出し、開閉体による挟み込みが検知されると、瞬時にして開閉体の開閉動作を停止またはモータを反転駆動することにより開閉体を逆方向に動作させることにより、安全性が確保されるものである。
【0003】
この様な挟み込みの検知は、モータの回転をホール素子等のセンサによって出力されるパルスから検出し、開閉体を駆動するモータの回転速度の変化に基づき挟み込み検知を行う。
【0004】
例えば、特許文献1には開閉体の駆動制御装置が開示されており、ここには、位置カウンタのカウント値毎に対応する閉動作速度の変化率を記憶する格納エリアが設定され、窓ガラスの閉動作時の変化率を記憶手段に予め記憶し、その記憶データに基づいて挟み込みの検知を行う様になっている。ここに示される装置では、窓ガラスが位置P3からP2に閉動作する際には、記憶手段から窓ガラスの位置に対応する前回の閉動作速度V3,V2の変化率V2/V3を記憶手段から読み出し、その変化率V2/V3と、現時点の位置P3にて検出された今回の閉動作速度V3(t)とに基づいて、位置P2での今回の閉動作速度V2’を予測する(V2’=(V2/V3)・V3(t))。その後、位置P2にて検出された今回の閉動作速度V2(t)と、予測速度V2’とを比較して、速度V2(t)が予測速度V2’よりも所定値以上に小さいときに挟み込みがなされたものと見なし、挟み込みの検出信号を出力する。
【0005】
つまり、上記した特許文献1では、窓ガラスの速度の変化率を作動抵抗として学習し、窓ガラス作動時の速度(最新速度)に学習時の変化率を乗算する。そして、窓ガラスを閉動作させる場合に閉動作速度の予測速度を求め、最新速度と比較することにより、挟み込み検知をする様になっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−269224号公報(段落[0033]〜[0034])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した挟み込み検知の方法を車両に適用した場合、以下に示す問題が生じる。つまり、車両において電源供給は、バッテリー(例えば、12V)から供給される。バッテリーは、接続される外部機器等の負荷状態やバッテリーの経年変化、使用環境等によってはバッテリーの電圧が低下して変動する。電圧変動が発生したバッテリーによって、開閉体がモータにより駆動されると、モータ速度に変動(例えば、バッテリーの電圧が低下するにつれて、モータの回転速度は低下する状態)が発生する。
【0008】
このため、速度変化率により開閉体の予測速度を求めて挟み込み検知を行うと、バッテリーの電圧が記憶した状態から変化してしまうと、速度変化率の学習時と実際に開閉体を動作させる作動時とでは速度変化率が異なってしまう。それ故に、速度変化率から開閉体の予測速度を求める方法では、予測速度を正確に求めることができず、挟み込み検知を正しく行うことができなくなってしまう。
【0009】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても、挟み込み検知を正しく行うことを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために講じた第1の技術的手段は、開口に取り付けられ、開閉体が開閉動作する開閉体装置と、該開閉体装置を駆動するモータと、該モータの回転状態を検出する検出手段と、前記回転状態の低下に基づき、前記開閉体への挟み込みを検知する制御手段とを備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転状態の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転状態を補正し、補正された回転状態を用いて挟み込みを検知する様にしたことである。
【0011】
上記した手段によれば、開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した回転状態(例えば、モータの回転速度、モータの駆動電圧、駆動電流等)の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗(例えば、機械的要因に起因する摺動抵抗と言った作動抵抗等)がモータの回転状態における微分値の記憶により記憶されるので、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶される。そして、記憶された微分値を積分して回転状態を補正する。この場合、補正された回転状態は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求められるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されないものとなる。この為、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転状態を用いて開閉体への挟み込みを検知すれば、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響なく、機械的要因(例えば、開閉体装置の開閉駆動時における機械的要因)を排除して、挟み込み検知を正しく行うことが可能である。
【0012】
また、上記した課題を解決するために講じた第2の技術的手段は、開口に取り付けられる開閉体装置の開閉体に対して、開閉駆動を行うモータの回転速度を検出手段により検出し、前記回転速度の低下に基づき、前記開閉体の開閉動作時の挟み込みを検知する制御手段を備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転速度の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転速度を補正し、補正された回転速度を用いて挟み込み検知をする様にしたことである。
【0013】
上記した手段によれば、開閉体の開閉を行う位置に対応した回転速度の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗(例えば、機械的要因に起因する摺動抵抗と言った作動抵抗等)がモータの回転速度における微分値の記憶により記憶されるので、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶される。そして、記憶された微分値を積分してモータの回転する回転速度を補正する。この場合、補正された回転速度は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求まるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度が求められる。この為、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度を用いて、開閉体への挟み込みを検知すれば、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響なく、機械的要因(例えば、開閉体装置の開閉駆動時における機械的要因)を排除して、挟み込み検知を正しく行うことが可能である。
【0014】
この場合、微分値の記憶は、開閉体が開閉駆動される際に、開閉体に作用する抵抗が急激に変化する所定領域だけ記憶を行えば、抵抗が急激に変化する所定領域だけの微分値の記憶により、開閉体が開閉駆動される際の機械的要因を排除することが可能となる。よって、開閉体が開閉駆動する全領域での微分値の記憶は必要なく、所定領域だけの記憶で済むことから、メモリの低減および制御手段の演算負荷の低減が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、一例として開閉体の挟み込み検知装置10を、車両のサンルーフ装置24に適用した場合におけるサンルーフ(開閉体)22の挟み込み検知についての説明を行うが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態に示す開閉体の挟み込み検知装置10は、車両においてはウィンドウ(例えば、窓ガラス)を上下動させるパワーウィンドレギュレータ装置、サイドドアを車両の前後方向にスライドさせて自動的に開状態/閉状態にさせるスライドドア装置等にも適用することも可能である。
