JP4781868B2 - 開閉部材制御装置 - Google Patents

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本発明は開閉部材制御装置に係り、特に開閉部材による異物の挟み込みを検出可能な開閉部材制御装置に関する。
従来、異物の挟み込み防止機能を備えた車両のパワーウインドウ装置において、ウインドウの移動範囲を複数の分割移動領域に等分割し、ウインドウに加わる負荷荷重を示す基準中央値を各分割移動領域に予め設定して、この基準中央値と実際にウインドウ閉動作時に掛かる負荷荷重とを比較して、挟み込みの判定を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のパワーウインドウ装置では、各分割移動領域の前半領域はその基準中央値を用い、後半領域はその分割移動領域に設定した基準中央値とそれに続く分割移動領域に設定した基準中央値とを平均化した補完基準中央値を用いている。
このように、基準中央値を各分割移動領域に対して設定することにより、メモリの記憶容量をそれほど増大させることなく、挟み込み判定のためのしきい値を設定することができる。
特開平11−81794号公報(第5−6頁、図3)
ところで、低い挟み込み検出荷重で確実に挟み込みを検出するためには、しきい値を低く設定することが望ましいが、単にしきい値を低く設定するだけであると、挟み込みを誤検出してしまう可能性が高くなるという問題があった。
また、挟み込みが発生していないときにウインドウに加わる負荷荷重(摺動抵抗)は一定ではなく、大きな変動成分に小さな変動成分(うねり成分)が重畳したものとなっている。また、経年変化や周囲の環境等によってこの変動成分は変動し得る。
特許文献1に記載の技術では、各分割移動領域の前後半部分において負荷荷重に対するしきい値が一定に設定されている。このように所定領域においてしきい値が一定である場合には、その領域端部付近において、変動成分が挟み込み側の傾向を有する場合に、誤って挟み込みと検出してしまうおそれがあった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、メモリの記憶容量を増大させることなく挟み込み判定のためのしきい値を設定することができると共に、挟み込みの誤検出を防ぐことができる開閉部材制御装置を提供することにある。
前記課題は、本発明の開閉部材制御装置によれば、モータを含んでなり、開閉部材を開閉駆動する駆動手段と、該駆動手段によって開閉駆動される前記開閉部材の移動に応じた速度検出信号として前記モータの回転速度信号を出力する移動速度検出手段と、前記回転速度信号に基づいて前記開閉部材の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、を備え、該挟み込み検出手段は、前記開閉部材の閉動作時に受信した前記回転速度信号に基づき、前記開閉部材の位置に対応付けて算出した回転速度の変化量を予め学習記憶データとして有し、前記開閉部材の閉動作時に受信する前記回転速度信号に基づいて前記開閉部材の現在位置における回転速度の変化量を算出し、該変化量の、前記開閉部材の現在位置に対応する学習記憶データに対する差分を算出して、該差分が、変動判定しきい値を超えた場合に前記挟み込みの開始を検出し、前記挟み込みの開始を検出してからの前記差分の累積値を算出し、該累積値が前記挟み込み判定しきい値を超えた場合に前記開閉部材による異物の挟み込みを確定し、前記回転速度の変化量としての前記学習記憶データは、前記開閉部材が全開状態から全閉状態まで前記挟み込みを発生させることなく閉動作する毎に記憶され、前記挟み込み検出手段は、前記差分が外乱判定しきい値を超えたか否かを判別することにより外乱判定を行い、外乱が生じたと判定された場合には、前記差分が前記外乱判定しきい値を超えた程度に応じた増大量だけ、前記挟み込み判定しきい値を増大させることにより解決される。
このように本発明では、開閉部材の移動速度を直接的に学習記憶データとして記憶するのではなく、開閉部材の閉動作時の移動速度の変化量を予め学習記憶データとして記憶している。そして、実際に開閉部材が閉動作するときに算出される移動速度の変化量からこの学習記憶データを差し引いた差分に基づいて挟み込みの判定が行われる。このように、本発明では、開閉部材が通常状態において有する移動速度の変化量の特性分を、現在の開閉部材の移動速度の変化量から差し引くことによって、現在、開閉部材の移動に影響を与えている外力分のみを取り出して、これをもとに挟み込みを判定するので、移動速度の変化量にもともと含まれている挟み込みに類似するような変動成分に外力分が重畳したような場合であっても、挟み込みの誤判定を生じにくくすることができる。
特に、本発明では、挟み込みを開始してからの差分の累積値に基づいて挟み込みを検出(確定)するため、挟み込みによって生じた変化量だけを確実に検出できる。これにより、硬いものは挟み込み荷重が大きくなる前に速やかに挟み込みを検出でき、軟らかいものでも確実に挟み込み検出が可能となる。
また、移動速度の変化量から学習記憶データを差し引いた補正データは、挟み込みを生じていない通常時であれば、(0を中心とした)極小幅な変動となるので、しきい値が分割範囲毎に階段状に設定されたような場合であっても、その分割範囲の端部付近でしきい値のマージン分が少なくなることによって挟み込みを誤検出してしまうことが低減される。
さらに、外乱発生時に挟み込み判定しきい値を増大させる際には、上記の差分が外乱判定しきい値を超えた程度に応じて増大させるので、外乱の程度に対して適宜な挟み込み判定しきい値が設定されることになる。
