JP4579757B2 - 開閉部材制御装置 - Google Patents
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そして、上記特許文献1に記載の技術では、車両停車中且つドアが閉鎖状態である場合や、ドア閉動作中に状態変化がない場合に学習データを更新するようにしている。このように学習データ更新の機会を制限することにより、好ましくない外乱等を含む検出データを排除して、適正に学習データを更新していくことができる。
また、例えば、走行中にのみウインドウガラスの開閉動作を頻繁に行うような乗員であった場合には、車両走行中等のウインドウガラスの動作が学習データに反映されないとすれば、本来更新すべき更新機会において更新がなされず、実情に沿わない学習データを記憶したままとなるという問題があった。
このように、本発明では、差分データが、外乱の発生の有無を判定するための外乱学習データ判定しきい値を超えて外乱が発生したと判断された場合であっても、学習データの更新を取りやめることなく、外乱を考慮して所定範囲内の値である補正データを用いて学習データを更新するので、学習機会を喪失することなく多くの学習機会を確保することができる。
図1〜図9は本発明の一実施形態に係るものであり、図1はパワーウインドウ装置の説明図、図2は図1のパワーウインドウ装置の電気構成図、図3は差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図、図4は回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフ、図5は外乱入力時の回転速度差及び学習データの累積値の変動状況を表すグラフ、図6は挟み込み判定の処理フロー、図7は外乱入力時の挟み込み判定の説明図、図8は学習データ更新の処理フロー、図9は更正差分データ算出の処理フローである。
図10は本発明の他の実施形態に係る差分データを更正差分データへ換算する方法を表す説明図である。
図1に本例のパワーウインドウ装置1の説明図、図2にその電気構成図を示す。本例のパワーウインドウ装置1は、車両のドア10に配設される開閉部材としてのウインドウガラス11をモータ23の回転駆動により昇降(開閉)作動させるものである。パワーウインドウ装置1は、ウインドウガラス11を開閉駆動する駆動手段2と、駆動手段2の作動を制御するための制御手段3と、乗員が作動を指令するための操作スイッチ4を主要構成要素としている。
本例のコントローラ31は、CPU、ROM,RAM等の不図示のメモリ、入力回路、出力回路等を備えるマイクロコンピュータで構成されている。CPUは、不図示のメモリ、入力回路及び出力回路は、バスを介して互いに接続されている。なお、これに限らず、コントローラ31をDSPやゲートアレイで構成してもよい。
なお、本例では、挟み込みが検出された場合を除き、回転速度データに影響を与える外力がウインドウガラス11に掛かるような高速走行時,ドア開閉動作時,凍結時,悪路走行時等であっても、このような状況を反映して学習データの更新を行うように構成されている。
具体的には、操作スイッチ4は、一端側へ1段階操作されると開スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常開動作(すなわち操作している間だけ開動作)させるための通常開指令信号をコントローラ31へ出力する。また、操作スイッチ4は、他端側へ1段階操作されると閉スイッチがオンされ、ウインドウガラス11を通常閉動作(すなわち操作している間だけ閉動作)させるための通常閉指令信号をコントローラ31へ出力する。
また、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート開指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全開位置までオート開動作させる。一方、コントローラ31は、操作スイッチ4からオート閉指令信号を受けると、駆動回路32を介してモータ23を駆動し、ウインドウガラス11を全閉位置までオート閉動作させる。
本例のコントローラ31では、この回転速度の変動に基づいて、まず挟み込みの開始を検出し、次いで挟み込みの開始が検出されてから回転速度が所定量変動したことを検出した場合に、挟み込みと判定(確定)する。
本例では、パワーウインドウ装置1が作動し、ウインドウガラス11が閉動作すると、これに伴い回転検出装置27から受け取るパルス信号に基づいてモータ23の回転速度ω0が算出される。この回転速度ω0に基づいて、パルスエッジ検出毎に後述するように回転速度差Δω0が算出される。この回転速度差Δω0は、各パルスカウント値に対応させて記憶されるデータ列である。
一方、コントローラ31内には、学習データ(回転速度差)Δωが記憶されている。この学習データΔωも各パルスカウント値に対応させて記憶されるデータ列である。これにより、ウインドウガラス11の所定移動間隔毎に学習データΔωの特徴を記憶することができるので、各位置に合わせた挟み込み検出が可能となる。学習データΔωは、ウインドウガラス11の閉動作毎に回転速度差Δω0を用いて更新される。以下、更新前の学習データを学習データΔωbefore、更新後の学習データを学習データΔωafterという。
d=Δω0−Δωbefore・・・式(1)
本例では、図3に示すように、差分データdが所定の外乱学習データ判定しきい値−β(−βは負の定数)から外乱学習データ判定しきい値β(βは正の定数)の範囲にあるとき(−β≦d≦β;通常学習データ更新範囲)は、更正差分データDを差分データdとする。
Δωafter=Δωbefore+α×D・・・式(2)