【0016】
そこで、図1に示す挟み込み検知機能を有するサンルーフ装置24について説明する。サンルーフ装置24は、フレーム枠の中をサンルーフ(ルーフガラスと称す)22が車両20の前後方向に移動する様、車両に取り付けられるものであり、車両20のルーフ21に形成された長方形状の開口21aに対して、室内側からボルト等の締結部材によって取り付けられている。サンルーフ装置24は前方に、車幅方向に延在し、ルーフ上から突出またはルーフ内に退避するデフレクタ26を備えている。サンルーフ装置24のルーフガラス22はモータ2により駆動され、公知のスライド機構により車両の前後方向にスライドし、チルト機構により車両の上下方向にチルトする動作を行う。
【0017】
デフレクタ26は、車幅方向の両側からそれぞれアーム27により支持されており、ルーフガラス22の閉動作時に、ルーフガラス22の先端によりアーム27が押圧されて下降する。また、デフレクタ26はアーム27に図示しないスプリングが掛けられており、アーム27にかけられたスプリングの付勢力によって、ルーフガラス22の開動作時にデフレクタ26を跳ね上げる構成となっている。これによって、ルーフガラス22を開閉する際に、ルーフ21から突出したデフレクタ26のアーム27を押し下げる力が必要となる。この為、デフレクタ26の跳ね上げ位置を中心とした所定領域(全閉位置から全開位置の一部の領域)では、通常のルーフガラス22を移動によりスライドさせるスライド動作時における摺動抵抗に比べて、ルーフガラス22の摺動抵抗(作動抵抗とも言う)は増大する。
【0018】
ルーフガラス22を駆動するドライブユニット23は、ルーフ21に形成された開口21aの前方ルーフ内に配設されている。ドライブユニット23は、動力源となるモータ2とモータ2の回転を減速するギヤユニット25が一体となっており、ギヤユニット25にはルーフガラス22につながれたケーブルが係合しており、ケーブルを介してルーフガラス22は車幅方向の両側からプッシュプルにより引っ張られる。ギヤユニット25の出力軸はスライド機構およびチルト機構と連係しており、モータ2は電気的に制御装置1とつながっている。制御装置1によってモータ2を駆動する指示を出力すると、モータ2が回転する。モータ2が回転すると、モータ2の出力軸の回転がギヤユニット25によって減速され、ギヤユニット25に係合するケーブルを介してルーフガラス22は開動作/閉動作する。ルーフガラス22が開閉駆動される際、ルーフガラス22のスライド動作とチルト動作の間にルーフガラス22が開口21aに対して全閉状態となる全閉位置が存在し、スライド動作とチルト動作とは一連の動作の中で行われる様になっている。
【0019】
次に、図2を参照して、ルーフガラス22を動作させる制御装置1と外部装置との接続状態を示したシステム構成について説明する。ルーフガラス22を駆動する制御装置1は、ルーフガラス22の開閉動作を指示するもので、ルーフガラス22の所定位置で、スイッチ状態が切り替わる位置検出スイッチ9と、ルーフガラス22を手動操作により動作させる開閉操作スイッチ8とからの信号が入力されている。また、制御装置1にはモータ2の出力軸に設けられた図示しない磁石(例えば、N極とS極が1対で設けられる)が1回転につき1パルスの周期信号をホール素子により検出するモータ回転数センサ7からの信号が入力されている。制御装置1はこれらの信号状態に基づいて、モータ2を駆動する駆動信号をリレー6に対して出力するとモータ2が駆動され、それによって、ルーフガラス22が開方向または閉方向へと動作する。
【0020】
更に、本実施形態におけるサンルーフ装置24には、ルーフガラス22と車両の開口21aとの間に物体(例えば人の手や物)が挟み込まれた場合、ルーフガラス22の移動を即座に停止させ、モータ2の回転を逆転させることによりルーフガラス22を開方向へと反転動作させる挟み込み検知機能が安全面で付加されている。この挟み込み検知機能は、モータ2の回転が抑止された場合、モータ2の回転数が減少し、回転速度が所定しきい値以上に低下した場合、挟み込み処理を行うものである。
【0021】
ルーフガラス22の制御を司る制御装置1は、内部にプログラムを記憶したROM、プログラム処理に必要な数値を記憶するRAM、周期の計測を行うタイマ、及び、上記したセンサやスイッチ等から入力されるアナログ信号(アナログ値)をデジタル信号(デジタル値)に変換するA/D変換器等を備えたCPU5を備える。更に、制御装置1は入力信号に対してCPU5との電気的整合性をとる入力インターフェース(入力I/F)4と、ルーフガラス22をスライド動作時には開閉方向に動作させる機能を有し、モータ2の回転方向を正転(開方向)または反転(閉方向)させるリレー6と、車両のバッテリーBATから電源(通常、12V)が供給され、安定した一定電圧の電源(例えば、5V)が作られる電源回路3とを備えている。制御装置内部の電源回路3により作られる一定電圧はCPU5に供給され、CPU5を動作させる。制御装置1の入力I/F4には、バッテリー電圧が供給されており、モータ2にはバッテリー電圧が供給される構成となっている。
【0022】
上記した構成により、制御装置1に位置検出スイッチ9からのルーフガラス22の位置信号や、ルーフガラス22を手動にて開閉操作を行う操作スイッチ8からの信号が入力されると、制御装置1に入力された信号は入力インターフェースI/F回路4を通してCPU5に入力される。更に、モータ回転数センサ7から出力されるパルス信号は、モータ回転に同期してオン/オフし、交互に繰り返されるパルス出力がCPU5に入力される様になっており、CPU5はその入力されたパルス信号からモータ2の回転状態あるいはモータ2の回転速度や、ルーフガラス22の開閉位置(例えば、ルーフガラス22が開口21aを完全に閉塞するルーフガラス22の全閉位置を基準とした場合、ルーフガラス22が全閉位置からどれだけ開方向に移動した位置にあるのか)がわかる構成となっている。
【0023】
CPU5は、上記したセンサ7やスイッチ8,9から入力された信号を基にして、リレー6に対してモータ2を駆動する信号を出力し、リレー6への通電状態(通電方向)を切り替えることによりモータ2を停止させたり、正回転側/反転側へ回転させてモータ制御を行い、ルーフガラス22を駆動する。
【0024】
次に、図3を参照して、制御装置1のCPU5の行う処理について説明する。図3に、CPU5の行う処理を示し、この処理(メインルーチン)は数ms毎に繰り返される。尚、以下に示すプログラムの説明では、プログラムのステップを単に、「S」と簡略化して記載する。
【0025】
CPU5に電源(例えば、5V)が供給されると、図3に示すプログラムが開始される。CPU5は、電源が供給されると、最初にS1に示すイニシャル処理を実行する。S1に示すイニシャル処理では、ROM,RAMのチェックが行われた後、制御に必要な初期値がRAMの所定領域に代入される。また、イニシャル処理では、図2に示すシステムが正常に動作するかのチェックも行われ、システムに異常がない場合にはS2以降のプログラムが実施されるが、システムが異常な場合には異常フラグがセットされ、図示しない異常処理を行う。
【0026】
イニシャル処理が終了すると、S2に示す入力処理を行う。この入力処理では、制御装置1に入力されるモータ回転数センサ7や、開閉操作スイッチ8および位置検出スイッチ9と言ったセンサやスイッチ類からの信号がCPU内に入力され、RAM内の必要なメモリ領域に、それぞれの状態が記憶される。次に、CPU5は閉作動中か否かを判断し、ここでは、開閉操作スイッチ8が手動操作されているか否かを、CPU5は判断する。また、この判断時、別の方法としては、例えば、モータ回転数センサ7に互いに位相が異なるパルス信号を出力する2つのホール素子を用いた場合、2つのホール素子からのCPUに入力されるパルス信号の順番により判断することもできる。S3にて、ルーフガラス22を閉動作中でない場合には、プログラムはS8に進むが、閉動作中の場合にはS4からの処理を行う。