また、前記回転速度の変化量としての前記学習記憶データは、前記開閉部材の移動範囲を複数に分割した分割範囲毎に記憶されていると、学習記憶データを記憶するための記憶容量を小さくすることができる。
また、前記挟み込み検出手段は、前記差分が正の値の場合に該差分の大きさに応じて前記挟み込み判定しきい値を負側に増大させるように構成すると、外乱が発生した場合に、挟み込み判定しきい値を実際の移動速度の変動に追従させるように変動させることができる。これにより、差分の累積値が挟み込み判定しきい値を超えにくくなるので、挟み込みの誤検出を防ぐことができる。
また、前記挟み込み検出手段は、前記差分が正側に設定された前記外乱判定しきい値を超えた場合、前記挟み込み判定しきい値を負側に増大させるように構成すると、外乱が発生した場合に、差分の累積値が挟み込み判定しきい値を超えにくくなるので、挟み込みの誤検出を防ぐことができる。
本発明の開閉部材制御装置によれば、予め記憶された開閉部材の移動速度の変化量である学習記憶データと、開閉部材の実際の移動速度の変化量との差分によって挟み込みの判定が行われるので、開閉部材の変動特性分を除くことによって挟み込みの誤検出を防止することができる。また、分割範囲毎に学習記憶データが記憶されることにより、記憶容量を増大させることがなく学習記憶データを格納することできる。
さらに、本発明の開閉部材制御装置では、外乱の発生時には挟み込み判定の感度が鈍くなるようにしきい値を設定し直すように構成されているので、外乱発生時に挟み込みを誤検出してしまうことを確実に防止することができる。特に、外乱発生時に挟み込み判定しきい値を増大させる際には、上記の差分が外乱判定しきい値を超えた程度に応じて増大させるので、外乱の程度に対して適宜な挟み込み判定しきい値が設定されることになる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する構成、手順等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1〜図9は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はパワーウインドウ装置の説明図、図2はパワーウインドウ装置の電気構成図、図3は通常状態におけるモータ回転速度の変動状況を表すグラフ、図4は学習データ,モータ回転速度,補正データの変動状況を表すグラフ、図5は挟み込み判定処理の説明図、図6は学習記憶データ作成の処理フロー、図7,図8は挟み込み判定の処理フロー、図9は外乱が生じたときの補正回転速度差の説明図である。
以下に本発明をパワーウインドウの制御装置に適用した一実施形態について説明する。
図1に本例のパワーウインドウ装置1の説明図、図2にその電気構成図を示す。本例のパワーウインドウ装置1は、車両のドア10に配設される開閉部材としてのウインドウガラス11をモータ23の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。パワーウインドウ装置1は、ウインドウガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、駆動手段2の作動を制御するための制御手段3と、乗員が作動を指令するための操作スイッチ4を主要構成要素としている。
本例の駆動手段2は、ドア10のインナパネル10aに配設された上下のブラケット21a,21bと、この上下のブラケット21a,21bを連結するように配設されたガイドレール22と、下方のブラケット21bに取り付けられたモータ23と、モータ23の出力軸に連結されたスプロケットと上方のブラケット21aとに回動可能に掛け渡されている無端状のテープ24と、テープ24に取り付けられガイドレール22に摺動可能に案内されるスライダ25と、ウインドウガラス11を開閉方向に案内する一対のガイドフレーム26a,26bを主要構成要素としている。スライダ25には、ウインドウガラス11の下端部を支持するキャリアプレート11aが取り付けられている。
本例のモータ23は、制御手段3から電力が供給されることにより、正逆回転可能に構成されている。本例の駆動手段2では、モータ23が正逆回転すると、スプロケットを介して回転力がテープ24に伝達され、この回転力によってテープ24が回動することにより、スライダ25がガイドレール22によって上下方向に案内される。スライダ25がガイドレール22によって上下方向に案内されると、スライダ25はキャリアプレート11aを介してウインドウガラス11をガイドフレーム26a,26bに沿って上下方向に移動させる。このように駆動手段2は、モータ23の作動によってウインドウガラス11を開閉駆動する。
本例のモータ23には、移動速度検出手段としての回転検出装置27が一体に備えられている。回転検出装置27は、モータ23の回転と同期したパルス信号(速度検出信号,回転速度信号)を制御手段3へ出力するものである。本例の回転検出装置27は、モータ23の出力軸と共に回動するマグネットの磁気変化を複数のホール素子で検出するように構成されている。このような構成により、回転検出装置27は、モータ23の回転に同期したパルス信号を出力する。すなわち、パルス信号は、ウインドウガラス11の所定移動量毎もしくはモータ23の所定回転角毎に出力される。これにより、回転検出装置27は、モータ23の回転速度に略比例するウインドウガラス11の移動に応じた信号を出力可能である。