また、本例では、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β,β)を超えた場合、すなわち差分データdが外乱学習データ範囲内にある場合には、外乱が生じたものと判定し、この外乱による学習データΔωafterへの影響を抑えるために、所定の定数(α・γ,−α・γ)を更新前の学習データΔωbeforeに加算して、更新後の学習データΔωafterを算出している。
図4(A−2)は、同図(A−1)に示す閉動作に基づいて更新された学習データΔωの累積値ΣΔω(回転速度に相当)の変動状況を表している。
一般に、このようなドアの強閉等の環境の急変は、回転速度差Δω0に大きな影響を与えるが、この影響が長期間継続することはない。したがって、次回にウインドウガラス11を閉動作するときには、再び図4(A−1)に示すような回転速度差Δω0の累積値ΣΔω0の変動状況が得られるはずである。
図4(B−2)は、図4(B−1)で示される閉動作をしたときに更新された学習データΔωの累積値ΣΔωの変動状況を表している。図中、円で囲われた領域Xは、パルス状の外乱が加わることによって多少影響を受けているものの、他の領域と比べて大きくその影響が現れるようなものとはなっていない。このように、本例では、大きな外乱が加わっても、それによって学習データΔωが本来あるべき学習データの変動状況から乖離してしまうことがない。したがって、このような外乱を考慮して学習データΔωを更新しても、挟み込みを誤検出してしまうおそれがないと共に、学習機会を多く確保することができるので、実情に沿った学習データΔωを維持していくことができる。
図5(B)は、同図(A)と同様に上記領域Xに対応した領域において、図4(B−1)に示す外乱が加わる前の学習データΔω(Δωbefore)(破線b)と外乱が加わった後の学習データΔω(Δωafter)(実線c)とを重ね合わせて表示している。このように、学習データΔωafterは、外乱を考慮して更新されているので、学習データΔωbeforeから正負方向に多少ずれたものとなる。しかしながら、同図から分かるように、外乱は更新データに対してそれほど大きな影響を与えてはおらず、外乱が発生していない領域と比べて、更新後データは更新前データからそれほど大きくずれたものとはならない。
本例のコントローラ31は、まず、回転検出装置27から受け取ったパルス信号に基づいて、モータ23の回転速度データの更新を行う(ステップS1)。具体的には、コントローラ31は、まず回転検出装置27から受け取ったパルス信号を信号処理してパルスエッジを検出する。そして、パルスエッジを検出する毎に、パルスカウント値をインクリメントし、前回検出されたパルスエッジと今回検出されたパルスエッジとのパルス幅(時間間隔)Tを算出してメモリ内に順次格納していく。
本例では、現パルスエッジから4パルスエッジ前までのパルス幅T(0)〜T(3)によって(平均)回転速度ω0(0)が算出される。そして、次のパルスエッジを検出すると、新たに算出されたパルス幅T(0)〜T(3)によって回転速度ω0(0)が更新される。このとき、前回の回転速度ω0(0)は回転速度ω0(1)として記憶される。このようにして、コントローラ31内には、パルスエッジを検出する度に(所定移動量毎に又は所定回転角毎に)更新される最新の8つの回転速度ω0(0)〜ω0(7)が常時記憶される。このように、複数のパルス幅Tによって回転速度ω0を算出することにより、受信する各パルス信号出力のセンサーDutyのばらつきを相殺し、誤差変動分が相殺された回転速度を算出することができる。
この回転速度差Δω0はパルスカウント値に対応してメモリに一時記憶される。
次に、上記補正値が、外乱判定しきい値Cを正側に超えているか否かが判別される(ステップS4)。本例では、この処理によって、車両が段差に乗り上げたり、ドアが閉められたりすることによる外乱によって挟み込みを誤検出してしまうことを防止している。
挟み込みの開始と判定された場合(ステップS5;有)、ステップS8へ移行する。一方、挟み込みの開始と判定されなかった場合(ステップS5;無)、ステップS6で回転速度差Δω0から学習データΔωを差し引いた補正値の累積値と、挟み込み判定しきい値Bへの初期値の設定が行われる。具体的には、ステップS3で算出された補正値の累積値が、回転速度ω0の初期変化量S0にセットされると共に、挟み込み判定しきい値Bが増大されていない通常値に戻される。このように、外乱期間が終了したと判定されると、挟み込み判定しきい値Bが通常値に戻され、通常の処理が行われる。
回転速度ω0の変化量Sが挟み込み判定しきい値Bを超えたと判断された場合(ステップS9;有)、コントローラ31は、挟み込み解除処理(ステップS10)を行い、処理を終了する。挟み込み解除処理では、具体的には、コントローラ31は上述のように異物を解放すべくモータ23を反転させ、ウインドウガラス11を所定量だけ開動作させる。
一方、回転速度ω0の変化量Sが挟み込み判定しきい値Bを超えていないと判断された場合(ステップS9;無)は、処理をそのまま終了する。
本例のコントローラ31は、まずウインドウガラス11が全開状態となったとき、学習データΔωを更新するために、ステップS11でメモリを初期化して待機する。そして、ステップS12で、ウインドウガラス11が全開位置から全閉位置まで移動を完了したか否かを判別する。コントローラ31は、パルスカウント値によってウインドウガラス11が全閉位置まで移動したか否かを判別しており、全閉位置まで移動していない場合(ステップS12;NO)はステップS12の処理を繰り返し、全閉位置まで移動した場合(ステップS12;YES)はステップS13へ移行する。