【0027】
S4では、モータ回転数センサ7からの信号に基づいて、CPU5は、現在におけるモータ2の実際の回転速度(実回転速度)Nra(n)の算出を行う。ここで言う実回転速度Nra(n)は、CPU5に入力されるモータ回転数センサ7から出力されるパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジが、どれだけの時間間隔でCPU5に入力されたかによって、算出することができる。また、この場合、実回転速度Nra(n)を求める別の方法として、立ち上がりエッジのみあるいは立ち下りエッジのみの入力される間隔より算出することも可能である。尚、ここに示す「n」は現在値を示す。
【0028】
S4にて現在の実回転速度Nra(n)が算出されると、S5にて摺動補正処理が行われる。ここでの摺動補正処理を図4に示す。
【0029】
図4に示される摺動補正処理では、S11にて、ルーフガラス22がデータ記憶領域内にあるか否かがCPU5により判断される。ここで、ルーフガラス22の位置が、ルーフガラス22の摺動抵抗がデフレクタ26の影響により増加するデータ領域内に存在しない場合にはS14に進むが、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域内に存在する場合にはS12を行う。S12ではモータ回転数センサ7から初回パルスがCPU5に入力され、入力済であるかが判断される。ここで言う「初回パルス」とは、モータ回転数センサ7からのパルス信号がCPU5に入力されてから、そのパルス信号が安定な状態となった入力開始から数パルス後(例えば、3エッジ後)のパルス信号がCPU5に入力されたかの状態を判断する。この初回パルスがCPUに入力された初回およびルーフガラス22の位置が所定データ記憶領域にない場合、後述する回転速度変化量Nfmrを算出する際のメモリ値に初期値として、S14にてRAMのメモリNfmrに零を代入し、S15に進む。
【0030】
一方、S12の判断において、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域にあり、初回パルスが入力された後には、S13にて回転速度変化量の積分を行う。ここでの回転速度変化量では、前回のメモリNfmr(n−1)の値と後述するルーフガラス22の位置に対応した摺動情報Nfm(n)とを加算(積分)し、回転速度変化量(Nfmr(n)=Nfmr(n−1)+Nfm(n))の算出を行う。ここに示す、nは現在の状態である今回値(現在値)を示し、n−1はメインルーチンで記憶された過去の前回値を示す。
【0031】
次のS15では、モータ2の回転速度変動を補正する回転速度変動補正処理を行う。回転速度変動補正では、実回転速度Nra(n)からS13で求めた回転速度変化量Nfmr(n)を減算することにより、補正後の回転速度Nfdを算出し、これを補正後回転速度Nfdとする。その後、S16ではS13にて求めた回転速度変化量Nfmrの更新を行い、現在の回転速度変化量Nfmr(n)を前回の回転速度変化量Nfmr(n−1)として更新し、図3に示すメインルーチンに戻る。
【0032】
メインルーチンでは摺動補正処理が行われた後、S6にて、挟み込み検知処理をCPU5は実行し、この挟み込み検知処理を図5に示す。ここでは、S21〜S23に記載される挟み込み処理における基準回転速度Nbを補正された補正後回転速度Nfdから求め設定している。S21では、現在の補正後回転速度Nfd(n)と所定データ前(例えば、3パルス(6エッジ)前の補正後回転速度)Nfd(n−6)との比較をCPU5は行う。そして、補正後回転速度の偏差ΔNfd(=Nfd(n)−Nfd(n−6))を算出して、偏差ΔNfd>0となる増速の場合(補正後回転速度Nfdが所定データ前に比べて増大している場合)には、S23にて現回転速度Nra(n)から、基準回転速度Nbを更新する。一方、S22にて補正後回転速度Nfdが所定データ前より増大していない場合には補正後回転速度Nfdの更新を行わず、S24に進む。つまり、このS21〜S23までの処理においては、図8に示す様に、補正後回転速度Nfdの増速する場合のピーク値が挟み込み判定を行う場合の基準の回転速度として、基準回転速度Nbに記憶される。次に、挟み込み判定の基準回転速度Nbが求まると、今度は基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfd(n)の低下量を示す偏差ΔR(n)を、ΔR(n)=Nb−Nfd(n)より算出する。
【0033】
次のS25では、図8に示される様に、S24で求めた回転速度変化量の算出より求められたΔR(n)が挟み込み検知を行うしきい値以上であるか否かがCPU5にて判断される。ここで、ΔR(n)がしきい値(挟み込み判定を行う挟み込み判定しきい値)よりも小である場合には、基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfdの偏差で示される回転速度低下量が小さいことから、CPU5は挟み込みが発生しているとは見なさず、挟み込み処理を終了してメインルーチンに戻る。しかし、S25にて、ΔR(n)が挟み込み検知のしきい値をこえて、そのしきい値以上となった場合には、基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfd(n)の低下量が大きいとCPU5は判断し、S26にて挟み込み検知処理を行う。ここで、挟み込みがなされたとCPU5は判断した場合には、CPU5は挟み込み処理でモータ2の回転を即座に停止し、モータ2に対して逆回転で駆動する指示を出す。これにより、挟み込みがCPU5によって検知された場合には、ルーフガラス22は瞬時にして反転動作して、安全性が確保される様になっている。挟み込み検出処理が成された後、メインルーチンのS7にて、図6に示す摺動情報記憶処理が実行される。
【0034】
摺動情報記憶処理では、S31にてルーフガラス22の移動する際にデフレクタ26によって摺動抵抗が増大するデータ記憶領域内にあるか否かが判断される。ここで、ルーフガラス22の現在の位置がデータ記憶領域内にない状態では、RAMのメモリNfmに零を代入する。一方、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域内にある場合には、ルーフガラス22の開閉駆動時におけるサンルーフ装置24のもつ機械的要因を排除するために、回転速度の今回値Nra(n)と前回値Nra(n−1)との偏差(Nfm=Nra(n)−Nra(n−1))を求めて摺動情報の算出を行う。その後、S34にてルーフガラス22の位置に対応させて、仮バッファFm(x)にS32にて求めたNfmを記憶する。
【0035】
その後、S35にてモータ2の状態が判断され、ここでモータ2が停止しているかが判断される。S35にてモータ2が停止していない場合には、プログラムはS39に進むが、モータ2が停止している場合には、S36にてプログラム実行過程においてエラー条件が成立しているか否かが判断される。S36にてエラー条件が成立する場合(システムにエラーが発生している場合)には、演算により求められたデータは信頼性がないことから、演算により求められ習得されたデータ(摺動情報)は破棄されるが、エラー条件が成立していない場合には、演算により求められたデータは信頼性のあるデータとして摺動情報Nfmの更新がなされ、モータ2の開閉駆動時において摺動情報Nfmが逐次更新される。その後、S39では現在の回転速度Nra(n)を前回の回転速度Nra(n−1)として、回転速度Nraの新旧の更新が成される。その後、メインルーチンに戻り、S8ではルーフ作動制御が成される。ここでのルーフ作動制御は、開閉操作スイッチ8が手動操作により操作されている側にルーフガラス22を動作させるために、CPU5はリレー6を介してモータ2を駆動し、ルーフガラス22を駆動した後、S2に戻る様になっており、上記したS2からS8の制御は所定周期で繰り返される。