なお、本例では、回転検出装置27にホール素子を用いたものを採用しているが、これに限らず、モータ23の回転速度を検出することができれば、エンコーダを採用してもよい。また、本例では、ウインドウガラス11の移動に応じたモータ23の出力軸の回転速度を検出するために、モータ23に回転検出装置27を一体に設けているが、これに限らず、公知の手段によってウインドウガラス11の移動速度を直接的に検出するようにしてもよい。
本例の制御手段3は、コントローラ31と、駆動回路32から構成されている。コントローラ31,駆動回路32には、車両に搭載されるバッテリ5から作動に必要な電力が供給される。
本例のコントローラ31は、CPU31a、ROM31b,RAM31c等のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPU31aは、メモリ、入力回路及び出力回路と、バスを介して互いに接続されている。なお、これに限らず、コントローラ31をDSPやゲートアレイで構成してもよい。
コントローラ31は、通常時、操作スイッチ4からの操作信号に基づいて駆動回路32を介してモータ23を正逆回転させて、ウインドウガラス11を開閉動作させる。また、コントローラ31は、回転検出装置27からパルス信号を受け取り、このパルス信号に基づいてウインドウガラス11の上端部と窓枠との間における異物の挟み込みの検出が可能となっている。異物の挟み込みが検出された場合には、コントローラ31は、駆動回路32を介してモータ23を開方向へ回転させて、ウインドウガラス11を開駆動する。このように、本例のコントローラ31は、挟み込み検出手段として機能する。
本例の駆動回路32は、FETによって構成されており、コントローラ31からの入力信号に基づいて、モータ23への電力供給の極性を切換えている。すなわち、駆動回路32は、コントローラ31から正回転指令信号を受けたときは、モータ23を正回転方向に回転させるようにモータ23へ電力を供給し、コントローラ31から逆回転指令信号を受けたときは、モータ23を逆回転方向に回転させるようにモータ23へ電力を供給する。なお、駆動回路32は、リレー回路を用いて極性を切換えるように構成してもよい。また、駆動回路32がコントローラ31内に組み込まれた構成であってもよい。
コントローラ31は、入力されるパルス信号からパルス信号の立上がり部,立下り部(パルスエッジ)を検出し、このパルスエッジの間隔(周期)に基づいてモータ23の回転速度(回転周期)を算出すると共に、各パルス信号の位相差に基づいてモータ23の回転方向を検出する。つまり、コントローラ31は、モータ23の回転速度(回転周期)に基づいてウインドウガラス11の移動速度を間接的に算出し、モータ23の回転方向に基づいてウインドウガラス11の移動方向を特定している。また、コントローラ31は、パルスエッジをカウントしている。このパルスカウント値は、ウインドウガラス11の開閉動作に伴って加減算される。コントローラ31は、このパルスカウント値の大きさによってウインドウガラス11の開閉位置を特定する。
本例の操作スイッチ4は、2段階操作可能な揺動型スイッチ等で構成され、開スイッチ,閉スイッチ及びオートスイッチを有している。この操作スイッチ4を乗員が操作することにより、コントローラ31へウインドウガラス11を開閉動作させるための指令信号が出力される。
具体的には、操作スイッチ4は、一端側へ1段階操作されると開スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ1段階操作されると閉スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
また、操作スイッチ4は、一端側へ2段階操作されると開スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、ウインドウガラス11をオート開動作(すなわち操作を止めても全開位置まで開動作)させるためのオート開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ2段階操作されると閉スイッチ及びオートスイッチが共にオンされ、ウインドウガラス11をオート閉動作(すなわち操作を止めても全閉位置まで閉動作)させるためのオート閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
コントローラ31は、操作スイッチ4から通常開指令信号を受けている間中(操作スイッチ4が操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を通常開動作させる。一方、コントローラ31は、操作スイッチ4から通常閉指令信号を受けている間中(操作スイッチ4が操作されている間中)、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を通常閉動作させる。
また、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート開指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全開位置までオート開動作させる。一方、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート閉指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全閉位置までオート閉動作させる。