そして、ステップS14で、差分データdの値に応じて更正差分データDを算出する。
更正差分データDの算出処理フローを図9に示す。この処理では、コントローラ31は、ステップS21でパルスカウントを0にセットし、続いてステップS22でこのパルスカウントに対応する差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β)から外乱学習データ判定しきい値βの範囲内(−β≦d≦β;通常学習データ更新範囲)にあるか否かを判別する。
一方、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β)から外乱学習データ判定しきい値βの範囲内にない場合(ステップS22;NO)は、ステップS24へ移行する。
ステップS24では、差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えているか否かが判別される。差分データdが外乱学習データ判定しきい値βを超えている場合(ステップS24;YES)は、ステップS25で更正差分データDを所定の外乱学習データ更新量γにセットし、ステップS27へ移行する。
ステップS27では、パルスカウント値が全閉位置に対応したものであるか否かが判別される。パルスカウント値が全閉位置に対応したものである場合(ステップS27;YES)は、処理を終了する。一方、パルスカウント値が全閉位置に対応したものでない場合(ステップS27;NO)は、ステップS28でパルスカウント値をインクリメントして、ステップS22へ戻り、ステップS22〜S27の処理を繰り返す。
このようにして、更正差分データDが各パルスカウント値に対して設定される。
しかし、これに限らず、図10(A),(B)に示すように、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えた場合に、外乱学習データ判別しきい値(−β,β)の前後で更正差分データDの値が連続するように設定してもよい。同図(A)では、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えると、換算される更正差分データDが外乱学習データ更新量(−γ,γ)に指数関数的又は高次関数的に近づくように設定されている。また、同図(B)では、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えると、換算される更正差分データDが外乱学習データ更新量(−γ,γ)に徐々に近づき、所定の値以上で外乱学習データ更新量(−γ,γ)となるように設定されている。
また、同図(D)に示すように、外乱学習データ更新量(−γ,γ)の値をそれぞれ外乱学習データ判別しきい値(−β,β)と同じ値に設定してもよい。すなわち、差分データdが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)を超えた場合には、換算される更正差分データDが外乱学習データ判別しきい値(−β,β)に固定される。これにより、差分データdが外乱学習データ判定しきい値(−β,β)を超えた場合に、外乱学習データ更新量(−γ,γ)を別途設定する必要がなくなるため、データ処理を簡素化することができる。また、同図(A)〜(D)を組合せた態様としてもよい。
5‥バッテリ、10‥ドア、10a‥インナパネル、11‥ウインドウガラス、
11a‥キャリアプレート、21a,21b‥ブラケット、22‥ガイドレール、
23‥モータ、24‥テープ、25‥スライダ、26a,26b‥ガイドフレーム、
27‥回転検出装置、31‥コントローラ、32‥駆動回路
Claims (3)
- 開閉部材を開閉駆動する駆動手段と、
該駆動手段によって開閉駆動される開閉部材の移動に応じた速度検出信号を出力する移動速度検出手段と、
開閉部材の移動速度データを学習データとして予め記憶する移動速度記憶手段と、
前記学習データと開閉部材の閉動作時に前記移動速度検出手段から受信する速度検出信号とに基づいて開閉部材の異物の挟み込みを検出する挟み込み検出手段と、
前記速度検出信号に基づいて算出された移動速度データをもとに前記学習データを更新する移動速度更新手段と、を備えた開閉部材制御装置であって、
前記移動速度更新手段は、開閉部材の閉動作時に受信した前記速度検出信号に基づいて最新の移動速度データを算出し、該最新の移動速度データと前記学習データとの差分データを算出して、該差分データを所定範囲内の値となるように補正した補正データを算出し、該補正データを用いて前記学習データを更新し、
前記差分データが外乱の発生を判定するための外乱学習データ判定しきい値を超えていない場合は、前記差分データに所定の補正係数を乗じて前記所定範囲内の値に補正した補正データを前記学習データに加算し、前記差分データが前記外乱学習データ判定しきい値を超えている場合は、前記所定範囲内での外乱学習データ判定しきい値の絶対値よりも小さい絶対値を有する一定の更新値である補正データを前記学習データに加算することを特徴とする開閉部材制御装置。 - 前記移動速度記憶手段は、前記学習データを開閉部材の移動範囲において所定移動間隔毎に記憶することを特徴とする請求項1に記載の開閉部材制御装置。
- 前記駆動手段は、モータを含んでなり、
前記移動速度検出手段は、前記速度検出信号として前記モータの回転速度信号を出力し、
前記移動速度更新手段は、前記回転速度信号に基づいて算出した前記モータの回転速度データを前記移動速度データとして用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉部材制御装置。
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