【0036】
以上、説明した様に本実施形態においては、ルーフガラス22を開閉駆動する際、ルーフガラス22のデフレクタ27の影響による摺動抵抗の増大を排除する為に、回転速度Nra(n)を補正して、補正した補正後回転速度Nfdから挟み込みを検知することを特徴としている。これは、ルーフガラス22の全閉状態を基準位置(零点)として、ルーフガラス22が開閉する範囲(作動範囲)内において、デフレクタ27の押し下げ反力等の影響により、ルーフガラス22の移動時に摺動抵抗(作動抵抗)が大きくなる領域の回転速度のデータ(ここでは、微分値)をルーフガラス22の位置に対応して記憶する(図7を参照)。この微分値の記憶は、ルーフガラス22の位置に対応して、ルーフガラス22を開閉動作させる場合にどれだけの抵抗がルーフガラス22に作用するのかと言った摺動情報をRAMに記憶し、CPU5により学習させるものであり、記憶領域での記憶は最初に少なくとも1回以上行えば良い。また、挟み込みの検知精度を向上させるためには、必要に応じてその記憶は、ルーフガラス22が移動する際、定期的に記憶させる構成とすることもできる。
【0037】
RAMにルーフガラス22の位置に応じた回転速度の微分値が記憶されると、データ記憶領域ではルーフガラス22の位置に対応して微分値が積分され、データ記憶領域内での積分値が算出される。積分値が図7の如く算出されると、現在の回転速度Nra(n)からデータ記憶領域で積分された積分値(回転速度変動量)Nfmr(n)が現回転速度Nra(n)より減算され、回転速度Nraが補正された補正後回転速度Nfdが求められる。この様にして得られた補正後回転速度Nfdは、現在の回転速度Nra(n)に対して、ルーフガラス22が開閉駆動される場合のサンルーフ装置24におけるデフレクタ動作時の摺動抵抗の増大等による機械的要因が排除された回転速度となり、この補正後回転速度Nfdを用いて挟み込みを検知する様にしている。
【0038】
この様に、サンルーフ装置24の機械的要因を排除した補正後回転速度Nfdを用いて挟み込み検出処理を行えば、バッテリーBATの劣化やモータ2の使用環境による影響を排除でき、正確な挟み込み検知を行うことができる。
【0039】
本実施形態では、モータ2の回転状態をCPU5は回転速度から判断して、回転回転速度の微分値を積分して回転速度を補正し、補正後回転速度Nfdから挟み込みを検知する様にしたが、これに限定されるものではなく、モータ2の回転状態は回転速度に代わり、モータ2を駆動するモータ駆動電圧あるいはモータ駆動電流から判断しても良い。
【0040】
【発明の効果】
第1の発明によれば、開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した回転状態の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗がモータの回転状態における微分値の記憶により、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶できる。その記憶された微分値を積分して回転状態を補正し、補正された回転状態を用いて挟み込みを検知すれば、開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して挟み込み検知を行うことができる。よって、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されず、挟み込みを検知することができる。また、これは、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響を受けず、機械的要因を排除して、挟み込み検知を正しく行うことができる。
【0041】
また、第2の発明によれば、開閉体の開閉を行う位置に対応した回転速度の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗がモータの回転速度の微分値を記憶することにより記憶でき、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかを記憶することができ、記憶された微分値を積分して回転速度を補正し、補正された回転速度から挟み込み検知を行うことができる。この場合、基準回転速度は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求まるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない。よって、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度を用いて挟み込みを検知することができる。この際、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響を受けず、機械的要因を排除して挟み込み検知を正しく行うことができる。
【0042】
この場合、微分値の記憶は、開閉体が開閉駆動される際に、開閉体に作用する抵抗が急激に変化する所定領域だけ記憶を行えば、抵抗が急激に変化する所定領域だけの微分値の記憶により、開閉体が開閉駆動する全領域での微分値の記憶は必要なく、所定領域だけの記憶で済むことから、微分値の記憶を行うメモリの低減や、制御手段の演算負荷の低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における開閉体の挟み込み検知装置を車両のサンルーフ装置に適用した車両への取付図である。
【図2】図1に示す挟み込み検知装置のシステム構成図である。
【図3】図2に示すCPUでの処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図4】図3に示す摺動補正処理のフローチャートである。
【図5】図3に示す挟み込み検出処理のフローチャートである。
【図6】図3に示す摺動情報記憶処理のフローチャートである。
【図7】図4に示す摺動補正処理を説明するためのグラフである。
【図8】図5に示す挟み込み検出処理を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 制御装置(制御手段)
2 モータ
5 CPU(制御手段)
7 モータ回転数センサ(検出手段)
10 挟み込み検知装置
20 車両
21 ルーフ
22 サンルーフ(開閉体)
21a 開口
24 サンルーフ装置(開閉体装置)
26 デフレクタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口に取り付けられた開閉体装置の開閉体が開閉駆動する際の挟み込みを検知する挟み込み検知装置に関するものであり、特に、挟み込み検知装置の制御に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来、挟み込み検知装置は、例えば車両においてはサンルーフ装置やウィンドレギュレータ装置といった装置を駆動する際、開閉体(サンルーフ、窓ガラス等)駆動時における安全性を向上させるために付加される。この挟み込み検知装置は、開閉体をモータにより動作させる場合に、開閉体が開閉動作を行う範囲内で異物等を挟み込んだ状態をモータの回転速度から検出し、開閉体による挟み込みが検知されると、瞬時にして開閉体の開閉動作を停止またはモータを反転駆動することにより開閉体を逆方向に動作させることにより、安全性が確保されるものである。
【0003】
この様な挟み込みの検知は、モータの回転をホール素子等のセンサによって出力されるパルスから検出し、開閉体を駆動するモータの回転速度の変化に基づき挟み込み検知を行う。
【0004】