コントローラ31は、ウインドウガラス11を閉動作(通常閉動作及びオート閉動作)させているとき、ウインドウガラス11による挟み込みの有無を監視している。すなわち、挟み込みが生じると、ウインドウガラス11の移動速度およびこれに関連してモータ23の回転速度が低下する(回転周期が長くなる)。このため本例のコントローラ31は、モータ23の回転速度の変動を常時監視している。
本例のコントローラ31では、この回転速度の変動に基づいて、まず挟み込みの開始を検出し、次いで挟み込みの開始が検出されてから回転速度が所定量変動したことを検出した場合に、挟み込みと判定(確定)する。
そして、挟み込みを確定した場合には、コントローラ31は、ウインドウガラス11にて挟持された異物を解放すべくモータ23を反転させ、ウインドウガラス11を所定量だけ開動作させるように制御する。なお、挟み込みと判定した場合に、モータ23の作動を停止してウインドウガラス11のそれ以上の閉動作を停止させて、ウインドウガラス11にて挟持した異物を解放可能とするように制御してもよい。
次に、図3〜図5に基づいて、本例のパワーウインドウ装置1における挟み込み判定の概略処理について説明する。図3は、異物の挟み込みが発生していない通常状態で、ウインドウガラス11が全開状態から全閉状態まで開閉動作したときにおけるモータ23の回転速度ωの変動状況を表している。横軸はパルスカウント数である。なお、図3の横軸を全開位置から全閉位置までのウインドウガラス11の位置(窓位置)として表示してもよい。このように回転速度ωは、ウインドウガラス11に摺動抵抗等の外力が加わるため、細かな摺動変動成分(うねり成分)を含むものとなる。この摺動変動成分は、挟み込みに類似する回転速度変動を有すると共に、パルスカウント数に依存して再現性を有するものである。
本例のパワーウインドウ装置1では、回転検出装置27から受け取るパルス信号に基づいてモータ23の回転速度ωを算出し、この回転速度ωから後述するように回転速度差Δωを算出する。そして、さらにこの回転速度差Δωをもとに移動速度の変化量である学習記憶データ(回転速度差)Δωを算出して予めコントローラ31内のRAM31cに記憶している。図4(A)は、このようにして算出された学習記憶データΔωに基づく回転速度(すなわち、学習記憶データΔωの累積値)の変動状況を表している。なお、図4では、横軸をパルスカウントとしているが、図3と同様にウインドウガラス11の位置(窓位置)として表示してもよい。
そして、本例では、パワーウインドウ装置1が作動し、ウインドウガラス11が閉動作していくと、これに伴い現在位置におけるモータ23の回転速度ωが算出される。この現在回転速度ωに基づいて、パルスエッジ検出毎に後述するように回転速度差Δωが算出される。図4(B)は、このようにして算出された現在回転速度ω(すなわち、回転速度差Δωの累積値)の変動状況を表している。
現在回転速度ω(および回転速度差Δω)には、ウインドウガラス11の特有な成分である摺動変動成分が含まれているから、現在回転速度ωから学習記憶データΔωに基づく回転速度を差し引いて補正されたデータが、外力によって生じた実際の回転速度の変動分となる。図4(C)は、このようにして補正された回転速度ωの補正データの変動状況(曲線a)およびこのときの挟み込み判定しきい値β(後述)の変動(曲線b)を表している。曲線aから分かるように、挟み込みがない場合には、摺動変動成分を差し引いた実際の回転速度の変動(後述する補正回転速度差Δω´の変動)は0を中心として極小さいものとなる。
挟み込み判定しきい値βは、後述するように異物の挟み込みを確定するときに用いられるしきい値である。挟み込み判定しきい値βは、曲線bから分かるように、実際の回転速度ωの変動に追従するように変動する。すなわち、本例では外乱や経年変化によってウインドウガラス11に挟み込みとは逆方向である閉方向の外力が掛かり、学習記憶データΔωによって補正された回転速度差(後述する補正回転速度差Δω´)が所定の外乱判定しきい値γを正側に超えた場合に、挟み込み判定しきい値βを検出感度が鈍くなる方向(図4(C)では下側)に増大させるように構成されている。
このときの増大量は、補正された回転速度差が外乱判定しきい値γを超えた程度に応じて設定される。すなわち、補正された回転速度差が外乱判定しきい値γを超えた程度が大きい場合は増大量が大きく設定され、補正された回転速度差が外乱判定しきい値γを超えた程度が小さい場合は増大量が小さく設定される。また、補正された回転速度差が外乱判定しきい値γを超えた程度に応じて、増大量を段階的に設定してもよい。
外乱判定しきい値γは、0以上の適宜の大きさに設定することができる。したがって、外乱判定しきい値γを小さく設定した場合には、挟み込み判定しきい値βを実際の回転速度ωの変動により追従させることができる。
このように本例では、外乱等を考慮することによって、実際の回転速度ωの変動に追従させるように挟み込み判定しきい値βが設定し直されるので、外乱等による挟み込みの誤検出を確実に防止することができる。
本例では、学習記憶データΔωをnパルスエッジ毎(nは2以上の自然数)に記憶することにより、パルスエッジ毎に記憶する場合と比べて、コントローラ31内に記憶するメモリ記憶容量を低減している。そして、本例では、パルスエッジ検出毎に算出される現在位置における回転速度差Δωに対して、そのパルスカウント数に対応する学習記憶データΔωを摺動変動成分としてメモリから読み出し、現在回転速度差Δωから学習記憶データΔωを差し引いて、現在回転速度差Δωの学習記憶データΔωに対する差分を算出する処理を行っている。
また、図5(A)は、挟み込みが生じた場合の回転速度ωの変動状況を表している。図5(A)の縦軸は回転速度ω,横軸はパルスカウント数に対応する。図5(A)では、モータ23の回転速度ωが挟み込みにより途中から減速している。データ線A1は、硬いものを挟み込んで回転速度ωが大きな減速率で低下している状況を示しており、データ線B1は、軟らかいものを挟み込んで回転速度ωが小さな減速率で低下している状況を示している。なお、図5(B),(C)では、データ線A2,A3が硬いものを挟み込んだ場合に対応しており、データ線B2,B3が軟らかいものを挟み込んだ場合に対応している。
そして、本例のパワーウインドウ装置1では、この回転速度ωのデータに基づいて、現在の回転速度ωと数パルスエッジ前の回転速度ωとの差である回転速度差Δωが算出される。回転速度差Δωは、回転速度(移動速度)の変化量(変化率)に相当する。
本例のパワーウインドウ装置1では、上述のように回転速度ωから算出された回転速度差Δωから摺動変動成分(学習記憶データΔω)を差し引いて、実際の外力による変動成分である補正された補正回転速度差Δω´を移動速度(回転速度)の変化量(変化率)の補正データとして算出している。図5(B)は、この補正回転速度差Δω´の変動状況を表している。
そして、まず、このようにして算出された補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えたか否かが判定される。この変動判定しきい値αを超えると、挟み込みが開始したと判定される。図5(B)では、点P1,点P2でそれぞれ挟み込みの開始が検出される。しかし、この時点では、挟み込みが確定したわけではないので、モータ23は回転を継続し、ウインドウガラス11は上昇を続ける。この変動判定しきい値αは、パワーウインドウ装置1がたとえ軟らかいものを挟み込んだ場合においても、これによって生じる補正回転速度差Δω´がこの値を超えるような大きさに設定される。
このようにして、一旦、挟み込みの開始が検出されると、パワーウインドウ装置1では、この時点からの補正回転速度差Δω´の累積値(すなわち、摺動変動成分を除いた実質的な回転速度ωの変化量)が、挟み込み判定しきい値βを超えたか否かが判別される。そして、回転速度ωの変化量が、挟み込み判定しきい値βを超えた場合に、挟み込みが検出(確定)される。図5(C)は、補正回転速度差Δω´の累積値の変動状況を表している。コントローラ31は、累積値が挟み込み判定しきい値βを超えた場合に、挟み込みと判定(確定)する。
以上のように、本例のパワーウインドウ装置1では、2つのしきい値が設定されているが、一方の変動判定しきい値αは補正回転速度差Δω´に対して設定されており、他方の挟み込み判定しきい値βは回転速度ωの変化量(補正回転速度差Δω´の総和)に対して設定されており、これらは判定対象が異なる。
そして、本例のパワーウインドウ装置1では、補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えた後の継続時間やパルス信号数等によって実際に挟み込みが発生したと確定されるのではなく、補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えた後の回転速度ωの変動量によって挟み込みが確定される。
したがって、本例のパワーウインドウ装置1では、異物を挟み込んだ場合に、挟み込み荷重が大きくなり過ぎることがないので、挟み込んだ異物に損傷を与えることなく、挟み込みを確定することができる。
また、本例のパワーウインドウ装置1では、軟らかいものを挟み込んだ場合にでも、補正回転速度差Δω´は、比較的早い段階で変動判定しきい値αを超えるので、その後の変化量が挟み込み判定しきい値βを超えた時点で挟み込みが確定される。この場合、挟み込んだものが軟らかいため、補正回転速度差Δω´が小さな値(絶対値としては大きな値)とならないが、一旦、変動判定しきい値αを超えれば、補正回転速度差Δω´の累積が開始されるので、この累積値が挟み込み判定しきい値βを超えた時点で確実に挟み込みを確定することができる。
また、中程度の硬さのものを挟み込んだ場合にも、軟らかいものを挟み込んだ場合と同様に、早い段階で補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えて、補正回転速度差Δω´の累積が開始されるので、この値が挟み込み判定しきい値βを超えた時点で確実に挟み込みを確定することができる。
このように、本例のパワーウインドウ装置1では、挟み込んだものの硬さ軟らかさによらず、低荷重で確実に挟み込みを確定することができる。
また、本例では、摺動変動分が差し引かれた補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えたときに挟み込みの開始と判定され、その後の補正回転速度差Δω´の累積値が挟み込み判定しきい値βを超えたときに挟み込みが確定されるので、単に回転速度ωから摺動変動分を差し引いた値があるしきい値を超えたときに挟み込みと判定される場合と比べて、挟み込みの誤判定の発生が極めて低減される。
単に回転速度ωから摺動変動分を差し引いた補正値があるしきい値を超えたときに挟み込みと判定する場合には、メモリ容量を考慮するとウインドウガラスの移動範囲を複数に分割して各分割範囲ではしきい値を一定に設定しなければならない。すなわち、しきい値は、移動範囲において階段状に設定される。そして、挟み込み判定では、補正値が各分割範囲でしきい値を超えたか否かが判定される。回転速度ωから摺動変動分を差し引いた補正値は、変動幅が大きいので、挟み込みに類似する外力が加わったときに、各分割範囲の端部付近において、補正値がしきい値を超えてしまい挟み込みと誤検出してしまうおそれがある。