例えば、特許文献1には開閉体の駆動制御装置が開示されており、ここには、位置カウンタのカウント値毎に対応する閉動作速度の変化率を記憶する格納エリアが設定され、窓ガラスの閉動作時の変化率を記憶手段に予め記憶し、その記憶データに基づいて挟み込みの検知を行う様になっている。ここに示される装置では、窓ガラスが位置P3からP2に閉動作する際には、記憶手段から窓ガラスの位置に対応する前回の閉動作速度V3,V2の変化率V2/V3を記憶手段から読み出し、その変化率V2/V3と、現時点の位置P3にて検出された今回の閉動作速度V3(t)とに基づいて、位置P2での今回の閉動作速度V2’を予測する(V2’=(V2/V3)・V3(t))。その後、位置P2にて検出された今回の閉動作速度V2(t)と、予測速度V2’とを比較して、速度V2(t)が予測速度V2’よりも所定値以上に小さいときに挟み込みがなされたものと見なし、挟み込みの検出信号を出力する。
【0005】
つまり、上記した特許文献1では、窓ガラスの速度の変化率を作動抵抗として学習し、窓ガラス作動時の速度(最新速度)に学習時の変化率を乗算する。そして、窓ガラスを閉動作させる場合に閉動作速度の予測速度を求め、最新速度と比較することにより、挟み込み検知をする様になっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−269224号公報(段落[0033]〜[0034])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した挟み込み検知の方法を車両に適用した場合、以下に示す問題が生じる。つまり、車両において電源供給は、バッテリー(例えば、12V)から供給される。バッテリーは、接続される外部機器等の負荷状態やバッテリーの経年変化、使用環境等によってはバッテリーの電圧が低下して変動する。電圧変動が発生したバッテリーによって、開閉体がモータにより駆動されると、モータ速度に変動(例えば、バッテリーの電圧が低下するにつれて、モータの回転速度は低下する状態)が発生する。
【0008】
このため、速度変化率により開閉体の予測速度を求めて挟み込み検知を行うと、バッテリーの電圧が記憶した状態から変化してしまうと、速度変化率の学習時と実際に開閉体を動作させる作動時とでは速度変化率が異なってしまう。それ故に、速度変化率から開閉体の予測速度を求める方法では、予測速度を正確に求めることができず、挟み込み検知を正しく行うことができなくなってしまう。
【0009】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても、挟み込み検知を正しく行うことを技術的課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために講じた第1の技術的手段は、開口に取り付けられ、開閉体が開閉動作する開閉体装置と、該開閉体装置を駆動するモータと、該モータの回転状態を検出する検出手段と、前記回転状態の低下に基づき、前記開閉体への挟み込みを検知する制御手段とを備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転状態の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転状態を補正し、補正された回転状態を用いて挟み込みを検知する様にしたことである。
【0011】
上記した手段によれば、開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した回転状態(例えば、モータの回転速度、モータの駆動電圧、駆動電流等)の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗(例えば、機械的要因に起因する摺動抵抗と言った作動抵抗等)がモータの回転状態における微分値の記憶により記憶されるので、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶される。そして、記憶された微分値を積分して回転状態を補正する。この場合、補正された回転状態は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求められるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されないものとなる。この為、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転状態を用いて開閉体への挟み込みを検知すれば、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響なく、機械的要因(例えば、開閉体装置の開閉駆動時における機械的要因)を排除して、挟み込み検知を正しく行うことが可能である。
【0012】
また、上記した課題を解決するために講じた第2の技術的手段は、開口に取り付けられる開閉体装置の開閉体に対して、開閉駆動を行うモータの回転速度を検出手段により検出し、前記回転速度の低下に基づき、前記開閉体の開閉動作時の挟み込みを検知する制御手段を備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転速度の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転速度を補正し、補正された回転速度を用いて挟み込み検知をする様にしたことである。
【0013】
上記した手段によれば、開閉体の開閉を行う位置に対応した回転速度の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗(例えば、機械的要因に起因する摺動抵抗と言った作動抵抗等)がモータの回転速度における微分値の記憶により記憶されるので、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶される。そして、記憶された微分値を積分してモータの回転する回転速度を補正する。この場合、補正された回転速度は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求まるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度が求められる。この為、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度を用いて、開閉体への挟み込みを検知すれば、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響なく、機械的要因(例えば、開閉体装置の開閉駆動時における機械的要因)を排除して、挟み込み検知を正しく行うことが可能である。
【0014】
この場合、微分値の記憶は、開閉体が開閉駆動される際に、開閉体に作用する抵抗が急激に変化する所定領域だけ記憶を行えば、抵抗が急激に変化する所定領域だけの微分値の記憶により、開閉体が開閉駆動される際の機械的要因を排除することが可能となる。よって、開閉体が開閉駆動する全領域での微分値の記憶は必要なく、所定領域だけの記憶で済むことから、メモリの低減および制御手段の演算負荷の低減が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、一例として開閉体の挟み込み検知装置10を、車両のサンルーフ装置24に適用した場合におけるサンルーフ(開閉体)22の挟み込み検知についての説明を行うが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態に示す開閉体の挟み込み検知装置10は、車両においてはウィンドウ(例えば、窓ガラス)を上下動させるパワーウィンドレギュレータ装置、サイドドアを車両の前後方向にスライドさせて自動的に開状態/閉状態にさせるスライドドア装置等にも適用することも可能である。
【0016】
そこで、図1に示す挟み込み検知機能を有するサンルーフ装置24について説明する。サンルーフ装置24は、フレーム枠の中をサンルーフ(ルーフガラスと称す)22が車両20の前後方向に移動する様、車両に取り付けられるものであり、車両20のルーフ21に形成された長方形状の開口21aに対して、室内側からボルト等の締結部材によって取り付けられている。サンルーフ装置24は前方に、車幅方向に延在し、ルーフ上から突出またはルーフ内に退避するデフレクタ26を備えている。サンルーフ装置24のルーフガラス22はモータ2により駆動され、公知のスライド機構により車両の前後方向にスライドし、チルト機構により車両の上下方向にチルトする動作を行う。