しかし、本例では、挟み込み開始の判定において、補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えるか否かを判定している。この補正回転速度差Δω´は0を中心として変動すると共に変動幅が小さいので、各分割範囲において変動判定しきい値αが一定であっても、挟み込みに類似する外力が加わったときに、分割範囲の端部付近において、補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えることは発生しにくくなる。
しかも、本例では、たとえ補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを超えても、その後の補正回転速度差Δω´の累積値が挟み込み判定しきい値βを超えなければ、実際に挟み込みと確定されないので、挟み込みの誤判定の発生が低減される。
次に、図6に基づいて、本例のコントローラ31の学習記憶データ作成処理について説明する。この処理では、ウインドウガラス11が全開状態から全閉状態まで挟み込みを発生することなく閉動作する毎に、学習記憶データΔωがコントローラ31内のメモリに記憶格納される。
まず、ステップS1では全開状態であるので、パルスカウントが0にセットされる。そして、ステップS2でコントローラ31は、回転検出装置27から受け取ったパルス信号を信号処理することによって形成されるパルスエッジが検出されたか否かを判定する。
ステップS2でパルスエッジが検出されなければ(ステップS2;NO)、ステップS2の処理を繰り返す。一方、ステップS2でパルスエッジが検出されると(ステップS2;YES)、ステップS3へ移行して前回に検出されたパルスエッジとの時間間隔であるパルス幅T(0)を算出する。具体的には、コントローラ31は、今回検出されたパルスエッジの検出時と前回検出されたパルスエッジの検出時との時間差をパルス幅T(0)として算出する。本例では、このパルス幅Tは、T(0)〜T(3)の4データ分が更新記憶されており、パルスエッジが検出される毎に、パルス間隔T(0)が算出され、前回パルスエッジ検出時に算出されていたパルス間隔T(0)〜T(2)がそれぞれパルス幅T(1)〜T(3)にずれ、前回のパルス幅T(3)は削除される。
パルス幅Tが更新されると、ステップS4でパルス周期Pが算出される。具体的には、コントローラ31は、パルス幅T(0)〜T(3)をすべて加算する。これにより、今回のパルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス間隔が算出される。
そして、ステップS5では、ステップS4で算出されたパルス周期Pの逆数をモータ23の回転速度ω(0)として算出する。この回転速度ω(0)は、モータ23の回転速度に比例した値となる。このように、今回のパルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス間隔によって回転速度ω(0)を算出することによって、センサーDutyのばらつきによる回転速度ωの変動分を相殺することができる。
回転速度ωは、ω(0)〜ω(7)の8データ分が更新記憶されており、パルスエッジが検出される毎に、回転速度ω(0)が算出され、前回のパルスエッジ検出時に算出されていた回転速度ω(0)〜ω(6)がそれぞれ回転速度ω(1)〜ω(7)にずれ、前回の回転速度ω(7)は削除される。
ステップS6では、(平均)回転速度差(回転速度変化率)Δω(0)が算出される。具体的には、コントローラ31は、回転速度ω(0)〜ω(3)を現ブロックデータ、回転速度ω(4)〜ω(7)を前ブロックデータとし、それぞれのブロック内データの和を差し引く処理を行う。これにより、4パルスエッジ前の回転速度と現在の回転速度との回転速度差が算出される。なお、加算した回転速度ωの数(本例では4)で回転速度差Δωを除してもよい。このように、複数の回転速度ωによって回転速度差Δωを算出することにより、回転速度ω間の位相差を相殺することができる。
回転速度差Δωは、Δω(0)〜Δω(7)の8データ分が更新記憶されており、パルスエッジが検出される毎に、回転速度差Δω(0)が算出され、前回パルスエッジ検出時に算出された回転速度差Δω(0)〜Δω(6)がそれぞれ回転速度差Δω(1)〜Δω(7)にずれ、前回の回転速度差Δω(7)は削除される。
そして、ステップS7でパルスカウントが8の倍数(8n)であるか否かが判別される。パルスカウントが8の倍数であった場合(ステップS7;YES)、ステップS8で移動速度の変化量としての学習記憶データΔω(n)を算出する処理が行われる。具体的には、コントローラ31は、回転速度差Δω(0)〜Δω(7)を加算する処理を行う。本例では、学習記憶データΔω(n)は、8パルスエッジ毎に記憶格納される。なお、nは全開状態から8パルスエッジ毎に1ずつ加算されていく。すなわち、本例は、ウインドウガラス11の移動範囲を8パルスエッジ毎に複数に分割して、分割範囲毎に学習記憶データΔωが記憶される。例えば、パルスエッジ(パルスカウント)数8n〜8n+7に対応して学習記憶データΔω(n)が記憶される。これにより、本例では、8パルスエッジ分の学習値を1つの値で代用させて、メモリ記憶容量を低減することができる。
なお、本例では、学習記憶データΔωが8パルスエッジ分の値となっているが、これに限らず、8で除すことによって1パルスエッジ分に変換した値としてもよい。また、本例では、8パルスエッジ毎に学習記憶データΔωを記憶しているが、これに限らず、複数パルスエッジ毎であればよい。
一方、パルスカウントが8の倍数でなかった場合(ステップS7;NO)、ステップS10へ移行し、パルスカウントを1だけインクリメントしてステップS2へ戻る。
ステップS8で学習記憶データΔω(n)を算出すると、ステップS9へ移行し、パルスカウントがウインドウガラス11の全閉状態に対応するものであるか否かが判別される。パルスカウントが全閉状態を表すものであった場合(ステップS9;YES)、そのまま処理を終了する。これにより、全範囲の学習記憶データΔωが確定され、メモリに記憶される。一方、パルスカウントが全閉状態を表すものでなかった場合(ステップS9;NO)、ステップS10へ移行する。
このようにして、本例のコントローラ31は、ウインドウガラス11の作動によって学習記憶データΔωを算出していき、パルスカウントが全閉状態を表すものとなったときに最終的にメモリに格納する。なお、挟み込みが検出された場合には、割り込み処理によって学習記憶データΔωがメモリに格納されないようになっている。
次に、図7,図8に基づいて、本例のコントローラ31の挟み込み判定処理について説明する。ステップS11〜ステップS16は、上記学習記憶データ作成処理のステップS1〜ステップS6と同様であるので説明を省略する。
ステップS16で現在のパルスカウントに対応する回転速度差Δω(0)を算出すると、コントローラ31は、ステップS17でメモリに記憶していた学習記憶データΔωから現在のパルスカウント数に対応する学習記憶データΔωを読み出す。そして、回転速度差Δω(0)から学習記憶データΔωを8で除した1パルスエッジ分相当の回転速度差を差し引いて補正回転速度差Δω´(0)を算出する処理を行う。なお、学習記憶データΔωとして1パルスエッジ分相当の回転速度差をもともと記憶するように構成した場合は8で除す必要はない。
補正回転速度差Δω´(0)を算出すると、コントローラ31は、ウインドウガラス11の所定位置を基準として、算出された補正回転速度差Δω´(0)を加算する処理を行う(ステップS18)。
次に、ステップS19では、算出された補正回転速度差Δω´が外乱判定しきい値γを正側に超えているか否かが判別される。車両が段差に乗り上げたり、ウインドウガラス11が閉められたりすると、このような外乱によってウインドウガラス11に衝撃が加わり、その結果、モータ23の回転速度に影響が及ぶ場合がある。本例では、この処理により外乱によって挟み込みを誤検出してしまうことを防止している。
図9に示すように、外乱が加わると、補正回転速度差Δω´(回転速度差Δω)は、通常、正負に大きな値をとる。正側に補正回転速度差Δω´が振れることは、ウインドウガラス11を閉める方向にモータ23の回転が加速されることを意味し、反対に、負側に補正回転速度差Δω´が振れることは、モータ23の回転が減速されることを意味する。負側に補正回転速度差Δω´が振れることは、挟み込みを擬似するものとなる。ここで、外乱判定しきい値γは、正側に設定された値であり、本例のコントローラ31では、補正回転速度差Δω´がこの外乱判定しきい値γを正側に超えた場合は、外乱が生じたものと判定する。
外乱が生じたと判定された場合(ステップS19;有)、コントローラ31は、挟み込み判定しきい値βを負側に増大させて補正した後(ステップS22)、ステップS23へ移行する。なお、ステップS22では、外乱の程度によって挟み込み判定しきい値βの増大量が適宜に設定される。
これにより、引き続いて、外乱によって負側に補正回転速度差Δω´が振れて、挟み込みの開始が検出されたとしても、その後の補正回転速度差Δω´の累積値が増大された挟み込み判定しきい値βを超えることがないので、挟み込みの誤判定を防止することができる。なお、本例では、外乱判定しきい値γが変動判定しきい値αと無関係に設定されているが、例えば、外乱判定しきい値γを変動判定しきい値αの正負を反対にした値に設定してもよい。
ステップS19で外乱が生じたと判定されなかった場合(ステップS19;無)、コントローラ31は、挟み込み開始の判定処理を行う(ステップS20)。具体的には、補正回転速度差Δω´が変動判定しきい値αを負側に超えた場合は挟み込みの開始と判定され、超えていない場合は挟み込みの開始と判定しない。
挟み込みの開始と判定された場合(ステップS20;有)、ステップS23へ移行する。一方、挟み込みの開始と判定されなかった場合(ステップS23;無)、ステップS21で補正回転速度差Δω´の累積値と挟み込み判定しきい値βへの初期値の設定が行われる。具体的には、ステップS18で算出された補正回転速度差Δω´の累積値が、回転速度ωの初期変化量Sにセットされると共に、挟み込み判定しきい値βが増大されていない通常値に戻される。このように、外乱期間が終了したと判定されると、挟み込み判定しきい値βが通常値に戻され、通常の処理が行われる。
なお、本例では、外乱期間の終了判定と共に挟み込み判定しきい値βが通常値に戻されるように構成されているが、これに限らず、一旦、挟み込みの感度を鈍くするように挟み込み判定しきい値βが設定し直された場合には、設定し直された挟み込み判定しきい値βを所定期間または所定パルスカウント数分、維持するように構成してもよい。
そして、ステップS23では、回転速度ωの変化量Sの演算処理が行われる。具体的には、コントローラ31は、挟み込み開始と判定される直前にステップS21でセットされた初期変化量S(補正回転速度差Δω´の累積値)からステップS18で算出された補正回転速度差Δω´の累積値を差し引いて、挟み込み開始以降の実質的な回転速度ωの変化量S(補正回転速度差Δω´の累積値)を算出する。これにより、挟み込みによる回転速度の変化分(すなわち、挟み込み荷重分)を確実に算出することができる。