【0017】
デフレクタ26は、車幅方向の両側からそれぞれアーム27により支持されており、ルーフガラス22の閉動作時に、ルーフガラス22の先端によりアーム27が押圧されて下降する。また、デフレクタ26はアーム27に図示しないスプリングが掛けられており、アーム27にかけられたスプリングの付勢力によって、ルーフガラス22の開動作時にデフレクタ26を跳ね上げる構成となっている。これによって、ルーフガラス22を開閉する際に、ルーフ21から突出したデフレクタ26のアーム27を押し下げる力が必要となる。この為、デフレクタ26の跳ね上げ位置を中心とした所定領域(全閉位置から全開位置の一部の領域)では、通常のルーフガラス22を移動によりスライドさせるスライド動作時における摺動抵抗に比べて、ルーフガラス22の摺動抵抗(作動抵抗とも言う)は増大する。
【0018】
ルーフガラス22を駆動するドライブユニット23は、ルーフ21に形成された開口21aの前方ルーフ内に配設されている。ドライブユニット23は、動力源となるモータ2とモータ2の回転を減速するギヤユニット25が一体となっており、ギヤユニット25にはルーフガラス22につながれたケーブルが係合しており、ケーブルを介してルーフガラス22は車幅方向の両側からプッシュプルにより引っ張られる。ギヤユニット25の出力軸はスライド機構およびチルト機構と連係しており、モータ2は電気的に制御装置1とつながっている。制御装置1によってモータ2を駆動する指示を出力すると、モータ2が回転する。モータ2が回転すると、モータ2の出力軸の回転がギヤユニット25によって減速され、ギヤユニット25に係合するケーブルを介してルーフガラス22は開動作/閉動作する。ルーフガラス22が開閉駆動される際、ルーフガラス22のスライド動作とチルト動作の間にルーフガラス22が開口21aに対して全閉状態となる全閉位置が存在し、スライド動作とチルト動作とは一連の動作の中で行われる様になっている。
【0019】
次に、図2を参照して、ルーフガラス22を動作させる制御装置1と外部装置との接続状態を示したシステム構成について説明する。ルーフガラス22を駆動する制御装置1は、ルーフガラス22の開閉動作を指示するもので、ルーフガラス22の所定位置で、スイッチ状態が切り替わる位置検出スイッチ9と、ルーフガラス22を手動操作により動作させる開閉操作スイッチ8とからの信号が入力されている。また、制御装置1にはモータ2の出力軸に設けられた図示しない磁石(例えば、N極とS極が1対で設けられる)が1回転につき1パルスの周期信号をホール素子により検出するモータ回転数センサ7からの信号が入力されている。制御装置1はこれらの信号状態に基づいて、モータ2を駆動する駆動信号をリレー6に対して出力するとモータ2が駆動され、それによって、ルーフガラス22が開方向または閉方向へと動作する。
【0020】
更に、本実施形態におけるサンルーフ装置24には、ルーフガラス22と車両の開口21aとの間に物体(例えば人の手や物)が挟み込まれた場合、ルーフガラス22の移動を即座に停止させ、モータ2の回転を逆転させることによりルーフガラス22を開方向へと反転動作させる挟み込み検知機能が安全面で付加されている。この挟み込み検知機能は、モータ2の回転が抑止された場合、モータ2の回転数が減少し、回転速度が所定しきい値以上に低下した場合、挟み込み処理を行うものである。
【0021】
ルーフガラス22の制御を司る制御装置1は、内部にプログラムを記憶したROM、プログラム処理に必要な数値を記憶するRAM、周期の計測を行うタイマ、及び、上記したセンサやスイッチ等から入力されるアナログ信号(アナログ値)をデジタル信号(デジタル値)に変換するA/D変換器等を備えたCPU5を備える。更に、制御装置1は入力信号に対してCPU5との電気的整合性をとる入力インターフェース(入力I/F)4と、ルーフガラス22をスライド動作時には開閉方向に動作させる機能を有し、モータ2の回転方向を正転(開方向)または反転(閉方向)させるリレー6と、車両のバッテリーBATから電源(通常、12V)が供給され、安定した一定電圧の電源(例えば、5V)が作られる電源回路3とを備えている。制御装置内部の電源回路3により作られる一定電圧はCPU5に供給され、CPU5を動作させる。制御装置1の入力I/F4には、バッテリー電圧が供給されており、モータ2にはバッテリー電圧が供給される構成となっている。
【0022】
上記した構成により、制御装置1に位置検出スイッチ9からのルーフガラス22の位置信号や、ルーフガラス22を手動にて開閉操作を行う操作スイッチ8からの信号が入力されると、制御装置1に入力された信号は入力インターフェースI/F回路4を通してCPU5に入力される。更に、モータ回転数センサ7から出力されるパルス信号は、モータ回転に同期してオン/オフし、交互に繰り返されるパルス出力がCPU5に入力される様になっており、CPU5はその入力されたパルス信号からモータ2の回転状態あるいはモータ2の回転速度や、ルーフガラス22の開閉位置(例えば、ルーフガラス22が開口21aを完全に閉塞するルーフガラス22の全閉位置を基準とした場合、ルーフガラス22が全閉位置からどれだけ開方向に移動した位置にあるのか)がわかる構成となっている。
【0023】
CPU5は、上記したセンサ7やスイッチ8,9から入力された信号を基にして、リレー6に対してモータ2を駆動する信号を出力し、リレー6への通電状態(通電方向)を切り替えることによりモータ2を停止させたり、正回転側/反転側へ回転させてモータ制御を行い、ルーフガラス22を駆動する。
【0024】
次に、図3を参照して、制御装置1のCPU5の行う処理について説明する。図3に、CPU5の行う処理を示し、この処理(メインルーチン)は数ms毎に繰り返される。尚、以下に示すプログラムの説明では、プログラムのステップを単に、「S」と簡略化して記載する。
【0025】
CPU5に電源(例えば、5V)が供給されると、図3に示すプログラムが開始される。CPU5は、電源が供給されると、最初にS1に示すイニシャル処理を実行する。S1に示すイニシャル処理では、ROM,RAMのチェックが行われた後、制御に必要な初期値がRAMの所定領域に代入される。また、イニシャル処理では、図2に示すシステムが正常に動作するかのチェックも行われ、システムに異常がない場合にはS2以降のプログラムが実施されるが、システムが異常な場合には異常フラグがセットされ、図示しない異常処理を行う。
【0026】
イニシャル処理が終了すると、S2に示す入力処理を行う。この入力処理では、制御装置1に入力されるモータ回転数センサ7や、開閉操作スイッチ8および位置検出スイッチ9と言ったセンサやスイッチ類からの信号がCPU内に入力され、RAM内の必要なメモリ領域に、それぞれの状態が記憶される。次に、CPU5は閉作動中か否かを判断し、ここでは、開閉操作スイッチ8が手動操作されているか否かを、CPU5は判断する。また、この判断時、別の方法としては、例えば、モータ回転数センサ7に互いに位相が異なるパルス信号を出力する2つのホール素子を用いた場合、2つのホール素子からのCPUに入力されるパルス信号の順番により判断することもできる。S3にて、ルーフガラス22を閉動作中でない場合には、プログラムはS8に進むが、閉動作中の場合にはS4からの処理を行う。
【0027】
S4では、モータ回転数センサ7からの信号に基づいて、CPU5は、現在におけるモータ2の実際の回転速度(実回転速度)Nra(n)の算出を行う。ここで言う実回転速度Nra(n)は、CPU5に入力されるモータ回転数センサ7から出力されるパルス信号の立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジが、どれだけの時間間隔でCPU5に入力されたかによって、算出することができる。また、この場合、実回転速度Nra(n)を求める別の方法として、立ち上がりエッジのみあるいは立ち下りエッジのみの入力される間隔より算出することも可能である。尚、ここに示す「n」は現在値を示す。
【0028】
S4にて現在の実回転速度Nra(n)が算出されると、S5にて摺動補正処理が行われる。ここでの摺動補正処理を図4に示す。
【0029】
図4に示される摺動補正処理では、S11にて、ルーフガラス22がデータ記憶領域内にあるか否かがCPU5により判断される。ここで、ルーフガラス22の位置が、ルーフガラス22の摺動抵抗がデフレクタ26の影響により増加するデータ領域内に存在しない場合にはS14に進むが、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域内に存在する場合にはS12を行う。S12ではモータ回転数センサ7から初回パルスがCPU5に入力され、入力済であるかが判断される。ここで言う「初回パルス」とは、モータ回転数センサ7からのパルス信号がCPU5に入力されてから、そのパルス信号が安定な状態となった入力開始から数パルス後(例えば、3エッジ後)のパルス信号がCPU5に入力されたかの状態を判断する。この初回パルスがCPUに入力された初回およびルーフガラス22の位置が所定データ記憶領域にない場合、後述する回転速度変化量Nfmrを算出する際のメモリ値に初期値として、S14にてRAMのメモリNfmrに零を代入し、S15に進む。
【0030】
一方、S12の判断において、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域にあり、初回パルスが入力された後には、S13にて回転速度変化量の積分を行う。ここでの回転速度変化量では、前回のメモリNfmr(n−1)の値と後述するルーフガラス22の位置に対応した摺動情報Nfm(n)とを加算(積分)し、回転速度変化量(Nfmr(n)=Nfmr(n−1)+Nfm(n))の算出を行う。ここに示す、nは現在の状態である今回値(現在値)を示し、n−1はメインルーチンで記憶された過去の前回値を示す。
【0031】
次のS15では、モータ2の回転速度変動を補正する回転速度変動補正処理を行う。回転速度変動補正では、実回転速度Nra(n)からS13で求めた回転速度変化量Nfmr(n)を減算することにより、補正後の回転速度Nfdを算出し、これを補正後回転速度Nfdとする。その後、S16ではS13にて求めた回転速度変化量Nfmrの更新を行い、現在の回転速度変化量Nfmr(n)を前回の回転速度変化量Nfmr(n−1)として更新し、図3に示すメインルーチンに戻る。
【0032】
メインルーチンでは摺動補正処理が行われた後、S6にて、挟み込み検知処理をCPU5は実行し、この挟み込み検知処理を図5に示す。ここでは、S21〜S23に記載される挟み込み処理における基準回転速度Nbを補正された補正後回転速度Nfdから求め設定している。S21では、現在の補正後回転速度Nfd(n)と所定データ前(例えば、3パルス(6エッジ)前の補正後回転速度)Nfd(n−6)との比較をCPU5は行う。そして、補正後回転速度の偏差ΔNfd(=Nfd(n)−Nfd(n−6))を算出して、偏差ΔNfd>0となる増速の場合(補正後回転速度Nfdが所定データ前に比べて増大している場合)には、S23にて現回転速度Nra(n)から、基準回転速度Nbを更新する。一方、S22にて補正後回転速度Nfdが所定データ前より増大していない場合には補正後回転速度Nfdの更新を行わず、S24に進む。つまり、このS21〜S23までの処理においては、図8に示す様に、補正後回転速度Nfdの増速する場合のピーク値が挟み込み判定を行う場合の基準の回転速度として、基準回転速度Nbに記憶される。次に、挟み込み判定の基準回転速度Nbが求まると、今度は基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfd(n)の低下量を示す偏差ΔR(n)を、ΔR(n)=Nb−Nfd(n)より算出する。
【0033】
次のS25では、図8に示される様に、S24で求めた回転速度変化量の算出より求められたΔR(n)が挟み込み検知を行うしきい値以上であるか否かがCPU5にて判断される。ここで、ΔR(n)がしきい値(挟み込み判定を行う挟み込み判定しきい値)よりも小である場合には、基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfdの偏差で示される回転速度低下量が小さいことから、CPU5は挟み込みが発生しているとは見なさず、挟み込み処理を終了してメインルーチンに戻る。しかし、S25にて、ΔR(n)が挟み込み検知のしきい値をこえて、そのしきい値以上となった場合には、基準回転速度Nbから補正後回転速度Nfd(n)の低下量が大きいとCPU5は判断し、S26にて挟み込み検知処理を行う。ここで、挟み込みがなされたとCPU5は判断した場合には、CPU5は挟み込み処理でモータ2の回転を即座に停止し、モータ2に対して逆回転で駆動する指示を出す。これにより、挟み込みがCPU5によって検知された場合には、ルーフガラス22は瞬時にして反転動作して、安全性が確保される様になっている。挟み込み検出処理が成された後、メインルーチンのS7にて、図6に示す摺動情報記憶処理が実行される。
【0034】
摺動情報記憶処理では、S31にてルーフガラス22の移動する際にデフレクタ26によって摺動抵抗が増大するデータ記憶領域内にあるか否かが判断される。ここで、ルーフガラス22の現在の位置がデータ記憶領域内にない状態では、RAMのメモリNfmに零を代入する。一方、ルーフガラス22の位置がデータ記憶領域内にある場合には、ルーフガラス22の開閉駆動時におけるサンルーフ装置24のもつ機械的要因を排除するために、回転速度の今回値Nra(n)と前回値Nra(n−1)との偏差(Nfm=Nra(n)−Nra(n−1))を求めて摺動情報の算出を行う。その後、S34にてルーフガラス22の位置に対応させて、仮バッファFm(x)にS32にて求めたNfmを記憶する。
【0035】
その後、S35にてモータ2の状態が判断され、ここでモータ2が停止しているかが判断される。S35にてモータ2が停止していない場合には、プログラムはS39に進むが、モータ2が停止している場合には、S36にてプログラム実行過程においてエラー条件が成立しているか否かが判断される。S36にてエラー条件が成立する場合(システムにエラーが発生している場合)には、演算により求められたデータは信頼性がないことから、演算により求められ習得されたデータ(摺動情報)は破棄されるが、エラー条件が成立していない場合には、演算により求められたデータは信頼性のあるデータとして摺動情報Nfmの更新がなされ、モータ2の開閉駆動時において摺動情報Nfmが逐次更新される。その後、S39では現在の回転速度Nra(n)を前回の回転速度Nra(n−1)として、回転速度Nraの新旧の更新が成される。その後、メインルーチンに戻り、S8ではルーフ作動制御が成される。ここでのルーフ作動制御は、開閉操作スイッチ8が手動操作により操作されている側にルーフガラス22を動作させるために、CPU5はリレー6を介してモータ2を駆動し、ルーフガラス22を駆動した後、S2に戻る様になっており、上記したS2からS8の制御は所定周期で繰り返される。
【0036】
以上、説明した様に本実施形態においては、ルーフガラス22を開閉駆動する際、ルーフガラス22のデフレクタ27の影響による摺動抵抗の増大を排除する為に、回転速度Nra(n)を補正して、補正した補正後回転速度Nfdから挟み込みを検知することを特徴としている。これは、ルーフガラス22の全閉状態を基準位置(零点)として、ルーフガラス22が開閉する範囲(作動範囲)内において、デフレクタ27の押し下げ反力等の影響により、ルーフガラス22の移動時に摺動抵抗(作動抵抗)が大きくなる領域の回転速度のデータ(ここでは、微分値)をルーフガラス22の位置に対応して記憶する(図7を参照)。この微分値の記憶は、ルーフガラス22の位置に対応して、ルーフガラス22を開閉動作させる場合にどれだけの抵抗がルーフガラス22に作用するのかと言った摺動情報をRAMに記憶し、CPU5により学習させるものであり、記憶領域での記憶は最初に少なくとも1回以上行えば良い。また、挟み込みの検知精度を向上させるためには、必要に応じてその記憶は、ルーフガラス22が移動する際、定期的に記憶させる構成とすることもできる。