なお、本例では、基準値からの変化量の差を算出して、挟み込み開始以降の補正回転速度差Δω´の累積値を算出しているが、これに限らず、挟み込み開始が検出されないときには、補正回転速度差Δω´の累積値を初期化し、挟み込み開始が検出されたときには、初期化しないようにして、挟み込み開始検出以降の分についてのみ補正回転速度差Δω´を累積して、これにより回転速度ωの変化量Sを算出してもよい。
次に、コントローラ31は、ステップS23で算出された補正回転速度差Δω´の累積値が挟み込み判定しきい値βを超えたか否かを判定する(ステップS24)。
回転速度ωの変化量Sが挟み込み判定しきい値βを超えたと判断された場合(ステップS24;有)、コントローラ31は、挟み込み解除処理(ステップS25)を行い、処理を終了する。挟み込み解除処理では、具体的には、コントローラ31は上述のように異物を解放すべくモータ23を反転させ、ウインドウガラス11を所定量だけ開動作させる。
一方、回転速度ωの変化量Sが挟み込み判定しきい値βを超えていないと判断された場合(ステップS24;無)は、ステップS26へ移行する。
ステップS26では、パルスカウントがウインドウガラス11の全閉状態に対応するものであるか否かが判別される。パルスカウントが全閉状態を表すものであった場合(ステップS26;YES)、そのまま処理を終了する。一方、パルスカウントが全閉状態を表すものでなかった場合(ステップS26;NO)、ステップS27へ移行し、パルスカウントを1だけインクリメントしてステップS12へ戻る。
なお、上記実施形態では、車両のパワーウインドウ装置1に本発明の開閉部材制御装置を適用した例を示したが、これに限らず、サンルーフ開閉装置やスライドドア開閉装置等の開閉部材を開閉駆動する装置に全般に適用してもよい。
本発明の一実施形態に係るパワーウインドウ装置の説明図である。 図1のパワーウインドウ装置の電気構成図である。 図1のパワーウインドウ装置の通常状態におけるモータ回転速度の変動状況を表すグラフである。 図1のパワーウインドウ装置における学習データ,モータ回転速度,補正データの変動状況を表すグラフである。 挟み込み判定処理の説明図である。 学習記憶データ作成の処理フローである。 挟み込み判定の処理フローである。 挟み込み判定の処理フローである。 外乱が生じたときの補正回転速度差の説明図である。
符号の説明
1‥パワーウインドウ装置、2‥駆動手段、3‥制御手段、4‥操作スイッチ、
5‥バッテリ、10‥ドア、10a‥インナパネル、11‥ウインドウガラス、
11a‥キャリアプレート、21a,21b‥ブラケット、22‥ガイドレール、
23‥モータ、24‥テープ、25‥スライダ、26a,26b‥ガイドフレーム、
27‥回転検出装置、31‥コントローラ、31a‥CPU、31b‥ROM、
31c‥RAM、32‥駆動回路

Claims (4)

  1. モータを含んでなり、開閉部材を開閉駆動する駆動手段と、該駆動手段によって開閉駆動される前記開閉部材の移動に応じた速度検出信号として前記モータの回転速度信号を出力する移動速度検出手段と、前記回転速度信号に基づいて前記開閉部材の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、を備え、
    該挟み込み検出手段は、前記開閉部材の閉動作時に受信した前記回転速度信号に基づき、前記開閉部材の位置に対応付けて算出した回転速度の変化量を予め学習記憶データとして有し、前記開閉部材の閉動作時に受信する前記回転速度信号に基づいて前記開閉部材の現在位置における回転速度の変化量を算出し、該変化量の、前記開閉部材の現在位置に対応する学習記憶データに対する差分を算出して、該差分が、変動判定しきい値を超えた場合に前記挟み込みの開始を検出し、前記挟み込みの開始を検出してからの前記差分の累積値を算出し、該累積値が前記挟み込み判定しきい値を超えた場合に前記開閉部材による異物の挟み込みを確定し、
    前記回転速度の変化量としての前記学習記憶データは、前記開閉部材が全開状態から全閉状態まで前記挟み込みを発生させることなく閉動作する毎に記憶され、
    前記挟み込み検出手段は、前記差分が外乱判定しきい値を超えたか否かを判別することにより外乱判定を行い、外乱が生じたと判定された場合には、前記差分が前記外乱判定しきい値を超えた程度に応じた増大量だけ、前記挟み込み判定しきい値を増大させることを特徴とする開閉部材制御装置。
  2. 前記回転速度の変化量としての前記学習記憶データは、前記開閉部材の移動範囲を複数に分割した分割範囲毎に記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
  3. 前記挟み込み検出手段は、前記差分が正の値の場合に該差分の大きさに応じて前記挟み込み判定しきい値を負側に増大させることを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置。
  4. 前記挟み込み検出手段は、前記差分が正側に設定された前記外乱判定しきい値を超えた場合、前記挟み込み判定しきい値を負側に増大させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の開閉部材制御装置。
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