【0037】
RAMにルーフガラス22の位置に応じた回転速度の微分値が記憶されると、データ記憶領域ではルーフガラス22の位置に対応して微分値が積分され、データ記憶領域内での積分値が算出される。積分値が図7の如く算出されると、現在の回転速度Nra(n)からデータ記憶領域で積分された積分値(回転速度変動量)Nfmr(n)が現回転速度Nra(n)より減算され、回転速度Nraが補正された補正後回転速度Nfdが求められる。この様にして得られた補正後回転速度Nfdは、現在の回転速度Nra(n)に対して、ルーフガラス22が開閉駆動される場合のサンルーフ装置24におけるデフレクタ動作時の摺動抵抗の増大等による機械的要因が排除された回転速度となり、この補正後回転速度Nfdを用いて挟み込みを検知する様にしている。
【0038】
この様に、サンルーフ装置24の機械的要因を排除した補正後回転速度Nfdを用いて挟み込み検出処理を行えば、バッテリーBATの劣化やモータ2の使用環境による影響を排除でき、正確な挟み込み検知を行うことができる。
【0039】
本実施形態では、モータ2の回転状態をCPU5は回転速度から判断して、回転回転速度の微分値を積分して回転速度を補正し、補正後回転速度Nfdから挟み込みを検知する様にしたが、これに限定されるものではなく、モータ2の回転状態は回転速度に代わり、モータ2を駆動するモータ駆動電圧あるいはモータ駆動電流から判断しても良い。
【0040】
【発明の効果】
第1の発明によれば、開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した回転状態の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗がモータの回転状態における微分値の記憶により、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかが記憶できる。その記憶された微分値を積分して回転状態を補正し、補正された回転状態を用いて挟み込みを検知すれば、開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して挟み込み検知を行うことができる。よって、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されず、挟み込みを検知することができる。また、これは、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響を受けず、機械的要因を排除して、挟み込み検知を正しく行うことができる。
【0041】
また、第2の発明によれば、開閉体の開閉を行う位置に対応した回転速度の微分値を記憶することにより、開閉体の駆動時において開閉体の開閉位置に対応した抵抗がモータの回転速度の微分値を記憶することにより記憶でき、開閉体が駆動される場合にどの位置でどれだけの抵抗が開閉体に作用するのかを記憶することができ、記憶された微分値を積分して回転速度を補正し、補正された回転速度から挟み込み検知を行うことができる。この場合、基準回転速度は開閉体が開閉駆動する際の機械的要因を排除して求まるので、モータを駆動するバッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない。よって、バッテリーの電圧やモータを駆動する環境等に影響されない補正された回転速度を用いて挟み込みを検知することができる。この際、モータを駆動する電圧が変動した場合やモータを駆動する環境(温度、負荷等)が変化した場合においても影響を受けず、機械的要因を排除して挟み込み検知を正しく行うことができる。
【0042】
この場合、微分値の記憶は、開閉体が開閉駆動される際に、開閉体に作用する抵抗が急激に変化する所定領域だけ記憶を行えば、抵抗が急激に変化する所定領域だけの微分値の記憶により、開閉体が開閉駆動する全領域での微分値の記憶は必要なく、所定領域だけの記憶で済むことから、微分値の記憶を行うメモリの低減や、制御手段の演算負荷の低減ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における開閉体の挟み込み検知装置を車両のサンルーフ装置に適用した車両への取付図である。
【図2】図1に示す挟み込み検知装置のシステム構成図である。
【図3】図2に示すCPUでの処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図4】図3に示す摺動補正処理のフローチャートである。
【図5】図3に示す挟み込み検出処理のフローチャートである。
【図6】図3に示す摺動情報記憶処理のフローチャートである。
【図7】図4に示す摺動補正処理を説明するためのグラフである。
【図8】図5に示す挟み込み検出処理を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 制御装置(制御手段)
2 モータ
5 CPU(制御手段)
7 モータ回転数センサ(検出手段)
10 挟み込み検知装置
20 車両
21 ルーフ
22 サンルーフ(開閉体)
21a 開口
24 サンルーフ装置(開閉体装置)
26 デフレクタ
Claims (3)
- 開口に取り付けられ、開閉体が開閉動作する開閉体装置と、
該開閉体装置を駆動するモータと、
該モータの回転状態を検出する検出手段と、
前記回転状態の低下に基づき、前記開閉体への挟み込みを検知する制御手段とを備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転状態の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転状態を補正し、補正された回転状態を用いて挟み込みを検知することを特徴とする開閉体の挟み込み検知装置。 - 開口に取り付けられる開閉体装置の開閉体に対して、開閉駆動を行うモータの回転速度を検出手段により検出し、前記回転速度の低下に基づき、前記開閉体の開閉動作時の挟み込みを検知する制御手段を備えた開閉体の挟み込み検知装置において、
前記制御手段は、前記開閉体の閉動作における前記開閉体の開閉を行う位置に対応した前記回転速度の微分値を記憶し、該微分値を積分して前記回転速度を補正し、補正された回転速度を用いて挟み込みを検知することを特徴とする開閉体の挟み込み検知装置。 - 前記微分値の記憶は、前記開閉体が開閉駆動される際に、前記開閉体に作用する抵抗が急激に変化する所定領域だけ記憶を行うことを特徴とする請求項2に記載の開閉体の挟み込み検知装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003020629A JP2004232280A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 開閉体の挟み込み検知装置 |
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JP2009159426A (ja) * | 2007-12-27 | 2009-07-16 | Yokogawa Electric Corp | パルス出力装置 |
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2003
- 2003-01-29 JP JP2003020629A patent/JP2004232280A/ja not_active Withdrawn
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